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●「アバンダンド 太平洋ディザスター119日 Abandoned」
2015 ニュー・ジーランド Making Movies.86min.
監督:ジョン・レイング
出演:ドミニク・パーセル、ピーター・フィーニー、オーウェン・ブラック、シボーン・マーシャル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1989年にニュー・ジーランドで実際に起こった海難事件を映画化したもの。驚くのは
119日、ほぼ4ヶ月漂流を乗り切った4人の心の強さと、地図で見るとよく分かるのだが、
トンガに向かって出港したピクトンという南島の、一番北島に近い港と漂着したグレート・
バリア島の距離だ。ほんとに目と鼻の先。これでは「彼らは嘘をついている」と言われるのも
分かるなあ、と思う。

さて、おそらく個人的にニュー・ジーランド映画を観たのは初めてだと思う。日本では劇場
未公開で、WOWOWの「ジャパン・プレミア」で鑑賞。事実に基づいているので、物語は
誠に「事実は小説より奇なり」で、面白いが、こうした「下駄を履いた」面白さを上手く短い
映画に仕立てた。面白く観た。

それぞれに曰くのある4人を載せて多胴船(3つの胴がある大型ヨット)「ローズノエル」号は
トンガに向けて出港した。先を急ぎたい船長は、嵐を利用して船足を早めようとしたが、大波を
食らって転覆。この手の船は一度ひっくり返ると立て直せない、が沈みもしないという特徴がある。
まずこの「沈まない」、出向して間もなくの遭難であったため食料と水はふんだんにある、救難
信号を発信する機械を積んでいる、などの安心材料があったから、4人はパニックにならずに済んだ
のかもしれない。だが、無線は遠距離が利かない、地元に航海ルートを報告していないなど
杜撰な面もあり、救助が難航する。4人の中にはヨットの操船が未経験のものもいた。
ラッキーだったのは調理師がいた事だ。なかなか救助されない中、彼らは雨水を集める方法、
魚を捕まえる方法、ヨットの備品であったプロパンガスを調理に利用出来るようにしたこと、など
困難な中にも工夫を加え、危機を乗り越えていく。

神を信じる船長と、病気を抱え気が荒く、すぐに喧嘩になるリックという男。4人の心は最初から
団結ていたわけではなく、喧嘩も絶えなかった。ただ、諦めなかった。空軍も出ての捜索も
上手く行かず、家族たちはほとんど諦めていた。

ところが119日目、海流の加減で、彼らは島を発見。そのまま潮流に乗り、上陸できたのだった。
彼らの生活を綴ったカメラも入れて上陸したが、体一つで上陸し船は置いてきたため、その後
船は波で大破、彼らが生活していた痕跡は失われてしまった。

上陸した4人は崖からすぐのところにある大きな無人の家に入り、さっそく冷蔵庫を漁り
調理師がディナーを作り、風呂に入ってワインを飲んだ。一晩寝たところに地元警察が
やってきて、4人は保護される。家族への電話。狂喜する家族・・・。

ハッピーエンドか、と思っていたらさにあらず。家族の元に帰って来た一行を待っていたのは
当局の捜査と、虚偽ではないか、という世間の厳しい目であった。119日間も、海の上で生活
出来るわけがない、というのだ。悲しいかな、証拠はすべて失っている。しかし、当局は大破し
沈没しているヨットを捜索し、点検した。すると4人の言っていることはどうやら間違いはなさそうだ、
ということになり、公式に運輸大臣が119日間の漂流を認めたのだった。
しかし、世間の目はあくまで冷たかった。喧嘩もし、いがみ合った4人だが、4人いたから危機を
乗り越えられた、というのは本心であった。脳腫瘍を患っていたリックは数ヶ月後死亡。あとの
3人もそれぞれの道を歩くことになるのだが、事件後別れてから二度と会うことはなかったという。
まあそんなもんかもしれない。

119日間の漂流という事実はどんな脚本よりも強いストーリーを持つ。故に事実を丁寧に描いて
いけば面白いものになるのはわかっているのだが、その点本作においては、4人のキャラクターや
漂流中の出来事、そして上陸後のこと、家族の様子などが90分未満の長さの中に的確に
配分されていて、良かったと思う。船長はその後も世界を航海し続けたようだが、この事故は
誠に「事実は小説より奇なり」であった。

邦題は、なんか投げやりのような付け方で、もう少し知恵がなかったか、という感じだ。
アバンダンとは英語の単語を勉強すると最初に出てくる単語で、「捨て去る」「遺棄する」とか
いう意味ですね。
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<ストーリー>
1989年に実際に起きた海難事故に着想を得たパニックドラマ。ニュージーランド
からトンガへ向けてヨットで航海に出た4人の男性が、大嵐に遭遇して4カ月近く
にもおよぶ漂流生活を続けるはめに陥った顛末を綴る。
当初は水も食料も十分にあり、心配した家族たちが捜索願いを出して遅かれ早かれ
救助が来るはず、と状況を楽観視していた彼らが、いつしか何もない大海原の中で
不安を募らせていく姿がスリリング。極限状態での人間ドラマが見どころだ。
主演はTVドラマ「プリズン・ブレイク」のD・パーセル。

たまには家族を忘れ、男だけの冒険旅行を楽しもうと、ニュージーランドから
トンガまでのヨット航海に出発したジムたち4人。
だが、大海原で嵐に巻き込まれ、ヨットが転覆してしまう。そのうち救助が
来るだろうと楽観視する4人だったが、船底を上にしたまま漂流を続ける彼らの
船は発見されず、やがて捜索が打ち切られてしまう。
いつまでも来ない救助に待ちくたびれ、
物資も乏しくなる中、4人は精神的に追い詰められて……。(WOWOW)

<IMDb=★6.2>


by jazzyoba0083 | 2017-08-16 22:45 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

麗しのサブリナ Sabrina

●「麗しのサブリナ Sabrina」
1954 アメリカ Paramount Pictures.113 min.
監督・製作・(共同)脚本:ビリー・ワイルダー
出演:オードリー・ヘプバーン、ハンフリー・ボガート、ウィリアム・ホールデン、
   ジョン・ウィリアムズ
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

先日の「踊るアメリカ艦隊」に引き続き鑑賞した、市の映画上映会。満員。
ビリー・ワイルダーという人は、マリリン・モンローの作品などを観ても
わかるようにコメディタッチな味付けが身上のところがある。本作の
見どころの一つに、そうしたコメディタッチをヘプバーンのコケットな味わいに
大いに生かし、とてもホノボノと言うか、上品で、当時の女優時代のできの良い
作品に仕立てたところが上げられよう。

加えて物語の転がし方、つまり脚本がいい。渋いボガート(ちょっと渋過ぎで
ヘプバーンの恋愛対象として無理があるんじゃないかとも思えるが)と、ホールデンの
配役も対照的な人物ということで、成功している。またジバンシーのデビューともなる
ヘプバーンの衣装も見どころだ。

ヘプバーンの映画の感想を書くたびに言うのだが、私はエラのはったヘプバーンが
あまり好みのご面相ではないが、抜群の存在感は他を圧倒するものがあることは
確かだ。

さて、本作。貧しいというか庶民の娘が、大恋愛の末に玉の輿に乗る、という
この時代には何本の映画になったかしらない王道の物語。
大富豪ララビー家のプレイボーイ次男ホールデンと、実直真面目な長男ボガート。
この家のお抱え運転手の娘がサブリナ=ヘプバーンという配置である。

幼い頃からハンサムで自由人な次男に憧れてきたサブリナであるが、ホールデンが
どこぞの令嬢との結婚が決まったことから、しばらくパリのコルドンブルーで料理
修行をすることに。で、パリですっかり垢抜けてしまったサブリナ、2年後に
帰国すると、家の使用人が誰もサブリナとは分からない。それほど華麗な娘に
変身してしまったのだ。(ここらあたりはコメディなので突っ込んではいけない)

それからというもの、ボガートとホールデン兄弟の間での恋の駆け引きが繰り広げ
られ、自分に思いを寄せているとは知りつつ、兄がサブリナを想っていることに
気が付き、身を引くホールデン、サブリナもその思いを受け、ボガートと結ばれる、
という、悪どい駆け引きとかまったくなく、みんないい人でハッピーエンドを
迎える。ラストのボガートのソフト帽の折れ方や去りゆく婦人のコートのベルトに
傘を引っ掛けて、船上でサブリナとボガートが抱き合うシーンは洒落ている。
いい時代のいい映画、という感じで、今では作れる時代でもストーリーでもないだろう。
古き良き時代の名作、ということだ。こういう映画もいい。

ハイライトはパーティーでシャンパングラスを尻ポケットに突っ込んで歩くクセの
あるホールデンが、ボガートの策略でグラスを入れたまま椅子に座ってしまい、
尻を何針も縫う怪我を負うあたりか。客席からは笑い声が絶えなかった。
ワイルダーらしい上品なギャグだ。キャメラも上手く、そこそこの長さの映画では
あるが、エピソードの話題のうまさも、あり飽きずに見ることが出来る。
だだ、サブリナのホールデンやボガートに対する、あるいはその逆のそれぞれの
心の動きや揺れが詳細に描かれないので、恋愛はなんとなくハッピーエンドを
迎えるという形になってしまうという当時のこの種の映画にありがちな大味さでは
ある。

名曲「ラ・ヴィ・アン・ローズ」が効果的に使われているし、この映画に実に
マッチしている。モノクロの映画だが、後で振り返ってみるとカラーだったんじゃ
ないかと思いえるから不思議だ。

<ストーリー>
富豪ララビー家のお抱え運転手の娘サブリナ(オードリー・ヘップバーン)は、
邸の次男坊デイヴィッド(ウィリアム・ホールデン)に仄かな思いを寄せていた。
しかし父は娘に叶わぬ恋を諦めさせようと、彼女をパリの料理学校へやる。

それから2年、サブリナは一分のすきのないパリ・スタイルを身につけて帰って
きた。女好きのデイヴィッドは美しくなったサブリナにたちまち熱を上げ、
自分と財閥タイスン家の令嬢エリザベス(マーサ・ハイヤー)との婚約披露
パーティーにサブリナを招待し、婚約者をそっちのけにサブリナとばかり踊った。

デイヴィッドの兄で謹厳な事業家ライナス(ハンフリー・ボガート)は、この
ままではまずいとデイヴィッドをシャンペン・グラスの上に座らせて怪我をさせ、
彼が動けぬうちにサブリナを再びパリに送ろうと企てる。不粋のライナスにとって、
サブリナとつきあうことは骨の折れる仕事だったが、計画はうまくいき、
サブリナの心はじょじょにライナスに傾く。
一緒にパリへ行くことになって喜ぶサブリナだが、ライナスは船室は2つとって
おいて、いざとなって自分は乗船しないつもりだった。サブリナはそのことを
知って深く悲しみ、すべてを諦めてパリへ行く決心をする。
ライナスもまた自責の念にかられ、いつの間にか自分が本当にサブリナに恋して
いることに気づく。サブリナ出帆の日、ララビー会社では重役会議が開かれていた。
ライナスはここでデイヴィッドとサブリナの結婚を発表するつもりだったが、
怪我が治って現れたデイヴィッドは、ライナスとサブリナが結婚するという
新聞記事を見せる。そしてヘリコプターを用意しているからサブリナの乗る船に
急げ、と兄に言う。すべてはサブリナとライナスの気持ちを察したデイヴィッドの
計らいだった。ライナスはサブリナを追い、客船の甲板でふたりは抱き合うのだった。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:91% Audience Score:89%>






by jazzyoba0083 | 2017-07-13 15:30 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「踊るアメリカ艦隊 Born to Dance」
1936 アメリカ MGM 105min.
監督:ロイ・デル・ルース
出演:エレノア・パウエル、ジェームズ・スチュアート、ヴァージニア・ブルース、ウナ・マーケル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
昭和11年の作品。いきなり古いやつが出てきてすみません。この手の映画も好きなので。そもそも
こうしたレビューや古いミュージカル映画を観るようになったのは、ジャズのスタンダードに、こうした
映画で使われた曲が多いんです。本作でも名作曲家コール・ポーターのペンになる「I've got you under
my skin」「Easy to Love」が大スタンダートとなっています。そうした名曲を追いかけているうちに、
1930年代から60年代にかけてのRKO映画、MGM、コロムビアの名作の数々が大好きになってっいった
という訳です。

「踊る~」シリーズでは、本作でも天才ぶりを発揮しているエレノア・パウエルが、フレッド・アステアと
踊るデュオのタップシーンはあまりにも有名ですね。「トップ・ハット」「パリのアメリカ人」「雨に
唄えば」「上流社会」から「南太平洋」「サウンド・オブ・ミュージック」あたりまで、ほんとに名曲が
揃っています。

閑話休題。私が住んでいる町では、月に1回、こうした古いミュージカルやオードリー・ヘプバーンの古い
映画などをタダで上映してくれる催事があるんです。

で、金曜日は休みだったので、午前の部のこれと、午後は「麗しのサブリナ」を観てきました。市民会館の
中になる小ぶりながらいい劇場で、音響も良く、楽しませて貰いました。満員です。なぜビデオでも
観られるのに出かけたか、というと、いまや大きな画面でこうした古い映画を観ることは叶わないからです。
家の55インチのテレビも叶いません。

再び閑話休題。本作はこの頃よくあった軍隊仲間の恋物語をベースに、コメディタッチでミュージカルに
したもので、天才タッパー、エレノア・パウエルの素晴らしいタップを観ることができます。太ももは
ちょっと筋肉質ですが、やはり上手い。それと、これが映画音楽の一作目となるコール・ポーターの
ペンも冴える。珍しいジェームズ・スチュアートの歌声を聴くことが出来る。ストーリーも驚くような
ものではないけど、気持ちよく観られ、当然ハッピーエンディングである。
本物の潜水艦も出てくるから、米海軍協力の下製作されたと思われるが、軍隊にユーモアなどもっての
他、とする教条主義の日本では絶対に作れない種類の映画。心をすっからかんにして楽しむのがマナーと
いうものです。
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<ストーリー>

「踊るブロードウェイ」と同じくエリーナー・パウエル主演、ロイ・デル・ルース監督、ジャック・マッゴワン、

シド・シルヴァース共同脚色になる映画で、原作はマクゴワン、シルヴァースが更に「ハリウッド征服」の

B・G・デシルヴァと共に書卸した。

相手役は「結婚設計図」「妻と女秘書」のジェームズ・スチュアートが勤め、「踊るブロードウェイ」の

シド・シルヴァース、ユーナ・マーケル、フランセス・ラングフォード及びバディー・エプセン、

「巨星ジーグフェルド」のヴァジニア・ブルース、「サンクス・ミリオン」のレイモンド・ウォルバーン、

「丘の彼方へ」のアラン・ダインハート等が助演するほか、芸人連が出演している。

撮影は「妻と女秘書」「支那海」のレイ・ジューンの担当、舞踏振付は「踊るブロードウェイ」のデーヴ・

ゴールドが受持った。


テッドと相棒のガニイ、マシイの三人はアメリカ潜水艦の乗組員で、四年間の航海を終わってニューヨークへ
帰った。ガニイは出発直前に結婚した女房のジェニイハ未だ自分を好いていてくれるかと気にかけている。
ジェニイはロンリーハーツクラブに勤めて、夫の出発後可愛い娘の子をうんだのであるが、今までそれを彼に
打ち明ける機会がなかった。

このクラブに踊子を志願して田舎から上京したノラという娘がいて、ジェニイと仲良しであった。
テッドとガニイはジェニイに会うためクラブへやってきたが、それ以来ノラはテッドと恋し会う仲になった。
ところが潜水艦を見学に来た名女優ルシイが、偶然のことからテッドと知合いになったのを、彼女の宣伝部員
マッケイがうまく宣伝に利用したが、ルシイはこの時から本当にテッドに恋をしてしまった。

テッドはマッケイに頼んでルシイの一座にノラを採用してもらう。初日が近づいたのでマッケイは宣伝のため
ルシイとデッドの婚約を発表しようとするが、彼を本心から愛しているルシイは、二人の仲を新聞に発表したら
一座を脱退するといきまく。
テッドは海軍をやめたが、ルシイとの仲を聞いたノラは彼に嫌われたものと思って会おうとしない。しかし
テッドはルシイのことなど全然関心がなく、かえってっさくを案じて初日を控えた日に、新聞記者を集めて
ルシイとの婚約を発表してしまった。これを見たルシイは腹を立てて即座に脱退した。スターの無くなった一座へ、
テッドは計画通りノラを推薦し、彼女は一躍主役を演ずることになった。興行は見事大成功を収め、ノラは
その間の事情を初めて知ってテッドとめでたく結婚した。一方ガニイは女房ジェニイの冷遇に憤慨して又海軍に
入り四年間の航海に就いた。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:---- Audience Score: 52%>



by jazzyoba0083 | 2017-07-13 11:45 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「エスコバル 楽園の掟 Escobar:Paradise Lost」
2014 フランス・スペイン・ベルギー・パナマ 119min.
監督・(共同)脚本:アンドレア・ディ・ステファノ
出演:ベネチオ・デル・トロ、ジョシュ・ハッチャーソン、クラウディア・トライサック他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

コロンビアに楽園を追ってやってきたカナダ人兄弟を通してみた、世紀の麻薬王
メデジン・カルテルのボス、パブロ・エスコバルの非常を浮き彫りにする。
二人がコロンビアの海辺でビーチハウスを作り、弟はサーフィンを教える、という
かなりノーテンキなアイデアでやってきた頃、作品によれば1990年台の初頭なのだが、
そのころ、コロンビアとエスコバルの悪名は世界にとどろき、コカインの流入に頭を
痛めたアメリカ政府が身柄の引き渡しなどでかなりやばい状態になっていた頃だと
思う。そんな時期にコロンビアに渡る、というのは、ちょっといくらなんでも
予備知識なさすぎなんじゃないかな、と驚く。

弟のニック(ジョシュ・ハッチャーソン=ヘタレ顔がいい)は、パブロの姪と
激しい恋仲となるが、エスコバルのカルテルに組み込まれ、やばい仕事を請け負わ
され、やがて、抹殺される運命となっていることに気がつくのだ。時既に遅し。

姪マリアとの恋に嘘はなかったのだが、おじさんが悪すぎた。政府との取引で
一度刑務所に入る(出入り自由な御殿のような自分の寄付で作った刑務所だった
という)ころのエピーソード。エスコバルはやがて別の刑務所への移送時に逃亡、
しかし、彼にウラミを持つ集団に襲われ射殺される。(アメリカのデルタフォースが
出撃したという噂もある)

無垢な純情青年が恋をしたのは良かったが、おじさんがパブロ・エスコバルと
いう悪運。兄も殺され、さらに妻も幼い子供も殺される。自分の身にも危険が
及ぶプロセスは、なかなかスリリングで魅せたと思う。いい人(確かに病院と
家を作って目くらましはしていた)のようなパブロが次第に本性を表し、追い
詰められ、ラストシーンでは殺し屋との銃撃戦となり、自らも深手を負う。
マリアも駆けつけるが・・・。彼の脳裏に浮かぶのは兄と初めて訪れた
夢いっぱいのコロンビアの海岸の風景だった・・。

ニックがマリアと出会い、おじさんにも祝福され婚約し、あたりまでが
ちょっとたるい。後は一気呵成という感じだった。南米の悪役ボスというと
ベニチオ・デル・トロ、ということになろうが、彼1人の存在では映画は
一等上には行かない感じだった。
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<ストーリー>

コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの実話を基にした犯罪アクション。
麻薬王の姪と恋に落ちたカナダ人青年が、組織の闇に巻き込まれる。
「トラフィック」でアカデミー助演男優賞を受賞したベニチオ・デル・トロが
エスコバルを演じる。
「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」出演のアンドレア・ディ・
ステファノによる初監督作品。

サーファーのカナダ人青年ニック(ジョシュ・ハッチャーソン)は、兄の住む
コロンビアを訪れる。青い海と白い砂浜が広がり、まるで理想郷のような場所で、
ニックは美しいコロンビア人女性マリア(クラウディア・トレイザック)と
出会い、激しい恋に落ちる。
マリアの敬愛する叔父パブロ・エスコバル(ベニチオ・デル・トロ)は
国会議員を務め、民衆からの支持も厚い富豪であるが、コロンビア最大の
麻薬カルテルのボスという裏の顔を持っていた。我が子のようにかわいがる姪が
連れて来た恋人を、暖かくファミリーに迎え入れるエスコバル。

やがて、ニックはその楽園のようなエスコバルの“王国”の恐ろしさに気付いて
いくが、簡単に抜け出すことはできない。脱出不可能な巨大な悪のスパイラルに
巻き込まれていくニックの運命は……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:52% Audience Score:48%>





by jazzyoba0083 | 2017-07-08 23:00 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「エクス・マキナ Ex Machina」
2015  イギリス Universal Pictures International,Film4.108min.
監督・脚本:アレックス・ガーランド
出演:ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィカンダー、オスカー・アイザック、ソノヤ・ミズノ
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

騙し合いにAIがいっちょかみしてくるところが面白い!「オートマタ」といいこのところ
観るAIものはできが良い。出演者がほぼ4人しかいない、しかも密閉された空間での劇。
でこういうシチュエーションで何が面白くなるかといえば、愛憎や騙し騙されの心理合戦。

巨大な検索エンジン会社の創業者ネイサン(アイザック)の下で個人的趣味として開発
された女性ドロイド、エヴァ(ヴィカンダー)。
彼女の完成度を試すために会社から山奥の別荘につれてこられた青年ケイレブ(グリーソン)、
ネイサンのメイドにして側女みたいな女性キョウコ(ミズノ)。

形而上的哲学的なロボット論などが展開されるが、これは字幕を見過ごしてもあまり
苦にする必要はない。なぜならば、エンディングにすべて分かりやすいオチがあるからだ。
ただ、プログラミングなのか、エヴァが自習し自己分析を加えるようになっているのか、
よく分からないところが面白い。途中でケイレブが自分も実はドロイドじゃないかと
疑ってしまい、自らの腕をカミソリの刃で切ってみるというところはいいアイデアだった。
(彼は幼いころ両親を失うほどの激しい交通事故に遭っている)

エヴァがケイレブを恋するようにプログラムされているというよりケイレブがエヴァに
恋しちゃったり。、次第にネイサンが何をしようとしているか、分かって来る。
そして、エヴァの前に作られた女性型ドロイドはたくさんあり、アーカイブ映像には彼女らが
自壊していく様子が写っていた。エヴァも、ネイサンは嘘をついている、信じてはいけない
と警告する。彼の企みは何か。ケイレブは無事に帰れるのか?

そしてラスト。「人間を騙して脱出できるかどうかがテストの最終目的なんだよね」と
ネイサンは言う。先代たちは脱出できず、自壊していったのだ。エヴァの場合は成功した
のであり、エヴァのバージョンアップこそ完成品なのだ。
ケイレブは、しかしさらなる事態に備えて、手を打ってあった。これで、エヴァは本当に出て
いってしまうのだが、慌てたネイサンは彼女の後を追う。彼はバーベルの取っ手で殴って
エヴァの片腕を吹き飛ばすが、背後からキョウコに包丁に刺される(どこから持ってきたのか)、バーベルで殴られ破壊されたキョウコの包丁を持ったエヴァは、今度はネイサンの胸を刺す。
「そんな馬鹿な」と絶命するネイサン。

「人間を騙して脱出する」というプログラムの中にはご主人様は殺さない、という
プログラムはなかったのか。またキョウコ(彼女もドロイド)がネイサンを刺したのは
何がプログラムされていたのか。(エヴァがキョウコに何か囁く暗示的なシーンはある)
なかなか興味が尽きないところだ。

施設にケイレブを閉じ込めたまま、エヴァは、先代たちの皮膚を自分に移植し、衣装をつけ
ヘリコプターで街に帰っていったのだ。

つまり、エヴァはネイサンやケイレブをも乗り越えた学習をしたドロイドだったということ。
そして本来プログラムされていた「人を騙して施設を出る」という命題を、手段を選ばないと
理解して実行したに過ぎなかったわけだ。ネイサンが死んだのも、ミスと言えばミスなんだろう。
ケイレブは可哀想なことをしたけど。まあ、一生施設に閉じ込められたままということはない
とは思うけど。

人間とドロイドの騙し騙されどこまでがプログラムでどこからが自ら獲得した学習成果なのか
いろいろと思いながら面白くみた。ラストで皮膚を付けたエヴァ=ヴィカンダーの全裸が
披露されるのだが、みなさんご指摘の通り、ドロイドより貧乳のヴィカンダーでありました。
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<ストーリー>

人間と人工知能の主従関係を巡る心理戦を斬新なビジュアルで描き、第88回アカデミー賞で
視覚効果賞に輝いたSFスリラー。『リリーのすべて』で同じくアカデミー賞助演女優賞を
受賞したアリシア・ヴィキャンデルが女性型ロボットのエヴァを演じる。
『わたしを離さないで』の脚本家、アレックス・ガーランドの初監督作となる。

検索エンジンで有名な世界最大のインターネット会社“ブルーブック”でプログラマー
として働くケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、巨万の富を築きながらも普段は滅多に
姿を現すことのない社長のネイサン(オスカー・アイザック)が所有する山間の別荘に
1週間滞在するチャンスを得る。

人里離れたその地にヘリコプターで到着したケイレブだったが、彼を待っていたのは
美しい女性型ロボット“エヴァ”(アリシア・ヴィキャンデル)であった。ケイレブは、
彼女に搭載された世界初の実用レベルとなる人工知能のテストに協力するという
興味深くも不可思議な実験に参加することになるのだが(Movie Walker)

<IMDB=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:86%>








by jazzyoba0083 | 2017-07-03 23:00 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

アウトバーン Collide

●「アウトバーン Collide」
2016 イギリス・ドイツ DMG Entertainment 99min.
監督:エラン・クリーヴィー
出演:ニコラス・フォルト、フェリシティー・ジョーンズ、マーワン・ケンザリ、ベン・キングズレー
   アンソニー・ホプキンス他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

既視感ありありのストーリー仕立ではあるが、アンソニー・ホプキンスvsベン・キングズレーが
観られたり、「マッド・マックス 怒りのデスロード」で活躍したニコラス・ホルト君や
「ローグワン」のフェリシティー・ジョーンズも出ているということで鑑賞に及んだ。

輸入車ファンかつ貧乏性の私としては、この手のクルマがぶっ壊れる映画は、勿体なさが
先にたつのがナニである。新車のジャガーXE、F-type、ポルシェ・カイエン、メルセデス、
アストンマーチン、シトロエンなど、新車がアウトバーンをガンガンにぶっ飛ばして
ガンガンに壊れる。もったいないなあ・・・おれに呉れろ、と思ってしまう。

この映画の売り物は、高速でのカーチェイスと破壊シーンと、ホプキンスとキングスレーの
名優の対決だろう。後のストーリーはオチも含めてよくあるパターン。謎の豪華キャスティングと
クルマのぶっ壊れっぷりもなかなかいいので、観てしまったのだ。
主役のホルト君はちょっと優男すぎる感じ。恋人のフェリシティは彼女じゃなくてもいいね。
ツッコミどころも楽しい。ホルト君のクルマに敵の弾が当たらなさすぎなのは毎度のこと
だけど、ケルンのCAFEで二大老名優が対決するシーン、警察がCAFEを取り囲むのだけど、
みんな裏口から逃げちゃうのだね。おいおい、裏口をちゃんと固めんかい!と。
ホルト君、逃亡中、ガソリンが無くなり立ち寄ったGSで、高額な500ユーロを使わせない
店主に「俺は悪い人間ではない」とか言っちゃって、ここまでどんだけ一般人に迷惑を
かけていると思ってるの?と。いくら彼女の腎臓移植のためにカネが必要だからといって、
ケルンのまちなかやアウトバーンであれだけやりたい放題やらかして、悪くないはずが
ないでしょう、ねえ。
棚ぼたの大金を見事せしめて、相棒にも山分けし、警察と取引して無罪放免となり
二人してアメリカに渡っていったんだけど、ご都合主義もここまで来るとむしろご立派。
責める気にもならない。
勢いとテンポで観せてしまう99分。カーチェイスが前半でもっとあればもっとアドレナリンが
出ただろうに。
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<ストーリー>

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で物語の鍵を握るキャラを演じたニコラス・ホルト
主演のカー・アクション。恋人を救うため、高速道路を高級車で激走する男の姿をスピード
感満点の映像でつづる。数々のアクション大作を手がけてきたジョエル・シルバーが製作を
担当し、『ビトレイヤー』のエラン・クリーヴィーが監督を務める。

ドイツのケルン。トラックには麻薬、高級車に500万ユーロ。巧妙に仕掛けられた危険な
取引に巻き込まれたケイシー(ニコラス・ホルト)。2つの巨大な悪の組織から追われる身と
なった彼は、その追跡を逃れ、恋人ジュリエット(フェリシティ・ジョーンズ)を救うため、
高級車を乗り換えて速度無制限の高速道路“アウトバーン”を疾走する。運命に抗う大きな
賭けの行方は……?(Movie Walker)

<IMDb=★5.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:20% Audience Score:38%>




by jazzyoba0083 | 2017-06-12 23:20 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち Eliz Graves」
2014 アメリカ Icon Productions,Sobini Films.113min.
監督:ブラッド・アンダーソン
原作:エドガー・アラン・ポー『タール博士とフェザー教授の療法』
出演:ケイト・ベッキンセイル、ジム・スタージェス、ベン・キングズレー、マイケル・ケイン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

ポーの小説がベースになっているので、全体に暗~い雰囲気はしょうが無いし、
それでないとこの映画が成り立たない。で、どんでん返しをした上での、
大どんでん返し。まんまとハマりました。そんな簡単に作者の術中にハマっていて
いいのでしょうか、とは思いつつ思いっきりやられました。その面白さに加点した
次第。配役的にはベン・キングスレーとマイケル・ケインの新旧の医院長が快演でした。
ミスリードを誘うような伏線も冒頭あたりにしっかりと埋め込まれいて、これが
どんでん返しに効いてくるのだな。

時代は間もなく20世紀になろうかとする1800年代最後の頃のイギリス。
冒頭「ヒステリー」について講義するオックスフォード大学の教室。サンプルと
して連れてこられた美しい精神病?患者エリザ(ベッキンセール)。彼女は自分は
正常だというが、教授の手にかかると精神病的発作が起きる。
当時としては最先端の治療についての授業だったわけだ。
このあたりの時代設定からして、この手の映画に向いている。現代の私たちは
その時代をしらないし、特に精神病治療に関しては無知に近いだろう。そうした観客の
無知につけこんで?「知らないものは怖い」という恐怖を吹き込む演出(著作)。

さて、ストーンハースト・アサイラムという精神病院にエドワード・ニューゲート
という若い精神科医師がやってくる。オックスフォード大から推薦状がいっている
はずだと。ラム病院長(キングスレー)は、紹介状など来ていないが、研修をしたい
のなら受け入れてやろうと、引き受ける。
病院内を見学すると、患者が自由に動き回っている。ラムは、拘束したり多量の薬物
を投与する良り、開放して精神を自由にしたほうが治療としては優れているのだと
主張している。ピアノを引く女性は、冒頭の大学の教室で晒し者にされていた女性
じゃないか。確かに彼女も生き生きとしている。ラムは「この病院の特徴は患者が
皆高貴な人、金持ちの家族なのですよ」とか言う。

さてさて、これからがいろいろと大変なんです。観ていない人は読まないほうがいいです

実はこの病院、患者と医師側がまるっと入れ替わっちゃっているんですな。ラム病院長
自身、この病院につれてこられた戦時精神病患者だったわけ。で、当時のソルト病院長
(マイケル・ケイン)らが取り仕切るこの病院で、痛めつけたり、メチャクチャな
治療を受けていた。軍医だったラムは反乱を起こし、ソルトら病院のスタッフを地下に
閉じ込め、ラム自ら病院長となり、それなりの成果も上げていたのだった。

しかし、この状態を見たニューゲートは、一目惚れしてしまったグレイブス夫人
(ベッキンセール)と共に、脱出やら、説得やらやるのだが、ラムには受け入れ
なれない。しかも、当時出始めた電気を頭に通す治療法を入れ、地下の人々を
廃人にする計画に出たのだった。しかし、ニューゲートは捕らえられ、逆に電気攻めに
あう寸前、グレイブス夫人に助けられる。

まだまだ、いろいろと仕掛けはあるのだが、ニューゲートとグレイブス夫人が共に
逃亡した後、二人の男が病院を訪ねてきた。一人はオックスフォード大学の
エドワード・ニューゲート医師を名乗り、もう一人は、隻眼で、グレイブス夫人の
夫だという。なな、なんと、青年医師を詐称していた男は、冒頭の講義の席で
後続の患者のサンプルとして控えていた時、グレイブス夫人を見て一目惚れした
ニューゲート医師の精神病患者だったというのだ!病院からニューゲートのメガネや
銃を持って逃亡していたのだった。(だから紹介状なんか来るわけないのだ)
そして、夫人が旦那の目をくり抜いたという噂も本当だった! ということは、
あの若い男も、夫人も結構強度なキチガイということだ!
ラムは軍医時代、瀕死の兵隊5人を射殺し、自殺を企てたが弾切れとなり、この
罪で病院に入れられた。ニセニューゲートは、ラムが収容されていた独房で殺した
兵隊の写真を見つけ、ラムにそれを見せた途端、フラッシュバックが起きて、正気を
失い、病気再発。➤廃人。

その後イタリアに逃亡した二人は、男はラムを名乗る精神科医師となっていたのだ。
あちゃー。キチガイによる病院乗っ取りでうっちゃられ、さらに主人公の正体で
うっちゃられるという・・・。ガジェットの伏線も効いていて詰めも良かったと
思うけど、最後、キチガイ同士でうまくいくのかなあ。

暗い映画だったけど、なかなか面白かったです。
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<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:52% Audience Score:49%>






by jazzyoba0083 | 2017-05-11 23:05 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち The Eichmann Show」
2015 イギリス Feelgood Fiction,BBC,and more.96min.
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
出演:マーティン・フリーマン、アンソニー・ラパリア、レベッカ・フロント、アンディ・ナイマン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

セミドキュメンタリーのような作りの中で、初めてテレビ放映された裁判として歴史に
名を刻むことになった、1961年を中心としたテルアビブでの「アドルフ・アイヒマン裁判」での
テレビ側の人間を中心に裁判が描かれる。
ユダヤ人が初めてナチを裁くという歴史的な裁判であり、この裁判で証言をした200人以上の
絶滅収容所体験者の口から出た言葉に世界が衝撃を受けた裁判としても有名なものだ。

本作では、歴史的なこの裁判をなんとかテレビを通して世界に送り出し、ナチスが欧州の
ユダヤ人に何をしたかを詳らかにしなくてはならない、と正義に燃えるテレビプロデューサーと
彼にフィーチャーされた赤狩りにあって仕事がなくなったドキュメンタリー映画監督の
コンビが、イスラエル当局の様々な制限を打ち破りついに放送にこぎつける。アメリカなどには
生で送れなかったので、ビデオテープにして空輸し放映したという。(この時代にもうVTRが
あったとはちょっと驚いた)

この映画でのハイライトは、もちろんアイヒマンやヘスらがユダヤ人にした仕打ちの人道的な
弾劾であることは勿論なのだが、この裁判を通して、表情を崩さないアイヒマンの変化を
何とかして捉えようとするドキュメンタリー作家としてのディレクターと、「テレビ映え」
視聴者受けに次第に傾いてしまう箇所(特に、ガガーリンの宇宙旅行とキューバ危機がこの
裁判に重なり世界の興味からこの裁判が遠のいてしまうことを危惧する時期)では、
プロデューサーとしてのテレビ的成功が全面に出てきてしまう側面との対比が、見せ場では
なかったか。プロデューサーとて正義感にあふれてはいるのだが、所詮テレビ業界の人間
なんだなあ、と。観てもらえてナンボじゃないか、という口だ。

そして、裁判でアイヒマンに見せる収容所の凄惨な場面は、作品中でもスタッフが気分が
悪くなり持ち場を離れざるを得ないようなものすごいものなのだが、ディレクターが狙い
たいアイヒマンの表情の揺れは撮れなかった。逆に証人が証言中に失神したりする。
その映像は、自分たちが作っているテレビ番組が超えることの出来ない圧倒的な存在を
示していた。
また当時は迫害されたユダヤ人たちがその様子を語ると、「そんなことがあるわけがない」と
世間から信用されなかった、という事実はショックだった。このアイヒマン裁判が、そうして
隠れてしまっていたホロコーストの実態をあぶり出す世界史的な役目もしたわけだ。
片や、ディレクターの宿の女主人とのやり取りで、結局アラブの地であった場所を
イスラエルとして建国してしまったことに始まる大いなる不幸も片方には出来てしまった
わけだ。イギリスの三枚舌外交の悪辣さはあったとはいえ、だ。

結局アイヒマンは人道に対する罪やユダヤ人迫害についての罪などで絞首刑になるのだが
自分に責任はない、と終始主張していた。多くのナチ司令官がそうであったように。
自分は命令されていただけだと。アイヒマンの本当の心情は語られることは無かった。
「所詮小役人に過ぎない」といえるのかどうかは誰も分かるまい。
本作でも最後にプロデューサーが語るが、こうした「正気の沙汰ではない」ことをする
のが、出来てしまうのが人間なのだ、ということ。今の世界情勢を見る時、当時のナチの
存在を、「歴史に消えた汚点」と言い切ってしまえない怖さを改めて感じさせた。

粛々と進むドラマではあるが、当時の映像も含め、見る価値のある映画である。今だからこそ。
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<ストーリー>
1961年にイスラエルで開かれた“アイヒマン裁判”を撮影し、世界にホロコーストの真実を
伝えたテレビマンたちの実話を映画化したドラマ。
歴史的TVイベントの舞台裏を通して、幾多の困難を乗り越え、世紀の裁判のTV放映を
実現させた男たちの葛藤と信念を描き出していく。
出演はマーティン・フリーマン、アンソニー・ラパリア、レベッカ・フロント。
監督は「アンコール!!」のポール・アンドリュー・ウィリアムズ。

 1960年、ユダヤ人絶滅計画を推し進めたナチ親衛隊の将校アドルフ・アイヒマンが
逃亡先のアルゼンチンでイスラエル諜報機関により拘束される。その後、彼はイスラエルへ
移送され、エルサレムの法廷で裁かれることに。
アメリカの若き敏腕プロデューサー、ミルトン・フルックマンはこの裁判のTV放映権を
獲得、監督に赤狩りで職を失っていた米国人ドキュメンタリー監督レオ・フルヴィッツを
起用するなど一流のスタッフを編成し、万全の体制で本番に臨もうと意気込む。
そんな彼らの前には、思いも寄らぬ数々の困難が待ち受けていたのだが…。

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:--- Audience Score:56%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355429#1こちらまで。

 

by jazzyoba0083 | 2017-04-19 22:55 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

愛の嵐 The Night Porter

●「愛の嵐 The Night Porter」
1974 イタリア・アメリカ Lotar Film Productions.117min.
監督・(共同)原作・脚本:リリアーナ・カヴァーニ
出演:ダーク・ボカード、シャーロット・ランプリング、フィリップ・ルロア、イザ・ミランダ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

私が大学3年生の時の作品。当時の印象は「キワモノ」。(それほど映画に興味が無かった時期
でもあるのだが)今回、WOWOWがシャーロット・ランプリングの作品を沢山放送した機会に
ちゃんと本作を観てみることにした。賞の対象になるような映画ではなかったが、その表現が
(時代も有ったのだろう)大変評判になった作品だから。シャーロットの上半身ハダカで
サスペンダーにナチSSの帽子、というポスターや雑誌への掲載写真は衝撃的ではあった。

1957年のウィーンで始まる本作は、かつて収容所にいた少女ルチア(シャーロット)と、そこで
この少女を倒錯した愛情の世界で愛した親衛隊のマックスが、意外なシーンで再会することから
始まる。今や高名なクラッシック指揮者の妻となったルチア、かたやホテルのマネージャーと
いう立場であった。
そこから、二人の戦時中の映像がカットバックしながら、現在の二人の「愛」?の行方を追う。
一方で、今でもヒトラーを信奉するSSの生き残りたちは、マックスの正体がバレ、ルチアが彼が
SSであったことの証人となることを恐れ、二人の口を塞ごうと説得を重ねる。

さもありなんのヒトラー親衛隊のユダヤ人を相手にした倒錯した、あるいは屈折した性癖は
衝撃的であるし、男娼の存在、性に対する異様な態度など、今でこそそうびっくりはしないの
だが、当時は衝撃を持って迎えらたのだろう。そこで記録係としてフィルムを回していた
マックスは、収容所のユダヤ人の中にルチアという独特の美しさを持った少女を見つけ、いわば
彼女を「調教」していくのだ。 

こうしてストーリーや映像表現を追っていくと、「変態映画、エロ映画か」と思い至ることは
簡単である。
確かにマックスの性癖はまともではない。そして、異常な環境で、死んで当たり前という中、
形はどうあれ、愛情を示してくれたマックスに対し、まともではないにしろ、深い愛情を
感じてしまっていくルチアではあったのだ。それは戦後15年ほども経過して後も、二人の心に深く拭い
切れずに残っていたわけで、再会でその炎に火が付いてしまったのだ。マックスは戦後
「ドブネズミとして生きる」と称し、SSであったことを伏せ、静かに暮らしていたいと
思っていた。ところがルチアの登場で、状況は全く変わってしまう。マックスの口からナチ
シンパのグループがバレてしまわないか、彼らは二人をなき者にしようとして来たのだった。

自分のアパートに閉じこもり、外には全く出ず、食い物はなくなり、仲間に拉致されることを
恐れルチアは鎖で繋がれる。だが、夫と離れマックスといることを選んだのはルチアであった。
マックスには同情は出来ないが、死の淵から形はいびつだが愛情という手を差し伸べ命を
救ってくれたマックスを深く愛してしまったルチアこそ悲劇(本人は悲劇とは思っていないが)
であった。

当時まだ20代であったシャーロットのあの独特の眼差し、そしてまるで少年のような薄い胸。
狂気の愛に取り込まれたユダヤ少女とその成長した姿は凄味があった。かたや一見人の良さそうな
おっさん風のダーク・ボガード、変態を突き抜けたある意味「純愛」を貫いた中年男の悲哀が
出ていた。二人は死出の服を着て、街から逃亡しようとするのだが、待っているのは悲劇であり、
二人はその結末を甘んじて受ける覚悟だったのだ。歪んではいたが、これも一つの「愛に生きた」
男女の話なのだ。女流監督の手により脚本も作られていることを思うと、ルチアの側面が一層
心を打つのだった。
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<ストーリー>

1957年、冬のウィーン。とあるホテルで夜番のフロント係兼ポーターとして働くマクシミリアン
(マックス)は、戦時中はナチス親衛隊の将校で、現在は素性を隠してひっそりと暮らしていた。
ある日、客としてアメリカから有名なオペラ指揮者が訪れる。マックスはフロントに現れた指揮者の
妻を見て困惑する。彼女、ルチアは13年前、マックスが強制収容所で弄んだユダヤ人の少女であった
からだ。ルチアもまた驚きの表情を隠せなかった。

ルチアは夫に早くウィーンを発とうと促すものの、出発の直前になって何故か一人で留まることに
決める。自らの出身地でもあるウィーンの街をさまよいながら、彼女は強制収容所での異常な体験を
追憶していた。収容所に入れられた当初からマックスに目をつけられ、彼の倒錯した性の玩具として
扱われたこと。周囲の冷たい視線を浴びながら、着せ替え人形のように順応せざるを得なかったこと―。


一方で、弁護士のクラウスやバレエダンサーのバートら、元ナチ将校の面々がホテルの一室に集まって
いた。彼らは戦後のナチ残党狩りを生き延びるために、ナチス時代の所業を互いにもみ消し合い、
時には証人の抹殺まで行っていた。そんな彼らの会合の中で、奇しくもルチアの存在が取りざたされる。
会合を盗み聞きしていた彼女は、身の危険を感じ今すぐ出発することに決めた。

部屋で苛立ちながら荷造りをするルチアのもとに、マックスがやってきた。彼はいきなりルチアを
殴りつけ、詰問する。「どうして今さら、目の前に現れたんだ!」しかしマックスは、彼女の腕に
残る囚人番号の入れ墨に、思い出したように唇を寄せる。2人は激しくもみ合ううちに、熱い息を
吐き、けたたましく笑いながら交わっていた。たちまち13年間の空白は消え、ルチアとマックスは
再び倒錯した愛憎の嵐へと叩き落とされたのだ…。(wikipedia)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:68% Audience Score:70%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=200こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-04-11 23:15 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「あの日のように抱きしめて Phoenix」
2015 ドイツ  Schramm Film Koerner & Weber 98min.
監督:クリスエィアン・ペッツオルト  原作:ユベール・モンティエ『帰らざる肉体』
出演:ニーナ・ホス、ロナルド・ツァフェルト、ニーナ・クンツェンドルフ、ミヒャエル・マールテンス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

戦争がもたらす不幸の一形態を、サスペンスの要素を巧妙に取り入れて訴えた。個人的には
好きな作品だ。原作があるので、ストーリーの面白さは映画が本来持っていたものではないのだ
ろうが、映像化することにより、この物語が持つ重要性が一層大きく示されたといえる。
舞台は第二次世界世界大戦終結後のベルリンである。

ナチ対ユダヤというとどうしても問題が大きくなる部分に目が行きがちだが、夫婦という最小限の
他人同士のユニットの間に訪れたこの問題が、夫婦だからこその濃さと主張を持って迫る。

加えて、ジャズの名曲「スピーク・ロウ」をこの映画の重要なファクターに置いたという点も大きな
評価になる。オープニングのベースのみの旋律で始まり、ラストは主人公ユダヤ人ネリーが夫のピアノ
伴奏で歌うのだが、その歌詞の内容とリンクした夫の驚愕の表情、そして歌い終わり光の中に消えていく
ネリーの姿は彼女の未来への一筋の希望を示していて鮮やかであった。それが原題へと続くのだろう。

また、ネリーの友人にしてナチス・ドイツを憎み、パレスチナに建設されるユダヤの国に一緒に行こうと
誘う弁護士ルネ、彼女は何くれと無くネリーを助けるのだが、「死者にしか思いが向かないの」と言って、
最期は自殺してしまう。ナチスにメチャクチャにされた人生と結局シオニズムに身を投ずることもなく
死んでいくルネにも、戦争が一人の人生・精神を如何に破壊するものか、を示していて興味深いものが
あった。死んだルネはネリーの夫がネリーがナチに逮捕される前に既に離婚を申し立ていたという書類を
残していた。そして彼女が残した銃で夫を殺そうか、という思いに至る時期もあった。が、ネリーは
夫を愛していたのだ。心から。しかし、その書類を見るに及び、ルネが言っていた「あなたの夫は
あなたが死んだことで、遺産を独り占めしようとしているのよ」という言葉を信じるに至る。

本当の妻なのに、ナチスにより顔に壊滅的な怪我を負って整形をしたため、本当の妻と見抜けぬ
裏切りの夫は、それなりの小物っぷりがそれはそれで良かった。彼の人生を誰が咎められようか。あの
戦時に置いて。声や体つきで本物と分かるだろう、整形うますぎだろう、とかいうツッコミは
さておくとして、長い映画ではないが、2時間以上の映画を見たような「思い」が残った。
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<ストーリー>

1945年6月、敗戦直後のドイツ・ベルリンに元歌手のユダヤ人女性ネリーが強制収容所から
奇跡的に生還する。顔に深い傷を負った彼女は、親友の弁護士レネの助けで顔面修復手術を受ける。
傷の癒えたネリーは愛する夫ジョニーとの再会を果たすが、彼女が死んだと頑なに信じている
ジョニーは彼女を妻によく似た別人と思い込み、彼女の一族の遺産を手に入れるために妻に
なりすましてほしいと頼む。
激しいショックを受けたものの、ジョニーとの再会のみを心の支えに収容所で必死に生き抜いて
来た彼女は、ジョニーの提案を受け入れ、ジョニーと共同生活を始める。
元の顔を失い、自分自身をも失っていた彼女はジョニーの言うままに昔のネリーを演じる中で
本来の自分を取り戻せたような気持ちになっていく。

一方、ジョニーが保身のためにネリーをナチスに売り、彼女の逮捕直前に離婚までしていた
事実を知るレネは、ネリーにジョニーは裏切り者なので縁を切れと言う。ネリーも疑念を抱く
ものの、事情があったのだと思い、ジョニーの言うがままに妻を演じ続ける。
そんなある日、レネが自殺する。レネの遺書には、ジョニーが一方的にネリーと離婚していた
ことを示す書類が同封されていた。

ジョニーは昔のネリーを知る友人たちとネリーとの「再会」の場を設ける。「ネリー」として
受け入れられた彼女は、友人らの前でジョニーとの思い出の曲「スピーク・ロウ(英語版)」を
歌いたいとして、ジョニーにピアノ伴奏を頼む。動揺しながらもピアノを弾き始めたジョニーは、
ネリーの歌声と腕に刻まれた囚人番号でようやく彼女が妻本人であることに気づく。
伴奏の手を止め、呆然とするジョニーを無視してネリーは歌い続ける。そして、ジョニーを残して
その場を去っていく。(wikipedia)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98% Audience Score:78%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353091こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-04-10 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)