2008年 12月 23日
アンタッチャブル The Untouchables
1987 アメリカ Paramount Pictures,a film of 75th Anniversary,120min.
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ケヴィン・コスナー、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロ、アンディ・ガルシア他
お馴染みのテレビシリーズをパラマウントが創立75周年の記念作品として、大金をかけて
制作した、娯楽作。豪華な配役、20年代のシカゴの様子がよく出ていた美術、アルマーニの
衣装、そして、デ・パルマの凝った様式美のようなカメラワーク、フレームワーク。
ストーリーは、エリオット・ネスがアル・カポネを有罪にするまでのことなので単純で、これを
どう今の時代に見せるかが、監督の手腕だったわけだ。
まず、シカゴのセット。そしてT型フォードの頃のクルマの数々、これは見ごたえあり。
そしてアルマーニのスーツ。この映画が公開されたころは日本はバブルの頂点で、まさに
みなアルマーニのスーツにあこがれたものだった。これも観る価値ありだ。
そして、デ・パルマの演出。ネス隊長にコスナー、悪に染まらない老警官にコネリー(彼は
この演技でアカデミー賞助演男優賞を獲得した)、若い熱血漢ストーン刑事にアンディ・
ガルシア、更にカポネ撲滅4人組の異色隊員となる本来経理畑の男ウォーレスにチャールズ
マーティン・スミス、更にカポネにデ・ニーロと、主役級が並ぶ。
印象的なのはやはりオスカーの演技のコネリー。そしてガルシア。ラスト、作戦が成功し
ネスとストーンが別れる時、ギャングに殺されてしまったマローン刑事の遺品をネスから
手渡されるとき、ストーンのガルシアの目にうっすらと浮かぶ涙は、感動ものだ。
デ・ニーロは何をやってもハマる。特にマフィア系はハマり役でしょう。彼とアル・パチーノは。
そして、デ・パルマの作りだす判りやすい様式美に彩られた映像。冒頭のカポネの床屋の
シーンは真俯瞰。ネスとマローンの出会いである橋の上の計算された画角。さらにお得意の
クレーンショットは、白眉ともいえるシーンである、帳簿係を待つ駅の階段のシーンで
遺憾なく発揮される。ここでは、これもお得意のスローモーションもここで冴える。クレーン
ショットはデ・パルマの必殺技である一筆書きでワンシーンを描く典型のような動きを見せて
いる。これにアルマーニの衣装が相俟って、20年代の建物と調和し、色彩の美しさも含め
一気に見せ切る。この階段で乳母車が落ちていくシーンをスローで観ていると、エイゼンシュ
テインの映像を想起するのは私だけではないだろう。
最後になったがエンニオ・モリコーネのどこか哀愁のある音楽もいい味付けになっている。
デ・パルマであるからしてバイオレンスはしょうがないのであるが、それさえ我慢できれば
ハッピーエンドだし、ストーリーは単純な勧善懲悪だから、気軽に見れる娯楽作品として
味わえばけっこう楽しいと思う。判る人はデ・パルマの映像美も判りやすい映画だと思う。
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