再会の街で Reign Over Me

●「再会の街で Reign Over Me」
2007 アメリカ Columbia Pictures,Madison 23,Greentrees Films,124min.
監督:マイク・バインダー
出演:アダム・サンドラー、ドン・チードル、ジェイダ・ピンケット=スミス、リヴ・タイラー、サフロン・バロウズ
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9:11の被害者とその周辺の人々を、苦悩と暖かさをもって描くハートフルドラマ。けっこう気に
いって観させていただきました。PTSDの患者に対する振る舞いに、いささかの反論もあるの
ですが、ドラマとしてはまずまずまとまっていたと思います。ただし、やや深みに欠ける点は
惜しいところです。

登場人物は、9:11でWTCに2回目に突っ込んだ飛行機に妻と3人の娘と愛犬が
乗っていて、家族が一瞬にして殺されてしまった歯科医師チャーリー・ファインマン
(A・サンドラー)。彼は事件以降、典型的なPTSDとなり、人と接することをせず、記憶を遮断し、
引きこもりの生活を続ける。彼には政府からの補償金や保険金を管理する会計士シュガーマンが
ついて金の世話だけは焼いていた。それとマンションの管理人のおばさんも少ない理解者である。

ファインマンの歯科医大時代のルームメイトで、マンハッタンで歯科医院を開業している
アラン・ジョンソン(D・チードル)。彼は妻ジャニーンと娘がいて不自由のない生活を送っている。
受付の辛口のお姉さんがいい味出してます。彼は数人の医者村のリーダー的な存在だが、
最近は、他の医者からうとまれている様な気がしていて、穏やかでない。
ある日、精神的に変な女性ドナが現われ、性的な関係を強要する、断ると訴えるという。
そんな女にも悩まされていた。
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ある日、NYの街の中をクルマで移動中、チャーリーの姿を見かける。あの事件以来、
彼の行方は判らなくなっていたので、とても気になるのだった。彼らは、再び出会うことになる。
声を掛けると、何とチャーリーはアランを覚えていないという。そして、過去のことに触れようと
すると、粗暴になるのだった。
いつもiPodにBoseのノイズキャンセラーヘッドフォンをして、外界から自分を遮断していた。

何とか、食事をしたり、自分の医院に連れてきたりして、心を開かそうとするが、自分のことは
絶対に話さないし、触れられることを酷く嫌うのだった。そして、自分には家族はいない、と
言い張るのだ。
自分の親友を何とか元に戻してあげたい、と願うアダムは、彼のわがままに付き合い夜遊びを
したり、チャーリーのマンションで一緒にテレビゲームをしたりして、心を開いてもらおうと
彼なりに努力を重ねた。
しかし、素人には限度がある。チャーリーのことにかまけて家のこと妻のことを疎かにしがちに
なり妻とのすれ違いが目立ち始めていた。

アダムは、同じビルの中で開業する若い女性セラピスト、アンジェラ(L・タイラー)に、彼の
相談を持ち掛ける。そして、チャーリーにも、君には一度医者に観てもらう必要があるよ、と説得、
何とか彼女のセラピーを受けるようにはなる。しかし、チャーリーは彼女に心を開かず、若い
アンジェラも彼の過去を強引に聞き出そうとするので、少しも治療にならない。

本作を見ている人は、アダムもアンジェラもPTSDの患者に対して、性急過ぎると思うだろう。
もう少し時間をかけて、やるべきだと。6年間かかって閉じられた扉は、そう簡単には開かない
ものだ。観ていると、チャーリーの行動にいらつくこともあるが、これは一家4人を一度に失って
しまった事実にもう一度想いを致せば、誰も責められないことが判るだろう。

ある日、アンジェラの治療を終えたチャーリーは付き添って来ていたアダムのそばで、自分の
家族のことを独り言のように語り始めた。好転するのか、と思われたが、彼は部屋から銃を
持ち出し、カフェで警察が休んでいることを確認しておいて、横断歩道で立ち止まりタクシーを
止め、文句を言いに降りて来た運転手に銃を(弾は入ってない)向け、それに気がついた警官に
取り押さえられ逮捕されてしまう。

9:11の遺族に警官が暴行した、ということがバレルとまずい警察は、彼を特別に不問に付し、
ただし、彼を病院に入れるかどうかの審査会が開かれることになった。

どう見てもチャーリーは病院に入った方がいい状況だった。若い検察官は、チャーリーの
亡くなった奥さんの両親に、かつての写真を見せ、それをまたチャーリーにも見えるようにしたり、
遺族の気持ちをまったく理解しない質問ばかりして、チャーリーを苦しめた。
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法廷で怒号が飛び交う状態に裁判長は双方の弁護士と妻の両親を休憩中に自室に呼び、この
問題は大変に深刻だが、法廷の問題というより家族の問題だ、彼の妻だったら、彼を病院に
入れるという行動をとっただろうか、妻の両親はよく話し合って、月曜の朝、どうするか私に
知らせてほしい、と告げた、(裁判長ドナルド・サザーランドはおいしいところだけもっていったなあ)

ところが、チャーリーは、突然引っ越してしまった。唖然とする両親に、しばらく彼を一人にして
おいてくれませんか、月曜に裁判長にそう言ってください、とアダムは頼むのだった。実際は、
アダムが新しいマンションを探してきて、チャーリーを引っ越させたのだ。
少しづつだが、心を開き始めたチャーリーは、自分との時間を増やしてしまい、家族と、特に
妻のジャニーンとの心のすれ違いをきたしてしまっているアダムのことを心配しはじめていた。
そう、ようやくチャーリーは人のことを考えられるようになったのだ。

そんな引っ越し初日に、アダムは、自分の医院に来て性的関係を迫ったドナを連れてきた。
彼女も夫の浮気から心を病んでしまい、歯科医院であんな真似をしてしまったが、あれは
本来ではないとアダムに謝罪してたのだった。そしてチャーリーと同じアンジェラにセラピーを
受けていて、チャーリーはドナが気になっていたし、ドナも同じ心に悩みを抱え寂しい彼に
惹かれたいたのだった。
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宅配のピザとビールが届き、チャーリーとドナは一緒にピザを食べることに。そんな2人を残して
アダムは家に帰ることにしたが、妻に電話し、自分が悪かったと謝った。妻の方も、私こそ、
あなたにもっと早く愛しているわ、というべきだったわとわびたのだった・・・
アダムは、心を閉ざした友を立ち直らす手伝いをしているうちに、自分も再生していったの
だった。

あの事件の後には、こんなような話は、たくさんあったのだろうな、と思う。そして、そうしたことの
2度と無いようにと思う。(こう書くと安っぽくなるけど)
PTSDのチャーリーを演じたアダム・サンドラーの好演が光る一遍であった。
この映画の情報はこちらまで。
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Commented by oguogu at 2012-11-04 11:26 x
TB&コメントさせてもらっちゃいますね~。
サンドラ-良かったですね。
彼のこういった作品を見るのが初めてなのでビックリしましたが、
結構イケテルかも・・・。
Commented by jazzyoba0083 at 2012-11-04 16:40
oguoguさん、毎度ありがとうございます!3年半前の鑑賞なので大分記憶が薄れてますが(^^ゞ 読み直すと思い出し、アランは良かったなあと思います。その後見てないかも・・
(⌒-⌒; )
by jazzyoba0083 | 2009-03-28 23:20 | 洋画=さ行 | Trackback(3) | Comments(2)