カテゴリ:洋画=た行( 229 )

●「次は、心臓を狙う。 La prochaine fois je viserai le coeur」
2014 フランス Sunrise Films, and more.112min.[
監督・脚本:セドリック・アンジェ
出演:ギョーム・カネ、アナ・ジラルド、ジャ=イヴ・ベルトルート、パトリック・アザン、アルノー・アンリエ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
なんとも物騒なタイトルだが、原題のまま。殺人犯の心境の一端を示すセリフを
そのままタイトルにした。狂気の一コマが現れたもので、生々しいが味がある。
日本では劇場未公開で、WOWOWのジャパン・プレミアにて鑑賞した。

フランスで実際に起きた事件をベースに脚色したもので、実録ものにありがちでは
あるが全体に抑揚に欠けるものの、ある意味全編ピークのまま突っ走る、という
感じがしなくもない。画面は暗く、常に湿り気がある。雨であったり、濡れた車道で
あったり、雨上がり風の森林であったり、水たまり、池、シャワー、氷風呂、などなど、
水っ気が全体のトーンとして貫かれる。もちろん殺される人間の血しぶきも重要な
ファクターとなる。
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ラッタッタ風の原付きバイクに乗って夜遊びに出た二人の若い女性が、犯人の乗る
クルマに次々と跳ねられるシーンから作品が始まる。タダ事ならぬ雰囲気は宜しい
出足である。

此の犯人は、国家憲兵隊所属の憲兵フランク(ギョーム・カネ)。それは最初から
分かっていて話は進む。此の男、いわゆるサイコパスのシリアル・キラーである。
任務上所持する拳銃を使用して、大学や高校の下校途中ヒッチハイクで帰宅しようと
する女性を助手席に乗せ、しばらくすると銃撃して殺し、側道に落とし、盗んだ
クルマは指紋を拭いて逃走する、という事件を繰り返す。

もちろん世間は大騒ぎで、司法警察だけではなく、憲兵隊も捜査に乗り出す。
持ちまわる似顔絵は自分なのが笑える。彼は事件を起こすと自分の心境を書いた
手紙を警察に出したりする。彼は時々目の前がミミズの大群だったりもする。
いわゆる「◯チガイ」なのだな。こうなると殺人の病理とか、何が彼をして殺しに
走らせるか、という意味は無い。ただただ殺人を繰り返すサイコパス。
彼は一応殺して後、後悔らしき衝動は起きるのだが、殺したい、という情動を
抑えることが出来ない。

司法警察は、手紙の中で使われる語句から憲兵隊が怪しいと睨み、隊員の
勤務状況を提出してほしいというが、隊長が断る。沽券に関わるのだ。

彼には付き合っているソフィーという女性がいる。彼女は結婚しているのだが、
ダンナはこれまた精神的に逝かれてしまったヤツで、離婚を考えつつ犯人と
付き合っている。勿論自分の彼氏がシリアル・キラーであることは知らないし、
観ている側には、彼女もいつか殺されるのでは?と思わせるシーンも有る。が、
彼女とは絶望的な別れ方はするが、殺しはしなかった。

警察もバカではないし、フランクの殺しも次第に粗くなり、ついに綺麗な指紋が
車から出た。結局フランクは憲兵隊の自分が属していた隊により逮捕拘束される。
自室の家宅捜索でたくさんの猟銃やナンバープレートを付け替えた時の証拠とか
出てくるが否定するフランク。こいつホントに逝っちゃっているんだな、と思わせる。
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最後に字幕でフランクは責任能力無し、として精神病院に送られた、と出るが、
殺された若い女性は納得しまい。

フランクを理解することは不能であったが、映画全体として「こんな事件があったんだ」と
いう感慨はある。それ以上でもそれ以下でもない。全編叙情的なタッチで、これはある種の
味わいを出してはいるが・・・。

この映画のデータはこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-02-03 22:45 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「トランスポーター・イグニッション The Transporter Refueled」
2015 フランス EuropaCorp and more.96min.
監督:カミーユ・ドゥラマーレ (共同)製作、脚本:リュック・ベッソン
出演:エド・スクレイン、レイ・スティーヴンソン、ロアン・シャバノル、ガブルエラ・ライト他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
ホノルルからの帰りの機内での鑑賞。できれば「オデッセイ」とか観たい作品もあった
のだけれど、何故か吹き替えの上に字幕。画面は小さいし、これはシネコンに行かないと
バチが当たると思い、気楽に見飛ばせるものとして選んだ本作。途中で寝落ちすること
3回。こんなに短い作品なのに。

トランスポーターという映画、ジェイソン・ステイサムの出世作らしいが、これまで観る機会が
無かった。というか積極的に観たいとも思わなかった。今回、事情があっての鑑賞だったが
評価にもある通り、ベッソンが共同で本を書いたとはいえ、つまらない映画であった。
Audiファンである私としてはS8が活躍する光景は面白い部分もあったけど、こういう
アクションもストーリーの面白さがあればこそ、である。 ジェイソン・ステイサム版を観ずして
トランスポーターを語るなかれ、というファンも多いかもしれない。一度は観ておくべきかも
しれない。

つまらなさの第一は主人公が危機を乗り越えるところがあまりにもご都合主義であること。
もう、すっかり安心して観ていられるという・・・。Audiも門扉を破っても傷ついてないし。
ラスト、盗んだお金を、仲間の口座に振り込むというシーンは既視感ありあり・・・。
主人公、クールな雰囲気を出し過ぎじゃないか。オヤジさんのほうが人間味があって
いい。女性陣もとりたてていうほどの演技でもないし。まあ暇つぶしの1時間半であった。
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<ストーリー>
プロの運び屋フランク・マーティン(エド・スクレイン)のもとに、妖艶な美女アンナから依頼が
入る。時間通りにフランクが到着すると、3人の美女が彼の愛車アウディS8に乗り込んだ。
そして銃を突き付けられ、人質に取られ猛毒がまわり命の期限が 12 時間に迫った父親の
映像を目にする。
ルールを侵され怒るフランクだが、アンナたちはフランクの特殊部隊時代のライバルだった
カラソフ率いる巨大売春カルテルに命を狙われていた。
流儀や使命、命が脅かされている父の間で揺らぎながら、愛車を駆るフランク。そんな彼に、
裏切りが待ち受ける……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-01-19 14:10 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「ドクトル・ジバゴ Doctor Zhivago」
1965 アメリカ・イタリア Metro - Goldwyn - Mayer,Carlo Ponti Production.197min.
監督:デヴィッド・リーン
出演:オマー・シャリフ、ジュリー・クリスティ、トム・コートネイ、アレック・ギネス、ジュラルディン・チャプリン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
歴史的文芸ドラマがあまり得意でなく、「そうは言ってもこの映画くらいは」と、この
超有名な映画を2016年の鑑賞一作目に選んでみた。今では作れない(作らないだろう)
長い大作だ。
個人的にはイージーリスニングにハマっていた高校生の頃、ポール・モーリアや
101ストリングスなどが演奏する「ラーラのテーマ」がとても印象に残っている。
モーリス・ジャールの作品で、この年のオスカー作曲賞に輝いている。この人、今で
いえばハンス・ジマーやジョン・ウィリアムズばりの多作で、しかもレベルが高く、「アラビアの
ロレンス」などで3回もオスカーを獲っているだな。

そういうわけでテーマ音楽から入ったものの映画そのものは今回まで観ずに来てしまった。
原作が革命ソビエトから睨まれたのも分かるような、革命の人間性を否定したかのような描き
っぷりは、雄大な自然も美しいロケ地にソ連が許可をだすはずもなくスペイン、フィンランド、
カナダで撮影されたものだそうだ。監督デヴィッド・リーンは言わずと知れた文芸大作監督で、
「アラビアのロレンス」「戦場にかける橋」などでオスカーの常連となっている。受賞作品の
音楽は3作ともモーリス・ジャールである。オマー・シャリフとも縁が深い。

原作は未読であるが、ジバゴの生涯というよりロシア革命という「人間性が弄ばれる時代」を
背景にしてラーラの生涯を描いていると言える作りだ。
このラーラを演じたジュリー・クリスティは今も現役の女優さん。デビュー間もない本作で
主役級を任されたのだからよほどリーン監督に見込まれたのだろう。ハリウッド女優とは
違うどこか陰のある美人で、本作でも17歳から初老までを演じる。(あまり若くも老けても見えない
けど) オマー・シャリフはどうしても「アラビアのローレンス」の族長のイメージが強く、中東の
感じを受けてしまうのだが、それも映画が進むにつれて忘れていく。

さて、本作は帝政ロシアからロシア革命を過ぎるまでのロシアにあって、医者で詩人のジバゴと
ラーラという女性の数奇な運命、歴史の中で揉まれていく二人の愛情を描く一大叙事詩とも
いえる作品で、雪景色を中心として描かれるロシア(ではないけど)の風景も美しい。これが
テーマ曲と相まって作品の叙情性も持ち上げていく。 詩人としてかなり有名であるように
描かれるが、どんな詩を書いたのかは明らかにされない。ただし、反革命的な、人間味が濃い
作品であろうことは分かるが。
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映画は後日談から始まる。ジバゴの義兄エフグラフ(ソ連軍の将軍)が、ラーラとジバゴの
娘をダムの労働者の中から探すという光景。一人の若い女性を前に、ラーラとジバゴの話を
始める。

ジバゴとラーラの出会いは、ラーラの母(ジバゴの亡父の共同経営者で財産を殆ど持って
行ってしまったブルジョワジー、コマロフスキーの愛人であり、母は最近彼の気持ちが娘の
ラーラに行ってしまったのではないか、と悩み自殺に及んだ)の自殺未遂の現場に医者の
助手と訪れた時であり、次は、このコマロフスキーを射殺しようとしに来たクリスマスパーティー
の会場であり、(この時は後に結婚する若き革命家パーシャが彼女を救い出したが)、
後、第一次世界大戦の野戦病院で、志願看護師として働くラーラと医師のジバゴがまたまた
出会い、恋に落ちる。ジバゴは結婚して子供もいる。ラーラもパーシャと結婚しているという
ダブル不倫だったわけだ。そこで別れる。戦争は終わったが革命が置き、赤衛軍に追われ
生まれ育った故郷に移動、しかし、幸せは続かず、ジバゴはパルチザンに捕まり、その間に
一家は追放されてしまう。家に戻ったジバゴはその事実を知るが、ラーラとはまたまた出会う
運命に。ラーラの子供と3人で、雪原の小屋に移動、そこに三度コマロフスキーが登場し、
自分を頼ってくれれば極東経由で逃げられると言われるが断る。が、ラーラと子供は
コマロフスキーと去っていった。ラーラの体にはジバゴの子供が宿っていた。

そして数年後、モスクワで街を歩くラーラの姿を市内電車の中から見つけるジバゴ。慌てて
下車し、後を追うが、持病の心臓病発作で急死してしまう。著名だったジバゴの葬儀にラーラも
やって来た。ジバゴの義兄エフグラフ(ソ連軍将軍)と会って庇護を受けるようになり義兄もラーラを
愛するようになるが、やがてラーラは強制収容所に送られ(自殺した夫の罪に連座させられた)
その後は行方不明になってしまったのだ。

そしてラストシーン。また冒頭のシーンに戻り、その娘はラーラとジバゴの娘らしいと分った。
彼女の背中にはバラライカが。これはジバゴが子供の頃、母の形見として貰ったがその後
自分は弾くことはなかったものの大切にしていた楽器だった。そのものではないが、義兄は
ラーラがバラライカの名人だったと知っていて、血は争えないと、彼女がラーラの娘である事を
確信するのであった。
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分かりやすい人物配置と長い割には分かりやすいストーリー。歴史の荒波に翻弄される
ジバゴとラーラの人生が大自然をバックに迫ってくる。どなたかも指摘されているように
自由な詩人ジバゴ、愛に生きるラーラ、革命を通じて冷血人間と化すラーラの夫パーシャ、
ブルジョワジー、コマロフスキー、それぞれが、革命時ロシアの自由、革命、恋愛、世俗の
メタファーであるということなのだろう。二度目の鑑賞があるか、といえばおそらくは無いだろうが、
一度は見ておくべき映画史の佳作であることは確かであろう。
なかんづく、プロダクションデザインが見事である。

この作品の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-01-04 22:50 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「タイムシャッフル Time Lapse」
2014 アメリカ Royal Pictures,Uncooperative Pictures,Veritas Productions.104.
監督・(共同)脚本:ブラッドリー・キング
出演:ダニエル・パナベイカー、マット・オリアリー、ジョージ・フィン、ジョン・リス=デイヴィス他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
時間旅行やタイムパラドクス、パラレルワールドものは好んでみるのだが、それでなくても
ややこしい筋となりがちなので、上手いこと整理して楽しく見られるようにしてもらいたいと
願わずにはいられない。

本作は、まるで舞台劇を見るがごとく、舞台の変化も少なく、登場人物も少ない。
低予算でアイデア勝負の映画なのだろう。「未来が映るカメラ」、これが本作のキーポイント。
ただ、思うほど単純な仕掛けではなく、また3人の主人公の若者たちの思惑も絡み、
私みたいなアホは隔靴掻痒の感想となってしまったのだ。映画ブロガーの中には本作を
絶賛する方も見えるが、そこまで深く解読するまでには私は至らなかった。みなさん
凄いなあ!!rottentomatosの評価も結構高い。でも日本では劇場では公開されて
いないんだな。こは如何に? 
私みたいに表層的にサラリと分かるような仕掛けでないと面白くないタイプの客はダメ
なんだろう。一方、こうした仕掛けを深掘りして読み解くことに面白さを見出すタイプの人は
面白いのだろう。「え?そんなに小難しい映画か?」と凡人を不思議に思う方もいらっしゃるだろう
けれど、凡人はそんなもんなんです。

大体の流れは分かりますよ、アパートの管理人を仕事にしながら共同生活する3人の
若者。画家志望のフィン、彼の恋人キャリー、そしてドッグレースにハマって結構やばい
生活をしているジャスパー。 ある部屋に住んでいるジイさんが最近姿を見せない。
気になったキャリーは家に入ってみる。そこには黒焦げになったジイさんの死体と
壁一面に貼られたポラロイド、そして見慣れぬ大きなカメラのような機械が自分たちが暮らす
部屋にレンズを向けて据えられていた。

ここでのキャリーの行動がこんがらがる要素その1。壁にあった不都合な写真を抜き取った
んだよね。壁にあった写真は未来の3人の姿を写したものと、その結果を写したものが
シンクロしているかどうか並べて貼ってあった(と思う)。そこには後でその話が出てくるが
キャリーがジャスパーと浮気している光景もあったので、キャリーは剥がしたわけ。
キャリーはジイさんの家に入ってそこの機械が自分たちの未来の写真を吐き出す装置で
あることを咄嗟に理解し、咄嗟に不都合な写真を回収してしまったの??

で、3人は未来のことが分かる装置の登場に狂喜。特にドッグレースをやっていたジャスパーは
翌日の20時の自分たちの窓辺が映しだされた写真が出てくる仕掛けになっている
わけで、当り番号をカメラに映させ、それと同じ結果が未来に生じることで大金を稼ぐようになってきた。
(意味がよく分かってない・・・orz)
3人は未来を写した自分たちの光景と同じようにしないと、ジイさんのように黒焦げになって
死んでしまうと信じていたのだ。でも、実際ジイさんの死因はそうではなく、なんかの薬品を
浴びたことだったのだけれど。

金を巡り次第に3人の仲がギクシャクしてくる。ジャスパーの賭けの胴元も登場したり、
博士の同僚と思しき女博士が出来てジャスパーに殺されたり、ジャズパーは胴元も用心棒も
殺してしまい、しまいにゃジャスパーとフィンが争いとなり、キャリーは水晶球でジャスパーを
殴り殺す。更に、恋人なのにキャリーはフィンを背後から銃で殺しちゃうのだな。もう何だか
わかりません!! どうやら写真は朝の8時と夜の8時に出てきて、それをキャリーのみ知って
いてこれを利用していろいろと悪さをしたらしんだけど、恋人を殺してどうしようというわけ??
二度見れば分かるのかなあ・・・。
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<ストーリー>
24時間後を映し出すカメラを手にした3人が、それぞれ理想の未来を手に入れようと
駆け引きを繰り広げる。巧みな脚本と登場人物たちの心理戦が見もののSFスリラー。

リメイク版「13日の金曜日」、TVドラマ「THE FLASH/フラッシュ」などで注目の
女優、D・パナベイカーが主演するシチュエーションSFスリラー。
パナベイカー扮するヒロインとその恋人である画家の青年、そしてドッグレースに目が
ない友人の男。登場人物はほぼこの3人、舞台も彼らの部屋と巨大なタイムカメラのある
部屋の2つと、低予算の制約を逆手にとって、3人の思惑が交錯する心理戦を描いてみせた。
監督・脚本は本作が初の長編という新鋭B・キング。再度見たくなる伏線やトリックに注目だ。
(WOWOW)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-12-21 23:10 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「天才スピヴェット The Young and Prodigious T.S. Spivet」
2013 フランス・カナダ Epithète Films,Tapioca Films.105min.
監督・(共同)脚本:ジャン=ピエール・ジュネ 
原作: ライフ・ラーセン 『T・S・スピヴェット君 傑作集』(早川書房刊)
出演:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム=カーター、ジュディ・デイヴィス、カラム・キース・レニー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
「アメリ」のジュネ監督のファンタジーである。子供が主役の冒険ものだが心暖まる一品と
なっている。3D映画として作られたのでそれを意識した映像が沢山出てくるので3Dで
ちゃんと見たらもっと楽しかっただろう。

これがデビューとなる主人公T・Sを演じるキャトレット君が、実に素直な演技で感心した。
笑わせてくれる所もあるし。原作が持っているのだろう、暖かさが映像美とともに映画に
現れていた。少年を取り囲む家族を始めとした大人たちも、スミソニアンのオバサンたち、
長距離貨物列車の下車駅で知り合った「雀と松の木」のお話をしてくれたジイさん、
長距離トラックの運転手、少年を追いかけ回す警察官、そしてテレビ局の司会者などなど
少年に寄り添ったり、時に利用しようと試みたり、大人の不純な考えも、頭が良くて
おしゃまで、純真無垢な少年の前では手も足も出ないのだ。このあたり「ホーム・アローン」
に似たタッチかもしれない。天才なのに才能をヒケラカサない所に大人は心地よいのだろう。

映画を観ていて、自分がどのくらい天才なのか気がついてない少年を応援したくなるのは
誰にも共通する気分だろう。そして最後は家族が絆を確かめて終わっていくという。
舞台はアメリカなのだが、製作はフランスとカナダだ。でもとてもアメリカ受けする作品だと思う。 
共演者がいささか地味だったので日本ではあまり話題にならなかったと記憶しているが、
少年の父母などにもう少しビッグネームが並んでいたら、きっと話題になったに違いない。

10歳の少年の自分再発見の旅であり、また家族再生の話でもある。少年の発明品の
下りが説明不足なのがやや難点か。でもイラストやアニメも使った映像の組み立てはとても
魅力的だった。
少年の故郷モンタナからシカゴを経てワシントンDCまでの旅の景色も美しい。
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<ストーリー>
奇才ジャン=ピエール・ジュネ監督が、双子の弟の死を乗り越えようとする10歳の
天才科学者の少年の姿を描くユニークなロードムービー。
本作が長編映画デビューとなった新鋭カイル・キャトレットが主人公スピヴェットを熱演。
母親役のヘレナ・ボナム=カーターをはじめ、個性派キャストが脇を固める。

アメリカ北西部のモンタナで牧場を営む父(カラム・キース・レニー)と昆虫博士の母
(ヘレナ・ボナム=カーター)、アイドルを夢見る姉(ニーアム・ウィルソン)に囲まれ暮らす
スピヴェット(カイル・キャトレット)は、10歳にして天才科学者だが、なかなか家族からは
理解されずにいるのが悩みの種だった。

双子の弟が死んで以来家族それぞれの心にぽっかり穴があいてしまっていた。
ある日、アメリカを代表する研究機関であるスミソニアン学術協会から、スピヴェットが
最も優れた発明に贈られるベアード賞を獲得したという連絡が入る。
認められることの嬉しさを噛みしめながら、スピヴェットは東部にあるワシントンDCで
開かれる授賞式に向かうため家出を決意。大陸横断の冒険の中で、スピヴェットは様々な
人と出会いながら本当に大切なものに気付いていく。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-12-16 23:15 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「チャーリー・モルデカイ Mortdecai」
2014 アメリカ OddLot Entertainment and more.107min.
監督:デヴィッド・コープ  
原作: キリル・ボンフィリオリ 『チャーリー・モルデカイ(1) 英国紳士の名画大作戦』(角川書店刊)
出演:ジョニー・デップ、グィネス・パルトロウ、ユアン・マクレガー、オリヴィア・マン、ポール・ベタニー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<「感想>
今年の2月、劇場に観に行こうとチケットまで買っておいたのにインフルに罹ってしまい
いけなかったといういわくつきの作品。結論として、劇場まで観に行く価値があったかどうか
悩ましい作品だ。

ジョニデもパルトロウもユアンも好きな俳優さんだし、作中ポール・ベタニー演じる、用心棒兼
召使のジョックの存在の面白さなど、いささかお下品なところも多々あれど、面白くなる要素は
たくさんあったのだけど個人的には登場人物が沢山過ぎ(プロットを欲張り過ぎた)この手の
コメディーとしては話が複雑になり、せっかくの笑いの要素が削げてしまっていたことだ。
原作があるのでしかたがないことかもしれないが、必死に筋を追いかけている頭脳に笑いを
迫っても腹から笑えないのである。テンポがあってとても良いのだが、その分ストーリーを
追うのが大変、というジレンマがある。

如何にもイギリスのコメディーという要素で固められている。主人公モルデカイ伯爵は、貴族
だけど税金を800万ポンドも滞納している貧乏貴族。その奥様は超美人(何にもしていない
有閑マダムのように見えたが、探偵の要素はあるようだ)のオックスフォード大学の同窓生。
その大学で奥方に横恋慕していた今はMI5のエージェントであるユアン。今でも奥方が
大好きである。そして、執事兼召使兼超強いボディーガードであるジョック。
この構成は書籍として連続して発刊されているというのも分かる。「シャーロック・ホームズ」
などのチーム編成と骨格は同じだ。

で、この一団が、ナチスに奪われたゴヤの名画の行方を追ってアラブのテロリストも登場して
すったもんだの追跡劇を繰り広げるというのが大筋だ。

登場人物のキャラクターがこの映画に大きな意味を持っている。モルデカイ伯は、妻が
嫌がるのに鼻の下にちょび髭を生やし、詐欺師まがいの美術品取引をしている如何にも
胡散臭い貧乏貴族。行動の節々に彼の、胡散臭さやビビリのキャラが見られる。
ジョニデはこれを好演していたと思う。

美人の奥様パルトロウは、ダンナが嫌いなのかというとそうではなく、大学の同窓生の
ユアンからいくら迫られてもやっぱりダンナがいいのだな。ダンナのほうはもう妻に
メロメロなんだけど。オツムのネジがちょっと緩んでいるダンナを補ってなかなかいい
コンビである。

さらに、ジョックである。どじなダンナに3回くらい銃で誤って撃たれたり、旦那様に
代わって辛い立場を一気に引き受ける。黙々と。しかし、時々切れてベランメーに
なったりする。武術や銃撃は殊の他強く、体は屈強でクルマに轢かれたらいではどうって
事ない。アイロンがけからマーシャルアーツまでなかなか彼も良いキャラであった。

そしてユアン。MI5の切れ者捜査官で、パルトロウのことが忘れられないのだが、
口には出すけどちょっかいは出さない紳士である。切れ者なのか抜けているのか
分からないところがあるのが愛すべきキャラだ。

個人的には「つられゲロ」(モルデカイは人が横でゲロすると必ずツラレてゲロってしまう
という体質)が面白かった。ラストシーンまでやっているのだから・・。

ま、主役3人+ジョックは楽しかった。それにしてもナチに盗まれた画を題材に入れた
映画、今年3本目である。
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<ストーリー>
ジョニー・デップが怪しいちょびヒゲの美術商チャーリー・モルデカイに扮し、何者かに
盗まれたゴヤの名画を取り戻そうと奮闘する姿を描く、アクション・アドベンチャー。
ヒゲアレルギーのチャーリーの妻をグウィネス・パルトロウ、MI5の刑事をユアン・マクレガーが
演じる。原作はキリル・ボンフィリオリの同名ミステリー小説。

イギリス・オックスフォード。ゴヤの幻の名画が何者かに盗まれ、英国諜報機関MI5は、
ちょびヒゲがトレードマークの怪しい美術商チャーリー・モルデカイ(ジョニー・デップ)に
その捜索を依頼する。
彼は不死身の用心棒ジョック(ポール・ベタニー)とともに名画を探すハメになるが、その
名画には世界を揺るがす財宝の秘密が隠されていた。そんな中、富豪やマフィア、国際
テロリストを巻き込み、イギリス、ロシア、アメリカへと世界中を駆けめぐる争奪戦が勃発。
はたして、幻の名画の行方は……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-12-15 22:55 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「ダウト・ゲーム Reasonable Doubt」
2014 ドイツ・カナダ・アメリカ Grindstone Entertainment Group,Entertainment One.91min.
監督:ピーター・ハウィット
出演:ドミニク・クーパー、サミュエル・L・ジャクソン、グロリア・ルーベン、ライアン・ロビンズ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
1時間半という時間に良くまとめた、と思うし、いわゆるVシネマ的な楽しみ方をすれば
それなりに面白いと思う。思うが、なにせ穴だらけなので、突っ込みどころも満載。
結論を引き出すために伏線を埋めましたよというのが見え見えなんだものねえ。
そんなところを突っ込みながら観るのも面白いかも。おいおい、とか言って。
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主人公はシカゴの辣腕若手検事ミッチ(ドミニク・クーパー)。あまり精悍そうには見えない
ボンボン顔だ。彼には産まれたばかりの女の赤ちゃんと最愛の妻がいて幸せの絶頂だ。
いつものように裁判で勝利し、彼が仲間との飲み会で泥酔。
タクシーで帰ればいいものを乗ってきたクルマが若い奴らにいたずらされそうだったので
、酔っ払い運転で帰宅することになったのだ。

まあ、無事には済まない帰宅路(笑)。案の定、後ろにパトカーが付く。やばし!!と思った
ミッチ君、脇道に入る。パトカーは別件で走っていたのだね。やれやれと思ったのもつかの間
間道に男が飛び出てきて跳ねてしまう。「ファッ◯!」

スピードも出てないクルマにハネられただけにしてはえらい大怪我。冷静に考えればオカシイと
思うはずなのだがなにせ動転しちゃってます。泥酔で運転ししかも人を跳ねてしまったなんて
検事の職を失うこと必定。で、ミッチ君、ケイタイでは足がつくので近くのケイタイから救急車を
呼んで、自分はトンヅラこいてしまいます。その時男は生きていたのだ。

しかし、両親の呵責には苛まれ、普通の生活を送れなくなってしまった。当然です。翌朝、
ミッチ君が跳ねた男(アッカーマンという)が死体で発見されたというニュースが流れる。
裁判では、近くの自動車修理工で、彼のクルマからハネた男の傷と一致する工具を持っていた
クリントン・デイヴィス(サミュエル)という黒人が逮捕されます。彼は数年前、見知らぬ男に
強盗に入られ、妻子を殺された上自分も大怪我を負ったという過去を持っていました。
(怪しいですねえ) 死んだアッカーマンは性犯罪で有罪となり仮釈放中の身の上でした。

一方裁判では言語学者が公衆電話からの音声は「白人、30代」と証言。これはクリントン君に
は有利。しかもシカゴ警察の女刑事さんたら、ミッチの声を電話で録音し、分析。どうやら
ミッチ君が怪しいんじゃないかと睨んでいます。自分が検察の担当なので、自分に疑いが
掛からないように裁判を進行させるミッチ君。ハラハラであります。
裁判はあっという展開を見せます。なんと、ミッチが跳ねた男は、赤い車にハネられた、電話は
自分がした、という白人の登場。(え、何、911に電話した男が二人いたっつーこと?)

晴れてクリントン君は釈放されます。さてアッカーマンを跳ねた赤い車とは?(それは追求
されません) ミッチ君、自分がアッカーマンをハネた現場に行ってみます。するってーと、
裁判所前でクリントン君が吸っていたタバコの吸殻が落ちていたのですな。
う~む。クリントン君、なにかあるな!

一方、シカゴ警察は、アッカーマンと同じような傷跡(車の整備道具のようなもので殴られた)
がある死体が発見され、これは同一犯人の連続殺人ではないか、と疑い始めます。
3体目の遺体が見つかったところでミッチ君、殺された男の共通点に「仮釈放者」という
キーワードを発見します。

ミッチ君、いろいろと調べていくと、クリントン君なる人物は、過去の悲劇を逆恨みする
サイコキラーであることが分かってきたです。クリントン君は犯罪の仮釈放者の支援グループ
に潜り込み、支援している風を装って、目ぼしい男を見つけては拉致して拷問して殺して
いたのでした!!アッカーマンはあの日、路地で(おそらくホームレス的に生活していたので
しょう)クリントン君にボコボコにされ、路地に逃げ出したところをたまたま通りかかった
ミッチ君に跳ねられたというわけでした。

ミッチ君には、義理の兄貴がいて、薬物中毒で有罪となり最近仮釈放されてきていたの
です。ミッチ君はエリートですからそんな親族がいることがバレるのを恐れます。
しかし、兄貴は「仮釈放者」、クリントン君に上手く接近させ、証拠を握れないかと相談、
兄貴は了解し、クリントン君をつけます。セメント工場に行ったクリントン君に、兄貴ったら
あっけなく頭を殴られて縛られ拷問を受けてしまいます。

一方、兄貴がクリントン君を引きつけている間、ミッチ君たら令状なしでクリントン君の
家に侵入。彼が仮釈放者のIDを集めている証拠を手に入れます。しかしその時、
セメント工場にいた兄貴との電話中、何か起きた動きが。急いでセメント工場に走って
行きます。(クルマで行けよな。IDを持ちださなくちゃダメでしょ)
そこで瀕死の兄貴を助け、警察に連絡します。しかし、ミッチ君たら、容疑者として逮捕
されちゃいます。担当はあのシカゴ警察の女刑事。

「なんで兄貴を殺さなくてはならないの? なんで自分で警察に電話する?」と言っても
女刑事、例の公衆電話の音声を聞かせ、あなたでしょ?と。ミッチ君あっさりゲロして
しまいます。クリントン君こそ怪しい。また殺人が起きると説明しても信用してもらえません。
「弁護士が来るまではなんも喋らん」と宣言したミッチ君、そこへ警官が、仲間の検事から
電話だと言って、黒電話を持ってくる。果たしで電話口に出たのはクリントン君だった。
「きみが捕らえられているのに同じような事件が起きればきみは犯人ではないという
Reasonable Doubtが発生するわなあ。そのことが身にしみて分かる方法があるんよ」
ミッチ君、当然、母子が殺されているクリントン君が狙うのは自分の妻と子だと気がつく
わけです。そこで警官を電話でぶん殴って鍵を奪い、警察車両を奪って自宅を目指します。
(やるなあ)

そのころミッチ君の自宅には同僚警官を名乗るクリントン君が訪問してきた。ナイフを
用意している。急ぐミッチ君、ああ、親子はシリアルキラーの餌食となるのか!とその時、
ミッチ君が間に合います。警官から奪った銃を構えますが、妻の喉元にはナイフが。
「銃を捨てろ」と。当然捨てなくてはならないミッチ君。クリントン君に「オマエは男として
勇気がないのだ」とかサイコキラーを怒らせるようなことを言っちゃいます。

「おーおー、そうかよ。オマエなら妻子が危険に及んだ時は自ら殺せというのだな、
ならばこうしてやろう」と、クリントン君に至近距離から撃たれてしまいます。そして毒牙は
妻に!銃で撃たれて痛い痛いしているミッチ君を横目に、妻子が殺されることはどういう
ことか思い知るがいい。だが、オマエには銃を与えよう」と足元の銃を倒れているミッチ君に
蹴って渡します。しかし痛い痛いのミッチ君、銃など構えるチカラが残ってません。
危ない!妻娘!! とその時銃声が轟き、クリントン君が吹き飛びます。玄関には、
警察にかかってきた検事からの電話が偽物であったことからミッチ君の自宅に急行した
例の女刑事の放った一発だったのでした。めでたし。

さて数日後。傷も癒えたミッチ君の家にこれも傷が癒えた兄貴が訪問します。悪だった
兄貴もすっかり心を入れ替えて、自分の姪に目を細めるのでした・・・。
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ストーリー全部書いちゃいましたね。「こいつ、バカか」と突っ込みたくなるシーンが
ミッチ君ならずともあるのですが、それはそれとして期待しないで見れば楽しめる映画でしたよ。
90分だし。
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by jazzyoba0083 | 2015-12-10 22:30 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「デビルズ・ノット Devil's Knot」
2013 アメリカ Worldview Entertainment.114min.
監督:アトム・エゴヤン 原作:マーラ・エヴェリット『デビルズ・ノット』
出演:コリン・ファース、リース・ウィザースプーン、デイン・デハーン、ブルース・グリーンウッド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
個人的には初めて知ったことなのだが、アメリカでは相当有名な猟奇少年殺人事件だという。
今回見終えて、改めて、「ウェストメンフィス3」(逮捕された少年たちを指す)の事をネットで
調べてみたのだが、ドキュメンタリー映画も複数製作され、また日本のテレビの実録ものでも
取り上げられていた。ことほど有名な事件。しかも真相はまだ藪の中だ。

この事件の最大の汚点は、事件の猟奇性ではなく、「真犯人」が仕立てられていく過程の
ずさんさ、いい加減さ、適当さ、そして偏見である。警察、検察、司法、周りの人々それぞれが、だ。
アーカンソー州というのはどんだけダメなところなの?という予見を持ってしまうほどだ。

コリン・ファース、リース・ウィザースプーンという実力派ビッグネームが出ているにも関わらず、
実力を発揮出来ず、起きた事件とその後のアホな捜査、裁判のインパクトのデカさに押しつぶされ、
キャラクターを発揮できずに終わった。

一応犯人が捕まり、彼らは服役したが、彼らは拘留後18年、有罪は認める、アーカンソー州を
悪く言わないなどの条件で司法取引し執行猶予10年で2011年に釈放された。
しかし彼らが私がやりましたと言って秘密の暴露をしたわけでも物証が出たわけでもない。
逆に、彼らが刑務所にいる間に、殺された3人の少年のうちの二人の継父に彼らが犯人では
ないかと思わせる極めて有力な物証が出て、彼らの冤罪はますます濃くなっったといえるのだ。
それでも事態は動かないんだから、恐ろしい。

ずさんな警察の捜査、思い込みの検察、やる気のない裁判官。犯人とされた3人は真犯人では
ないとは言えないけど、あれだけ不完全な捜査裁判の中で「犯人に仕立てられた」としか
いいようがあるまい。本作も、調査員のコリン・ファースは終始逮捕された少年らの無罪を
信じている。そしてリース・ウィザースプーン演じる殺された子供の一人の母親は、ラストに
コリンに対し、「真実が何なのか分からないの。(殺された子供は祖父からもらったナイフを
肌身離さず持ち歩いていたが、殺された付近からは見つからず、なぜか父=継父の二階の
箱から見つかっている。そのナイフをコリンに渡し、継父が犯人かも、と匂わせる)証言する
少女たちはゲーム感覚だし、警察は証拠を失くすし」と。

起きた事件を丁寧に紡いで、冤罪が起きる過程をきちんと見せていたのは良かったが、
事件の前に配役の大きさは吹き飛んでしまい、キャスティングとしてはいいところ無しだ。
観終わっって実にすっきりしない映画であるが、事件そのものがすっきりしないのだから
仕方がない。アーカンソー州の司直のデタラメと、マスメディアと一般人のモラルパニックに
ついて理解できればそれで良いとしたものだろう。

ちなみにタイトルは犯人が裸の子供らの足を結んでいたヒモに由来する「悪魔の結び目」
のこと。
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<ストーリー>
93年にアメリカの田舎町で起きた少年を狙った猟奇殺人事件“ウエスト・メンフィス3事件”。
発生から20年以上経ったいまも真相が明かされていない未解決事件を、カナダの名匠
アトム・エゴヤン監督が映画化したサスペンス・ミステリー。
コリン・ファース、リース・ウィザースプーンら実力派が多数出演し、物語に説得力を吹き
込んでいる。

1993年初夏、ウェスト・メンフィスで児童の猟奇殺人が発生する。少年たちは靴紐で手足を
縛られ、人間の所業とは思えない暴行の痕を残して殺されていた。
地元住民はパニックに陥り、全米のメディアが小さな田舎町に押し寄せた。犯行当日の夜、
現場近くのレストランに血まみれで現れた黒人男性や、児童らの顔見知りだったアイスクリーム
売りの若者(デイン・デハーン)が捜査線上に浮かび上がるが決め手を欠き、報道が過熱する
なか、警察が犯人と断定し逮捕したのは16歳から18歳の若者3人だった。

未成年者の逮捕に激震が広がるなか、私立探偵のロン・ラックス(コリン・ファース)は事件の
成り行きに不自然さを覚え、独自で調査を開始する。一方、被害者の母親のひとり、パム
(リース・ウィザースプーン)も裁判を通して浮上した様々な矛盾に動揺し、人知れず苦悩
していた……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-12-02 23:40 | 洋画=た行 | Comments(0)

タミー/Tammy

●「タミー/Tammy」
2014 アメリカ Gary Sanchez Productions,New Line Cinema.Warner Bros.(Dist.) 97min.
監督・(共同)脚本:ベン・ファルコーン
出演:メリッサ・マッカーシー、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツ、ダン・エクロイド、トニ・コレット他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
アメリカでは制作費の4倍の興収を記録した映画だ。日本では劇場未公開。如何にも
アメリカ人が好きそうな作りだ。キャティングも上記の他にサンドラ・オーなども出ていて、
豪華だし。だが日本人が見ると、途中からグダグダになってしまったなあ、と思うのでは
ないだろうか。

超おデブ女優のメリッサ・マッカーシー、彼女の最近の作品は殆ど観ているが、日本では
ありえない体型の女優さんだ。京塚昌子くらいしか思い浮かばないな。すごい顔もするが
ちゃんとしていれば結構美人な顔立ちではある。この人、本作では共同プロデューサーで
あり、また監督と共同で脚本も書いている。

出だしはOutfieldの「Your Love」に乗せて軽快に始まる。メリッサ演じるバーガー店店員
タミーは道路に出てきた鹿を跳ねて自動車は大破、店には遅刻、そしてクビ、という悲劇が
重なる。家に帰れば夫は近所の奥さんと浮気中。頭に来たタミーはおばあちゃんのクルマで
町から出ようとするが、おばあちゃん(「サランドン)は、私も行く、と付いて来てしまう。
二人が目指すはナイアガラの滝だ。

こうしてタミーとおばあちゃんの珍道中が始まる。所謂自分探しのロードムービーだ。
途中の音楽酒場で男と出会ったり、そこで働いた狼藉で牢屋に入れられたり、その保釈金を
稼ぐため、勤めていたバーガー店に強盗に入ったり、おばあちゃんの友人(だっけ?)
キャシー・ベイツとサンドラ・オーのレズビアンコンビの大豪邸でのパーティーに参加したり。
そういうプロットにギャグが散りばめられていて、なんていうか、アグレッシブなコメディーだ。
IMDbの評価は5以下だが、個人的には面白かった。ただ単に面白かった。
個人的にツボだったのは、紙袋をしてのバーガー店強盗、そしてその金を返しにいくところ、かな。

映画として自分探しが表現出来ていたかどうかは別として、単純に嫌味なく笑えた。アル中の
ハチャメチャおばあちゃん、スーザン・サランドンが良かったし、愛すべきおデブ、メリッサ・
マッカーシーの魅力が一杯出ていたと思う。さすがはスタンダップコメディ出身だけのことはあると。

男との出会いとか、ナイアガラからエンディングまでなどはイージーな感じもするが、ま、肩の力を
抜いて笑いまくるにはいい映画だと思う。なんでこの映画が制作費の4倍も興収を上げるか、
アメリカ人気質が分かる映画だと思う。
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<ストーリー>
「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」で一躍人気コメディ女優となった
マッカーシーが、「デッドマン・ウォーキング」などの名女優S・サランドンを相手に熱演を
見せるロードコメディ。
公私ともに最悪の目に遭ったヒロインだが、気分転換の旅に出るにも車も金もなく、
やむなくナイアガラの滝が見たいという祖母をスポンサーに現実逃避の旅に出るのだが……。
マッカーシー扮する本来傍若無人なヒロインが、旅の中で奔放さを発揮していく祖母と
立場を逆転して振り回されていく姿がおかしさを誘う。

ハンバーガー店で働く女性タミーは、出勤途中、野生のシカに衝突、車がオシャカになった上、
仕事までクビになってしまう。さらに家に帰ると夫が隣の家の女と浮気中。
これ以上ない最悪の状況に、もはや旅に出るしかないと考えるタミーだが、いかんせん金も
車もない。実家に助けを求めたタミーは、祖母パールから自分をナイアガラの滝まで連れて
行けば車と金を出すと持ち掛けられ、やむなく一緒にドライブ旅行に出かけることに……。
(WOWOW)

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by jazzyoba0083 | 2015-11-26 23:32 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「トゥモロー・ワールド Chlidren of Men」
2006 アメリカ Universal Pictures (presents),Strike Entertainment.109min.
監督・(共同)脚本:アルフォンソ・キュアロン 
原作:P・D・ジェイムズ 『人類の子供たち』/『トゥモロー・ワールド』(早川書房刊)
出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆>
<感想>
モノトーンな雰囲気を持つ画面、イギリスという設定、哲学的な物語、これらを
うまく取り込んだ硬質な映画に仕上がった。これを観た人は等しく口にすると思うが
映像の仕上がりは本当に上手いというかよく出来ている。物語としては、どうかな、と
思える部分も、リアリズムにこだわったドキュメンタリーの様な映像構成に引っ張られ
評価の高い作品となっている。
冒頭から主人公のクライヴ・オーウェンの出てきたばかりのカフェが爆破テロに遭うと
いうところを初めとして、ジュリアン・ムーアがあっけなく射殺されてしまうところ、
同じシークエンスで、追いかけてきたバイクをクルマのドアで弾き飛ばすところ
マイケル・ケインが、オーウェンらを逃がした後に、追手に指とかを銃で飛ばされて射殺
されるところ、黒人の女性が出産するシーンの出てきた赤ちゃんの大きさと体から
あがる湯気、そして圧巻はラスト近くのレンズに血しぶきがかかる長回し映像と、映像から
受ける衝撃に観客はストーリ性を補完・強化されるであろう。
終始ハンディカメラ(ステディカム)による映像もまた、本作が訴えるところを表現するのに
生かされている。

先述の「硬質な未来劇」に良く似合うクライヴ・オーウェンらのキャスティングも良い。
マイケル・ケインや短い間に出てきて殺されてしまう主人公の妻役ジュリアン・ムーアも
ハマっていた。また原因は分からないけど、子供が生まれなくなった世界で、赤ん坊を
出産するのが黒人というのも意味を感じる。

原作があるので、骨子は変えられないところだが、ラスト近くの市街戦での主人公に
弾の当たらなさ加減とか、赤ん坊を抱えて出てきた母親を、敵の兵士も十字を切って
驚愕しながら、まるで神を見るかのように迎える様など、それまでのリアリズムにマイナス
してしまうような展開など、いささか鼻につくシーンもある。
さりとてそうだからといって、それらが本作にとって大きな瑕疵になるほどのものではない。
銃撃戦のさなかのモーゼが海を割るがごとくの赤ん坊を抱いた母子と主人公の脱出
シーン、一旦ちょっとした爆発音が響くと直ちに戦闘に戻る、というところが人間の愚かさを
表出していて寓意的だな、と感じた。

ラストシーン、ボートに乗る母子と救いだした主人公、そこに近づくTommorowと書かれた
大型船。親子の未来に決して全き救われたものはないだろう。いや、それよりも厳しい未来が
待っているのかもしれない。しかし、赤ちゃんが産まれたというのは、世界滅亡を救う
キッカケになることが期待され、観客はそこに未来に対する薄明かりを感じるというしかけだ。

★7としたが7と8の間と思う。これも多くの人が指摘されるところだが、邦題が安っぽくで
いただけない。映画の持つ哲学性、形而上的なニュアンスがスポイルされてしまっている。
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<ストーリー>
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督が、120億円もの
巨額な制作費を用いて描いた近未来のサスペンス。クライブ・オーウェンの主演最新作。

急激な出生率の低下の果て、遂に人類は繁殖能力を完全に喪失。それから18年後の
2027年、世界は秩序を失い、既存の国家が次々と崩壊していった。
イギリスは軍事力を使った徹底的な抑圧で、どうにか国家機能を維持していた。官僚の
セオ(クライヴ・オーウェン)は、ある日武装集団に拉致される。アジトに連行された彼は、
反政府組織”FISH”のリーダーとして活動する元妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)と対峙。
セオもかつては平和活動の闘士だったが、我が子を失ったことで生きる意味を見失い、
希望を捨てた男だった。

ジュリアンはセオに、政府の検問を通過できる通行証を入手するよう依頼してきた。セオは
あまりにも無謀なその依頼を一度は断るが、ジュリアンが政府の目を逃れ接触してきたことに
重要なわけがあることを感じていた。そして、何よりセオは今もジュリアンへの想いを断ち切れ
ないでいた。

協力を決心したセオは、通行証を手に入れると、再びFISHと接触。そこで彼は、彼らの
計画の全貌を知らされる。それは彼らが保護している、人類の未来を変える存在である
キーという名の少女(クレア=ホープ・アシティ)を安全に、そして極秘裏に“ヒューーマン・
プロジェクト”に届けるというもの。ヒューマン・プロジェクトとは、世界中の優秀な頭脳が結集
して新しい社会を作るために活動する国境のない組織。
しかし、その存在を確認したものは、皆無に等しかった。外は政府軍と反体制勢力との
激しい戦闘が続く最前線。しかもキーを政治利用しようとするグループもいた。存在するか
どうかもわからないヒューマン・プロジェクトにキーを無事届けるため、セオは必死にミサイルと
銃弾の嵐をかいくぐる。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-10-15 23:10 | 洋画=た行 | Comments(0)