シルク SILK

●「シルク SILK」
2007 加/仏/伊/英/日 Rhombus Media,Fandango,and others,109min.
監督:フランソワ・ジラール 原作:アレッサンドロ・バレッコ(『絹』)
出演:マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、役所広司、芦名星、中谷美紀、アルフレッド・モリナ
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『世界的ベストセラー小説を国際プロジェクトで映画化、豪華キャスト競演で描く純愛
ドラマ。美しき妻と、日本で運命的に出会った少女との間で揺れ動く男の姿を静謐かつ
幻想的な映像で綴る。
出演は「ラストデイズ」のマイケル・ピット、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの
キーラ・ナイトレイ、オーディションから大抜擢の新鋭・芦名星。共演に役所広司、
中谷美紀。
 19世紀のフランス。戦争帰りの青年エルヴェは美しいエレーヌと結婚し、幸せの
只中にいた。その頃、彼の住む村では製糸工場が稼働するが、やがて蚕の疫病が
発生してしまう。そこでエルヴェは、世界で最も美しい絹糸を吐く蚕の卵を求め
果てなく遠い極東の国、日本へと赴く役目を任される。
そして辿り着いた日本は幕末の時代。裏で様々な取引をしているという蚕業者・
原十兵衛が治める村へやって来たエルヴェは、十兵衛に妻として仕え絹のように美しい
肌を持つ少女と運命的な出会いを果たす。一瞬にして惹かれ合い、帰国してもなお彼女の
ことが頭から離れないエルヴェ。こうして彼はエレーヌに後ろ髪を引かれつつ、少女に会う
ため再び日本へ向かう。』(allcinema)
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映像は美しい。主人公が訪れる日本が撮影日程の都合上か、毎度冬というのは残念である。
主人公の心情によっては秋とか春とかがあると日本のパートの意味合いも深みを増した
だろうに、と思うが。全編坂本龍一のスローなピアノが流れ、主人公のナレーションが多い
ので、眠くなる。ストーリーとしては面白いのに、情緒に流されすぎたきらいがあると感じた。
ファンタジーとして観るべき映画だろう。

時代背景も産業革命の欧州と幕末の日本といういいところだから、3度目に少女を追って
来日したとき、原十兵衛が、官軍に追われて村をすてて逃げるところあたりをもう少し
丁寧に描いて欲しかった。もともと腹黒い原十兵衛だろうから、何かあるに違いないの
だから。
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製糸工場を再開させて、主人公エルヴェに日本に行かせて質のいい絹を作ることに成功、
金持ちになったバルダビュー(アルフレッド・モリナ)や、原の女から渡された短い日本語
(「戻ってきてくれないと死んでしまう」=これで主人公は無謀な内乱期の日本を周囲の
反対を押し切って訪ねる決心をしてしまうきっかけとなった少女の書付)を
訳してもらったリヨンの娼館の女主人マダム・ブランシュ(中谷美紀=英語上手い)など
魅力ある役柄があるのに、どこかとらえどころのない散漫な話になってしまった。
だた、ラスト、日本の少女から寄せられたとエルヴェが思っていた手紙が、実はエルヴェの
妻エレーヌが、夫が日本で激しく心を奪われた女がいることに気づき、日本の少女からの
手紙と称して自分の言葉をマダムに日本語にしてもらっていたというところは、よかった。
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異国の女に心を奪われた妻が、少女の言葉を借りて、夫に自分の愛がどんなに深ったかを知らしめた、ある意味凄味のあるラブレターであったわけだ。(妻はエルヴェの3度目の訪日が
失敗に終わり絹の製造にも失敗して以来、病を得て、やがて死んでしまうが)

かわいそうなのはエレーヌだったわけだ。(3度目の来日時にエルヴェを案内した少年が
原に殺されのもかわいそうだったが。) 異国の女にうつつを抜かしている夫と、長い留守を
守り、どんどん年老いていく妻、口では愛していると言っても、それはむなしく響くだけだ。
エルヴェは異国の少女も手に出来ず、早くに妻を病に奪われたのは、その罰であり、
「異国の少女はエレーヌだった」と、後から言っても遅すぎだっちゅうの!

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Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2009-02-19 17:38
タイトル : シルク
 『愛は運命に紡がれ、そして永遠となる』  コチラの「シルク」は、アレッサンドロ・バリッコの叙事詩的小説「絹」を国際色豊かに映画化したPG-12指定のエピック・ラブ・ロマンで、1/19公開となったので、早速観て来ちゃいましたぁ〜♪  昨日の「スウィーニー・トッド...... more
by jazzyoba0083 | 2009-02-14 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback(1) | Comments(0)