●「10 クローバーフィールド・レーン 10 Cloverfield Lane」
2016 アメリカ Paramount Pictures,Bad Robot.103min.
監督:ダン・トラクテンバーグ  製作:J・J・ウィリアムズ他
出演:ジョン・グッドマン、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・ギャラガーJr.,ダグラス・M・グリフィン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

面白かった。約10年前に同じ製作会社が手がけた「クローバーフィールド」という作品があり、
その手の続編なのかな、とほとんど前知識も持たずに観たのだが、続編という感じはほとんど無く、
あらたなホラー映画として十分に楽しませてもらった。

「クローバーフィールド」は、いきなり宇宙からの攻撃で始まるので、一応ストーリーに対し身構えることが
できるのだが、本作は、本当はどういうことか、という真実に対するジレみたいなものが魅力となる。
コーエン兄弟作品でおなじみの怪人ジョン・グッドマンが、作品の本筋を隠すという意味合いから、とても
いい感じだった。
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恋人と別れ、別の町に行こうとしていたミシェルは、出会い頭の交通事故に会い(これを交通事故と見せない
演出も=つまり宇宙人の仕業かもという=面白い演出)。目が覚めたのは手錠に繋がれたある一室。現れたのは
元海軍だったというハワードという大柄な中年男。こいつがまた胡散臭い風に描かれる。手錠でベッドに
繋がれていた、というのは一見変態か、と思わせるが、冷静に考えれば、外に出られて、外気の毒ガスが中に
入り込むのを防いでいたというべきだろう。

事態が良く飲み込めないミシェルに、ハワードは、中国だかロシアだか、北朝鮮だか宇宙人だか分からないが
攻撃してきた、外は放射能だか化学物質で全滅だ、通信も使えない、と説明する。自分はこの日の来るのを予感し、
万全のシェルターを作っていたのだと説明する。が、ミシェルにはにわかに信じがたい。あの手この手を使って
ハワードを攻撃してみるが相手にならない。ハワードは、交通事故は自分のミスで起こしてしまったのであり
申し訳ないと詫びる。攻撃から救うためにここに連れてきたのだと、しごくまともなことを説明、またもう一人
シェルターの中には救った若い男性がいるとも。

そして3人での奇妙なシェルター生活が始まる。逃げ出そうとして二重扉の前の窓まで来た所、隣人の
女性が顔面が毒ガスで崩れた風情で助けてくれ、入れてくれ、と叫んでいるのを見た。とするとハワードの
言っていることは本当なのか。もう一人の若い男エメットと企んでなんとか外へ出ようと画策する。
カーテンレールを割いて、ペットボトルを使い、何度もハワードにバレそうになりながら、防毒服を
作り、脱出の機を狙ってた。しかし、エメットがミシェルを救おうととっさに、ミシェルを支配下に置こうと
した、と嘘を付くが、これがバレて、エメットはハワードに射殺されてしまう。ハワードはミシェルに
「君を守るためだよ」と説明するのだった。

逃亡用の防護服の存在がバレたため、なんでも溶かす液体をハワードに掛けて換気口のフィルターを外して外に
出ることに成功した。外に出てマスクを外してみれば、息は出来るし、鳥の声は聞こえ、空には鳥の群れさえ
飛んでいる。なんだ、やっぱり変人ハワードに監禁されていたのか!と安堵したミシェルだっが、その瞬間、
上空に巨大な宇宙船がいるではないか!!そして毒ガスを撒いていくる。慌てて手作りの防護服を付け直す。
外に有った車で急いで逃げ出す。ラジオを付けるとどうやらアメリカ軍もかなり優勢な闘いをしているらしい。
ミシェルはラジオから流れていた、手助けを必要としているというヒューストンにクルマを走らせたのであった。
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というお話なのだが、豪華なシェルターを作っていたハワードという男の正体がどうも、胡散臭い。よく分からない
人物として描くことにより、一層の恐怖を生み出す仕掛けだ。娘だと言っていた写真は実の娘では無いようだし、
自分のシェルターを守るためにはエメットも躊躇なく殺す。その他にも怪しい点はいろいろと配され、怪しさを
演出している。
エメットもミシェルも連れて来なければ良かったのに。隣人さえシャットアウトするのに。そのあたりは
謎として残った。ミシェルが逃亡したあと、シェルターは爆発して炎上、恐らくハワードも死んでしまったので
あろう。一体ハワードという男は何者であったのだろうか。真に用心深い男であったのか、何か他に秘密の
ミッションを抱えていたのか。
ただ、シェルターの無線は使えない、と言いながら、AMラジオくらいは用意しておけば、全世界のラジオ放送は
キャッチ出来ただろうに。とか、如何に服飾デザイナーとは言え、簡易に作った防護服から毒ガスが漏れて来ない
ようにするのは至難の業であろう、と思ったり、ツッコミどころもあったが・・。全体としてはとても
面白く見ることが出来た。脚本に「ラ・ラ・ランド」のデミアン・チャゼルが加わっているのも興味深い。
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<ストーリー>
 2008年の大ヒット・パニック映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」をプロデュースしたJ・J・
エイブラムスが、同じ世界観を作品内に取り込むかたちで製作したSFミステリー・サスペンス。事態の全貌を
掴めぬまま地下シェルターに閉じ込められ、男2人との共同生活を強いられるハメになったヒロインが辿る驚愕の
運命をミステリアスかつサスペンスフルに描く。
出演はメアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・グッドマン、ジョン・ギャラガー・Jr。
監督は、これが長編デビューの新鋭、ダン・トラクテンバーグ。
 
車を運転中に事故を起こした若い女性ミシェル。意識を取り戻した彼女は、見知らぬ地下シェルターの中で
ベッドに手錠で縛りつけられていた。シェルターには所有者の巨漢男ハワードの他に、腕をケガした若い男
エメットもいた。彼女を閉じ込めている理由を、外で恐ろしいことが起きているからと力説するハワード。
脚を大ケガしていることもあり、疑いを抱きつつもひとまず彼らと共同生活を送りながら脱出のチャンスを
うかがうミシェルだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:79%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355424#1 こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-03-28 23:15 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「幸せをつかむ歌 Ricki and the Flash」
2015 アメリカ Clinica Estetico,LStar Capital.TriStar Pictures.101min.
監督:ジョナサン・デミ
出演:メリル・ストリープ、ケヴィン・クライン、エイミー・ガマー、オードラ・マクドナルド、セバスチャン・スタン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

まず感じたのは、メリルは歌が上手いなあ、ということ。「マンマ・ミーア!」はそれなりに、先日
オスカーにノミネートされた「マダムフローレンス!夢見るふたり」はそれなりに、そして今回はロックと
来たもんだ。ハスキーにシャウトするロックはなかなか聞かせる。上手いよ!だが、歌の披露が長すぎ
だったな。実の娘との共演も話題であったが、話時代としては、落ち着くところに落ち着いた、という
感じで、あまり面白みが無かった。が、エンディングのウェディングパーティーでの全員でのダンスなど
観終わって嫌な感じが残るようなものではなかったのは、ジョナサン・デミの上手さだろう。

ロックな母ちゃん、リッキーは子供を捨ててバンドをナリワイとした生活。場末風のクラブでシャウトする日々。
充実はしているが金が無い。そんな折に娘のジュリーが離婚して荒れているという前夫の要請で
西部からインディアナポリスへと出かける。長い間ほっぽらかされて、今更何よ、という娘。まあ
しょうがないわな。

ある日、次男が婚約者を連れてくるという長男も来て久しぶりに家族で食事会を開くことになるが、
お互いに罵り合いで収集がつかない。長男はゲイだとカミングアウトするし。

別れれた夫には長い間リッキーの子供を我が子のように育ててきた黒人の後妻があった。次男の結婚式で
しゃしゃり出てこられてはたまらない。

娘のジュリーは次第に心を開き始める。そして次男夫婦の結婚披露宴の招待状が舞い込む。バンドの
リードギターで今のリッキーの恋人であるグレッグは自慢のギブソンのギターを質に入れ、西部までの旅費を
作ってくれたのだ。そして披露宴当日、回りの白い目にさらされて着席する。そしてリッキーのスピーチが
来た。リッキーはバンドのみんなでステージに上り、演奏を始めた。初めは躊躇したり、バカにしていた
参加者も、次第にダンスの輪に入っていったのだ。もちろん最初に踊り始めたのは次男夫婦であった・・。

そんなお話で、びっくりするようなスジではないのだが、ほんわかする作りにはなっている。深い
意味もないけれど、リッキーという母親の生き様みたいなものは伝わってきた。
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<ストーリー>
オスカー女優メリル・ストリープが夢を追って家族を捨てたワイルドな売れないロック歌手を熱演した感動ドラマ。
娘のピンチをきっかけに家族と再会したヒロインが、過去と向き合い、葛藤しながらも自らの生き様を見せることで
子どもたちとの絆を取り戻そうとしていく姿を描く。
メリル・ストリープと実の娘メイミー・ガマーが母娘役で共演し話題に。また、メリル・ストリープのバンド仲間を
リック・スプリングフィールド、リック・ローザスら一流ミュージシャンが演じているのも見どころ。
脚本は「JUNO/ジュノ」「ヤングアダルト」のディアブロ・コディ、
監督は「羊たちの沈黙」「レイチェルの結婚」のジョナサン・デミ。
 
ミュージシャンでの成功を夢みて3人の子どもと夫を捨てたリッキー。今は売れないバンド“リッキー&ザ・フラッシュ”の
ギター兼ボーカルとして、小さなライブハウスのステージに立つ日々。
そんなある日、元夫ピートから娘のジュリーが離婚して実家に戻ってきて以来、憔悴したままだと連絡を受ける。
なんとか飛行機代を工面し、ジュリーの元に駆けつけたリッキー。しかし20年ぶりの再会にも、ジュリーは自分を捨てた
母を許すことができない。そんな中、ピートから連絡を受けた2人の息子たちも戻ってきて、久々に家族が全員顔を
揃えるのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★6.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:64% Audience Score:43%>




# by jazzyoba0083 | 2017-03-27 22:45 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「パッセンジャー Passengers」
2016 アメリカ Columbia Pictures(a sony company).116min.
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:ネタばれしています>

宇宙を舞台にした、人間ドラマというより、恋愛映画、だな。オスカーノミニーとなった
プロダクションデザインは観る価値ある美しさだ。予告編で「惑星間冬眠旅行」の最中、一人だけ
早く目が覚めてしまった男がいた、といセリフに釣られ、この手の宇宙ものは大体見ているので、
いそいそとシネコンに行ったわけです。これが結構な入で。ま、封切って間もないのでこのくらい
入ってないとねえ。悪くはないけど、極めて良くもない、というほどの出来。個人的には嫌いでは
ないけど、何と言っても底が浅いんだね。

お話は単純。第二の地球と目される惑星に乗客5000人と400人ほどのクルーを乗せたアヴァロン号。
出発から30年経った時、一個の冷凍ポッドが壊れ一人の男が目覚める。周囲の機械はまるで到着の時が
来たかのように普通にふるまう。だが、回りを見回しても誰もいない。ジム(クリス・プラット)が
その男だ。機械に尋ねれば、惑星到着まであと90年あるという。死んじゃうじゃん、一人で!一時は
自殺も考えたジムだったが、アンドロイド型バーテンダー、アーサーをただ一人の友だちとして
なんとか一年ちょっとは持ちこたえた。しかし、孤独は如何ともしがたい。クルーを起こそうとしたりも
したが、一人ではどうしようもない。

そこで、ジムっては、可哀想に、客の中の可愛い娘オーロラをマニュアルを観てポッドを開けて、起こして
しまったのだ。最初のうちはオーロラもポッドが壊れて目が覚めたと思っていて、ジムと二人でそれなりに
時間の流れをごまかしていた。次第に恋愛感情も出てきて、ジムはオーロラに結婚指輪を渡そうとしていた。
そんな折、バーテンのアーサーがオーロラに本当のことを言っちゃうんだ。秘密だから黙っていろよって
言われているのに。

俄然激怒するオーロラ。口も聞いてくれない。そりゃそうだ、自分はジムによって殺されたも同然。
再びポッドに入り冬眠を目論むが、離陸の時のシステムがないと再び冬眠は出来ないようだった。

すると、こんどは甲板長がポッドの故障で起きてきた。そのころ、宇宙船には甚大な故障が発生して
いて、さらに小惑星との衝突もあり、いがみ合っている場合ではないオーロラも手を貸して修理に
当たる。その途中甲板長が持病で死亡するというアクシデントが!

最後はジムとオーロラが再び力を合わせて見事修理を完成させ、軌道に戻したのだった。
ジムは船内にある治療機を使えば再び冬眠できるかもしれないと知る。そしてオーロラに入る
ように言うのだ。

そして88年後。目的地に到着したアヴァロン号の中は植物が生い茂り、小屋ががあったりと、大きく
変貌していた。
さて、オーロラは一人で再び冬眠に入ったのだろうか、それとも、二人して残された何十年を暮らした
のだろうか。子供は出来たのかな?などの謎を残して映画は終わる。

視覚効果的に一番おお、っと思ったのは、船内の重力装置が故障し、一時的に全体が無重力になるところで
その時プールで泳いでいたオーロラが巨大な水球となったプールの自ら脱出できず、溺れそうになる
シーン。なるほど、そういう風になっちゃうのね、と。

ラストシークエンスは観客に様々な思いを投げかけて良かったのだが、基本は宇宙に取り残された男女の
ロビンソンクルーソー的ラブストーリーだから。同じ宇宙の孤独を描いた「ゼロ・グラビティ」と比べて
観ると人間の描き方の違いがよくわかると思う。
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<ストーリー>
 5000人の乗客を乗せ、新たな居住地を目指して航行中の豪華宇宙船を舞台に、冬眠ポッドのトラブルで
90年も早く目覚めてしまった2人の男女の運命を描くSFラブストーリー。
主演は「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンスと「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の
クリス・プラット。
監督は「ヘッドハンター」「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」のモルテン・ティルドゥム。

 近未来。豪華宇宙船アヴァロン号は5000人の乗客を乗せて地球を旅立ち、遠く離れた移住地に向かって航行
していた。乗客は目的地に到着するまでの120年間を冬眠装置の中で安全に眠り続けるはずだった。ところが、
航行中のアクシデントが原因で一つのポッドが不具合を起こし、エンジニアのジムだけが目覚めてしまう。

ほどなく自分以外に誰も起きていないことに気づくジム。それもそのはず、地球を旅立ってまだ30年しか経って
いなかった。つまり、ほかの乗客が目覚めるのは90年も先で、それはこの宇宙船の中でたった一人きりで残りの
一生を過ごさなければならないことを意味していた。それから1年が過ぎ、孤独に押し潰されそうになっていた
ジムは、目覚めたばかりの美しい女性オーロラと出会うが…。(allcinema)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:31% Audience Score:64%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359024#1こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-03-26 11:40 | 洋画=は行 | Comments(0)

ボーダーライン Sicario

●「ボーダーライン Sicario」
2015 アメリカ Black Label Media,Lionsgate,Thunder Road Pictures.121min.
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エミリー・ブラント、ベネチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ヴィクター・ガーバー、ジョン・バーンサル他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

トランプによるメキシコ国境の壁建設が話題になっている時期だけに、観る方も前のめりになる。
(映画が作られたのは大統領選挙より前の事だが)そして、監督の作劇は勿論だけど、それのベースに
なっている脚本が上手い。物語の多重構造が、それと意識させることなく、終わってみると、そういう
ことだったんだな、というある種のカタルシスとなっている。

一応主役はエミリー・ブラントということになっているが、もう「ザ・ベネチオ・デル・トロ ショー」。
彼の持つ独特の闇、言葉の少ない怖さ、容赦の無さが、100%出ている作品であるといえる。
FBIの誘拐即応対応チームのリーダーにして、国防総省グループのメキシコ麻薬ルート壊滅チームに
リクルートされた、ケイト・メイサー捜査官(エミリー)は、正義を振りかざすものの、終始利用される
立場である。その立ち位置と言うものも、本作では大切になるわけだから、配役の意味を踏まえての
確かな演技をしていたことは良かった。

とにかく冒頭から2時間、緊張の糸が切れない。これでもかという銃撃シーンと先が読めないストーリーを
堪能させてもらった。これを盛り上げるのはオスカーのミニーとなった撮影、作曲、音響の各部門だ。
荒々しい映像と色調(メキシコを意識した)、緊張を煽る通奏低音のようなモノトラスな音、そうして
観ると映画というのはやはり総合芸術だな、と得心が行くのだ。

先に上手い多層構造といったが、利用されるFBI捜査官ケイトのシークエンス、妻と娘を惨殺され、復讐の
鬼と化しているメキシコの元検事アレハンドロのシークエンス、そしてそれら全部をひっくるめて利用しようと
するアメリカ国家(国防総省やCIA)のシークエンスと、時間を追うごとに層が重なっていくのだが
それが話を複雑化していないのがこの脚本の上手いところだろう。

さて、本作にはメキシコで麻薬の運搬を手伝う警官シルヴィオとその一家が何気なく挿入されているのだが、
彼は最後にはアレハンドロに利用され、無残にも(殺さなくてもいいじゃんかねえ)射殺されるのだが、この
3箇所ほどしか挿入されないメキシコ人一家が、ガチガチのハードボイルドの本作に「もののあはれ」を
感じされる、これまたいい挿話となっているのだ。

しかし、これをメキシコ政府やメキシコ人はどう観るのだろうか。上空からメキシコ国境が写されるのだが、
そこには既にフェンスや金網が設置されている。麻薬の持ち込みは、取り締まらなくてはならないが、なぜ
メキシコから麻薬が持ち込まれるのか、というアメリカ側とメキシコ側双方の原因を解決しないことには
始まらない。だが、本作でも描かれるように、アメリカという国家は悪を悪として利用しようとするから
質が悪いわけだ・・・。とにかく、ベネチオ、最高、な一作。
ヴィルヌーブ監督、「メッセージ」「ブレードランナー2049」とたて続けに期待作が公開される。楽しみだ。
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<ストーリー>

麻薬カルテル壊滅のため、アメリカとメキシコ国境の町に送り込まれた女性エージェントが、常軌を逸した
現場に直面し変わっていく姿を描くサスペンスアクション。ヒロインをエミリー・ブラントが演じ、
ベニチオ・デル・トロやジョシュ・ブローリンといった実力派が脇を固める。
監督は『複製された男』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。

 エリートFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、肥大化するメキシコ麻薬カルテルを潰すために
アメリカ国防総省特別部隊に選抜される。特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)に召集された彼女は、
アメリカとメキシコの国境付近を拠点とする麻薬組織ソノラカルテル撲滅のための極秘任務に、あるコロンビア人
(ベニチオ・デル・トロ)と共にあたることに。
しかしその任務は、仲間の動きさえも掴めない通常では考えられないような任務であった。人の命が簡単に
奪われるような状況下に置かれ、麻薬カルテル撲滅という大義のもとどこまで踏み込んでいいのか、法が機能しない
ような世界で合法的な手段だけで悪を制せるのかと、善悪の境が揺さぶられるケイト。そして巨悪を追えば追うほど
その闇は深まっていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:94% Audience Score:84%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354473こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-03-24 23:40 | 洋画=は行 | Comments(0)

さざなみ 45 Years

●「さざなみ 45 Years」
2015 イギリス BFI Film Fund and more. 95min.
監督・脚本:アンドリュー・ヘイ
出演:シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ、ジェラルディン・ジェームズ、ドリー・ウェルズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

まあ、いろいろ有ったであろうけど、今はイギリスの田舎で穏やかな暮らしをしている老夫婦に
起きた「さざなみ」のような出来事。邦題はなかなか味がある。45年じゃ、何のことだか分からないから。

私くらいの歳になると、身につまされると言うか、人生経験を積み重ねないと分からない(若いことが悪い
ということではなく)ことが、じわりと胸に迫る。最後の結婚45周年イベントで踊る二人、特に主人公
シャーロット・ランプリングの目線の先にあったものは、果たして穏やかな未来であっただろうか、と
どきりとするようなエンディングである。ほぼ老人しか出てこない(最近は増えたけど)映画だが、主役
二人の演技で、原作はあるのだけど、えいや!と持っていった作画はなかなかだ。
シャーロットは本作でこの年のオスカーノミニーになったほか、ベルリンや全米批評家協会賞など沢山の
賞を獲得している。

冒頭、ジェフ(コートネイ)がケイト(シャーロット)と結婚する前、付き合っていたカチャという女性と
スイスアルプスの山歩きをした。彼女が転落し、行方不明になったのだが、半世紀近くも経って
当時のままの姿で氷河の中から発見された、という警察からの連絡が、なかなかミステリアスな設定で
宜しい。単に白骨体でないところに、現実の人間としてのリアリティが出ている。にくい出足だ。

「身内の方」って連絡が来ているけどなんで?と尋ねるケイトに対し「当時は夫婦と言わないと泊めて
くれなかったりしたからね」などと結構慌てている感じ。ケイトは、まあ結婚する前の話だし、死んだ
人の話だし、と余裕をカマしていた。スイスに行くの?こんな年になり、険しい山なんかに登れるかよ、
というジェフであった。

だが、ある晩屋根裏でゴソゴソしているジェフ、何しているの、カチャの写真が・・・見せてよ、と
いうやりとりが簡単にあり、後日、ジェフがいない時、屋根裏に入り、ジェフの当時の登山日誌を
見つける。そこにはカチャを写した多くのスライドが・・。
がぜん、夫に対する不信感が頭をもたげる。そして、カチャが死ななかったら彼女と結婚していた?
と尋ねると、「そうだな」という返事。間もなく結婚45周年のイベントがあるというのに、ケイトの
心には夫に対する不信感、嫉妬心がモクモクと台頭してきたのだった。ケイトも夫にいろいろと聞くが
夫ジェフは、心から悪気はなく、既にカチャは過去の人で、ケイトこそ愛する妻であるということは
不変であるようであった。ケイトが言いつのると、「彼女には関係のないことだ」と言うジェフ。
何気ない言葉だが、結構本質的だと思った。普通なら「お前には関係ないことだ」というだろう。
しかし、ジェフが口にしたセリフはカチャが主人公であったのだ。これにはケイトも傷ついたと
思う。だが、男の身として思うのは、(身勝手なんだけど)男は平気で複数の女性に平等に愛情を持てるのだ、
という事。これが分からないと、この老夫婦の「さざなみ」の本質は分からないのではないか。

気が乗らない、と言っていた自分たちの結婚45周年パーティーは、親友のジョージ夫婦が幹事となり
盛大に開かれた。スピーチでジェフは、涙を見せて、ケイトにこんな自分を長く愛してくれて
ありがとう、と感謝する。自分の人生で最良の事であったと。ジェフの言葉にウソはないであろう。
そして、結婚式の時と同じ「煙が目にしみる」でダンスをする二人。さて・・・。

たくさん使われる60年代英米ポップスが懐かしさを掻き立てる。
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<ストーリー>

2015年の第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞をW受賞するなど、各国の映画賞に輝いた、
とある夫婦の姿を映す人間ドラマ。シャーロット・ランプリングが長年連れ添った夫の元に届いた1通の手紙に
より心を乱される妻を、その相手を『長距離ランナーの孤独』のトム・コートネイが演じ、イギリスの名優の
共演となった。


 イギリスの小さな地方都市に暮らす夫婦、ジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)は、
結婚45年になる。子供はおらず、仕事を引退した今はささやかな日常を送っている。土曜日に結婚45周年祝賀
パーティを控えた月曜日、ジェフに一通の手紙が届く。50年以上前、雪山でジェフの恋人カチャがクレパスに落ち、
行方不明となっていた。しかし温暖化により雪が溶け、当時の姿のまま発見されたので遺体確認に来てほしい
というスイスの警察からの手紙だった。
ジェフが「ぼくのカチャ」と不用意に口にしたとき、二人の日常に変化が訪れる。ケイトに事情を説明する
ジェフは目の前の妻の存在を忘れ、上の空となっている。ケイトは家の中に冷たいものが入り込むのを感じる。

祝賀会の下打ち合わせに出掛けたケイトは、時計店でスイス製の高級時計を見つける。45周年の記念に夫に
ふさわしいと思い、家に電話を掛けるが、夫は出ない。何かに気を取られて電話に出られないのだと察し、
ケイトの気持ちに陰りが生まれていく。ケイトが家に戻ると、ジェフはいつもの夫に戻っていた。しかし夕食の
席で、ジェフはケイトにカチャとの出来事を語り出す。警察には夫婦と言ってあり、カチャはおもちゃのような
指輪を左手の薬指にしていた、と。ケイトは余裕の表情でやり過ごすが、内心は話を切り上げたくて仕方なかった。
ケイトは存在しない女への嫉妬心を重ねていき、夫へのぬぎいきれない不信感を募らせていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:97% Audiece Score:67%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355325#1こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-03-22 23:10 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「パンズ・ラビリンス Pan's Labyrinth 」
2006 メキシコ・スペイン・アメリカ Estudio Piccaso and more. 119min.
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アレックス・アングロ他
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              <2006年アカデミー賞 撮影賞 美術賞 メイクアップ賞 受賞作品>

<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>

久々の★9。大層面白かった!振り返ってみればこの監督の作品は「パシフィック・リム」を見て
びっくりした以来のこと。もっとこの人の作品を見たいと思った。イリニャトゥといいキュアロンと
いい、メキシコの監督ってこのところ凄いな、と今更ならが驚いた次第。

「ダーク・ファンタジー」とは言うけど、そういうジャンルを超えた面白み、映画が与えてくれる
観客個人の深読みの楽しさを満喫出来る、いわばジャンルレスな作品ということが出来よう。
残酷なシーンも出てくるのでお子様というより、大人の映画である。そこには様々なメタファーが
潜んでいる。それを読む解く面白みは先程書いたとおりだ。

個人的には2つの大きなメタファーを感じる部分が有った。主人公オフェリアは、ある日見つけた妖精に
案内され、牧神パンに出会うが、彼女こそ争いも貧富もない地底の王国の王女であるに違いない、ついては
3つの試練をパスすれば、王女と認め、王国に案内しようと誘われるのだが。
一つ目は、パンに「決して食べてはいけない」と言われた主人公の少女オフェリアは、我慢たまらずブドウを
2粒口にしてしまい。手のひらに目の付いたお化けに追いかけられる。なんとか逃げたが、約束を破ったことに
激怒したパン(所詮、オフェリア王女の下僕であろうに)が激怒し、王国の世界にはもう行けない!!と
オフェリアに告げる所。(ここでは私は、オフェリアのだらしなさを呪った)これは人の欲に対する弱さ、
ひいては人間の弱さの提示。

二つ目は、ラストシークエンス、
王子となるべき異父弟を連れ出してラビリンスに連れて来たのはいいのだが、パンから、王子の血を、と
いわれると拒否するオフェリア。するとそこに後を追ってきた異父の大尉が追いつき、オフェリアを撃つ。
弟は異父の手に。瀕死のオフェリアは地底の国で父や母(異父弟の出産時に死亡)が笑っていて、彼女が
歓迎させるようすが見られた。一瞬、あ、彼女の魂は救われ、王国へ行けたのか、と思うと画面は血を流し
倒れるオフェリアの姿に再び戻る。そして彼女は息を引き取る。(この時は、彼女の見た王国に彼女の魂は
行けたに違いないと思わずにはいられなかった)
地底の王国など存在していたのか?スペインのひどい内戦に疲れた少女の妄想が作り上げたのではないか、
しかし、残酷な戦争を繰り広げるフランコ軍の大尉(オフェリアの義父)は、人間の一方の悪という
メタファーであり、オフェリアと地底の王国は善のメタファーなのだ。これがベースとなり物語が構築され
ている。

だから、悪側の大尉と軍人たちは非道この上なく、捕虜に対する残酷な仕打ち、人の命をへとも思わない
極悪に描いておけば、後のカタルシスがより大きくなることは必定。それにしても残酷さの描き方は
半端ないのでお子様は見てはいけない。ゲリラを支援する大尉付きの女メルセデスの反撃に会い、口を
切り裂かれた大尉は、自分で口裂け女みたいになった口を縫うのだが、痛いよお!!
大尉に対する観客の憎しみを最大化しておいて、ラスト、自分の息子を奪い返し、迷宮を出てくると
待っていたのはレジスタンスたち。大尉「頼みがある。この子に生まれた時間を教えてやってくれ」
(大尉は時間フェチだった)メルセデス「お前の名前すら教えないさ」 メルセデスの弟が銃で
一発!このあたりのカタルシスがすごく生きてくるのだ。この引っ張り方はなかなかだ。
(映画の冒頭からこの大尉はいずれは地獄に落ちる目に合うのだろう、とは分かるのだが、その方法は、
と見ている方の期待値が次第に高まる構造になっているのだ)

過酷なスペイン内戦を舞台とし、そこにファンタジーの要素を入れた「戦争と平和」の構造を作り上げた
監督の脚本に唸る。終わり方も「所詮、現実からの逃避などは人間の頭の中でしかできやしないのだ」と
言われているようで、重い気分にもなる。パンや、安産を祈るための植物みたいなやつや、ナナフシ
みたいな虫など、おおよそ、お子様向けのファンタジーに出てくるような代物ではなく、むしろおどろ
おどろしく作り上げられている。そういう姿をした王国、というものにも意味を感じることが出来るだろう。

見てハッピーになる映画ではない。何か人生の実相を「ダークサイド」から眺めるような、暗さを
感じる。が、映画の出来としては極めて完成度の高いものといえる。
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<ストーリー>
「ブレイド2」「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ監督が「デビルズ・バックボーン」に続いて再び
スペイン内戦を背景に描く哀切のダーク・ファンタジー。再婚した母に連れられ、山中でレジスタンス
掃討の指揮をとる冷酷な義父のもとへとやって来た空想好きの少女は、やがて残酷な現実世界から逃避し
森の中の不思議な迷宮へと迷い込んでいくが…。
イマジネーションあふれるヴィジュアルと深いテーマ性が高く評価され、いわゆるジャンル映画であり
ながら数々の映画賞を席巻する活躍で大きな注目を集めた話題作。

 1944年のスペイン。内戦終結後もフランコ政権の圧政に反発する人々がゲリラ闘争を繰り広げる
山間部。内戦で父を亡くした少女オフェリアは、臨月の母カルメンと共にこの山奥へとやって来る。
この地でゲリラの鎮圧にあたるビダル将軍と母が再婚したのだった。冷酷で残忍な義父に恐怖と
憎しみを募らせるオフェリア。
その夜、彼女は昆虫の姿をした不思議な妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れる。
そこでオフェリアを出迎えたパン<牧神>は、彼女が地底の魔法の国のプリンセスの生まれ変わりで、
満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰ることが出来ると告げる。オフェリアはその
言葉を信じて、与えられた3つの試練に立ち向かう決意を固めるのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:95% Audience Score:91%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=326294#1こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-03-20 22:50 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「13時間 ベンガジの秘密の兵士 13 Hours」
2016 アメリカ Paramount Pictures and more.144min.
監督・(共同)製作:マイケル・ベイ
出演:ジョン・クラシンスキー、ジェームズ・バッジ・デール、パブロ・シュレイバー、デヴィッド・デンマン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

あのマイケル・ベイの作品が劇場で公開されなかったのだな。迫力あるドンパチだったけど、事件が
起きた当時のリビア、ベンガジの構造がよく分からず(冒頭に字幕で解説は多少あるが)、領事館が
攻められてくるまでは誰が何をどうしようとしているのか、とっても分かりづらかった。事態が動き
出すのは先述のように領事館襲撃、そして続くCIAなどが入る情報部隊への襲撃が始まってからだ。

現地で起きている事をペンタゴンやワシントンは見て見ぬふりをする、他のアフリカや欧州にいる
アメリカ軍は建前を突き崩せず、動けない、現地の指揮官はどうも保身に走っているようだし。
しかも、リビアでアメリカに味方している現地勢力、だれが味方で誰が敵か分からない!

こうした状況では、頼りになるのは自分とその仲間たちだけじゃないか!なんとかやりぬくしかないぜ!
しかも本土には帰国を待つ家族がいるというのに・・。という、そこはありがちで分かり易いが。
イーストウッドの「アメリカンスナイパー」、ビグローの「ハートロッカー」、「ゼロ・ダーク・サーティ」
など同様に実際に起きた事件を元に描かれた作品は、主人公を絞り安いのだが、本作の場合は
事件そのものが主人公のような体裁。かといってベン・アフレックの「アルゴ」ほど事件を上手くまとめ
切れているか、というとそうでもない、というこのあたりのどっち付かずが、一般受けしないと判断され
映画館での上映を見送られたのかもしれない。映像は成功していても作劇は失敗しているという・・・。

私としてはこの映画を見ていて唯一頭に浮かんだのは「みんな自分の事ばっかり考えて・・・。」と
いうこと。まあ、総じて戦争というのはそういうものなのだけれど。マイケル・ベイがこの映画を通して
言いたかったのはそればかりではなく、アメリカのために果敢に戦った少数の勇気ある男たちの話、だった
のじゃないか。もちろんその背後に言いたいことは山ほどあろうかと思うけど。それが描き切れていない
ところに本作の蹉跌があるといえよう。玄人受けはしないけど、素人さんには受ける、というRotten
Tomatoesの評価が、的を得ているようだ。
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<ストーリー>
「トランスフォーマー」シリーズなどのヒットメーカー、マイケル・ベイ監督が、2012年にリビアで
発生したイスラム過激派によるアメリカ領事館襲撃事件を映画化したアクションドラマ。
事件を取材したジャーナリストのミッチェル・ザッコフによるノンフィクションをもとに、支援を
絶たれた6人のCIA警備兵が繰り広げる13時間の激闘を臨場感たっぷりに描き出す。

12年9月11日、リビアの港湾都市ベンガジにあるアメリカ領事館が、イスラム過激派の武装集団に
占拠された。領事館のほど近くにあるCIAの拠点アネックスは救援要請を傍受するが、アネックスの
存在自体が極秘であるため手を出すことができない。アネックスに派遣されていた軍事組織GRSの6人の
警備兵たちも待機命令を受けるが、領事館を取り巻く状況が緊迫していくのを見過ごすことができず、
任意で救援活動に乗り出す。
出演は「プロミスト・ランド」のジョン・クラシンスキー、「ザ・ウォーク」のジェームズ・バッジ・デール
(映画.com)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:50% Audience Score:83%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=357056#1こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-03-18 23:20 | 洋画=さ行 | Comments(0)

ズートピア Zootopia

●「ズートピア Zootopia」
2016 アメリカ Walt Disney Pictures.108min.
監督:バイロン・ハワード 共同監督:ジャレド・ブッシュ
声の出演:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、イドリス・エルバ、J・K ・シモンズ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

今年(2016年度)のアカデミー賞長編アニメ賞を獲得した作品。トランプ大統領登場を予見したかのような
内容なのだが、テーマとしてはアメリカに普遍的に横たわる根の深い問題なのだろうな、ということは良く
判った。お子様が見ても勿論面白いが、これは基本的には大人のアニメだ。思わず、あれが誰で、と実在の
人物に当てはめたくなってしまう。日本語吹き替えで観れば、画の楽しさをたくさん味わえるのだろうが、口の
動きを確認したくて、またオリジナル版の声も確認したくて、日本語字幕で鑑賞した。

田舎の正義感溢れるウサギが警官試験に合格し、「誰でも何にでもなれる」という夢見る街、ズートピア警察に
着任する。しかし、実際の街は、差別や偏見にあふれているわけで・・・。ウサギの苦労が始まる、という出だし。
良さそうな人がそうでなかったり、怖そうな人が優しかったり。草食動物と肉食動物の確執があったり・・。

たくさんの魅力的な動物が、その動物が持つわかりやすいキャラクターを持って登場するが、私の一番の
お気に入りは狐のニック。小さい頃から「ずる賢い」という烙印を押され、ひねくれて生きてきたし、実際
ずるい商売をしていたりする。しかし、このニックが本作の重要な(ワタシ的には主人公といってもいいと
さえ思う)役割を演じ、映画の主題を体現もしている。アニメ化された表情がまた実にキュートでいい。
警官のボス、水牛のボゴもなかなか味のあるキャラクターで好きだ。

ウサギ警官との間の信頼するのしないのという関係から、ある捜査を二人で暴き、真の黒幕を暴き出すのだった。
狐のニックも警官となり、ウサギ警官とコンビを組むことになったのだ。

動物間の偏見はつまり人間社会のそれであり、多様性を認めあってこそ、というのは人間界以上に動物界では
重要なテーマ性を帯びてくるわで、アニメではあるが、動物たちがこうやってやって行けているんだから
人間が出来て当たり前じゃないか?と問われている気分になるのだ。
ズートピアとはアメリカそのものに他ならない。あるいは地球全体と見ても良いかもしれない。

しかし、今のアニメ技術は凄い。質感といい動きといい、アニメのほうが表現手段は豊富なんじゃないか。
今回感心したのは、背景に描かれる街並や大道具小道具、そして車などの質感が、リアルであって、
あんまりアニメを観ている、という気がしてこなかったのだった。
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<ストーリー>
高度な文明が発達した動物たちの楽園ズートピア。そこは、誰もが夢を叶えられるところだった。
田舎町バニーバロウで育ったウサギのジュディは、幼い頃から、世界をより良くするために警察官に
なりたいと思い描いていた。サイやカバといった大型動物だけが警察官になっているものの、ジュディは
警察学校を首席で卒業。ウサギとして初めて警察官になり、ズートピアに赴任する。

しかし、動物たちの連続行方不明事件が発生し、捜査に向かうのはサイやゾウといった大型の同僚たちばかり。
スイギュウの署長ボゴはジュディの能力を認めようとせず、駐車違反の取締りを命じる。そんな中、
街で困った様子のキツネの親子を助けたところ、彼らは詐欺師だった。だまされショックを受けるジュディに、
詐欺師のニックは、何にでもなれると思っていても無理だと言い放つ。
落ち込むジュディだったが、諦めずに、未捜査のままになっているカワウソのオッタートンが行方不明に
なっている事件の捜査に名乗り出る。ジュディを応援するヒツジのベルウェザー副市長の後押しもあり、
ボゴは期間は2日間のみであること、失敗したらクビにすることをを条件に、やむなく捜査を任せる。

チャンスを掴んだものの、手がかりは皆無だった。そこでジュディは、街に精通しているニックに協力を
依頼。秘密を握られているニックは、渋々彼女の捜査に付き合うことにする。ニックの情報網を駆使し
聞き込みを続けるうちに、ついにツンドラ・ラウンでオッタートンの痕跡が残る車を見つける。
しかしその車はツンドラ・タウンの闇のボス、ミスター・ビッグのものであり、ジュディとニックは
捕まってしまう。何とかこの危機を切り抜けたジュディとニックは、新たな手がかりを掴むとともに、
ズートピアに何かが起ころうとしていることに気付く……。(Movie Walker)

<IMDb=★8.1>
<RottenTomatoes=Tomatometer:98% Audience Score:92%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354239#1こちらまで。


# by jazzyoba0083 | 2017-03-16 22:40 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「ブラックボード 戦火を生きて En mai, fais ce qu'il te plaît」
2015 フランス・ベルギー Nord- Ouest Porductions.114min.
監督・(共同)脚本:クリスチャン・カリオン  音楽:エンリオ・モリコーネ
出演:アウグスト・ディール。オリヴィエ・グルメ、マルディド・セリエ、アリス・イザーズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
第二次世界大戦の欧州戦線において、ドイツ軍のフランス侵攻により、「20世紀最大の民族移動」と
言われた、フランス国内難民が発生した。本作ではそれを舞台に、ベルギーの親子がフランスに逃げ込む
のだが父は逮捕され、男の子と別れ別れとなる。男の子はある村の村民たちと一大移動をする中に入り、
若い女の先生に面倒を見てもらいながら、父親との再会を目指す。フランスで別れた場所にまた必ず
帰るという約束を信じて・・・というお話だ。日本未公開。WOWOWでの鑑賞。

パリ周辺の市民(農民)が南部へと、いわば疎開したという事実は冒頭でもエンディングでも実写の
写真を使って示しているが、浅学ながらこうした事実を知らなかったので、その点は面白く見た。
またベルギーのドイツ語圏に反ナチスの組織があったというのも新しいことだった。

ただ、丁寧に描いているようで、結構粗っぽい作りもあり、そのあたりが残念だった。タイトルの
ブラックボードとは黒板の事で、息子が行く先々で自分の行く場所を学校の黒板に書いていき、
それを父が見つけて再会、という仕組みなのだが、2回しかそのシーンはないし、とか。

ハイライトたる再会も割りと淡々と描かれる。途中でのイギリス兵の登場、撮影隊を抱えたドイツ軍との
やりとり、息子が直面する瀕死のドイツ兵とのやりとり、先に逃げた村民が惨殺されている光景を
見せたくなくて、子どもたちを集めて詩を朗読させながら移動するシーン、などなど各シークエンスの
描写も悪くないのだが、なにせ父子の再会という大テーマの周りにいろんな事を並べすぎたウラミが
残った。エンリオ・モリコーネの情感たっぷりの音楽もいいのに、物語を移動の苦労とするのか父子の
再会にするのかどちらかに重心をおいたほうが締まったのではないか。

父子役も少し単調であったと感じた。ドイツ軍があまり悪く書かれていないのもなんだかな。
ただ、ドイツ軍、フランス軍(人)、イギリス軍はそれぞれちゃんと母国語を喋っていたのは
流石に欧州の映画であるな、と感心(あたりまえか)した。

<ストーリー>
1939年、ドイツ。ベルギー人である父子、ハンスとマックスはナチスドイツから逃れようとフランスに
引っ越すが、ハンスは不法滞在とされて地元警察に逮捕され、マックスはフランスのパ=ド=カレー県の農村に
住む女性教師スザンヌに引き取られる。翌年、ナチスドイツの侵攻開始を受け、パ=ド=カレー県の住民たちは
疎開を開始。偶然から脱獄に成功したハンスは疎開した人々を追って、息子マックスとの再会を目指すが……。
(WOWOW)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359511こちらまで。

# by jazzyoba0083 | 2017-03-13 22:40 | 洋画=は行 | Comments(0)

この世界の片隅に

●「この世界の片隅に」
2016 日本 Mappa,Genco.126min.
監督・脚本:片渕須直  原作:こうの史代
声の出演:のん(能年玲奈)、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
良かったのだが、何が良かったのか自分として今ひとつ腹に落ちていないので、下記のように
とりとめのない感想になってしまった。恐らく私にとってこの映画は一度観たくらいじゃ
その良さが真に分からないのでしょう。また観ることにする。

「クラウドファンディング」「数少ない上映館」「口コミ」➤大ヒット!というこアニメ映画。
「君の名は。」との相乗効果もあったと思うのだけれど、あちらの超大ヒット、一大ブームに
比べれば地味な内容だったが、特に玄人筋に評判がよく、主要な賞は本作が獲得した。
映画館で観ようか、DVDが出るまでまてばいいか、迷っていたのだが、昨日時間が出来たので
まだ午前中に上映してくれているシネコンに出かけた。

本作は広島市と隣の軍港呉市を舞台にした、北條すず、という一人の女性を通じで、昭和10年代前半から
終戦、そして終戦直後までの時代の空気といったものを描いている。もっと「原爆」がフィーチャーされ、
悲惨な涙流れる映画か、と思ったのだが、さにあらず。原爆については、すずさんの実家がやられるのだが、
本人は呉市にいて、「あ、今なんか光った?」「うん、光ったね、なんだろう」くらいで、やがて大きく
なるきのこ雲が現れるくらいで、イメージとしての悲惨なカットはあるけど、それがメインではない。

「その時代の「ごく普通の庶民の生活」を「普通に」切り取ることによって、逆に「普通でいられることの
ありがたさ」「普通が一変してしまう恐ろしさ」が、映画を観終わってからじわじわと胸に迫る。」
(上記の感想が一回観た段階での私が総括出来る感想だ。まだ足りてないような気がする)
「戦争をしているのはいつも政治や軍人たちであり、庶民はそれに振り回されつつもなんとか暮らしを
楽しもうと工夫している」という見方も出来るかもしれない。

本作を観た多くの人が、いい映画だった、と声を高らかに言っているわけだが、(評論家も素人も)
何がそんなに良いんだろう、という気分もあった。エンディングあたりで鼻をすする音も聞こえたが、
私は胸が一杯になることはあっても涙が流れる、というところまではなかった。
感動が無かった、ということでは全然ない。個人的な受け止め方の問題であろう。

北條すず、は、のほほんとしていておっちょこちょいで慌て者、天然。でも気がよく周囲からは嫌われる
ことのないタイプ。彼女を取り囲む広島の家族。そして嫁ぎ先の呉市の北条家の人々。特に北条家の兄嫁
径子とのやりとりなどを、その時代を覗いているかのようなリアルな庶民の生活を活写することにより
生き生きとした暮らしが目の前に広がる。食事はどんどん粗末になり配給は途絶え勝ち。そんななかでも
庶民は力強く「普通の生活」をしようと工夫し頑張る。
すずの兄が石ころ一つになって帰ってきたり、径子の娘とすずが散歩中、アメリカ軍の落とした時限爆弾で
娘が爆死し、自分も右腕の肘から先が吹き飛ばされるのだが、すずは泣きわめいたり誰かを恨んだりは
はしない。戦争だから、というどこか諦観のようなものは感じる。だが義姉の娘を殺してしまったことに
ついては自分を責めるのだった。それが時代のリアリティなのだろう。

原作を含めた主なスタッフに当時を知る人はいないから、そうとう時代考証し、現地を調査したのだろう。
まるで当時のその世界に自分が立っているような気にさえなる。軍事に関することも詳しい点まで調べてある。
家の中にある小物、衣服、などもキチンと嘘の無いように描かれている。それがないと物語全体が生み出す
リアリティは出ないのだ。片淵監督は、「最近の戦争映画は記号的になってしまい、当時のありのままの
世界を見せてくれる作品が少なくなっている」とし、さらに

「(『この世界の片隅に』の舞台となる)戦時中から終戦直後の混乱期にかけての世界が、あまりにも
自分たちの接している日常的な空間とは異質だからです。異質だからこそ、そこに説得力を持たせる必要が
あって、その日常的な空間を想像力で埋めてはいけないだろうな、と思った
。「私たちはこの時代のことを
こんなふうに想像しました。だから、この異質なものを受け止めてください」というのは、途中で理屈が
ねじ曲がっている。

だとしたら、すずさんを通じて、ここで描かれている世界も自分たちが今いる世界の一部なんだと認識し
直してほしい。71年前の世界を、自分たちのいる世界の一部として描かなければいけないと思ったわけです。
それはもう想像力を廃したところで成立しなければいけなかった。」(以上、引用「KAI-YOU」

まさに「想像力を廃したところ」での力強さがこの映画の身上だといえるだろう。それによって、観た人の
多くの心に「そのひとのすずさん」が生まれたのではないか。
原作のマンガが有ったとは言え、このような力強い作品を創り出した片淵監督の今後にも期待したい。
最後になったが声優、のん の存在はこの映画にとってとても大きなものであった。すずをすずたらしめた
功績の大きな部分は彼女の声にある。家族で観に行って鑑賞後語り合っていただきたい映画である。
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<ストーリー>
 戦時下の広島の軍港都市・呉を舞台に、この街に嫁いできたのんびり屋のヒロインが、物がなく苦労が
絶えない日々の中でも持ち前の明るさとしなやかさで、つましくも心豊かな生活を送っていくさまと、
そんなささやかな幸せが徐々に戦火に呑み込まれていく残酷な現実を、丁寧な日常描写の積み重ねで
描ききった、こうの史代の傑作漫画を「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直監督が長編アニメ映画化
した珠玉の感動作。TV「あまちゃん」で一躍国民的人気女優となった能年玲奈が“のん”名義でアニメ
映画に初挑戦し、ヒロインの声を好演。

 1944年(昭和19年)2月。絵を描くことが好きな18歳のすずは、急に縁談話が持ち上がり、あれよあれよ
という間に広島市から海軍の街・呉に嫁にやってくる。彼女を待っていた夫・北條周作は海軍で働く文官で、
幼い頃に出会ったすずのことが忘れられずにいたという一途で優しい人だった。
こうして北條家に温かく迎えられたすずは、見知らぬ土地での生活に戸惑いつつも、健気に嫁としての仕事を
こなしていく。戦況が悪化し、配給物資が次第に減っていく中でも、すずは様々な工夫を凝らして北條家の
暮らしを懸命に守っていく。
そんなある日、道に迷っていたところを助けられたのがきっかけで、遊女のリンと仲良くなっていく
すずだったが…。(allcinema)

<IMDb=★8.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:---- Audience Score:94%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=348641#1こちらまで。



# by jazzyoba0083 | 2017-03-12 13:20 | 邦画・新作 | Comments(0)