●「奇蹟がくれた数式 The Man Who Knew Infinity」
2015 イギリス Edward R. Pressman Film,Animus Films. 108min.
監督・脚本・(共同)製作:マシュー・ブラウン
出演:デヴ・パテル、ジェレミー・アイアンズ、デヴィカ・ビセ、スティーヴン・フライ、トビー・ジョーンズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
★は7.5。どうしも「事実は小説より奇なり」となってしまい、事実の持つ重みは作り事より強い。
私はこのインドの不世出の天才数学者ラマヌジャンという人を寡聞にして知らなかった。数学の
研究者や学生にとっては当たり前の人物なのだろう。
映画の中では、彼ら数学者が何をどうしようとているものなのか、全く分からなかった。多くの人は
そうだろう。でもそれでいいんですね。恐ろしく難しい解析のことなどは本筋にあまり関係がない。
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インド・マドラスの港湾施設で働く貧しい青年ラマヌジャン。結婚したばかりの妻と母がいる。
彼は天才的に数学に秀で、独学で定理を作成してしまうほどだった。しかしインドの学者からは
相手にされない。一人の師が、イギリスに行くことを勧め、手紙を書いてくれた。そのうちの
ひとつがケンブリッジ大学のトリニティカレッジ(ニュートンが万有引力を発見したリンゴの木がある)
の数学者ハーディの目に留まる。彼はラマヌジャンをイギリスに呼び共同で研究をしようとする。
が、天才的な閃きが特徴のラマヌジャンに対し、ハーディは「証明」されなければ「定理」とはならない。
「証明しろ」「証明」とこだわる派。むしろまっとうな数学者であれば、「定理は元来そこに存在するもの」と
言われれても、それが「証明」されなければ、なんら意味を持たないものなのだろう。そこは分かる。

でも、ラマヌジャンにとってはそれが歯がゆくて仕方がないのだ。天才ゆえの悩みだろう。真の天才とは
こういうとんでもない人物のことなのだろうなあ。英国の植民地だったインドではあるが、インド人で
有るがゆえの迫害や偏見を受け、ラマヌジャンのいうことに「そんな天地がひっくり返るほどの真理が
証明できるはずがない」と鼻から相手にしない。ハーディーはラマヌジャンに地道に証明することを
教え、ラマヌジャンも辛抱強く勉強を重ねた。

一方、インドに置いてきた新婚の妻は頻繁に夫に手紙を書くが、姑の手により、タンスの奥にしまわれた
ままになってしまう。ロンドンでラマヌジャンは妻は自分を捨てたのだ、と悲しい気持ちになる。
更に彼を結核が襲う。牛肉を食べないなど戒律に厳しいラマヌジャンは食べるものが少なく、栄養を
満足に取れず、結核になっても回復力が弱い。それでもハーディーらの看護の成果もあり、一旦は医者に
見放されるほどの病状だったのが回復してきて、研究も進み、ついに、周囲から不可能だ、といわれていた
数式の定理を証明することに成功したのだった。

そして、あれだけインド人だと蔑んでいた大学も、彼を王立協会の会員に推薦、見事にメンバーに選ばれた
のだった。故郷では妻が姑が手紙を書くしていた事実を知り、そのことを含め手紙を再度書いた。受け取った
ラマヌジャンは故郷に帰ることにした。1年後に戻ることを約束して。

しかし、その約束は叶わなかった。ラマヌジャンは結核の予後が良くなく、妻と母と暮らした1年少々の後、
帰らぬ人となってしまった。ラマヌジャンが最後に発見した数式は現在もブラックホールの解析に役立って
いるのだという。
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「スラムドックミリオネア」の少年も大きくなり立派な青年に。「マリーゴールドーホテルであいましょう」
去年の「LION/ライオン~25年目のただいま」ではオスカーの助演男優賞ノミニーと確実に成長しています。
彼と、彼を支えるハーディー教授を演じたジェレミー・アイアンズが、なんとも言えず良かった。自分は
「証明できないものは信じない」という無神論者、片やラマヌジャンは敬虔なヒンドゥー教徒。「すべては
神の決めること」。そうした二人が数学を通して理解しあう。普通の人の思考のはるか上を行く超天才を
この世のものとする助けがどのくらい大切か、ということが分かる映画だった。天才は理解者と出会わないと
天才とはなりえない、ということだ。動きの少ないストーリーだが、魅力的な脇役を配し、面白い映画に
仕上げた監督の手腕も買いたい。「無限を知る男」という原題はカッコイイと思う。
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<ストーリー>
 「スラムドッグ$ミリオネア」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のデヴ・パテルがインドの
天才数学者ラマヌジャンを演じた伝記ドラマ。独学で数学を学んだラマヌジャンが、異国の地イギリスへと
渡り、文化の違いに苦しみながらも、著名な数学者G・H・ハーディ教授と数学を通じて友情を育み、
強い絆で結ばれていく感動の実話を描く。
共演にジェレミー・アイアンズ、トビー・ジョーンズ。監督は本作が長編2作目のマシュー・ブラウン。

 数学に魅せられ独学で学ぶインドの青年ラマヌジャン。事務員として働きながら、孤独な研究を続けて
いた彼は、自らの成果を認めてもらおうと、著名な学者たちに手紙を送るが、まるで相手にしてもらえない。
そんな中、ただ一人、イギリスの名門ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジのG・H・ハーディ教授が
その内容に興味を示し、彼を大学に招くことに。
こうして結婚したばかりの妻をインドに残し、期待を胸に単身渡英したラマヌジャンだったが、植民地の
出身で学歴のない彼は周囲から色眼鏡で見られてしまう。
しかも直感で定理や公式がひらめくラマヌジャンにとって、その数式の証明の必要性を力説するハーディの
要求がどうしても理解できない。次第に2人の間の溝は深まり、ますます孤独に苛まれていくラマヌジャン
だったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:63% Audience Score:71%>



by jazzyoba0083 | 2017-11-22 22:00 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

映画感想の投稿ではありませんが、私のブログにご訪問くださっている皆さんに謹んでお知らせです。

「雑誌で私の映画コラムがスタートしました。
               ラジオもやってます!」

▼私が毎月映画1タイトルを取り上げて、それにまつわるお話を書く雑誌半ページほどのコラムが本日発売の
「月刊Cheek」1月号(東海地区書店、あるいはAmazonで購入可。税込み500円)からスタートしました。

「立ち読み禁止」(苦笑)で、お読みいただけると幸甚です。また感想などトラックバックやコメントでいただける
と嬉しいです。今回取り上げたのは「ユー・ガット・メール」。(最新作は原則取り上げません)
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▼また、これに先立ち、ラジオでも同タイトルのコーナーでお喋りも始めています。
              毎月第一木曜日午後4時15分頃
から名古屋のMID-FM(76.1MHz)の佐野瑛厘さんの"Music WOW"の、いちコーナーを頂いてのおしゃべりです。

10月は「卒業」11月は「Back to the Future」を取り上げました。
このラジオはいわゆるコミュニティFMで電波が遠くまで届きませんが、いまはスマホアプリで全国全世界で
お聴きいただけるんですねえ。

"ListenRadio" "TuneInRadio" "SimpleRadio"などのアプリから検索してみてください。きれいな音でお聴きいた
だけます。またMID-FMのホーム・ページではスタジオ内の動画もお楽しみいただけます。放送中はツイッターで
リアルタイムでご意見ご感想を寄せていただけることも出来ます!

次回は12月7日(木曜日)。何を取り上げるかは現在鋭意検討中です。

ブログももちろん第一で書きますが、他媒体に触れるチャンスがあるかたは是非、読んだり聞いたりしてみて
ください。立体的に映画の感想を表現できるのはとても刺激的です。頑張ります!!




by jazzyoba0083 | 2017-11-22 11:21 | ご報告 | Trackback | Comments(0)