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●「デビルズ・ノット Devil's Knot」
2013 アメリカ Worldview Entertainment.114min.
監督:アトム・エゴヤン 原作:マーラ・エヴェリット『デビルズ・ノット』
出演:コリン・ファース、リース・ウィザースプーン、デイン・デハーン、ブルース・グリーンウッド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
個人的には初めて知ったことなのだが、アメリカでは相当有名な猟奇少年殺人事件だという。
今回見終えて、改めて、「ウェストメンフィス3」(逮捕された少年たちを指す)の事をネットで
調べてみたのだが、ドキュメンタリー映画も複数製作され、また日本のテレビの実録ものでも
取り上げられていた。ことほど有名な事件。しかも真相はまだ藪の中だ。

この事件の最大の汚点は、事件の猟奇性ではなく、「真犯人」が仕立てられていく過程の
ずさんさ、いい加減さ、適当さ、そして偏見である。警察、検察、司法、周りの人々それぞれが、だ。
アーカンソー州というのはどんだけダメなところなの?という予見を持ってしまうほどだ。

コリン・ファース、リース・ウィザースプーンという実力派ビッグネームが出ているにも関わらず、
実力を発揮出来ず、起きた事件とその後のアホな捜査、裁判のインパクトのデカさに押しつぶされ、
キャラクターを発揮できずに終わった。

一応犯人が捕まり、彼らは服役したが、彼らは拘留後18年、有罪は認める、アーカンソー州を
悪く言わないなどの条件で司法取引し執行猶予10年で2011年に釈放された。
しかし彼らが私がやりましたと言って秘密の暴露をしたわけでも物証が出たわけでもない。
逆に、彼らが刑務所にいる間に、殺された3人の少年のうちの二人の継父に彼らが犯人では
ないかと思わせる極めて有力な物証が出て、彼らの冤罪はますます濃くなっったといえるのだ。
それでも事態は動かないんだから、恐ろしい。

ずさんな警察の捜査、思い込みの検察、やる気のない裁判官。犯人とされた3人は真犯人では
ないとは言えないけど、あれだけ不完全な捜査裁判の中で「犯人に仕立てられた」としか
いいようがあるまい。本作も、調査員のコリン・ファースは終始逮捕された少年らの無罪を
信じている。そしてリース・ウィザースプーン演じる殺された子供の一人の母親は、ラストに
コリンに対し、「真実が何なのか分からないの。(殺された子供は祖父からもらったナイフを
肌身離さず持ち歩いていたが、殺された付近からは見つからず、なぜか父=継父の二階の
箱から見つかっている。そのナイフをコリンに渡し、継父が犯人かも、と匂わせる)証言する
少女たちはゲーム感覚だし、警察は証拠を失くすし」と。

起きた事件を丁寧に紡いで、冤罪が起きる過程をきちんと見せていたのは良かったが、
事件の前に配役の大きさは吹き飛んでしまい、キャスティングとしてはいいところ無しだ。
観終わっって実にすっきりしない映画であるが、事件そのものがすっきりしないのだから
仕方がない。アーカンソー州の司直のデタラメと、マスメディアと一般人のモラルパニックに
ついて理解できればそれで良いとしたものだろう。

ちなみにタイトルは犯人が裸の子供らの足を結んでいたヒモに由来する「悪魔の結び目」
のこと。
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<ストーリー>
93年にアメリカの田舎町で起きた少年を狙った猟奇殺人事件“ウエスト・メンフィス3事件”。
発生から20年以上経ったいまも真相が明かされていない未解決事件を、カナダの名匠
アトム・エゴヤン監督が映画化したサスペンス・ミステリー。
コリン・ファース、リース・ウィザースプーンら実力派が多数出演し、物語に説得力を吹き
込んでいる。

1993年初夏、ウェスト・メンフィスで児童の猟奇殺人が発生する。少年たちは靴紐で手足を
縛られ、人間の所業とは思えない暴行の痕を残して殺されていた。
地元住民はパニックに陥り、全米のメディアが小さな田舎町に押し寄せた。犯行当日の夜、
現場近くのレストランに血まみれで現れた黒人男性や、児童らの顔見知りだったアイスクリーム
売りの若者(デイン・デハーン)が捜査線上に浮かび上がるが決め手を欠き、報道が過熱する
なか、警察が犯人と断定し逮捕したのは16歳から18歳の若者3人だった。

未成年者の逮捕に激震が広がるなか、私立探偵のロン・ラックス(コリン・ファース)は事件の
成り行きに不自然さを覚え、独自で調査を開始する。一方、被害者の母親のひとり、パム
(リース・ウィザースプーン)も裁判を通して浮上した様々な矛盾に動揺し、人知れず苦悩
していた……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-12-02 23:40 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

タミー/Tammy

●「タミー/Tammy」
2014 アメリカ Gary Sanchez Productions,New Line Cinema.Warner Bros.(Dist.) 97min.
監督・(共同)脚本:ベン・ファルコーン
出演:メリッサ・マッカーシー、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツ、ダン・エクロイド、トニ・コレット他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
アメリカでは制作費の4倍の興収を記録した映画だ。日本では劇場未公開。如何にも
アメリカ人が好きそうな作りだ。キャティングも上記の他にサンドラ・オーなども出ていて、
豪華だし。だが日本人が見ると、途中からグダグダになってしまったなあ、と思うのでは
ないだろうか。

超おデブ女優のメリッサ・マッカーシー、彼女の最近の作品は殆ど観ているが、日本では
ありえない体型の女優さんだ。京塚昌子くらいしか思い浮かばないな。すごい顔もするが
ちゃんとしていれば結構美人な顔立ちではある。この人、本作では共同プロデューサーで
あり、また監督と共同で脚本も書いている。

出だしはOutfieldの「Your Love」に乗せて軽快に始まる。メリッサ演じるバーガー店店員
タミーは道路に出てきた鹿を跳ねて自動車は大破、店には遅刻、そしてクビ、という悲劇が
重なる。家に帰れば夫は近所の奥さんと浮気中。頭に来たタミーはおばあちゃんのクルマで
町から出ようとするが、おばあちゃん(「サランドン)は、私も行く、と付いて来てしまう。
二人が目指すはナイアガラの滝だ。

こうしてタミーとおばあちゃんの珍道中が始まる。所謂自分探しのロードムービーだ。
途中の音楽酒場で男と出会ったり、そこで働いた狼藉で牢屋に入れられたり、その保釈金を
稼ぐため、勤めていたバーガー店に強盗に入ったり、おばあちゃんの友人(だっけ?)
キャシー・ベイツとサンドラ・オーのレズビアンコンビの大豪邸でのパーティーに参加したり。
そういうプロットにギャグが散りばめられていて、なんていうか、アグレッシブなコメディーだ。
IMDbの評価は5以下だが、個人的には面白かった。ただ単に面白かった。
個人的にツボだったのは、紙袋をしてのバーガー店強盗、そしてその金を返しにいくところ、かな。

映画として自分探しが表現出来ていたかどうかは別として、単純に嫌味なく笑えた。アル中の
ハチャメチャおばあちゃん、スーザン・サランドンが良かったし、愛すべきおデブ、メリッサ・
マッカーシーの魅力が一杯出ていたと思う。さすがはスタンダップコメディ出身だけのことはあると。

男との出会いとか、ナイアガラからエンディングまでなどはイージーな感じもするが、ま、肩の力を
抜いて笑いまくるにはいい映画だと思う。なんでこの映画が制作費の4倍も興収を上げるか、
アメリカ人気質が分かる映画だと思う。
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<ストーリー>
「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」で一躍人気コメディ女優となった
マッカーシーが、「デッドマン・ウォーキング」などの名女優S・サランドンを相手に熱演を
見せるロードコメディ。
公私ともに最悪の目に遭ったヒロインだが、気分転換の旅に出るにも車も金もなく、
やむなくナイアガラの滝が見たいという祖母をスポンサーに現実逃避の旅に出るのだが……。
マッカーシー扮する本来傍若無人なヒロインが、旅の中で奔放さを発揮していく祖母と
立場を逆転して振り回されていく姿がおかしさを誘う。

ハンバーガー店で働く女性タミーは、出勤途中、野生のシカに衝突、車がオシャカになった上、
仕事までクビになってしまう。さらに家に帰ると夫が隣の家の女と浮気中。
これ以上ない最悪の状況に、もはや旅に出るしかないと考えるタミーだが、いかんせん金も
車もない。実家に助けを求めたタミーは、祖母パールから自分をナイアガラの滝まで連れて
行けば車と金を出すと持ち掛けられ、やむなく一緒にドライブ旅行に出かけることに……。
(WOWOW)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-11-26 23:32 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「トゥモロー・ワールド Chlidren of Men」
2006 アメリカ Universal Pictures (presents),Strike Entertainment.109min.
監督・(共同)脚本:アルフォンソ・キュアロン 
原作:P・D・ジェイムズ 『人類の子供たち』/『トゥモロー・ワールド』(早川書房刊)
出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆>
<感想>
モノトーンな雰囲気を持つ画面、イギリスという設定、哲学的な物語、これらを
うまく取り込んだ硬質な映画に仕上がった。これを観た人は等しく口にすると思うが
映像の仕上がりは本当に上手いというかよく出来ている。物語としては、どうかな、と
思える部分も、リアリズムにこだわったドキュメンタリーの様な映像構成に引っ張られ
評価の高い作品となっている。
冒頭から主人公のクライヴ・オーウェンの出てきたばかりのカフェが爆破テロに遭うと
いうところを初めとして、ジュリアン・ムーアがあっけなく射殺されてしまうところ、
同じシークエンスで、追いかけてきたバイクをクルマのドアで弾き飛ばすところ
マイケル・ケインが、オーウェンらを逃がした後に、追手に指とかを銃で飛ばされて射殺
されるところ、黒人の女性が出産するシーンの出てきた赤ちゃんの大きさと体から
あがる湯気、そして圧巻はラスト近くのレンズに血しぶきがかかる長回し映像と、映像から
受ける衝撃に観客はストーリ性を補完・強化されるであろう。
終始ハンディカメラ(ステディカム)による映像もまた、本作が訴えるところを表現するのに
生かされている。

先述の「硬質な未来劇」に良く似合うクライヴ・オーウェンらのキャスティングも良い。
マイケル・ケインや短い間に出てきて殺されてしまう主人公の妻役ジュリアン・ムーアも
ハマっていた。また原因は分からないけど、子供が生まれなくなった世界で、赤ん坊を
出産するのが黒人というのも意味を感じる。

原作があるので、骨子は変えられないところだが、ラスト近くの市街戦での主人公に
弾の当たらなさ加減とか、赤ん坊を抱えて出てきた母親を、敵の兵士も十字を切って
驚愕しながら、まるで神を見るかのように迎える様など、それまでのリアリズムにマイナス
してしまうような展開など、いささか鼻につくシーンもある。
さりとてそうだからといって、それらが本作にとって大きな瑕疵になるほどのものではない。
銃撃戦のさなかのモーゼが海を割るがごとくの赤ん坊を抱いた母子と主人公の脱出
シーン、一旦ちょっとした爆発音が響くと直ちに戦闘に戻る、というところが人間の愚かさを
表出していて寓意的だな、と感じた。

ラストシーン、ボートに乗る母子と救いだした主人公、そこに近づくTommorowと書かれた
大型船。親子の未来に決して全き救われたものはないだろう。いや、それよりも厳しい未来が
待っているのかもしれない。しかし、赤ちゃんが産まれたというのは、世界滅亡を救う
キッカケになることが期待され、観客はそこに未来に対する薄明かりを感じるというしかけだ。

★7としたが7と8の間と思う。これも多くの人が指摘されるところだが、邦題が安っぽくで
いただけない。映画の持つ哲学性、形而上的なニュアンスがスポイルされてしまっている。
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<ストーリー>
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督が、120億円もの
巨額な制作費を用いて描いた近未来のサスペンス。クライブ・オーウェンの主演最新作。

急激な出生率の低下の果て、遂に人類は繁殖能力を完全に喪失。それから18年後の
2027年、世界は秩序を失い、既存の国家が次々と崩壊していった。
イギリスは軍事力を使った徹底的な抑圧で、どうにか国家機能を維持していた。官僚の
セオ(クライヴ・オーウェン)は、ある日武装集団に拉致される。アジトに連行された彼は、
反政府組織”FISH”のリーダーとして活動する元妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)と対峙。
セオもかつては平和活動の闘士だったが、我が子を失ったことで生きる意味を見失い、
希望を捨てた男だった。

ジュリアンはセオに、政府の検問を通過できる通行証を入手するよう依頼してきた。セオは
あまりにも無謀なその依頼を一度は断るが、ジュリアンが政府の目を逃れ接触してきたことに
重要なわけがあることを感じていた。そして、何よりセオは今もジュリアンへの想いを断ち切れ
ないでいた。

協力を決心したセオは、通行証を手に入れると、再びFISHと接触。そこで彼は、彼らの
計画の全貌を知らされる。それは彼らが保護している、人類の未来を変える存在である
キーという名の少女(クレア=ホープ・アシティ)を安全に、そして極秘裏に“ヒューーマン・
プロジェクト”に届けるというもの。ヒューマン・プロジェクトとは、世界中の優秀な頭脳が結集
して新しい社会を作るために活動する国境のない組織。
しかし、その存在を確認したものは、皆無に等しかった。外は政府軍と反体制勢力との
激しい戦闘が続く最前線。しかもキーを政治利用しようとするグループもいた。存在するか
どうかもわからないヒューマン・プロジェクトにキーを無事届けるため、セオは必死にミサイルと
銃弾の嵐をかいくぐる。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-10-15 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「チョコレートドーナツ Any Day Now」
2012 アメリカ PFM Pictures.97min.
監督・(共同製作・脚本):トラヴィス・ファイン
出演:アラン・カミング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイヴァ、フランシス・フィッシャー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
実話にインスパイアされた、とはいえ時代設定や人物のバックグラウンドに多少あざとい
ところは感じるが、結末も含め感動するストーリーではある。差別を描こうとするとこういう
シチュエイションにならざるを得ないのかな。よく練りこまれた脚本は短い時間の映画で
あるにも関わらず、多弁であり、傑作であると感じた。

1970年代のアメリカ、ゲイとダウン症の少年という組み合わせ。時代はまだまだLGBTに
キツイ差別があった頃であり、片や、ダウン症の子どもたちに対しても今ほど理解が
進んでいなかった時代だ。そんな時代に生きたゲイバーのダンサーと弁護士のカップル、
彼らはダンサーのアパートの隣室に暮らし、母親がドラッグジャンキーで育児放棄された
ダウン症の少年を引取り自分らの子どもとして育てていこうとする話。
実生活でもバイセクシャルであるという、イギリス出身のトニー賞俳優アラン・カミングの
熱演が映画を熱いものにしている。また彼の歌も上手い。主役の二人、顔が「真夜中の
カーボーイ」のコンビ、ダスティン・ホフマンとジョン・ボイトに似ているなあ、と思った。

世間的にも法律的にもゲイの関係は白い目で見られていた時代に、そのカップルが
これも世間的に理解が遅れていたダウン症の少年を養子として育てていこうとするのだから
その容易の無さは想像に難くない。そうした困難を乗り越え世間と戦いを止めない二人なの
だが、結末は悲劇なのだ。根本的に「普遍的な人間の愛とは何か?」ということを問い詰める
お話で、ゲイのダンサー、ルディ・ドナテロ=アラン・カミングがラストに唄う、ボブ・ディランの
名曲「I shall be released」という歌がすべてを物語るのだ。この歌はYouTubeで確認できる。

「基本的人権」「多様性への寛容」といういつの時代にも要請される基本が、人間という
動物はなかなか達成できない。その一面を本作は鋭く指摘している。ラストで、少年の
行末を、主人公の一人、弁護士ポール・フラガー=ギャレット・ディラハントが結果的に
彼らの邪魔をした裁判官や検事らに手紙を書くのだが、彼らの反応を知りたいところだった。
まあ、映画的には余韻を残す、という意味では文句はないところではあるのだが。

邦題のチョコレートドーナツとは、ダウン症のマルコ少年の大好物。まあ原題では何の
ことか分からないので、いい感じのネーミングではなかったか。
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<ストーリー>
1970年代の実話を基に、育児放棄されたダウン症の少年を育てたゲイのカップルの
姿を描くヒューマンドラマ。
出演は、ドラマ『グッドワイフ』のアラン・カミング、「ノーカントリー」のギャレット・ディラハント。
監督は、本作が日本公開初作品となるトラヴィス・ファイン。
第11回トライベッカ映画祭観客賞他受賞多数。

1979年、カリフォルニア。ゲイであることを隠しながら生きる弁護士のポール(ギャレット・
ディラハント)と、シンガーを夢見ながらショーダンサーとして働いているルディ(アラン・
カミング)が出会う。2人はすぐ惹かれ合い、恋に落ちた。

ルディが暮らすアパートの隣に、ダウン症の子ども・マルコ(アイザック・レイヴァ)と
薬物依存症の母親が住んでいた。ある夜、マルコの母親は大音量の音楽をかけたまま
男といなくなってしまう。翌朝、ルディが騒音を注意しに隣に乗り込むと、小さくうずくまって
母親の帰りを待つマルコがいた。ルディは助言を求めてポールが働く検事局に行くが、
ポールは家庭局に連絡してマルコを施設に預けろと言い捨てる。

失望したルディがアパートに戻ると、マルコの母親は薬物所持で逮捕され、マルコは
お気に入りの人形アシュリーを抱いたまま、強制的に施設に連れて行かれる。
翌日、ポールはルディに昨日の言葉を詫びる。2人はお互いが歩んできた人生を
それぞれ打ち明け、さらに深い結びつきを確信する。その帰り道、家に帰ろうと施設を
抜け出したマルコが夜の街を1人で歩いていた。ポールとルディはいとこと関係を偽り、
マルコと一緒に暮らし始める。マルコは初めて学校に通い、ポールはマルコの宿題を
手伝い、ルディは毎朝朝食を作り、眠る前にはハッピーエンドの話を聞かせて眠らせる。
2人はまるで本当の親子のようにマルコを愛し、大切に育てた。

ルディは、ポールから贈られたテープレコーダーでデモテープを作り、そのテープが
クラブオーナーの目にとまってシンガーの夢を掴む。3人で暮らし始めて約1年が経った
ある日、ポールとルディがゲイのカップルであることが周囲にバレてしまう。関係を偽った
ことが原因でマルコは家庭局に連れて行かれ、ポールは仕事を解雇される。今こそ法律で
世界を変えるチャンスだというルディの言葉に、ポールは法を学んでいたときの情熱を
取り戻す。そして、マルコを取り戻すための裁判に挑む……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-10-10 23:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ザ・バッグマン 闇を運ぶ男 The Bag Man」
2014 アメリカ Cinedigm,Tin Res Entertainment.109min.
監督:デヴィッド・クロヴィック 原作:ジェームズ・ルッソ
出演:ジョン・キューザック、レベッカ・ダ・コスタ、ロバート・デ・ニーロ、クリスピン・グローヴァー他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
いやはや、とんでもない映画を観てしまった。ジョン・キューザックもデ・ニーロも出演作を
もう少し考えないと・・・orz。マネージメント会社の問題だろうけど。
原作があるからストーリーを捻じ曲げるわけには参らないのだろうけど、なんか状況は
わからないままだわ、明確にしておいたほうがいい部分は明らかにならないわ、
物理の法則を無視した展開は異常だし、展開に都合のいい女の立場は、白けたなあ。
これが本邦劇場公開映画初登場のダ・コスタのビッチぶりが、ある意味半端無かった。
最初のうちはなかなかおもしろい映画かも、と思わせたが、しばらくしてグダグダになって
来て、ラストの展開あたりは、もう笑っちゃったよ。

出だしは自家用ジェットの中。やばい仕事の依頼主がドラグナ=デ・ニーロ。中身を絶対に
見てはいけないバッグを大金と引き換えに運ぶ役目を受けたのはジャック=キューザック。
指定されたモーテルで客引きをしている女レブカ=ダ・コスタという布陣。
明確にした方がいいと思ったところは、ドラグナの商売。レブカの本当の出自。

ラスト辺りでドラグナがモーテルは自分の所有で取引に使っていたのだ、とジャックに言って、
建物を爆破するシーンがあるが、もう少し、モーテルの女衒の男二人やレブカ、それに
車いすに乗るモーテルの支配人、ら「モーテルに居た全員が全部自分の仕込み」、ということを
匂わせておいたほうが良かったのではないか。そうすると、レブカも当然ドラグナに送り
こまれた女であることが分かり、なんでまたあんなにマーシャルアーツに優れているわけ?
というのが判然とするわけだけどなあ。そこまでちゃんと観ているうちに分かれ、ということ
なんだろうか。(^^ゞ
ドラグナのゲームに付き合って殺された、冒頭の殺し屋(ジャックの手に銃弾を打ち込んで
殺されトランクに押し込まれていた)、モーテルに居た偽FBIの二人、ドラグナの
ボディーガードの黒人の太っちょ、モーテルの支配人にして、最後にはジャックに
スコップで殴り殺される男らこそいい迷惑だったといえるなあ。

結局、ジャックもレブカもお互いに惹かれてしまったことが、ドラグナの描くシナリオを
崩してしまい、ジャックは死なず、レブカはボスを裏切り、二人で大金をせしめてどこかへ
消えた、という結論になるわけだ。しかし、バッグに入っていた生首、時間が立てば恐ろしい
死臭がするだろうに、とか、最後にレブカがバッグに入れる金塊、女の片手であんなに
軽々と掴めるほど金のインゴットは軽くないぞ、とか、プライベートジェット、デカすぎじゃね?
とか、レブカ、3発も食らってよく生きているなあとか、突っ込みどころ満載だ。やれやれ。
バッグの中身こそ、客にわからないままで良かったんじゃないかなあ。

ドラグナも自分がひょっとしてジャックに殺されるかもしれない、とか言っちゃって、自分が
不治の病にかかっているとか言い出すのかと思えばそうでもないし。よく分からん・・・。
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<ストーリー>
殺し屋のジャック(ジョン・キューザック)はボスのドラグナ(ロバート・デ・ニーロ)から新たな
使命を帯びる。“黒い鞄を、ドラグナの指示を待ちながら目的地に運び届けること。ただし、
中身は決して見てはならない。”

ジャックは指定されたオアシスモーテルに向かうが、その途中、ドラグナの手下らしき男に
襲われる。辛うじて相手を射殺したものの、ジャックも左手に重傷を負い、何とか指示された
13号室にチェックイン。だが、手当てのために町に出て戻ると、誰かが部屋に侵入した形跡
が残っていた。ジャックは浴室で、娼婦風の若いモーテルの女性客(レベッカ・ダ・コスタ)が
うずくまっているのを発見。レブカと名乗るその美女は、同じくモーテルに泊まっている小男と
大男の奇妙な2人組に捕らえられているという。懇願されたジャックはやむなく彼女を匿うが、
2人の前に次々と刺客が現れる。鞄の中に入っているものは一体何なのか?彼に課された
使命とは?そして、誰を信じればいいのか? 2人を待ち受けるのは、衝撃のラスト……。」
(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-10-04 22:50 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「テロ・ライブ  The Terror Live」
2014 韓国 Cine2000,Distributor:Lotte Entertainment.98min.
監督・脚本:キム・ビョンウ
出演:ハ・ジョンウ、イ・ギョンヨン、チョン・ヘジン、キム・ホンファ、キム・ソジン、イ・デヴィッド他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
いかにも韓国らしいエキセントリックさで、かなり突っ込みどころ満載だが、面白かった。
ほぼ全編がラジオの小さいスタジオで展開し、カットも短くアップ目が多い、実験的な
感じも受ける作品だ。
ニュースキャスターというポジションは世界各国で違うのだろうけど、おそらく韓国では
アメリカと同じように国民的ヒーローであると推測する。そのスターとでも言うべき存在の
見せてはいけない本音や弱さ、放送局の幹部の本音などが痛快に描かれている。
切羽詰まった時に見せる人間の本性が、主人公のみならず、犯人、局員、政府と様々な
人間に観られるとう言う切実さもまた良い。
また交渉にやって来たメッタクソ気分が悪い警察庁長官があっけなくテレビの生放送中に
殺されるというのも、「官」に対する反感のカタルシスとして受け取られているのだろう。

CGの出来も良く、漢江にかかる大きな橋の爆破、ビルの倒壊など大掛かりではないけど
細かい部分もちゃんと表現されている。俳優さんたちは知らないので分からないけど、
作品に対するマイナスになっているところは無かった。キャスターの元妻もアナウンサーでは
なく、報道記者の雰囲気があっていいんじゃないか。

テンポも良く、狭い空間と話題から言って100分で収めたのは、くどさが無くて良いと思う。
最大の難点は、イヤーモニター内部やビルが倒れるまた橋が崩壊するほどの爆弾を、
若い男性が一人でどうやってやったか、ということ。アイデアはいいのだが、そこにどうしても
無理を感じてしまう。ラジオ・テレビ兼営局という点も理解していないと、なんでラジオスタジオが
いきなりテレビスタジオになるわけ??と感じてしまうかもしれない。
たった半日くらいで通常の生活が天国になりやがて地獄となる人生、超高層ビルが爆弾
1つで倒れるとは思えないんだけど、このなんつーかジジェットコースター感が気持ちいい
作品。
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<ストーリー>
大統領の謝罪と多額の現金を要求する爆弾テロ犯からの電話がラジオ番組にかかってきた
ことから、通話の模様を生中継しようとするものの状況が二転三転していくサスペンス・スリラー。
監督・脚本はキム・ビョンウ。初めて長編映画作品を手がけた本作で第34回青龍映画賞
および第14回釜山映画評論家協会賞で新人監督賞を獲得した。
不祥事を起こしラジオ番組担当となったが爆弾テロ犯とのやり取りを通し巻き返しを図る
アナウンサーを「ベルリン・ファイル」「チェイサー」のハ・ジョンウが演じる。
ほか、「新しき世界」のイ・ギョンヨン、「キッチン~3人のレシピ~」のチョン・ヘジン、
「ポエトリー アグネスの詩」のイ・デビッドらが出演。

かつて国民的な人気を誇っていたアナウンサーのユン・ヨンファ(ハ・ジョンウ)は、不祥事を
起こしたためにテレビ局からラジオ局に左遷となっていた。彼が受け持つラジオ番組の
生放送中、漢江にかかる橋を爆破するという脅迫電話を受ける。
はじめはいたずらだと思い相手にしていなかったが、電話を切った途端にマポ大橋で爆発が
発生。ヨンファは爆破テロだと確信し、事件の実況と犯人との通話の独占生中継と引き換えに
自分をテレビ局へ復帰させるよう報道局長(イ・ギョンヨン)に持ちかける。
犯人は21億ウォンもの大金と大統領の謝罪を要求。犯人とのやり取りを進めるうちに、
ヨンファは自分が装着しているイヤフォンに小型爆弾が仕掛けられていることを知る……。」
(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-09-27 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ディス/コネクト Disconnect」
2012 アメリカ LD Entertainment,Liddell Entertainment,and more.115min.
監督:ヘンリー=アレックス・レビン
出演:ジェイソン・ベイトマン、ホープ・デイヴィス、フランク・グリロ、アンドレア・ライズボロー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
WOWOWでの鑑賞。地味めなスタッフ、キャスト、ストーリーサマリーを読んでもピンと
来なかったので見送っていたところ、奥様が面白かったから観たら、と薦めてくれたので
鑑賞に及んだ次第。

本国での評価も高く、アルトマンばりの群像劇が面白かった。PCとネットに支配された
生活から派生するトラブルを通してリアルな人間関係を見つめなおす、といった塩梅の
ストーリーだ。
弁護士と音楽オタクの息子、その息子をFBを使ってからかい自殺未遂に追い込む
二人の同級生。その片割れのサイバー犯罪担当の元警官だった父親。
幼い子を失い、妊活もままならずお互いの心が冷え込む元海兵隊の夫と、チャットに
救いを求める妻。性犯罪を取材する女性テレビリポーターと、取材対象となる18歳の
男の子。主に3つの物語が同時に進行し、繋がるところが繋がって一つに物語となり
大団円を迎える。

それぞれのストーリーにPCやSNS、匿名のチャット、ハッキング、またスマホ依存、
など現代社会のサイバー依存の闇が描かれていく。偽名をかたったFBで、裸の
写真をばら撒かれ自殺未遂を引き起こす、チャットをしているうちにPCを乗っ取られ
銀行口座が空になる、ポルノサイトのチャットに絡む性犯罪をリポートしようとする
女性テレビ記者と匿名取材の対象となる男の子のやりとり、などなどすべてサイバー
空間から引き起こされる事件が、やがてリアルな対面となり、現実的、人間的な
解決を迫られていくさまが、テンポよく描かれていく。よく出来た脚本だと思う。
自らの生活に照らしあわせて、自分も危ないなあ、と思う人も多いのではないか。

大団円では、人間的絆の中で、現実的な解決により、サイバーなトラブルから抜け出て
いくことになる。必ずしもハッピーエンドではないところが軽さを抑えた感じになっていて
良かったと思う。明るい映画ではないが、実生活に照らしあわせてシンパシーを
感じる作品といえる。
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<ストーリー>
「日常生活におけるネットやスマホへの依存が強まる中、もっとも身近な家族ですら互いに
何も分からなくなってしまった現代社会のコミュニケーション不全が招く悲劇をスリリングに
描き出した群像ドラマ。
出演はジェイソン・ベイトマン、ホープ・デイヴィス、ポーラ・パットンほか。
監督はアカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた「マーダーボール」で注目され、
本作が劇映画デビューとなるヘンリー=アレックス・ルビン。

 同級生のイタズラとは知らずに、SNSで知り合った女性相手に自分のはずかしい画像を
送ったばかりに、その画像をネット上にばらまかれてしまった内気な少年ベン。彼はショックの
あまり自殺未遂をして意識不明に。
その父親で仕事中毒の弁護士リッチは、自殺の原因を突き止めるべく調査に乗り出す。

一方、加害少年の父親で元刑事のマイクは、ネット専門の探偵をしていた。彼のもとには
ネットでカード詐欺に遭ったハル夫妻から捜査の依頼が持ち込まれる。妻がチャットにはまり、
知らぬ間に個人情報を盗まれていたのだ。

さらに、リッチが顧問弁護士をするローカルTV局の女性レポーター、ニーナは、違法ポルノ
サイトの取材に成功し、全国ネットでも放送され注目を集めるが…。」(allcinema)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-09-14 22:55 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「テレーズの罪 Thérèse Desqueyroux 」
2012 フランスLes Films du 24 and more.110min.
監督:クロード・ミレール  原作: フランソワ・モーリアック 『テレーズ・デスケルウ』(講談社刊)
出演:オドレィ・トトゥ、ジル・ルルーシュ、 アナイス・ドゥムースティエ、カトリーヌ・アルディティ 他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
モーリアックの名著「テレーズ・デスケルウ」の映像化。クロード・ミレールには遺作となった。
フランス文学が原作らしい雰囲気を持つ思索的、重く暗くもある映画だ。日本劇場未公開。
コケットな魅力のオドレイはここでは、夫の毒殺をもくろむシリアスな役どころだ。
新妻としては老けているが、文学性を表すにはナイスキャスティングだったと思う。

原作は未読だが、殺されそうになってもなお、家のことが大事だとはいえ妻をどこかで愛している
夫の気持ちが不思議だ。そして、家と家の結婚と割り切りながらも、義理の妹の自由な恋愛に
当てられ、二人を別れさせ、かつ夫の毒殺を試みる。彼女は自由が欲しかったのか、何のために
夫に毒を盛ったのか、よく理解できなかった。娘を取り上げられても大騒ぎするでもなく、
心の一部が死んでしまったかのようなこの主人公。 また殺されそうになっても、妻を守ろうとする
夫は、単に家のことだけを考えていたとは思えない。でも、娘に会わせない、さらに離縁するという
行動。これもなかなか難しい心理だ。 最後の別れの時、夫はテレーズに自分を殺そうとした動機を
尋ねるが、説明は出来ない、という。本人が分からないというものを、観ている人が分かろうとする
のはなかなか難しいのではないか。
ラストシーンの主人公テレーズの笑顔は、解放された笑顔なのか、幼いころからずっと自分を縛って
来た家のこと、人間関係をリセットしえた女の喜びととらえるのが正解なのであろうか。

時代は1920年代の終わりころ。舞台はフランスのボルドーからスペインよりの海岸地帯。
松林が美しい地方である。モーリアックの生きた時代だろう。その時代の一人の女性の生き方を
提示した。女性の地位がまだ今日ほどではなかった時代、女性の心に潜む思いや覚悟を
モーリアックは表現しようとしたのだろうか。
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<ストーリー>
1920年代のフランス・ランド県で地主の娘テレーズは親同士が決めた政略結婚で同じ
地主のデスケルウ家に嫁ぐ。当初は愛のない結婚に疑問を持つこともなかったテレーズ
だったが、義理の妹で親友でもあるアンヌの身分違いの恋を目にする等するうちに、
古臭い価値観に縛られたデスケルウ家での生活に次第に息苦しさを感じるようになる。

そして夫ベルナールが心臓の薬としてヒ素を少量飲んでいたことから、医師の処方箋を
偽造して購入したヒ素をベルナールに分からないように大量に飲ませてヒ素中毒にして
しまう。
不審に思った医師らによってテレーズがベルナールにヒ素を飲ませていたことが明らかに
なり、テレーズは処方箋偽造の罪で告訴される。家名を重んじるデスケルウ家とテレーズの
実家によって告訴は取り下げられ、ベルナールはテレーズとの夫婦関係が円満であると
対外的に見せかけることにするが、テレーズは娘との面会を禁じられ、粗末な部屋に
幽閉される。

月日が経ち、気力を失ってやつれ果てたテレーズの無惨な姿を見たベルナールは、
良家に嫁ぐことになった妹アンヌの結婚式が終わったら、テレーズを自由にすることを約束する。
こうしてパリに移り住んだテレーズは健康を取り戻す。ベルナールは改めてテレーズに何故
自分にヒ素を盛ったのかを尋ねるが、テレーズはその理由をどんな言葉で説明しても嘘が交じって
しまうとして明言を避ける。そして赦しを請うテレーズをベルナールは赦し、娘と会うことも認める。」
(Wikipedia)

この映画の詳細はlこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-08-31 23:45 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ダーク・ブラッド Dark Blood」
2012 アメリカ・イギリス・オランダ Fine Line Features,Scala Productions.86min.
監督:ジョルジュ・シュルイツァー
出演:リヴァー・フェニックス、ジョナサン・プライス、ジュディ・デイヴィス、カレン・ブラック他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
夭逝したことから、よくジェームズ・ディーンと比べられるリヴァー・フェニックス。
透き通ったような純粋さ、時折みせる儚さは確かに共通したところもあろう。
本作は、23歳でヤクのオーバードーズで亡くなったそのリヴァー・フェニックスの
遺作。撮影中、クランクアップ寸前での急死だったため、映画はお蔵入りとなった。
しかし、監督のシュルイツァーが自分が病気になり余命幾ばくもないことを知り、
この20年前の映画を完成させることを計画。版権などをクリアし、ナレーションを追加する
などし2012年に完成、公開したのだ。
映画の冒頭に、監督自身がこの映画の成立過程を説明している。

短い作品だが、何か夢を見ているような映画で、リヴァー・フェニックスの妖しくも
儚げなポジションが良く似合っていると感じた。物語の設定が良かった。
原爆実験で誰も住まなくなった先住民居留区近くに、一人暮らす”ボーイ”(リヴァー)。
結婚して12年、子供もいるが最近倦怠期に入っているハリウッドの俳優夫婦。

その夫婦が小旅行とて、ベントレーを駆って砂漠を走るが、途中でエンスト。クルマが
全くと言って通らず、携帯も圏外になるような場所で、夫ハリーの提案で動かないことが
大事、とクルマで夜を明かすことを決めたが、妻のバフィーは、遠くに見えた明かりが
気になり、一人で歩いて行ってみる。そこがボーイの暮らす小屋だったのだ。

翌朝夫も合流するが、ボーイとバフィーは惹かれ合っていく。それが気に入らない
ハリーであった。ボーイの仲間のところでクルマを修理してもらえることになったが、その間
ボーイの家にいなくてはならない。次の作品に向けて一刻も早く戻りたいハリー、
ボーイとのかりそめの恋に浮かれる?バフィー。
3人の間には次第に勘定のズレが生まれてきて、ついには悲劇が起きるのだった。

リヴァー演じるボーイという八分の一先住民の血が混じっている若い男性。妻は恐らく
原爆実験の影響なのだろう、白血病で死んでいる。一人で先住民の土産物?を作って
生計をたてているらしいが、正体はよく分からない。しかし、基本は優しいいい人で、
それ故、少しのことで傷つきやすいのだ。
ボーイは最後には、夫ハリーともめて、斧で頭を殴られ死んでしまうのだが、いまわのきわに
バフィーを呼んで、その胸の中で息を引き取るのだ。その儚さに、見ている方はまるで夢を
見ているような気分になる。

原爆シェルターを持っていたり、現実と夢が交差するような映画は独特の味わいを持っていたと
思う。ただストーリーの骨子そのものはもう一捻り欲しいと感じた。
リヴァーファンに取ってはたまらない、しかも悲しい1本であろう。
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<ストーリー>
「スタンド・バイ・ミー」のリヴァー・フェニックスの遺作。彼の死で未完となっていたが、
「マイセン幻影」のジョルジュ・シュルイツァー監督が自らの手で完成させた。
共演は、「マリー・アントワネット」のジュディ・デイヴィス、「エビータ」のジョナサン・プライス。
2013年ベルリン国際映画祭ほかで公式上映。

かつて白人がネイティブ・アメリカンを迫害し、核実験を繰り返していた砂漠が広がる
アメリカ南西部。倦怠期を迎えた俳優夫婦のハリー(ジョナサン・プライス)とバフィー
(ジュディ・デイヴィス)は、2人の関係を立て直すため2度目のハネムーンのつもりで、
ハリウッドから週末旅行にやってきた。
しかし、運転していたベントレーが故障してしまい、無人の荒野で夜を過ごす羽目に。
朝まで車内で待つと言うハリーに苛立つバフィーは助けを呼びに行く。遠くにかすかに
見えた光を頼りに砂漠を歩き続けた彼女は、今にも倒れそうな掘建て小屋を見つける。

そこに住むホピ・インディアンの血が8分の1流れる青年ボーイ(リヴァー・フェニックス)は、
ネイティブ・アメリカンの妻を白血病で亡くして以来、社会との関係を絶って、1人で暮らして
いる。世界の終わりが近づいていると信じる彼は、地下にシェルターを作っていた。
そこには、偉大な書物、ビタミン剤、魔法の力を持つといわれるカッチーナ人形など、
世界終焉後にも保存されるべきものが集められていた。憔悴したバフィーを見たボーイは、
彼女を手に入れたいという欲望にかられる。バフィーはそんなボーイの思惑に気づかず、
助けてもらおうとハリーと車の元へボーイを連れていく。ハリーとバフィーは車を近くの町で
修理を出すために、ボーイの小屋で待つことになる。

バフィーは次第にボーイの危うさや純粋さに惹かれていくが、ハリーはボーイが自分とは
相容れない人間であることを察し、ボーイも軽蔑する白人文化を象徴するようなハリーを
忌み嫌う。3人の間に流れる空気は、次第に緊迫していく……。」(Movie Waker)

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by jazzyoba0083 | 2015-08-29 22:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「誰よりも狙われた男 A Most Wanted Man」
2013 アメリカ・イギリス・ドイツ Lionsgate,Film4,Demarest Films.122min.
監督:アントン・コルベイン   原作: ジョン・ル・カレ 『誰よりも狙われた男』(早川書房刊)
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー、ロビン・ライト他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作となった(といわれる)作品。終わり方が悲劇的で
好みではないが、お話としてはよく出来ていたと思う。9,11以降のテロ対策について
見解の違う2つの勢力が、一人のチェチェン人青年を巡り、対立していく様子を
静かに、しかも問題を含みつつ描いていく。そしてラストは何ともやりきれない終わり方だ。

ドイツは、9,11の首謀者アタ容疑者をハンブルグで逮捕できなかったことを悔いており、
テロリストの摘発には力を入れていた。その中心人物がギュンター(ホフマン)であった。
彼は世間的には存在していないドイツ政府の対テロスパイチームのボスであり、アフリカで
一度失敗していることから、ことを慎重に運び、裏の裏にいる巨悪をあぶり出す作戦。

方やドイツ警察や公安当局は、青年を危険なテロリストとして一刻も早く摘発したい。
そこに調子のいい漁夫の利を目論むCIAが一枚噛むことで事態を不幸な方向に押しやって
しまう。このチェチェンの青年を助けようとするのが人権保護団体NPOの弁護士アナベル
(レイチェル)。彼女は、青年を何とかしようと思いつつ、ギュンターらの方針を理解しつつ
ギュンターに協力する。

イッサ・カルポフという名前はアラブ、苗字はロシアというチェチェンの青年は、ハンブルグ港に
密航してきた。彼は父親の手紙を持ち、あるブルー(デフォー)なる銀行家との接触を
図ってきた。イッサが言うには彼のチェチェン人の母は14歳でロシア人の父に犯され、
自分を産んで死亡。汚いことをしてチェチェン人から巻き上げた大金を母国の病院や学校に
寄付したいとのことだった。ギュンターはイッサを泳がせることで彼の背後にいる組織を
炙りだそうとしていた。それは、アブドゥラ博士というイスラム系の男で、彼の慈善の送金の
一部が過激派の武器を運ぶ海運会社に回っている疑惑がある、というのだ。

一方、ドイツ公安やCIAは、イッサをすぐに捕らえろ、と主張する。ギュンターの努力で
アブドゥラ博士と銀行家ブルーの接触が実り、アブドゥラ博士はイッサの父が遺した大金を
希望するリストに送ることに同意した。しかし、サインをしている途中で「この中の1つの
寄付先を変更したい」と言い出す。これだ!と外のワゴンで盗聴していたギュンターたち
チームは小躍りした。無事にテロリスト支援会社への送金を見届け、後は身柄を確保する
だけ。ギュンターがタクシー運転手に化けて寄付の手続きを終えた銀行前に。アブドゥラと
乗り込もうとしたとき、タクシーは待ち構えていたクルマにぶつけられ、ギュンターが気を
失っているうちに、アブドラ博士とイッサは、公安当局(CIAの援護を受けている)に、
拉致されてしまった。

今一歩でアブドゥラ博士の背後にいる組織まで手を伸ばせたのに、公安とCIAはメチャクチャに
したのだ。徒労感にうなだれたギュンターは、街に消えていったのだった。

静かなスパイ映画だが、過去の失敗から学んだギュンターが、アナベルを通じてイッサを懐柔し、
味方に付けて、彼の奥にある組織をあぶりだそうと慎重にことを進め、成功一歩手前で
公安当局とCIAが急襲し、台無しにしてしまう。
ギュンターの悔しさを思うとやりきれない。
ヘビースモーカーで、殆どアル中、腹の突き出たホフマンはおよそ対テロ対策員とは思えない
要望だが、抑えた演技はさすがであり、また裏金取引をやっているが故に弱みのある銀行家
ブルーのデフォーも、人権派弁護士のレイチェルも良かった。ストーリーの骨格が面白いのは
原作によるところが大きいとは思うが、この沈み込むような挫折感、徒労感をこの監督と
キャストは上手く表出できていたとおもう。
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<ストーリー>
14年2月に急逝したオスカー俳優、フィリップ・シーモア・ホフマン主演のサスペンス・ドラマ。
『裏切りのサーカス』などで知られるスパイ小説の大家、ジョン・ル・カレの同名作を基に、
現代のスパイによる諜報合戦が描かれる。
ウィレム・デフォー、レイチェル・マクアダムスといった名優たちによる演技合戦にも注目。

ドイツのハンブルグで諜報機関のテロ対策チームを指揮するバッハマン(フィリップ・シーモア・
ホフマン)は、密入国した青年イッサをマークする。イスラム過激派として国際指名手配されて
いるイッサは、人権団体の女性弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を通して
イギリス人の銀行家ブルー(ウィレム・デフォー)と接触。
ブルーの銀行にテロ組織の資金源である秘密口座の存在が疑われるため、バッハマンは
その動向を監視していた。ドイツの諜報機関やCIAがイッサの逮捕に動き出す中、彼を
泳がせることでテロ組織への資金援助に関わる大物を狙うバッハマン。だが、思いがけない
事態が次々と巻き起こる……。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-08-20 23:15 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)