●「アバンダンド 太平洋ディザスター119日 Abandoned」
2015 ニュー・ジーランド Making Movies.86min.
監督:ジョン・レイング
出演:ドミニク・パーセル、ピーター・フィーニー、オーウェン・ブラック、シボーン・マーシャル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1989年にニュー・ジーランドで実際に起こった海難事件を映画化したもの。驚くのは
119日、ほぼ4ヶ月漂流を乗り切った4人の心の強さと、地図で見るとよく分かるのだが、
トンガに向かって出港したピクトンという南島の、一番北島に近い港と漂着したグレート・
バリア島の距離だ。ほんとに目と鼻の先。これでは「彼らは嘘をついている」と言われるのも
分かるなあ、と思う。

さて、おそらく個人的にニュー・ジーランド映画を観たのは初めてだと思う。日本では劇場
未公開で、WOWOWの「ジャパン・プレミア」で鑑賞。事実に基づいているので、物語は
誠に「事実は小説より奇なり」で、面白いが、こうした「下駄を履いた」面白さを上手く短い
映画に仕立てた。面白く観た。

それぞれに曰くのある4人を載せて多胴船(3つの胴がある大型ヨット)「ローズノエル」号は
トンガに向けて出港した。先を急ぎたい船長は、嵐を利用して船足を早めようとしたが、大波を
食らって転覆。この手の船は一度ひっくり返ると立て直せない、が沈みもしないという特徴がある。
まずこの「沈まない」、出向して間もなくの遭難であったため食料と水はふんだんにある、救難
信号を発信する機械を積んでいる、などの安心材料があったから、4人はパニックにならずに済んだ
のかもしれない。だが、無線は遠距離が利かない、地元に航海ルートを報告していないなど
杜撰な面もあり、救助が難航する。4人の中にはヨットの操船が未経験のものもいた。
ラッキーだったのは調理師がいた事だ。なかなか救助されない中、彼らは雨水を集める方法、
魚を捕まえる方法、ヨットの備品であったプロパンガスを調理に利用出来るようにしたこと、など
困難な中にも工夫を加え、危機を乗り越えていく。

神を信じる船長と、病気を抱え気が荒く、すぐに喧嘩になるリックという男。4人の心は最初から
団結ていたわけではなく、喧嘩も絶えなかった。ただ、諦めなかった。空軍も出ての捜索も
上手く行かず、家族たちはほとんど諦めていた。

ところが119日目、海流の加減で、彼らは島を発見。そのまま潮流に乗り、上陸できたのだった。
彼らの生活を綴ったカメラも入れて上陸したが、体一つで上陸し船は置いてきたため、その後
船は波で大破、彼らが生活していた痕跡は失われてしまった。

上陸した4人は崖からすぐのところにある大きな無人の家に入り、さっそく冷蔵庫を漁り
調理師がディナーを作り、風呂に入ってワインを飲んだ。一晩寝たところに地元警察が
やってきて、4人は保護される。家族への電話。狂喜する家族・・・。

ハッピーエンドか、と思っていたらさにあらず。家族の元に帰って来た一行を待っていたのは
当局の捜査と、虚偽ではないか、という世間の厳しい目であった。119日間も、海の上で生活
出来るわけがない、というのだ。悲しいかな、証拠はすべて失っている。しかし、当局は大破し
沈没しているヨットを捜索し、点検した。すると4人の言っていることはどうやら間違いはなさそうだ、
ということになり、公式に運輸大臣が119日間の漂流を認めたのだった。
しかし、世間の目はあくまで冷たかった。喧嘩もし、いがみ合った4人だが、4人いたから危機を
乗り越えられた、というのは本心であった。脳腫瘍を患っていたリックは数ヶ月後死亡。あとの
3人もそれぞれの道を歩くことになるのだが、事件後別れてから二度と会うことはなかったという。
まあそんなもんかもしれない。

119日間の漂流という事実はどんな脚本よりも強いストーリーを持つ。故に事実を丁寧に描いて
いけば面白いものになるのはわかっているのだが、その点本作においては、4人のキャラクターや
漂流中の出来事、そして上陸後のこと、家族の様子などが90分未満の長さの中に的確に
配分されていて、良かったと思う。船長はその後も世界を航海し続けたようだが、この事故は
誠に「事実は小説より奇なり」であった。

邦題は、なんか投げやりのような付け方で、もう少し知恵がなかったか、という感じだ。
アバンダンとは英語の単語を勉強すると最初に出てくる単語で、「捨て去る」「遺棄する」とか
いう意味ですね。
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<ストーリー>
1989年に実際に起きた海難事故に着想を得たパニックドラマ。ニュージーランド
からトンガへ向けてヨットで航海に出た4人の男性が、大嵐に遭遇して4カ月近く
にもおよぶ漂流生活を続けるはめに陥った顛末を綴る。
当初は水も食料も十分にあり、心配した家族たちが捜索願いを出して遅かれ早かれ
救助が来るはず、と状況を楽観視していた彼らが、いつしか何もない大海原の中で
不安を募らせていく姿がスリリング。極限状態での人間ドラマが見どころだ。
主演はTVドラマ「プリズン・ブレイク」のD・パーセル。

たまには家族を忘れ、男だけの冒険旅行を楽しもうと、ニュージーランドから
トンガまでのヨット航海に出発したジムたち4人。
だが、大海原で嵐に巻き込まれ、ヨットが転覆してしまう。そのうち救助が
来るだろうと楽観視する4人だったが、船底を上にしたまま漂流を続ける彼らの
船は発見されず、やがて捜索が打ち切られてしまう。
いつまでも来ない救助に待ちくたびれ、
物資も乏しくなる中、4人は精神的に追い詰められて……。(WOWOW)

<IMDb=★6.2>


by jazzyoba0083 | 2017-08-16 22:45 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)