2008年 10月 27日
殺人捜査線 The Lineup
1958 アメリカ Columbia Pictures,Pajemer Productions,86min.
監督:ドン・シーゲル 脚本:スターリング・シリファント
出演:イーライ・ウォラック、ロバート・キース、リチャード・ジャッケル、メアリー・ラロシュ他
日本未公開。WOWOWにて鑑賞。これが58年ぶりの日本初放映(公開)となるとか。
当時アメリカでヒットしていたテレビ映画「捜査線」のスピンオフ作品で、監督は、テレビ
シリーズ1話目の監督をし、後にイーストウッドと組んで「ダーティ・ハリー」を撮ることになる
ドン・シーゲル、脚本にこれまた後に名作「夜の大捜査線」を書くスターリング・シリファント。
ラインアップという原題は映画の中にも出てくる、容疑者の面通しのこと。
時代から言えばカラーでもおかしくないが、低予算だったのだろうな、モノクロ。しかし、逆に
これがいい味だしているから不思議だ。
舞台はサンフランシスコ。冒頭から引っ張られるシーンだ。掴みはOKって具合かな。
サンフランシスコ港に着いた客船から荷物を運び出す1人のポーターが、客の鞄の1つを
奪い、待ち構えていたタクシーに窓から放り入れる。タクシーは急発進し、トラックに激突、
追ってきた警官をひき殺し、挙句に構内の壁にぶつかり運転手も死亡した。
そんな過激なシーンから幕が開く。知っている人は誰も出てないし、ドン・シーゲルの名前
だけで見始めたが、いきなり引き込まれてしまった。ましてや、舞台が大好きな都市
サンフランシスコ。半世紀前のゴールデンゲートブリッジも懐かしく、事件は展開していく。
結局、このときに入港してきた客船から降りた客のうち3人の荷物にヘロインが隠されていて
ギャングの二人はボスに回収を命じられたのだ。客は運び屋として利用された善意の第三者。
この3人に迫るダンサーとジュリアンというギャング。彼らを追う市警のアルとフレッド警部。
最初の回収が冒頭の盗まれたバッグで、この中の仏像に入っていたヘロインだった。彼らから
依頼されたヤク中のドライバーは奪ったタクシーで、ポーターと組んで仕事をしたが、
運転に失敗し死んでしまったのだった。ヘロインの回収に失敗したギャングは次の客に
船員クラブのサウナで接触、彼から馬の焼き物のありかを聞き出し、サイレンサー銃で
サウナの中で射殺。これは上手く回収できた。
最後のドロシー・ブラッドショーという女性は、幼い娘と水族館に出かけたという。言葉巧みに
女性に近づいた二人は、クルマで自宅へ送るといって、家に入り込み、女の子が東京で
勝ってきた日本人形の中を捜す。焦った二人は人形を壊して探すがブツは見つからない。
恐怖におののく女性と女の子。白い粉が入ってなかったか、と詰問すると、女の子はあったけど
おしろいの粉が付いてきたと思って、人形の顔に塗ったわ、と告白する。
回収に殆ど失敗したダンサーとジュリアンは、ボスに言い訳するためにスケートリンクでボスに
会う。しかし、自分の顔を見てしまったからには、お前は死ぬといわれ、ダンサーは車椅子の
ボスと二階から1階のスケートリンクに突き落として殺してしまう。
そこころ、アルとフレッドたちは、ギャングがやっていることを突き止め、乗っている車を割り出し
追跡、スケートリンクでギャングたちを追い詰める。クルマで逃げるダンサーとジュリアン。
人質に、女性と女の子を取っている。しかし、未完成のハイウエイに入ってしまった、ギャングの
クルマ。もやはこれまで、と女の子を抱きかかえて逃げようとする。その前に逃げようとした
ジュリアンをダンサーは射殺、自分は女の子を放し、道路の切れ目を跨ごうとしたところを
警部に撃たれ、転落、死亡してしまう。これにて一件落着。
ストーリーは簡潔にしてなかなかスリリングに仕立ててある。カーチェイスも「ブリット」ばりとは
いかないが、当時のサンフランシスコ市警が全面協力し道路を封鎖し、緊迫感ある映像と
なっている。難点は誰が主役か良くわからないところだね。昔は道路のあちらこちらに警察
専用の電話ボックスがあったんだね。そのかぎをもって刑事たちは行動していたわけだ。
ケイタイなんてない時代だモノね。いつ頃まで街角にそういう装置があったのだろうか。
なかなか見っけモンの警察映画ではあった。(サンフランが舞台でなかったら見なかったかも)
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