カテゴリ:洋画=た行( 242 )

●「デュバリイは貴婦人 Du Barry Was a Lady」
1943 アメリカ MGM  101min.
監督:ロイ・デル・ルース  製作:アーサー・フリード
出演:ルシル・ボール、ジーン・ケリー、レッド・スケルトン、ヴァージニア・オブライエン
エヴァ・ガードナー、ラナ・ターナー、トミー・ドーシーと彼の楽団、パイドパイパーズ他
e0040938_12175039.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
このブログのタイトルは、MGMのレビュー~ミュージカルの栄光を描いた映画から
取ったことは皆さんすぐにお分かりでしょう。そのように私は1940年代から60年代の
ミュージカルが大好きで、特にMGMと20世紀フォックスの諸作品は大好き!

しかし、この映画は未だ観ておらず、毎月開催される市の映画鑑賞会で上映されたので
いそいそと出かけました。これがまた面白くて、テクニカラーが綺麗で、コール・
ポーターの曲、売り出し中のジーン・ケリーの若いタップ、トミー・ドーシーの
華麗な音楽とジョー・スタッフォードを含むパイド・パイパーズやモノマネトリオの
オックスフォード・ボーイズが上手く歌手やジャズプレイヤーの歌マネを披露、
なんと幸せな映画だろう。これを昭和18年に創るアメリカって・・・。
しかもセット、ロケ、衣装、すべてに金をしっかり掛けて手を抜いていない。
MGMのミュージカルプロデューサー王、アーサー・フリードの面目躍如の出来だ。

もちろん主役格のルシル・ボール、変顔を含めコミカルな味が良いレッド・スケルトンも
申し分ない。ルシル・ボールは私はテレビの「ルーシー・ショー」をリアルタイムで
観ていた世代。(陽気なルーシーではない)そこそこお年を召されてからの彼女だった
ので、若い時の感じはこうだったか、と見入ってしまった。赤毛の美人ではあるが、
本作にエスカイアガールとして紹介されるラナ・ターナーのほうが綺麗かな。
(映画の中のルシルの歌声は吹き替え)

この手の物語はどちらかというとどうでもいいのだが、役どころを紹介しておくと、
ルシル・ボールはナイトクラブのショーガール、育った環境が貧しく、とにかく
お金持ちと結婚したくてしかたがない。クラブで働きタップも披露しているジーン・
ケリーとクロークボーイのレッド・スケルトンとが彼女を狙っていた。
ルシル・ボールは熱烈に求愛してくるジーン・ケリーが好きなのだが、どうしても
お金のことが頭にあり、結婚までは踏み切れない。

一方、スケルトンは15万ドルの宝くじが当たり、一夜にして大金持ちに。お金に
目がないルシルにプロポーズするが、恋敵のジーン・ケリーに飲ませるはずの
睡眠薬を自分が飲んでしまい、夢の世界に。そこは中世のフランスでスケルトンが
ルイ15世になって、ルシル演じるマダム・デュバリイに恋をする、これを邪魔する
人民の味方ブラック・アロー(ケリー)。結局、中世でもルシルはケリーに恋して
いて、お金が全てではないと悟るのだった。
他愛のない話で、典型的なハッピーエンド。最期はトミー・ドーシーも入って
5人で「フレンドシップ」という歌を歌って幕となるのだ。

主人公たちだけではなく、ナイトクラブで怪しい水晶占いをする男とか、本編に
あまり関係ないギャグも散りばめられ、「お笑い映画」としても楽しめる。
さらに当時人気絶頂だったトミー・ドーシーの演奏が数曲たっぷり聞けるのも
珍しい。
とにかく欲張りな映画だ。Blu-rayがあればコレクションに加えようかなあ。
e0040938_12182228.jpg
<ストーリー:全部書かれています>
ブロードウェイでヒットした同名のミュージカルを、音楽映画専門のアーサア・フリイド
「踊る海賊(1948)」が製作映画化したもので、レッド・スケルトンの出世作として
知られる。原作はB・G・デシルヴァとハーバアト・フィールズ「アニーよ銃をとれ」、
これを「泣き笑い人生」のアーヴィング・ブレッチャアが映画様に脚色、
「テレヴィジョンの王様」のロイ・デル・ルースが監督に当った。
音楽は原舞台そのままコール・ポーターの作詞作曲を中心にしている。
撮影は「風車の秘密」のカール・フロイント、ダンス監督は「イースター・パレード」の
監督チャールズ・ウォルタアズが担当する。

ナイト・クラブ「プチィット」の花形メイ・デリイ(ルシル・ボール)は、同僚の
2枚目歌手アレック(ジーン・ケリー)と、クロークのルイ(レッド・スケルトン)
から想いを寄せられていた。
彼女はアレックの愛を感じながらも、夫となる男は百万長者でなければならぬと、
彼の申し込みをはねつけていたが、ある日ルイが富クジに当って彼女に申し込んだ
ことから、愛もなく彼の金と結婚することを承諾した。

驚いたアレックは2人の仲を割こうとしたが、それを止めるため彼に一服盛ろうと
ルイは逆に眠り薬をのまされてしまい――そしてルイは夢の中でルイ15世になって
いる自分を発見した。彼は寵姫デュバリイを別荘に訪ねると、これがメイで、王に
接吻を許さない。そこへ現れた革命党の指導者ブラック・アロウ(実はアレック)は
王を脅かして逃亡した。その夜党の隠れ家に彼を訪れたデュバリイはすっかり彼に
惚れ込んでしまったが、群衆と衛兵の間に激戦が起こり、ブラック・アロウはついに
捕らえられた。翌日彼の死刑が執行されることになり、デュバリイは王に助命を乞うて、
王も仕方なくこれを許したが、総理大臣がそれはならぬと王に白刄をつきつけた時――
ルイはやっと目が覚めた。

この夢で、愛は金で買えぬことを悟ったルイは、メイをアレックにゆずろうと1万ドルを
引き出ものに出しかけたが、たちまち税務署にふんだくられ、そしてまた元の無一文に
帰った彼らは、すべてまことの愛に生きるのであった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:--- Audience Score:47%>



by jazzyoba0083 | 2017-10-12 11:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「盗聴者 La mécanique de l'ombre」
2016 フランス・ベルギー  2425 Films 91min.
監督・(共同)脚本:トマス・クライトフ
出演:フランソワ・クリュゼ、ドゥニ・ポダリデス、サミ・ブアジラ、アルバ・ロルヴァケル他
e0040938_16385053.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
日本未公開のサスペンス。WOWOW「ジャパン・プレミア」にて鑑賞。
事件の大本になる、コートジボワールだかどこだかの人質事件とその釈放交渉を
巡り新大統領の手柄にするのしないのという根っこの部分が良くわからないので
秘密組織みたいのが2つ出てきて殺し合いやられても、良く分からなかったと
いうのが本音。「最強の二人」のクリュゼの困り顔演技は良いんだけど、それだけ
という感じ。断酒会で知り合う若い女性との関係も、実は彼女、どちらかの組織の
人間なんじゃないか、というミスリードなのか、と思ったらそうでもなかったり。
フランス人ならもう少しよく分かるのかなあ。日本では劇場未公開も仕方のない
内容だね。エンディングもなんだかなあ、で終わっちゃったし。

国家的組織から真面目故に失業した中年男が、盗聴テープ起こしというヤバい
仕事を頼まれ、盗聴する側からもされる側からも狙われて、ニッチもさっちも
いかなくなるという基本ライン。前述のように短い映画ながら話が分かりづらいのが
最大の欠点。クリュゼが勿体無い。女性もなんのために出てきたのか分かりづらい。
という映画でした。
e0040938_16393390.jpg
<ストーリー>
「最強のふたり」に主演したフランスの人気男優にして実力派のF・クリュゼ。
彼が、秘密組織が盗聴した音声を文字起こしする孤独な男性をリアルに演じた異色の
サスペンス。
保険会社で働く真面目な男性デュバルは几帳面なために仕事を多く抱え過ぎ、
不眠症とアルコール依存症の両方に悩むように。

2年後、失業したデュバルは突然、初対面の男クレマンから仕事を頼まれる。
それはあるアパルトマンの一室で盗聴された会話音声などをたったひとりで聴き、
タイプライターで文字起こしするという不思議な仕事だ。会話音声では政府の
関係者らしき人々が話しており、デュバルは自分の仕事が危険だと感じるが…。
(WOWOW)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:47% Audience Score:17% >




by jazzyoba0083 | 2017-10-02 22:50 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ドント・ブリーズ Don't Breathe」
2016 アメリカ Screen Gems and more.88min.
監督・(共同)脚本:フェデ・アルバレス
出演:ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット、スティーヴン・ラング
e0040938_13375479.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
短いけどよく出来たサスペンス・ホラー作品。プロデューサーにサム・ライミの名前が
見られる。WOWOWでの鑑賞だったが、解説の小山薫堂も言っていたように、
ひどい目、怖い目に会う3人の若者に対して距離を置いて見られるのは、彼らが
「盲目で娘を交通事故で殺された単身で暮らす元軍人の老人」の家に娘の示談金目当てで
侵入する強盗という基本、悪い奴らだから、まあ、このくらいの目にあっても
仕方ないよねえ、という目線で見られるから、びっくりする内容であっても、覚めた
目で、そう怖がらずに観られる。

少数の出演者で構成されるストーリーはスピード感もあり、普通感じられる「タメ」も
排除して、(まだ殺さないだろうと思っているところ、あっという間に殺されるとか)
進むのであっという間に観終えた感じだ。
強盗に入った若者3人が出会う恐怖の種類は数多く用意され、目が見えないと思って
いたら、目の代わりをする猛犬がいたり、元軍人なので一度取っ組み合いになると
ものすごく強かったり、更に、地下室に想像できなかったびっくりが隠されていたり
する。ラスト、(ネタバラシになりますが)生きて脱出出来た若い娘が、自分が
バールでボコボコにしてきた老人が死んでいなくて結構軽いけがで済んだという
ニュースを空港で見るのだが、そのニュースでは自分が奪って来た大金について
「盗難の事実はなかった」というコメントにさらに驚く。盗難が無かったのではなく、
老人自身が地下室で犯していた罪について持って行かれた大金と相殺するという
ことだったのだろう。もし、老人が打撲で死んでいたら、銃で殺された男二人と
撲殺された老人の加害被害の関係がおかしくなるから、(だれが老人を殺したのか、
もう一人犯人がいて逃げたのかとか。まあ彼女の血液も現場にあるのだからDNA検査
とかやられるとアウトなんだろうけどね)辻褄もとりあえずあっていたということに
なるのだな。

短い時間に多様な恐怖を入れ込み、目が見えないけど自宅の中ではめっぽう強い
老人と、言葉を発しない猛犬の存在が、良いテンションで恐怖をばらまく。
「悪いことをしに来た若者たち」「盲目の老人=元軍人=地下室の秘密」
「暗闇の中の恐怖」「猛犬」といい環境と素材をそろえた。
(ツッコミどころがないわけではないが)なかなかいいアイデアのサスペンス・
ホラーだと思う。
e0040938_13382371.jpg
<ストーリー>
リメイク版「死霊のはらわた」のフェデ・アルバレス監督が再びサム・ライミ製
作の下で撮り上げた戦慄のサスペンス・スリラー。
盲目の老人の家に盗みに入った若者3人が、相手の思わぬ反撃に遭い、逃げ道を
塞がれた真っ暗闇の家の中で想像を絶する恐怖に見舞われるさまを緊張感あふれる
筆致で描き出す。
出演は若者3人に「死霊のはらわた」のジェーン・レヴィ、「プリズナーズ」の
ディラン・ミネット、「イット・フォローズ」のダニエル・ゾヴァット。
彼らを恐怖のどん底に突き落とす盲目の老人に「アバター」のスティーヴン・ラング。

 長引く不況ですっかり荒廃した街デトロイトで、少女ロッキーと恋人のマニー、
友人のアレックスの3人は重罪にならない程度の空き巣を繰り返していた。
自堕落な親を見限り、幼い妹を連れてここを出て行こうと考えていたロッキーには
まとまった金が必要だったが、そこへマニーがある強盗話を持ちかけてきた。

ターゲットは孤独な盲目の老人で、娘を事故で失った彼は、賠償で得た大金を
自宅の地下室に隠し持っているらしいというのだった。最初は嫌がっていた
アレックスも加わり、真夜中の老人宅に侵入した3人だったが、すぐに彼らは
自分たちが相手にしている男が、単なる目の見えない無力な老人ではないことを
悟るのだった…。(allcinema)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:87% Audience Score:79%>



by jazzyoba0083 | 2017-09-30 22:40 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

ドリーム Hidden Figures

●「ドリーム Hidden Figures」
2016 アメリカ Levantine Films,Chernin Entertainment,Fox 2000 Pictures.127min.
監督・(共同)脚本:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャーネイ・モネイ、ケヴィン・コスナー、キルステン・ダンスト、マハーシャラ・アリ他
e0040938_20423395.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
2日続けて映画館で「心地の良い」映画を見られる幸せ!これは皆さんにお勧めしたい良作です。
今年のアカデミー賞候補作品の中で最後に登場した本作、待たされた甲斐があったという出来でした。
昨日のジャームッシュが「普通の生活」を切り取った「心地の良さ」とすれば、本作は、黒人差別と
戦いつつ信念を貫いた実在の人物のダイナミックな(ちょっと語弊があるな)生き方から感じられる
「心地の良さ」だ。年をとって涙もろくなったせいか、何回か涙腺崩壊になりそうなシーンがあった。
白人が解けない数式をスラスラと解いてしまい、びっくり顔の白人には容易にカタルシスを感じる
事ができる。

★は8.5を進呈したい。マイナスは、黒人差別がもう少しきつく描かれても良かったんじゃないか、と
思ったから。まさに公民権運動吹き荒れる時期、この映画に出てくる(基本はNASAの人なんだが)人物は
ベースとしてはいい人なんだもの。冒頭に登場し、主役3人をパトカーで先導してくれる白人警官を
初めとして、カッコいい本部長ケヴィン・コスナー、三人の上司キルステン・ダンスト、理解あるもの。
映画では、非白人用トイレに行くためにNASAの構内を片道800メートルも行き来しなくてはいけないとか
オフィスにあるコーヒーサーバーが分けられているとか、主人公の一人がNASAでの技術者の資格を得る
ために白人だけの高校に通わせろと、裁判に持ち込まなくてはならなくなるのだが、判決を言い渡す白人判事、
情けをかけてくれるし、事実かもしれないが、環境は過酷だが、周りはいい人、というのが、いささか
迫力不足というか。最高に良いやつなのはフレンドシップ7に乗ってアメリカ人として初めて地球を周回
したグレン飛行士だ。彼の場合は、主人公の一人計算の天才キャサリンを心から信頼しているのだ。
実際はもっともっと私生活も含め黒人ゆえの苦しさはあっただろう。
三人の努力は認めるとしても彼女たちは恵まれていたほうだとも言えるだろう。

さりとて、あの時代に、国家事業に参加し、極めて重要な仕事を、底辺から初め、実力を認めさせ、
しかるべき仕事と地位を与えられるようになった実在の三人には敬意を払わずにはいられないし、
彼女らの才能を認めた本部長ケヴィン・コスナーや上司キルステン・ダンスト、飛行士らの、差別をしない
勇気、国家事業を成功させるためにあの時期、肌の色は関係ないという姿勢も敬意を評さざるを得ない。
そしてそれらが描かれた映画は、観ていて心地悪いはずがない。プロジェクトは成功していくんだし。

現在も90歳を超えて存命でいらっしゃる三人は、フレンドシップを成功させた後、ジェミニ計画、
アポロ計画、そしてスペースシャトル計画まで関わり、彼女らの名前を関した施設がNASAに作られる
までになったという。キャサリンは大統領から米国人として最高の栄誉である「大統領自由勲章」を
与えられている。

事実とは少し違う色付けがされているようだが、アメリカ人がいかにも喜びそうな作りで、本国での
評価も極めて高い。原題の"Hidden Figures" とは「隠された人/数式」というダブルミーニング。
日本のタイトルは大上段に構えすぎで、もう少し何とかならなかったのかな。

主役の3人の黒人女優さんたち、ボスを演じるケヴィン・コスナー(ちょっとかっこ良すぎかな)、
オスカーで助演男優賞に輝いた(「ムーンライト」)マハーシャラ・アリら、ナイスなキャストであった。

国の大事業でしかもソ連との競争という状況で、(途中からIBMの大型コンピュータが出てきて、白人の
技術者が使いこなせないで困っている中、主人公の一人がフォートラン(懐かしいなあ)をマスターし
動かしてしまうシーンはいいなあ)仕事と黒人であるという大きな壁に負けずに挑んで結果を出した
3人の女性に、素直に感動してしまうのだった。
e0040938_20430337.jpg
<ストーリー>
アメリカと旧ソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年代初頭、アメリカ初の有人周回飛行の
成功に尽力したNASAに勤務する3人の黒人女性の実話を映画化した人間ドラマ。
黒人への差別が激しい時代背景の中、家族のために奮闘する女性たちの姿を描き、第89回アカデミー賞では
3部門でノミネートされた。

1961年、東西冷戦下のアメリカとソ連は熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。ヴァージニア州ハンプトンの
NASAラングレー研究所では、優秀な黒人女性たちが計算手として西計算グループで働いていた。
リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望するが、上司ミッチェル
(キルステン・ダンスト)は「黒人グループには管理職を置かない」と却下する。
メアリー(ジャネール・モネイ)は技術部への転属が決まり、エンジニアを志すが、黒人には無理だと
諦めている。幼いころから数学の天才少女と呼ばれていたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は
黒人女性として初のハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、白人男性
ばかりの職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレもなかった。

それでも家庭を持つ3人は、国家の威信をかけたマーキュリー計画に貢献しようと奮闘した。
1961年4月12日、ソ連はユーリ・ガガーリンを乗せたボストーク1号で史上初の有人宇宙飛行を成功させる。
ソ連に先を越されたNASAへの猛烈なプレッシャーのなか、キャサリンはロケットの打ち上げに欠かせない
複雑な計算や解析に取り組み、その実力をハリソンに認められ、宇宙特別研究本部で中心的な役割を任される。

一方ドロシーは、新たに導入されたIBMのコンピュータを使ったデータ処理の担当に指名され、メアリーは
裁判所への請願が実り、白人専用だった学校で技術者養成プログラムを受けるチャンスを得る。
夫に先立たれ、3人の子供をひとりで育てていたキャサリンは、教会で出会ったジム・ジョンソン中佐
(マハーシャラ・アリ)のプロポーズを受ける。

1962年2月20日、宇宙飛行士ジョン・グレンがアメリカ初の地球周回軌道飛行に挑む日。打ち上げ直前に
想定外のトラブルが発生し、すでに職務を終えて宇宙特別研究本部を離れていたキャサリンに、
コンピュータには任せられない重大な計算が託される……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:93% >



by jazzyoba0083 | 2017-09-29 12:35 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「テキーラ・サンライズ Tequila Sunrise」(再見)
1988 アメリカ Warner Bros.,The Mount Company. 115min.
監督・脚本:ロバート・タウン
出演:メル・ギブソン、ミシェル・ファイファー、カート・ラッセル、ラウル・ジュリア他
e0040938_14285407.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
この監督さんはもともと脚本家で、名作「俺たちに明日はない」にもクレジットされて
いるんだね。その他にもけっこうヒット映画に名を連ねている。そんなロバート・タウン
監督が、当時売り出し中の3人をキャスティングし、麻薬取引から足を洗う覚悟を決めた
男とそれをずっと追ってきた刑事、それにレストランマネージャーの女という三角関係を
加えて作った、日本でいうところの「バブルの匂いのする」作品。恋愛映画なのか、
アクション映画なのか、結局どっちつかずで終わってしまった。時間もちょっと長すぎ。

音楽がデイヴ・グルーシン、サックスソロがデイヴィッド・サンボーン、ギターソロが
リー・リトナーという音楽の布陣を見ても、本作が、ムーディーな「おしゃれな
アクション映画」という雰囲気がわかろうというものだ。出てくる人が一癖ありそう
なものの、基本的にいい人なんで、ピリッとしない。ラストで刑事カート・ラッセルに
背後から撃たれるDEA取締官が悲劇である。それにしても、メキシコの刑事になりすまして
やってくる麻薬密輸のボス、カルロスだが、だれも顔を知らないって、メキシコ警察から
写真でももらっておけば?と思うのは私だけ?

二度目の鑑賞となったのは、印象薄い映画は6年半も経つと、まるっきり忘れている
という証左。
(苦笑)
e0040938_14292445.jpeg
<ストーリー:結末まで触れています
麻薬の仲買人として知られる通称マックことデイル・マカシク(メル・ギブソン)は、
最近になって足を洗うことを決意するが、周囲の人は誰もそれを歓迎していなかった。
別れた妻は一人息子の養育権をタテに彼を脅し、従兄のリンドロフは金づるの
マックを手放したがらなかった。そんなマックには、ニック・フレシア
(カート・ラッセル)という高校時代からの親友がいたが、麻薬捜査官でもある
彼は、ある日上司から組織壊滅のためにマックの身辺捜査を命じられるのだった。

ある日ニックは、マックが行きつけの高級レストランに出向き、そこの女性オーナー、
ジョー・アン・バリナリー(ミシェル・ファイファー)と親密になる。警察はこの
レストランが、マックの麻薬の取り引きの場と考えていたのだ。
そして彼女をめぐってマックとニックは互いの思いを対立させるようになる。

やがて警察は、南米の麻薬コネクションの元締めカルロス・エスカランテと接触する
マックを捕えることで、この2人を一網打尽にしとめようと南米から麻薬捜査官を
招くが、実は彼こそがそのエスカランテ(ラウル・ジュリア)だった。
マックとエスカランテは、メキシコの刑務所で一緒になって以来の友人関係にあったが、
マックは彼に足を洗うことを打ち明ける。そしてニックの協力を得てエスカランテの
誘惑から逃れることのできたマックは、同時に警察に対して身の潔白を証明する。
一方,ジョー・アンは、マックとの愛に生きることを決意し、ニックはそんな2人を
すがすがしいまなざしで見つめるのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:42% Audience Score:40% >




by jazzyoba0083 | 2017-09-16 22:55 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

ダンケルク Dunkirk

●「ダンケルク Dunkirk 」
2017 アメリカ Warner Bros.,Dombey Street Productions,Kaap Holland Film.106min.
監督・脚本・(共同)製作:クリストファー・ノーラン
出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ローデン、トム・ハーディー他
e0040938_14194607.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:ネタバレばかりか、かなりの制作上の機微に触れています>
実は、二回観た。朝イチで出かけた回で重要な部分で寝落ちした箇所があるらしく、意味が
通じなかったので、この映画の歴史アドバイザーを務め「ダンケルク」という小説も書いた
ジョシュア・レヴィーンの文庫本を買って、映画の章と、ノーランとのインタビューの章を
先に読んで、再度昨日観てきた。

細かい制作上の苦労話は置くとしても、最初の印象とは余り変わるものではなかった。
とにかく、ダンケルクの砂浜と海と上空で展開する。とにかくダンケルク以外はラストしか
出てこない。
ノーランの描きたかったのは、「戦争映画」ではなく「生還(サバイバル)映画」であり、
「サスペンス映画」だということで、それが確認出来れば更に作品にのめり込むことが出来る。

物語は大きく3つのエピソードからなっているが、それぞれ際立ったキャラクターは配置されて
いるが、彼らが主人公ではない。陸~海岸、空、それに、イギリス本土から救出に向かった
一般市民のボート、以上が3つのコアになるエピソードだ。
故に、誰がどうであったか、ということより、「ダンケルク」とは何で
あったか、という点が印象に残ればそれでこの映画は成功したといえよう。

凝り性のノーランはダンケルクに関する本を読み漁り、イギリスに渡り実際海峡をヨットで
渡って見もし、当時の生き残りから(軍だけではなく市民からも)膨大な話を聞き、
「史上最大の撤退作戦」がどのようであり、何を意味していたのか、を探り、脚本にしていった。

その結果、ドイツ軍は全く出てこず、(軍用機などは象徴として出て来るが)、あの海岸で
混乱し、情報が錯綜する中で、30万の兵士たちは、何を考え、どのように行動したのか、
あるいは救助に向かった市民は何を考えたのか、という大きな輪郭から、「生還劇」を
組み立てた。実際に海岸にいた兵士たちは自分たちのことしか考えられなかったという。
だから、個人の感情の表出としてのアップが多用される。そして兵士の見た目。
特に空戦ではスピットファイアのパイロットの目線が重要な役目を果たす。

本土に帰ってきた兵士にタオルを手渡す盲目の男に、兵士が「生きて帰ってきただけだ」と
いうと「それで十分じゃないか」と返す。またチャーチルは「この敗北の中に勝利が有る」と
演説したのだが、どうしても比べてしまうが、日本のメンタリティと何と異なることか。
本土に撤退してきた兵士たちは、自分たちは「敗者」であり、国民に顔向けできないという
思いに満ちていたが、しかし、彼らを待っていたのは、大歓迎だったのだ。「良く生きて
帰ってきた」と。

「ダンケルク」とは何だったか、という映画なのだが、だが人間が関わる以上、どこかで
彼らの思いが現れないと単なるドキュメントになってしまう。それを担うのが陸戦から
海岸に逃げてきたトミー(ホワイトヘッド)であり、リトルシップの船長ドーソン(マーク・
ライランス)、現場の司令官ボルトン大佐(ケネス・ブラナー)、スピットファイアで
海岸に不時着するファリア(トム・ハーディー)である。彼らの表情はセリフ以上の
ものを語って、このダンケルクへの思いを描いている。

コ・プロデューサーのエマ・トーマスはノーランの奥様だが、現場の美術や物語の
根幹に大きく関わっている。実際のダンケルク海岸に作られた防波堤は再構築された。
トラックによる突堤も。また不時着するスピットファイアは本物である。
来年のオスカー有力候補といわれているが、ノーランとエマの「サバイバル劇」が
どう評価されるか楽しみである。

ちなみに本作の中で一番怖かったのは、イギリス兵士が打ち上げられた小型商船に
潮が満ちて離岸出来る機会を伺いつつ、船内に潜んでいるときに、外からドイツが
小銃を打ち込んでくるところだ。姿が見えない、どこからいつ弾が飛んで来るか
分からない、自分たちがいることを知っているのか、射撃練習の的としているのかさえ
分からない。この映画を象徴するシーンであったと思う。
e0040938_14201681.jpg
<ストーリー>
第二次世界大戦中の1940年、フランス・ダンケルクの海岸でドイツ軍に包囲されたイギリス、フランス軍の
兵士約40万人を860隻の船舶で救出した、史上最大の救出作戦を映画化したサスペンス。
トム・ハーディやマーク・ライランスら名優を迎え、クリストファー・ノーラン監督が初めて実話の
映画化に挑んだ意欲作。

第二次世界大戦が本格化する1940年、フランス北端の海の町ダンケルク。フランス軍はイギリス軍とともに
ドイツ軍に圧倒され、英仏連合軍40万の兵士は、ドーバー海峡を望むこの地に追い詰められる。
背後は海。陸海空からの敵襲。そんな逃げ場のない状況下でも、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)や
アレックス(ハリー・スタイルズ)ら若き兵士たちは生き抜くことを諦めなかった。

一方、母国イギリスでは、海を隔てた対岸の仲間たちを助けようと軍艦だけでなく民間船までもが動員され
“史上最大の救出作戦”が動き出そうとしていた。ドーバー海峡にいる全船舶が一斉にダンケルクへと向かう。
民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)も、息子らとともに危険を顧みずダンケルクを目指
していた。
英空軍パイロット・ファリア(トム・ハーディ)も、数において形勢不利ながらも出撃。タイムリミットが
迫るなか、若者たちは生きて帰ることができるのか……。(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:82% >




by jazzyoba0083 | 2017-09-13 16:25 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ダーク・プレイス Dark Places」
2015 イギリス・フランス・アメリカ Exclusive Media Group,Mandalay Vision,and more. 113min.
監督:ジル=パケ・ブランネール  原作:ギリアン・フリン「瞑闇」
出演:シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、クロエ・グレース・モレッツ、タイ・シェリダン他
e0040938_18011792.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
なんだろう、もっと面白くなる映画なはずなんだけど、この中途半端さは。真相が結構アッという
感じだったので余計に残念だ。「殺人クラブ」の人たちの十分じゃない謎解きが薄っぺらくしている
のかもしれない。無罪の兄がハマっていた黒魔術、っていうのもどこか胡散臭くて薄っぺらい感じを
醸し出していたのかもしれない。カットバックと主人公のフラッシュバックがごちゃごちゃしていたの
かもしれない。伏線の張り方が下手なのかもしれない。原作モノなので仕方ないと言えばそれまでだけど。

1985年に起きた一家3人惨殺事件で一人生き残ったリビー(セロン)。犯人はまだ幼かった彼女の
証言で、兄が逮捕され28年服役している。リビーは世間の同情を集め、お金に不自由することなく
生きてきたが、事件も古くなり、残りの金も少なくなってきた。そこに過去の未解決の事件や冤罪事件の
真犯人を突き止めるという「殺人クラブ」のライルから、金を払うから集会に来てくれないか、あなたの
兄さんは真犯人じゃない、と言われる。

そのような状況で、兄と刑務所で面会したりするうちに、リビーは自身の心のなかに封印してきた過去を
少しずつ明らかにしていく。

ネタバレですが、貧しい一家を支える母が保険金目当てに自分を殺させて、子どもたちを救おうとした
ことがそもそもの発端。その発端を示す伏線があるのだがやや弱い。最後の30分くらいで一気にことが
解決に向かうのだがそれはそれで面白いものの、それまでがしんどい。一方もう一つの主軸となるのが、
事件当時兄と付き合っていたディオンドラという少女。兄は彼女を妊娠させる。その女性も今や28歳以上に
なって今もどこかにいるはず。それを「殺人クラブ」のライルが見つけ出してくる。

結局殺人があった晩、ディオンドラは自分のことを罵ったリビーの姉の首を締めて殺してしまう。その時が
たまたま母が自分を殺させる晩であった。殺人者は夜中に忍び込み、母をナイフで殺害するが、予定外の
子供たちが出てきてしまった。その為この男はリビーのもう一人の姉も殺し逃げる。
兄は、リビーをタンスに匿う。そして自分で罪を被ったのだ。幼いリビーは警察に嘘の証言をし兄は逮捕され、
ディオンドラはどこかへ去った。

刑務所に入った兄は上訴せず、無実を訴えることをしなかった。なぜなら自分とディオンドラのせいで
妹の一人を殺して(実際はディオンドラが手を下したのだが)しまい、その罪を一生背負うことに
したからだ。また自分の子を宿したディオンドラを守ったのだ。ディオンドラ(若い時をクロエ・グレース・
モレッツが演じる)は、生来の変なやつで実の妹を殺した女をかばう兄の心情は理解しがたいものがある。
いくら自分の子供を身ごもっているとはいえ、28年間もよく黙っていたなと。

ディオンドラと娘の居場所を突き止め、訪ねるリビー。家に自分の母のネックレスを見つけ、はやり
兄は犯人じゃないのだと確信。しかし、ディオンドラとその娘に殺されそうになる。しかし、ライルが
駆けつけ九死に一生を得る。そして事件の全容が明らかにされ、兄は釈放されるのだ。28年の時間を超え
二人は和解するのだった。

もう少し話を整理し、伏線の張り方を上手くしたら面白くなったかもしれない。そもそも、幼い3人の
実の娘を残して、保険金目当てに殺し屋を雇う母親に心情に同情しづらいのが一番のひっかかりかも
しれない。また妹を殺した恋人を守った兄の心情もしかり。
e0040938_18014731.jpg
<ストーリー>
1985年、カンザス州の田舎町。母親とその娘二人が惨殺される事件が発生。家の壁には悪魔崇拝を示唆する
血文字が残されていた。犯人として逮捕されたのは15歳の長男ベン。生き残った8歳の末っ子リビーが、
兄の犯行を目撃したと証言したため、ベンは終身刑を宣告された……。

28年後。殺人事件の遺族として世間から同情を受け、支援金や自伝出版で食いつないできたリビー
(シャーリーズ・セロン)だったが、定職もなく、孤独な生活を送る日々。そんな彼女に“殺人クラブ”という
団体から連絡が届く。過去の有名な殺人事件を検証するそのクラブは、重要な証言者としてリビーに
会いたがっていた。兄の事件の真相が迷宮入りするまで、残り21日。“殺人クラブ”ではタイムリミットが
迫る事件について語れば謝礼を支払うという。

生活に困窮していたリビーは、クラブのメンバーであるライル(ニコラス・ホルト)が申し出た報酬に目が
くらみ、出席を決意。ベンの無罪を主張するクラブを怪しみつつ、リビーは生活のために嫌々ながらも
あの忌まわしき28年前の事件を振り返ることになる……。
刑務所を訪れたリビーは、久しぶりにベン(コリー・ストール)と再会。彼の手首には女性の名のタトゥーが
あった。やがてリビーの脳裏には、徐々に過去の記憶が蘇る。当時、ヘビメタ好きで悪魔崇拝に傾倒していた
ベンは家族の中でも浮いた存在だった。さらに彼には、近所の少女に性的イタズラをしたという疑いが持ち
上がっていた。ベンにはディオンドラ(クロエ=グレース・モレッツ)という年上の恋人がいて、妊娠が
発覚した彼女はベンと一緒に町を出ようと心に決めていた。

一方、リビーの両親は、彼女が2歳のときに離婚。だが父親は、たびたび金の無心に来ては、母親のパティ
(クリスティナ・ヘンドリックス)を悩ませていた。家が農場とはいえ、女手ひとつで4人の子供たちを
育てるパティも経済的に困窮。自宅が差し押さえを迫られたうえ、嫌疑を受けるベンのために弁護士の
費用が必要だった。そんな状況であの夜、惨劇が起こったのだ。ライルに背中を押されたリビーは、
かつてベンがイタズラをしたというクリシーと会い、殺された姉の日記を読み返し、忘れかけた記憶を
たぐり寄せていく。
あの夜、自宅で何が起こり、自分は何を目撃したのか……。そんな中、事件以来、行方知れずだった
父親の居場所を突き止めたリビーは、衝撃の事実へ一歩、また一歩と近づいていく……。

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:26% Audience Score:33%>










by jazzyoba0083 | 2017-08-03 23:30 | 洋画=た行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「トレインスポッティング Trainspotting」
1996 イギリス Channel Four Films,Figment Films,The Noel Gay Motion Picture Co. 93min.
監督:ダニー・ボイル 原作:アーヴィン・ウェルシュ
出演:ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライル他
e0040938_20555422.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
なんで今頃か、というと、先日ダニー・ボイルの作品を観て、この人をもう少しディグして見たくなった
から。短い映画だけど、迫力満点、ぶっ飛びました。何か大仕掛けがあるわけではないのだが、あるいは、
個人的にはここに描かれているヤク中は嫌いなんだけど、映画としては「世の中の下らないゴミの様な
人間をここまで活写した映画があるか!」と思わせた。

1960年台後半、人種問題やベトナム問題で閉塞していたアメリカで、それまでのハリウッド映画の
語法を一切否定した、「イージーライダー」や「俺たちに明日はない」などの映画が出てきて、
私としてそれを見たときのような感覚(衝撃とまではいかない)を受けた。
オフビート感とか、カルト的、とか言うのは易しいが、個人的にはなんとも新しい感覚の映画だった。
アウトサイダーを描く映画は多いが、「意味のない素材に意味を持たせた」というところが凄い。
反体制とか反権力が臭わない(結果的にそう感じられる人がいても)のが今日的だ。出演者全員が
スコットランド出身で、舞台もスコットランドのグラスゴー。映画ではスコットランドはクソだそうだ。
で、この映画、何を言おうとしているの?と聞かれると困るのだけれど、隠しテーマは相当深刻だ。
ヤクとセックスだけの青年たちに未来はなかろうなあ、とは思うけど、これも彼らの人生だから。
誰が作り出したかは問題だけど。

登場人物たちは、世の中のどうしようもないクズでヤク中で、やっていることは、どうしたらヤクを
手に入れることが出来るか、その資金をどうひねくりだすかや、女とヤルことばかり。語りもする主人公
マーク・レントン(マクレガー)が一番マトモそうだけど、ヤクを止めると何回言っていることか。
「やめるまえに一発キメる」のが常で、ラストシーンでみんなの金を一人でガメて逃げる時、この金で
ヤクを止めて新しい人生を始めるんだ、みたいなことを言って笑顔になるのだが、こいつ、絶対
ヤクはやめられないだろうな、と観ている人は思うだろう。

クソみたいなやつらを瑞々しく生き生きと描く、とはどういうこと?という感じもするのだが、
映画を観た素直な感想がそうなんだから仕方がない。脚本がいい。出てくる奴らがとことんダメで
クソなのが徹底していて、その徹底ぶりがむしろ気持ちいい。映像もいい。
昨年続編が公開されたが、そっちも絶対に観てみよう。その後あのクソたちはどうなったのだろうか?

トレインスポッティングとは、イギリスの人の多くもなんのことか分からない言葉だそうだが、
ネットで調べると、エディンバラにあるジャンキーの集まる操作場のことだそうで、ドラッグの取引や
ドラッグを使用することそのものも指す言葉のようだ。
e0040938_20562704.jpg
<ストーリー>
ヘロイン中毒に陥った若者たちの生態を、斬新な映像感覚で生々しく描いたドラマ。監督はテレビの演出を
経てデビュー作「シャロウ・グレイヴ」をヒット作に押し上げたダニー・ボイルで、監督第2作の本作は
カンヌ国際映画祭で話題を集め、またアメリカでもヒットを記録。
原作はイギリスでカルト的人気を誇るアーヴィング・ウェルシュの同名小説(邦訳・青山出版社刊)。
製作のアンドリュー・マクドナルド(「赤い靴」「黒水仙」の監督エメリック・プレスバーガーの孫)。
主演は「シャロウ・グレイヴ」に続き起用された新進ユアン・マクレガー。共演は「リフ・ラフ」「司祭」の
ロバート・カーライルほか。また原作者のアーヴィング・ウェルシュも小さな役で顔を出している。

マーク・レントン(ユアン・マクレガー)は平凡な生き方よりも、「誠実で真実あふれる麻薬の習慣」を
選んだ麻薬常習者の青年。彼は何度目かの麻薬断ちを決めた。仲間のシック・ボーイ(ジョニー・リー・
ミラー)も麻薬を止めるが、それはレントンに嫌がらせをするためだ。麻薬よりも健全な性欲を満たすべく、
レントンたちはディスコに行く。そこで彼はダイアン(ケリー・マクドナルド)という美女に魅かれて
彼女の家でセックスする。
翌朝、彼はダイアンが実は高校生だと知る。レントンたちは再び麻薬を始めた。それまで麻薬はやらなかった
トミー(ケヴィン・マクキッド)も、恋人に振られた腹いせに麻薬を打ってくれという。皆が麻薬に耽っている
間に、仲間のアリソン(スーザン・ヴィドラー)の赤ん坊が死んでいた。実はその赤ん坊の父親だったシック・
ボーイは泣く。皆は慰めにさらに麻薬を打つ。レントンとスパッド(イーウィン・ブレムナー)が万引きで
捕まり、スパッドは刑務所に。執行猶予になったレントンは本気で麻薬をやめようとして、禁断症状で地獄の
苦しみを味わう。トミーは注射針からエイズに感染していた。麻薬を止めたレントンはロンドンに出て不動産屋に
就職。だがそこに故郷の仲間たちが押しかける。まずは強盗で逃走中のベグビー(ロバート・カーライル)、
それにポン引きになったシック・ボーイ。やがて彼は二人のせいでクビになり、3人そろって故郷に帰ると、
トミーの葬式が行われていた。葬式のあとシック・ボーイが多量の麻薬取引の話を持ち出す。レントンは嫌々
ながら仲間に説得され貯金を提供する。

ベグビー、シック・ボーイ、スパッドの3人は2キロのヘロインを抱えてロンドンへ行き、1万6千ポンドで売る。
その晩、レントンは儲けの入った鞄を持ち逃げする。翌朝、ベグビーが激怒して暴れ出し、警察に逮捕される。
レントンはスパッドにだけは4000ドルの分け前が渡るように手配していた。彼はこれから、普通の生活をして
ゆくつもりだ。(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:93%>







by jazzyoba0083 | 2017-07-12 16:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ティエリー・トグルドーの憂鬱 La loi du marché 」
2015 フランス  Nord-Ouest Films and more.91min.
監督:ステファヌ・ブリゼ
出演:ヴァンサン・ランドン、カトリーヌ・ドゥ・ミルベック、マチュー・シャレール他
e0040938_12192449.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

フランス労働界の底辺に近い人達の暮らしをドキュメントしたような作品。
現代社会を告発(とまではいってないかな)すると共に、観る人に問いかけて
くる主人公の心の動き。主人公ヴァンサン・ランドンの演技が素晴らしい。

終始アップで画角の美しさを排除したような手持ちのカメラでの長回し。
セリフを覚えるのも大変だったのだろうな。
クレーンとかの重機の訓練を受けても就職先は経験者しか採用しないと
職業訓練サポートセンターみたいなところで係員とやりあう長いシーンから
始まる。家には脳性麻痺の息子と妻。何とか食わしていかなくてはならないし
息子は専門校への進学を希望している。何にしてもカネがかかる。

そうやってやっと手に入れたのがスーパーの万引き監視員。多くのカメラを
モニターしながら、万引きを摘発する。そのうち、働き者の中年女性が
クーポン券を自分のために不正取得したことが映像から判明し、詰問された
彼女は職場で自殺してしまう。さらに、黒人のレジ係は客のポイントを不正
取得する。そうした仲間の不正も摘発しなくてはならないのだ。なぜ彼女らは
悪い人間ではないのにそんなことをしなくてはならないか、無言のメッセージが
伝わる。

次第に主人公ティエリー・トグルドーは仲間を疑ったり、また客を疑うのに
嫌気がさし、会社の従業員に対する扱いにも絶望し、職場から制服を脱いで、
去って行ってしまう。そこで映画は終わる。

ティエリー・トグルドーという中年男性のある暮らしの断面から、現在フランスの
おかれた格差社会、やりきれない庶民の(特に障害のある子どもをもった家庭)
「憂鬱」をただただひたすら描く。頑固で自分の信念は貫くタイプの人間の生き辛さ
みたいなものも感じられる。妻との踊りのレッスンシーンは何を言いたかったのだ
ろうか。トレーラーハウスの売り買いのシーンのリアリティの表現も面白かった。
役者は演技をしているというより、ドキュメントの映像を見せられている
ような自然な演技でリアリティ感は強い。

見終わって希望が湧くタイプの映画ではない。むしろ「憂鬱」が伝染するような
作品だ。監督が90分という時間で社会問題を画面を通してぶっつけて来た、
そんな気分になった作品だった。
e0040938_12193656.jpg
<ストーリー>

ヴァンサン・ランドンが社会の厳しさの中で板挟みになる中年男を演じ、
第68回カンヌ国際映画祭主演男優賞を獲得した人間ドラマ。
失業したティエリーは苦労の末にスーパーの警備員として再就職。不正を告発
した従業員が自殺し、会社の厳しい姿勢に疑問を抱く。
ステファヌ・ブリゼ監督とヴァンサン・ランドンが「母の身終い」以来の
タッグを組んでおり、ブリゼ監督もキリスト教徒の審査員が選ぶ同映画祭
エキュメニカル審査員賞を受賞した。
大衆よりも玄人に受けが良いのはRotten Tomatoesが示すとおり。


エンジニアとして働いてきた中年のティエリーは、集団解雇の対象となって
しまう。ストライキを起こしてでも闘うと息まいていたものの、やはり会社を
辞めることに。しかし頑固な性格も災いし、面接はうまくいかず、職業訓練の
場では若い人から頑ななところを指摘される。
厳しい状況下にある彼にとって、妻や障がいを持つ息子の存在が唯一の救い
だった。エンジニア職の希望はかなえられなかったが、ようやくスーパーの
警備員の働き口を見つけられたティエリー。
それは、客だけでなく従業員にまで監視の目を向けるもので、不正を見つけ
次第告発しなければならなかった。ある日、告発された従業員が自殺。
ティエリーは会社側の厳しい対応に疑問を覚えるが……。(Movei Walker)

<IMDB=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:91% Audience Score:60%>







by jazzyoba0083 | 2017-07-01 22:50 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

テッド2 Ted 2

●「テッド2 Ted 2」
2015 アメリカ Universal Pictures and more.116min.
監督・脚本:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、アマンダ・サイフリッド、ジョヴァンニ・リビシ
   モーガン・フリーマン、セス・マクファーレン(テッドの声)他
e0040938_14330988.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

面白く観た「テッド」の続編。過激なシモネタ、ハッパ、乱発で、当然の
ことながらR15+指定。誰かとは観られないタイプの作品で、アメリカで
ないと作れない映画だろう。

むしろ過激なシモネタや相手をバカにしているのかおちょくっているのか
すれすれの会話、テレビドラマなどのパロディといった品性の無さを楽しむ
映画。そもそもがありえない世界なのだから、ありえないように観るのが
マナーというもので、出ているキャストらが楽しんじゃっているんじゃないの、
という雰囲気。おそらくセリフもアドリブが相当飛び交っていたんじゃないか
なあ。使われているかどうかは別として。
例によって、リーアム・ニーソンやジェイ・レノがいじられ役として登場、
また実在の人物を、そこまで言って大丈夫?くらいの過激なセリフも飛び交う。
アマンダ自身もその目の大きさをからゴラム(「ロード・オブ・ザ・リング」)
と言われているし。私はわからなかったが、アメリカではヒットしている
TVシリーズや映画のパロディが盛んにつかわれいたと思われ、アメリカの
劇場ではゲラゲラ声が止まらなかったんじゃないかな。
「スゥィートキャロライン」を歌って、本物のテッドを見つけ出すシーンは
大リーグ好きなら笑えるところだ。(特にボストン・レッドソックスファン)
日本語訳が難しかったと思うけど、良く訳してあったと思う。

今回は、テッドの結婚シーンから始まるのだが、テッドが人間と認められず
「プロパティ」(物)であると、養子を取ることが出来ないことが判明すると
それを覆す裁判を起す。担当する弁護士が新米のまだ法廷に出たこともない
サマンサ(アマンダ)だった。で、当然のように負ける。ジョン(マーク)、
サマンサとテッドは、NYの伝説の弁護士パトリック(モーガン)に会いに
行く。しかし、あっさりと断られるのだが・・・。

ハリウッド製お下劣系お笑いや、その手の「粋」な会話が楽しめる人には
楽しい時間だろう。日本人にはいささかやりすぎなところで辟易として
しまう人もいるかもしれない。しかし地上波では絶対に観ることは出来ない
ので、密やかに楽しめる映画でもある。
e0040938_14333963.jpg
<ストーリー>
冴えない中年男ジョン(マーク・ウォールバーグ)と恋人の結婚から数年。
中年テディベアのテッドと親友のジョンは、ボストンで相変わらず平凡な
毎日を送っていた。しかし、ひとつだけ大きな変化があった。テッドが
バイト先のスーパーで知り合ったタミ・リンと結婚していたのだ。
お互いスーパーのバイト勤務のため貧しい生活を送るテッド夫妻は、
ある日些細なことで大ゲンカとなり、早くも新婚生活は暗礁に乗り上げる。
テッドは危機を乗り越えるために、子供を持ち、父親になることを決断する。

しかし、州政府より「テッドは人間ではなく“モノ”である」と通達され、
子供を持つことはおろか、タミ・リンとの結婚さえも無効と判断される。
希望が打ち砕かれたテッドは、さらにスーパーのバイトまでクビになって
しまい途方に暮れる。

一方、親友をモノ扱いされて怒り心頭のジョンは、州政府を相手に
テッドの人権を勝ち取るための訴訟を起こす。若くて美人の新米弁護士
サマンサ(アマンダ・サイフリッド)を弁護士として雇い、裁判所に
乗り込むが、はたしてテッドは人権を認められ、愛する女性の夫となり、
父親になることはできるのか?(Movie Walker)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:46% Audience Score:50%>




by jazzyoba0083 | 2017-06-22 23:20 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)