救命士  Bringing out of the dead

●「救命士 Bringing out of the dead」
1999 アメリカ Paramount Pictures,Touchstone Pictures,121min.
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ニコラス・ケイジ、パトリシア・アークエット、ジョン・グッドマン、ヴィング・レイムス、トム・サイズモア他
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スコセッシらしいといえば、そういうことかな。いつもどおり血は一杯出てくるし。邦題からして救命救急士
の活躍を描いた「守護神」のような映画か、と思ったけど、この時期のスコセッシが単純なヒーローもの
を撮るわけないものな。

ニコラス・ケイジは、NYの救急車に乗り込む救命士。ひどい事件や事故の現場ばかりで、夜昼なしでの
出動で、精神的には相当参っている。父がバスの運転手で母が看護士、それで救急車の救命士、という
のには笑った。
主人公のフランクはバツいちで、救命士になって5年経つのだが、過去に救えるはずだった少女を救え
なかったことがトラウマとなっていて、このところ一つの命も救えていない、と自分を苛むのだった。
いつも現場に着けば「心肺停止」。死亡宣告をするばかり。
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そんなある日、1人の初老の男性が心臓発作で倒れたという電話が入る。急行したフランクと相棒らは
AEDを使ったりして、何とか一命を取り留めることに成功した。当然家族は動転の極み。
特に娘はこの2年間父親と口を利いていない関係で、何とか助かって声を聞きたいとフランクに語るの
だった。そんな病院には、ジャンキーで乱暴モノのノエルという男も運び込まれていた。

映画の中では相棒が3回変わるのだが、いずれも味のある配役で、なかなか良かった。みんなぎりぎり
のところでNYと対峙している。辞めたい辞めたいという奴や、テンション上がりっぱなしで、ひどい現場を
好み、救急車を横転させてしまう奴とか。それにしても、あっちの救命士は酒を飲んで運転するのかよ!
考えられないな。
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作品では、最初に出てきたメアリー(パトリシア・アークエット=N・ケイジの元妻)との不思議は心の
交流(二人ともとても疲れているんだが)、ジャンキー、ノエルの顛末、そして救命士の相棒、
さらに、AEDで11回も蘇生したが、せっかくICUに入れたのに「殺してくれ」というメアリーの父親、
加えて、ノエルらに覚醒剤を売る売人の内輪もめなど、大都会の孤独をスコセッシ調で描いていく。
救急車の行き交う映像や、運転士目戦の映像の高速撮影などは、いかにもスコセッシだ。
全体にダークで、フランクのトラウマの元になっている少女が最後まで着いて回る。これが幻影なのか
幽霊なのか、よく判らない。フランクが病んでいるのか、超能力があるのか、ま、どうでもいいことなんだ
けど。ストーリーが判りやすい普通の映画(スコセッシで言えば「アビエイター」」とか「デパーテッド」)が
好きなのでこの手のいささか判りにくい映画はちょっと苦手。なんかブルースを聞いているような雰囲気
の作品だと思った。冒頭付近で「自分は命を救う神だ」とか言っていたフランクもNYの酷い状態の中で、
そんな気持ちは吹き飛び、現実に引き戻されるという残酷・・・。
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それにしても、目の周りを赤くして、酷く疲れ、ひげの濃いニコラス・ケイジは、味わいタップリ。
こういう役は嵌りますね。
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by jazzyoba0083 | 2009-03-04 22:10 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)