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クーデター No Escape

●「クーデター No Escape」
2015 アメリカ Bold Films (presents) Brothers Dowdle, Living Films.103min.
監督・(共同)脚本: ジョン・エリック・ドゥードル
出演:オーウェン・ウイルソン、レイク・ベル、ピアース・ブロスナン、スターリング・ジェリンズ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
小ぶりの作品で、ストーリー的には、驚くような仕掛けもないのだが、ハラハラ
ドキドキ感を演出するエピソードは上手く挿入されていて、★は6個だけど、結構
楽しく見させていただいた。WOWOWにて鑑賞。

水道インフラの整備のため赴任した東南アジアの小国で、行った途端にクーデターが
発生し、自分の会社が国民の怒りを買っていて、反乱民に外国人が殺されている、という
状況下、逃げ場を失ったジャック夫妻と幼い女の子二人一家の決死の脱出行が描かれる。
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エラいところに来ちゃったなあ、という風情の妻と、家族を不便な国に連れて来てしまったな
という風情の旦那。宿泊先のホテルではプール、プールとうるさい幼い娘達。
到着した空港に、出迎えのクルマが来ていない、というところから何かおかしい空気。
空港でピアース・ブロスナン演じるハモンドという謎の男に出会う。

宿のホテルに入ってみても、電気がつかなかったり、テレビが映らなかったり。ロビーには
新聞も売っておらず、近くの売店に出掛けてみれば、自分を見る目がおかしい。
売ってくれた新聞は三日前のものだし。ホテルに帰ろうとすると、道の左と右から反乱軍と
国軍が今や衝突しようとするところに出くわしてしまう。たちまち始まる殴り合い撃ち合い。
双方相当荒っぽい。反乱軍は手当たり次第に住民も殺しているような感じだ。

慌ててホテルに戻るジャック。武器を持った群衆は、アメリカ人がたくさんいるホテルを包囲。
武器を持って建物に侵入して、狼藉を始めた。同宿だったハモンドの手引も有り、屋上へ
避難する。そこには欧米人がたくさん避難してきていた。
待てばやがて欧米軍が駆けつけて助けてくれるだろう、と思っていたところへ、ヘリが登場。
喜ぶみんなだったが、空いたドアからは銃の乱射が降ってきた。そして向かいのビルからの
狙撃。多くが亡くなった。

10歩先を行く、が心情のジャックは、隣のビルに飛び移り、そこから逃げることを決心、
怯む妻を励まし、まず妻がジャンプ。そして二人の娘をひとりずつ投げる。受ける妻は当然
転倒、傷だらけに。そして屋上に出てきた反乱軍にやられる一歩先に、ジャックもジャンプ。
隣のビルに移ることが出来た。しかし屋上のドアは固く閉まっている。そこで一階下に壁
伝いに降りる。やがて戦車も登場。ビルの中に飛び込むと同時にそのビルにも反乱軍が
押し寄せた。また戦車の大砲も打ち込まれた。
ジャック一家は、瓦礫の隙間を死体で塞ぎ、反乱軍の目を避け、九死に一生を得た。
そこで見つけた地図を頼りに、アメリカ大使館を目指すことにした。

現地民の服装をまとい、部屋に転がっていたバイクのキーを持って地下の駐輪場へ行き、
片っ端からバイクの鍵穴に差し込んで見る。途中、反乱軍の一人に呼びかけられるがなんとか
急場をしのいだ。親子4人を載せたカブは、反乱軍の中を塗って数ブロック先のアメリカ
大使館を目指す。途中、一人の男にバレていたが、その男はなぜかスルーした。
なんとか大使館にたどり着くが、大使館はすでに反乱軍に占拠されていた。ジャック一家は
反乱軍に見つかり、逃げる。途中で民家に忍び込み、そこの老人の親切で、なんとか
難を逃れられるか、と思ったが、銃を奪おうとしたジャックが見つかり、それを助けようとした
妻も捕まってしまう。妻がリーダーに乱暴される寸前、なんとハモンドと手下のケニーが
登場、反乱軍を倒し、一家を救った。

ハモンドの忠告で、一家は川の3キロ下流にあるベトナム国境を目指すことになった。
追っ手は更に増える。一家を逃がしたハモンドは、自分が犠牲となり追ってのトラックを転覆
させたが、自分も轢かれて死んでしまう。彼らはイギリスの秘密工作員だったのだ。
イギリスの利権を確保するために影で動いていたわけで、搾取する側として反乱軍の
「国の水道の根幹をアメリカに取られた」という怒りには理解が出来てしまうのだった。

さて、川まですぐそこ、というところで、ボートを見つけ、その所有者の老人に腕時計と
履いていたスニーカーと交換するところまで行ったが、反乱軍が来てしまう。妻と娘二人は
隠れたが、自分は老人に言われるまま穴あきボートを伏せて隠れた。雨の夜である。
押し寄せた反乱軍に、老人は「白人は見ていない」と言ってくれるが、ボスは近くにあった
伏せたボートをめくり上げた。飛び出すジャック、争いが始まるが、なにせ多勢に無勢。
ジャックは捕まってしまう。そこへ、次女のルーシーが「パパ」といって飛びだしてしまう。
ルーシーは捉えられ、手に銃を握らされ、父親を撃てとボスに手を添えられて父に銃を
向ける。その時、走り寄った妻は持っていた棒だか、鉄棒だかをボスにおもいっきり
振り下ろす、怯んだすきにジャックは銃を奪い、反乱軍に発砲、数人の敵を倒すことが
出来た。駆け寄り抱きしめあう家族4人。

急いでボートに乗る。そして川を下り始めるが、ベトナム国境警備隊の目の前で敵に
見つかってしまう。ベトナム兵は「許可のないものは国境を超えられない。引き返せ」と
拡声器で言う。ジャックは必死で無抵抗の市民だと説明、川の流れのまま、やがて
ボートは国境を超える。するとベトナム軍は追ってきた反乱軍に「ボートはすでに
ベトナムに入った。発砲すれば交戦とみなす」と脅した。すると反乱軍は去っていった。
こうしてジャック一家は、絶体絶命のシーンから脱出できたのだった。
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全体の話は以上である。

子供を投げたうえでビルを飛び移るところ、飛び移ったビルで仕方なく反乱軍の一人を殺し
てしまうところ、ハモンドの最期の前後、そしてラスト、銃を握らされたルーシーと、妻の
会心の一撃。結局、大使館に向かおうとか川を下ろうとかの決断をし、最後は旦那の
危機一髪を救った妻こそ、強いなあ、と感じたのだ。しかし、ビルに飛び移るとき、自分の
子供をそう簡単に投げられるものか、あれだけの危機が背後に迫れば、親は一縷の望みを
絶望の中にも見出そうとするのだろうか。男親の決断、親子、夫婦の機微も含め、その辺りも
考えた映画であった。

放題のクーデターはタイトルとしてどうか、と感じた。原題は「逃げ場なし」というニュアンス
なので、そういう方向のほうがいい感じじゃないか。

この映画の詳細はこちらまで。

 
by jazzyoba0083 | 2016-07-27 22:45 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Guardians of the Galaxy」
2014 アメリカ Marvel Studios.Walt Dist:Disney Productions.121min.
監督・(共同)脚本:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ジャイモン・フンスー、ジョン・C・ライリー、
    ブラッドリー・クーパー=ロケットの声
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
MARVEL映画大好きな私としては、もう少しおちゃらけた映画か、と思ってシネコンには
行かずじまいになった本作、ようやく字幕版をWOWOWが放映してくれたので、鑑賞。
結果的には★7.5を進呈したいほどの良い出来だったのだが、心に響いてくるのは
登場人物の立ち位置がはっきりする後半から。前半は星の名前や人の名前がたくさん
出てくるので、相関関係が把握しづらく、またまだ活劇に至る前なのでいささか退屈した次第だ。

後半になり、それこそ「銀河の守護者」たるチームが結成され、ロナンと対決するシチュエーションに
なると、ワクワクドキドキ感が増し、また勧善懲悪、駆けつける「第七騎兵隊」的なヒーロー
映画の王道を行く構成にカタルシスを感じることが出来たのだった。宇宙船や戦闘機などの
造形も良く工夫されていて、CGの出来も良かったと感じた。男の子映画のマストアイテムである
勇気、友情、など泣かせどころもちょっとくさめだけどちゃんとしているし。
主人公チームを取り囲むサブキャラクターたちもいい感じ。

70年台アメリカン・ポップスと初代ウォークマンがキーになっていて、構造としては宇宙モノに
よくあるパターンだが、構成が異色で面白かった。年代的にど真ん中だったことがあるのだが、
本作は宇宙モノ映画をどう捉えるか、この映画が許容範囲になるかどうか、また話題のキーに
なる70年代の洋楽に反応するかどうかにより、面白さが全然変わってくるかもしれない。

ブラッドリー・クーパーが声をやっていたロケットと呼ばれるアライグマと「私はグルート」と
しか言わない木のお化けみたいややつのコンビも、SWのR2-D2、C-3POとかチューバッカ
のような役回りで楽しかった。主人公のピーター・クイルはスター・ロードとも名乗る、
地球から少年時代に拉致された青年なのだが、どうやら彼の出生には秘密があるらしく、
それは本作では説明されないので、次作以降にとってあるエピソードなのだろう。

最後の字幕で次作があることが明記されるのだが、最近のMARVEL映画はチームの仲間が
どんどん増えていき、訳がわからなくなるし、結局味方同士で争わせたり、あまり面白くない
方向に行ってしまうので、本シリーズは是非そういうことのないようにお願いしたいものだ。
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<ストーリー>
9歳の時、何者かによって地球から宇宙に連れ去られたピーター・クイル(クリス・プラット)は
20年後、惑星間を渡り歩くトレジャー・ハンターに成長していた。

ある日、惑星モラグの廃墟で謎の球体“オーブ”を発見したピーターは、換金のために
ザンダー星のブローカーを訪れるが、彼を待っていたのは、宇宙に暗躍する“闇の存在”が
送り込んだ暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)だった。
賞金稼ぎのアライグマ、ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)と相棒の樹木型ヒューマノイド、
グルード(声:ヴィン・ディーゼル)も加わって派手な戦いを繰り広げた彼らは、ザンダー星
警察に逮捕されてしまう。

投獄された4人が銀河一危険な刑務所で出会ったのは、凶暴な囚人ドラックス(デイヴ・
バウティスタ)。妻子を殺した犯人の仲間であるガモーラの命を狙うドラックスを、ピーターは
制止。実はガモーラは“闇の存在”を裏切り、その支配から逃れようとしていたのだ。

オーブを売って金を手に入れたいピーターとロケットたち。復讐に燃えるドラックス。それぞれ
目的の異なる5人だったが、ロケットを中心に協力して脱獄。希少なものの収集家で、オーブに
大金を払う“コレクター”と呼ばれる男に会うため、宇宙の果ての惑星ノーウェアへ向かう。
そこでピーターたちは、コレクターから驚くべき秘密を聞く。“オーブを手にした者は、無限の
力を得る”。その頃、5人の動きを察知した“闇の存在”が大軍を送り込んできた。奮闘虚しく
敗れ、“闇の存在”の手に落ちるオーブ。彼らは、その力で宇宙の秩序を司るザンダー星を
滅ぼし、銀河を混乱と滅亡に陥れようとしていたのだ。
この時に及んで、それまで逃げることで生き延びてきたピーターは、何故か戦う覚悟を決める。
それはチーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”誕生の瞬間だった。ヒーローとは縁遠い
生活を送ってきた5人は、宇宙の存亡を賭けた戦いにどう挑むのか!?(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-07-18 23:15 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「奇跡のひと マリーとマルグリット Marie Heurtin 」
2014 フランス Escazal Films  94min.
監督・(共同)脚本:ジャン・ピエール・アメリス
出演:イザベル・カレ、アリアナ・リヴォワール、ブリジッド・カティヨン、ジル・トレトン、ロール・デュティユル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ヘレン・ケラーと同時代のフランス。同じように多重苦の娘が修道院にやってきた。彼女は
生まれながらに盲目で聾唖である。つまり物語の構造はアン・バンクロフトとパティー・デュークの
「奇跡の人」と全く同じである。

やってきた少女マリーは両親の手に負えず、聾唖の治療院でもあるマルグリットら修道女が
いる修道院に連れてこられたのだ。入所を断ろうとする院長に「天啓があったのです」と
自らマリーの治療に当たろうとするのがマルグリットという修道女。彼女は肺病を病んでいて、
あまり先の長い人生ではなかった。想像だが、このことが、マリーに自分の命の続きを
生きて欲しいと強く願ったのではないか。

健常者は闇と無音の人生を想像出来まい。つまり教育が出来ないから野生動物のように
なってしまったマリーを責められないのだ。マルグリットは神に仕える身でもあるのだが、
マリーに教育を施すことに残りの人生の光を見出すのだ。だから、どんな困難にあっても
ヘコタレない。(一度投げ出そうとしたことはあったけど)
入所して8ヶ月たっても良くなるどころか、悪くなるマリー。しかしマルグリットは周りが
呆れるくらい辛抱強く、愛情を以ってマリーに接する。

マリーが幼い頃から大切に持っていたナイフを「これはナイフ!」と手話で教えることから
スタート。(その前髪の毛をとかしたり風呂に入れたり、まともに食事をさせたりという苦労は
当然あった)アン・バンクロフトが喧嘩をしながらヘレン・ケラーを教育した光景が重なる。
そしてついにヘレンは「ナイフ」という単語を指で示せるようになった。すると、マリーの知識欲が
爆発、周りにあるものをどう手話で表現するのか、学びたくなってたまらなくなったのだ。
そうして、マリーは、安定した心と、学びの心をおぼえたのだ。

しかし、病魔はマルグリットを確実に蝕んでいた。彼女は倒れてしまい、院長の勧めもあり
マリーと離れ、山の中のサナトリウムで治療に当たることになった。しかし、マリーは
マルグリットがいなくなったことで大荒れとなり、また元に戻ってしまったようになった。

治療中であったマルグリットは仲間のシスターから手紙を貰い、当時肺病は死病であった
ことから、このままここで死ぬのを待つよりマリーと残りの人生を過ごそう、できるだけの知恵を
マリーに残そう、と覚悟を決め、修道院に戻ってくる。大喜びするマリー。ついに両親と対面
することが叶ったのだ。娘の変わり具合の驚き喜ぶ両親。そんな折、シスターの一人が急死
する。マルグリットはこれをいい機会と思い、人間が死ぬということをマリーに教える。
マリーは再び倒れたマルグリットの看病をよく見た。しかし、マルグリットはついに帰らぬ人と
なった。マリーはマルグリット自身が死を受け入れる前に、マリーの死を受け入れていたのだった。

そしてラストシーン。修道院の庭にある多くの十字架の中からマルグリットのものに花束を捧げ
自分をここまでにしてくれたマルグリットに感謝を捧げ、今日、修道院にやってきた自分のような
多重苦の少女の教育に手を貸します、と約束するのだった。(エンディングはうるうるきちゃうなあ)

そんなお話です。まあ、ストーリーは読めてしまうようなものですが、やはり人知を超えた
マルグリットの献身的な愛情のありようこそ、刮目すべき点であろう。人のためにこそ生きて
人生の喜びを感じる、出来ないことです。本作をみる人はすべてそう思うでしょう。
秋篠宮紀子さま佳子さまがご鑑賞されたそうだが、きっと紅涙を絞られたのではないでしょうか。
自分の不甲斐ない人生に反省のひとときを与えてくれる映画でもあります。
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by jazzyoba0083 | 2016-07-05 22:40 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「カルバラ~イラク戦争・奇跡の四日間~ Karbala」
2015 ポーランド・ブルガリア Miramar Film,Next Film.116min.
監督・脚本:クシシュトフ・ウカシェヴィッチ
出演:バルートミェイ・トパ、アントニー・クロリコフスキー、不リスト・ジョポフ、ミハウ・ジュラフスキ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆>
<感想>
イラク戦争を扱った映画は「アメリカン・スナイパー」を始めとして優れた作品も多い。
本作は、劇場未公開ながら、ポーランド製ということもあり、注目されなかったが、
なかなかいい出来だったと思う。映画の焦点が、「戦争の虚しさ」という抽象的なもので
あったため、人物描写が今ひとつ弱くなっている点が惜しいというか、見方に注意が必要か。
この話が実話をベースにしているとう点も注目しなくてはならない。描き方という側面でも。

しかし、戦闘シーンを始め、リアリティを持って迫るアフガンの日々は、よく描けている。
そして、4日間の必死の戦闘を生き抜いてきた兵士らに待っていたのは、アメリカ軍の
方針により「イラク軍の手柄にしよう。」つまり、ポーランド軍とブルガリア軍の死闘は
記録的には無かったことになったのだ。まあ、戦争の虚しさ、バカバカしさもここに
極まれり、という感じだ。

イラク戦争の多国籍軍にはオーストラリア、カナダ、韓国、デンマークなどの国々が
参加していたのは知っていたのだが、ポーランドやブルガリアという東欧の国々が
おそらくNATO軍、あるいは「集団的自衛権」により参加を余儀なくされた事実は
寡聞にして知らなかった。彼らに取っての戦闘参加は相当いい報酬にはなっていた
ようだ。それも貧乏な村から来る兵士のことを考えると、いたたまれない。

ブッシュの見当違いの戦争で、多くの命が失われ、いまだに解決していない。
本作では戦争の大義という側面で描くのではなく、そもそも大義なんてないなんだか
わからない戦闘に駆りだされ、殺さないと殺されてしまうからという、兵士レベルの
戦いとして、戦争の不条理を浮かびあげている。

冒頭に傷ついた戦友を助けろ、という命令を怖くて聞けなっかった新米衛生兵、その
舞台を率いる中尉や大尉、イラク人警官とその娘、いろいろな人物にスポットが
当てられるが、戦争は虚しい、という表現のコマとして機能していて、その人柄を
描くものではないので、素材として見ておく、というのが正解な見方なのだろう。

数あるイラク戦争のエピソードを描いた映画の中でもお勧めできる秀作といえるだろう。
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<ストーリー>
米軍が主導したイラク戦争の“イラクの自由作戦”にはポーランド軍の兵士も2500人が
参戦したが、2004年、イラク中部にあるイスラム教シーア派の聖地カルバラの町では
ポーランド陸軍らの兵士たちが武装した民兵たちに完全包囲され、全滅の危機に
さらされた……。
知られざる実話をアクション満載で迫力たっぷりに再現した力作。出演は日本映画
「杉原千畝 スギハラチウネ」にも出演したM・ジュラフスキら。WOWOWの放送が
日本初公開。

2004年。ポーランド陸軍の若い衛生兵グラドは、イラクのカルバラに赴任する。
だが現地では多国籍軍を嫌うイラク人たちが武装し、一触即発の状態にあった。
カルバラ市庁舎にいたポーランド陸軍とブルガリア軍だが、イラクの民兵たちに包囲され、
たちまち激しい銃撃戦が起きてしまう。交代部隊も足止めされ、ポーランド陸軍らは
残り少ない弾薬と食料だけで孤立する事態に。グラドはあることをきっかけに隊と
はぐれてしまい……。 (WOWOW)

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by jazzyoba0083 | 2016-06-27 23:32 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「顔のないヒトラー Im Labyrinth des Schweigens 」
2014 ドイツClaussen Wöbke Putz Filmproduktion,Naked Eye Filmproduktion.123min.
監督・(共同)脚本:ジュリオ・リチャッレッリ
出演:アレクサンダー・フェーリング、アンドレ・シマンスキ、フリーデリーケ・ベヒト、ヨハネス・クリシュ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
正直、驚き、ドイツ人がドイツ人を裁いた「アウシュビッツ裁判」の事を初めてといって
いいくらいに、今更ながらに知り得たことを深く恥じたい気分だった。

終戦後、1960年代の初頭くらいまで、西ドイツにおいては、ナチのことを語ることが「悪い意味で」
タブーとなっていて、かつてナチ党員だったりナチに協力した市民たちもどうどうと生活を
していた事実を知って、びっくりした。ドイツ戦犯を裁く「ニュルンベルク裁判」は「東京裁判」と
並びよく知られているが、ドイツ市民がナチに協力したドイツ人を告発し裁判に掛けるという
「アウシュビッツ裁判」というものがあったとは、うっすらとしか知らず、実態を本作で知ったことは
有意義であり、翻って、日本人の手で日本人を裁いていない我が国はどうなんだろう、と
考えないではいられ無かった。 本作にも出てくるが、「そんなことしたらドイツ人全員が戦争
協力者で有罪だろうよ!(意訳)」 

「アンナ・ハーレント」に出てくるアイヒマンに対する彼女の理解「思考の放棄による作為」。
50年代の西ドイツには中央地方を問わず官僚に元ナチス党員がいたり、若い娘は
「アウシュビッツなんて知らないわ」と嘯いたり、「臭いものに蓋をしたい」気分に溢れていた。
忘れたかったのだ、自分たちが犯した世界史的な犯罪を。

しかし、一人のジャーナリストが、元ナチ党員が学校の先生をしている風景を偶然目撃し、
それをきっかけに、戦争遂行者がまだ暮らしの中枢にいるおかしさを指摘する。これに応呼
する検事たち。南米に逃亡したといわれる生体実験の首謀者メンゲレなどがまだ捕まって
おらず、それはむしろモサドやユダヤ人たちの追跡機関のやること、と傍観していた傾向が
あったのだ。

若い検事は上層部も動かし、ついに1963年に「アウシュビッツ裁判」を始めることに成功、
市井に隠れていたナチ協力者を次々と摘発し、裁判にかけた。

この裁判は今のドイツが欧州でリーダーシップを獲得できるまでになった根幹を形成したと
いわれるほどの重要性を持つ。自国民の手で自国民の犯罪を告発し、他国(ユダヤ人)に
謝罪する、1979年にはナチ戦犯の追求をやめないため集団殺人に対する時効を撤廃した。
ことほどに、ドイツはユダヤ人に対する犯罪に対し、自国民に対して苛烈であったのだ。
それなくしてドイツの再スタートは切れないと考えていたのだろう。

The Huffinton Post の2015年10月4日掲載の熊谷徹氏の記事を紹介しておきたい。
「この裁判の最大の意義は、アウシュビッツでの残虐行為の細部を初めて西ドイツ社会に
広く知らせたことである。それまで大半の西ドイツ人は、アウシュビッツで何が起きていたかを
ほとんど知らなかった。
フランクフルトで行われた裁判では、収容所に囚われていた被害者たちが、ガス室による
大量虐殺や、親衛隊員らによる拷問、虐待の細部を証言し、メディアが連日報道した。
アウシュビッツ裁判は、虐殺に加担した犯罪者たちが戦後の西ドイツでビジネスマンや役人と
して、長年にわたり罪を問われずに平穏な暮らしを送っていた事実をも、白日の下に曝した
のだ。」

思考を停止し、上官の命令に従っただけだ、という論理はそこには通じない。「思考を停止した
作為」は厳しく断罪された。翻って日本はどうだったのだろう。「あの時代、誰が軍部に反対できた
だろうか、その考えは違うと指摘できただろうか」とはよく聞くことだ。しかし、そこには「思考を
停止した作為」の結果、「戦争遂行に加担してはいないのか」という断罪が迫られるのだ。
本人が出来たかどうかではなく。人間として問われなければならない真理だからだ。それは
当時軍部の中枢にいた軍人たちから市井の人々までに至る、という厳しさを持つ。

この映画、大学や高校の教材としてぜひ取り上げてほしいと思う。
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<ストーリー>
戦時中にナチスが犯した罪をドイツ人自ら裁き戦争責任に向き合う契機となった1963~
1965年のアウシュヴィッツ裁判開廷までの道のりを、事実に基づき描いた人間ドラマ。

戦後十数年が経ち戦争を過去のものとする雰囲気に包まれる中、ナチスの罪を浮かび
上がらせようとした検察官たちの苦闘に迫る。
監督は俳優としても活躍するイタリア出身のジュリオ・リッチャレッリ。
本作が長編映画初監督作品となる。

1958年、西ドイツ・フランクフルト。第二次世界大戦が終わってから十数年が経ち、
西ドイツは西側諸国との結びつきを強くして経済復興を成し遂げようとし、大半の人々は
戦争は過去のものとして当時の記憶も自分たちが犯した罪も忘れ去ろうとしていた。
そんな中、あるジャーナリストがかつてアウシュヴィッツ強制収容所にいた元親衛隊員が
規定を破り教職についていることを突きとめる。上司の制止も聞かず、新米検察官の
ヨハンはジャーナリストのグニルカや強制収容所の生き残りであるユダヤ人シモンとともに
調査を開始。様々な妨害にあいながらも、検事総長バウアーの指揮のもと、生存者の
証言や実証を得ながらナチスがアウシュヴィッツで犯した罪の詳細を明らかにしていく。
(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。


この映画の詳細は
by jazzyoba0083 | 2016-05-26 23:30 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「カプリコン・1 Capricorn One」
1977 アメリカ・イギリス Associated General Films,ITC Films.129min.
監督・脚本:ピーター・ハイアムズ
出演:エリオット・グールド、ジェームズ・ブローリン、カレン・ブラック、O・J・シンプソン、テリー・サバラス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
今から40年以上前の作品で、一度は観ているはずなのだが、内容を殆ど覚えていないので
WOWOWでの放映をチャンスに観てみた。
この映画がキッカケで、アポロの月面着陸もフェイクじゃないか、といっとき話題になりました
っけ。製作の過程で協力していたNASAも、内容を聞いて激怒し、協力を止めたという曰くつきの
作品なことは有名な話。
前半が宇宙もの(もどき)、後半は政治的なサスペンスというような仕立てであった。
アポロ11号が月面着陸に成功してからまだ10年経つか経たないかという時期にこういう
発想で映画を作ってしまったハイアムズはなかなかなモノだ。

単純なストーリーの中に政府の陰謀と飛行士の悩みなどが盛り込まれ、またカーチェイス、
複葉機と最新(当時の)ヘリとのチェイスなど見どころも満載だ。

事件を追跡するTVリポーターが、自分のクルマに仕掛けをされて街なかを暴走するシーンも
ローアングルのカメラワークが上手く、今でも手に汗を握る。
またテリー・サバラス演じる薬剤散布用複葉機と米軍の小型ジェットヘリ2機のチェイス
シーンも、並走してソーンを撮ったり、ヘリが崖にぶつかって大破するリアリティも含め
見どころとなっている。
ただ、3人の飛行士が軟禁されていた基地から小型ジェットで逃げるのだが、滑走路を
塞いだNASAの自動車と車輪がぶつかり、砂漠で胴体着陸を余儀なくされる。
その胴体着陸シーンは流石に砂煙でごまかしたな。
飛行士のリーダー格ブルーベーカーが砂漠での逃亡中、ガラガラヘビを殺してこいつの
腹を割いて内蔵を出し、生肉を食らうシーンはリアリティありすぎで引いてしまった。
それと、3人の飛行士のうち、ブルーベーカーは自分の葬儀の場に現れるのだが、
捕まってしまう後の二人はどうなったのだろうか。オープン・エンドである。
今回のWOWOWでの放映はカット版だったようだが、オリジナル版にはドッキングの
シーンや船内でふわふわ浮く(ピアノ線で吊り下げられた)飛行士のシーンなどが
カットされたようだが、NASAが怒ったシーンをカットしたようだ。オリジナル版を観て
みたいものだ。

前半の有人火星探査ロケット「カプリコン・1」の打ち上げまでに至るシーンはNASAの
協力もあり、結構本物っぽい。
ボロの端緒が、管制官の一人が、火星に近づいている宇宙船からの交信にしては
タイムラグが無く、まるで近くにいるようだ、という事に気がついたところなのだが、
そこらあたりは科学に疎い人でも、なるほど、と理解が出来る。
火星から映像を送ると21分かかる、ということでこの時差を利用して砂漠のスタジオから
の中継を入れて誤魔化していたわけだから、通信の時差に気がつかないわけが
ないと思うのだけれど。画竜点睛を欠いたわけだな。

全体として若干の古さは感じるが、その内容からSFものとしては映画史に残る作品
なのだろう。リポーター役のエリオット・グールドの存在に味があった。
彼も今は78歳になるのだなあ。
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<ストーリー・結末を含みます>
東の空が赤く染まり、やがて朝日が1日の始まりを告げようとしている中、人類史上初の
有人火星宇宙船カプリコン・1の打ち上げが目前に迫っていた。
カプリコン・1には、ブルーベーカー(ジェームズ・ブローリン)、ウィリス(サム・ウォーターストン)、
そしてウォーカー(O・J・シンプソン)らが乗り組んでいる。

発射5分前、突然カプリコン・1のハッチが開き、1人の男が乗組員3人を船外に連れ出し、
ヒューストンより3人をジェット機で連れ去った。そして5分後、カプリコン・1は、人々の
見守る中、有人宇宙船の名の下に火星へ向かって飛び立つ。
一方、3人を乗せたジェット機は砂漠にある格納庫のわきに着陸した。そしてそこには、
NASAのケラウェイ所長(H・ホルブルック)がいた。驚く3人に向かって、彼はカプリコン・1の
生命維持装置に故障が発見されたが、我国の議会や世論を今一度宇宙計画へ目を
向けさせるには、今さら計画の中止は出来なかった、という事実を告げる。

そして3人は、もしさからえば家族の安全は保証出来ないという脅迫の中、格納庫にある
火星表面のセット・ステージで世紀の大芝居を決行する。そしてそれが宇宙中継の形で、
全世界にTV放送された。よろこぶブルーベーカーの妻(ブレンダ・ヴァッカロ)達。
だが、家族と3人の宇宙飛行士との交信の内容に疑問を持ち出した男が1人いた。
新聞記者のコールフィールド(エリオット・グールド)だ。何かがある、と探る彼。そんな彼に
忍びよるNASAの魔の手--。

しかし、無事、“火星着陸”をやってのけたカプリコン・1が、大気圏再突入の際、事故で
消滅するという事態が発生--。これに感づいたブルーベーカーら3人は、消滅
(=3人の死)に身の危険を感じ、格納庫より脱出する。そして3人を生かしておいては、と、
NASAの刺客が放たれた。三方に分れて砂漠を逃亡する3人、そして事件の核心に
ふれ、友人のジュディ(カレン・ブラック)に金を借り、この世紀のスキャンダルを
スクープしようとするコールフィールド。灼熱の砂漠の中、NASAのヘリは、ウィリスを、
ウォーカーを発見し、ブルーベーカーにも魔の手はのびた。と、その時、アルバイン
(テリー・サヴァラス)の複葉機をチャーターしたコールフィールドが、追われ
ブルーベーカーを助ける。追うNASAのジェット・ヘリ。逃げる複葉機。

やがて、追撃戦の末、ヘリは爆破した--。そして、今、大統領臨席の下、3人の
宇宙飛行士の壮厳な葬儀が始まったその時、ブルーベーカー夫人の瞳に、車からおり、
こちらにかけてくる死んだはずの夫の元気な姿が映った--。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-05-09 22:50 | 洋画=か行 | Comments(0)

君が生きた証 Rudderless

●「君が生きた証 Rudderless」
2014 アメリカ Unified Pictures,Tee Rob Pictures,and more.105min.
監督・(共同):ウィリアム・H・メイシー
出演:ビリー・クラダップ、アントン・イェルチン、フェリシティ・ハフマン、セレーナ・ゴメス他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
洋画ファンならその顔を見れば、殆どの人が、知っているであろう名脇役、ウィリアム・H・
メイシー。その彼の初監督作品。あの年齢にして初なんだから、この手の映画を長年
撮りたかったのであろう。出来はなかなか良い。エンディングはほろ苦いのだが、単なる
成功譚、ハッピーエンドに終わらせない物語は、ひねりも効いていて脚本の良さも光る。
キャストも地味めではあるが、先日観たばかりの「スポットライト 世紀のスクープ」にも、
弁護士役として出ていたビリー・クラダップを始め、バンド仲間の若い俳優も個性豊かで
良かった。 
そのビリーの演じるサムの息子の死因に半ばでびっくりするわけだが、何故ジョシュという
その息子がなぜあのような行動に走ったのか、が説明不足で、びっくりさせることありき
ではないかと思ってしまった。展開のありようはいいのだが、そこが不満であり惜しい所
だった。説明には時間がかかるであろうが若干上映時間が長くなってもそこをちゃんとした
ほうがもっと良い映画になったのではないか。
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広告代理店のやり手アドマン、サム(クラダップ)。大学に通う音楽好きの男の子の父。
妻とは離婚しているものの、裕福な生活を送っていた。その息子ジョシュが大学で
起きた乱射事件で命を落とす。息子の死を受け入れられないサムの生活は荒れ、
2年後には会社も辞め、ペンキ屋の見習いをしながらヨットで寝起きをするという生活
であった。
ある日、別れた妻が2年がかりでやっと遺品の整理をした、家も売りたいから判を押してくれ
とやってきた。ヨットはスペースがないから遺品はいらないというサムだが、元妻はワゴン車
一台分の荷物を置いて行ってしまう。サムはその遺品の中にジョシュが作曲した多くの
CDを見つけ聴いてみるのだった。

街には行きつけのバーがあり、そこでは週に一回、飛び入りの素人ミュージシャンによる
演奏大会が開かれていた。サムは息子の曲を練習し、ある日そこでアコギを使って
歌ってみた。客の反応も大したこともなく、サムはしたたかに酔って家に帰ろうとした。
そこにクエンティンという若者がやってきて、「今の曲は最高だった。ボクもいろんな奴と
演奏したが、あんたの歌には鳥肌がたった」と言って付きまとってきた・・・。
彼は自分と一緒に演奏してみないか、ということだったのだ。若い彼は音楽で生きて
行こうとしていたのだが、引っ込み思案な性格が災いしてドーナツ店のバイトの身から
抜けだせないであがいていたのだ。

最初は再度人前で演奏することは考えていなかったサムだが、クエンティンの情熱に
ほだされて、再び舞台にたってみることに。そこにはクエンティンの友人のドラマーも来て
いた・・・。3人で演奏が始まった・・・。

サムの唄う歌はどれも詩がよく出来ていて、次第にファンが増えていった・・・・。
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この辺りまでは、世捨て人になったサムがクエンティンという青年と出会い、その人生を
息子の作った歌を唄うことで再生し、また成功していく話か、とそれはそれでいい話だな、
と思って観ていたのだ。(以下、決定的なネタバレを書いていますのでご注意)

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ところが、ジョシュの誕生日に墓参りに行くのだが、その墓には「人殺し」とかの罵詈雑言が
落書きされていた。元妻(ジョシュの母)はここに来てはシンナーで落書きを落とすのだと
いう。サムも手伝って落書きを落とす。ここで、初めてジョシュは大学の乱射事件の被害者
ではなく、加害者だったことが分かる。ここからクエンティンらバンドのメンバーとの間が
決定的に壊れてしまうう。メンバーもジョシュが加害者と知るところとなるのだ。
自分らは殺人者の歌を唄っていたのか!との衝撃からクエンティンは音楽を辞めてしまう。
サムも、騙すつもりは無かったが、話す機会を失ううちにバンドは有名になり、引き返せ
なくなってしまった。バンドのメンバーを巻き込んでしまったのだ。クエンティンにジョシュの
正体と、サムが唄っていたのはジョシュの歌だと告げたのは、ジョシュが当時付き合っていた
ガールフレンドだった。彼女自身もジョシュが起こした事件で人生を狂わされたのだった。

深く思い悩むサム。酒に溺れ、再び自分を失いかけていた。しかし、サムは音楽の才能
豊かなクエンティンという好青年に息子ジョシュの面影を追いかけていたということに
気づき、またそれが自分の行動が他人を巻き込み不幸にしてしまったことを反省し、
クエンティンが楽器店に委託販売を依頼していたギターを買い上げて、ドーナツ店に
行き、謝罪。ギターを置いて「やめたら負けだ」と言い残して去っていった。ギターケースの
中にはクエンティンが欲しくてたまらなかったビンテージもののレスポールが入っていた。

そしてサムはアコギを持ち、例のバーに行き、「私の息子は2年前大学で乱射事件を
起こし5人を殺しました。今から唄う歌は息子が作った曲です」と言って歌い始めたのだった。
クエンティンは再びバンドを始め、サムの代わりのギターの青年も加入したのだった。

結局、サムは本人が気づいたように唄うことで息子を理解出来たという所は良かったのだが
殺人者とは言え、俺の息子だ、という言い訳に隠れてクエンティンとジョシュを混同してしまい、
彼を破滅的自分の人生に巻き込み、また人に迷惑を掛ける生活をなんとも思わない
ジコチュウ中年に成り下がっていたということだ。彼はそれに気が付き、だらしのない生活から
足を洗い、人としてきちんとした人生を送ろうと息子に誓ったに違いない。
辛い人生が待っているのだろうけど、そこから逃げていては何も生まれないと悟ったのだ。
音楽は人を素直にさせる。映画に使われている曲がどれもいい。クエンティンが作った曲も
面白くていい曲だ。監督メイシーも、バーのマスターとして登場する。なかなか非凡な才能が
遅ればせながら開花した、ということだろう。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-04-27 22:50 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「奇跡の2000マイル Tracks」
2013 オーストラリア See-Saw Films 112min.
監督:ジョン・カラン  原作:ロビン・デヴィッドソン 『ロビンが跳ねた』(冬樹社刊)
出演:ミア・ワシコウスカ、アダム・ドライヴァー、ローリー・ミンツマ、ライナー・ボッツ他
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<感想>
オーストラリアの大地は冒険譚が良く似合う。本作は、1977年にこの大陸を約3000キロに
渡って、ラクダを引き連れ横断したロビン・デヴィッドソンという女性の実話を元に製作された
映画。

砂漠、土漠、乾燥地帯、人間のいる所、全くいない所などを歩き、様々な出会いや別れを
体験し、本人は映画の中では旅の成果についてどうこう言わないのだが、きっと人間として
一回りも二回りも大きくなったことだろう。大自然の映像はとても美しいのだが、ロビンを
演じたミア・ワシコウスカ、(実際のロビンと似ている)の存在感というか演技というか、が
素晴らしく、優しさと強さを兼ね備えたロビンという女性をよく演じていた。
4頭のラクダを実際に馴らしながらコントロールしていくのは相当訓練を積んだのではないか。
また酷暑の中のロケは大変だったろうな、というのは観ていて分かる。

オーストラリアにラクダがいたのか、という個人的な驚きは勉強不足なのであって、映画の
中でも説明しているが、かつて英国人が荷物の運搬の為に連れて来たのだが、その後
交通機関の発達で放置され、絶滅するかと思われていたのだが野生化したラクダの
生命力は強く、今や世界一ラクダが多い国になっているのだそうだ。

映画の中でロビンが連れて行くラクダも野生のものを捕まえてきて調教し、売りだすという
牧場から買ったもの。ラクダはああ見えて結構凶暴だったりするので、野生のラクダは
危険だという。
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映画は、人生の目的を見失ったロビンという若い女性が、オーストラリア大陸2000マイルに
及ぶ踏破に挑戦するというもの。作品の中に繰り返し出てくる少女時代の思い出は、母の死
(自死)以後、親戚の家に預けられ、愛犬と別れて育ったというトラウマのような光景。
一方父は若いころ東アフリカの砂漠をラクダを連れて長い距離歩いた経験があるという。
牧場を経営していたが破産。旅に出るまで、ロビンが直近でどういう生活をしていたのかは
描かれないが、世の中をすねて、自分自身の居場所が判らないという状況であった。

父のマネであり、父への復讐のような部分あり、旅立つときには「行きたいから行く」といい、
ゴールした時には「ラクダを連れた旅は始まりも終わりもない」などという達観した言葉を
吐いたりする。

見知らぬ土地にやってきてラクダ牧場に努めてバイトしてラクダを買おうとして一軒目で
騙され、二軒目のアフガニスタン人の牧場で可愛がられてラクダ4頭を得て、出発準備に
とりかかるが、お金が足りない。たまたま現地で知り合ったアメリカ人カメラマン、リックに
ナショナル・ジオグラフィックにタイアップを頼んだら、とアドバイスされ、同誌に手紙を
書き、スポンサードを獲得する。但し条件はカメラマンとしてリックを帯同すること。

こうしてリックはジープで時々キャラバン?を訪れ写真を取るがロビンに取っては煩わしい。
全行程砂漠、ではなく、人がいる所も通る。アボリジニの村にも入る。野次馬がやってきて
「キャメルレディ」と言って写真を一緒に取りたがる、という風に完全に解脱した心境で旅は
出来ない。俗社会と付き合いつつ、親切なアボリジニや現地の白人たちの支援や応援、
やがてリックもロビンを心から応援するようになる。そうした中でラクダとのトラブル、愛犬との
別れ、何回も旅の意義を見失い、止めようと思った折れそうになる心を励まして、ついに
インド洋に到達した。インド洋の透明な海水が胸を打つ。
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ロビンは半年掛けたこの冒険で人が経験することのない経験をし、何でも出来る人間に
なっていった。自分が何故生きるのか、彼女は見つけたに違いない。そうは言わないけど。
尋常な人間はやらない大冒険を成し遂げた一人の女性の記録として、その物語の再現に
触れることが出来るのは映画の持つ可能性の1つを明示するものとして素晴らしいと思う。
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<ストーリー>
ラクダ4頭と愛犬を連れ、オーストラリア西部に広がる砂漠2000マイル(約3000キロ)を
横断した女性の回顧録を映画化。オーストラリア各地で大規模ロケを敢行、アリス・
スプリングスからウルル(エアーズロック)を経由しインド洋へと彼女がたどった道程を再現
している。
監督は「ストーン」のジョン・カラン。製作には「英国王のスピーチ」のイアン・カニングと
エミール・シャーマンが加わっている。冒険の旅に出た女性を「アリス・イン・ワンダーランド」の
ミア・ワシコウスカが、ナショナルジオグラフィックの写真家を「フランシス・ハ」のアダム・
ドライバーが演じている。第70回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。

24歳のロビン(ミア・ワシコウスカ)はどこにも居場所を見つけられず、ひとり都会から
オーストラリア中央部の町アリス・スプリングスへやってきた。彼女はパブで働きながら牧場で
ラクダの調教を覚え、オーストラリア西部に広がる砂漠を横断しインド洋を目指す2000
マイルもの旅に出ようとしていた。
荷物を持たせた4頭のラクダと愛犬を連れ出発したロビンは、大地を一歩一歩踏みしめ
ながら進み、貴重な出会いと経験を重ねていく。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-04-20 23:15 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「靴職人と魔法のミシン The Cobbler」
2014 アメリカ Voltage Pictures,Next Wednesday,Golden Spike and more.98min.
監督・(共同)脚本&製作:トム・マッカーシー
出演:アダム・サンドラー、クリフ"メソッド・マン"スミス、エレン・バーキン、スティーヴ・ブシェミ、
   メロニー・ディアス、ダスティン・ホフマン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
原題の通り、靴職人に纏わるちょいといい話。私は好きでした。特に、ラストの二段構えの
大どんでん返しはびっくりぽんだった。やる気が有るんだか無いんだか判らないアダム・
サンドラー、こういうのに合う。エレン・バーキンやダスティン・ホフマンがキーマンになる
のも短い物語を締めるのに役立っているし、隣人のスティーヴ・ブシェミ、好きな脇役さん
です。

ロウワーイーストサイドのユダヤ人街で4代続く靴の修理屋マックス(サンドラー)が
アダム・サンドラーの役どころ。普段は使わない先祖伝来の古い靴を縫うミシンで靴を
修理すると、その靴を履いた途端、その靴の所有者に変身する、という、まあ、割りと
ありがちな魔法が物語を作る。しかし、本作はそれで終わらないのがいいところだ。
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古いミシンの魔法を知ったマックスは、日々の冴えない生活から一転、たくさんの
靴をバッグにいれて街へ出て、色んな人に変身しては楽しんでいた。無銭飲食したり
イケメンに変身してガールフレンドの部屋でシャワー中の裸を拝んだり・・・。
しかし、ある黒人レオンの靴を履いたことから、悪のトラブルに巻き込まれる。

古い町並みが地上げにあって困っているという地元の運動が伏線になり、レオンと
いう黒人はエレン・バーキン扮する金満不動産屋エレーンの手先として、この街の無茶な
再開発を手げるうえでの汚い仕事を引き受けていたのだ。

一方、マックスの父親は随分前に失踪したまま、母は痴呆が入っていて体も弱まって
いる。ある日マックスは母の願いを叶えるため、父(ダスティン・ホフマン)の靴を履き
母と父とのディナーを演出してあげる。喜んだ母だが、次の朝、亡くなってしまった。

隣で理髪店を営むジミー(ブシェミ)は、毎朝朝刊を交換したり、ピクルスをご馳走に
なったりで、何くれと無くマックスに気を使ってくれている。母が亡くなった葬儀の時、
出来が悪い息子だ、手遅れだ、と嘆くマックスに対し、今にきっと良くなる、時を待て、
早まるな、という忠告をする。(これが結構重要な伏線になっていることが後で分かる)

親戚から母親の墓石をちゃんと買えよ、と言われ、例の黒人に変身し、彼の部屋に
忍び込み、高級な時計を頂いたり、エレンから仕事代(ただ一人ビルに居残った
サイモンというジイさんを追い出すためビルに放火すること)として10万ドルを貰い
トンズラしようとしていた。レオンの部屋でレオン本人に出くわしてしまい、その時に
変身していた大きなオカマが履いていたハイヒールをノドに突き刺し殺してしまったのだ。
警察に自首するマックスだったが、警察とレオンの部屋に来てみると、死体はなく、
じゅうたんも綺麗になり、時計や10万ドルが入ったかばんも無くなっていた。
何が何だか判らないマックス。警官は呆れて帰ってしまう。靴修理店に帰ると、
時計や大金が入ったバッグがそのまま店のカウンターに置かれてあった。一体誰が?

マックスはサイモンじいさんを救うため、地元の街を守る会に加わり、サイモンじいさんを
助け、エレンを懲らしめようと、色んな人に化けて、ついにエレンは逮捕される。

そしてマックスは靴を使った変身を止めようと思ったが、隣の床屋でジミーから
大きな秘密を2つ聞かされることになる。

<ここから先はこの映画の最大の面白さをバラしていますので、ご注意ください>
床屋のジミーこそ、魔法のミシンの秘密を知っていたマックスのオヤジその人だったのだ。
彼は、ジミーに金を与え南国に隠居させて床屋を買い取り、ジミーの靴を履いて彼に成りすまし
マックスを見守っていたのだ。
そして父はマックスを地下に連れて行く。そこには巨大な靴の倉庫があり、初代からあの
ミシンで作った偉人や金持ちやスポーーつ選手の靴が多く飾られていた。
そして、父は裏口から帰ろう、と言うと、そこには運転手付きのリムジンが待機していたのだ。
父は靴を使って財をなし、郊外に豪邸を構えていたのだった。
父によれば靴屋以外にもそういう秘密を持った異業種の職人がいるらしい・・・。

冴えない日々を送っていたマックス、街を守ろうと呼びかけてくれたカーメンとデートの
約束を取り付けるのだった・・・・。
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なかなか夢のある話で、ラストの二段構えの(床屋が父親だった、また大金持ちだった)と
いうどんでん返しは驚かせてもらった。
何より、靴を履き替えると変身するのだが、キャラはマックスのままなので、黒人の
親分も、変身したはいいけどえらいいい人になっちゃったり、色んな人がマックスの
キャラで登場するところが面白い。 出だしはなんかチンケな変身ものか、と思って
いたらいい意味で裏切られた。楽しい映画なんで、お勧めしたいですね。
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<ストーリー>
ニューヨーク市マンハッタン区にあるロウアー・イーストサイド地区で代々続く小さな
靴修理店を営むマックス(アダム・サンドラー)は、年老いた母親と二人、ごく単調な
毎日を過ごしていた。
ある日電動ミシンが故障してしまい、やむをえず古くから伝わるミシンを物置から
引っ張り出して靴を修理したところ、直した靴を履いた途端にマックスは靴の持ち主に
変身する。驚いたマックスは、それからというもの、ミシンの力を使って他人に変身し、
自分の知らない世界を体験していく。やがて親孝行しようと思い立ったことから、
思わぬトラブルを呼んでしまう……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-04-05 11:10 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「恋のじゃま者 Nothing in Common」
1986 アメリカ Delphi Films,Rastar Productions,TriStar Pictures.119min.
監督:ゲイリー・マーシャル
出演:トム・ハンクス、ジャッキー・グリーソン、エヴァ・マリー・セイント、ヘクター・エリゾンド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ゲイリー・マーシャルという監督さん、この4年後に「プリティ・ウーマン」を撮るわけだど、
その後の作品を観ても、一発屋ということになってしまうのだろうか。
本作も、邦題がヘンチョコリンだけど、いわば親子関係再生のけっこう良いテーマが
設定されているのだけど、トム・ハンクスの女の子ネタと饒舌なジョークに長い時間を取って
しまい、締りのない、視点がボケた映画になってしまい、勿体無いことをした。

トム・ハンクス自身もこの時代あたりはいい作品に当たらない苦悩の時間帯であったの
だろうな。

有能なのだけれど、生活がルーズで女の子ばかり追いかけている広告マン、デヴィッド。
(トム・ハンクス)観ているこっちが苛つくほどC調なやつ。
で、デヴィッドの父親から36年連れ添った母さんが出てった!という泣きの電話が入り、
そこから両親の騒動に子どもとして巻き込まれ、(自分から巻き込まれていったのだけれど)
疎遠であった父を理解し、母とも愛情を確認する、というお話。そして、デヴィッド自身は
幼なじみの「友達」としてしか見ていなかった女性との間に愛を見つけ・・・。

簡単に端折るとそういうお話。作品の3分の2は、後半3分の1の両親との和解への
冗漫なる前フリ。あと30分短くしたらもう少しピリッと引き締まった映画になったのでは
ないか。物語の前半のデヴィッドと後半のデヴィッドの落差を見せたかったにしても、だ。

厳しかったが女に甘かった父親がひた隠しにしていた糖尿病により、両足に
壊疽が発生し、指を切断せざるを得ない状況、またそれを許してしまっていた母の
無関心・・その無関心とて原因は父親にあり、そうした父親を作った遠因は母の育ちに
あり、その母の育ちを理解しない父も悪いのであり、という割と分かりやすい因果応報の
輪廻なのだが、その前ふりが冗漫で頂けない。
せっかくデヴィッドが物語の中で手掛ける航空会社のCMのコンセプトが家族でるのも
含め、残念だ。
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<ストーリー>
デイヴィット・バスナー(トム・ハンクス)は、シカゴの広告代理店に勤めるエリートだ。
その日は昇進も決まり、意気揚々。会社のボス、チャーリー(ヘクトール・エリゾント)たち
との呼吸も合い、ガールフレンドにも恵まれ、大いに満ち足りている。

が、一つ、悩みのタネがあった。父のマックス(ジャッキー・グリーソン)を残して母の
ロレイン(エヴァ・マリー・セイント)が、家出をしてしまったのだ。34年の結婚生活の
突然の破局で混乱する両親を前にして悩むデイヴィット。そんな彼を慰めるのは、
ハイスクール時代からのガールフレンドで演劇のインストラクターをやっているドナ
(ベス・アームストロング)。一方、会社では大手の航空会社“コロニアル・エアライン”
との取り引きの話しが持ち上がり、クライアントに会いに行ったデイヴィットは、そこで
社長と共に現れた美しい女シェリル(セーラ・ウォード)と知り合い、早速ベッドイン。

ところが彼女は社長の娘で、彼女の取なしもあって取り引きは大成功。仕事は順調
だったが、父マックスが交通事故を起こして会社をクビになり、デイヴィットを頼ること
しきり。ロレインも何かと電話をかけて来る。
しかし、時がたつに従ってデイヴィットにはそんな父の事が、哀れに思えて来た。

更にマックスは、足のリウマチがもとで切断手術を受けなければならなくなる。こんな
父の手術の日を前に“コロニアル・エアライン”の社長にニューヨークへ行くように命じ
られるデイヴィット。仕事を取るか、父を取るかで悩む彼は父親の方を取った。
以前には持った事のないような共感と愛情を持って、病院の父の面倒を見る
デイヴィットの姿があるのだった。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-03-26 23:10 | 洋画=か行 | Comments(0)