2009年 02月 16日
華麗なるギャツビー The Great Gatsby
1974 アメリカ Paramount Pictutes,Newdon Productions 144min.
監督:ジャック・クレイトン 脚本:フランシス・フォード・コッポラ 音楽:ネルソン・リドル
原作:F・スコット・フィッツジェラルド
出演:ロバート・レッドフォード、ミア・ファーロー、ブルース・ダーン、カレン・ブラック、サム・ウォーターストン
この映画は、ずっと観たくてWOWOWかNHK-BSでやる日を楽しみに待っていました。で、先日
WOWOWで放映、すかさず鑑賞。このために、村上春樹訳の原作をもう一度読み直しておきました。
コッポラの脚本にネルソン・りドルの音楽、当時絶好調だったロバート・レッドフォードを主役に据えた作品、
しかもオスカーを獲った衣装担当がこれで一躍寵児となったラルフ・ローレン(冒頭のブキャナンの馬上
のポロ姿の登場シーンはあのラルフのワンポイントそのもの)
フィッツジェラルドのジャズ・エイジを表現するロアリングトゥエンティの繁栄と退廃をどう描くか、難しい
だろうなあ、と思ってみましたが、原作になかった点も加えたコッポラの脚本と、全体の美術の仕上がり、
アールデコの家具や小道具など、よく原作を忠実に再現できていたと思いました。
作品が出版されたのは1925年のこと。
原作に比してだいぶ端折らなくてはならなかったわけだが、キモとなる部分はしっかり押さえてあるから
不自然さは感じない。時代の雰囲気「ジャズ」「フラッパー」など良く映像化されていた。
キャスティングも、良かったんじゃないでしょうか?ミア・ファーローをとやかく言う人がいるが、フラッパー
ジェネレーションの感じって、古臭い美人の方がいいと思うんですよ。
唯一不自然だったのは、トムが金のない証券マンといいつつ、身に付けている服がいいものなんですよね。
『1922年のアメリカ。中西部出身のニック・キャラウェイは、イェール大学を卒業後ほどなくして戦争に
従軍し、休戦ののち故郷へと帰ってきた。しかしそこに孤独感を覚えた彼は証券会社で働くことを口実に、
ニューヨーク郊外のロング・アイランドにある高級住宅地ウェスト・エッグへと引っ越してくる。
隣の大邸宅に住んでいる人物は毎夜豪華なパーティーを開いている。青みを帯びた庭園には男たちや
女たちが蛾のように集まって、ささやきやシャンパンや星明かりの下を行き交った。その屋敷の主が
ジェイ・ギャツビーという人物であると知り、興味を持つ。ある日、ニックはギャツビーのパーティーに招か
れる。しかし、そのパーティーの参加者のほとんどがギャツビーについて正確なことを知らず、彼の過去に
関して悪意を含んだ噂ばかりを耳にする。やがてニックはギャツビーが5年もの間胸に秘めていたある
野望を知ることになる…』(Wikipedia)
ニック(ギャツビーからはOld Sprotと呼ばれる)は、デイジーの従姉弟であり、金持ちで社交界の花で
あった。実はギャツビーとデイジーは8年前に会っていて、それ以来ギャツビーはデイジーを思い続けて
きた。当時軍隊に入り、欧州に転戦したギャツビーは、中佐になり、モンテネグロなんていう国から勲章を
貰ったりしていた。退役将校の役得で、オックスフォードに学ぶこともできた。そしてアメリカに帰り、
事業を起こし(本人はドラッグストアとか手広く商売をしている、というが、密造酒で儲けているのではないか
という噂は絶えなかった)それらもすべて、いつの日か出会えるデイジーのためであった。
一方のデイジーはギャツビーが欧州にいる間に、富豪トム・ブキャナン(ニックの大学の同窓生)と出会い、
結婚、娘が一人いた。そんな状況のなかで、ロングアイランドの金持ちが住むイーストエッグで、二人は
出会う。デイジーの夫トムはガソリンスタンドの経営者の妻と浮気をし、ギャツビーは、トムと別れて
自分と結婚するようにデイジーに迫る。
ある熱い夏の日、ニューヨークに出かけた一行、ギャツビーのクルマを運転して帰宅しようとしたデイジーは
ガソリンスタンドの前で、自分の旦那の愛人をそうとは知らず、撥ねて死亡させてしまう。
旦那は復讐を誓い、トム・ブキャナンの元を訪れる。そこで、ブキャナンは、はねたのはギャツビーである、と
と告げるのだった。旦那は、ギャツビーの家に向い、プールでマットの上で休んでいたギャツビーを射殺、
自分も自殺してしまう。
葬式には、遠方から来たギャツビーの父と、ニックしか参列しなかった。自分からギャツビーへの愛情を
あれだけ口にしていたデイジーは、ついに葬式に現れず、花さえ送って寄こさなかった。
家を新築中で、その間欧州にいた、というのである。ニックは、あれだけギャツビーが心を寄せていた
デイジーのあまりのしぐさに驚き、怒るのだったが、金持ちの浮気症とはそういうものか、と軽蔑するのだ
った。デイジーはかつてギャツビーが兵士だったころ、結婚を考えるまでの間になったのだが。
「金持ちは貧乏人と結婚してはいけないのよね」ということを平気で口にするような俗物だったのだ。
ギャツビーは純真な心を持って、デイジーに夫と別れて自分と一緒になるように、告白するのだが、
今は金持ちだが、正体は判らないギャツビーより、夫の安定した財産から離れられないのだった。
結局デイジーという俗物に振り回されたギャツビー。その背景が虚栄と敗退、金持と貧乏、という時代
を捉えて描かれていく。ラスト、何事もなかったかのように、トニーとの再会の場から子供と旦那とともに
去っていくデイジーに、ギャツビーの悲しさがオーバーラップするのだった。
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