2017年 04月 02日 ( 1 )

●「64ーロクヨンー」
2016 日本 東宝 「ロクヨン製作委員会(TBS系)」前編:121分 後編:119分
監督・(共同)脚本:瀬々敬久  原作:横山秀夫『64(ロクヨン)』
出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、三浦友和、永瀬正敏、吉岡秀隆、夏川結衣、窪田正孝、瑛太、滝藤賢一、
仲村トオル、奥田瑛二、坂口健太郎、小澤征悦、筒井康隆、鶴田真由、赤井英和、烏丸せつこ、芳根京子、他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

今年発表された第40回日本アカデミー賞の作品賞は、最優秀を獲った「シン・ゴジラ」ほか、秀作が並び
本作にとっていささか不幸だった。そのくらい力のある映画だった。ピエール瀧を主人公に据えたNHKテレビの
ドラマに触発され、原作も読了、ある意味既視感のある映画では有ったが、そんなことを差し引いても魅力ある
作品に仕上がった。テレビも原作に忠実だったが、映画は前後編に分けて長くした分、更に原作の良さに肉薄
した。原作に忠実なのが映画として良いわけでは必ずしも無いのだが、本作は、原作の良い点を映画作品として
極めて上手く抽出し得ている。秀作といえるだろう。

ただ、惜しむらくは、同期にして今は人事部にいる仲村トオルとの関係がもう少し描けると個人的には嬉しかった
かな。原作には既にOBとなった刑事のところにいく箇所があったんじゃなかったか?そこはカットされていたか。

たった7日間しかなかった昭和64年にD県で発生した幼児誘拐殺人事件。時効まであと1年という舞台。
多層的な物語が、実に巧妙にラストに向けて修練していく。1つ1つのプロットが全て何か他のプロットに
繋がっていて、前後編ともずっと緊張の糸は途切れない。テレビや原作を読んでいてストーリーは分かっている
はずなのだが、演技陣のちからの入った芝居にぐいぐいと引き込まれていく。

主人公三上夫婦には疾走している娘がいる。三上が異動してきた広報室では記者クラブとのトラブルがある、
そして、ロクヨンの裏に隠された「幸田メモ」とそれに関わった若い吏員の悲劇と、県警の隠蔽体質、
さらに言えば、警察と言えども特にキャリアは地方警察など腰掛け程度にしか考えず、何事もなく1~2年を
やり過ごせればいいという事なけれ主義、ロクヨンの被害者の父の執念と怨念、それらがないまぜになりつつ
14年目にしてロクヨンは解決の方向に向かっていく。県警の偉い人は決して解決などして欲しくなく、
時効になってしまったほうがいいと思っているに違いないのだ。

ラスト、三上、被害者父の雨宮、真犯人の目崎、誘拐事件のとき犯人の電話録音を失敗した日吉と幸田の二人、
それぞれが、あの昭和64年に閉じ込められた人生から解き放たれたありさまが迫力を持って迫り、この
物語の本質がここにあったのだ、ということがよく理解できる終わり方となっている。
また三上の主戦場たる県警広報室の様子も、よく取材されていて、実際を知っている身としてもよく描けて
いると思った。これでもか、と出て来るオールスターについては、これでダメなら日本映画はダメしょう。
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<ストーリー>
人気作家・横山秀夫の傑作ミステリー巨編を佐藤浩市をはじめとする実力派キャストの豪華共演で映画化した
ミステリー・ドラマ。本作は前後編2部作の前編。時効まで1年と迫る未解決の少女誘拐殺人事件、
通称“ロクヨン”を抱えるとある県警を舞台に、ロクヨンを模した新たな誘拐事件の発生で混乱が広がる中、
刑事部から警務部の広報に異動になったばかりのベテラン警察官が、記者クラブとの軋轢や警察組織内部に
渦巻くいくつもの対立構造に振り回され、四面楚歌となりながらも、広報官としてギリギリのマスコミ対応に
奔走していくさまをスリリングに描き出す。
監督は「ヘヴンズ ストーリー」「ストレイヤーズ・クロニクル」の瀬々敬久。

 わずか7日間でその幕を閉じた昭和64年。その間に管内で発生した少女誘拐殺人事件。いまも未解決の
その事件を県警内部では“ロクヨン”と呼んでいた。刑事部で長く活躍しロクヨンの捜査にも関わったベテラン
刑事の三上義信。私生活では高校生の娘が家出失踪中という大きな問題に直面していた彼だったが、この春から
警務部の広報室に異動となり、戸惑いつつも広報室の改革に意欲を見せていた。

折しも県警ではロクヨンの時効まで1年と迫る中、警察庁長官の視察が計画される。そこで、長官と被害者の父親・
雨宮芳男との面会を調整するよう命じられた三上だったが、なかなか雨宮の了承を得られず困惑する。
そんな中、ある交通事故での匿名発表が記者クラブの猛烈な反発を招き、長官の視察が実現できるかも不透明な
状況に陥ってしまう。自らもなかなか捜査情報を得られず、県警と記者クラブの板挟みで窮地立たされた上、
刑事部と警務部、あるいは本庁と県警それぞれの思惑が複雑に絡み合った対立の渦にも巻き込まれていく三上は、
それでも懸命に事態の収拾に奔走するのだったが…。(allcinema 前編)

 平成14年12月。時効まであと1年と迫った“ロクヨン”の捜査員激励と被害者家族・雨宮の慰問を目的とした
警察庁長官の視察が翌日に迫る中、管内で新たな誘拐事件が発生する。しかも犯人は“ロクヨン”と同じように
身代金2000万円をスーツケースに入れ、父親が一人で運転する車で運ぶよう要求する。
事件の性質上、広報室の三上は記者クラブと報道協定を結ぶ必要に迫られるが、肝心の捜査情報はほとんど提供されず、
記者たちは一斉に反発、各社が独自に動き出しかねない危険な状況に。
そんな中、一向に情報が出てこないことに自らも業を煮やした三上は、ロクヨン捜査にも関わった刑事部時代の上司・
松岡が指揮を執る捜査車両に単身乗り込んでいくのだったが…。(allcinema 後編)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354941#1こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-04-02 23:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)