マイティ・ハート 愛と絆/ A Mighty Heart

●「マイティ・ハート/ 愛と絆 A Mighty Heart」
2007 アメリカ Paramount Vantage,Plan B Entertainment,Revolution Films,
108min.
原作:マリアンヌ・パール『マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パールの勇気ある生と死』
監督:マイケル・ウィンターボトム
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、アーチー・パンジャビ、イルファン・カーン他
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2003年1月、パキスタンでアメリカのウオール・ストリート・ジャーナル(WSJ)記者、
ダニエル・パール氏が誘拐され、惨殺された事件は日本でも当時相当話題になったことを
覚えている。ビデオに映っていた彼の処刑シーンは衝撃的(見たわけではないが)だった。

この映画は、同じジャーナリストの妻マリアンヌが夫の勇気あるジャーナリストしての人生を
書いたノンフィクションを映画化したもので、実話であるから、パール氏に対する当時の
パウエル国務長官やムシャラフ大統領のコメントも実写で出てくる。

映画は、パキスタンのカラチの街の姿のカットバックを挟みながら、淡々と進む。変化に
乏しい画面構成だが、ドキュメンタリー風だからそういうものか。9:11以降のアフガンと
アメリカの攻撃の始まり、タリバンの駆逐とムジャヒディンのパキスタンへの逃走、そして
パキスタンのイスラム原理主義者とタリバン、アルカイーダが組んで仕掛けるテロ。
そんな現状を取材に来たパール夫妻。夫のパール氏は聖戦派のイスラム教の師に会える
アレンジが成立し、わざわざアメリカ領事館にそうした取材での注意を聞いて、出かけた。

妊娠5か月のマリアンヌ夫人、一緒に住むインド系のWSJ記者アスラ、らが心配するなか
出かけた夫だったが、連絡を断った。後ほど、グアンタナモ基地に捕らえられているムジャヒ
ディンの解放を条件にした連絡が入ったが、アメリカは要求を飲まない。
しかし領事を筆頭に、CIA、FBI、パキスタン情報部などの国の威信をかけた捜査が始まる。
かなりイリーガルな捜査で、黒幕オマール他が次々と逮捕されるが、パール氏は、ついに
殺害されてしまう。処刑のビデオが送られてきたのだ。

一旦は悲嘆に暮れるマリアンヌだが、処刑の直前まで勇気ある姿だった夫の生き方に
勇気を貰い、パリに移り、息子アダムを出産し、今もジャーナリストとして活躍しているという。
パール氏殺害の実行犯と見られている犯人は、現在グアンタナモ基地の収容所い収監
されている。ここは最近オバマ大統領の命令で近く閉鎖されることになった。

基本的に、捜査する~誰ぞが逮捕される~警察一行がマリアンヌの自宅に車でやってくる
~家の中で情報が整理される、という構図の繰り返し。だが、事実が持つ重みとマリアンヌを
演じたアンジーの熱演で、平坦さを逃れている。
ただ、108分の中に、アフガンとアメリカ、タリバンやアルカイーダと米国の憎しみの構図、
パキスタンとアフガニスタンの関係、更にパール夫妻のこれにこだわる気持ち、などを
押し込めるのはやはり無理があり、帰結として、薄っぺらい感動に終わってしまっている。
パール氏はなぜ誘拐されたか、の答えは「アメリカ人だから」「WSJ」」が取材した9:11の
実行犯につながる情報をCIAに渡したから?そのあたりもサラリと流しすぎ。

夫を殺されたマリアンヌは気丈にもテレビインタビューに答え、ご主人が殺された今の感想は?
と尋ねられて曰く、「主人が誘拐されている間にも10人が殺害されました。すべてこの国の
人です。・・・」などとパキスタンを恨む気持がないことを表明するのだが、さすが一流の
ジャーナリストは言うことが違うわ、と思ってしまう。実際にこうした取材があったにしても
このシーンは不要だったのでは?勇気ある夫と、夫の勇気を胸に生きていこうと決めた妻の
姿ならば他の映像で表現できたはず。夫を殺されてここまで冷静でいられる女性って?

最後の30分だけみても、映画は理解できちゃう。私が一番感じたのは、繰り返し挿入される
カラチの街の様子、暮らしなどから、パキスタンの貧しさ、それゆえのイスラム原理主義の
浸透し易さなど。すべての世界から貧困が無くなると、もう少し平和になるのかもしれない。
この映画の情報は
こちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-01-28 22:50 | 洋画=ま行 | Comments(0)