燃えつきるまで  Mrs. Soffel

●「燃えつきるまで Mrs.Soffel」
1984 アメリカ MGM Pictures,United Artists,113min.
監督:ジリアン・アームストロング
出演:ダイアン・キートン、メル・ギブソン、マシュー・モィデーン、エドワード・ハーマンほか。
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『1901年のピッツバーグ。刑務所長である夫ピーター・ソッフルと4人の子供たちと暮らす、信仰心厚い
女性ケイトは、善意で囚人たちのために聖書を読み聴かせていた。
ある日、強盗殺人の罪で死刑宣告を受けたエドとジャックのビドゥル兄弟が刑務所に送りこまれる。
ケイトはエドと惹かれ合うようになり、死刑執行が迫った兄弟の脱獄に手を貸してしまう・・・』
(Wikipedia)

これは実際にあったお話。せっかくダイアン・キートンを配しておきながら、信仰心厚い女性が、「女」と
しての恋に目覚め、刑務所長夫人としての抑圧された暮らしの中で、いったん弾けてしまったら、
4人の子供も捨てて、相手が脱獄囚であろうが、逃避行を演じ、ついには、最愛の人の銃で撃たれて
死のうとまでする、という激しい話が、ずいぶん薄くなってしまった感じがした。
4人の子供さえ捨てて、という気迫が(囚人を愛してしまったという)伝わってこないんだな。無実の罪で
収監されたエド(メル・ギブソン)とジャックの、犯行は何だったのか。長女が夫人に、彼らは無罪なんだよ、
犯人は別にいるんだよ、と名前まであげて町の噂を言うのに、夫人の、彼らの無罪を立証してあげようと
いう行動(少しはするが)が無いんだよなあ。すぐにあきらめて脱走へと突っ走るんだね。

聖書を読み聞かせるうちに、自分でも詩を書く兄のエドと鉄格子越しに愛を通わせるようになた夫人は、
刑の執行が近いことを知り、兄弟に鉄ノコを密かに渡す。彼らは、それで鉄格子をまんまと切断し、
脱獄。夫人も付いていく。最初は脱獄囚に拉致されたか、と思われたが、すぐに夫人が脱獄を手引きし
たと判明、長女は、ママは帰らない方がいいいわ、死ぬべきだわ、と、なかなか厳しいことをいう。

カナダに向かって逃げた一行を、すぐに捜索隊が追いかける。兄弟と夫人は、ある老夫婦の家に泊めて
貰い歓迎されるが、孫が、泊まっている一行は、脱獄したビドル兄弟だよ、と祖父母に教える。
あわてて逃げだし、追っ手に知らせる二人。
追手が迫ったことをしった一行はすぐに逃げ出すが、(雪中なので馬ソリ)、多勢に無勢、たちまち取り
囲まれる。兄のエドは一発喰らう。夫人はもはやこれまで、と覚悟し、エドに殺して、と頼む。
無理だ、と断るエドだったが、絶望の中で彼は引き金を引く。そして、林の中に逃げだした兄弟も、すぐに
銃の餌食となってしまったのだった。

だが、夫人は生きてた。そして罪に問われ、かつては自分が聖書を読み聞かせていた囚人のいた監獄に
収監される身に。きっと夫人は死んでいたかったろう。生きて恥を晒したくなかったろう。でも生きた。
自殺を禁止している聖書の教えに反して自殺しようとした夫人の、エドを思う気持ちがいかにつよかったか。
そして、収監されても、もはや死のうとは思わない夫人の気持は、エドとジャックの分も生きようと、
割りきったのだろうか・・・。牢獄の夫人がその後どうなったかは映画の中では描かれない。
ビドル兄弟が無実であることが、町の中でもかなりの噂であったにも関わらず、なんの手も下されなかっ
たことに割り切れなさを感じる。それが、この映画も割りきれないものにしているようだ。
兄は悪いのはおれで、弟は悪くない、というが、それじゃ、一緒に死んじゃった弟こそ可愛そうじゃない?

因みにThe New York Times Archivesによれば、脱獄事件が起きたのは1902年の1月30日。
ビドル兄弟が死亡し、夫人が捕まったのが2日後。夫人は2年の刑を言い渡され、出所後はこの事件が
"Desperate Chance" (命がけのチャンス)という劇になったという。そして1909年の8月31日、
腸チフスで亡くなったという。
この映画の情報はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-03-21 22:30 | 洋画=ま行 | Comments(0)