2017年 07月 06日 ( 1 )

●「帰ってきたヒトラー Er ist wieder da」
2016 ドイツ Mythos Film. 116min.
監督・(共同)脚本:ダーヴィト・ヴネント 原作:ティムール・ヴェルメシュ
出演:オリヴァー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ、クリストフ・マリア・ヘルプスト他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

原作のアイデアがいいのだろうけど、映像化に成功していて大変面白く観た。
まさに今の時代今の欧州に相応しいというか、見せたい映画だ。
ヒトラーを扱った映画は多いし、本作にもそれのオマージュと思しきカットも
出て来るが、どれも彼が生きた時代での作品だったのに対し、こちらは、この
危険極まりない男が現代のドイツにタイムスリップしてきたという設定。
アイデア自体はおそらく過去にもあったと思うのだが、ドイツにあって彼を正面
から肯定的に取り扱うことは禁忌であるので、コメディという形にしたのだろうけど、
メルケル首相をおちょくったりで、よくやったと思う。

周辺は、そっくりさん芸人と信じて人気ものに仕立て上げるのだが、本人は
極めて真面目に対応していて、本物のヒトラーがこの映画のようはヤワな事を
終始言っているはずはないと思うが、結構的を得たことを言うのだ。まさに
今欧州が抱えている移民問題とか、ヒトラーの口を借りて右傾化し、排他的に
なり、不寛容な世情を批判してみせる。だから本作でのヒトラーは「ユダヤを
根絶やしにせよ」とかは言わない。それと彼は21世紀の科学の進化に結構ついて
来るのだな。

テレビに引っ張りだこになるヒトラー、検察がテレビ局に匿名で扇動罪での
告発があったと乗り込んでくるのだが、検事がヒトラーのファンだったりして
「番組は続けて良い、捜査は形式だけだからね」と帰ってしまう。
調子に乗ったヒトラーだが、犬を殺したことから非難を浴び(これもなんだか
暗喩的ではある)テレビ界から追放されるが、これを機に本を書く。
「帰ってきたヒトラー」はベストセラーになり、またまたもてはやされる。
映画化もされる。しかし、ネオナチに殴られ重傷を負ってしまう。

しかし、彼を発見して売り込んだ冴えないテレビディレクターは、最初に彼が
写っていたビデオを詳しく調べ、またその場所に言ってみると、彼が本物と
しか思えず、プロデューサーらに訴えるが、信じてもらえない。

ラストのディレクターがヒトラーを屋上に追い詰めて、「生かしておくわけ
にはいかない」と銃をで撃つところで、そのシーンは映画だったと明かされ、
ディレクターは精神病院に入れられてしまう。ここも暗喩的だ。

最後に欧州で吹き荒れる移民排斥、極右の台頭、などの本物の映像が流される。

「本物」とされるヒトラーがいい人過ぎるので、いささかの違和感を覚えるが
ストーリー構成の巧みさはお見事である。人の愚かさ、といったものが浮かび
上がってくる。

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<ストーリー>
現代にタイムスリップしたヒトラーがモノマネ芸人としてテレビで人気に
なっていくさまを描き、話題を呼んだ小説を映画化したコメディ。
リアリティを追求するため、無名の舞台俳優オリヴァー・マスッチが
ヒトラー役に選ばれたほか、実在の政治家や有名人、ネオナチと顔をあわせる
など、アドリブシーンを交えて物語が展開する。

ヒトラーの姿をした男(オリヴァー・マスッチ)が突如街に現れる。
リストラされたテレビマンに発掘された男は、復帰の足掛かりにテレビに
出演させられる。男は長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、
視聴者の度肝を抜く。自信に満ちた演説はかつてのヒトラーを模した
完成度の高い芸と見做され、過激な毒演はユーモラスでありながら真理を
ついていると評判を呼び、男は一躍人気者に。しかし、彼はタイムスリップ
してきた本物のヒトラーだった。
そして天才扇動者である彼にとって、現代のネット社会は願ってもない
環境だった……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: --- Audience Score:81%>



by jazzyoba0083 | 2017-07-06 22:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)