カテゴリ:洋画=さ行( 388 )

●「人生はシネマティック Their Finest」
2016 イギリス BBC Films, The Welsh Government,Pinewood Pictures. 117min.
監督:ロネ・シェルフィグ  原作:リサ・エヴァンス「Their Finest Hour and a Half」
出演:ジェマ・アタートン、サム・フランクリン、ビル・ナイ、ジャック・ヒューストン、ヘレン・マックローリー他
e0040938_21532903.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
★は7.5。小ぶりながら、愛すべき掌編、という感じだ。映画を愛する人たちの作品に掛ける思いが
素晴らしい、ことはもちろんそうなのだが、戦時下において一生懸命自分の国、(の人々)のために、
一所懸命生きている、生きようといている主人公カトリンの健気な姿が私には眩しく美しかった。

たまたまノーランの「ダンケルク」を二回も観て、更に原作も読んだ身としては、作中映画に大変興味が
行った。いわゆる「ダイナモ作戦」において、民間女性が参加した、という公的記録はないようだが、
本作の姉妹のように、兵士撤退のためにいてもたってもいられなかった人たちはたくさんいただろう。

さて、本作の魅力は何と言っても主役のジェマ・アタートンの存在。まるで映画のことなど知らない女性が
何とかいい映画を作ろうとするひたむきな姿に心打たれる。加えて、堅物として登場する老男優(若い人は
戦争に行ってしまって映画界も老人しかいない状態)ヒリアード氏(ビル・ナイ)の存在も大きい。そして
含蓄のあるセリフをたくさん吐くんだ。共同で脚本を書き、やがてお互いに愛を感じ合うようになるトムなど
いいも悪いも混ぜ合わせて主人公カトリンの成長の過程が描かれていく。ただ、トムの最後はちょっと
あっけなさ過ぎな感じだ。しかしそれとて、カトリンとトムの会話の中に出てくる「生」と「死」のメタファー
のように感じた。トムは戦争では死ななかったけど、その死の意味は他人が決めること。カトリンは
悲しみの中から立ち上がるのだ。(ちなみに彼女の旦那は足の悪い絵描きで、浮気などかましてくれている)
またドイツの爆撃で犠牲になっていく人たちの姿を間近でみたカトリンの心にも変化が生まれてくる。

ナチス・ドイツとの戦いが苛烈を極めてくる1940年。英国の欧州派遣軍はドイツ軍に押され、ダンケルク
からドーバー海峡を渡って本国に兵士を撤退させる作戦に出た。「ダイナモ作戦」である。これには
ノーランの映画にも描かれている通り、多くの民間の船が参加、中には犠牲になった人々もいたが、結果的に
30万人以上の英仏兵を本土に運ぶことに成功した。イギリスはこれからバトル・オブ・ブリテンやドイツの
V1攻撃など厳しい戦いを強いられていくわけだが、そうした中で、「撤退」を「負け戦」と見せないような
プロパガンダは必要だったのは容易に想像出来、情報局が「ダイナモ作戦」を主題として戦意を鼓舞する
映画を作ろうとしたのだ。同じような事情は日本でもあったわけで。

脚本担当に起用されたのは、映画の素人だった、秘書のカトリン(アタートン)。彼女は脚本家のトムと
取材をし、苦労しながら脚本を書いていく。しかし、そこには軍部からの「あそこはああしろ」という
横槍や、頑固な俳優たちの抵抗などあったわけだが、何とかそれを乗り越えて映画を完成させていく。
観客は、カトリンの一人の女性として、夫を抱えお金も必要、そしてなれない仕事だけど一生懸命に取り組む
姿に共感を覚えるのだ。作っている映画はまあプロパガンダなのでさしたる内容でもないのだが、
カトリンにしてみれば、自分の思いや周囲の思いを込めた作品だったのだ。

そして上映会が開かれる。スクリーンを見つめる観客は涙を流し、あるいは興奮し、映画を楽しんでいた。
その姿と、非業の死を遂げたトムのことなどがその胸に去来したカトリンの目にも涙が浮かぶのだった。

作中映画の作るシーンがなかなか興味深い。ダンケルクの砂浜の兵士はガラスに描かれたんだなあ、とか。
原作は「彼らの輝かしい1時間半」という感じだろうか。みんなで作った映画に吹き込まれた思い、生命と
いったものを感じるタイトルだ。放題とはちょっと方向性が違うかな。

もう一度観てみたい作品だ。
e0040938_21541431.jpg
<ストーリー>
1940年、第二次世界大戦下のロンドンを舞台に、プロパガンダ映画の脚本家に抜擢された女性が、様々な
困難に直面しながらも、映画製作に挑む姿を描く人間ドラマ。『007 慰めの報酬』でボンドガールを務めた
ジェマ・アータートンが執筆経験のない新人脚本家に扮し、周囲の人々に助けられながら成長していく姿が
つづられる。(Movie Walker)

 「17歳の肖像」「ワン・デイ 23年のラブストーリー」のロネ・シェルフィグ監督が、第二次世界
大戦下のロンドンを舞台に、幾多の困難を乗り越え、国民に勇気を与える映画の完成に執念を燃やす一人の
素人女性脚本家と個性豊かな映画人が織りなす愛と情熱の物語を描いた戦時ラブ・コメディ。(←ラブコメディ
ではない=ブログ管理人文責)
主演は「ボヴァリー夫人とパン屋」のジェマ・アータートンと「世界一キライなあなたに」のサム・クラフリン。
共演にビル・ナイ。

 1940年、第二次世界大戦下のロンドン。ドイツ軍の空爆が続く中、政府は国民を鼓舞するプロパガンダ映画の
製作に力を入れていた。その一方、映画界は度重なる徴兵で人手不足。ある日、コピーライターの秘書をして
いたカトリンが、いきなり新作映画の脚本家に大抜擢される。
内容はダンケルクの撤退作戦でイギリス兵の救出に尽力した双子の姉妹の活躍を描く物語。戸惑いつつも、
自分をスカウトした情報省映画局の特別顧問バックリーらと協力して初めての脚本執筆に挑むカトリン。
しかしそんな彼女の前には、無理難題を押し付ける政府側のプレッシャーや、わがまま放題のベテラン役者など、
いくつもの困難が待ち受けていたのだったが…。(allcinema)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score: 72%>






by jazzyoba0083 | 2017-11-23 11:30 | 洋画=さ行 | Comments(0)

ザ・サークル The Circle

●「ザ・サークル The Circle」
2017 アメリカ 1978 Films and more. 110min.
監督:ジェームズ・ポンソルト  原作:デイヴ・エガーズ『ザ・サークル』(早川書房)
出演:エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、ビル・パクストン他
e0040938_15545161.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
甘めの★7。アメリカでの評価は低い。大コケしたらしい。眠くならずにそこそこ観ることは出来た。が、
どうしても拭えない底の浅さ。

こうした直近未来の世界を描いた映画はたくさんあるわけで、だいたい構造が似てしまうから、デジャヴ感が
漂うのだ。ネット社会やSNSによる相互監視社会への警鐘と言うか恐怖と言うかそういうものを描いて
いるのだが、まあ、原作があるので骨子大きく変えづらかろう。しかしながら、である。

本作での目玉は超小型の高性能監視カメラの登場で、一見危険が除去され、救急時には役立つだろうが、
その社会が持つダークサイドを考えなくてはならない。人々のプライバシーが一切なくなるのだから。
相互監視はもちろん戦争や政治、争いを無くす手段にはなりうるだろうが、24時間自分の考えから行動からすべて
見られてログを取られている社会が果たして人間らしい幸せを提供するか、ということだ。そんなことはこ映画に
言われなくても分かっているし、これまでも文学や映像の世界で多く描かれてきている。そこんところを再確認を
しましたよ、って事のみ。

ただ、そういう世界に批判的だった主人公メイがラストシーンを観る限り、監視社会(良いものとして描かれて
いるんだろうけど)を受け入れていると取れる終わり方なので、これは中途半端じゃないかなあ、と感じた。
自分がカヤックで水難事故を起こした時、カメラとSNSのお陰で命拾いしたのが大きいインパクト
を与えたのだろうけど、監視社会は絶対的な性善説に立たないと不幸のもとだ、といことは大体の人は
分かるだろう。このあたりのもやもやがこの映画の大きな残念な点だ。

スコットランドへ逃げていってしまった親友はいいとしても、内部で現在の指導部のやり方を批判していた
創業メンバーでもあるタイ・ラフィートのその後はどうなったのだろう。SNSを利用し情報をコントロール
することにより、己の金儲けや支配力を誇示しようとしていたイーモン・ベイリー(トム・ハンクス)には
一泡食わしてやったのはいいけれど、形をちょいと変えて、同じようなことが行われる世界をメイは良しと
したのだな。個人的にはそのあたりの結論に不満を感じたというか、カタルシスを感じなかった。
結局メイも、巨大な監視社会に組み込まれそこで見つける自身の幸せで満足するような女だったのね、と
いうことなのだな。

エマ・ワトソンとトム・ハンクスの名前で観た映画、なのだが、両者とも残念ながらキャラクターが生きて
いなかった。書いて来て思ったのだが、ネット社会に組み込まれたメイは大きな「ダメ」は潰しても
中くらいの見かけ気持ちいい「ダメ」はOKとなる、という事。つまり一端ネット社会に組み込まれると泥沼
だよ、というブラックなのかもしれない。
それにしても、公的な選挙のシステムをいち私企業に任せるという国が22カ国現れましたよ、って、絶対そんな
こと無いからねえ。インフラを使うことはあってもシステムまで丸投げでは選挙の公平性が担保できないもの。
e0040938_15554112.jpg
<ストーリー>
SNS社会が孕む脅威を鮮明に暴き、衝撃を与えたデイヴ・エガーズの同名小説をエマ・ワトソン主演で映画化
したサスペンス。超小型カメラによって自身の生活を公開するSNSのサービスのモデルとなった女性が、
システムの裏に潜む欠陥に気づき、暴こうとするさまが描かれる。
SNS企業のカリスマ経営者ベイリーをトム・ハンクスが演じる。

世界No.1のシェアを誇る超巨大SNS企業“サークル”。憧れていたこの企業に採用された新人のメイ(エマ・
ワトソン)は、ある事件をきっかけに、カリスマ経営者のベイリー(トム・ハンクス)の目に留まり、
新サービス“シーチェンジ”のモデルケースに大抜擢される。それは、サークルが開発した超小型カメラを使って、
生活のすべてを世界中にシェアするというものだった。自らの24時間をカメラに晒したメイは、瞬く間に
1000万人超のフォロワーを得て、アイドル的な存在となるが……。(Movie Walker)

<IMDb=★5.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:16% Audience Score:22% >




by jazzyoba0083 | 2017-11-12 11:35 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「世紀の女王 Bathing Beauty 」
1944 アメリカ Metro-Goldwyn-Mayer. 101min.
監督:ジョージ・シドニー
出演:レッド・スケルトン、エスター・ウィリアムズ、ベイジル・ラスボーン、エセル・スミス、
   ザヴィエル・クーガ、ハリー・ジェームス他
e0040938_19041235.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
毎月第二木曜に開催される市主催の映画鑑賞会、この下期は「ミュージカル映画」。しかも古い懐かしい映画が
かかります。DVDで出ているものも大画面ではなかなか見られない。しかも、音響も良く、テクニカラーの
色彩再現力の素晴らしさに今更ながら感嘆する一方、当時のアメリカの国力の凄さを改めて感じる。

そんな上映会、今回午前の部は、水泳100メートルで当時世界新記録を持っていてオリンピック出場が確実視されて
いたものの、例の東京五輪が太平洋戦争で開催されず、そこでその美貌に目をつけたMGMが、「水中レビュー」
というジャンルを彼女のために製作した「世紀の女王」。大きなプールをスタジをに作り、美しい映像と振り付け、
そして音楽で楽しめる映画が出来た、とい訳だ。エスターの美貌や美しい泳ぐ姿はもとより、デビュー作とは思え
ない堂々とした演技っぷりに目が行く。彼女の泳ぐシーンはラストに少ししかないが、これがヒットし、MGMは
次に「水着の女王」(49)「百萬弗の人魚」(52)と更にダイナミックな水泳シーンがヒューチャーされた
ヒット作に出演することになる。

本作は基本、レッド・スケルトン主演のコメディであり、加えて当時大人気のハリージェームズと彼の楽団、
そしてラテンのザビア・クガート楽団が出演。また共演し、さらにさらにオルガンのエセル・スミスが
華麗なテクニックを披露するといった音楽ファンが随喜の涙を流すようなシーンが展開される。もちろん
テクニカラーの美しさを味わえ!とばかりにカラフルなダンサーや舞台装置。なんと幸せな空間であり、
映画であることか。ストーリーはどちらかといえば脇役でいい。

こんな豪華な水泳と音楽と踊りの映画が、ノルマンディー上陸作戦の終了直後に作られていたとは!
当時、1944年6月といえば我が日本は戦況悪化の一途を辿り、「贅沢は敵だ」の世の中。思っても
仕方のないことだが、改めて彼我の国力と国民のメンタリティに想いを致す。日本での公開は1952年。
これを観た日本人は制作年が昭和19年と聞いて、絶句したことだろう。

「錨を上げて」「アニーよ銃をとれ」「ショー・ボート」「キス・ミー・ケイト」「愛情物語」「夜の豹」と
スタンリー・ドーネンと並びMGMミュージカル映画の屋台骨を支えたジョージ・シドニーの「上質なお気楽
映画」は、クレーンアングルや特に水泳シーンの画角は計算され、映像美としても十分に鑑賞に耐えうるものだ。

肩肘貼らないいい時代のいい映画。一時の幸福を。それに応えてくれる素敵な作品だ。
e0040938_19045742.jpg
<ストーリー>
ブロードウェイの流行作曲家スティーヴ(レッド・スケルトン)は熱愛する大学の水泳講師キャロライン
(エスター・ウィリアムス)と加州で結婚式を挙げている時、彼に作曲を依頼しているショウのプロデューサー、
アダムス(バジル・ラスボーン)は彼の仕事が遅れてはと、3人の子供を連れた女を彼の妻だと名乗らして
結婚式場へ出現させた。怒って大学へ帰ったキャロラインの後を追ってスティーヴは、規則の不備をついて
女子専門のその大学に入学し、何とか彼女の誤解を正そうとした。

キャロラインをはじめ、そこの教授連は女子専門の大学に男子学生がいるのは風紀問題にかかわると、何か
彼の落ち度を見付けて放校処分にしようとするが、要領のいいスティーヴはボロを出さない。
遂にキャロラインが誘惑役になって彼を門限に遅らせるという手段がとられたが、2人が共に食事をしダンスを
するうち、誤解も消え昔日の恋人同志になってしまい、てをたずさえて学校を去った。やがてスティーヴの
作曲により、キャロラインを主役とする水上レヴューが華やかにくりひろげれらた。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:---- Audience Score:74% >




by jazzyoba0083 | 2017-11-09 11:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

ジョイ Joy

●「ジョイ Joy」
2015 アメリカ Fox 2000 Pictures. 124min.
監督・脚本・(共同)原案・製作:デヴィッド・O・ラッセル
出演:ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ブラッドリー・クーパー、ヴァージニア・
   マドセン、エドガー・ラミレス、ダイアン・ラッド、イザベラ・ロッセリーニ他
e0040938_12220831.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
こんな面白い映画が日本劇場未公開なんですよねえ。「世界に1つのプレイブック」「アメリカン・ハッスル」「ザ・ファイター」「ハッカビーズ」など優れた人間ドラマを作ってきたデヴィッド・O・ラッセルが自ら原案を練り、脚本を書き、製作に携わり、監督もした映画。しかも主演が「世界に~」のコンビ
にデ・ニーロらの渋い脇役が出演。
有り体に言えば、発明主婦の成功物語なんだけど、彼女がどのくらいの壁に突き当たったか、父母祖母夫
を含めた周りの人々がどう動いたか、主人公との間合いを上手く取っていい作品に仕上げたのではない
か。これだけのメンバーで日本ではビデオスルーだったのはQVCが出てくるから? 
そんな話これまでいくらでも実名で映画になっているじゃんねえ。大人の事情は分かりません。
ジェニファーは本作でオスカー主演女優賞にノミネートされているし、ゴールデングローブ賞では
女優賞を獲得しているっていうのに。

主人公ジョイ・マンガーノは実在の人物。今や「ジョイ」ブランドを持ち、自らテレビ通販に出演し
巨額の富を積み上げ続けている。人が理不尽に金持ちになるのを観るのは気分良くないが、彼女の
ように天才的な発想をもっている頭のいい(高校は主席で卒業したものの家にお金がなくて大学は
諦めた)女性の活躍は、追体験するような爽快なカタルシスがある。しかも彼女は努力も半端じゃない
のだ。貧困から這い上がった諦めない天才は努力も一流!

さて、幼い頃から工夫や発明めいたことが好きだったジョイ。(ジェニファー)長じて、航空会社の
空港受付に勤務し、ベネズエラ系かなんかの男と結婚、子どもも出来た。祖母は彼女の長所を認めて
将来必ず家族のリーダーになる、と励ましてくれているが、母は一日中テレビでソープオペラを観て
暮らす、父は自分で工場を経営するが上手くいかない。ジョイの大人になってからの環境は子どもの頃
夢見ていた「自分の発明で世界の人を幸せにする」という理想とはあまりにもかけ離れていた。

そんなおり、載せて貰ったヨットのデッキでワイングラスやボトルが割れ、モップで掃除していた
ジョイは手を怪我してしまう。そこで彼女は閃いた。手を使わないでモップがけが出来、手を使わず
絞れてしかも洗濯機でモップ部分が洗えるという画期的なもの。

さて、それを巡って取っ手などのプラスチック部品を作るカリフォルニアの会社、そして売り込みに
行ったテレビショッピングQVCのニールの理解、借金まみれになりモップを作ったが初回放送での
男のやる気ないキャスターのせいで大失敗などさまざまな困難が押し寄せる。
しかしジョイは食い下がり、ニールにセカンド・チャンスをもらうことに成功した。そして出演は一番
商品が分かっている自分自身。その放送でも反応はあまり芳しくない。しかし幼馴染でジョイの一番の
理解者、親友のトゥルーディ(だったかな)が、テレビに電話で登場、サクラ?として商品の良い点を
どんどんと聞き出してくれた。するとどうだろう、売上をしめすスタジオのカウンターは5万本に近づい
ていく!ジョイは成功したのだ!

だが、事態はそう簡単では無かった。義理の姉が勝手に業者と契約したり、プラスチック業者に特許を
奪われたりで一時は、もう終わりか、と思える深刻な事態に。

そこからが真のジョイの強さを見せるところなのだ。しかしジョイの天才と努力ももちろんだが、それを
見守ったおばあちゃん、父、夫(なんの取り柄もないような男だが気だけはいいやつ)、親友、さらに
QVCのニールと、肉親や友、出会った人にもだいたいにおいて恵まれていた。人の人生に於いて誰と
出会うか、ものすごく大事なファクターなのだ。この映画を観ていると改めて分かる。

面白い映画です。ジェニファー・ローレンスがジョイのキャラクターにピッタリで凄く良かった!いい
女優さんになっていきますね。デ・ニーロを始めとして脇を固める名俳優陣がずるいくらいにしっかりと
しているので観ていてものすごく安定感がある。
e0040938_12225327.jpg
<ストーリー>
現在のハリウッドを代表する若手女優ローレンスが、オスカー受賞作「世界にひとつのプレイブック」や
「アメリカン・ハッスル」でも組んだD・O・ラッセル監督や、これらの作品での共演陣、R・デ・ニー
ロ、B・クーパーらとまたもタッグを結成。
第88回アカデミー賞でローレンスが主演女優賞にノミネートされながら日本では惜しくも劇場未公開に
終わった知られざる秀作だ。実話に基づき、自分が発明した新型モップを全米TV界の通販専門チャンネル
で売ろうと奮闘するシングルマザー役をローレンスは魅力的に好演。

幼いころ、自分の発明品を売ることを夢見たジョイだが、高校卒業後、結婚生活に失敗して2人の子ども
がいるシングルマザーになり、父親ルディの自動車修理工場を手伝うなど忙しい毎日を送るうち、自分の
夢を忘れかける。
しかしジョイは便利な新型モップを発明し、それを商品化できないかと模索しだす。元夫トニーの
コネで有名なTVの通販チャンネルで売られると決まり、ジョイは多額の借金をしてまでモップを大量生産
するが……。(WOWOW)

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:59% Audience Score:57%>




by jazzyoba0083 | 2017-10-26 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) War for the Planet of the Apes」
2017 アメリカ Chernin Entertainment (Dist.,20th Century Fox) 140min.
監督・(共同)脚本:マット・リーヴス
出演:アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー、カリン・コノヴァル他
e0040938_21495785.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:ネタバレに近い内容なので、これから鑑賞する方はお気をつけください>

第一作の、あの砂浜に埋もれた自由の女神の作品に繋がるリブート版最終作。(と思う)
この三部作は結局シーザーの一生を描いたことになるのだ。前2作がとても好きだったので
最終章と聞いたからには何が何でも観ておくべき、と3D IMAX上映のシネコンまで遠征して鑑賞
してきた。2時間20分。長いが、長さは感じない。それだけ緊張感は継続出来る作品として
出来上がっていたとは思う。思うが、リブート3部作の中では一番内省的で、ある意味地味である。
そしてシーザーの映画そのもの、と言い切れる作品だ。前二作でも当然シーザーは主役(級)では
あったが、人間との関わりが主題の大きな部分を占めていた。しかし、本作は全編基本的にシーザー物語。

全作の新世紀(ライジング)のストーリーが好きだな、という人はちょっと違和感を感じるかも
知れない。というのは本作は人間目線の描き方は全くされておらず、終始エイプ目線だからだ。
それが一貫した迫力を生んでいる、という点は否定しないが、私としてはもうちょっとバラエティが
欲しかったかなあ、という感じ。これはこれで作品としてきちんとまとまっているし、面白くて観る価値の
ある(特にリブートを見てきた人には)作品だとは思う。

原題の最初の単語がwarなので、全編徹底して戦いを描く。猿の仲間でも人間に使われ「ドンキー」と
呼ばれ平穏を得ている猿との間のことなどもあるが基本は、猿を殲滅しにくる人間対エイプの戦いの
物語である。
人間との戦いで、妻と子供の一人を、殺され、復習の鬼となるシーザーは、前作でコバという
復讐に駆られた仲間のエイプをあれだけ非難していたのに、「俺はコバになってしまった」と
いわしめるほどの復讐心に燃えるのだ。まあ、最愛の妻と子供を殺され、もう一人の子供が拉致されて
いる状態では、見ている方はシーザーの心は分かりすぎるほどで、人間なのに思いっきり猿を応援しちゃう
んだけどね。

だが、部隊を率いる大佐を追っているうちに、率いなければならなかった仲間は大佐に囚われ壁作りの
苦役をさせられていた。

大佐を一人で追いかけようとするシーザーにロケットやモーリスらの数匹が仲間に加わり、途中で
誤って殺してしまった脱走兵と一緒にいた少女(ノヴァと名付けられる)が同行、さらにバッド
エイプというお笑い担当も加わり、大佐に迫る。しかし、結局シーザーは大佐に捕らえられてしまう
のだが。復讐鬼となるシーザーに対し、「仲間と共に」というテーゼの暗喩的存在がノヴァだ。
それにしても、大佐はなんであんなに簡単に自殺しちゃったのか、そのあたり良くわからなかった。
何か見落としたのかな。

囚われたシーザーが仲間の手を借りて脱走、大佐を攻撃する他の人間の攻勢、そして自然の怒り、
地球に住む同士、何をやっているのかという神の怒り的暗喩(だと感じた)大雪崩の発生などあたりが
ハイライト。そして結末と。(悲劇的だが)適切な終わり方だと思う。

書いてきて思ったのだが、映画としてはちゃんとしている。でも三部作では新世紀が一番好きだな。
本作もいいんだけど内省的で重く苦しく悲しい。(そここそ本作の狙い目なのだと思う。クドくてゴメン)
最後にあの自由の女神が何らかの形で出てくるかと思ったのだけれど、舞台はサンフランシスコあたり
だものなあ。これがどうやって舞台としてNYにつながっていくのか。チャールトン・ヘストンは
コーネリアス博士とノヴァとともに西海岸から東海岸まで歩いたということでOK?。本作でシーザーの
次男としてそのコーネリアスが、登場。1作目を観ていないと面白さが分からないところ。
そして口のきけない女の子ノヴァこそ1作目に登場するノヴァである。

シーザー、お疲れ様。ほんとにリブートはこれで終わりかなあ。スピンアウトとか出てきたり?
それにしてモーションキャプチャとVFXの出来はどんどん良くなる。
それと大佐のありようや地下の壁に書かれた「猿の黙示録」という落書きなど、他の映画への
オマージュにもニンマリだ。
e0040938_21503521.jpg
<ストーリー>
高度な知能を得て反乱を起こした猿たちと人類の戦いを描く、人気SFシリーズの第3弾。猿のリーダーで
あるシーザーがその使命感と家族を奪われた復讐心の狭間で葛藤する物語が描かれる。前2作に引き続き、
アンディ・サーキスがシーザーを演じる。監督は『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のマット・リーヴス。

高度な知能を得た猿と人類の全面戦争が勃発してから2年後。シーザー(アンディ・サーキス)率いる
猿の群れは森の奥深くに身を潜めていたが、ある夜奇襲を受け、シーザーの妻と年長の息子が落命。
敵の軍隊を統率する大佐(ウディ・ハレルソン)への憎しみから、シーザーは仲間たちを新たな隠れ
場所に向かわせ、穏やかなオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)やシーザーの片腕的な
存在のロケット(テリー・ノタリー)らを伴い復讐の旅に出る。

道中、口のきけない人間の少女ノバ(アミア・ミラー)や動物園出身の奇妙なチンパンジー、
バッド・エイプ(スティーヴ・ザーン)を加え、大佐のアジトである巨大な要塞にたどり着いた一行。
しかし復讐心に燃えいつもの冷静な判断力を失ったシーザーは、執拗に彼を狙う大佐に捕獲されてしまう。
そこで新天地に向かったはずの仲間たちがこの刑務所のごとき施設に監禁され過酷な重労働を課せられて
いることを知り、責任を痛感したシーザーは大切な仲間を希望の地へと導くため、命がけの行動に出る。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:85%>





by jazzyoba0083 | 2017-10-14 12:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「シークレット・デイズ Every Secret Thing」
2014 アメリカ Hyde Park Entertainment and more.93min.
監督:エイミー・バーグ 原作:ローラ・リップマン『あの日、少女たちは赤ん坊を殺した』
出演:ダイアン・キートン、エリザベス・バンクス、ダコタ・ファニング、ダニエル・マクドナルド、ネイト・パーカー、コモン他
e0040938_16444665.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
なかなか豪華な配役。全員、愛に飢えているんだなあ、と思えるヒリヒリ感は出て
いたと思う。でもやはり1時間半で描ききれていない母と他人の娘の偏愛事情など
もう少し厚みは付けられるのでは?と感じた。

原作ものなので、骨子は動かしづらいと思うし、恐らくこの女流監督、原作者の
思いを忠実に描こうとしたことは分かるし、そこそこの描き方は出来ていた。
ヒリヒリ感に対応する映像、脱色系のカラー、音楽と全体としてのまとまりも
そこそこだったと思うが、一番最後の巨悪の存在が映画の本論とは違うところに
いっちゃってないか(原作がそうなのなら仕方がないが)。おっとびっくりな
エンデイングで、それはそれでいいのだが、あれ?こいういう終わり方で、話として
良かったのか?と。(母親の存在こそ全ての根源=この事件に関しては=ということか)

ロニー(ダコタ)とアリス(ダニエル・デブの方)の、一体どっちが本当のことを
言っているのか、という当たりがミソで、次第にダニエルの母(ダイアン)の本性が
分かってくる。冒頭のミスリードっぽい描き方からだんだんアリスの少年院時代の
事情が判明、それに伴う犯行(少女拉致)が見えてきて、その背後にいるアリスの
教師である母(ダイアン)の、歪んだ愛情が浮き上がる。二人の少女の愛情に飢えた
恐ろしさも当然あるわけだが、その犯行の始末をしたのは全てアリスの母親の仕掛け
だった。教師ゆえの偏愛か、それとも母のオリジナルの性格なのか。

彼女は子どもを愛しているのか愛し方が変なのか、そのあたりの恐ろしさと
いうものは受け取れる。全体としてどこか勿体無い映画になってしまっているなあ、と
感じた。配役もいいのに、ダイアンやダコタの良さが今ひとつ出てこない。
女刑事とその子どもの愛情ももう少し対比的に描かれるとわかりやすくなったのでは
ないかなあ。
e0040938_16452725.jpg
<ストーリー>
全米ベストセラー小説「あの日、少女たちは赤ん坊を殺した」を映画化。赤ん坊が
殺される、陰惨な事件で幕を開けるミステリーだが、現在の事件の捜査を描く一方、
並行して7年前の事件の意外な真相を明かしていく趣向で、最後まで目が離せない。
レイン、ファニング、バンクスなど、今が旬の女優が集まり、ドキュメンタリー
「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」などを手掛けたA・バーグが監督し、
プロデューサーのひとりが女優F・マクドーマンドという、ウーマンパワーの結集も
貴重。WOWOWの放送が日本初公開。

地方の町オレンジタウン。初のアフリカ系判事の孫娘である赤ん坊が誘拐され、
遺体になって見つかる事件が発生。いずれも11歳の少女2人、ロニーとアリスが
逮捕されて少年院へ。7年後、2人が少年院を出た直後、3歳の幼女ブリタニーが
家具店で何者かに連れ去られる事件が起きる。
7年前の事件を担当して昇進した女性刑事ポーターが捜査に当たるが、ロニーも姿を消す。
アリスは事情聴取で7年前の事件と自分は無関係と主張する。
(WOWOW)

<IMDb=★6.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:31% Audience Score:32% >




by jazzyoba0083 | 2017-10-10 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ジュリーと恋と靴工場 Sur quel pied danser 」
2017 フランス Loin Derrière L'Oural 84min.
(共同)監督・脚本:ポール・カロリ
出演:ポーリーヌ・エチエンヌ、オリヴィエ・シャントロー、フランソワ・モレル、ロイック・コルベリ他
e0040938_15451225.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ミュージカルと謳ってはいるけど、ダンスが全面的に前に出ることはない。奥様の
リクエストに付き合ってシネコンに。近頃にしては短い映画だった。で、出来だが
音楽は好みもあり、満足だが、ストーリーは今風だけど工夫がたりないなあ。実写風の
映像が出てきたが、これは本当にあった話をベースにしているのかな。
先にも触れたように、歌や音楽が軽いフォービートやボサノバをベースにしているので
私の好きなミシェル・ルグランの「ロシュフォールの恋人」的サウンドになっていて
それがなければ至極退屈な映画になっていただろう。

ジュリーは靴の小売店をリストラされ、正社員を目指し新聞とにらめっこ、老舗の
靴屋に面談に行くが、自分の方から「どうせだめなんでしょ」的失礼なセリフを
面接のおばさんに吐くものの、正社員めざしてやってみなさい、と言われる。
やっと仕事にありつけたジュリーは手作りで評判の婦人靴の見習いとして仕事を
覚える日々。しかし、実は会社は工場を賃金の安い中国に作ろうと計画していて
今ある工場をリストラするつもりだった。

そのことを知った従業員らはパリの本社までおしかけ、リストラ反対を主張する。
一方ジュリーは工場のバスの運転手君といい仲になるも、しょっちゅう喧嘩ばかり。

ストをしたりピケを張ったりと頑張るおばさま従業員たち、かつて一世を風靡した
「戦う女」という赤い靴を作って自分たちの技量を示そうと立ち上がった。
出来上がった靴は大評判。売れに売れて、社長も彼女らの技量あってこその自分の
会社の靴だ、と気付き、リストラは中止となる。そして、ジュリーも晴れて
社員試用から正社員になることが出来たが、恋人と別れたジュリーは、正社員を
断って、またどこかへ出かけていったのだった・・。

あれ?あれだけ正社員になりたいと頑張っていたジュリー、恋も仕事も投げ出して
何処へ行くの?物語が終始一貫していなくないですか?自分の道を見つけたのかな?
それにしては描き方が不足している。

ダンスシーンもアンサンブルできっちり揃えるものではないし、ジュリーの思いも
一貫しないし、恋人はそうイケメンでもないし、全てに渡り中途半端な映画に
なってしまった。特にエンディングでは「???」って。音楽が好みでなければ
★は5つ。
e0040938_15452646.jpg
<ストーリー>
ジャック・ドゥミを彷彿とさせるカラフルでポップなミュージカル・コメディ。
就職難を乗り越え、なんとか高級靴工場での試験採用を手にしたジュリー。
ところが工場は、近代化の波を受けて閉鎖の危機に。同僚の女靴職人たちとこの
危機に立ち向かうが……。
出演は「EDEN/エデン」のポーリーヌ・エチエンヌ。監督のポール・カロリと
コスティア・テスチュは、本作で長編デビュー。

田舎町に住む25歳のジュリー(ポーリーヌ・エチエンヌ)は、就職難を乗り越え、
何とか高級靴メーカーの工場で試験採用となる。ところがその工場は、近代化の
煽りを受けて閉鎖の危機に直面していた。
リストラを恐れた靴職人の女たちが、抗議のためにパリの本社に乗り込んだ
ことから騒動に。この事件に巻き込まれたジュリーは危うくクビになりかける。
その一方で、仄かな恋の予感も……。職人の意地とプライドをかけて戦う逞しい
女たちとともに工場閉鎖の危機を乗り越え、ジュリーは本当の幸せを掴むことが
できるのか……?(Movie Walker)

<IMDb=★6.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:67% Audience Score:--->




by jazzyoba0083 | 2017-09-26 15:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「最高の花婿 Qu'est-ce qu'on a fait au Bon Dieu?」
2014 フランス Les Films du 24 97min.
監督・(共同)脚本:フィリップ・ドゥー・ショーブロン
出演:クリスチャン・クラヴィエ、シャルタン・ロビー、アリ・アビタン、メディ・サドゥン他
e0040938_14511152.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
面白いんだけど、腹から笑えない重いテーマを持っている。さすがはフランスらしい
映画だ。ヒューモアとエスプリがたっぷり効いている。この時代だからこそ出来た映画で
あろうが、中東からの難民問題は欧州での大規模テロが頻発するちょっと前だった
から、今だとちょっと作れないテーマかもしれない。
娘四人がアラブ、ユダヤ、中国、そしてアフリカ系黒人と次々と結婚するという
両親や周囲の困惑をドタバタにして描いているのだが、こんな映画を作らなくても
いい世の中が来ることを切に願う。

フランスの田舎に住むヴェルヌイユ夫妻には自慢の美人4姉妹がいる。いずれも
婚期を迎えていたが、夫妻の、自分たちも挙式した教会で娘らの幸せな姿を
みたかった。だが、次々と結婚する娘の、長女の旦那はアラブ人、次女はユダヤ人、
三女は中国人と国籍も宗教もばらばら。集まるとお互いの民族や宗教をおちょくる。
そんな夫妻にとって最後の砦は一番美女の末娘ロールであった。彼女こそは・・・、
と願うのだがそれも虚しく、ロールの相手はコートジボワールから来た黒人で
しかも役者だ。卒倒しそうな夫妻は、どうしてこうなってしまったのか悩む。

牧師さんのところに行ったり、分析医にかかったり。そしてついには離婚の危機が
訪れてしまう。末娘としても大いに悩むところだ。彼の父親も結婚には反対の
姿勢を崩さない。彼の父親も値は悪い人ではないので、父親同士で酒を飲んだり
釣りに行ったりしているうちに次第にお互いが持っていた「ある種の偏見」が
薄れてきた。最後はハッピーエンドになるのだが、きわどいセリフの応酬には
ハラハラさせられるし、両親が牧師に末娘がここで結婚することになったと報告に
行った際、牧師は姉たちの事情を分かっているので、相手がクリスチャンながら
黒人だと聞いて、笑っちゃうんだ。分かるんだなあ。笑っちゃうよなあ普通。
差別とかじゃなくて。

よほどの聖人君子でなければ、差別主義者でなくても、だれでも一瞬呼吸が止まる
であろう瞬間。娘が幸せならばそれでいい、と思っていても、である。そういう
万人の思いを上手くすくい上げ、コメディというジャンルで示して見せた。
移民国家でもあるフランス(かつて植民地を持っていた欧州の国はだいたい同じ
ようなものだ)の、(大げさに言えば)あるべき姿を示した作品と言えよう。
乾いた笑いが、陰湿な差別感を吹き飛ばす役割を担っている。
ただ、婿がみんな良いやつなんで、そのあたり若干のご都合主義を感じないでもないが。

この映画を観た殆どの人は4人娘の父母の思いはいかばかりか、良く堪えて心を
広く持てたなあ、偉いなあ、と思うだろう。おそらく今のフランスではかなりの
人がそう思えなくなってしまっているだろうから。
時間があればご覧になることをお勧めしたい作品である。2014年のフランス興収
ナンバーワンの映画だそうである。
e0040938_14514269.jpg
<ストーリー>
フランス・ロワーヌ地方に暮らす敬虔なカトリック教徒のクロードとロビーのヴェルヌイユ
夫妻には4人の娘がいた。だが、長女イザベルはアラブ人のラシッドと、次女オディルは
ユダヤ人のダヴィドと、三女セゴレーヌは中国人のシャオ・リンと結婚。娘たちのために
祝福はしたものの、教会で挙式もできずに内心はがっかり。
様々な宗教儀式から食事のルールまで、異文化への驚きと気遣いに疲れ果てていた。せめて
末娘のロールだけはフランス人と結婚してほしいと願う夫妻は、パリで暮らす末娘の恋人が
カトリック教徒と聞いて安堵する。ところが、ロールが連れて来たのはコートジボワール
出身の黒人青年シャルル(ヌーム・ディアワラ)であった。ヴェルヌイユ一家は結婚に大反対。
さらに、フランス人嫌いのシャルルの父(パスカル・ンゾンジ)も息子の結婚に異を唱え
始める……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:---Audience Score:61%>



by jazzyoba0083 | 2017-09-18 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

シノーラ Joe Kidd

●「シノーラ Joe Kidd」
1972 アメリカ Universal Pictures,Malpaso Film.94min.
監督:ジョン・スタージェス
出演:クリント・イーストウッド、ロバート・デュバル、ジョン・サクソン、ドン・ストラウド他
e0040938_15361918.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
「荒野の七人」「大脱走」のジョン・スタージェスとクリント・イーストウッドの西部劇とは
一体如何なるものか、と観てみた。1972年はイーストウッドにとっては「ダーティ・ハリー」の
一作目の翌年となる。マカロニ・ウエスタンで注目され、その後も西部劇という範疇は本籍地みたいな
ものであるし、スタージェスだからな、との思い。

テクニカラーの色は綺麗だし、音楽はラロ・シフリンだし、なんだけど、なんかどっち付かずの
ピリッとしない作品になっちゃったなあ、という感じだ。メキシコ人が大きくフィーチャーされる
のだが、だいたい、アメリカはメキシコの政情混乱に乗じて国土の半分ほどを占領したり、買い
叩いたりしたので、現地のメキシカンにしてみれば白人は自分の土地を奪った悪人としか見えて
いなかっただろう。本作は1900年が舞台なので、米墨戦争からはだいぶ時間が経ってはいたが、
旧メキシコ領に入ってきていたのは、本作でのハーラン(デュバル)のような白人であった。
そのあたりを攻めてくるのかな、と思ったら、そうでもなく、メキシコ人たちを騙している
悪い白人を我らがイーストウッドがやっつけることはやっつけるのだが、思想性、政治色は
感じない。

ジョー・キッドは無頼者であり、白人側なのか、メキシコ人側なのか、判然としない。自分の
思うがままに、時にはメキシコ人も殺し、最後にはハーランをも裁判所の法廷で射殺するのだ。
まるで自分が裁判長だとでも言いたいように。ハリー・キャラハンの面影も浮かばないわけでは
ないが、はっきりした「善」対「悪」という単純な構図を、本作では感じられなかった。
イーストウッドもまだ「荒野の用心棒」のように無頼がかっこよっく、木枯し紋次郎的な
かっこよさを演出していたころなのだな。娯楽作としてはまあまあ。ラロ・シフリンの音楽は
従来の西部劇音楽とは一線を画すが、中身とあっているかというとそこまでの印象は無かった。
昔のイーストウッドがカッコイイと思える向きにはいいかもしれない。短い映画だし。
e0040938_15362614.jpg
<ストーリー>
どこへ行っても、堕落した西部の町では権力と結びついた名目だけの保安官と町の支配者たちの気まぐれに
よって、流れ者や弱者が制裁を受けるように、ここシノーラの町でもジョー・キッド(クリント・イースト
ウッド)は拘置所にぶち込まれた。彼のいい分は全然聞き入れられずに10日間の拘置と労役をいい渡された。

そこへ突然、チャンマ(ジョン・サクソン)とその一味が乱入してきた。彼らは、自分たちが住んでいた
土地を、わけのわからぬ理由をつけられ、牧場主たちに奪われてしまったのだ。そして幾度となくシノーラの
裁判所にもち込んだが、資本家側の判事(ジョン・カーター)に判決をのらりくらりとひきのばされ、
いっこうにらちがあかなかった。彼らは、保安官を監禁すると土地管理事務所に押しかけ、自分たちの士地で
あることを証明する唯一の記録を焼いた仕返しに、そこにあった書類を全部焼き払い、外で待っていたリタ
(ステラ・ガルシア)を連れてて砂塵の中に消えた。

一味が去ったあと、保安官は追跡隊をつのり、さらに大地主のハーラン(ロバート・デュヴァル)は
ラマー(ドン・ストラウド)、ミンゴ(ジェームズ・ウェインライト)など、すご腕のガンマンを引き連れ、
後を追った。またハーランは、キッドの腕を見こみ、500ドルの罰金を払ってやり、彼にも追跡を頼んだ。
キッドにしてみれば、別にチャンマたちに恨みがあるわけではなかったが、一味が自分の馬を盗んだことを
知って、1000ドルの追跡料をもらってオーケーした。翌日、さらにハーランは待ちあわせていた別のガンマン
たちを追手に加え、大勢を率いてチャンマがいると思われる岩山に囲まれた山村にやってきた。

村人たちはおびえるだけでなすすべを知らなかった。ハーランは村人たちを広場に集め、チャンマに向かって、
もし出てこなければ村人たちを殺すと宣言した。翌日から1日5人ずつ殺していくというのである。
キッドはこの処置に反対したが、ハーランに武器を取りあげられて、村人たちと一緒に教会に監禁された。

夜明け近く、キッドは、たくみな策略で教会から脱出したが、すぐその後、ハーランは人質を数人射殺した。
一方、キッドは酒場にしのび込んでリタと会い、モーゼル銃をぶっぱなしてガンマンたちを釘づけにしてから、
リタとチャンマの野営地に向かった。村人を見殺しにしたチャンマにリタは失望し、キッドはちゅうちょする
チャンマに銃をつきつけて、正当な裁判を受けるべくシノーラの町へ向かった。
ハーランも人質を釈放して、シノーラに帰ることを了承した。町に向かうキッドとチャンマの一行を、ハーランの
別働隊が狙撃してきた。この場はキッドの銃さばきで乗りこえたものの、シノーラに着いた途端、再度銃撃を
始めた。キッドはハーランの潜む酒場に列車を暴走させると、浮き足だった一味を皆殺しにし、ハーランの胸に
弾丸をぶち込んだ。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:86% Audience Score:53% >



by jazzyoba0083 | 2017-09-15 22:45 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「セルフレス 覚醒した記憶 Self/less」
2015 アメリカ Endgame Entertainment,Ram Bergman Productions.117min.
監督:ターセム・シン
出演:ライアン・レイノルズ、ベン・キングズレー、ナタリー・マルティネス他
e0040938_11004927.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

このところ、なかなか趣味の良い映画を持ってくる「キノフィルム」の配給。
本作も、結構面白く観た。ただ、伏線の張り方や回収について、「詰めが甘い」
「やり過ぎ」な部分があり、そこが残念だった。主演のライアン・レイノルズが
私にはライアン・ゴズリングと重なってみえてしょうが無いんですけど・・・。

さて、物語自体は、既視感があるようなあまり新鮮味の無いもので、無理がある
点もあるんじゃないか、と思える節もあるけど、カラダをもらった方の男の家族との
話が支えとなって、最後まで眠くならずに観終えることが出来た。

人が入れ替わる話なので、彼がこれで、これが彼か?とこんがらがるところが
あるのだが、話の面白さはそこにあるわけで、その数量的な問題がネックだった。
後から言われれば、なるほどそういうことか、と言うことなんでそのあたりの驚きは
あるのだが、そこで言われたら何でもありだよなあ、という伏線の弱さ。これは
脚本が弱いということなんだろう。

世界的建築家ダミアン(キングズレー)は余命半年ほどのガンに冒されていた。
そこに謎の男からの接触で、ダミアンの脳の中身を、生きている別の人間に
移し替えるという脱皮再生に誘われる。値段は2億5000万ドル位かかるらしい。
しかし、入れ替わった男は、自分の幼い娘を助けるためにカラダを犠牲にした
マークという男であり、定められたクスリを飲み続けないと、ダミアンは消滅し
もとのマークに戻ってしまう、ということだった。

マークという自分がこれからその男の肉体に宿るという重大な事態に、ダミアンが
相手の言いなりにならず、その男の履歴などを徹底的に調べなかったのが
トラブルの元なのだ。カラダはマークだが中身はダミアンという男が街に出てきたら
偶然の拍子にバレることだってあろうに。(マークは死んだことになって保険金が
おりているわけだから。家族親族もいるだろうし)そのあたりの説得性が今ひとつ
だったかな。

ラストに向かっていくストーリーはなかなかよろしかったのではないか。疎遠だった
ダミアンの娘に会いに行くとか。最後は結局ダミアンは消え、マークが戻り、親子
3人で、ダミアンが用意したカネでカリブ海の島で幸せに暮らしましたとさ。
e0040938_11012072.png
<ストーリー>
生きながらえるため新たな肉体に頭脳を転送された男が辿る数奇な運命を描く、
ライアン・レイノルズ主演のSFアクション。
屈強な肉体を得て、たった1人で謎の敵に戦いを挑む主人公を、レイノルズが体を
張ったアクションで演じる。監督は『インモータルズ 神々の戦い』など映像派として
知られるターセム・シン

ニューヨークを創った男と称され、政財界に強い影響力を持つ建築家ダミアン
(ベン・キングズレー)は、ガンを患い余命半年と宣告される。そんな彼に、
科学者のオルブライト(マシュー・グード)が遺伝子を培養し作った肉体への頭脳の
転送を持ちかける。ただし別人として生きることが条件であり、莫大な費用や
オルブライトの研究所にも疑念があったものの、娘クレア(ミシェル・ドッカリー)と
の関係修復ができないまま病状が悪化していき、失意のダミアンはついに決意。

引退の書類を親友のマーティン(ヴィクター・ガーバー)に託した後、オルブライトの
指示に従ってコーヒーを仰ぎ、そのまま倒れる。救急車で研究所に運ばれた彼は、
転送装置へ。68歳のダミアンの体は死に、新たな肉体(ライアン・レイノルズ)を手に
入れる。エドワードという名前で新たにスタートを切った彼は若者の暮らしを謳歌するが、
オルブライトから渡された拒絶反応を抑える薬を飲み忘れたところ、幻覚を見る。
あまりにもリアルだったため探したところ、幻覚に現れた建物は実在していた。
さらに幻覚に出てきた女性マデリーン(ナタリー・マルティネス)と会った彼は、
驚愕の事実を知る。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:19% Audience Score:46% >






by jazzyoba0083 | 2017-09-11 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)