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サムライ Le Samourai

●「サムライ Le Samourai」
1967 フランス・イタリア CICC and more.101min.
監督・脚本:ジャン=ピエール・メルヴィル
出演:アラン・ドロン、ナタリー・ドロン、フランソワ・ペリエ、カティ・ロジェ他
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<評価:★★★★★★★★★☆☆>
<感想>

フィルム・ノワールの傑作といわれるので、WOWOWで初放送になった今回、録画して鑑賞。
様々な映画に影響を与えたといわれる演出、今ではこういうストレートな演出は無くなったのじゃ
ないかな。硬質、クール、と表現され、ほとんどセリフも演技もないアラン・ドロンは、佇まいも
美しいが、監督の趣旨を理解し、終始ポーカーフェイスである。モノトーンにも近い感じのブルー・グレーの
色彩も、作品の主張を文字通り彩る。監督は後に「仁義」という同じくアラン・ドロンを起用したフィルム・
ノワールの名作をモノしている。
この時代のこの手の映画には欠かせないJAZZの雰囲気も良い。またシトロエンDSを始めとするフランス車や
日常品のデザインなど、フランスのエッセンスの香りも出ている。
難を言えば、ナタリー・ドロンの存在が今ひとつ中途半端な感じ。当時の警察の令状なしの捜索や、
「面通し」など、今やったら人権問題になりそうな捜査や、先の戦争の事がセリフに登場するなど、年代を
感じさせる部分もある。
長身の色男がバリっとしたトレンチコートとハット姿では逆に目立つだろう、と思うのだけれど。
地下鉄での警察との追跡シーンは見ごたえがある。その後の「フレンチ・コネクション」などに影響を与えて
いるのではないだろうか。

さて、本作のタイトルは日本のサムライの精神構造をフランスの殺し屋に置き換えたものであるので、
ストイックでクール、弾の入っていない拳銃を持ってのラストシーンはまさに武士の切腹。また白い手袋を
して最期に臨むところはまさに白装束を汲んだものであろう。武士の美学をフレンチに換骨奪胎した監督の
力量とドロンの存在感は、流石に名作の評判どおりである。
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<ストーリー:結末まで書いてあります>
ソフト帽にトレンチ・コートのいでたちでジェフ(A・ドロン)は、仕事に出かけた。駐車してある一台の
シトロエンにのりこみ、合鍵でスタートさせ、郊外のガレージに乗り込んだ。ガレージの親爺は、車の
ナンバー・プレートを取りかえ、拳銃を、大金とひきかえにジェフに渡した。

その後、コールガールをしている恋人ジャーヌ(N・ドロン)を訪ね、アリバイを頼むと、仕事場のクラブへ
向った。ジェフの仕事は、クラブの経営者を殺すことだった。仕事は、いつものように、寸分の狂いもなく
完了した。だが、廊下へ出た時、黒人歌手のバレリーにはっきりと顔をみられてしまった。警察は動き出し、
クラブの客や目撃者の証言で、ジェフも署に連行され、面通しが行なわれた。

目撃者の大半は、ジェフが犯人だと断定したが、バレリーだけはなぜかそれを否定し、それに、ジェフの
アリバイは完全だった。だが、主任警部(F・ペリエ)は、依然ジェフが、怪しいとにらんで、尾行をつけた。
そのことを知ったジェフは巧みに尾行をまくと、仕事の残金を受けとるために、殺しの依頼を取りついだ
金髪の男と会ったが、男はいきなり巻銃を抜いて、ジェフは左手を傷つけられた。

残金をもらえぬどころか殺されそうにさえなったジェフは、殺しの依頼主をつきとめるべく、偽証をして
彼をかばってくれたバレリーを訪れた。だがバレリーの口は堅く、「二時間後に電話を」とだけ言った。
約束どおりジェフは電話したが、誰も出てこなかった。やむなく帰ったジェフの部屋に、金髪の男がいた。
男はうって変った態度で、殺しの残金を渡すと、さらに新しい仕事を依頼した。ジェフは、男のスキをみると、
いきなりとびかかり、巻銃をつきつけて、依頼主の名を聞き出した。

大がかりな尾行網をぬけジェフは、男から聞き出したオリエビなる依頼主を訪ね、有無をいわさず射殺した。
オリビエの部屋はバレリーのすぐ隣であり、オリビエはバレリーを通じて自分の正体がばれるのをおそれて
新しい仕事として、バレリー殺しをジェフに依頼したのだった。クラブでピアノを弾くバレリーの前にジェフが
あらわれた。ジェフが拳銃を握った瞬間、張り込んでいた刑事たちの銃声がひびいた。主任警部が調べた、
死んだジェフの拳銃には、一発も弾が入ってなかった。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=9079#1こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-11-05 22:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「禁断のケミストリー Better Living Through Chemistry」
2014 アメリカ Occupant Entertainment and more.92min.
監督・(共同)脚本:ジェフ・ムーア
出演:サム・ロックウェル、オリヴィア・ワイルド、ミシェル・モナハン、ベン・シュワルツ、レイ・リオッタ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

ストーリーはあんまり褒められたものではないし、ドラッグと不倫を取り扱っているから日本では未公開だ。
公開したら薬剤師組合みたいなところからクレームが付きそうだ。
悪いことに手を染めながらも、人生上手く行っちゃって、次の高みに行くことが出来た、と、まあ都合の
良いお話だが、ブラックユーモアにつられて結構面白く観てしまった。レイ・リオッタとジェーン・フォンダは
友情出演みたいなもので、あとは割りと地味めなキャスト陣である。
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冴えない中年に差し掛かろうとしている男、ダグ(サム・ロックウェル)は、義父に頭が上がらず、任せられた
薬局に自分の名前を付けられない不満を抱えながらも、町では信頼されている薬剤師で、町民の健康事情も
分かっていた。相談を受けながら、それぞれに合ったクスリを調剤するわけだ。

そんなダグが、クスリの配達で出会った超色っぽい人妻と不倫にハマってしまう。絶倫を振る舞うために薬局に
あった麻薬成分のクスリに手をだしてしまう。お陰で美人人妻とは絶好調!家庭では、出来の良くない小学生の
息子を忍者ごっこに巻きこみ、自分の薬局のネオンサインとかショーウィンドウを割ってしまったりした。
息子には理解ある父親だと思われたり・・・。妻は二番目の子供を妊娠中。趣味が昂じてプロのサイクリストに
なってしまい、毎年行なわれる町のロードレースの優勝の常連であった。他に生きがいを見出した妻はダグを
無視しがちとなっていた。

そんな薬局に麻薬捜査官がやってきた。薬局の在庫と使用の量がちゃんと釣り合っていて不正使用がないかを
調べに来たのだ。ダグは不倫用に無断でクスリを使用しているので緊張するが、なんとか後日に資料を提出
するということでいいくるめた。エスカレートしたダグは美人妻と駆け落ちするところまで行ってしまったが、
結構当日、心臓を患っている美人妻の夫(レイ・リオッタ)のクスリに毒を混ぜて殺す、という計画だったが、
配達人が配達せず、しかも薬局のクスリを盗んで自分で売りさばくという売人で更に自分でも使用して
薬局内で死亡してしまったのだ! 
捜査官は、薬局のクスリの在庫と使用量が合わないので調査に乗り出そうとしていたのだが、配達人がくすねて
売ったり自分で使っていたりしていたと理解し、逆にダグに同情する。

ダグは駆け落ちを中止。馬鹿な人生はここで終わりにしようと決心し、美人妻には行けない、と電話。彼女は
一人ヨーロッパへ。薬局の名前は自分の名前となり、妻とまた信頼される薬剤師の道を歩き始めたのであった。
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悪いことをしていたダグにはお咎めなしである。まコメディなんで堅苦しいことは置いて、ブラックユーモアと
アイロニーを楽しめばいいのではないか。
お気に入りのミシェル・モナハンがダグの妻役であった。ここではあんまり美人だなあ、という感じは受けなかった
なあ。
この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=357427こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-09-21 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

ゲットハード/Get Hard

●「ゲットハード/Get Hard」
2015 アメリカ Gary Sanchez Productions,Warner Bros.101min.
監督・(共同)脚本:イータン・コーエン
出演:ウィル・フェレル、ケヴィン・ハート、ティップ・"T.I."・ハリス、アリソン・ブリー、グレイグ・T・ハリソン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

「俺たち~・・・」というタイトルでお馴染みのウィル・フェレル主演のお馬鹿下ネタ満載コメディ。
ウィルのコメディを改まった姿勢で何か論評しようと考えながらみる人はそう多くないと思うが、
実際突っ込みどころ満載なので、いちいち突っかかっていたら本来?の面白さはない。あるがままに
受け入れて楽しむ映画だ。日本劇場未公開なのでいいのだが、地上波でも放送出来ないような成人ネタが
満載である。夫婦でみるのも憚れるかもしれない・・・ww。ただただ楽しめばいい。
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LAもセレブが住むベルエアに豪邸を構え、多くの使用人を抱えて豪勢な暮らしをしているジェームズ(ウィル)。
投資信託会社の凄腕ディーラーで、経営者のマーティンの娘(頭軽いがナイスバディの美人)と結婚を
間近に控えている。今日も今日とて株の取引で会社に多くの利益を上げた、ということでマーティンは
ジェームズを共同経営者に迎えた。そして娘アリッサとの婚約パーティーをにぎにぎしく始めたのだが、
そこにFBIが踏み込み、ジェームズは詐欺罪で逮捕された。全く見に覚えのないことだが、無実は証明されず、
10年の刑を言い渡される。収監を30日後に控えたジェームズは、凶悪犯用の刑務所に入れられては無事では
済まないと、刑務所生活のノウハウを予習することにした。

彼の「先生」になるのが、ジェームズの会社の地下でクルマの洗車業を営んでいるダーネル(ケヴィン)で
あった。ジェームズは黒人=犯罪者だからダーネルも刑務所の経験があるに違いないと見込み、
100万ドルという報酬で請け負うことに。実はダーネルは真面目一筋の男で、刑務所の経験など全く
なかったのだった。ネットや知人の情報で、ジェームズの豪邸に刑務所の部屋を模して作り、そこで
マーシャルアーツなどを教えていくのであった。そして下町ギャングである従兄弟のラッセルに
ジェームズを教育してもらおうとも考えた。

刑務所経験者ダーネルがジェームズにあれやこれやを教えるのだが、そのプロセスが爆笑モノ、という
仕立て。男の世界に慣れさせるということで、ゲイの集まる喫茶店に出かけ、相手を見つけて「モノを
しゃぶる」練習をさせてみたり、汚い罵り言葉を教えてみたり、どうも本質を外れた教育が笑いを誘う。

黒人たむろす下町に行き、従兄弟ラッセルとその仲間たちと対面。彼らが妙に神妙でジェームズから
財テクを教えてもらったり、ジェームズをマヨネーズみたいに白いことから「マヨ」というニックネームを
付けて仲間に入れようとしたり。
「そんなことをするより真犯人を見つけたほうが早いだろうに」と観ている人は思うだろう。ダーネルも
そう思い、真犯人探しをしようとジェームズに持ちかける。するとあっさり経営者であり婚約者の父でも
あったマーティンが黒幕であることが判明、証拠となるマザーデータが収めてある昔のPCを事務所から
盗み出そうとして地下車庫でマーティンに見つかり、PCを奪還されてしまう。
クルーザーで自分が所有する島に逃げようとしていたマーティンのところにジェームズとダーネルが
乗り込み、マーシャルアーツ炸裂で、敵をやっつけて無実を証明するのだった。
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そんな内容である。そうしたストーリー進行に、細かいお笑い(下ネタ)ギャグが満載で、「馬鹿だねえ」
とか「そんなアホな」といいながら見終わるのだ。タイトルは、懸命な諸氏ならすでに気が付かれている
と思うのだが、シモネタも引っ掛けたものである。

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=355256#1こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-09-07 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「グローリー/明日への行進 Selma」
2014 アメリカ Cloud Eight Films and more.128min.
監督:エヴァ・デュヴァネイ
出演:デヴィッド・オイェロウォ、トム・ウィルキンソン、カーメン・イジョゴ、ジョヴァンニ・リビシ、ティム・ロス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

シネコンで上映せず、単館上映を逃した話題作をWOWOWが放映し、これを鑑賞。主題歌はオスカーを
獲った。
黒人公民権運動を象徴する「セルマの大行進」を横軸に、これを指導したマーチン・ルーサー・キング・
ジュニア牧師の葛藤と苦悩を縦軸に、たかだか50年くらい前のアメリカに実質的に選挙権が無かった黒人の
自由の獲得に向けた闘争を描く。

一番心を動かされたのは、キング牧師の呼びかけに応え、行進に加わろうと集まってきた国民に影響を与えた
のはNew York Timesであり、CBSニュースの正しい報道であった事。マスメディアの正しい報道がいかに政治や
国民の行動に影響があるかを改めて感じた。当時テレビ報道が国民生活や政治に多大な影響を持ち始めた頃で
その辺りも含んでみると、更におもしろいのではないか。今のマスメディアはネットの発達で当時ほどではないに
しろ、一定の影響はある。

本国では大ヒットした映画であるが、やはり黒人の自由民権運動を肌身で感じているアメリカ国民と、どうしても
傍観者になってしまう日本人とは感じ方が変わるだろう。変わって当然だと思う。アメリカ人が観れば
私達よりも、より深く重く辛い感動を呼び起こすのではないか。有名な事件ではあるが、改めてきちんと提示され
るとやはり、キング牧師らの存在の大きさを再確認できるだろう。国民の祝日になっている人物だけのことはある。
ジェファーソンやケネディの祝日は無くてもキング牧師の祝日はあるわけだから。(この日の制定には未亡人が
多大な努力をしたようだ。映画のラストでその旨字幕表示される)何故今この映画か、といえば、黒人の
待遇が当時と大きくは変わっていない、ということ、白人の警官に丸腰の黒人が射殺されるという事件が多発する
のに象徴されるように。そのことが今アメリカの大きな問題に(また)なっているからだ。

有名な事件だけに物語をどう構成するか、が問題で、大行進に山を置き、イベント毎に時間を入れた字幕を出す、
という進め方を取った。イベントの字幕が時系列かどうかは確認出来なかったが、これはあまり効果的では
なかったと感じた。途中にジョンソン大統領、フーバーFBI長官、ウォレスアラバマ州知事ら知られた人物と
その言動を散りばめることにより、また師の妻コレッタとの事も挿入することにより、観ている人を飽きさせず
作品に厚みを持たせることが出来たと感じた。個人的にはケネディ暗殺で棚ボタ式に大統領の座に付いた
リンドン・ジョンソン大統領は、ベトナムでろくなことをせず、大したことはない、と思っていたのだが、
ことキング牧師との間のこと、そして黒人の選挙権に関して言えば、なかなか良いことをしたんだな、と
理解した。(監督がそう描いただけかもしれないが。)アメリカではそう観ることが一般的なんだろうか。

「セルマの大行進」への参加者が黒人だけでなく、白人やヒスパニックまで広がる中で、ハリー・ベラフォンテや
ジョーン・バエズ、PPMらミュージッシャンらの参加も決まるというシーンはベタであるがキャッチーな
見せ場であった。ベラフォンテ、飛行機をチャーターして一般の人を乗せてきたんだなあ。凄い。
(エンディングで流れる当時のフィルムにはベラフォンテ本人が歩く様子、またサミー・デイヴィス・ジュニアの
姿も確認できた)
マルコムXも出てきたが、本物に似ていたなあ。それにも感心!配役陣はジョンソン大統領を演じた
トム・ウィルキンソン、ウォレス知事を演じたティム・ロス、それにクレジットされないが、黒人に理解を
示す判事を演じたマーティン・シーンの他はあまり知らない俳優陣であったが、破綻なく手堅く演じて
いたと思う。ラスト、暗殺で締めくくらず、キング牧師のモンゴメリーでの有名な演説で終わったのも良い。
39歳の生涯だった。思えば若いリーダーだったな。ケネディもそうだが、時代が回転するときにはこういう
若い人が出てくるのだろう。坂本龍馬もそうであるように。
この映画を観て、キング牧師に感動するだけではいけないだろう。今のアメリカで黒人がどう扱われている
のか、そこに視線を置くことが大事なのではあるまいか。
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<ストーリー>
1965年3月7日、前年にノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キングJr.牧師(デヴィッド・
オイェロウォ)の指導のもと、差別により黒人の有権者登録が妨害されていることに抗議する600名もの
デモ隊がアラバマ州セルマを出発。しかしこれを白人知事を筆頭に警官隊が暴力を振るい鎮圧。
彼らが進んだ距離はわずか6ブロックだった。この事件のショッキングな模様は『血の日曜日』として
全米で報じられ、公民権運動への賛同者を集めていく。
抗議デモには日に日に参加者が増え、ついに2万5000人にまで到達。やがて彼らの声は大統領や世界を動かし、
歴史を変えていく。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=352675#2こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-08-30 23:20 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

クーデター No Escape

●「クーデター No Escape」
2015 アメリカ Bold Films (presents) Brothers Dowdle, Living Films.103min.
監督・(共同)脚本: ジョン・エリック・ドゥードル
出演:オーウェン・ウイルソン、レイク・ベル、ピアース・ブロスナン、スターリング・ジェリンズ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
小ぶりの作品で、ストーリー的には、驚くような仕掛けもないのだが、ハラハラ
ドキドキ感を演出するエピソードは上手く挿入されていて、★は6個だけど、結構
楽しく見させていただいた。WOWOWにて鑑賞。

水道インフラの整備のため赴任した東南アジアの小国で、行った途端にクーデターが
発生し、自分の会社が国民の怒りを買っていて、反乱民に外国人が殺されている、という
状況下、逃げ場を失ったジャック夫妻と幼い女の子二人一家の決死の脱出行が描かれる。
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エラいところに来ちゃったなあ、という風情の妻と、家族を不便な国に連れて来てしまったな
という風情の旦那。宿泊先のホテルではプール、プールとうるさい幼い娘達。
到着した空港に、出迎えのクルマが来ていない、というところから何かおかしい空気。
空港でピアース・ブロスナン演じるハモンドという謎の男に出会う。

宿のホテルに入ってみても、電気がつかなかったり、テレビが映らなかったり。ロビーには
新聞も売っておらず、近くの売店に出掛けてみれば、自分を見る目がおかしい。
売ってくれた新聞は三日前のものだし。ホテルに帰ろうとすると、道の左と右から反乱軍と
国軍が今や衝突しようとするところに出くわしてしまう。たちまち始まる殴り合い撃ち合い。
双方相当荒っぽい。反乱軍は手当たり次第に住民も殺しているような感じだ。

慌ててホテルに戻るジャック。武器を持った群衆は、アメリカ人がたくさんいるホテルを包囲。
武器を持って建物に侵入して、狼藉を始めた。同宿だったハモンドの手引も有り、屋上へ
避難する。そこには欧米人がたくさん避難してきていた。
待てばやがて欧米軍が駆けつけて助けてくれるだろう、と思っていたところへ、ヘリが登場。
喜ぶみんなだったが、空いたドアからは銃の乱射が降ってきた。そして向かいのビルからの
狙撃。多くが亡くなった。

10歩先を行く、が心情のジャックは、隣のビルに飛び移り、そこから逃げることを決心、
怯む妻を励まし、まず妻がジャンプ。そして二人の娘をひとりずつ投げる。受ける妻は当然
転倒、傷だらけに。そして屋上に出てきた反乱軍にやられる一歩先に、ジャックもジャンプ。
隣のビルに移ることが出来た。しかし屋上のドアは固く閉まっている。そこで一階下に壁
伝いに降りる。やがて戦車も登場。ビルの中に飛び込むと同時にそのビルにも反乱軍が
押し寄せた。また戦車の大砲も打ち込まれた。
ジャック一家は、瓦礫の隙間を死体で塞ぎ、反乱軍の目を避け、九死に一生を得た。
そこで見つけた地図を頼りに、アメリカ大使館を目指すことにした。

現地民の服装をまとい、部屋に転がっていたバイクのキーを持って地下の駐輪場へ行き、
片っ端からバイクの鍵穴に差し込んで見る。途中、反乱軍の一人に呼びかけられるがなんとか
急場をしのいだ。親子4人を載せたカブは、反乱軍の中を塗って数ブロック先のアメリカ
大使館を目指す。途中、一人の男にバレていたが、その男はなぜかスルーした。
なんとか大使館にたどり着くが、大使館はすでに反乱軍に占拠されていた。ジャック一家は
反乱軍に見つかり、逃げる。途中で民家に忍び込み、そこの老人の親切で、なんとか
難を逃れられるか、と思ったが、銃を奪おうとしたジャックが見つかり、それを助けようとした
妻も捕まってしまう。妻がリーダーに乱暴される寸前、なんとハモンドと手下のケニーが
登場、反乱軍を倒し、一家を救った。

ハモンドの忠告で、一家は川の3キロ下流にあるベトナム国境を目指すことになった。
追っ手は更に増える。一家を逃がしたハモンドは、自分が犠牲となり追ってのトラックを転覆
させたが、自分も轢かれて死んでしまう。彼らはイギリスの秘密工作員だったのだ。
イギリスの利権を確保するために影で動いていたわけで、搾取する側として反乱軍の
「国の水道の根幹をアメリカに取られた」という怒りには理解が出来てしまうのだった。

さて、川まですぐそこ、というところで、ボートを見つけ、その所有者の老人に腕時計と
履いていたスニーカーと交換するところまで行ったが、反乱軍が来てしまう。妻と娘二人は
隠れたが、自分は老人に言われるまま穴あきボートを伏せて隠れた。雨の夜である。
押し寄せた反乱軍に、老人は「白人は見ていない」と言ってくれるが、ボスは近くにあった
伏せたボートをめくり上げた。飛び出すジャック、争いが始まるが、なにせ多勢に無勢。
ジャックは捕まってしまう。そこへ、次女のルーシーが「パパ」といって飛びだしてしまう。
ルーシーは捉えられ、手に銃を握らされ、父親を撃てとボスに手を添えられて父に銃を
向ける。その時、走り寄った妻は持っていた棒だか、鉄棒だかをボスにおもいっきり
振り下ろす、怯んだすきにジャックは銃を奪い、反乱軍に発砲、数人の敵を倒すことが
出来た。駆け寄り抱きしめあう家族4人。

急いでボートに乗る。そして川を下り始めるが、ベトナム国境警備隊の目の前で敵に
見つかってしまう。ベトナム兵は「許可のないものは国境を超えられない。引き返せ」と
拡声器で言う。ジャックは必死で無抵抗の市民だと説明、川の流れのまま、やがて
ボートは国境を超える。するとベトナム軍は追ってきた反乱軍に「ボートはすでに
ベトナムに入った。発砲すれば交戦とみなす」と脅した。すると反乱軍は去っていった。
こうしてジャック一家は、絶体絶命のシーンから脱出できたのだった。
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全体の話は以上である。

子供を投げたうえでビルを飛び移るところ、飛び移ったビルで仕方なく反乱軍の一人を殺し
てしまうところ、ハモンドの最期の前後、そしてラスト、銃を握らされたルーシーと、妻の
会心の一撃。結局、大使館に向かおうとか川を下ろうとかの決断をし、最後は旦那の
危機一髪を救った妻こそ、強いなあ、と感じたのだ。しかし、ビルに飛び移るとき、自分の
子供をそう簡単に投げられるものか、あれだけの危機が背後に迫れば、親は一縷の望みを
絶望の中にも見出そうとするのだろうか。男親の決断、親子、夫婦の機微も含め、その辺りも
考えた映画であった。

放題のクーデターはタイトルとしてどうか、と感じた。原題は「逃げ場なし」というニュアンス
なので、そういう方向のほうがいい感じじゃないか。

この映画の詳細はこちらまで。

 
by jazzyoba0083 | 2016-07-27 22:45 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Guardians of the Galaxy」
2014 アメリカ Marvel Studios.Walt Dist:Disney Productions.121min.
監督・(共同)脚本:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ジャイモン・フンスー、ジョン・C・ライリー、
    ブラッドリー・クーパー=ロケットの声
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
MARVEL映画大好きな私としては、もう少しおちゃらけた映画か、と思ってシネコンには
行かずじまいになった本作、ようやく字幕版をWOWOWが放映してくれたので、鑑賞。
結果的には★7.5を進呈したいほどの良い出来だったのだが、心に響いてくるのは
登場人物の立ち位置がはっきりする後半から。前半は星の名前や人の名前がたくさん
出てくるので、相関関係が把握しづらく、またまだ活劇に至る前なのでいささか退屈した次第だ。

後半になり、それこそ「銀河の守護者」たるチームが結成され、ロナンと対決するシチュエーションに
なると、ワクワクドキドキ感が増し、また勧善懲悪、駆けつける「第七騎兵隊」的なヒーロー
映画の王道を行く構成にカタルシスを感じることが出来たのだった。宇宙船や戦闘機などの
造形も良く工夫されていて、CGの出来も良かったと感じた。男の子映画のマストアイテムである
勇気、友情、など泣かせどころもちょっとくさめだけどちゃんとしているし。
主人公チームを取り囲むサブキャラクターたちもいい感じ。

70年台アメリカン・ポップスと初代ウォークマンがキーになっていて、構造としては宇宙モノに
よくあるパターンだが、構成が異色で面白かった。年代的にど真ん中だったことがあるのだが、
本作は宇宙モノ映画をどう捉えるか、この映画が許容範囲になるかどうか、また話題のキーに
なる70年代の洋楽に反応するかどうかにより、面白さが全然変わってくるかもしれない。

ブラッドリー・クーパーが声をやっていたロケットと呼ばれるアライグマと「私はグルート」と
しか言わない木のお化けみたいややつのコンビも、SWのR2-D2、C-3POとかチューバッカ
のような役回りで楽しかった。主人公のピーター・クイルはスター・ロードとも名乗る、
地球から少年時代に拉致された青年なのだが、どうやら彼の出生には秘密があるらしく、
それは本作では説明されないので、次作以降にとってあるエピソードなのだろう。

最後の字幕で次作があることが明記されるのだが、最近のMARVEL映画はチームの仲間が
どんどん増えていき、訳がわからなくなるし、結局味方同士で争わせたり、あまり面白くない
方向に行ってしまうので、本シリーズは是非そういうことのないようにお願いしたいものだ。
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<ストーリー>
9歳の時、何者かによって地球から宇宙に連れ去られたピーター・クイル(クリス・プラット)は
20年後、惑星間を渡り歩くトレジャー・ハンターに成長していた。

ある日、惑星モラグの廃墟で謎の球体“オーブ”を発見したピーターは、換金のために
ザンダー星のブローカーを訪れるが、彼を待っていたのは、宇宙に暗躍する“闇の存在”が
送り込んだ暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)だった。
賞金稼ぎのアライグマ、ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)と相棒の樹木型ヒューマノイド、
グルード(声:ヴィン・ディーゼル)も加わって派手な戦いを繰り広げた彼らは、ザンダー星
警察に逮捕されてしまう。

投獄された4人が銀河一危険な刑務所で出会ったのは、凶暴な囚人ドラックス(デイヴ・
バウティスタ)。妻子を殺した犯人の仲間であるガモーラの命を狙うドラックスを、ピーターは
制止。実はガモーラは“闇の存在”を裏切り、その支配から逃れようとしていたのだ。

オーブを売って金を手に入れたいピーターとロケットたち。復讐に燃えるドラックス。それぞれ
目的の異なる5人だったが、ロケットを中心に協力して脱獄。希少なものの収集家で、オーブに
大金を払う“コレクター”と呼ばれる男に会うため、宇宙の果ての惑星ノーウェアへ向かう。
そこでピーターたちは、コレクターから驚くべき秘密を聞く。“オーブを手にした者は、無限の
力を得る”。その頃、5人の動きを察知した“闇の存在”が大軍を送り込んできた。奮闘虚しく
敗れ、“闇の存在”の手に落ちるオーブ。彼らは、その力で宇宙の秩序を司るザンダー星を
滅ぼし、銀河を混乱と滅亡に陥れようとしていたのだ。
この時に及んで、それまで逃げることで生き延びてきたピーターは、何故か戦う覚悟を決める。
それはチーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”誕生の瞬間だった。ヒーローとは縁遠い
生活を送ってきた5人は、宇宙の存亡を賭けた戦いにどう挑むのか!?(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-07-18 23:15 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「奇跡のひと マリーとマルグリット Marie Heurtin 」
2014 フランス Escazal Films  94min.
監督・(共同)脚本:ジャン・ピエール・アメリス
出演:イザベル・カレ、アリアナ・リヴォワール、ブリジッド・カティヨン、ジル・トレトン、ロール・デュティユル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ヘレン・ケラーと同時代のフランス。同じように多重苦の娘が修道院にやってきた。彼女は
生まれながらに盲目で聾唖である。つまり物語の構造はアン・バンクロフトとパティー・デュークの
「奇跡の人」と全く同じである。

やってきた少女マリーは両親の手に負えず、聾唖の治療院でもあるマルグリットら修道女が
いる修道院に連れてこられたのだ。入所を断ろうとする院長に「天啓があったのです」と
自らマリーの治療に当たろうとするのがマルグリットという修道女。彼女は肺病を病んでいて、
あまり先の長い人生ではなかった。想像だが、このことが、マリーに自分の命の続きを
生きて欲しいと強く願ったのではないか。

健常者は闇と無音の人生を想像出来まい。つまり教育が出来ないから野生動物のように
なってしまったマリーを責められないのだ。マルグリットは神に仕える身でもあるのだが、
マリーに教育を施すことに残りの人生の光を見出すのだ。だから、どんな困難にあっても
ヘコタレない。(一度投げ出そうとしたことはあったけど)
入所して8ヶ月たっても良くなるどころか、悪くなるマリー。しかしマルグリットは周りが
呆れるくらい辛抱強く、愛情を以ってマリーに接する。

マリーが幼い頃から大切に持っていたナイフを「これはナイフ!」と手話で教えることから
スタート。(その前髪の毛をとかしたり風呂に入れたり、まともに食事をさせたりという苦労は
当然あった)アン・バンクロフトが喧嘩をしながらヘレン・ケラーを教育した光景が重なる。
そしてついにヘレンは「ナイフ」という単語を指で示せるようになった。すると、マリーの知識欲が
爆発、周りにあるものをどう手話で表現するのか、学びたくなってたまらなくなったのだ。
そうして、マリーは、安定した心と、学びの心をおぼえたのだ。

しかし、病魔はマルグリットを確実に蝕んでいた。彼女は倒れてしまい、院長の勧めもあり
マリーと離れ、山の中のサナトリウムで治療に当たることになった。しかし、マリーは
マルグリットがいなくなったことで大荒れとなり、また元に戻ってしまったようになった。

治療中であったマルグリットは仲間のシスターから手紙を貰い、当時肺病は死病であった
ことから、このままここで死ぬのを待つよりマリーと残りの人生を過ごそう、できるだけの知恵を
マリーに残そう、と覚悟を決め、修道院に戻ってくる。大喜びするマリー。ついに両親と対面
することが叶ったのだ。娘の変わり具合の驚き喜ぶ両親。そんな折、シスターの一人が急死
する。マルグリットはこれをいい機会と思い、人間が死ぬということをマリーに教える。
マリーは再び倒れたマルグリットの看病をよく見た。しかし、マルグリットはついに帰らぬ人と
なった。マリーはマルグリット自身が死を受け入れる前に、マリーの死を受け入れていたのだった。

そしてラストシーン。修道院の庭にある多くの十字架の中からマルグリットのものに花束を捧げ
自分をここまでにしてくれたマルグリットに感謝を捧げ、今日、修道院にやってきた自分のような
多重苦の少女の教育に手を貸します、と約束するのだった。(エンディングはうるうるきちゃうなあ)

そんなお話です。まあ、ストーリーは読めてしまうようなものですが、やはり人知を超えた
マルグリットの献身的な愛情のありようこそ、刮目すべき点であろう。人のためにこそ生きて
人生の喜びを感じる、出来ないことです。本作をみる人はすべてそう思うでしょう。
秋篠宮紀子さま佳子さまがご鑑賞されたそうだが、きっと紅涙を絞られたのではないでしょうか。
自分の不甲斐ない人生に反省のひとときを与えてくれる映画でもあります。
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by jazzyoba0083 | 2016-07-05 22:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「カルバラ~イラク戦争・奇跡の四日間~ Karbala」
2015 ポーランド・ブルガリア Miramar Film,Next Film.116min.
監督・脚本:クシシュトフ・ウカシェヴィッチ
出演:バルートミェイ・トパ、アントニー・クロリコフスキー、不リスト・ジョポフ、ミハウ・ジュラフスキ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆>
<感想>
イラク戦争を扱った映画は「アメリカン・スナイパー」を始めとして優れた作品も多い。
本作は、劇場未公開ながら、ポーランド製ということもあり、注目されなかったが、
なかなかいい出来だったと思う。映画の焦点が、「戦争の虚しさ」という抽象的なもので
あったため、人物描写が今ひとつ弱くなっている点が惜しいというか、見方に注意が必要か。
この話が実話をベースにしているとう点も注目しなくてはならない。描き方という側面でも。

しかし、戦闘シーンを始め、リアリティを持って迫るアフガンの日々は、よく描けている。
そして、4日間の必死の戦闘を生き抜いてきた兵士らに待っていたのは、アメリカ軍の
方針により「イラク軍の手柄にしよう。」つまり、ポーランド軍とブルガリア軍の死闘は
記録的には無かったことになったのだ。まあ、戦争の虚しさ、バカバカしさもここに
極まれり、という感じだ。

イラク戦争の多国籍軍にはオーストラリア、カナダ、韓国、デンマークなどの国々が
参加していたのは知っていたのだが、ポーランドやブルガリアという東欧の国々が
おそらくNATO軍、あるいは「集団的自衛権」により参加を余儀なくされた事実は
寡聞にして知らなかった。彼らに取っての戦闘参加は相当いい報酬にはなっていた
ようだ。それも貧乏な村から来る兵士のことを考えると、いたたまれない。

ブッシュの見当違いの戦争で、多くの命が失われ、いまだに解決していない。
本作では戦争の大義という側面で描くのではなく、そもそも大義なんてないなんだか
わからない戦闘に駆りだされ、殺さないと殺されてしまうからという、兵士レベルの
戦いとして、戦争の不条理を浮かびあげている。

冒頭に傷ついた戦友を助けろ、という命令を怖くて聞けなっかった新米衛生兵、その
舞台を率いる中尉や大尉、イラク人警官とその娘、いろいろな人物にスポットが
当てられるが、戦争は虚しい、という表現のコマとして機能していて、その人柄を
描くものではないので、素材として見ておく、というのが正解な見方なのだろう。

数あるイラク戦争のエピソードを描いた映画の中でもお勧めできる秀作といえるだろう。
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<ストーリー>
米軍が主導したイラク戦争の“イラクの自由作戦”にはポーランド軍の兵士も2500人が
参戦したが、2004年、イラク中部にあるイスラム教シーア派の聖地カルバラの町では
ポーランド陸軍らの兵士たちが武装した民兵たちに完全包囲され、全滅の危機に
さらされた……。
知られざる実話をアクション満載で迫力たっぷりに再現した力作。出演は日本映画
「杉原千畝 スギハラチウネ」にも出演したM・ジュラフスキら。WOWOWの放送が
日本初公開。

2004年。ポーランド陸軍の若い衛生兵グラドは、イラクのカルバラに赴任する。
だが現地では多国籍軍を嫌うイラク人たちが武装し、一触即発の状態にあった。
カルバラ市庁舎にいたポーランド陸軍とブルガリア軍だが、イラクの民兵たちに包囲され、
たちまち激しい銃撃戦が起きてしまう。交代部隊も足止めされ、ポーランド陸軍らは
残り少ない弾薬と食料だけで孤立する事態に。グラドはあることをきっかけに隊と
はぐれてしまい……。 (WOWOW)

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by jazzyoba0083 | 2016-06-27 23:32 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「顔のないヒトラー Im Labyrinth des Schweigens 」
2014 ドイツClaussen Wöbke Putz Filmproduktion,Naked Eye Filmproduktion.123min.
監督・(共同)脚本:ジュリオ・リチャッレッリ
出演:アレクサンダー・フェーリング、アンドレ・シマンスキ、フリーデリーケ・ベヒト、ヨハネス・クリシュ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
正直、驚き、ドイツ人がドイツ人を裁いた「アウシュビッツ裁判」の事を初めてといって
いいくらいに、今更ながらに知り得たことを深く恥じたい気分だった。

終戦後、1960年代の初頭くらいまで、西ドイツにおいては、ナチのことを語ることが「悪い意味で」
タブーとなっていて、かつてナチ党員だったりナチに協力した市民たちもどうどうと生活を
していた事実を知って、びっくりした。ドイツ戦犯を裁く「ニュルンベルク裁判」は「東京裁判」と
並びよく知られているが、ドイツ市民がナチに協力したドイツ人を告発し裁判に掛けるという
「アウシュビッツ裁判」というものがあったとは、うっすらとしか知らず、実態を本作で知ったことは
有意義であり、翻って、日本人の手で日本人を裁いていない我が国はどうなんだろう、と
考えないではいられ無かった。 本作にも出てくるが、「そんなことしたらドイツ人全員が戦争
協力者で有罪だろうよ!(意訳)」 

「アンナ・ハーレント」に出てくるアイヒマンに対する彼女の理解「思考の放棄による作為」。
50年代の西ドイツには中央地方を問わず官僚に元ナチス党員がいたり、若い娘は
「アウシュビッツなんて知らないわ」と嘯いたり、「臭いものに蓋をしたい」気分に溢れていた。
忘れたかったのだ、自分たちが犯した世界史的な犯罪を。

しかし、一人のジャーナリストが、元ナチ党員が学校の先生をしている風景を偶然目撃し、
それをきっかけに、戦争遂行者がまだ暮らしの中枢にいるおかしさを指摘する。これに応呼
する検事たち。南米に逃亡したといわれる生体実験の首謀者メンゲレなどがまだ捕まって
おらず、それはむしろモサドやユダヤ人たちの追跡機関のやること、と傍観していた傾向が
あったのだ。

若い検事は上層部も動かし、ついに1963年に「アウシュビッツ裁判」を始めることに成功、
市井に隠れていたナチ協力者を次々と摘発し、裁判にかけた。

この裁判は今のドイツが欧州でリーダーシップを獲得できるまでになった根幹を形成したと
いわれるほどの重要性を持つ。自国民の手で自国民の犯罪を告発し、他国(ユダヤ人)に
謝罪する、1979年にはナチ戦犯の追求をやめないため集団殺人に対する時効を撤廃した。
ことほどに、ドイツはユダヤ人に対する犯罪に対し、自国民に対して苛烈であったのだ。
それなくしてドイツの再スタートは切れないと考えていたのだろう。

The Huffinton Post の2015年10月4日掲載の熊谷徹氏の記事を紹介しておきたい。
「この裁判の最大の意義は、アウシュビッツでの残虐行為の細部を初めて西ドイツ社会に
広く知らせたことである。それまで大半の西ドイツ人は、アウシュビッツで何が起きていたかを
ほとんど知らなかった。
フランクフルトで行われた裁判では、収容所に囚われていた被害者たちが、ガス室による
大量虐殺や、親衛隊員らによる拷問、虐待の細部を証言し、メディアが連日報道した。
アウシュビッツ裁判は、虐殺に加担した犯罪者たちが戦後の西ドイツでビジネスマンや役人と
して、長年にわたり罪を問われずに平穏な暮らしを送っていた事実をも、白日の下に曝した
のだ。」

思考を停止し、上官の命令に従っただけだ、という論理はそこには通じない。「思考を停止した
作為」は厳しく断罪された。翻って日本はどうだったのだろう。「あの時代、誰が軍部に反対できた
だろうか、その考えは違うと指摘できただろうか」とはよく聞くことだ。しかし、そこには「思考を
停止した作為」の結果、「戦争遂行に加担してはいないのか」という断罪が迫られるのだ。
本人が出来たかどうかではなく。人間として問われなければならない真理だからだ。それは
当時軍部の中枢にいた軍人たちから市井の人々までに至る、という厳しさを持つ。

この映画、大学や高校の教材としてぜひ取り上げてほしいと思う。
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<ストーリー>
戦時中にナチスが犯した罪をドイツ人自ら裁き戦争責任に向き合う契機となった1963~
1965年のアウシュヴィッツ裁判開廷までの道のりを、事実に基づき描いた人間ドラマ。

戦後十数年が経ち戦争を過去のものとする雰囲気に包まれる中、ナチスの罪を浮かび
上がらせようとした検察官たちの苦闘に迫る。
監督は俳優としても活躍するイタリア出身のジュリオ・リッチャレッリ。
本作が長編映画初監督作品となる。

1958年、西ドイツ・フランクフルト。第二次世界大戦が終わってから十数年が経ち、
西ドイツは西側諸国との結びつきを強くして経済復興を成し遂げようとし、大半の人々は
戦争は過去のものとして当時の記憶も自分たちが犯した罪も忘れ去ろうとしていた。
そんな中、あるジャーナリストがかつてアウシュヴィッツ強制収容所にいた元親衛隊員が
規定を破り教職についていることを突きとめる。上司の制止も聞かず、新米検察官の
ヨハンはジャーナリストのグニルカや強制収容所の生き残りであるユダヤ人シモンとともに
調査を開始。様々な妨害にあいながらも、検事総長バウアーの指揮のもと、生存者の
証言や実証を得ながらナチスがアウシュヴィッツで犯した罪の詳細を明らかにしていく。
(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。


この映画の詳細は
by jazzyoba0083 | 2016-05-26 23:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「カプリコン・1 Capricorn One」
1977 アメリカ・イギリス Associated General Films,ITC Films.129min.
監督・脚本:ピーター・ハイアムズ
出演:エリオット・グールド、ジェームズ・ブローリン、カレン・ブラック、O・J・シンプソン、テリー・サバラス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
今から40年以上前の作品で、一度は観ているはずなのだが、内容を殆ど覚えていないので
WOWOWでの放映をチャンスに観てみた。
この映画がキッカケで、アポロの月面着陸もフェイクじゃないか、といっとき話題になりました
っけ。製作の過程で協力していたNASAも、内容を聞いて激怒し、協力を止めたという曰くつきの
作品なことは有名な話。
前半が宇宙もの(もどき)、後半は政治的なサスペンスというような仕立てであった。
アポロ11号が月面着陸に成功してからまだ10年経つか経たないかという時期にこういう
発想で映画を作ってしまったハイアムズはなかなかなモノだ。

単純なストーリーの中に政府の陰謀と飛行士の悩みなどが盛り込まれ、またカーチェイス、
複葉機と最新(当時の)ヘリとのチェイスなど見どころも満載だ。

事件を追跡するTVリポーターが、自分のクルマに仕掛けをされて街なかを暴走するシーンも
ローアングルのカメラワークが上手く、今でも手に汗を握る。
またテリー・サバラス演じる薬剤散布用複葉機と米軍の小型ジェットヘリ2機のチェイス
シーンも、並走してソーンを撮ったり、ヘリが崖にぶつかって大破するリアリティも含め
見どころとなっている。
ただ、3人の飛行士が軟禁されていた基地から小型ジェットで逃げるのだが、滑走路を
塞いだNASAの自動車と車輪がぶつかり、砂漠で胴体着陸を余儀なくされる。
その胴体着陸シーンは流石に砂煙でごまかしたな。
飛行士のリーダー格ブルーベーカーが砂漠での逃亡中、ガラガラヘビを殺してこいつの
腹を割いて内蔵を出し、生肉を食らうシーンはリアリティありすぎで引いてしまった。
それと、3人の飛行士のうち、ブルーベーカーは自分の葬儀の場に現れるのだが、
捕まってしまう後の二人はどうなったのだろうか。オープン・エンドである。
今回のWOWOWでの放映はカット版だったようだが、オリジナル版にはドッキングの
シーンや船内でふわふわ浮く(ピアノ線で吊り下げられた)飛行士のシーンなどが
カットされたようだが、NASAが怒ったシーンをカットしたようだ。オリジナル版を観て
みたいものだ。

前半の有人火星探査ロケット「カプリコン・1」の打ち上げまでに至るシーンはNASAの
協力もあり、結構本物っぽい。
ボロの端緒が、管制官の一人が、火星に近づいている宇宙船からの交信にしては
タイムラグが無く、まるで近くにいるようだ、という事に気がついたところなのだが、
そこらあたりは科学に疎い人でも、なるほど、と理解が出来る。
火星から映像を送ると21分かかる、ということでこの時差を利用して砂漠のスタジオから
の中継を入れて誤魔化していたわけだから、通信の時差に気がつかないわけが
ないと思うのだけれど。画竜点睛を欠いたわけだな。

全体として若干の古さは感じるが、その内容からSFものとしては映画史に残る作品
なのだろう。リポーター役のエリオット・グールドの存在に味があった。
彼も今は78歳になるのだなあ。
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<ストーリー・結末を含みます>
東の空が赤く染まり、やがて朝日が1日の始まりを告げようとしている中、人類史上初の
有人火星宇宙船カプリコン・1の打ち上げが目前に迫っていた。
カプリコン・1には、ブルーベーカー(ジェームズ・ブローリン)、ウィリス(サム・ウォーターストン)、
そしてウォーカー(O・J・シンプソン)らが乗り組んでいる。

発射5分前、突然カプリコン・1のハッチが開き、1人の男が乗組員3人を船外に連れ出し、
ヒューストンより3人をジェット機で連れ去った。そして5分後、カプリコン・1は、人々の
見守る中、有人宇宙船の名の下に火星へ向かって飛び立つ。
一方、3人を乗せたジェット機は砂漠にある格納庫のわきに着陸した。そしてそこには、
NASAのケラウェイ所長(H・ホルブルック)がいた。驚く3人に向かって、彼はカプリコン・1の
生命維持装置に故障が発見されたが、我国の議会や世論を今一度宇宙計画へ目を
向けさせるには、今さら計画の中止は出来なかった、という事実を告げる。

そして3人は、もしさからえば家族の安全は保証出来ないという脅迫の中、格納庫にある
火星表面のセット・ステージで世紀の大芝居を決行する。そしてそれが宇宙中継の形で、
全世界にTV放送された。よろこぶブルーベーカーの妻(ブレンダ・ヴァッカロ)達。
だが、家族と3人の宇宙飛行士との交信の内容に疑問を持ち出した男が1人いた。
新聞記者のコールフィールド(エリオット・グールド)だ。何かがある、と探る彼。そんな彼に
忍びよるNASAの魔の手--。

しかし、無事、“火星着陸”をやってのけたカプリコン・1が、大気圏再突入の際、事故で
消滅するという事態が発生--。これに感づいたブルーベーカーら3人は、消滅
(=3人の死)に身の危険を感じ、格納庫より脱出する。そして3人を生かしておいては、と、
NASAの刺客が放たれた。三方に分れて砂漠を逃亡する3人、そして事件の核心に
ふれ、友人のジュディ(カレン・ブラック)に金を借り、この世紀のスキャンダルを
スクープしようとするコールフィールド。灼熱の砂漠の中、NASAのヘリは、ウィリスを、
ウォーカーを発見し、ブルーベーカーにも魔の手はのびた。と、その時、アルバイン
(テリー・サヴァラス)の複葉機をチャーターしたコールフィールドが、追われ
ブルーベーカーを助ける。追うNASAのジェット・ヘリ。逃げる複葉機。

やがて、追撃戦の末、ヘリは爆破した--。そして、今、大統領臨席の下、3人の
宇宙飛行士の壮厳な葬儀が始まったその時、ブルーベーカー夫人の瞳に、車からおり、
こちらにかけてくる死んだはずの夫の元気な姿が映った--。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-05-09 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)