●「スパイダーマン:ホームカミング Spider-Man:Homecoming」
2017 アメリカ Columbia Pictures,Marvel Studios,Pascal Pictures. 133min.
監督・(共同)脚本:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファブロー、ゼンデイヤ、ドナルド・グローヴァー
   マリサ・トメイ、ロバート・ダウニーJr、グィネス・パルトロウ、クリス・エヴァンス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
「スパイダーマン」が、マーヴェルのヒーローたちが同一世界観の中で活躍するシリーズ
”マーヴェル・シネマティック・ユニバース”作品群の一つとして描かれる第一弾。
アヴェンジャーズをからめるあたり、マーヴェルのあざとさは感じるが、本作に限って言えば
アメコミヒーローものの原点に戻った感じがとても清々しかった。サブタイトルのホーム
カミングという言葉も、本作のストーリー上のことだけではなく、私が感じた原点回帰、と
いう意味合いもあるのではないか、と思うのだ。

マーヴェルにせよDCにせよ、アメコミのヒーローは、勧善懲悪の痛快アクションとして始まる
のだが、続編を重ねるに従い、内省的になり、やたら人間臭くなったり、また単独では客が
呼べないとなると、ヒーローを複数重ねてみたりで、何だかアメコミの本来持っているカタルシスとは
離れてしまい、それはそれなりに面白かったりもするのだが、私としては「アメコミ・ヒーロー」は
こうでなくっちゃ!という楽しみが、本作では戻っていたのだ。

つまりボーイミーツガールだったり、やたらメカやITに詳しい親友がいたり、カッコいいメカや
痛快なアクション(多くはカーチェイスだったり空中戦だったりするのだが)により、苦難を
乗り越えて悪に勝つ、という単純明快なものがいいのだ。

その点、本作は、これまでの「スパイダーマン」はご破算にして、おばさんちに世話になって
いるくらいで、あとはまったく新作として観られる。まあ、主人公ピーター・パーカーが
蜘蛛に噛まれて体に変化が起きた、とかは不変であるのだが。そのピーターは、アヴェンジャーズ
の前作「シビルウォー」にちょっと出てきていて、これはその続きということもいえる。

純粋なスパイダーマンファンとしてみれば、アヴェンジャーズ文脈で語られる彼の活躍は面白さ
半分になっちゃうと感じる方もおられるかも知れない。でも、アイアンマン=トニー・スタークら
の登場は必要最低限に抑えられていて、主人公はピーター・パーカー=スパイダーマンであることは
間違いない。前作でスタークに認められたピーターは、スタークの会社でインターンシップとして
勤めつつ(高校生ではあるのだが)何とかアヴェンジャーズの一員として認めてもらいたく、高校生
らしい活躍で頑張る。一方で高校では一目惚れしたミシェル(ゼンデイヤ)も何とかしたい。
そして彼の正体を知るただ一人の親友ネッドとの友情、など青春モノアメコミに必要不可欠なものは
全部揃っている。それがいろいろと入り組んで、(お約束だけど)ミシェルの父親のことなど
「分かり易く」綴られていくわけだ。

その「わかりやすさ」も、アメコミ・ヒーローものでは大切な要素であって、分かりやすくなければ
痛快さが痛快と感じなくなってしまう。人間関係がやたらに複雑であったり、敵味方の構図がややこ
しかったりすれば、字幕を追うものとしては余計にストレスが募るというものだ。

本作では以上のような理由とマイケル・キートン、マリサ・トメイ、ジョン・ファブローらの渋い名優を
配して、演技を固め、お約束のストーリーの並びとなってしまう構成に締まりを与えていた。
特に、マイケル・キートンの悪役は今後も出てきそうで、(「バードマン」をおちょくったような
メカニズムだったですねえ)良かった。でも、冒頭の廃品回収業者風が実はめちゃくちゃなテクノロジーの
使い手だったとはビックリ。(コミックらしくてよかったけど)まあ、アイアンマンがぶっこわしたものを
スタークが回収して儲ける、という構図は納得行かないのはよく分かる。マッチポンプだものね。

今回IMAX 3Dで鑑賞したのだが、始まった瞬間、「お??」という感じ。これまでのIMAX 3Dとは違う
感じを受けた。まるでゴーグルをはめて、VRを観ているような。だから画面のデカさとかは感じない。
そのかわり奥行き感は自然で豪華。スパイダーマンの空中遊泳や、アヴェンジャーズの空中戦には
迫力満点だろう。今回もこの映像効果がすごく作品にいい影響を与えていた。ただ、字幕は真正面から
観ないと、ちょっと首をかしげると字がダブって見えてしまう。

さて、毎度おなじみのラスト。次作の約束をして終わるのだが、次作もこんな感じの分かりやすさと、清々しい
カタルシスを感じさせて貰いたいものだ。ところで間もなく封切られる「ワンダーウーマン」は、どういう
出来だろう。
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<ストーリー>
アイアンマンやキャプテン・アメリカなど“アベンジャーズ”を中心にマーベル・ヒーローが同一世界観の
中で活躍する“マーベル・シネマティック・ユニバース”作品群の一つとして描かれる新シリーズの第1弾と
なる痛快エンタテインメント青春アクション大作。
アイアンマンに憧れ、アベンジャーズ入りを夢見る15歳の青年の葛藤と成長を、ヒーローとしての
華々しい活躍に普通の高校生の瑞々しい青春模様を織り交ぜ描き出す。
主演は「インポッシブル」「白鯨との闘い」のトム・ホランド。共演はアイアンマン役のロバート・
ダウニー・Jrのほか、マイケル・キートン、ジョン・ファヴロー、ゼンデイヤ、マリサ・トメイ。
監督は「クラウン」「COP CAR/コップ・カー」で注目され、長編3作目の本作でいきなり
ブロックバスター作品に大抜擢となった新鋭ジョン・ワッツ。

 ニューヨークに暮らす15歳の高校生、ピーター・パーカー。憧れのトニー・スターク=アイアンマンに
見込まれ、彼が開発した特製スーツに身を包み、スパイダーマンとして街のパトロールに精を出しながら、
早くアベンジャーズの一員になりたいと夢見ていた。そんな中、スタークに仕事を奪われ復讐に燃える
男エイドリアン・トゥームス=バルチャーが、地球外の物質から強力な武器を作り出し、ニューヨークを
危機に陥れようとしていた。アベンジャーズに任せろとのスタークの忠告にもかかわらず、一人前の
ヒーローとして認められたいと焦るピーターは、たった一人で敵に立ち向かおうとするのだったが…。
(allcinema)

<IMDb=★7.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:90%>



by jazzyoba0083 | 2017-08-12 11:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)