レナードの朝  Awakenings

●「レナードの朝 Awakenings」
1990 アメリカ Columbia Pictures,Parkes/ Lascar Productions,121min.
監督:ペニー・マーシャル  原作:オリヴァー・サックス
出演:ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズ、ジュリー・カヴナー、ルース・ネルソン他
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実話に基づいたオリヴァー・サックスの小説を、役者出身の女流のペニー・マーシャルが監督。
なかなか骨太に出来ていて、かつ女流監督らしい愛情のきめ細やかな表現も見て取れた。
映画は、デニーロとロビンのガチンコの演技対決?なのだが、これが気持ちいいんだ。さすが
名優と呼ばれる人は違う、と思わせる。

1939年。ブロンクスに住む少年レナード・ロウは、成績優秀にも関わらず、奇病に侵され、
長期療養病院に30年に渡り入院することになる。その病院にセイヤーという精神病の医師が
仕事を求めてやってくる。パーキンソン病など、体が硬直し、精神も病んでしまうような患者
ばかりの病院だった。
その中で雇われたセイヤーは、熱心に治療に当たる。硬直した体でも、テニスボールを瞬時に
受け取る能力はあったりする発見をし、当時出始めたパーキンソン病の新薬を試してみる
ことになった。その実験台になったのが、レナードだった。かなり大量の薬の投薬効果で、
レナードは奇跡的に恢復。ほとんど普通の人と変わらななるまでになった。
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この治験に、他の患者にも同じ薬を投薬することにした。これには1万2000ドルかかるのだが、渋る院長に看護師やケースワーカーたちが募金。これに理事会も応じて、投薬が
始まった。そしてまたしてもほとんどの患者に奇跡的な効果が表れた。
みな普通の人間にもどったのだ。

しかし、30年、40年の間、人生が欠落している患者たちは、目覚めた時のタイムラグに
戸惑ってしまうのだった。ある婦人は1920年代から時間が止まっていたのだから。
治療の成功の中で、知能レベルがもともと高いレナードは中心的な役割を担っていくのだが、
普通の男に戻ったレナードは、患者の一人を見舞いにくる女性に恋してしまう。
長年看病してきた母は、戸惑うが、セイヤー医師は、レナードは男ですよ、当然のことでしょう、
と説明する。
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しかし、新薬は副作用も伴うし、効果も安定していない。まだ治験のれべるだったのだ。やがて
レナードにけいれん発作の副作用が出て、薬が効かなくなるようになったきた。またもとの
レナードに戻りかけていた。入院患者に悪いのは医師だ、とかのアジ演説をしたり、情緒が
不安定になってきた。ひそかに恋心を抱いていた女性にも、自ら、これが最後だよ、と
いって自分から別れを告げる。女性は、けいれんで震える彼の手を取り、食堂でダンスを
踊って上がるのだった。その時だけ、レナードのけいれんも収まるのだった。
鉄格子の入った窓から、去っていく女性を見送るレナード。その顔には涙。周りも見ていられ
ない状況だった。

結局、薬でいったん目覚めた患者たちも、レナードと同じように元に戻ってしまった。セイヤー
医師は、自分の取った治療が、彼らにとって本当に幸せだったのか、自らに問う。
しかし、彼は患者たちの自分を取り戻してあげたいという医師としての愛情の発露を実現した
にすぎない。彼自身、レナードから、看護師のエレノアが、セイヤー医師は優しい人だと
言っていた、と聞き、自らの内なる愛情に気が付き、(エレノアはとっくにセイヤーを見る目つきは変わっていたのだが)、エレノアの元に駆けつけ、「今晩約束がなければ、コーヒーでも、」と
あまり気が利かない言葉をかけるのだった。エレノアの返事は、もちろん「よろこんで」。

セイヤーは、レナードたちの治療を通して、自らの「女性に対する愛情」に気付かされたのだ
った。

批評を読むと、「涙を禁じえなかった」というけど、私はそうでもなかった。とはいえ当然
感動したことは間違いないし、事実の持つ重さに受け止めるものは重かった。
デニーロの難病に取り組む演技は、難しかっただろうに、快演。ロビン・ウィリアムスについては
私としてはこの映画の翌年に撮られた「フィッシャー・キング」のラストの病院での「How
about you?」の合唱シーンの方が泣けましたけど。

しかし、いずれにせよ、とても充実した映画であることは確かです。
この映画の情報は

こちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-01-17 18:00 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)