ホット・ロック The Hot Rock

●「ホット・ロック The Hot Rock」
1971 アメリカ 20th Century Fox Films,Landers&Roberts Production 101min.
監督:ピーター・イェーツ
出演:ロバート・レッドフォード、ジョージ・シーガル、ロン・リーブマン、ポール・サンド
    ゼロ・モステル、モーゼス・ガン他
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クインィー・ジョーンズのペンになるテーマソングが、ジェリー・マリガンのバリトンサックスで
軽快にリフを刻む、かっこいいオープニング。「ブリット」のイェーツ作品で、期待は高まる。
基本的には4人組の宝石泥棒の顛末記であるのだが、宝石を巡り、一転二転と話が変化
していくので、飽きないけど、いささかそれが冗慢な雰囲気を生み出してしまっている点が
ないではない。そしてラストが催眠術で解決するのだが、ロバート・ラドラムの小説ばりの
トリックでいいのだが、それなら最初からやれよ、と突っ込みを入れたくなる甘さも感じる。
また、コミカルな部分とシリアスな部分がどうもぎくしゃくしていて、レッドフォードが浮いている
感じもある。だが、総じて楽しめた映画であった。
最高なのは、「アフガニスタン・バナナ・スタンド」という呪文。これを吹き込まれた貸金庫係の
おじさんは、レッドフォードが自分の貸金庫に入る形で金庫内で、この言葉をおじさんの耳元
でささやくと、おじさんはレッドフォードの言いなりになり、宝石をまんまとせしめることに成功
したのだ。「アフガニスタン・バナナ・スタンド」だって。誰が考えたんだろうね。

刑務所から出所したトートマンダー(レッドフォード)は、アフリカのある国から宝石を奪い
返してほしいと依頼され、昔の仲間のケルプ(シーガル)ら仲間3人と、展示場へ侵入を
図る。会場の前で交通事故を起こし、中の警備員が気を取られれているうちに、トートマンダー
らが警備員に化けて、内部に侵入、厚いガラスケースの四隅の鍵をあけ、ガラスケースを
3人がかりで持ち上げ、中の宝石を取ることに成功した。しかし、あまりの重さにいったん
おろしてしまい、中に仲間を取り残してしまったことから、救出に時間がかかり、警備員に
発見されてしまう。トートマンダーら3人は逃げたが、宝石を持っていた1人が捕まってしまう。
彼はとっさに宝石を飲み込む。

今度は3人組、依頼主にヘリコプターを用意させ、そらから留置場に侵入。景観に化けて
仲間の牢屋に行き、宝石を受け取ろうとするが、隠したはずの場所に、宝石はない。
どうやら、そいつのオヤジ(弁護士)が面会に来た時に、もって行ってしまったらしい。

それに気がついたトートマンダーらは、留置場から連れ出してきた息子を殺すぞ、と脅し、
宝石のありかを聞き出そうとするが、なかなか答えない。しかし、ついに自分の貸金庫に
あることを明かす。この貸金庫は本人が行って、銀行側の鍵と一致していないと開かない。
本人が行かないと言っているい以上、宝石に近づくことは難しい。

そこで一計を案じたトートマンダー。まず自分の貸金庫を開設し、そこの係りのおじさんに
例の「アフガニスタン・バナナ・スタンド」という言葉を聞くと、なんでも言われたことを聞いて
しまいます、という催眠術をかけたのだ。
そして、冒頭に書いたような結末に至るわけである。

この映画で一番印象的だったのは、1971年のNYの空撮で、(3人がヘリで警察署屋上に
赴くところ)、建築途中のWTCが映っていること。平和な時代だったのだな。
この映画、音楽と言い、テイストいい、70年代初頭の時代の気分をよくあらわしていると
感じた。映画にジャズを使う風潮は、日本にも伝播し、三保敬太郎、前田憲男、八木光生ら
のペンにより藤田敏八や大島渚らの映画に使われたものだ。日活のギャングものにも
なぜかジャズが好まれていましたが・・・。

テーマソングのパーソネルは、ジェリー・マリガン(バリトンサックス)、クラーク・テリー
(トランペット)、フランク・ロソリーノ(トロンボーン)、ジェローム・リチャードソン(サックス)
グラディ・テイト(ドラムス)、レイ・ブラウン(ベース)、チャック・レイニー(フェンダーベース)
キャロル・ケイ(同)、ボビ・ポーター(コンガ・ボンゴ)。

この映画の情報は

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まで。
by jazzyoba0083 | 2008-12-10 23:05 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)