2017年 09月 13日 ( 2 )

●「超高速!参勤交代 リターンズ」
2016 松竹 「超高速!参勤交代リターンズ」製作委員会 119分
監督:本木克英  脚本:土橋章宏
出演:佐々木蔵之介、深田恭子、伊原剛志、寺脇康文、上地雄輔、知念侑李、柄本時生
   六角精児、古田新太、渡辺裕之、中尾明慶、陣内孝則、西村雅彦、市川猿之助他
e0040938_16055943.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
肩の力を抜いて、思いっきり楽しめる邦画ってあるようでなかなか無い。
「シン・ゴジラ」や「怒り」「64」などが評価されるのはそれはそれで良いが、
喜劇が一段下に観られていないか、気にかかる。本作は、良き原作を得て、これを
本木監督が見事に痛快喜劇映画に仕立て、私もめっぽう面白く観させてもらった。

さて、柳の下のドジョウではないが、続編はなかなか難しい。前作は超短期間で
貧乏藩が江戸へ出府する、という難題を知恵と勇気で成し遂げるというカタルシスで
あったが、今回はそれだけでは客は満足しないわけだ。そこで、本作では
前作で悪行がバレて蟄居中だった松平信祝(陣内孝則)を更に悪に仕立て、
8代将軍吉宗公の日光参内恩赦で老中首座に戻し、湯長谷藩に対しついには
百姓一揆を仕立ててそれを理由に藩をところ替えとして城を尾張柳生藩に渡して
しまい、帰ろうとする藩主内藤(佐々木)らを窮地に追い込む作戦に仕立てた。

新たに、大岡忠相、柳生一族らが登場、超特急の参勤交代というよりも、老中
松平信祝の悪行(ついには日光から帰る吉宗公をも討ち、天下人になろうという
野心さえ持っていた)にハイライトが当たり、あくまでも地元の民百姓を思う
内藤らとの知恵比べと前作以上の剣戟が見どころとなっている。
ラストはまるで7人の侍みたいだ。

時代劇の王道としての勧善懲悪(大岡忠相や吉宗公、松平輝貞らの存在)と
殿様であっても民を思う内藤の純真さ純朴さに見ている人は快哉を叫ぶであろう。
こうなって欲しい、というところでそうなるのが予定調和の快さ。
前作ほどの驚きはないが、本作も楽しい一編に仕上がった。
e0040938_16061486.jpg
<ストーリー>
老中・松平信祝(陣内孝則)の差し金により幕府から突然の参勤交代を命じられた
磐城国の湯長谷藩藩主の内藤政醇(佐々木蔵之介)ら一行は、金も時間も人手もない
知恵をこらし江戸へ参勤。
そして藩に戻る交代の路につくが、その途中、湯長谷で一揆が起きた旨が伝わる。
参勤のときに政醇たちに敗れた信祝が、さらに大きな権力と最強の刺客を使って
逆襲に出たのだった。
一揆を収めるためには2日以内に藩に戻らねばならず、また、交代であるからには
大名行列も必要に。行き以上の速さで宿役人の目をくらましながらなんとか湯長谷に
たどり着いたものの、すでに田畑は踏み荒らされ、城を乗っ取られた後だった。
城をおびただしい数の幕府軍が取り巻いているのに対し、藩主らはたったの7人。
湯長谷藩は再び絶体絶命の危機に陥る。(Movie Walker)






by jazzyoba0083 | 2017-09-13 23:20 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

ダンケルク Dunkirk

●「ダンケルク Dunkirk 」
2017 アメリカ Warner Bros.,Dombey Street Productions,Kaap Holland Film.106min.
監督・脚本・(共同)製作:クリストファー・ノーラン
出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ローデン、トム・ハーディー他
e0040938_14194607.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:ネタバレばかりか、かなりの制作上の機微に触れています>
実は、二回観た。朝イチで出かけた回で重要な部分で寝落ちした箇所があるらしく、意味が
通じなかったので、この映画の歴史アドバイザーを務め「ダンケルク」という小説も書いた
ジョシュア・レヴィーンの文庫本を買って、映画の章と、ノーランとのインタビューの章を
先に読んで、再度昨日観てきた。

細かい制作上の苦労話は置くとしても、最初の印象とは余り変わるものではなかった。
とにかく、ダンケルクの砂浜と海と上空で展開する。とにかくダンケルク以外はラストしか
出てこない。
ノーランの描きたかったのは、「戦争映画」ではなく「生還(サバイバル)映画」であり、
「サスペンス映画」だということで、それが確認出来れば更に作品にのめり込むことが出来る。

物語は大きく3つのエピソードからなっているが、それぞれ際立ったキャラクターは配置されて
いるが、彼らが主人公ではない。陸~海岸、空、それに、イギリス本土から救出に向かった
一般市民のボート、以上が3つのコアになるエピソードだ。
故に、誰がどうであったか、ということより、「ダンケルク」とは何で
あったか、という点が印象に残ればそれでこの映画は成功したといえよう。

凝り性のノーランはダンケルクに関する本を読み漁り、イギリスに渡り実際海峡をヨットで
渡って見もし、当時の生き残りから(軍だけではなく市民からも)膨大な話を聞き、
「史上最大の撤退作戦」がどのようであり、何を意味していたのか、を探り、脚本にしていった。

その結果、ドイツ軍は全く出てこず、(軍用機などは象徴として出て来るが)、あの海岸で
混乱し、情報が錯綜する中で、30万の兵士たちは、何を考え、どのように行動したのか、
あるいは救助に向かった市民は何を考えたのか、という大きな輪郭から、「生還劇」を
組み立てた。実際に海岸にいた兵士たちは自分たちのことしか考えられなかったという。
だから、個人の感情の表出としてのアップが多用される。そして兵士の見た目。
特に空戦ではスピットファイアのパイロットの目線が重要な役目を果たす。

本土に帰ってきた兵士にタオルを手渡す盲目の男に、兵士が「生きて帰ってきただけだ」と
いうと「それで十分じゃないか」と返す。またチャーチルは「この敗北の中に勝利が有る」と
演説したのだが、どうしても比べてしまうが、日本のメンタリティと何と異なることか。
本土に撤退してきた兵士たちは、自分たちは「敗者」であり、国民に顔向けできないという
思いに満ちていたが、しかし、彼らを待っていたのは、大歓迎だったのだ。「良く生きて
帰ってきた」と。

「ダンケルク」とは何だったか、という映画なのだが、だが人間が関わる以上、どこかで
彼らの思いが現れないと単なるドキュメントになってしまう。それを担うのが陸戦から
海岸に逃げてきたトミー(ホワイトヘッド)であり、リトルシップの船長ドーソン(マーク・
ライランス)、現場の司令官ボルトン大佐(ケネス・ブラナー)、スピットファイアで
海岸に不時着するファリア(トム・ハーディー)である。彼らの表情はセリフ以上の
ものを語って、このダンケルクへの思いを描いている。

コ・プロデューサーのエマ・トーマスはノーランの奥様だが、現場の美術や物語の
根幹に大きく関わっている。実際のダンケルク海岸に作られた防波堤は再構築された。
トラックによる突堤も。また不時着するスピットファイアは本物である。
来年のオスカー有力候補といわれているが、ノーランとエマの「サバイバル劇」が
どう評価されるか楽しみである。

ちなみに本作の中で一番怖かったのは、イギリス兵士が打ち上げられた小型商船に
潮が満ちて離岸出来る機会を伺いつつ、船内に潜んでいるときに、外からドイツが
小銃を打ち込んでくるところだ。姿が見えない、どこからいつ弾が飛んで来るか
分からない、自分たちがいることを知っているのか、射撃練習の的としているのかさえ
分からない。この映画を象徴するシーンであったと思う。
e0040938_14201681.jpg
<ストーリー>
第二次世界大戦中の1940年、フランス・ダンケルクの海岸でドイツ軍に包囲されたイギリス、フランス軍の
兵士約40万人を860隻の船舶で救出した、史上最大の救出作戦を映画化したサスペンス。
トム・ハーディやマーク・ライランスら名優を迎え、クリストファー・ノーラン監督が初めて実話の
映画化に挑んだ意欲作。

第二次世界大戦が本格化する1940年、フランス北端の海の町ダンケルク。フランス軍はイギリス軍とともに
ドイツ軍に圧倒され、英仏連合軍40万の兵士は、ドーバー海峡を望むこの地に追い詰められる。
背後は海。陸海空からの敵襲。そんな逃げ場のない状況下でも、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)や
アレックス(ハリー・スタイルズ)ら若き兵士たちは生き抜くことを諦めなかった。

一方、母国イギリスでは、海を隔てた対岸の仲間たちを助けようと軍艦だけでなく民間船までもが動員され
“史上最大の救出作戦”が動き出そうとしていた。ドーバー海峡にいる全船舶が一斉にダンケルクへと向かう。
民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)も、息子らとともに危険を顧みずダンケルクを目指
していた。
英空軍パイロット・ファリア(トム・ハーディ)も、数において形勢不利ながらも出撃。タイムリミットが
迫るなか、若者たちは生きて帰ることができるのか……。(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:82% >




by jazzyoba0083 | 2017-09-13 16:25 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)