2017年 06月 01日 ( 1 )

サウスポー Southpaw

●「サウスポー Southpaw」
2015 アメリカ Escape Artists and more.124min.
監督:アントワーン・フークア
出演:ジェイク・ギレンホール、フォレスト・ウィッテカー、レイチェル・マクアダムズ、
   ナオミ・ハリス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

割りと表面的な描き方ではあるが、ジェイク・ギレンホールら配役の演技により
また、ボクシングシーンの見事な描写により、一級の映画になっている。

本作を観ていて、「目標」という言葉が思い浮かんだ。施設育ちからボクシングの
世界で3つの団体でのライトヘビー級チャンプとなった英雄ビリー・ホープ(ジェイク)。
腕っ節一本でのし上がったこの男は攻める人生しか歩んでこず、それで成功してきた
ため、ボクシングでも人生でも天才肌ではあるが「無手勝流」でガードということを
しない。それがこの映画の根本である。栄光に包まれたこの男の人生に暗転が
訪れた時、「守る」ということを学ぶのだろうか、その過程がエンディングに向けて
描かれていくのだ。息を飲むようなストーリーでも、驚愕の結末でもないが、
一人の男の人生の「取り舵いっぱい」は、なかなか感動的ではある。


地位も名誉も、カネも、そして同じ施設で育った美しい妻も、可愛い娘も手に
入れたビリー。冒頭で描かれる試合でも逆転勝利し、最強伝説は継続していた。
そして、勝利の後、自分と妻が育った施設への寄付を求めるチャリティパーティーで
自ら次回の対戦相手と名乗り出たジョーダンとその取り巻きから、挑発を受け
喧嘩となり、誰かが銃を撃ち、その流れ弾が妻に当たり妻はその場で亡くなって
しまう。

ビリーの喪失感は大きく、生活は荒れる。喧嘩をしたことなどから1年間の試合
停止となり、たちまちカネも無くなり、トレーナーやプロモーターたちも離れて
いってしまう。そのために娘からも離されてしまい、更生プログラムの実施を
命じられる。

そんな彼を救ったのが街のボクシングジムトレーナー、ティック(ウィテカー)
だった。ビリーの、人生は「自制」すること、「守ること」「目標を持って
努力すること」を欠いたまま突っ走ってきた。ティックは、ジムで雇うことに
より、ビリーの考え方を少しずつ変えていった。娘と離されたことで、ビリー
自身も考え方を変えていく。

そして1年後、ラスベガスで、あの挑発したジョーダン(今はチャンピオンに
なっていた)との試合が組まれることになった。ビリーは、ティックを
トレーナーに、独自の方法でサウスポーにスタイルを変え、ボクシングも
良くガードもするものに変化させていった。そして試合当日。
真面目な更生プログラムに対する姿勢が評価され、娘との同居を認められた
ため、娘も控室で父の闘いを見つめる。試合は怨恨も入り、壮絶な殴り合いに
なる。ジョーダンは試合中にも挑発してくるが、ビリーは自分を押さえられる
ようになっていた。最終12ラウンドで、決定的なダウンを奪うビリーだったが、
カウント中に試合終了となり、結果は判定となった。結果は2-1でビリーの
勝利だった。会場は帰ってきた強いチャンプに沸き返り、コーナーにかがんだ
ビリーは亡き妻に感謝と報告をし、控室で娘としっかり抱き合ったのだった。
ビリーの人生は、いま始まったのかもしれない。

以上のような話で、難しいところは何もない。半年かけて体を絞った
ギレンホールのボクシングシーンは非常にリアルで、本物の試合を観ているか
のようだ。いや演出されているので本物より迫力があるようにみえる。
また映画全体としてもテンポが良いので2時間超えの映画だという感じは
まったく受けなかった。妻マクアダムズ、ウィテカー、そして娘を支える
司法団体の女性に、「ムーンライト」で主人公のジャンキーの母親を好演した
ナオミ・ハリスが配される。ストーリーの主だった登場人物は少ないものの
非常に締まった演技陣で、これに支えられ、深い味わいのある映画となった。

監督は、フィルモグラフィーを観てみれば、私が好きな「ザ・シューター/
極大射程」「トレーニング・デイ」「イコライザー」などの作品を
手がけたアントワーン・フークワであった。
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<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:60% Audience Score:76%>



by jazzyoba0083 | 2017-06-01 23:15 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)