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エール! La famille Bélier

●「エール! La famille Bélier 」
2014 フランス Jerco and more.105min.
監督・(共同)脚本:エリック・ラルティゴ
出演:ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン、エリック・エルモスニーノ、ロクサーヌ・デュラン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

なんの前知識なく、フランス映画とも認識がなく、WOWOWで録画されていたので観てみたら、これが
大当たり。社会的弱者や病気モノは最近富みによく製作されるが、その背景に、そういう人々と健常者が
日常どうあるべきか、を問わなければならないような社会である、ということと、その手の映画もちゃんと
観てもらえるようになったということがあるのだろう。ただし、お涙頂戴、ヒット狙いなものは当然ダメで
あるのだが。
その点、本作は、逆境を笑い飛ばすというフランス映画独特の乾燥度を持っていて、(例:「最強のふたり」
など)嫌味なく見ることが出来る。
障害者であることを変にオブラートに包むのではなく、あけすけに提示することにより、観ている方も、映画に
納得・同化しながら楽しむことが出来るのだと思う。
 とにかく登場人物がアッケラカンとしていて、めそめそしていない。ポーラに初潮が来た、といって大騒ぎ
して喜ぶ両親、また母が膣炎で婦人科にかかり、ポーラは通訳して、母に性生活を控えめにするように通訳したり
とかのシーンがあったと思えば、学園祭で歌う歌が、おいおい、こんな大人の歌を中学生に歌わせていいのかよ、
と思ってしまうような歌だったり、父親がなんと村長に立候補すると言い出したり・・。とにかくカラッとした
映画なのだ。だから最後の大団円が盛り上がるのだな。
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登場するのは四人家族。娘のポーラ以外は両親、弟3人共聾唖である。この設定が映画の全てといっても
いいくらいだ。一家は酪農を営み、回りの人達の理解もあり、不自由を感じることもなく暮らしていた。
娘は健常者であるのだが、手話を駆使し、家族と語り合う。家の手伝いを一生懸命するような、なかなか
出来た娘であるのだが、授業には疲れから居眠りをしてしまうなど、はなかなか打ち込めない。

ある日学校でコーラス・グループが結成され、ぶーたれていたポーラは先生から団に入るように指名されて
しまう。しかし、彼女の歌声を聴いた先生は、その歌声の可能性に驚き、個人レッスンを受けるようにいう。
パリの音楽学校に行け、その能力はある、というのだ。 
 一家のコミュニケートを支え、通訳代わりを勤め、酪農も手伝う生活をしているポーラ、自分が抜けたら
一家は大変なことになる、と大いに悩む。でも夢は叶えたい。自分の歌声を家族に聞いてもらうことは
出来ない、ということも彼女を悩ませる。個人レッスンを止めたり、なかば自暴自棄になったり、
ボーイフレンドと喧嘩したり・・・。両親にパリ行きを打ち明けるも、なかなか理解は得られない。

学園祭の出し物でコーラスや、ボーイフレンドとのデュエットを披露するポーラ。見に来ていた家族は当然
彼女の歌は聞こえなかったが、その美声は大評判だった。音楽の先生は、彼女は才能がある。応援してあげ
ないか、と語るが、事情をわきまえたポーラはそれを通訳しなかった。

その夜、父はポーラを庭に呼び出し、歌ってくれという。父は彼女の喉に手を当てて聞き入っている。
オーディションの日を知っていた父は、ポーラを起こし、パリへとクルマを走らせる。オーディションが
始まった。しかし、ポーラの歌う歌を伴奏者は楽譜がないという。そこに、ポーラがパリに行ったと
聞きつけた音楽の先生が登場、私が弾きます、と。そしてオーディションが始まった。
遅れて駆けつけた家族。その前で、彼女は手話も使い、まるで一家と自分の事を歌ったような歌を力一杯
歌い上げたのだった。結果は合格! ポーラのパリでの新しい人生と、ポーラ抜きの家族の新しい暮らしが
始まったのだ。
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大柄なポーラがちょっと初潮を迎える中学生にしては体格が良すぎるんじゃないか、とは思ったけど、
彼女を含め、手話を駆使し、特に両親と弟はセリフが全く無い演技だが、キャラクターを上手く出して
見ものであった。ポーラを演じたルアンヌ・エメラは実際にテレビのオーディション番組で優勝し、この
映画にキャティングされたまだ素人っけが残る女優さん。そこら辺も良い方に作用したんじゃないか。
独特の軽・重い感じがいい。自分の道を見つけていくという青春ドラマでもあり、家族ドラマでもある。
佳作。

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353061#1こちらまで。

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:81% Audience Score:76%>


by jazzyoba0083 | 2017-02-16 22:55 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「愛しき人生のつくりかた Les Souvenirs」
2015 フランス Nolita Cinema and more.93min.
監督・(共同)脚本:ジャン=ポール・ルーヴ
出演:アニー・コルディ、ミシェル・ブラン、シャンタン・ロビー、マチュー・スピノジ、ジャン=ポール・ルーヴ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

いかにもフレンチテイスト、「面白うて、やがて哀しき」という風情と「ビタースウィート」という
テイストをまとった、ある家族に焦点を当てた掌編ドラマ、という感じだ。★は6.5+α。

エスナール一家のおじいちゃんの葬儀から始まる。孤独になったおばあちゃんマドレーヌが主人公風。
そしておばあちゃん子にして孫で作家を目指している青年ロマン、その恋人になるノルマンディー地方の
女性教師、ロマンの父ミシェルは郵便局を定年退職したばかり。母は教師をしているが定年間近。2人の
関係は冷めそうでギクシャクしている。
父には2人の男兄弟がいる。そんな一家に起こるエピソードがとっちらかりそうで、なんとか纏めてあり
ラストシークエンスにおいての伏線の回収でカタルシスを得ている。ラストにかけての構成と盛り上げ方は
上手いのではないか。

おばちゃんは最愛の夫を亡くし、一人暮らし。しかしある日倒れてしまい、心配したミシェルは
おばあちゃんを老人ホームに入れることにする。納得して入ったホームだが友人が出来るわけでもなく
孫のロマンは頻繁に訪ねてくれたけど、自分の居場所ではないと考えていた。

ミシェルはメニューを1時間眺めていても決まらないグズで、そのあたり長年連れ添った妻との関係は
ギクシャクしている。ロマンはホテルの夜勤のバイトを始めていた。そんなある日、おばあちゃんんが
ホームから消えてしまった。慌てた一家はほうぼう探し回るが、長男ミシェルは自分がホームに入れた
からだ、自分が殺したんだ、と悲観する。もうおばあちゃんが生きていないような思い込みぶり。

冷静な孫のロマンはおばあちゃんは思いでの地に行ったに違いなと確信し、クルマでノルマンディーに
出かける。そこの案内所では自殺しにきた青年か、とかからかわれたが、おばあちゃんは母校の小学校を
訪ねていたのだった。そしてそこで、先日の葬式でちら見して気に入っていた女性が教師として勤めて
いることも判った。教師のアイデアで、小学校のこどもたちと触れ合い、みんなに自分の画まで描いて貰い
とてもいい時間を過ごせたおばあちゃん、だがホテルに帰ると、再び倒れてしまった。救急車で病院に
運ばれるが昏睡状態。ロマンは旅の本を読み聞かせてみるが・・・。

ラストシーンは映画冒頭の葬式シーンと同じ。しかし埋葬されるのはおばあちゃんだ。司祭曰く、
「人間は埋葬されるために生まれてくるのではない」「愛とは与えるものなのだ」とおばあちゃんが
生涯を通してみんなを愛したことを説いた。そこに遅れてきたノルマンディーの女性教師。すでに
ロマンとの間に愛が芽生えていた。

まさに「Life goes on」。三世代のふとした人生のドラマには含蓄のあるコトバも多く(ガソリン
スタンドの店員や司祭)一家三世代の愛のありようが心温まるストーリーで語られている。ラストの
閉じられたおばあちゃんの墓石からの引きながらの俯瞰パーンで、墓場から2人して仲良く去っていく
孫のロマンと恋人の女性教師の姿を捉えたシーンは非常に多くを物語る良いカットだった。
「流転する人生」・・・。短い時間であるが、フランス映画らしいウィットに富み人生の実相を
見る人に考えさせる良作といえよう。
監督で映画に出演もしているジャン=ポール・ルーヴはハフポストのインタビューで「この映画は
なにかを伝えたいという明確なものは無くて、今の社会はこうなんだ、ということを観てもらいた
かった」と応えている。そのように出来上がったと思う。三世代一家の事象から人生を考えさせる
ような仕上がりになっている。
主役のおばあちゃんマドレーヌを演じたのはフランスの国民的歌手アニー・コルディ。美しい
ノルマンディーの風景とともに流れるシャルル・トレネの「残されし恋には」が、効果的に
使われている。ラストシーンでは胸がキュンとなるだろう。

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes:Tomatometer= --  Audience Score=56%>
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<ストーリー>
パリとノルマンディを舞台に、夫に先立たれたおばあちゃんが、それぞれに悩みを抱えた息子と孫と
織りなす家族3世代の物語を心温まるタッチで綴る人生ドラマ。
主演はフランスの国民的歌手のアニー・コルディ。共演に「仕立て屋の恋」のミシェル・ブラン、
TVを中心に活躍する若手マチュー・スピノジ。
監督は俳優としても活躍し、これが監督長編3作目のジャン=ポール・ルーヴ。

 最愛の夫をなくしたばかりのマドレーヌは、パリの小さなアパルトマンでひとり静かに暮らしていた。
3人の息子を育て上げ、それなりに充実した人生を過ごしてきたマドレーヌ。今も、大学生の孫ロマンの
ことが可愛くてしょうがない。
そんなある日、マドレーヌが突然倒れて入院する事態に。大事には至らなかったものの、ひとり暮らしは
心配と、息子のミシェルは兄弟と相談してマドレーヌを老人ホームに入居させることに。退屈なホーム生活に
不満が募るマドレーヌ。ある時、足繁く通ってくれるロマンから、息子たちがアパルトマンを勝手に売り払って
いたこと知り憤慨、ホームから姿を消してしまう。そこでロマンは彼女を探す旅に出るのだったが…。
(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354248こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-02-13 23:10 | 洋画=あ行 | Comments(0)

青空娘

●「青空娘」
1957 日本 大映 88分
監督:増村保造 製作:永田雅一 脚本:白坂依志夫 原作:源氏鶏太
出演:若尾文子 菅原謙二 川崎敬三 沢村貞子 ミヤコ蝶々 穂高のり子 信欣三 三宅邦子 品川隆二他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
昭和32年製、その後、コンビで仕事を重ねる増村、若尾コンビの初作にして、増村監督第二作となる。
驚いたのは、たしかに古いストーリーだし、まるでシンデレラを観ているようなご古典的都合主義的展開では
あるのだが、そこに散りばめられた人生の実相に迫る部分は源氏鶏太の真骨頂であり、この映画の大きな
魅力かつ気づきであった事。
もちろん突っ込みどころも満載なのでそれを楽しみながら観るのも手だ。ネット上では本作をなんだ
かんだ言いながら愛している人が多いことが分かる。昭和の青春映画の王道がここにはあるからだ。
WOWOWでの鑑賞であったが、大映カラーの発色があまり良くなかった。さりながら、カラー映画と
言うこと良く理解した色彩配置であってそれも魅力的だ。

更に、活気溢れる若尾文子の存在と相俟って、その演出や編集の斬新さ、スピード、菅原謙二の
ノリツッコミ、ミヤコ蝶々の漫才のような掛け合いなど、この手の青春映画に欠かせない要素はしっかり
押さえてある。映像的に印象深かったのは、若尾が伊豆から東京へ出てきた時の、東京駅頭のシーン。
アオリのアングルで、固定されたフレームに人物のフレームインフレームアウトで物語を進めるところ、
川崎敬三が若尾に結婚を迫るシーンでのテニスコートの金網とテニスをする人を上手く絡めたシーンなど。
もちろん卓球のシーンのカットや編集も刮目する。長めのアバンタイトルとエンドロールなども
この当時の映画としては新しく、新鮮な感じを受けた。

天津爛漫、明るい頑張り娘、はちきれんばかりに若い若尾文子の魅力がほとんど全てなのだが、その
魅力を増村組は十分に引き出すことに成功している。ノースリーブのシャツ、細いウエストを強調した
衣装、ポニーテールの髪型などもそうである。吉永小百合などの長く活躍している女優さんは、
大体若い頃のお顔はパッツンパッツンに張っている。歯列はその後矯正したんだろうな。

あっという間の88分である。終始若尾文子の魅力にいい意味で振り回され、そして元気が出る
一作だ。その後テレビで「スチュワーデス物語」などの大映ドラマの脚本を書くのだが、その
原点がここにあるといえるだろう。また昭和30年代前半、東京オリンピックが開催される前の
東京の風俗(走っているクルマも含め)を楽しむのもいい。
作品のポスター、青空バックに白いシャツ、手を後ろに佇む若尾のアオリ気味のプロフィールが
とても魅力的だ。
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<ストーリー>
伊豆のある町の高校を卒業した、小野有子は東京の父母の許に帰ることになっていた。だが小さい頃から
育てられたお婆さんに臨終の際、本当の母は他にいることを聞かされて驚いた。
訪れた小野家では父親が出張中で女中扱いされ、味方は女中と出入りの魚屋だけだった。が次男の腕白
中学生弘志とある時大喧嘩をしてから急に仲よくなった。

そんな頃、有子は卓球大会で長女照子のボーイフレンド広岡を破り、彼から好意を持たれたので照子の怒りを
買った。だが彼女は“いつも青空のように明るく”生きることを教えてくれた絵の先生二見が上京するという
ので大いに力づけられた。
また、帰った父栄一から母の話を聞き行方不明の母を探そうと決心をした。一方、広岡が有子に求婚した
ことを聞いた照子は有子を泥棒よばわりし、彼女は堪えかねて家を出、二見の下宿を訪ねた。そこで二見の
温かさに触れたものの、隣の住人で二見の恋人と自称する女性が現れて追いたてられてしまった。

広岡から旅費を借りて伊豆に帰った有子は、実の母が訪れて来たことを知り残念がるが、母が生きていた
ことが分り喜ぶのだった。やって来た二見を囲んでクラス会が開かれ、席上友達の信子からジャズ喫茶を
やっている叔母を紹介され、有子は再び上京、そこで働くことになった。
広岡や二見の協力で有子が実の母に会うことが出来た感激の瞬間、弘志がたずねて来て父が病床にあることを
告げた。有子は尻ごみする母を連れて小野家を訪れた。栄一の臨終間際の心ある言葉に、家族達はすべてを
水に流して和解することができた。いつの間にかひそかに有子の面影を抱いていた二見も、淋しい気持を
ふり払って有子と広岡の将来を祝福してやるのだった。(Movie Walker=シネマ旬報)

この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv25274/こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-01-28 22:45 | 洋画=あ行 | Comments(0)

アンダーカバー Imperium

●「アンダーカバー Imperium」
2016 アメリカ Atomic Fearures and more.109min.
監督・脚本・(共同)製作:ダニエル・ラグシス
出演:ダニエル・ラドクリフ、トニ・コレット、トレイシー・レッツ、サム・トラメル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
日本未公開作品。WOWOWにて鑑賞。実話をベースにしている。トランプ政権成立後に観たので
ここに描かれる白人至上主義者の主張がある部分トランプの主張にダブって見えて、考えさせられる。

続く緊張、よく出来た脚本がラドクリフの演技を支えた。おどろおどろしくもならず、いい感じの
出来だと思った。だが、潜入捜査が完了した時の、いわば騙し騙された双方の心の動きが弱く、
画竜点睛を欠いた感がある。通り一遍なそこそこの出来の潜入捜査ものになってしまった。そこが残念。
そこまではいい出来の映画だったのに。トニ・コレット扮するサポート側の先輩FBI捜査官にラストで
「結局の原因は、被害者意識ね」と言わせて、騙した側の青年が更生した後、学校で講演して曰く、
「僕は受けてきた被害と同じことを警察や周囲にしていた」と言わしめるだけだったのが物足りない。
ラドクリフの捉え方をもう少し聞きたかった。入れ墨を入れたりしてあれだけ同化の演技を上手く
したのだから。

だが、ブラームスを聴く白人至上主義者ジェリーとは、騙していて悪いなあ、という思いがあった
ように描かれるが、そのあたりの心持ちと、お互いミッションを成し遂げようとする気持ちの相克が
描かれる部分もあったが。付けられた原題から推察されるのは、単なるFBIもの以上に深い心の動きを
捉えた映画を目指していたのだろう。大筋が単純なので、役どころの心の動きが分かりやすく描ける
シークエンスではあったと思うから、よけいに残念だ。

ゲジゲジ眉毛のラドクリフ、坊主頭にして白人至上主義者を良く演じていたと思う。潜入した先の
アーリア人同盟やKKKのやつらがあまり酷く描かれないので、ラドクリフ君、先入先で同化されちゃう
んじゃないか、とハラハラもさせる。
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<ストーリー>
元FBI捜査官の実体験をもとにした、ダニエル・ラドクリフ主演のスリラー。白人至上主義を掲げる
ネオナチ集団が爆弾テロを計画しているとの疑いが持ち上がり、ネイトは潜入捜査することに。
計画を阻止するため、彼らに同調しつつ探りを入れていくが……。
監督は本作が長編初監督作品であるダニエル・ラグシス。脚本にはモデルとなったマイケル・ジャーマンも
参加している。

白人至上主義を掲げ過激さを増すネオナチ集団に、爆弾テロ疑惑が浮上。潜入調査することになった
FBI捜査官ネイト・フォスター(ダニエル・ラドクリフ)は、髪を刈ってネオナチの象徴でもある
スキンヘッドにし、彼らに馴染むよう行動しながらテロを阻止しようとするが……。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv61975/こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-01-25 14:00 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「エージェント・ウルトラ American Ultra」
2015 アメリカ PalmStar Media and more.96min.
監督:ニマ・ヌリザデ
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、トファー・グレイス、コニー・ブリットン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ある種のヒーロー物だけど、オフビート感に溢れ、ポップでシュール?スタイリッシュ?な作品。
スカッとするわけでもない、どこか湿度の高い感じがして、MARVELなんかのヒーロー物とは
ちょっと違う。
ラストで主人公がゴリラのアニメーションに変身するあたりが本作の感覚的な真髄なのであろう。

本人が意識していないのにエラいスーパーマンになっている、という事を主人公のマイクが
ドギマギしながらも認識するというようなリアリズムが無く、終始ポップな感じで進むので
かなりエグい殺しのシーンも、苦にせず観られるという・・・。

全編お遊びのような出来なので、結局何を言いたいのか分からない。最初のうちはまともと
思っていたガールフレンドがひたすら可愛そうだったのだが、正体がバレてみれば、なーんだ
そういうことね、と分かってしまう。スパイク・リーやジャームッシュのオフビート感も感じるの
だが、そこまで徹底して吹っ切れていないんじゃないかと・・・。(そこが狙い目では無いのかも
しれないが)かと言って「キック・アス」のようなシンプルな勧善懲悪に収斂していく部分も無いし・・・。
血みどろの戦いの挙句、スーパーから出てきてプロポーズしたところ、二人共ビリビリ銃で
ダウン、のところは笑えたが。

ジェシー・アイゼンバーグのヒーローっぽくないダメ男っぽさが配役の要因なのだろう。
もうみんな馬鹿なんだからあ・・・・。マイクはどうしたらフィービーに結婚指輪を
渡してプロポーズ出来るのでしょうか!という顛末記なのかもしれない。
いやあ、書いていて何にピントが当たっている映画か、わかんなくなってきた・・・。
結構できの良いB級映画、かも知れない。そうそう、映画の中のキーになる音楽が
ハワイアンというのもノーテンキアクションぽくて良かった。
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<ストーリー>
 片田舎のコンビニでバイトする若者マイク・ハウエル。フィービーという恋人がいながら、
ボンクラな毎日を送る典型的なダメ男だった。ところがある日、店に現われた謎の女性が彼に
向かって意味不明な暗号のような言葉を発して立ち去る。その瞬間、彼の中で何かが覚醒する。
直後、彼に襲いかかってきた2人の暴漢をスプーン1本で難なく退治してしまう。マイク自身
すら知らない彼の正体は、CIAが極秘のマインド・コントロール実験で生み出したスーパー・
エージェントだったのだ。やがてプロジェクトの封印を目論むCIAによって命を狙われる
マイクだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354455#1こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-01-09 22:40 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「オデッセイ The Martian (再見)」
2015 アメリカ 20th Century Fox,Scot Free,and more.142min.
監督・・(共同)製作:リドリー・スコット 原作: アンディ・ウィアー 『火星の人』(早川書房刊)
出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャスティン、クリスティン・ウィグ、マイケル・ペーニャ、ケイト・マーラ他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
昨年の今頃、IMAX 3D で鑑賞。感激して★9を進呈し、昨年観た映画の中でも上位にランクさせた
作品。WOWOWで放映していたので再び観てみた。やはり面白い映画だと再確認した次第。
シネコンで観たときの感想はhttp://jazzyoba.exblog.jp/24131423/ こちらでお読み頂きたい。

1年経過して観ると見えていなかったところも見えたりで別の面白さが味わえた。例えばジャガイモを
育てようとして小爆発をさせてしまうところ、更に基地に穴があいて大爆発し、食料を育てることが
叶わなくなってしまったシーンなどは、基地の中の酸素の状況とか、火星の大気の状況などを分かって
観ていたので迫力も増した。また船長の好みとして作品中に流れる80年代の懐かしいディスコミュージック
にもウキウキしたし、この音楽が作品中に果たす役割の大きさを確認出来た。

さはさりながら、いくら小説とはいえ、ここまでの強い精神を持つ人間が果たしているだろうか、とも
思う。楽天的な性格、有るもので植物を育て、昔に火星に着陸した衛星を掘り起こす科学的知識を
備え、かつ体も頑強で、というスーパーマンのような男。ホントに「火星人」(原題)だ。
宇宙飛行士は心身ともに頑強で、とは分かっているのだが・・・。自分だったら気が狂うと思う。

火星ではあんな凄い砂嵐は起きないとかのツッコミもあるようだが、まあそうしたことを見つけながら
観るのも面白いかもしれない。なぜならば、リドリー・スコットは徹底した娯楽作品として本作を
仕立てているからだ。もちろん火星に一人残された男の行き方や彼を救おうとする地球側スタッフの
頑張りなど心打たれることも多いのだが、それを含めても「エンターテインメント」である。
ちなみに私個人としての突っ込みどころは、地球側の監視スタッフが、火星上空から送られてくる
基地の写真に動きを見つけるシーンで、コーヒーカップとパイだかの食べ物を持ってコンソールに
着席するシーン。恐らく、水がこぼれたりしたらアウトな精密機械のところにコーヒーは持っていかないと
思うのだが。

画面は小さくなったけど十分に楽しい2時間強であった。
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本作のデータはhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353437こちらを参照ください。

by jazzyoba0083 | 2017-01-05 23:00 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「アラビアのロレンス Lawrence of Arabia (4K Digital Remaster)
1962 イギリス Horizon Pictures. Distributor:Clombia Picturtes. 207min.
監督:デヴィッド・リーン 音楽:モーリス・ジャール 原作:T・E・ロレンス
出演:ピーター・オトゥール、アレック・ギネス、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン、アンソニー・クエイル他
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       <1962年度アカデミー賞 作品、監督、撮影、作曲、美術監督・装置、音響、編集賞受賞作品>
<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>

過去に鑑賞済ではあるが、この度NHKBSで4Kリマスター版の放映があったのと、昨今の中東情勢を鑑みる時
混乱の元を作ったといっても過言ではない「イギリスの三枚舌外交」におけるロレンスの立ち位置を確認したかった
ので、インターミッションを挟み2日に分けて観た。★は10個献上したい気分。結局ロレンスの役目というか、
たった二年間ではあったが「アラビアのロレンス」であった時期が、ラストの暗喩では分かりきれない部分が
もどかしい気がした。(一方で余韻があるじゃないか、という気分もある。でもそれは歴史をそこそこ知っている
からじゃないかな)

本作を見るに当たり歴史好きな人は是非、第一次世界大戦前後の「三国協商」とオスマン・トルコ帝国、それにアラブの
関係をおさらいなさると良いと思う。特に、ロレンスの母国が深く関わった「フサイン=マクマホン協定」「サイクス・
ピコ協定」「バルフォア宣言」については、今のイラク・イラン情勢、イスラエル・パレスチナ紛争、クルド問題などの
根っこがこの辺りに深く根ざしているので、そのことを大体理解してみると、俄然面白いと思う。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%9E%9A%E8%88%8C%E5%A4%96%E4%BA%A4
<リンクは「三枚舌外交」についてのwikipediaの説明>

また鑑賞後に、読書家、松岡正剛の「千夜一冊」からT・E・ロレンス「知恵の七柱」の章をお読みいただくとまた
味わい深いと思います。http://1000ya.isis.ne.jp/1160.html

さて、本編である。インターミッションを挟む前編は、フレデリック・A・ヤング(「ドクトル・ジバゴも手がける)
とニコラス・ローグの手による、圧倒的な砂漠の光景と(構図といろのなんと美しいこと)モーリス・ジャールの
壮大な音楽に乗せて、ロレンスが、アラビアのロレンスになりつつある所までを描く。息を呑む広大で美しい映画の
シーンは、映画史に残るものだ。そして映画音楽とはどうあるべきか、ということを強く思う。

ロレンスが何故にこんなにアラブに惹かれ、そして軍人として多数あるアラブ民族を糾合し、一大勢力を作ろうと
したのか、それは心からアラブ(という土地)を愛していたから、(イスラーム的なという意味ではない)であろう。
故に、ファイサルに一団となったアラブ勢力を任せると、イギリス影響下の成立を嫌がるファイサルの本音と、
アラブをイギリスの意のままにしたい軍部いや政治家たち、両方から邪魔者となってしまい、自らの深いアラブ愛に
裏切られた形として寂しくアラブを去るのである。
一方、彼のナルシストで、サディストで、ホモセクシャルな(トルコ軍に捕らえられたとき映画でも雰囲気は描か
ている)性癖からの特にトルコ軍への虐殺などの内面的な相克も見事に捉えられている。
彼は190センチに届かんとするピーター・オトゥールとは違い、165センチと短躯でり、幼いときの怪我で
足も若干悪かったようだ。そのことが彼の「孤独を愛する」という性格形成に大きな影響を持ったともいわれ、
バイク事故でなくなる弱冠45歳に至るまで生涯独身を通した。

本作を再見するまで、ロレンスは「イギリスの三枚舌外交」に一枚噛んだ悪役と思っていたが、(今でも
パレスチナ人あたりにはそう思われている。結果論であろうが。)実は、第一次世界大戦前後の帝国主義の
野望の中で結果として利用されてしまった「夢見る人」であったのだなあ、と再認識したのだった。

巨匠デビッド・リーンの手になる本作は映画史に残る永遠の名作であることは間違いはない。
出演者はオトゥールを始め、アレック・ギネス、オマー・シャリフ、アンソニー・クインら歴史に耐えうる
キャスティングであった。
ただ3時間半を超える上映時間において、冒頭、ロレンスの葬儀を終えて出て来る男や、新聞記者が
ラストに近いシークエンスで出てきた男たちだと一回観ただけで分かる人が何人いるだろうか。
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<ストーリー>
1916年、カイロに赴いている英国陸軍のロレンス少尉は、トルコへの反乱に意気込むアラブ民族の現状を
確かめに向かった。そこで彼は反乱軍の非力を痛感し、アラブ種族をまとめ上げてゲリラ戦へ打って出ることに。
やがて、トルコの一大拠点を巡って激闘を展開し、勝利する。そして、再びゲリラ戦の指揮官として新しい
任務を与えられ、トルコ軍を打倒するロレンス。だが、一方でアラブ同士の争いが起こり、彼も尽力むなしく
徐々に孤立していく…。
 
D・リーンの数ある名作の中でも紛れもない最高傑作で、アカデミー賞7部門を受賞。
1914年、第一次大戦中のアラブ。砂漠の利権を狙い侵攻するトルコ軍とアラブ人たちとの激突、大英帝国の
介入と、激動するアラブ社会に突如現れた英国人T・E・ロレンス。ドラマは、砂漠とその民を深く愛し、
しかし英国人であるがために深い挫折に追い込まれていく青年リーダー、ロレンスの苦悩を中心に、砂漠の
一大戦争スペクタクルを展開していく。
ベドウィン族の戦闘部隊が一瞬の内に一村を壊滅させるシーン、疾走する列車を爆破するシーン他、その迫力は
今なお圧倒的で、今日では絶対撮影不可能とまで言われている。
D・リーンが長年こだわり続けている“人間と自然”“西欧文明と異文化の相克”のテーマがここでも徹底して
描かれ、深い感動を呼ぶ。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=1375#1こちらまで。



by jazzyoba0083 | 2016-12-18 22:00 | 洋画=あ行 | Comments(0)

オートマタ Autómata

●「オートマタ Autómata」
2014 ブルガリア/アメリカ/スペイン/カナダ Green Moon,Nu Boyana Viburno.110min.
監督・(共同)脚本:ガヴェ・イバニェス
出演:アントニオ・バンデラス、ディラン・マクダーモット、メラニー・グリフィス、ビアギッテ・ヨート・ソレンセン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

WOWOWではこの所、宇宙モノ、SFモノを多く放映していて、このジャンルのファンである私にはとても
嬉しいことだ。先日のカーペンター監督「ダーク・スター」、キューブリック「2001年宇宙の旅」そして、本作。
更に「スター・ウォーズ」シリーズ全作一挙放送などなど。
で、最近のAIものが語られる時、必ずといっていいほど話題に上がるのが、この「オートマタ」である。
「オートマタ」とは12世紀から19世紀に欧州で作られた、いわゆる「西洋からくり人形」のことであり、
本作ではその2044年版ということからの命名であろう。当節、当然、からくり人形もAIであるが。

作品ではドロイドに対しては、太陽風の影響で世界の人工が2100万人まで減ってしまい、労働力の減少に
対応するためAI型ロボットが作られる。彼らには2つのプロトコルが変更不可の機能として備わっていて
①「生物への危害を禁ず」②「自らを修理改造してはならない」というもの。

しかし、②のプロトコルが破られ、自ら修理(つまり人間に近い理性を獲得)し仲間を助けるロボットが
登場、製造企業であるROC社の保険担当バンデラスが調査に乗り出すと、そこには恐るべき事態が・・・。
という大きな流れである。

この手の映画はこれまでも沢山作られてきた。その大枠のストーリーから大きくはみ出てないところ(クリシェ)
が本作の足らないところというか不満なところだ。地球が荒廃(原因はいろいろ)した未来、人工知能を備えた
ドロイドと人間の交流や相克、人間の身勝手、自立し始めるドロイドへの言い知れぬ恐怖、などだ。これらを通して
語られることは、畢竟、人間とは何か、どうあるべきかという自らへの問いである。本作中でも人間が核実験をして
住めないエリアになった地区が出てきたり、ドロイドを製作するにあたり「人間がコントロールできないものは
作ってはいけないのだ」というセリフなどは、まさにフクイチの悲劇に繋がるものと言えよう。

一方、この映画の良いところは、ロボットと人間の関係が非情に抑制的であり内省的であり、宗教的でさえある
点である。そしていろんなシーンに寓意が隠されている。(特にラストのロボットのマスクが砂漠に埋まった
状態で女性型ロボットとロボットが創造した虫型ロボッが去るところ)
「お母さん、ということを理解できるか」。人間は子孫を増やすことが出来る。ロボットはプロトコルで
それを禁じられている。なのに人間は殺し合う。片や人間は破壊的なダメージには修理は出来ない、しかし
ロボットはそれが出来る。医学や遺伝子学の進歩で、人間も将来ドロイド的になっていくのだろうか、その時、
純粋なマシンと倫理的に生物的人間であるものたちはどう折り合って行くべきだろうか。テーマは大きいので
今後もこの手の映画は作られて行くのであろう。ラストが衝撃的だったブロムカンプの「チャッピー」を想起した。

この映画に出てくるロボットたちは、全て「寂しい」。これは将来の人間そのものの投影ではないだろうか。
rottentomatosの評価は酷にすぎると思う。なかなか考えさせる良作、と言える。
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<ストーリー>

“オートマタ”と呼ばれる人型ロボットが人間社会に定着した近未来の地球を舞台に、改造され進化を遂げる
オートマタと、改造の首謀者を追う男の戦いを描く、アントニオ・バンデラス主演のSFサスペンス。
監督を務めるのは、CGアニメーター出身で初長編監督作『シャッター ラビリンス』で話題となった
スペイン人のガベ・イバニェス。

2044年、太陽風の増加により砂漠化が進んだ地球。人類が存亡の危機を迎える中、「生命体に危害を加えては
いけない」「ロボット自身で、修理・修繕をしてはけない」という二つの制御機能が組み込まれた人工知能搭載
ロボット“オートマタ”が共存していた。彼らは、人間に代わる労働力として砂漠化を防ぐための巨大防御壁の建設や、
機械式の雲を作っていたのであった。

そんなある日、オートマタを製造・管理するハイテク企業に務める調査員ジャック(アントニオ・バンデラス)は、
絶対に変更不可能とされていた制御機能が破られた改造ロボットの存在を知る。やがてロボットの心が覚醒し、
その一方で人間のモラルが崩壊。地球は人工知能の時代が始まろうとしていた……。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355004#1こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-12-12 23:20 | 洋画=あ行 | Comments(0)

インフェルノ Inferno

●「インフェルノ Inferno」
2016 アメリカ Columbia Pictures,Imagine Entertainment and more.121min.
監督:ロン・ハワード 原作:ダン・ブラウン 脚本:デヴィッド・コープ
出演:トム・ハンクス、フェリシティー・ジョーンズ、イルファン・カーン、オマール・シー、ベン・フォスター他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

宗教象徴学者ロバート・ラングトン教授の活躍を描くダン・ブラウン原作の人気小説の映画化第三弾。
前二作は原作も読んでから観たが、本作は原作未読。原作を読んで本作を観た友人からは、結末が異なる、と
言う事と、原作の持つイメージが上手く映像化されていないのでは?という感想を貰っていた。が、未読の
立場なので、素直に映画を楽しんだのだった。結果、「普通に面白い」。個人的には内容として前二作の
ほうが面白かった。

本作では歴史の謎解明がダンテの「神曲」にまつわるものに限定されていて、宗教的なものが出てくるのでも
無く、面白さにやや厚みが欠けた感じ。冒頭からしばらくラングトンを悩ませる「幻覚」も、「神曲」を知らぬ
身にはなんだかよく分からんわけで、その謎が明かされるのには舞台がベネチアに移るまでかかるのだった。
また年寄りにはややきつい短いカットの「パカパカ」編集も、もう少し多いと目をつぶってしまいそうだった。
話が単純な部分においては分かりやすい展開だったし、活劇に振った分、良いテンポで魅せるロン・ハワードの
作劇は流石ではあるが、結局1000ページ以上に及ぶ原作を、2時間ほどの映画に押し込めるためには、原作を
改変せずにはおられず、ダン・ブラウンの小説を映像化しようと思えば致し方のないことであったかもしれない。
そうなれば、改変はあったけど、よくここまで上手く切りまとめたな、と褒めることもできよう。
原作に忠実ではあるが、小説とは別物の娯楽作、と割り切ってみるのが正解かもしれない。

話は単純、とは言ったものの、あとで反芻してみないと全貌がつかめないのは、ダン・ブラウンの話が持つ
「歴史に埋もれた謎の解明」という特性ゆえの仕方のない所。「インディ・ジョーンズ」シリーズとは
違うところだ。本作でも、ラングトン教授は何故拉致され、短期間の記憶喪失になったのか、という根本的な
所やフェリシティー・ジョーンズ演じる女性医師シエナの立ち位置、「危機対応大機構」とゾブリスト、
更に本作の事件の首謀者である
富豪の生化学者ゾブリストがなぜ、ウィルスの隠し場所をああもややこしいところに隠したのか、彼は
歴史にも造詣が深かったのか、などなどの事柄は鑑賞後に整理しないと、しっくりは来ないだろう。

さりながら、謎解きや人間関係が「なんとなく分かりつつ」、フィレンツエ、ベネチア、そして
イスタンブールへと繋がる謎解きに伴う美しい風景や、大聖堂などの美しい絵画などの映画に馴染む事柄にも
支えられ全体としては作品として標準以上の出来には仕上がっていると感じた。
演技者としての、文句はないトム・ハンクス、先日は「ハドソン川の奇跡」でパイロットを演ったかと思えば
今度は学者と、まあ「役者やのう」である。思えば「フォレスト・ガンプ」「グリーンマイル」などから
「キャスト・アウェイ」や「プライベートライアン」など重ねる年齢に応じて主人公のキャラが強くにじみ出る
役柄を上手く演技できる人であるな。思えば彼の映画は殆ど観ているわ。
フェリシティージョーンズを含め、キャスティングはトム以外に大俳優がいるわけでないが、(トムを際立たせる
ためだろう)総じていいものであったと思う。
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<ストーリー>
宗教象徴学者ロバート・ラングドンの活躍を描くダン・ブラウンの世界的ベストセラー・シリーズを
ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演で映画化した大ヒット・ミステリー・アドベンチャーの
「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続く第3弾。
フィレンツェやベネツィア、イスタンブールを舞台に、新種のウイルスによって人類の半数を死滅させようと
する大富豪の恐るべき計画を阻止すべく、ダンテの叙事詩『神曲』の“地獄篇(インフェルノ)”に隠された
暗号の謎に挑むラングドンの決死の戦いの行方を描く。共演はフェリシティ・ジョーンズ、ベン・フォスター。

 ラングドン教授が目覚めたのは、なぜかフィレンツェにある病院の一室だった。過去2日間の記憶がない
彼は、謎の刺客に命を狙われるも、女医シエナの手を借り、どうにか病院から脱出する。何も思い出せない
彼のポケットには1本のペンライトが。そして映し出されたのは、ダンテの神曲“地獄篇”を模した
『地獄の見取り図』。そこに刻まれた“暗号”を探るうち、ダンテのデスマスクの持ち主で大富豪の
生化学者ゾブリストに辿り着くラングドン。彼は人口爆発による人類滅亡を回避する唯一の解決策だとして、
恐るべき計画を目論んでいた。シエナとともに次々と立ちはだかる謎を読み解き、ゾブリストの野望を
食い止めるべく奔走するラングドンだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355752#1こちらまで。




by jazzyoba0083 | 2016-11-06 13:40 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「アイガー・サンクション The Eiger Sanction」
1975 アメリカ The Malpaso Company,Jennings Lang,Universal Pictures.129min.
監督:クリント・イーストウッド 音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:クリント・イーストウッド、ジョージ・ケネディ、ヴォネッタ・マギー、ジャック・キャシディ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

今のところ、一番好きな監督であるクリント・イーストウッドの、今から40年以上も前の作品。
彼の作品は出来がどうあれ見ることにしているが、この度NHK-BSで放映してくれたので、録画して
鑑賞した。多くの方が感じておられるように、出来としてはイマイチ。★は6.5である。

モニュメントバレーとアイガーで、体を張った登山シーンは見るべきものがあるが、その他の
スパイ映画としての要素としては、メリハリが少なく、物語の設定にも難があり、今ひとつだ。
それとワンシーンでの会話の量が多すぎると感じた。だらだらと続く会話は、重要なポイントを
聞き逃す欠点がある。全体に大雑把な感じの作品であり、後の時代のイーストウッド作品には
見られない粗っぽさを感じるのである。

そもそも、主人公ヘムロック氏が、大学の美術史の先生であり、凄腕のエージェントであり、
美術品蒐集家であり、そして著名な登山家である、しかもかっこよくて女性にモテモテ、という
人物設定に、コミックかい!とツッコミを入れたくなる無理がある。冒頭、大学生に単位を
とらせて、と色仕掛けで迫られるが、軽くあしらう男と、飛行機の中の黒人アテンダントには
一発でコロリとなるのも整合性がないような。「ねんね」はお呼びでない、ということか?
更に、組織の人物が殺されたから、「制裁(サンクション)」する、という組織のあり方にも
あまり蓋然性が感じられない。その組織のボス、ドラゴンが光に弱い目をしていて、終始写真
現像の暗室のようなオレンジ色の照明の中にいるのだが、既視感がある。アイガーにともに登り
そして全員死んでしまう地元の登山家たちは、いい迷惑だ、可哀想に。

アイガーに備えて、登山家仲間であるジョージ・ケネディと訓練するモニュメントバレーと
アイガー北壁にトライし、次々と襲いかかる自然の猛威に立ち向かう様は、イーストウッド本人が
多くのシーンを実際にこなし、流石に見どころがある。映像も、空撮を入れるなどして美しい。
ジョン・ウィリアムズの音楽もちょっと大時代的だがまあマッチしているだろう。
カメラマンなどのスタッフも大変だったことは映像の美しさ、凄まじさを通して伝わってくる。

本作は結局不入りで、製作会社であるユニバーサルと大喧嘩となり、その後の多くをワーナーと
製作することになった曰く付きの作品でもある。
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<ストーリー>
2度までもアイガーの岩壁に挑み、2度とも失敗している経験を持つジョナサン・ヘムロック(クリント・
イーストウッド)は、今は登山家を断念し山小屋ふうの家に住んで絵の教師として静かに暮していた。
彼はかつて抜群に腕のたつプロの殺し屋として国際的に活躍した男だった。そして美術マニアとしても
知られ、稼いだ金の殆どを名画蒐集につぎ込んでいた。
だがかなりのコレクションが完成した現在、危ない橋を渡って金を稼ぐ必要がなくなり、殺し屋稼業
からも足を洗っていた。

そんな彼のもとにかつて所属した情報機関C-2のチーフ“ドラゴン”(セイヤー・デイヴィッド)の
使者が訪れ、“制裁”を依頼した。足を洗った彼を今一度仕事に引戻すために、ドラゴンはヘムロックが
いやといえない餌を用意していた。彼が所持しているピサロの作品が税務当局から目を付けられないよう
にする政府発行の保証書を手に入れんがために、ヘムロックはその依頼をひきうけた。
スイスのチューリッヒで目標の殺し屋を難なく始末したヘムロックは、3万ドルの小切手と、ピサロの画に
ついて米国国税局の追求を逃れる書類を手にした。

だがその帰途、飛行機のなかで魅惑的なスチュワーデス、ジェマイマに心を許し一夜を楽しんだが目を
さましたときは既に小切手と証書は消えていた。彼女はドラゴンが派遣したC-2の女諜報員だったのだ。
ドラゴンの思惑どおり、報酬をふいにしたヘムロックは再びオフィスに戻ってきた。そして第二の殺人を
ひきうけることになった。目標の名前や人相は一切不明、唯一分かっているのはその男が近々アイガーに
挑戦する国際登山チームの一員であり、片足が不自由だということだけだった。

ヘムロックはまずアリゾナに飛び、昔の登山仲間で今は牧場の経営者におさまっている旧友ベン・ボーマン
(ジョージ・ケネディ)と国際登山チームに参加することにした。ヘムロックとベンはベンの娘の指導で
モニュメントバレーを使って登攀の訓練を積んだ。

二人はスイスに飛んだ。ドイツのフライタグ、フランスのモンテーニュ、オーストリアのメイヤーが
ヘムロックたちとチームを組むメンバーだった。ついに運命のアイガー登はんは開始された。
ベースキャンプにはボーマンが残り、4人の男たちは垂直にそそり立つ岩壁を一歩一歩登り始めた。
数時間を経て、モンテーニュに疲れがみえ始めたとき天候も急変した。猛烈な吹雪が容赦なく4人を襲い、
とうとうモンテーニュが死亡した。3人は彼の遺体と共に引きかえすより仕方なかった。
その途中、事故がおき、フライタグとメイヤーははるかかなたに落下していった。
ヘムロックはザイルで宙吊りになるが、助けに駆けつけたベンらにトンネルの穴から救助された。

ようやくのことで一人だけベース・キャンプに戻れたヘムロックは、そこで目ざす標的がボーマンで
あることを知った。しかしヘムロックにはどうしても旧友を撃つことはできなかった。
(Movie Walker:一部改訂してあります)

この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv28/こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-10-22 23:00 | 洋画=あ行 | Comments(0)