2017年 09月 18日 ( 1 )

●「最高の花婿 Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu?」
2014 フランス Les Films du 24 97min.
監督・(共同)脚本:フィリップ・ドゥー・ショーブロン
出演:クリスチャン・クラヴィエ、シャルタン・ロビー、アリ・アビタン、メディ・サドゥン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
面白いんだけど、腹から笑えない重いテーマを持っている。さすがはフランスらしい
映画だ。ヒューモアとエスプリがたっぷり効いている。この時代だからこそ出来た映画で
あろうが、中東からの難民問題は欧州での大規模テロが頻発するちょっと前だった
から、今だとちょっと作れないテーマかもしれない。
娘四人がアラブ、ユダヤ、中国、そしてアフリカ系黒人と次々と結婚するという
両親や周囲の困惑をドタバタにして描いているのだが、こんな映画を作らなくても
いい世の中が来ることを切に願う。

フランスの田舎に住むヴェルヌイユ夫妻には自慢の美人4姉妹がいる。いずれも
婚期を迎えていたが、夫妻の、自分たちも挙式した教会で娘らの幸せな姿を
みたかった。だが、次々と結婚する娘の、長女の旦那はアラブ人、次女はユダヤ人、
三女は中国人と国籍も宗教もばらばら。集まるとお互いの民族や宗教をおちょくる。
そんな夫妻にとって最後の砦は一番美女の末娘ロールであった。彼女こそは・・・、
と願うのだがそれも虚しく、ロールの相手はコートジボワールから来た黒人で
しかも役者だ。卒倒しそうな夫妻は、どうしてこうなってしまったのか悩む。

牧師さんのところに行ったり、分析医にかかったり。そしてついには離婚の危機が
訪れてしまう。末娘としても大いに悩むところだ。彼の父親も結婚には反対の
姿勢を崩さない。彼の父親も値は悪い人ではないので、父親同士で酒を飲んだり
釣りに行ったりしているうちに次第にお互いが持っていた「ある種の偏見」が
薄れてきた。最後はハッピーエンドになるのだが、きわどいセリフの応酬には
ハラハラさせられるし、両親が牧師に末娘がここで結婚することになったと報告に
行った際、牧師は姉たちの事情を分かっているので、相手がクリスチャンながら
黒人だと聞いて、笑っちゃうんだ。分かるんだなあ。笑っちゃうよなあ普通。
差別とかじゃなくて。

よほどの聖人君子でなければ、差別主義者でなくても、だれでも一瞬呼吸が止まる
であろう瞬間。娘が幸せならばそれでいい、と思っていても、である。そういう
万人の思いを上手くすくい上げ、コメディというジャンルで示して見せた。
移民国家でもあるフランス(かつて植民地を持っていた欧州の国はだいたい同じ
ようなものだ)の、(大げさに言えば)あるべき姿を示した作品と言えよう。
乾いた笑いが、陰湿な差別感を吹き飛ばす役割を担っている。
ただ、婿がみんな良いやつなんで、そのあたり若干のご都合主義を感じないでもないが。

この映画を観た殆どの人は4人娘の父母の思いはいかばかりか、良く堪えて心を
広く持てたなあ、偉いなあ、と思うだろう。おそらく今のフランスではかなりの
人がそう思えなくなってしまっているだろうから。
時間があればご覧になることをお勧めしたい作品である。2014年のフランス興収
ナンバーワンの映画だそうである。
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<ストーリー>
フランス・ロワーヌ地方に暮らす敬虔なカトリック教徒のクロードとロビーのヴェルヌイユ
夫妻には4人の娘がいた。だが、長女イザベルはアラブ人のラシッドと、次女オディルは
ユダヤ人のダヴィドと、三女セゴレーヌは中国人のシャオ・リンと結婚。娘たちのために
祝福はしたものの、教会で挙式もできずに内心はがっかり。
様々な宗教儀式から食事のルールまで、異文化への驚きと気遣いに疲れ果てていた。せめて
末娘のロールだけはフランス人と結婚してほしいと願う夫妻は、パリで暮らす末娘の恋人が
カトリック教徒と聞いて安堵する。ところが、ロールが連れて来たのはコートジボワール
出身の黒人青年シャルル(ヌーム・ディアワラ)であった。ヴェルヌイユ一家は結婚に大反対。
さらに、フランス人嫌いのシャルルの父(パスカル・ンゾンジ)も息子の結婚に異を唱え
始める……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:---Audience Score:61%>



by jazzyoba0083 | 2017-09-18 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)