Once~ワンス・ダブリンの街角で

●「Once ワンス・ダブリンの街角で」
2006 アイルランド Summit Entertainment,Bórd Scannán na hÉireann,87min.
監督・脚本:ジョン・カーニー
出演:グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ、ヒュー・ウオルシュ、ビル・ホドネット他
<2007年度アカデミー賞歌曲賞受賞作品>

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製作日数17日、製作費1800万円、上映時間87分。という掌編だが、見応えというか
聴きごたえは十分。出演している人々は、私はまったく初対面となる。主人公の男性は
アイルランドで人気のグループ「ザ・フレイムス」のフロントマン、グレン・ハンサード、
対する女性にはチェコ出身の歌手マルケタ・イルグロヴァ。歌は上手いはずだ。

ダブリンの空はいつも曇り空。登場人物の心を表わすかのような状況で物語は始まる。
男はダブリンのストリートで穴のあいたギターで自作の歌を唄う。最近振られたばかりだ。
そんな心境を歌にして歌うのだ。そこに聴きに来た、花売りの若い女性。彼女はチェコ移民で
母親と娘と住んでいる。彼女の楽しみは楽器店の昼休みに店員の理解で引かせてもらうピアノ。そのうまさに、男は自分の歌を一緒に歌ってもらう。
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男にはいずれロンドンに出て、自作の曲をヒットさせ別れて行った女性を見返してやることだ
った。女性と男に淡い恋心が生まれたように見える。男は家業の電気修理店を手伝いながら
ストリートミュージシャンとして、夢を抱いて生きている。やがて、自分はロンドンに行き、
メジャーデビューにチャレンジすることを決心する。女性に一緒にくるか、と聞くが、彼女は
いい返事をしない。男はストリートミュージシャンの仲間と、デモテープの制作に乗り出す。
女性はバックでピアノとボーカルを担当した。徹夜作業で、ミキサーの男性の理解も得て、
完成させる。なかなかいい曲が出来上がった。

女性は、実はチェコに残してきた夫がいる、と告白。最初家にいたのは妹、と紹介したが、
実は自分の娘であることも。夫をチェコから呼び寄せてやり直したいとも。

男は父親に背中を押されてロンドンに向かう。後から女性が来るのでは・・・と淡い期待は
あったけれど。彼はいつも女性がピアノを弾いていた楽器店で彼女へピアノをプレゼント
していった。女性の夫もチェコからやってきて娘と母親と4人の暮らしが始まった・・・
そして男は夢をおってロンドンへ・・・・。

二人が結ばれればいい、とみている人は思うだろう。歌がヒットしてお金持ちになれればいいと
思うだろう。しかし、この映画で、そうしてしまうと、至極当たり前の映画になってしまうような
気がする。淡い恋、そして見果てぬ夢へのあこがれ、現実は厳しいが、夢を夢としておいて
置くことがこの映画の目的だったはず。最後に男を振った女に男が電話して今からロンドンへ
いく、と告げると、待ってる、早く来てね、というセリフにカタルシスを覚える。それで充分では
ないか。結局、男も女性も、元の幸せへと戻って行ったわけだ。

劇中の歌が、男と女性のセリフのように使われている。これらの歌が、何気にいいんですよね。
なかでも、女性のピアノに初めて合わせて歌った「Falling Slowly」は、アカデミー賞の
歌曲賞を獲得している。歌の間はほとんど1カットで回しっぱなしだ。奇をてらわない自然体の
映画だが、それがまた、飾らない感動をドキュメンタリーのように与えてくれる。
しみじみ系のいい映画でした。
この映画の情報は

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まで。
by jazzyoba0083 | 2009-01-18 15:40 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)