カテゴリ:洋画=さ行( 400 )

●「素晴らしきかな、人生 Collateral Beauty」
2016 アメリカ New Line Cinema 97min.
監督:デヴィッド・フランケル
出演:ウィル・スミス、エドワード・ノートン、キーラ・ナイトレイ、マイケル・ペーニャ、ナオミ・ハリス
   ジェイコブ・ラティモア、ケイト・ウィンスレット、ヘレン・ミレン
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
凄いタイトルと凄い出演者。名作「素晴らしき哉、人生!」は1946年に製作されたフランク・キャプラの
作品。それと同じタイトルを戴くとは、どんな映画か、という邦題でハードルを上げすぎて損した形。
さりながら、原題をそのまま日本語にするのは難しかったとは思う。英語の世界での成句であり、日本語には
しづらい。セレンディピティーを訳すみたいに。映画の中では「幸せのオマケ」と訳されている。
子どもの死に苦しむ母に、誰かが語りかけた言葉で、「どんな辛く苦しい状況でも、いいことがある。
絶望するな」というニュアンスで使われる。この言葉が映画全体のキーワードになるので、邦題は全く難しかった
だろう。しかし、つけるに事欠いて、という感じは残ってしまう。

本作には二段の「そうだったのか!」が用意されていて、考え落ちだったり、伏線回収だったりするわけだが、
言いたいことは、そう大げさなことじゃないけど、これだけの名優をたんまり使ってまでやるか、という
too much感は漂う。しかし、嫌な映画ではない。見て損した、という類でもない。清々しい思いをするものでも
ないのだが、それぞれ心に響くものはあるのではないかという映画だ。

広告代理店のカリスマ的共同経営者ハワード(ウィル・スミス)が、難病で娘を失い、人生に絶望する中、
会社の同僚たちが、3人の俳優を使い、ハワードがいつも主張していた「愛」「時間」「死」をそれぞれ
演技させ、彼が抽象概念で悩むのなら、抽象概念で当たってみるしかないと考えた末の行動だったのだ。

さて、その3人は1人2万ドルで仕事を引き受けるのだが、なかなか難しい立場を気の利いたセリフでハワードに
対峙する。役者の登場から最後まで、様々な伏線は張られていて、冒頭キーラ・ナイトレイの登場にしても
彼女が赤い帽子を被っていて、ハワードの大親友にして共同経営者ホイット(エドワード・ノートン)が
追いかけやすくしてたな、とか、取締役会でハワードの経営統治能力が欠如している証拠のビデオには
3人の役者と会話しているハワードが1人だけしか写っていなかったり(これは友人らが撮って編集したのかな
と最初は思った。高等技術だななんてね)、役者のセリフが脚本家がいないのによく出来過ぎているな、とか。

つまり、この三人の役者は、本当にそれぞれが「愛」「時間」「死」であったわけだ。それはラストあたりに
ネタバラシが用意されている。それにしても、その作戦を思いついたエドワード・ノートン、ケイト・
ウィンスレット、マイケル・ペーニャの仲間3人は、その事実を知っていたのだろうか、あるいはある時点で
知ったのだろうか、そのあたりが分からなかった。

メインにハワードの再生の話を据え、脇にホイットと幼い娘との再生、更に、同僚サイモン(マイケル・
ペーニャ)の不治の病、精子バンクで子どもを得ようとする同僚クレア(ケイト・ウィンスレット)の
ことが加わっていく。

お話としてはよく出来ていると思うし、繰り返すが悪い映画ではない。しかし評価はあまり高くはない。
思うに、ストーリーを物語るには役者が重量級過ぎて、本来重い話が更に重くなってしまい、見ている方が
疲れてしまうというデメリットが生まれたのではないか、と考えてみた。
名優たちは声を掛けられこの本を読んでみれば、特に舞台を経験している役者であれば、やりたくなるんじゃ
ないだろうか。抽象的概念の演技は魅力であると思う。
配役では久しぶりにしっかり観たエドワード・ノートンが魅力的であった。

観る人によって凄く心を突き動かされるか、疲れてしまうか、受け止め方が異なる映画であろう。
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<ストーリー>
ウィル・スミスが最愛の娘を失い絶望の淵に立たされた男を演じる異色のヒューマン・ドラマ。深い喪失感から
すべてを投げ出してしまった会社経営者が、自分の前に現われた奇妙な3人の男女との交流によって立ち直って
いくさまをミステリアスな語り口で綴る。
共演はエドワード・ノートン、マイケル・ペーニャ、ケイト・ウィンスレット、キーラ・ナイトレイ、ヘレン・
ミレン。監督は「プラダを着た悪魔」のデヴィッド・フランケル。

 ニューヨークで広告代理店を経営するハワード。彼の手腕で会社は業績を伸ばし、公私ともに順風満帆な
人生を送っていた。ところが突然、6歳の愛娘が不治の病でこの世を去る。ハワードは深い悲しみで自暴自棄と
なり、仕事を放り出して自宅に閉じこもる日々。
ハワードに頼り切りだった会社は急速に傾き始める。残された同僚役員ホイット、サイモン、クレアはそれぞれの
事情も相まって、ハワードをどうにかして救わなければと思っていた。そんな時、ある奇策を思いつく。
やがてハワードの前に、性別も年齢もバラバラな3人の奇妙な舞台俳優が現われるのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:14% Audience Score:64% >




by jazzyoba0083 | 2018-02-12 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「スリー・ビルボード Three Billboards Outside Ebbing,Missouri」
2017 イギリス・アメリカ Blueprint Pictures,Film 4,Fox Searchlight Pictures (production). 116min.
監督・脚本・(共同)製作:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アービー・コーニッシュ他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
一年間にそうそう出会わないであろう秀作に、この早い時期に出会ったようだ。今年のオスカーの
6部門にノミネートされている話題作ではあるが、それだけの評価を受ける価値のある力作であった。
私見であるが、オスカー「脚本賞」は獲るんじゃないかという予感がする。

とにかく「物語のチカラ」が凄い。マーティン・マクドナーという人、イギリス出身で劇作家が出自。
今年47歳と油が乗り切った年齢だ。すでに1回オスカーの脚本賞の候補になってはいるが、作劇の
しっかりした舞台劇を見ているような人間性のぶつかり合いは、さすがはイギリスの舞台育ちという
感じだ。だいたい原題の名付け方からしてそんな感じを受ける。「三枚の道路看板、ミズーリ州エビング
郊外」だもの。

終わり方に異論がある人もいるだろうけど、ああいう終わり方を含めての本作であろう。物語の主要な
テーマは「怒り」と「赦し」だと受け取めた。オスカー主演女優賞にノミネートされているマクドーマンドの
演技、というか存在感は圧倒的であるが、署長のウディ・ハレルソン、そしてダメ警官ディクソン役の
サム・ロックウェルの演技も素晴らしい。出てくる人が多くないので分かりやすいし、ストーリーも明快。

そして、「怒れる母親」、主役のミルドレッドを演じたマクドーマンドに、至言を言うのが、誰あろう
別れた夫のそう賢そうにも見えない19歳の彼女。曰く「怒りは怒りを来(きた)す」。
そう、娘をレイプされ焼殺された母の怒りは、南部の田舎町の警察官らしく、黒人を差別して喜んでいるような
ダメなやつらで、ちっとも捜査は捗らないことで爆発。
怒った母は、道路端の3枚の大型広告板に、警察に対するメッセージを掲載する。しかし名指しされた署長は
膵臓がんで余命幾ばくもない。娘を殺されたことに町の人は同情するが、メッセージに関しては署長に同情的
であった。ミルドレッドの狙いだったのかマスコミにも取り上げられ、忘れ去られそうになった事件に再び
光が当たったことは当たった。

しかし、事態はミルドレッドが目論んでいたものとは違う方向に進み始めてしまう。

本作を見ている人は、娘を無残な事され方をしたミルドレッドの怒りに同情しつつ、真面目な、しかも死期が
迫る署長にも同情してしまう。ミルドレッド、やりすぎじゃないか、とも。ここで登場するのがダメ警官の
ディクソン(サム・ロックウェル)だ。彼の心の動きが、ミルドレッドに大きな影響を与える。ミルドレッドの
心のありように大きな影響を与えたのは署長ではあるのだが。

「怒りは怒りを来(きた)す」のだ。「赦しは赦しをもたらしもする」のだ。

私が映画から受け取った上記の思い、まさに今のアメリカが国として想いを致さなければならない問題なのだ。
「怒りは怒りしか呼ばないし、相手を理解し赦すことから得られる心の平穏こそ大切なのだ」ということ。
その象徴として登場するのが、ビルボードをミルドレッドに貸す広告会社の若社長レッドだ。彼は
ディクソンにボコボコにやられた挙句二階から突き落とされたにも関わらず、ディクソンを赦すのだ。

若干丸めすぎるのが早かったか、と感じたのが、ディクソンが署長からの手紙を見ての心変わりが早すぎかな
と感じたこと。レッドのいい人加減がちょっとな、と感じた。そのあたりが弱点かなあ。

しかし、冒頭にも言ったが、「物語の持つチカラ」の凄さ、強さには目を見張った。そしてそこから流れ
出て来る主張、人間の持つ嫌らしさと良さの提示は実に分かりやすく、南部の田舎の警察と娘を殺され
犯人が見つからない怒れる母親のありようは、そのままアメリカが抱える闇の深さを訴えている。
「差別」「被差別」も含めて。

見るべし。けだし傑作である。「ファーゴ」でオスカー主演女優賞を獲得したマクドーマンドだが、
あれで受賞なら、こちらで受賞しても当然と思えるだろう。「庭の千草」を使った音楽もいい。
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<ストーリー>
「ファーゴ」のフランシス・マクドーマンドが娘を殺された母親の怒りと悲しみを体現して絶賛された衝撃の
サスペンス・ドラマ。
アメリカの田舎町を舞台に、主人公がいつまでも犯人を捕まえられない警察に怒りの看板広告を掲げたことを
きっかけに、町の住人それぞれが抱える怒りや葛藤が剥き出しになっていくさまを、ダークなユーモアを織り
交ぜつつ、予測不能のストーリー展開でスリリングに描き出す。
共演はウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル。
監督は「ヒットマンズ・レクイエム」「セブン・サイコパス」のマーティン・マクドナー。

 アメリカ、ミズーリ州の田舎町エビング。ある日、道路脇に立つ3枚の立て看板に、地元警察への辛辣な
抗議メッセージが出現する。それは、娘を殺されたミルドレッド・ヘイズが、7ヵ月たっても一向に進展
しない捜査に業を煮やして掲げたものだった。
名指しされた署長のウィロビーは困惑しながらも冷静に理解を得ようとする一方、部下のディクソン巡査は
ミルドレッドへの怒りを露わにする。さらに署長を敬愛する町の人々も広告に憤慨し、掲載を取り止めるよう
ミルドレッドに忠告するのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★8.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:87%>



by jazzyoba0083 | 2018-02-04 11:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「スティーブ・ジョブス Steve Jobs」
2015 アメリカ Universal Pictures,Legendary Entertainment and more.122min.
監督:ダニー・ボイル
出演:マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン
   ジェフ・ダニエルズ、マイケル・スタールバーグ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
アップルの製品は2003年にiPodを使い始めたのを、個人的には嚆矢とする。PCに
ついてはマック党ではないものの、iphoneとiPadのない生活は考えられなくなった。
アップルとその製品が近年急速にそのライフスタイルに入り込み、生活の形を
変えていることは十分理解し尊敬もしているが、個人的にジョブズという人については
表面的な、皆さんが知っている程度のことで十分かな、と思っていた。
ドキュメンタリーも見ていたので今更映画でみなくても、と2013年のアシュトン・
カッチャー版も観ていない。世の中にはビル・ゲイツやザッカーバーグ以上にカルト的で
すらある信者が多数存在することも知っている。

そんな個人的環境下でこの映画を観た。まずアーサー・C・クラークの1950年代なのかな、
実写フィルムで伝えるコンピュータ社会がどのように社会を変えるか、の下りが、
まさに現代を予告していて驚いた。つかみはOK。それを実現してきているのがジョブスら
であるわけだ。

ダニー・ボイル監督の構成の巧さなのだが、これに続けてまるで舞台劇のように、
ジョブスの人物像を3つの新製品の発表会場で繰り広げられる会話で成り立たせる。
この状況というか設定は面白い。まず1984年のマッキントッシュの発表会、
次いで1988年のNeXTcubeの、最後は1998年のiMacの発表会。舞台はこの3つ。ここに
関わる人と状況を通じてジョブスという人物をあぶり出す手法を取った。

テクニカルタームを連発する猛烈に早いセリフの応酬は、字幕を追うのが精一杯。
あとから吹き替えで見れば良かったと反省。3つの発表会ではトラブルばかりが描かれて
行き、ジョブス個人の家庭の状況も合わせて描かれる。

定まったジョブスのキャラクター以外はないわけで、「自己中心で嫌な奴」「すぐ怒る
完璧主義者」。やはり凡人には一連のアップル製品の発想は出来ないということが
よく分かった。それは一旦アップルを追い出されたジョブスが再び戻る、という事にも
象徴されていよう。時代を切り開く天才は、どこか人格が常人とは大きくズレて
いるものなんだなあ、とつくづく思う。奇人といったほうがいいのか。
そういう意味ではこの映画の狙いとしては成功していたといえる。しかし疲れた。

かくして私たちは毎日の生活でジョブスの発想下テクノロジーを享受しているわけだ。
この映画を観て、コンピュータの父だったチューリングや、もっと前のアインシュタインも
奇人であったなあと思いだした。
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<ストーリー>
アップル社の共同設立者でデジタルテクノロジーの常識を変えた男、スティーブ・
ジョブズ。彼とその家族、関係者への約3年にわたるインタビューなどを基に、ベスト
セラーとなった記録本を原案に、ジョブズの半生を描く人間ドラマ。
鬼才ダニー・ボイルが監督を務め、ジョブズをマイケル・ファスベンダーが演じる。

1984年。スティーブ・ジョブズ(マイケル・ファスベンダー)は激怒していた。Macintosh
発表会の40分前、本番で「ハロー」と挨拶するはずのマシンが黙ったままなのだ。
マーケティング担当のジョアンナ(ケイト・ウィンスレット)はカットしようと説得するが、
ジョブズは折れない。そこへジョブズの元恋人・クリスアン(キャサリン・ウォーターストン)が、5歳の娘リサを連れて現れる。認知しようとしないジョブズに抗議に来たのだ。
公私ないまぜに緊張感が高まる中、本番15分前に何かが閃いたジョブズは、胸ポケット
付きの白いシャツを用意しろとジョアンナに指示。さらに共同創業者で親友のウォズニ
アック(セス・ローゲン)から頼まれたApple2チームへの謝辞をジョブズははねつける。
やがて自らがCEOにヘッドハンティングしたジョン・スカリー(ジェフ・ダニエルズ)に
励まされ、ジョブズは舞台へ出て行く……。

1988年。Macintoshの売上不振から退社に追い込まれたジョブズが新たに立ち上げた
ネクストの発表会。にこやかに現れたウォズニアックに、ジョブズはマスコミに自分を
批判したのはスカリーに強制されたのかと確かめる。相変わらず傲慢なジョブズに、
ウォズニアックはマシンを創り出したのは自分なのに何もしていないジョブズがなぜ
天才と言われるのかと憤慨。さらに今日の主役のNeXT Cubeはパソコン史上最大の
失敗作だと通告する。

小学校をサボって会場で遊んでいるリサをクリスアンが迎えに来る。あの騒動の後、
ジョブズはクリスアンに家を買い与え、十分な養育費を送っていた。そして本番6分前。
こっそり潜入したスカリーがジョブズの前に現れる……。

1998年、iMac発表会。2年前、業績不振でスカリーを解雇したアップルがネクストを
買収したのを機に復帰したジョブズは、現在はCEOを務めていた。ジョアンナから
莫大な売上予測を聞き、勝利の歓喜に浸るジョブズ。だが一方で、クリスアンが家を
売ることを止めなかったリサに激怒したジョブズは、ハーバード大学の学費を払わないと
リサへ宣告。ジョアンナは、ジョブズとリサが仲直りしなければ会社を辞めると
涙ながらに訴える。
一人になったジョブズの瞼にいつも自分の愛を求めていたリサの姿が次々と去来する。
本番10分前、ジョブズにウォズニアックがApple2のチームに謝辞をという頼みを蒸し
返す。10億ドルの損失を出し、破産まで90日を切っていたチームだと再びはねつける
ジョブズ。そして開始直前、リサが父への怒りを爆発させる。発表会は9時スタートを
厳守してきたジョブズだったが、そんな遅れも気にせず彼はある真実をリサに語り始
めるのだった……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.2>
<Rottentomatoes=Tomatometer:86% Audience Score:73% >




by jazzyoba0083 | 2018-01-30 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「将軍たちの夜 The Night of the Generals」
1966 アメリカ Columbia Pictures. 149min.
監督:アナトール・リトヴァク 原作:ハンス・ヘルムート・カースト
出演:ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、トム・コートネイ、フィリップ・ノワレ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1942年ドイツ占領下のワルシャワで1人の娼婦が惨殺される。その殺され方は
極めて異常であった。1人の目撃者がいた。顔は見ていないが、ズボンに赤い線が
入っていたという。これは将軍を意味する。当時、ワルシャワにいてアリバイのない
将軍が3人いた。捜査に乗り出したのは軍事警察のグラウ少佐(シャリフ)であった。
このあたりまではいい感じの出だし。

こうして映画が始まる。その後、同様の事件がパリ、戦後のハンブルグで発生する。
犯人はタンツ将軍(オトゥール)であることは早々に分かるのだが、グラウ少佐は
タンツが怪しいと思っていてもななかな責めきれない。
そのうちに、将軍たちがからむヒトラー暗殺事件「ワルキューレ」が発生する。

映画は市井の殺人事件を追うグラウ少佐と、彼を近づけないタンツ将軍。それに
他の二人の将軍が加わり、これに「ワルキューレ事件」が絡んでくる。さらに
タンツ将軍の副官のような仕事をしていたハルトマン曹長と1人の将軍の娘の
恋路も加わる。結構エピソードが多い映画だ。

同じナチの将軍の制服を来ているオトゥール以外の人物が誰が誰だか分かりづらかった
のだが、変質者が将軍をやっているナチという組織の気持ち悪さは十分に伝わったし
原題へのカットバックが唐突な感じもするが、全体の作劇は面白く観ることができた。
なんといってもオトゥールの、瞳孔が開いちゃったようなサイコパスぶりは、やり過ぎな
感じすらして、気持ち悪さは上々。片や彼を追い詰めるシャリフは淡白だ。

タンツ将軍(オトゥール)の人物敵背景は描かれないので、なんでサイコパスに
なったかとか、ニュルンベルグ裁判を15年ほどで出所してきたのはなにがどうであったか
などが説明されないので、長い上映時間の割には、深い部分での理解が進まない。
シチュエーションに目新しさを設定した欧州戦線の映画、という感じ。

そして何より個人的にネックだったのは、ドイツ人もフランス人も全員英語で芝居を
すること。どんなにセットや衣装に凝ったとしても、これにはちょっと鼻白むのでは
ないか。しかもオトゥールの英語はクィーンズイングリッシュと来たもんだ。

大ベストセラーが原作と聞く。もう少しいい映画が出来たような気もする。
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<ストーリー:結末まで書かれています>
ワルシャワ1942年冬。あるアパートで女が殺された。目撃者の話では、ドイツ軍将校の
軍服を着ていたという。軍事警察のグラウ少佐(オマー・シャリフ)は3人の容疑者を
あげた。ワルシャワ軍団のガプラー将軍(チャールズ・グレイ)、司令部主任カーレン
ベルゲ(ドナルド・プレザンス)、特別師団長タンツ将軍(ピーター・オトゥール)ら
である。

その頃、前線で負傷したハルトマン(トム・コートネイ)という男が、ワルシャワに来て
いた。彼は音楽家志望で、レセプションの音楽担当などをしているうちに、ガプラーの
娘ウルリーケと急速に親しくなっていった。レセプションには、3人の将軍も姿をみせた
が、グラウ少佐にとってあまり収穫はなかった。
翌日は、タンツ将軍のワルシャワ掃蕩があり、軍隊の先頭に立つ彼の市民への攻撃は
すさまじいものだった。その後、グラウ少佐はパリへとばされた。

1944年7月パリ。
連合軍はノルマンディに上陸し、ナチのすべてがパリに集結した。その頃、軍諜報部
勤務になっていたグラウは、パリ警察のモランの所へ来て、ワルシャワでの殺人事件と
将軍たちの関係を説明し、捕虜3人を返すという条件で、犯人捜査への協力をたのんだ。
時を同じくして、将軍たちのヒットラー暗殺計画がもち上がっていた。
その計画には、容疑者の1人、カーレンベルゲも加担していた。グラウは、ナチの将校の
くせにヒットラー暗殺をたくらむカーレンベルゲと、ワルシャワで容赦なく市民を殺した
タンツに疑いの目をむけた。

パリでのタンツは、ハルトマンを伴につれ、夜な夜な豪遊していた。そしてナイトクラブの
女ルシルと特に親しくなり、ある夜ハルトマンを見張りに立たせ、彼女のアパートに
消えていった。やがて、タンツに呼ばれて部屋に入ったハルトマンは、死体となった
ルシルを見て驚くのも束の間罪をかぶって逃げろと、命令された。
一方、ヒットラー暗殺計画、通称“ワルキューレ”作戦は失敗に終わった。ワルシャワと
パリの殺人事件を追及するグラウは、タンツを逮捕しようとしたが、逆に射殺されて
しまった。

そして1965年ハンブルグ。またしても奇怪な殺人事件が起きた。今では、国際警察の
警部となっているモランは、ワルシャワ――パリ――ハンブルグの殺人事件の類似性を
あげた。ちょうどその頃、最近釈放されたタンツはニーベルンゲン師団の25周年記念に
列席することになっていた。ドイツのかつての英雄タンツ将軍の到着を待つ群衆に
まじって、モランがいた。犯行を否定するタンツの前にハルトマンが現れた。証拠は
ないが証人は生きているというモランの仕かけた罠であった。そして運転手から、
ひそかにピストルを受けとったタンツは、人気のない部屋で自殺を図ったのである。
(Movie Walker)




by jazzyoba0083 | 2018-01-29 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption」
1994 アメリカ Castle Rock Entertainment (presents) 143min.
監督・脚本:フランク・ダラボン  原作:スティーヴン・キング
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー、ボブ・ガントン他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
本作は観ているのだが、ブログを開設する前だったので、記載されていなかった。
仕事の都合で観る必要が出来たため、再見したので感想をアップした。

映画好きに、お気に入りの映画を挙げよ、というと多くの人が本作を挙げるし、
アメリカのオールタイムベストでも、上位に顔を出す常連の、いわば評価の定まった
名作である。だが、allcinemaのコメント欄を見ても分かるように、「たいくつな
脱走劇」と低評価を下す人も少なくない。しかしながら、アメリカの評価サイトで
めったに出ない9点台を出していることを考えれば、客観的に見て「よく出来た映画」
「映画史に残る傑作」という言い方でいいだろう。

アメリカ小説界の巨人、スティーヴン・キングの原作を、上手くアダプトした出来の
いい脚本(伏線の回収も含め)、モーガン・フリーマンの語りで物語を進行させたこと、
配役にはいろいろと名だたる名優が上げられたらしいが、結局ティム・ロビンスの
キャスティングが、原作では白人だったレッド役をモーガン・フリーマンにしたのも
大成功だっただろう。

「たいくつだった」という人はおそらく、良く出来すぎで、流れがとカタルシスの到来が
簡単に訪れてしまうという点を指す場合が多いのではないか。私にしてみればそれは
贅沢というものだと思う。

本作を観て受ける感想の一番大きなものは、「希望を持って諦めないこと」。と指摘する
人が多かろう。私もその1人である。その一点に収斂させるために、あの手この手の
小さなプロットをこしらえて、潰れそうになるたびに「ナニクソ」という気持ちをふるい
立たせる。ティム・ロビンスの感情を抑えた演技も本作の大きなキーになっていた。
有能な銀行員であることを最大限に利用しつつ、周囲の尊敬を集め、それは刑務官にまで
及び、所長にたいしては、その力を利用されているように見せて利用してみせる。

映画を観ているほとんどの人は、思い通りにならない生活を余儀なくされているのだろう。
それでも、与えられた状況の中から最大限の幸せを見つけているのだ。そうした観客の
心情からすれば、主人公アンディの、頭のいい、不屈な根性は、日々のストレスの
カタルシスとして絶好なはずである。だからこそ観終わって気分がすっきりするのだ。

人は困難を乗り越えて何かを成し遂げたことに快哉を叫ぶものだ。囚人に対するビールも
そうだし、図書館の整備もそうだし、ラストに訪れる20年間のトンネル掘りと脱走、
(気の遠くなる話だ)、新しい所長によるレッドの仮釈放、そしてラストでの二人の邂逅。
いちいち気持ちいいではないか。 
一方だたそれだけではなく、長年の収監の末に仮釈放になったブルックスが社会に馴染
めず自死すること、アンディになつき、高卒資格をとるまでになったトニーが所長に射殺
されるくだり。(彼は別の刑務所で、アンディが逮捕された事件の真犯人から事件の話を
聞いていて、それをアンディに話し、アンディは所長に再審請求を起こそうとしていた
ところだった。自分の不正蓄財を知るアンディを塀の外に出すわけには行かないのだ)
などという逆境やアンディが置かれた過酷な一部もキチンと提示されている。

この物語はアンディが妻と情夫のプロゴルファーを射殺して逮捕される1947年に始まり
アンディが脱獄、次いでレッドが彼を訪ねてメキシコの海岸にたどり着く1967年までの
20年間を描いている。アンディは白髪になるし、老眼にもなる。おそらくシャバに
出てきてから19年間の社会の激変ぶりには最初戸惑ったことだろうことは想像に固くない。
アンディの牢屋に張ってあったポスターは、リタ・ヘイワースからマリリン・モンローに
なり、ラクエル・ウェルチに変遷する。アンディはマリリン・モンローが誰だか分からな
かったかもしれない。ましてやウェルチは。その時間の変遷の見せ方も上手いし、その
ポスターが実はいい役を演じていたのだから余計に印象深かった。

細かいところを観ていくと突っ込みどころがないわけではないが、この映画はそういう
あら捜しをしてどうなるものでもない。

「希望はいいものだよ、たぶん最高のものだ。いいものは決して滅びない。」(アンディ)
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<ストーリー>
「エルム街の悪夢3/惨劇の館」「ブロブ/宇宙からの不明物体」の脚本家F・ダラボンが、S・キングの短編小説『刑務所のリタ・ヘイワース』に惚れ抜いて作り上げた渾身の劇場
監督デビュー作。
妻とその愛人を射殺したかどでショーシャンク刑務所送りとなった銀行家アンディ。
初めは戸惑っていたが、やがて彼は自ら持つ不思議な魅力ですさんだ受刑者達の心を
掴んでゆく。
そして20年の歳月が流れた時、彼は冤罪を晴らす重要な証拠をつかむのだが……。
卓越した構成、隙の無い脚本、緩急自在の演出によって誕生した“刑務所”映画の新たなる
傑作。奇妙な友情を育んでいくT・ロビンスとM・フリーマンの二人の芝居も素晴らしく、
観終わった後の清々しさは忘れ難い。(allcinema)

<IMDb=★9.3>
<Rottentomatoes=Tomatometer:91% Audience Score:98% >




by jazzyoba0083 | 2018-01-27 16:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ザ・シークレットマン Mark Felt:The Man Who Brought Down The White House」
2017 アメリカ Scott Free Productions and more. 103min.
監督・脚本:ピーター・ランデズマン 製作:トム・ハンクス、リドリー・スコット他
出演:リーアム・ニーソン、ダイアン・レイン、マートン・ソーカス、アイク・バリンホルツ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ホノルルからの帰国便内鑑賞第三弾。日本では来月末に劇場公開が予定されている。

アメリカ政治史の大きな汚点となった「ウォーターゲート事件」については、これまでも
スキャンダルを暴いた側の記者の目線の「大統領の陰謀」、辞職したニクソンを主人公にした
オリバー・ストーンの「ニクソン」、彼のインタビューを中心に描く「フロスト×ニクソン」など
優れた映像作品も多い事件であった。

本作はワシントン・ポストの情報源であった「ディープスロート」の正体、当時のFBI副長官
マーク・フェルト本人に焦点を当てたもの。フェルトは、事件から30年以上経過した2005年に
自分が「ディープスロート」であるとカミングアウトしている。

フェルトは30年間FBIに奉職し、エドガー・フーバー長官急死の跡目は彼と周囲も本人も思っていたが
実際はホワイトハウスから送り込まれたのは、グレイというニクソンの意のままに動く人物であった。
彼の妻(ダイアン・レイン)も、フェルトが長官になるものと信じていた。
そうした自分の身の上の不如意もあったのだろうし、映画では独立捜査機関であるはずのFBIが
政府やホワイトハウスからの捜査指示やもみ消しなどを甘んじて受け、本来の機能を発揮できず
アメリカ憲法が守られないという彼の強い義憤からの行動と描かれていく。が、彼自身、汚い仕事を
命じていた時期もあり、またそうした実情を知る立場にいたことから、ただ単に「義憤」が
突き動かした行動だけが「ディープスロート」を誕生させたとは言いにくいのではないか、と感じた。

映画全般は、広範な事件の中からフェルトの物語という側面に集約した部分は良しとしたいし、
トランプ時代においてこの映画を作った意義というものも評価したい。だが、映画としては単調に
なった恨みは残る。ダイアン・レインを配した妻や当時ブームだった自然回帰運動に没入していた
娘との関係も描かれるが中途半端な感じである。
リーアム・ニーソンは安定の演技だが、どうも実在のフェルトに似ているというのがキャスティングの
核心ではないか、と思えてしまうほど、よく似ている。これほど似ているとニクソン本人はどうするんだろうと
思っていたら、案の定、ニクソン役はキャスティングされず、テレビの映像に本人が映るだけという
処理の仕方だった。賢明であろう。

実話モノに興味がある方にはお勧めしたい作品ではある。
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<ストーリー>
1974年8月9日に、アメリカ合衆国史上初めて任期途中で辞任に追い込まれたリチャード・ニクソン大統領。
その引き金となった「ウォーターゲート事件」の全容を白日の下に晒し「ディープ・スロート」と呼ばれた
告発者がいた。
世界中で憶測と関心を呼び、30年以上に渡り正体は謎とされてきたこの内部告発者は2005年ヴァニティ・
フェア誌で自らディープ・スロートであったことを公表する。その人物とは、「FBI捜査官の鑑」とまで
称賛された当時のFBI副長官マーク・フェルトだった。正体を明らかにして10年以上の月日が流れているが、
このフェルトという人物の人生はFBI幹部というキャリアの面からも私生活の面からもほとんど知られていない。
なぜ彼は極秘の捜査情報をマスコミへリークするに至ったのか?ウォーターゲート事件とは何だったのか?
溌剌(はつらつ)たる才知と固い信念を持つフェルトは、事件の真相を明らかにし、ニクソン政権の腐敗を
暴くため、家族もキャリアもそして自由までをも危険にさらし、結果的にはすべてを犠牲にしたのだ。

2016年の大統領選前に企画・製作された本作は、アメリカ国内外で上映されるやいなや、トランプ大統領の
ロシア疑惑やFBI長官解任など、現政権に取沙汰される様々な疑惑が当時と驚くほどよく似ていると話題を
呼んだ。ウォーターゲート事件とは何だったのか?なぜ極秘の捜査情報をマスコミへリークするに至ったのか?
国を守る「捜査官」が疑惑を暴くに至った事件の全容と、アメリカ政治史上類を見ない政治スキャンダルの
実像を、最高権力者を敵に回し孤独な戦いを挑んだ一人の男、フェルト本人の視点から初めて描いた傑作
サスペンスが誕生した。

主演はハリウッドのトップスター、リーアム・ニーソン。近年アクションスターの印象が強い彼だが、
『シンドラーのリスト』『マイケル・コリンズ』など実在の人物を演じ、高い評価を獲得してきた演技派
俳優としての側面を遺憾なく発揮。フェルトの妻オードリーには、同じくアカデミー賞ノミネート女優、
ダイアン・レイン。監督は『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』『コンカッション』で実話を
映画化し高い評価を獲得してきた俊英ピーター・ランデズマン。(ホームページから転載)

<IMdb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:34% Audience Score:46% >




by jazzyoba0083 | 2018-01-24 01:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「スター・ウォーズ/最後のジェダイ Star Wars :Last Jedi(IMAM 3D版)」
2017 アメリカ Lucasfilm,Ram Bergman Productions,Walt Disney Pictures.
監督:ライアン・ジョンソン 製作総指揮:J・J・ウィリアムズほか
出演:マーク・ハミル、クレア・フィッシャー、アダム・ドライバー、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ他

<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
名古屋地区でIMAX 3Dの上映が始まったのは暮れの29日。その前に何はともあれ、2Dで鑑賞し、その時の
感想はアップ済み。今回+αとしたのはIMAX 3Dの素晴らしさに。別の映画を観ているような雰囲気さえあった。

大方の感想は初回と変わらない。エピソード9へと繋がる、新しいエピソードの開幕の予感。つまり
レイアやルーク、ハン・ソロ、ダース・ベイダー、シスらの古い時代の銀河の対立構造が、カイロ・レンを
中心としるファーストオーダーの世界と、レジスタンス連合の新しい英雄たちの(レイやフィンも入った)
話への終わりの物語なのだなということを確認。

それにしても、150分を超える上映時間はいささか冗漫に流れる部分もあり長すぎだと思う。それと
先日のキングコング髑髏島の巨神でも書いたが、中華資本流入に伴う要らないキャスティングの横行には
辟易だ。やはりフィンと最後に活躍するぽっちゃり姉ちゃんは、キャラはいいとしても演技は下手だし、
映画に傷を残した。モノスキーでフィンを助けるところなど臭いシーンだったなあ。

やはり宇宙における戦闘シーンの迫力は3Dがいい。でもシニアでも1900円はちょっと応える。
演技陣では、個人的にあの面構えが好きなデイジー・リドリー(彼女のもう少し内面に入った演技を
観てみたいが)ともうその姿を観ることができないクレア・フィッシャーだった。

さはさりながらEPⅨの物語が大いに気になるエンディングではあった。

■初回鑑賞の感想やストーリーは下記リンクへお願いします。



by jazzyoba0083 | 2018-01-09 12:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ドクター・ストレンジ Doctor Strange」
2016 アメリカ Marvel Studios,Walt Disney Pictures.115min.
監督・(共同)脚本:スコット・デリクソン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムズ、キウェテル・イジョフォー、ベネディクト・
   ウォン、マイケル・スタールバーグ、マッツ・ミケルセン、ティルダ・スウィントン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
アメコミ映画大好きな私も最近若干食傷気味。またしてもニューヒーローが登場なのね。最近のこの手の映画は
VFXばりばりなので、エンドロールが長い長い。関わるCG系のペインターやらが多くて。(悪いと言っている
んじゃないのだけれど) 本作、観終わって思うのだけれど、VFXを愉しめばいい、って感じの映画だよね。
まあ、ありがちとは言え、前半くらいまでは、話を追っていても面白かった。高慢ちきな天才肌神経外科医が
ランボルギーニかなんかで大事故を起こし、瀕死の重傷を負い、手術が出来る手ではなくなってしまう。そこで
カトマンドゥの「魂の力」で、動かないカラダを動かすとう「師」のところへ出かけ修行を積む、あたりまでは
良かったんだよね。

ところが後半になると、あれあれドクター・ストレンジは魔法使いになっちゃうのね。人間の才能の延長線上に
あるものが「超人的に」なるのかと思ったら。そこからお話がブラックファンタジー方向へ。
3Dで観たら吐き気間違いない「インスペクション」が先鞭を付けた街が幻視でぐるぐるよじれるやつ。万能マント、
火の輪の作って異次元へ。「スターウォーズ」もびっくりの「暗黒次元」の登場、時間を操る方法を身に着けた
ストレンジによるラスボスへの「永遠のタイムループイジメ」。ラスボス簡単に降伏! 空を飛ぶ、時間を操る、
光の輪による時空移動、そして炎のロープとこれアヴェンジャーズの中でもかなりの能力の持ち主だよね。 
自然の摂理を壊したと自分らでもいっているけど

もともと超人だったり、神様だったりする「スーパーマン」「マイティ・ソー」らのその超能力の出自に納得できる
ものは何をしてくれてもいいんだけど、もともと普通の人間が、修行により魔法使いになるって、「ハリーポッター」
じゃないんだからさ。(私「ハリポタ」食わず嫌いで1作も観てません)

「アイアン・マン」「アントマン」「スパイダーマン」とかは後天的な超人的な技や技術はそれなりに背景が
あってそれに納得してのスーパーパワーなんですよ、私としては。魔法使いになっちゃったら何でもありに
なっちゃう。至上の恩師(ティルダ・スウィントン)が暗黒面から力を貰っていた、ってなかなかいい物語なんだ
けど、背景説明が「ひとのためにあれ」だけなのはちょっと弱い。
キャスティングはカンパーバッチを始めとして良かったと思うけど、カエシリウス役で一番今回主役とからんだ
マッツ・ミケルセンが今ひとつ怖くなかったなあ。

一方、気持ち悪さがついてくるけど、VFX(CG)は見応えあり。こりゃものすごい人間が関わってやったろうと
思ったら案の定、冒頭に書いたように長い長いエンドロール。但し、ラスボスのところは(暗黒次元か?)
なんだか、大昔のテレビ「キャプテンウルトラ」の特撮を観ているようで、私は好みではなかったな。

恒例のエンドロール後の一コマは「マイティー・ソー バトルロイヤル」に繋がる前フリだったね。

さてさて、このストレンジが入ったアヴェンジャーズの最新映画が間もなく封切られるわけですよ。
「アヴェンジャーズ/インフィニティー・ウォー」。一体どんなことになってしまうのか!アンソニー・ルッソ
監督の手腕に期待したい。
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<ストーリー>
天才脳外科医のスティーヴン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は容姿も知能も秀でており、
プライドの高さから傲慢になっていた。しかしある日交通事故に遭い、両手の機能を失ってしまう。
突如外科医としてのキャリアを絶たれた彼は、あらゆる治療を試すうちに財産を使い果たした。
完治の手立てが見つからぬまま富も名声もなくしたストレンジは、最後の望みをかけ、どんな傷も治せる
神秘の力を操るという指導者エンシェント・ワンを頼る。
不思議な力を目の当たりにし、栄光を取り戻すため、その日から想像を絶する厳しい修業に取りかかるストレンジ。
悪用すれば人類の脅威となりえるその魔術が、彼の運命を大きく変えていく。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:86%>



by jazzyoba0083 | 2018-01-04 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

ジェーン Jane Got a Gun

●「ジェーン Jane Got a Gun」
2016 アメリカ Relativity Media (presents) and more. 98min.
監督:ギャビン・オコナー
出演:ナタリー・ポートマン、ジョエル・エガートン、ノア・エメリッヒ、ロドロゴ・サントロ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
筆頭プロデューサーに主演のナタリーの名前がクレジットされているということは、この映画を
作ろう、という彼女の思いは強かったのだろう。弱い立場ながら時代の逆境に負けなかった女性、という
ものを描きたかったのだろうとは思う。WOWOWの「W座」で鑑賞。シネコンに行かなくて
良かったな、と思えた作品。確かに番組で小山薫堂も指摘していたとおり、女性(母)を主人公に
据えた西部劇とは、珍しいとは思う。けど、一番の弱点が「映画にすべき物語性の弱さ」。
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南北戦争で若き夫が戦死し、他の男と結婚し、こどもも設けた、そこに死んだはずの夫が帰ってくる。
という話のベース。苦労した妻は売春婦をしながら、他人とはかけ離れた遠方の荒れ地で生活している。
苦界に身を沈めた妻を助けてくれたのが、ならずものではあるが、心は優しい彼女に惚れた男。

その男を、商売道具を奪ったとして身内のボスたちが追いかけてくる。助けを求めたのは、かつての
夫。彼は彼女を助けることにする。そしてハイライトのボスとジェーン一家と最初の夫との銃撃戦。
ボスらの追跡の途上で深傷を負った夫は戦いの最中に死亡。いよいよ前の夫とジェーンに危機が迫る。
絶体絶命の前の夫をジェーンが助ける。そして容赦なく射殺。(伏線として西に向かう幌馬車隊に
乗せるといいつつ騙して売春宿に売り飛ばした恨みがある)
殺したボスを始め仲間も賞金首が多かったので、ジェーンは彼らの死体を保安官事務所に持ち込み
賞金を手にすることが出来た。
最初に出来た子どもは実は前の夫の子であったのだ。(ボスが死んだといって売春宿に下働きとして
売り飛ばしていた)その居場所を殺す前のボスから聞き出し、助けに行くジェーンと前の夫。(実の父)
賞金を手にして、元からのあった西海岸を目指すのであった。
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とまあ、そんなお話なのだが、どこかで観たような既視感のあるストーリーをつなぎ合わせたような
山場に欠ける98分。展開に破綻はないのだが、ここだ!というところ(例えば銃撃戦)での迫力が弱い。
ジェーンが銃の名手という訳ではない。西部で女1人生きていくことの難しさを言いたかったのかなあ。
前の夫と恩讐を乗り越えて再び歩み始めた愛情物語にしたかったのかなあ。むしろ原題からすれば、もう少し
ラストの銃撃シーンで(伏線は必要なれど)ジェーンの抜群の射撃やアイデアを見せて欲しかった。なかなか
溜飲の下がりづらい映画であったなあ。一応話の流れとしては見ら得れるのだが各エピソードに迫力がない。
全てに渡って中途半端、ということになるか。
どうしても不思議だったのが、ラストの銃撃戦で二人共撃たれているのに、娘に会いに行くときはピンピンして
いるのはどうして??でそのあとの西海岸に向かう馬車では前の夫は包帯で手を吊っているし。

ユアン・マクレガーがラスボスを演じていたのだが、最後までこいつがユアンだと全然分からなかった。
クレジットを観て、ユアンがどこに出ていた?と確認しても本人とは分からなかった。この役、結構重要な
ポジションで最後にジェーンに殺されちゃうんだけど、雰囲気は持っていたけど、どこかいい人風情。
なんでユアンなのか、なんの意味があってのキャスティングだったのが不思議。友情出演か?

ラスト近くでボスらの銃撃の傷で死んでしまった今の夫の賞金首ポスターを破って賞金を貰わなかったのは
ジェーンの気持ちであったのだ。表現として「うむ」と思えたのはそこだけ。
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<ストーリー>
ナタリー・ポートマンが製作・主演を務めたスペクタクル・ロマン。南北戦争後の荒野を舞台に、夫と娘を守り、
平穏な日常を取り戻すために戦う決意を固めるヒロインの物語がつづられる。
ユアン・マクレガーがヒロインの前に立ちはだかる悪党ビショップを演じる。
監督は『ウォーリアー』のギャヴィン・オコナー。

アメリカ西部の荒野で、ジェーン(ナタリー・ポートマン)は夫ハム(ノア・エメリッヒ)と娘と暮らしていた。
しかしある日、悪名高きビショップ一家の首領ジョン・ビショップ(ユアン・マクレガー)にハムが撃たれ
瀕死の状態となり、穏やかな暮らしが一変する。
強欲で執念深いビショップの恐ろしさを知るジェーンは、家族を守るために、南北戦争のときに活躍した
かつての恋人ダン(ジョエル・エドガートン)にすがる思いで助けを求める。
敵が迫りくる中、それぞれの過去が明らかに。ジェーンは愛のために戦うことを決意し、銃を手に取る――。
(Movie Walker)

<IMDb=★5.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer=41% Audience Score:37%>



by jazzyoba0083 | 2017-12-27 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「スター・ウォーズ/最後のジェダイ  Star Wars :Last Jedi」
2017 アメリカ Lucasfilm,Ram Bergman Productions,Walt Disney Pictures. 152min.
監督・脚本:ライアン・ジョンソン  製作総指揮:J・J エイブラムズ他
出演:マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
素直に面白かった。時間がちょっと長すぎじゃないか、と不安だったが、そんなこともなかった。
最近の空想科学モノ、ヒーローモノはいろんなキャラクターがごちゃごちゃ出てきて、ストーリーが
とっちらかってしまい何が何だか良くわからない、という隘路に入っていると感じているのだが、今年
見たMARVELもDCも、原点回帰というか、ストーリーを単純に、善悪の構図を明確単純にし、活劇も観ていて
分かりやすくなってきたな、と感じていた。ま、SWファンには同列にするなと叱られそうだが、
SWシリーズも、主人公の交代に至るEP7までは、まだまだストーリーが複雑に階層をなしていて、
単純でワクワクする「男の子映画」(女の子を馬鹿にしているわけではなく、ものの言いようとして)に
なりきれていない恨みをずっと感じてきた。

ところが、本作では明らかに世代交代が進み、ハン・ソロやダースベイダーは過去の人であり、本作において
いよいよルークやレイアの退場となっていく。そして新時代はラストシーンの少年のアップに象徴されるように
カイロ・レンやレイ、フィンらの世代になっていくのだということを強く印象づけた。文字通り二世の時代。

共和国軍レジスタンス(ジェダイ・オーダー)対ファーストオーダーという善悪の構図の中で展開される
活劇も敵味方がはっきりしているので観ていて分かりやすく、「第七騎兵隊的」カタルシスも効果を十分に
発揮出来ている。ただ、欲を言えば、単純で平板に陥ってしまった恨みは残った。簡単にやられてしまう
スノークって一体?とか。4~6のダースベイダーが持っていた絶対的な恐怖感というものは本作にはない。
そのあたりに軽さが出てしまったのかもしれない。ベネチオ・デル・トロの中途半端な登場もマイナスだ。
アジア系のローズは、顔と役柄がマッチしていなくて、(下手したらお笑い系)ミスキャストじゃないかなあ。
冒頭で死んじゃう姉ちゃんのほうが美人だったような。

単純で分かりやすいと平板になり、ストーリーを多層化すると話が見えなくなり、と難しいのではあるが。
それのバランスが出来た脚本と演出であれば★9個は進呈できた。
それと、「アルマゲドン」ではないのだから、特攻自爆的な自己犠牲への昇華という戦いは、一見美しいように
思えるけど、私は決して好きではない。夢と希望のあるSWならば、特に命を簡単に捨てる攻撃は賛成できない。

さはさりながら、本作、冒頭のその後に登場するキャラクターの前触れ的な役目もこなしつつ、掴みはOK。
そしてレイとルーク・スカイウォーカーの対峙。さらにカイロ・レンの悩みと今後の行動(は謎だ)、
今はなきレイア率いる共和国レジスタンス軍とフィンの活躍。どこか黒澤映画の脚本のような展開が日本人と
して理解しやすく、勧善懲悪、次作への引張り、カタルシスの提供、伏線の埋め方など、家族連れでいっても
お父さんは子供に説明しなくてもいい展開となっている点を評価したい。

私の住んでいるあたりは、まだIMAX 3Dの上映が始まっておらず、始まったらもう一度観てこようと思う。

個人的にはキャリー・フィッシャーの姿に胸痛めつつ、今年は大活躍で何本観ただろうアダム・ドライバー、
そして、その男前が大好きなデイジー・リドリー。今年はもう人の男前「ワンダーウーマン」のガル・ガドットと
並び、個人的に今大好きな女優さんである。 最初のEP4の公開が1977年だから40年も経てばマーク・ハミルも
歳を取るのは当たり前。その初老になった風貌はかつてオビ=ワン・ケノービらのジェダイが持っていた
雰囲気と映画の中のポジションを獲得しているわけだから、貴重な存在であり、また本作のなかでも重要な
ポジションを与えられていたわけだ。

宇宙活劇ものとしては標準以上の出来であり、先述のように家族連れで楽しめる娯楽作であることは確かで、
次回作への楽しみも残してくれた。ちなみに映画の中で私がクスッと来たのは、観た人は分かるだろうけど
フィンの「このメッキ頭!」というセリフと、レジスタンス軍の戦闘機が古すぎて、床が抜けるシーンだった。
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<ストーリー>
SF映画の金字塔「スター・ウォーズ」サーガの新3部作の幕開けとして2015年に公開され、世界中で空前の
大ヒットとなった「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のその後を描く続編。
ついにフォースを覚醒させ、伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーと出会ったレイを待ち受ける驚愕の
運命と、ファースト・オーダーとレジスタンスの戦いの行方を描く。
主演は引き続きデイジー・リドリー。共演陣にはアダム・ドライヴァー、ジョン・ボイエガ、オスカー・
アイザック、マーク・ハミルら前作の主要キャストのほか、ローラ・ダーン、ベニチオ・デル・トロ、
ケリー・マリー・トランらが新たに参加。
なお2016年12月に他界したキャリー・フィッシャーは本作がシリーズ最後の出演作となる。
監督は新たに「LOOPER/ルーパー」のライアン・ジョンソン。

 レイア将軍率いるレジスタンスはファースト・オーダーの猛攻に晒され、基地を手放し決死の脱出を図る。
その頃、レイは伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを連れ戻そうと説得を試みていた。
あるトラウマから心を閉ざし、ジェダイの訓練を請うレイに対しても頑なな態度を崩そうとしないルーク
だったが…。(allcinema)

<IMDb=★8.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:57% >




by jazzyoba0083 | 2017-12-17 11:35 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)