シッコ  Sicko

●「シッコ Sicko」
2007 アメリカ The Weinstein Company,Dog Eat Dog Films,123min.
監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーアほか米・英・仏・キューバの一般市民
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「ボーリング・フォー・コロンバイン」で、突撃取材で、銃に満ちたアメリカの矛盾をついた
マイケル・ムーアが、今度は、先進国中唯一国民皆保険制度のないアメリカの医療の
矛盾と、相変わらず、医療の周辺にうごめく利権と金銭のにおいを体当たりに提示する。

冒頭の電動のこぎりで指を切断した男性、薬指と人差し指では接合の値段が違う。
男性は薬指を選んだが、人差し指は、接合可能なのに、ごみ箱に行ってしまった。
人差し指は6万ドルかかるといわれたからだ。
ある病院は、支払の出来ない患者を、貧困者救済センターに車で乗り付けて捨てていく。

保険会社が、患者の治療を決め、莫大な治療費を請求する。国が医療に関与していない
ので、結局資本の理論でそうなるのだ。またそこには医療に絡む利権の構図、保険会社
薬のメーカー、など、またロビイスト、国会議員ら、金に絡む亡者たちは多い。

アメリカンドリームとか言って、憧れるアメリカは、表面上の美しさの陰にものすごい格差、
教育、医療、差別などが厳然とある。貧困の差は日本の比ではない。これらに対応しようと
国民皆保険を主張しているのが、ヒラリー・クリントンだ。
結局アメリカは金持ちが命を長らえるようなシステムになってしまっているのだ。
最後、キューバのグアンタナモ基地に収監されている911の犯人たちが、国民よりも
はるかに良い医療を無料で受けていることを知り、ムーアと取材中に知り合った患者たちは
マイアミからキューバに上陸。グアンタナモ基地にトラメガで「せめて、アルカイダ並の
治療を!」と叫ぶ。なんというアイロニー。

そして一行はキューバの素晴らしい医療システムに感激し、入院治療までしてもらって
帰国する。ま、キューバのプロパガンダが多分に入っているとは思うが、仮想敵国の
医療と、豊かだ、と信じてきたアメリカの医療の格差に、愕然とする。

医療制度は理解するのには難しいが、アメリカという国のアンバランスな一面が見られて
長い映画だったけど興味深くみた。マイケル・ムーアをネット上で攻撃してきた人物が
自分の妻が病気になり、かさむ医療費のためHPをキープできなくなり、閉鎖するという。
なんという皮肉。
マイケル・ムーアは、匿名で1万ドルのチェックを送る。彼の妻は回復し、今も彼のHPで
ムーアを攻撃しているという。

現在アメリカで起きている、金融資本主義の崩壊など、アメリカ人が反省しなければ全世界
に大きな影響をもたらす事象はたくさんある。多くのアメリカ人はそれに気が付いていない
節がある。危険なことだ。

映画ではフランスやイギリスの優れた国民医療体制を紹介する。羨ましいと思う。だがその
財政を支えている、日本よりかなり多めの消費税とか、クルマを買うと、贅沢品としてほぼ
値段が倍になり、ガソリン1リッター200円を超える負担があるということを知らなくてはなら
ないだろう。日本人たちは今、まさに医療体制の崩壊、に瀕している。国民一人あたりの
租税負担率も、かなり高率になってきている。そろそろ、消費税を上げて、直間を見直して
いかないと、労働意力にも関わってくるでしょう。私も今や給料の3分の1が税金や年金です。
この映画、決して他人事ではいない、として観るのが正しいでしょう。

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by jazzyoba0083 | 2008-11-22 16:45 | 洋画=さ行 | Trackback(2) | Comments(0)