2017年 12月 05日 ( 1 )

●「ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの愛 Freeheld」
2016 アメリカ Double Feature Films,Endgame Entertainment and more.103min.
監督:ピーター・ソレット   原案:シンシア・ウェイド ドキュメンタリー映画「Freeheld」
出演:ジュリアン・ムーア、エレン・ペイジ、マイケル・シャノン、スティーヴ・カレル、ルーク・グライムス他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
2007年にアカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞を獲得した同名の作品の実写映画化作品。
どのくらい脚色されているのかわからないけれど、話を構成するメンバーが劇的であるので、ストーリー
そのものが面白い。本国での評価はあまり芳しくないが、私はドキュメンタリーは未見だが、興味深く
観ることが出来た。実際にあった話は、映画として事実の持つ重みを持つちからに下駄を履かせてもらって
いるので、全体の面白さから若干割り引いて評価するのが私の常であるが、そうしたタイプの映画でも
感動深く描けている作品は、演技者、演出を含め、標準以上の完成度で、やはり映画として出来がいいといえる。
事実の重みだけでは傑作は出来ないのだから。

先日は女性の親友同士の片割れがガンになる「マイ・ベスト・フレンド」を見たばかりだった。同じような
ストーリーであるが、こちらはLGBTとして正義に向き合うという決定的に異なる側面を持つ。
まだLGBTということばすら一般的でなかった時代、ニュージャージーの田舎町で起きた「事件」がメイン
テーマ。古典的結婚感から出ている法律を、勇気を持って変えていく人々の話、といってもいいかも
しれない。この街の敏腕刑事ローレル・へスター(ムーア)が自分の遺族年金をパートナーである
ステイシー・アンドレ(ペイジ)に遺したいと主張するが、当時の公務員年金の決まりでは結婚した相手
でないと、それは出来ない決まりだった。末期の肺がんに侵されたローレルは、郡政委員会に訴えるが
聞き入れてもらえない。彼女とその仲間の本当の戦いが始まるのである。

長年刑事の相棒であったデーン(シャノン)が、ローレルがレズであることを知らずに密かに恋心を
抱いていたのだが、ある日ステイシーを紹介され、怒って見せるが、その後のローレルを支える有力な
戦友として、いいポジションでいい演技だった。最近シャノンの活躍している映画をよく目にする。
(私が彼の存在に注目し始めたのはテレビ映画(日本ではWOWOWで放映)「ボードウォーク・エンパイア」で
あった)
ステイシーのママ、ローレルの妹、ステイシーが勤務する自動車整備工場の経営者、郡政委員の一人、
あの時代にあっても味方がいたことが心強かっただろう。(真実なんだろうと思うが)。
最後にローレルを支持する街の警察官の仲間たちやカミングアウトした警官たちも応援に回る。
ハラハラさせたのはよそから「同性婚」を認めさせるいいケースだという打算の元に応援に乗り込んでくる
全米同性愛連盟かなんかのスティーヴ・カレルの存在だった。騒ぎすぎでローレルの主張を壊してしまう
のではないか、と。最終的には彼が知事と知り合いだったことが大きな影響を持つことになるのだが。

署長が自宅に来て、郡で初めての女性警部補昇進を告げるところとか「駆けつける第七騎兵隊」的な
カタルシスは、いささか単純だったかな、という恨みは残ったが、郡政委員の年金の二重受給という弱みを
握ったデーンとローレル側が、年金をステイシーに、という決定をもたらす結果となった。
ジュリアンとシャノンの演技についてはジュリアンが外見からはレズとわかりづらかったが、ステイシーは
登場した瞬間にそれと分かる塩梅。まあ実際にエレン・ペイジはレズなので、醸し出すものが違うのかも
しれない。(これは別にLGBTを差別しているわけではなくて)

作品を通して、周りの喧騒とは別にローレルとステイシーの愛情は静かに(セックスシーンは殆ど無い)
流れていく。それが逆に二人の愛情の深さと、提示されている問題の深さを浮き彫りにしている。
LGBTに対する厳しい状況もそんなにきつく描かれず、逆に味方が多いふうに示されるのだが、本当ならば
仕方がないが、もうすこしキツめに描いても良かったのでは無かったか。
それとこの手の映画の常道としてラストに実際のローレルとステイシーがスチル写真で紹介されるが、これは
必要だったかなあ、という感じだった。

死を淡々と受け入れつつ正義を貫こうとするローレルに感動は感じたが、全体に訴えるチカラが若干弱かった
かなあ、という作品だった。
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<ストーリー>
ニュージャージー州オーシャン郡。20年以上仕事一筋に生きる女性警察官ローレル(ジュリアン・ムーア)は、
ステイシー(エレン・ペイジ)という若い女性と恋に落ちる。二人は徐々に絆を深め、郊外に中古の一軒家を
購入し一緒に暮らすことに。
しかしローレルにガンが見つかり、余命半年と宣告される。ローレルは自分が死んだ後もステイシーが二人の
思い出が詰まったこの家で暮らせるよう、彼女が遺族年金を受け取れるようにしようとする。しかし法的には
同性同士のパートナーは認められなかった。闘病しながら制度改正を求めるローレルの訴えは同僚たちや地域の人々、さらには全米に広がり、社会的なムーブメントとなる。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:48% Audience Score:53% >







by jazzyoba0083 | 2017-12-05 22:55 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)