2017年 07月 10日 ( 1 )

●「ひつじ村の兄弟 Rams (Hrútar)」
2015 アイスランド・デンマーク・ノルウェイ・ポーランド 93min.
監督・(共同)脚本:グリームル・ハゥコーナルソン
出演:ジグルズル・シグルヨンソン、テオドール・ユーリウソン他
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<評価>★★★★★★★★☆☆>
<感想>

40年間に渡って口も聞かない疎遠な老兄弟が、ヒツジの危機をきっかけに
凍っていた心を溶かす、というドラマ。
何せ、見たことのない設定の中で繰り広げられるので、兄弟の愛憎劇は
ありきたりな感じではあるが、アイスランドの牧羊という珍しい環境が
物語性に新鮮味を与えていた。

また、牧羊には詳しくないので、ヒツジにも、口蹄疫とか鳥インフルの
ような全頭殺処分になるような感染症があることも初めて知った。

個人的には、あれほど憎しみ合っていた兄弟が、弟が隠し持っていた
ヒツジのことであっけなく和解してしまうのは、それまでの「振り」が
過激であったので、やや単純さを感じた。でも、はやり血は水よりも濃し、と
いうことでなのであろう。飲んだくれで凍死寸前の兄をパワーショベルで
病院に運ぶシーンは、いくら喧嘩をしていてもどこか家族の気配を感じる。

ラストシーン、あれ!という感じの幕切れだったが、このエンドこそ、
ヒツジで結ばれた家族、兄弟の姿であったとの象徴なのだろう。
15頭ほどのヒツジの行方も、かまくらの中で抱き合っている二人の生死
についても触れられない。
大雪の中でヒツジを隠すため高山に登る兄弟が夜中に遭難し、雪の中に
穴を掘り、裸になって抱き合って温め合うというシーン。かまくらの
中は衣服を付けているより裸になったほうが温まるものなのかな。

淡々と進む中に起承転結がはっきりと提示されていて分かりやすかった。
ただ大衆受けする映画ではないし、明るい映画でもない。人生のある
側面を切って取ったドラマである。いかにもカンヌっぽい作品だ。
ところであのヒツジは羊毛を採るのかラム肉にするのかどっちなんだろう。
調べてみれば、英語原題の「Rams」は種付け用の牡羊の複数形。いわゆる
ラム肉は綴が異なり「Lamb」(1歳未満の子羊)なんだね。
ちなみにSheepはヒツジ一般を表すのだそうだ。とすると、本作おヒツジ
くんたちは食肉用ということになるのかな。
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<ストーリー>

アイスランド辺境の村に暮らす老兄弟と羊の絆をユーモアを交えた語り口で
綴る人間ドラマ。
40年間口もきかないほど不仲の羊飼いグミーとキディーはある事件を契機に、
人生をかけて愛し続けた羊たちを守るため重大な秘密を共有することになる……。
監督・脚本はアイスランドの新鋭グリームル・ハゥコーナルソン。
出演は「ザ・ディープ(2012)」のテオドル・ユーリウソンほか。
第68回(2015年)カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ。

アイスランドの人里離れた村。隣同士に住む老兄弟グミー(シグルヅル・
シグルヨンソン)とキディー(テオドル・ユーリウソン)は、先祖から受け
継がれてきた優良種の羊の世話に人生のすべてを費やして生きてきた。
だがその一方で彼らは、この40年もの間全く口をきかないほどに不仲で
あった。

ある日、キディーの羊が疫病に侵され、村全体が恐怖にさらされる。
すぐに手を打たないと村の全員が破産してしまうかもしれないという
危機感から保健所は殺処分を命じる。一気に窮地に追い込まれたキディー
だったが、絶滅の危機にさらされた羊たちを守るために兄弟は40年ぶりに
力を合わせることになる。
それは二人がある重大な秘密を共有することであり、やがてその秘密が
彼らを大胆で無謀な行動へとかきたてていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:96% Audience Score:84%>




by jazzyoba0083 | 2017-07-10 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)