カテゴリ:洋画=は行( 405 )

●「BFG:ビッグ・ジャイアント・フレンドリー The GFG」
2015 アメリカ Walt Disney Pictures,Amblin Entertainment,Reliance Entertainment.118min.
監督・(共同)製作:スティーヴン・スピルバーグ  原作:ロアルド・ダール「オ・ヤサシ巨人BFG」
出演:マーク・ライランス、ルビー・バーンヒル、ペネロープ・ウィルトン、レベッカ・ホール他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
スピルバーグの作品は基本的に全作映画館で観る、と決めいているのだが、本作のみは見送った。
子供向けかなあ、と二の足を踏んだからだ。でも今回WOWOWで観てみたが、大人でも、十分楽しい。

『E・T』でスピルバーグと組み、その脚本を書いたメリッサ・マシスンの遺作となった作品。
本作は、宮﨑駿もファンであることが知られる「チャーリーとチョコレート工場」でも有名な
イギリスの児童文学者ロアルド・ダールの本が原作。メリッサのオリジナルである『E・T』とは
違い脚色ということになるが、両者に通じるものは一緒だ。異形なものに(異質なもの)に
不要な警戒感・侮蔑感を抱かず、勇気と興味を持ち行動するチカラ=愛=を描いた。

スピルバーグはディズニーと組んで、ダールの親子で楽しめるこの物語を圧倒的なVFXを駆使して
原作に沿ったイメージを作り上げることに成功している。心優しい大男と、子供の話は世界中に
散見され、特に珍しいものではない(ジャックと豆の木、でーたらぼっちなどなど)。ただ、
優しい巨人の仕事が「夢を集め、子どもたちに吹き込む」という対比的なポジションであることの
印象が強く働き、これに少女ソフィーの勇気が加味され、英国王室を動かし、悪い巨人をやっつける
というカタルシスへと導いている。悪い巨人たちも、殺さずに孤島に閉じ込める。

今世界を席巻している不寛容の精神とは対比的な「ヘテロなものへの理解」と勇気と行動。これは
大人が観て感じても十分に通じる感想だと思う。原作を知らずに観始め、中世の話だとばっかり
思っていたら、現代の話なのね。私としては英国女王が出てきてからのシーンがお気に入り。
思ったんだけど、BFG、トイレはどうしているんだろうなあ。^^;

ユニークかつ傑出した映画ではないけれど、観た人の心が暖かくなるディズニー共通の感想を
持てる良作であろう。
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<ストーリー>
『チャーリーとチョコレート工場』などで知られるロアルド・ダールによる児童文学を、スティーヴン・
スピルバーグ監督が映画化したファンタジー・アドベンチャー。10歳の少女の勇気が、大きな巨人を動かし、
イギリス最大の危機を救うさまを描く。
『ブリッジ・オブ・スパイ』のマーク・ライランスが心やさしき巨人を演じる。

ロンドンの児童養護施設で暮らすソフィーは、ある夜一人起きていると、町を行くとてつもなく大きな男と
目が合う。するとその大きな男は手を伸ばし、ソフィーを掴んで巨人の国に連れて行ってしまう。彼は夜な
夜な子どもたちに夢を届けている心優しい巨人BFG、ビッグ・フレンドリー・ジャイアントだった。
次第に心を通わせていく二人に、奇想天外な冒険が待ち受けていた。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:74% ,Audience Score:58%>




by jazzyoba0083 | 2017-09-05 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ベニスに死す Morte a Venezia」
1971 イタリア Alfa Cinamatografica,Warner Bros.119min.
監督・製作・(共同)脚本:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:ダーク・ボガード、ビョルン・アンドレセン、シルヴァーナ・マンガーノ、ロモロ・ヴァリ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
私のここ12年間に約2300本の映画を観てきた私ですが、食わず嫌いの監督や作品というもの、
あるいは全く興味のない範疇の作品は、無理してまで観ることもなかろう、ということで
観てこなかった作品もたっくさんあります。その中の筆頭がイタリア人巨匠と呼ばれる諸監督に
よる作品群です。
つまり、ヴィスコンティも、フェリーニも、アントニオーニも、ベルトリッチもデ・シーカも、
パゾリーニも、ベニーニも、その作品を観たことがないのです。いけませんかね?

おそらくは先入観だと思います。彼らの映画というのは「高踏的、抽象的、形而上的」という
印象が何かを観た折についちゃったんだろうと思います。何かウラミがあって、ということでは
もちろんありませんし、現代のイタリア映画は観ます。食わず嫌いなのは「名匠・巨匠」と云われ
「なんだ、それを観てなくちゃ映画を語る資格はないよ」と云われそうな作品です。

というわけで、ヴィスコンティ。先日「夏の嵐」を30分で脱落。WOWOWで放映して録画して
あった本作も、実は奥様が観たいと言って、録ってあったものを間違えて観始めてしまったのです。

もちろん、トマス・マンの原作による本作の名前は知っていましたが、内容や時代設定など全く
予備知識なしで観たわけです。冒頭、ベニスに船で近づいてくるボガード(何を職業にしている
か不明)。船頭にああだこうだと云われ、着岸してからも、何を言いたいドラマがどういう風に
展開するんだろう、という具合に、話が見えてこない。

後からネットでいろんな感想や評伝を観たのですが、私にとってこの手のこのくらい評価が
定まった映画は、内容をある程度知っておいたほうがいいな、という感想をまずもちました。

主人公アッシェンバッハ(ボカード)は作曲家なんですね。(マンの原作ではグスタフ・マーラーを
イメージした前衛作曲家らしい)作品中終始自信なさげで、音楽生活に煮詰まっていたのかもしれま
せん。そんな彼が静養のためにイタリアはヴェニスにやってきます。時代は第一次世界大戦が始まる
やは前、という設定です。

あとはもう、終始、アッシェンバッハが当地で見初めた美少年タジオへの思いを如何せん!?という
ストーリー。おもったより後半戦で話が動いたので、面白くなってきました。終始流れるマーラーの
交響曲第5番第4楽章「アダージェット」の調べと、狂気にも似たアッシェンバッハの美少年タジオへの
恋慕。「少年愛」と髪を染め、口紅を塗り、白塗りにして、タジオへの歓心を買おうとする老作曲家。
もう、痛々しいというか、正気でないというか。だからといって何かを言ったり行動するまでには
ならない。大人としての自制であろうか。ラストシーンは長回しのおそらくファンの間では名シーンと
されるところであろうが、老作曲家からの思慕を知っているタジオのじらせっぷりも含めて、しまいにゃ、
笑えてきてしまうレベルだ。

タジオの「若さ」に何か優れている点が具体的に有るわけではないのだ。それなのに一方的にその
輝かしい若さに、恐らくは芸術家ならではの「憧憬」と、自らの絶望的な「老い」を引き比べ
悶々とするという・・。先日観た「ヤング・アダルト・ニューヨーク」や「ドリアングレイの肖像」に
通底する、芸術の永遠のテーマなのであろう。

タジオの美少年ぶりはさて置くとしても、ボカードの鬼気迫る演技。ほとんどピエロと化してもなお、
純粋に若さに憧れ続けるその「哀れ」。ベニスには当時疫病(コレラ)が蔓延していて、周りの友人らに
はベニスを去るようにいうのだが、ついには自分も罹患してしまい、あの浜辺で絶命するわけだ。
その瞬間もタジオは夕日の中で煌めいていた・・・。

こういうのがヴィスコンティの作風なのでしょうか。いささかタルい感じの流れではあったが、確かに
アッシェンバッハの存在感は圧倒的であった。音楽と映像がここまでマッチした作品もあまり知らない。
ワンカットワンカットが計算されつくした画角、意味深いズーミング、そしてプロダクションデザイン。
好きか、と言われれば、好きだとは言えない映画の有り様では有るが、「映画芸術」としての不朽の
名作、であろうことは認めなくてはなるまい。「ルードウィヒ/神々の黄昏」「地獄に落ちた勇者ども」
あたりは観てもいいかもしれない、と思うに至りましたけど。

1940年代から70年代のイタリア映画と私のソリの悪さ、とはどこに有るのだろうか。エンタテインメント性の
ありようがハリウッドとは全然違うから、だろうか。あまりにも「高踏的」「芸術世界」だから、
だろうか。描かれる世界が「貴族的」とかそういうことではなく。相性の悪さ、というのはあるんじゃないか
なあ。ヴィスコンティの良さが分からないって、本当の映画見ではないぜ、と言われてしまうと身も蓋も
ないのですけど。
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<ストーリー:最期まで触れています>
純粋な美の具現と思えるような美少年に、魅入られた芸術家の苦悶と恍惚を描いた作品。製作総指揮は
マリオ・ガッロ、製作・監督はルキノ・ヴィスコンティ、脚色はルキノ・ヴィスコンティとニコラ・
バダルッコ、原作はトーマス・マン、撮影はパスカリーノ・デ・サンティス、音楽はグスタフ・マーラー(
第3・第5交響曲より)、衣装デザインはピエロ・トージが各々担当。

1911年のヴェニス(ヴェネチア)。グスタフ・アシェンバッハ(ダーク・ボガード)は休暇をとって、
ひとりこの水の都へきたドイツ有数の作曲家・指揮者である。蒸気船やゴンドラの上で、さんざん不愉快な
思いをしたアシェンバッハは避暑地、リドに着くと、すぐさまホテルに部屋をとった。

サロンには世界各国からの観光客があつまっていた。アシェンバッハは、ポーランド人の家族にふと目を
やった。母親(シルヴァーナ・マンガーノ)と三人の娘と家庭教師、そして、母親の隣りに座った一人の
少年タジオ(ビヨルン・アンデルセン)にアシェンバッハの目は奪われた。すき通るような美貌と、
なよやかな肢体、まるでギリシャの彫像を思わせるタジオに、アシェンバッハの胸はふるえた。
その時からアシェンバッハの魂は完全にタジオの虜になってしまった。

北アフリカから吹きよせる砂まじりの熱風シロッロによってヴェニスの空は鉛色によどみ、避暑に
きたはずのアシェンバッハの心は沈みがちで、しかも過去の忌わしい事を思い出し、一層憂鬱な気分に
落ち込んでいった。ますます募るタジオへの異常な憧憬と、相変らず、重苦しい天候に耐え切れなくなった
アシェンバッハは、ホテルを引き払おうと決意した。
出発の朝、朝食のテーブルでタジオを見た、アシェンバッハは決意が鈍った。だが駅に着いたアシェンバッハは、
自分の荷物が手違いでスイスに送られてしまったと知ると、すぐにホテルに引き返した。
勿論アシェンバッハの心は、タジオとの再会に、うちふるえていた。タジオへの思いをアシェンバッハはもう
隠そうともしなかった。タジオの行く所、いつも、アシェンバッハの熱い眼差しが後を追った。
タジオも、ようやく気づき始めているようだ。

しかしこの頃、ヴェニスには悪い疫病が瀰漫しはじめていたのだ。街のいたる所に、消毒液の匂いが立ちこめ、
病い冒され、黒く痩せ衰えた人々が、行き倒れになっていた。しかし、観光の街ヴェニスにとって旅行者に
疫病を知られることは死活問題であり、それをひた隠した。何とか聞き出したアシェンバッハはそれが、
真性コレラであることを知った。アシェンバッハは、それでも、ヴェニスを去ろうとはしなかった。
ただ、タジオの姿を追い求めて、さまよった。精神的な極度の疲労の中、肉体もコレラに冒されて、浜辺の
椅子にうずもれたアシェンバッハの目に、タジオのあの美しい肢体が映った。海のきらめきに溶け込んで
ゆくかの如き、タジオの姿にアシェンバッハの胸ははりさけんばかりとなり、最後の力をふり絞って差し
のべた手も、遂に力尽き、ガックリと息絶えた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometr:76% Audience Score:82%>



by jazzyoba0083 | 2017-08-21 23:20 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ピッチ・パーフェクト2 Pitch Perfect 2」
2015 アメリカ Universal Pictures and more.115min.
監督・(共同)製作・出演:エリザベス・バンクス
出演:アナ・ケンドリック、レベル・ウィルソン、ヘイリー・スタインフェルド
   ブリタニー・スノウ、スカイラー・アスティン、アダム・ディヴァイン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

一作目の出来が良く、とても楽しく見られたので、パート2のWOWOWでの
放映を心待ちにしていた。やっとやってくれました。
監督は交代。自らも出演していえるエリザベス・バンクスに。

二作目は難しいな、という典型。面白くないわけではないのだが、一作目を
超えることは出来ていない。やはり女子大生アカペラグループが青春しながら
成長し、ドタバタやって、お下劣でラストは大ハッピーエンド、という瑞々しさが
失われてしまった。

冒頭、いつものユニバーサルのロゴに載せる音楽も、大会の司会の二人が歌っている
という凝ったところもあるし、一作目では客席に向かって歌唱中ゲロを撒き散らすと
いう衝撃が、今回はオバマ大統領の誕生日イベントで、デブのエイミーが宙乗りで
登場、しかし、途中で逆さ吊りになり、履いていたパンツの尻が破けて、ノーパン
だったため、彼女の大事なところが、もろに客席に晒されるというハプニング。
大統領にエイミーのヴァジャイナを見せたということで、各マスコミからは叩かれるわ
学校からは謹慎を言い渡されるわで、凹みまくりのベラーズ。当のエイミーは
ちっとも凹んでいないのが笑わせる。

しかし、前回に優勝し、コペンハーゲンで開催される世界大会への出場権は失って
おらず、これに向け、かつてのベラーズのメンバーの娘も加入し、新生
ベラーズが、これまたドタバタでスタートした。
一方でベッカ(アナ)は、1人でレコード会社に潜り込み、ソロで何とか次の
ステップに踏み出せないか考えていた。そう、メンバーたちは卒業を控え、それ
ぞれの道を探さなければならない時期にもなっていたのだ。

新生ベラーズが実行したのは一作目で活躍していて今はOGになり合宿所を
経営しているオーブリーの元へと行く。なんだかどういう合宿をしているのか良く
分からないが、とにかく全員の心を一つにしようとしているのは確かのようだった。
世界大会の最大のライバルはドイツのダス・ミュージック・マシン。世界大会こそ
ベラーズに残された名誉挽回のラストチャンス。しかし、この大会でアメリカの
チームが優勝したことはないのだった。ハードルは高い。

一作目に比べ、コーラスの練習のシーンは少なくなり、サイドストーリーが多く
なって、縦筋の物語が薄い感じ。もちろん世界大会への挑戦ということはあるの
だが、モチベーションが前作に比べ、弱い。新人たちの活躍もエイミーとバンパーの
恋の行方も、あれもこれもと手を出して欲張りすぎたか。

ラスト、コペンハーゲンでの世界大会では、オリジナル曲(OGも加わって)の
披露もあり、圧倒的な存在感を示して優勝した。(優勝とははっきり言ってない
けど、当然そうなのだろう) これからは彼女らはそれぞれの道に入り、
ベラーズは新しい世代へと受け継がれて行くのだ。パート3も作るんだと。
余程気合を入れないと・・・。

アナ・ケンドリック目当てに見る方も多いかもしれない。私が好きなのはアカペラ
大会座付きの司会者の二人の、実況の時のユーモアとウィットに富んだ会話。
シモネタ、人種ネタ、政治ネタ、こんなこと言って大丈夫か、と思うようなセリフの
やり取りは、実は本編よりも期待値が高かったりする。この手のアメリカ映画の
出来の良さというのは、脚本家らが、どういう気の利いたセリフの応酬をするか、が
とても大きいのだ。

それにしても、実際に2カット出て来るオバマファミリーの映像、シチュエーションが
シチュエーションだけに、よく使ったな、と思う。日本だったらさしあたり安倍総理
夫妻の目の前でヤバイシーンが展開されるということだからね。

ブロードウェイ育ちのアナを始めとして、出て来るグループ、皆、歌唱はさすが。
それを聞いているだけでも楽しい青春映画だ。ラスト近くバンパーとエイミーの
あまりにもえげつない抱擁シーンを見て、皆が避難する、というところは笑った。
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<ストーリー>

『イントゥ・ザ・ウッズ』でシンデレラ役に抜擢されたアナ・ケンドリック
がヒロインを演じ、全米で大ヒットを記録した青春ドラマの続編。女性のみの
アカペラチーム、バーデン・ベラーズのメンバーたちが様々な試練に直面しな
がら成長していく姿を描く。前作よりさらにレベルアップした歌やダンスに
注目だ。(Movie Walker)

 大学の女子アカペラ部を舞台に描き世界的にヒットしたアナ・ケンドリック
主演の学園音楽コメディの続編。卒業を控え、最後にして最大の晴れ舞台
“アカペラ世界大会”での優勝を目指す“バーデン・ベラーズ”の面々の山あり
谷ありの奮闘の行方を描く。
共演はレベル・ウィルソン、ブリタニー・スノウ、ジョン・マイケル・ヒギンズ、
エリザベス・バンクスらに加え、新たにヘイリー・スタインフェルドが参加。
監督は本作のレギュラー・キャストでもある女優のエリザベス・バンクス。
これが記念すべき長編監督デビューとなる。
 
ベッカが所属する女子アカペラチーム“バーデン・ベラーズ”は全米大会で
初優勝を飾って以来、目下3連覇中。名実ともに充実の時を迎えていた。
ところがオバマ大統領の誕生日を祝うイベントでファット・エイミーが
とんでもない失態を演じ、チームは活動禁止の処分に。そんなベラーズに
唯一残された名誉挽回のチャンスは、強豪ひしめくアカペラ世界大会で優勝
すること。しかしこれまでアメリカ代表の優勝経験はゼロ。
しかも海外チームの超絶パフォーマンスを目の当たりにして、すっかり自信を
失ってしまうベッカたちだったが…。(allcinema)

<IMDB=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:66% Audience Score:64%>




by jazzyoba0083 | 2017-07-31 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ひつじ村の兄弟 Rams (Hrútar)」
2015 アイスランド・デンマーク・ノルウェイ・ポーランド 93min.
監督・(共同)脚本:グリームル・ハゥコーナルソン
出演:ジグルズル・シグルヨンソン、テオドール・ユーリウソン他
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<評価>★★★★★★★★☆☆>
<感想>

40年間に渡って口も聞かない疎遠な老兄弟が、ヒツジの危機をきっかけに
凍っていた心を溶かす、というドラマ。
何せ、見たことのない設定の中で繰り広げられるので、兄弟の愛憎劇は
ありきたりな感じではあるが、アイスランドの牧羊という珍しい環境が
物語性に新鮮味を与えていた。

また、牧羊には詳しくないので、ヒツジにも、口蹄疫とか鳥インフルの
ような全頭殺処分になるような感染症があることも初めて知った。

個人的には、あれほど憎しみ合っていた兄弟が、弟が隠し持っていた
ヒツジのことであっけなく和解してしまうのは、それまでの「振り」が
過激であったので、やや単純さを感じた。でも、はやり血は水よりも濃し、と
いうことでなのであろう。飲んだくれで凍死寸前の兄をパワーショベルで
病院に運ぶシーンは、いくら喧嘩をしていてもどこか家族の気配を感じる。

ラストシーン、あれ!という感じの幕切れだったが、このエンドこそ、
ヒツジで結ばれた家族、兄弟の姿であったとの象徴なのだろう。
15頭ほどのヒツジの行方も、かまくらの中で抱き合っている二人の生死
についても触れられない。
大雪の中でヒツジを隠すため高山に登る兄弟が夜中に遭難し、雪の中に
穴を掘り、裸になって抱き合って温め合うというシーン。かまくらの
中は衣服を付けているより裸になったほうが温まるものなのかな。

淡々と進む中に起承転結がはっきりと提示されていて分かりやすかった。
ただ大衆受けする映画ではないし、明るい映画でもない。人生のある
側面を切って取ったドラマである。いかにもカンヌっぽい作品だ。
ところであのヒツジは羊毛を採るのかラム肉にするのかどっちなんだろう。
調べてみれば、英語原題の「Rams」は種付け用の牡羊の複数形。いわゆる
ラム肉は綴が異なり「Lamb」(1歳未満の子羊)なんだね。
ちなみにSheepはヒツジ一般を表すのだそうだ。とすると、本作おヒツジ
くんたちは食肉用ということになるのかな。
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<ストーリー>

アイスランド辺境の村に暮らす老兄弟と羊の絆をユーモアを交えた語り口で
綴る人間ドラマ。
40年間口もきかないほど不仲の羊飼いグミーとキディーはある事件を契機に、
人生をかけて愛し続けた羊たちを守るため重大な秘密を共有することになる……。
監督・脚本はアイスランドの新鋭グリームル・ハゥコーナルソン。
出演は「ザ・ディープ(2012)」のテオドル・ユーリウソンほか。
第68回(2015年)カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ。

アイスランドの人里離れた村。隣同士に住む老兄弟グミー(シグルヅル・
シグルヨンソン)とキディー(テオドル・ユーリウソン)は、先祖から受け
継がれてきた優良種の羊の世話に人生のすべてを費やして生きてきた。
だがその一方で彼らは、この40年もの間全く口をきかないほどに不仲で
あった。

ある日、キディーの羊が疫病に侵され、村全体が恐怖にさらされる。
すぐに手を打たないと村の全員が破産してしまうかもしれないという
危機感から保健所は殺処分を命じる。一気に窮地に追い込まれたキディー
だったが、絶滅の危機にさらされた羊たちを守るために兄弟は40年ぶりに
力を合わせることになる。
それは二人がある重大な秘密を共有することであり、やがてその秘密が
彼らを大胆で無謀な行動へとかきたてていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:96% Audience Score:84%>




by jazzyoba0083 | 2017-07-10 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「普通じゃない A Life Less Ordinary」
1997 アメリカ Channel Four Films and more.103min.
監督:ダニー・ボイル
出演:ユアン・マクレガー、キャメロン・ディアス、ホリー・ハンター、デルロイ・リンドー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

ダニー・ボイルの作品は、"たくみなストーリー構成とブラックユーモア"とallcinemaに
は書いてあるように、(私は観た作品が多くなくてあまり全体像を言えないのだが、)
例えば「127時間」「スラムドッグ$ミリオネア」などを思い返すとたしかにうなずける。
本作も、彼としては監督業前半の作品であるが、その構成の巧みさと、ブラック感は
十分に味わえた。ラストの主役二人のカメラ目線の喋りはなんか白けたけど、後は
概ね面白く観た。

天使が地上に降りてある男女をくっつける役割を担うという骨子は既視感あり、だが、
この男女の天使(ホリー・ハンターとデルロイ・リンドー)の役回りが「殺し屋」と
いう立場で、話をややこしくかつ面白くしている役目を担っている。

清掃業をやりながら小説を書く(書いているつもり)のロバート(マクレガー)の
お馬鹿なセリフの数々や、セリーン(キャメロン)の行動やセリフもいい。
今回はボイル監督、脚本を書いていないが、「ザ・ビーチ」などでコンビを組んで
いる作家なので、二人三脚の塩梅は心得たものなのだろう。

ストーリーは単純。清掃マンとして働いていたロバートがロボットの導入で
いきなりクビになり、社長のところに銃を持って文句を言いに押しかける。
社長はと言えば。頭はいいのだが、一切働かない娘セリーヌが、しでかしたこで
喧嘩をしている最中。
ひょんな成り行きから、ロバートはセリーンを誘拐することになってしまう。

社長にしてセリーンのオヤジは結構悪で、セリーンを救出し、ロバートを殺して
来い、カネは回収してこいと、雇った殺し屋が、例の天使の二人だ。
彼らは彼らで、大天使から二人をくっつけてこないと地上に置き去りにすると
云われ、殺し屋というポジションで二人をくっつけるという悪戦苦闘。またそこの
涙ぐましい努力が可笑しい。

まあ、ロバートとセリーンは最後にはくっつくんだろうな、ということは分かって
いても、その二人の道程と、くっつけようと必死になる天使二人、自分のオヤジを
好いていないがカネは欲しいセリーン、彼らのほとんどドタバタの展開が面白く
テンポもよく、やがて物語はハッピーエンドに収束していくわけだ。

ユアンもキャメロンもまだ溌剌としていて、イイ感じ。(一番時間経過を感じさせた
のがスタンリー・トゥッチだった。個人的に好きだったのが誘拐しておいて
身代金を要求しないのは可笑しいでしょ、とセリーンから逆に説教されてしまい、
電話ボックスの中でセリーン指導の元、社長に電話するのだが、その一部始終が
笑える。日本語字幕も良くフォローしていると感じた。

ちょっと古い映画だが、古さは俳優の若さ意外感じない、面白い作品である。
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<ストーリー:結末まで触れています>
天使の策略で出会った男女の恋の逃避行を、ポップな演出で見せていくオフ
ビートなラヴ・コメディ。
監督は「シャロウ・グレイブ」「トレインスポッティング」の英国の新鋭
ダニー・ボイルで、彼のハリウッド進出第1作。
製作のアンドリュー・マクドナルド、脚本のジョン・ホッジ、撮影のブライアン・
タファノ、美術のケイヴ・クイン、編集のマサヒロ・ヒラクボ、衣裳のレイチェル・
フレミングはボイル作品の常連。

天国の警察署にて、天使のオライリー(ホリー・ハンター)とジャクソン
(デルロイ・リンド)は、署長ガブリエル(ダン・ヘダヤ)からある命令を
受けた。それは、わがままなお嬢様セリーン(キャメロン・ディアス)と、
その父ナヴィル(イアン・ホルム)の会社で清掃員をしているロバート
(ユアン・マクレガー)をくっつけるということであった。

オライリーとジャクソンの策略で、ロバートは仕事をクビになり、ガール
フレンドにもふられ、車も没収されてしまう。怒りが頂点に達したロバートは、
社長ナヴィルのオフィスに乱入、そこにいたセリーンを誘拐して山小屋へと
逃げた。
しかし山小屋では、完全にセリーンのペース。身代金交渉の電話でしどろ
もどろのロバートに、要領を教えるのもセリーンだった。
ふたりは仲良くなり、カラオケでデュエットもした。その頃、天使コンビは
ナヴィルに会って、セリーン救出の報奨金交渉の話をつけていた。

やがてセリーンとロバートはピックアップ・トラックを強奪し、山道で
約束の身代金の到着を待った。ところが天使コンビとの一悶着で、金は
手に入れられなかった。オマケに父親にクレジット・カードの使用を差し
止められてしまったセリーンは、怒って銀行強盗を思い立つ。
ところが、ロバートは警備員に足を撃たれてしまう。セリーンはボーイ
フレンドの歯科医エリオット(スタンリー・トゥッチ)に、ロバートの
足を手術してもらう。
だがセリーンとエリオットがいちゃついているのを見て、ロバートは
腹を立て、ひとりどこかへ行ってしまった。その様子を見て焦った天使
コンビは、セリーンに、ロバートが書いたと偽って愛の詩を送るのだが、
バカ正直なロバートのせいでうまくいかない。だがナヴィルが身代金を取り
戻そうと山小屋でロバートを詰問しているところを、セリーンが救い、
ふたりはめでたく結ばれた。そして結婚。スコットランドの城を買って、
幸せに暮らすことになった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:39% Audience Score:59%>



by jazzyoba0083 | 2017-07-05 23:35 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「プロバンスの休日 Avis de mistral」
2014 フランス Legende Films.105min.
監督・脚本:ローズ・ボッシュ
出演:ジャン・レノ、アンナ・ガリエナ、クロエ・ジュアネ、ユゴー・ディシュー他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

南仏プロバンスは、実に映画に向いているところで、これまでもいつもの
作品が作られてきた。特に夏が舞台となると、陽光と乾いた空気感が画像から
伝わってくるので見ていて気持ちがいいものだ。

本作はストーリーとしては平凡だが、観ていて、観終わって、ほんわかいい
気分になれる映画だ。パリで暮らす三人の兄妹が、おじいちゃんの住むプロバンスを
訪れるひと夏の風景を切り取る。おじいちゃんと子供らの母親は喧嘩して絶縁状態。
おばあちゃんに連れて行かれるのだ。
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一番下の4歳くらいのテオは聾唖の障害を持つが、性格は明るい。一番上の兄はPCと
ゲームばっかり。高校生くらいの妹レアは、やれフェアトレードだ、オーガニックだと
言っているけど、顔面ピアスの今時の女の子。そして、1人でオリーブを栽培している
おじいちゃんポール(ジャン・レノ)は、当然、古い価値観を持つ頑固者である。

田舎町にやってきた兄妹は、兄はアイスクリーム売りの年上の女性に恋心を抱き、
一方でやはり街に観光でやってきたスウェーデンの女の子にちょっかいを出す。
妹はアイスクリーム屋の女性の弟でフードトラックでピザを売っているイケメンに
一目惚れしてしまう。聾唖のレアだけが、まずおじちゃんになつく。

おじいちゃんとおばあちゃんはかつてはバイクで世界をツーリングしたアクティブ派
だったり、孫達は次第に祖父母の事を理解し始める。そして、かつてバイクで走り
まくった友人たち(今は老人だけど)がバイクで訪ねてくる。

このじいさんばあさんたちが、ウッドストックで出会ったとか言って、ロックなんだ
よね。ハーレーに乗る姿が様になる。かっこいいい。

レアが、ピザ屋の男は運命の人、とか言って、ちっとも祖父母のいうことを
聞かず、こまらせるが、この男がヤクの売人ということが分かり、猟銃を持って
二人のデート現場にハーレーで走るポール。この男は浜辺でデート中、レアに
LSDを与えていたのだ。銃を撃って脅し、二人の間を終わらせるポール。

何があったかはレアに教えず、ピザ屋の男は彼女の前から姿を消した。まあ
警察に捕まる前に逃げたのだけど。
やがてポールが品評会に出していた自作のオリーブ油が今年の金賞を獲得した
という知らせが入る。村のみんなからお祝いが寄せられる。

おじいちゃんのことを古いタイプとして毛嫌いしていたレアやアンドレアも
打ち解け、やがて夏の休暇が終わり、パリへと帰っていく。そこに疎遠だった
娘の姿が・・・。
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まあ、ひと夏の体験で孫達は貴重な体験をして一皮むけて大人になり、年寄り
たちもそれぞれの体験をして、プロバンスの夏は終わっていくのだ。
そんな話。南仏の光景が映画にゲタを履かせてくれている。それとピザ屋の
男も含め、いわゆる極悪人や底意地の悪い人間が出て来る映画ではないので
ほんわかしたい時に観ると気分転換になるような作品。

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:--- Audience Score:46%>



by jazzyoba0083 | 2017-07-04 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

ブルックリン Blooklyn

●「ブルックリン Blooklyn」
2015 アイルランド・イギリス・カナダ Fox Searchlight Pictures.112min.
監督:ジョン・クローリー
出演:シアーシャ・ローナン、ドーナル・グリーソン、エモリー・コーエン、ジム・ブロードベンド
   ジュリー・ウォルターズ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

1951年から52年ごろのお話。狭い世界を(アイルランドとブルックリンという距離的には
離れてはいるが、エイリシュという一人の女性の世界を描いたという意味で)、
淡々と描いている。

「忘れていたわ」「ここはそういう町だったということを」。このセリフに尽きるのでは
ないか?対比として描かれる冒頭の日曜ミサの後の雑貨屋の買い物シーンと、ブルックリンの
下宿屋での女将と下宿人(全員若い女性)との会話。

人の噂や暮らしが筒抜けで、息が詰まるほど人間関係が濃いアイルランドの田舎町。
ここを出て、NYのブルックリンに出てきたエイリシュ。オープンな会話と自分は自分という
ブルックリンの空気。恋人トニーの出現。
もともと利発な女性だったので、勤務したデパートでもやりての売り子となる。しかし、
彼女はここにとどまらず、夜間大学に通い簿記を習い、売り子から事務職への移動、
そしていずれ会社も変わろうと思っていたのだ。なかなか上昇志向の強いしっかりした
娘だ。スタテン島に上陸した時の彼女の顔、田舎にいる姉を思いホームシックに泣いて
いた時の顔、そしてトニーという恋人が出来てから、自信も生まれたころの顔の違うこと。
メイクも上手になったのだろうけど、恋もし生活に張りの出た若い女性の溌剌さに溢れていた。
ココらへんのエイリシュを演じたシアーシャ・ローナンの存在は上手かったな。

しかし、アイルランドでの姉の突然死。自分の未来に予想せぬ出来事が勃発した。
当時は船での往復なので、行って帰るのに時間がかかる。約1ヶ月を見ていたのだが、
トニーはエイリシュと離れることが不安でならない。トニーは結婚を迫り、エイリシュとて
断る理由もなく、二人は晴れて夫婦となった。そしてエイリシュは姉の葬儀に。

故郷は懐かしく、親友の結婚式に参加するために滞在を延期。すると結婚していることを
しらない友人らが一人の男性を紹介する。(ここがエイリシュのイカンところ。結婚して
いることを伏せて、その男性とさも気があるような付き合い方をする。自分の母にも当然
知らせてない。しかも姉の仕事の後釜を頼まれその優秀ぶりに、会社からずっといてくれ
と云われてしまう。)
男性の家にも行き、家族にも紹介され、周囲は二人が結婚するんではないかという噂で
持ち切りとなった。しかし、ある日、渡米前に勤めていた雑貨屋の嫌味な老女将が
エイリシュを呼んで、こんなことを尋ねる。「あなたが結婚届を出しに行った時に私の
親戚の人間がいて、エイリシュが夫婦になるところを見ているのよ。あなたはこの土地の
男性とかなり親しく付き合っているそうじゃないの・・・・」と。

このシーンでエイリシュが吐くセリフが冒頭に書いた「忘れていたわ」以下の言葉。
息が詰まるほど濃密な人間関係、街一番の話題が他人のおせっかいと噂話という田舎。
自分はそれが嫌でブルックリンに行ったのじゃないか、改めて気がつくのだった。

そして母に別れを告げ、早々にアメリカに戻っていく。トニーのもとに。自分が
決めた人生を歩ける街に。帰りの船上で、これからブルックリンに行く、という
少女と出会い、いろいろとアドバイスする姿は、これから自分の足で歩いて行くんだ
という気概に満ちていた。

原作があるのだが、実際、小説を読むが如しの感じだった。1950年台半ばの
アメリカの若者の倫理観・風俗(コニーアイランドでのデートや水着選び、水着の
着替え方などなど)がじわりとにじみ出てくるのも面白い。ボーイフレンドの
イタリア系移民トニーが、ヘタレかと思ったら(配管工なんだけど)結構、しっかり
しているので良かったね。男に騙されないで。可哀想なのはアイルランドで振って
しまった男だわ。アイルランドからブルックリンに移住してきたエイリシュという
一人の女性のおそらく人生最大のポイントが活写されていた、といえるだろう。
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<ストーリー>

1950年代を舞台に、アイルランドの田舎町からニューヨークへと移住した女性の
波乱の生涯を描くヒューマンドラマ。姉の勧めでニューヨークへ渡り、人生を
謳歌するヒロインをシアーシャ・ローナンが演じる。
原作はイギリスまたはアイルランド在住の作家に与えられる文学賞、コスタ賞に輝いた、
コルム・トビーンの同名小説。


 1950年代。アイルランドの小さな町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、
美人でキャリアウーマンの姉とは対照的に大人しく目立たない存在だった。
しかし彼女の将来を案じた姉の勧めでエイリシュはニューヨークへ渡米することを
決める。だがそこは生まれ育った小さな町とはあまりに違う生活。ブルックリンの
高級デパートでの仕事には慣れず、下宿先の同郷の女性たちは既に洗練されて会話
もままならない。激しいホームシックに陥り、アイルランドから届く姉の手紙を読み
返し涙に暮れるエイリシュの様子を見かねて、同郷の神父(ジム・ブロードベント)は
ブルックリン大学の会計士コースを受講するよう勧める。

やがて学ぶ喜びを知り、少しずつ前向きになっていくエイリシュ。そんな中、ある
パーティーでイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と出会った彼女は、
毎週大学に迎えに来る彼の誠実さに少しずつ心を開いていく。最新の水着に身を包み、
コニーアイランドでトニーと過ごすエイリシュは、いまや洗練されたニューヨーカーに
なっていた。
ところがある日、故郷から突然の悲報が届き、エイリシュはアイルランドへ帰郷する。
そんな彼女を待ち受けていたのは、トニーとは正反対のジム(ドーナル・グリーソン)と
の再会、そしてもう一つの幸せな人生であった……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:97% Audience Score:87%>






by jazzyoba0083 | 2017-07-02 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

二ツ星の料理人 Burnt

●「二ツ星野料理人 Burnt」
2015 アメリカ 3 Arts Entertainment and more.101min.
監督:ジョン・ウェルズ
出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、オマール・シー、ダニエル・ブリュール
   マシュー・リス、ユマ・サーマン、エマ・トンプソン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

このところオスカー主演男優賞ノミニーの常連だったブラッドリーが、評判に
なった「アメリカンスナイパー」の次に出演した作品。前作とはまた趣が真逆と
いうか。

こうしたシェフものはどうしても表現の限界があるように感じる。手元や
食材、完成した料理のリズミカルなカット、ボケの効いたキレイな画面、など。
そして、自分しか信じない頑固で無頼なシェフが、めちゃくちゃをやってから
再生し、自分だけではなくチームのチカラで、良いレストランにしていくと
いう本作のストーリーも、既視感ありというか、平凡なストーリーでは有る。

しかし、なんでかな、見ていて気分がいい映画なのだ。基本的に悪い人が
出てこないということかな。主人公のシェフ、アダム・ジョーンズ(クーパー)
を支える支配人トニー(ダニエル・ブリュール)、好敵手リース(リス)
そして厨房で彼を支えやがて愛し合うようになる副シェフ、エレーヌ(ミラー)、
師匠ジャン・ピエールの娘でアダムに想いを寄せるも、エレーヌの存在を知り
アダムの借金だけ払ってやって身を引くアンヌ・マリー(アリシア・ヴィカンダー)
アダムを支える精神科医ロッシルド(トンプソン)と、改めて並べてみると
いい人ばっかりじゃんか。主人公の自己主義的な自暴自棄な暴れん坊ぶりに周りが
振り回され、本人が勝手に爆発し、やがて周囲の温かさに触れ、料理は一人で作る
ものではないのだ、ということの楽しさを悟る、という・・・。

パリでアルコールやクスリで自滅したミシュラン二つ星シェフ、アダムが
ロンドンで今度は三ツ星を目指す、という闘いが縦軸になり、ざまざまな人間
模様が横軸になる。ラストは三ツ星が取れたかどうかは明らかにされず、
アダムの人生には多くの味方がいる、という確信を得て映画は終わる。
ハッピーエンドであろう。それにアダムは副シェフのエレーヌという愛する
女性であり強力な味方を得たのであるから。ラストでスタッフと決してまかないを
食べなかったアダムが、みんなとまかないを共に食べ美味しさに笑顔になると
いうところ、良かったんじゃないか。

まあ、唸る映画ではないが、料理という身近なテーマでリズム感とスピードも良く
展開が早くて、さらに先にも書いたように悪い人が出てこないので、気分良く
見終えることが出来た。引っかかりの少ない映画では合ったけど。それはまあ
それとして。「8月の家族たち」で名優たちを使って人間ドラマを上手く作って
いたジョン・ウェルズは、こうした人間模様を描くのが上手いのだろう。
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<ストーリー>
ブラッドリー・クーパーが、腕は確かだがトラブルを抱える元二ツ星レストランの
シェフを演じる人間ドラマ。
ロンドンのフランチレストランを三ツ星店にしようと奮闘する主人公と仲間
たちの奮闘を描く。シエナ・ミラーやダニエル・ブリュールらがレストラン
スタッフを演じる。監督は『8月の家族たち』のジョン・ウェルズ

美食の街パリの二ツ星レストランで腕をふるう料理人アダム・ジョーンズ
(ブラッドリー・クーパー)は、傲慢さからトラブルを引き起こし、店から
出ていく。
それから3年後。アダムは再起を図り、ロンドンでレストランを営む友人
トニー(ダニエル・ブリュール)に、世界一のレストランにするとかけあう。
自分を雇う約束を取り付けた彼は、女性料理人エレーヌ(シエナ・ミラー)や、
かつての同僚ミシェル(オマール・シー)ら最高のスタッフを集め、
レストランを新しくオープンさせる。しかし彼の抱える問題は、まだ解消しきれて
はいなかった……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:29% Audience Score:44%>




by jazzyoba0083 | 2017-06-28 22:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ハクソー・リッジ Hacksaw Ridge」
2016 オーストラリア・アメリカ  Cross Creek Pictures and more.139min.
監督:メル・ギブソン
出演:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ヴィンス・ヴォーン
   ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

沖縄戦をまともに扱ったハリウッド映画は意外に少ないのではないか。
一方的な闘い過ぎて、アメリカ軍の物量に任せた攻撃が酷いと見られて
しまうからだろうか。テーマになりづらいのだろう。今でも時々再放送が
WOWOWで放映されているHBO制作テレビドラマ、スピルバーグ総指揮の
「ザ・パシフィック」が戦闘のテイストとしては本作に近いかもしれない。

というわけで大手配給会社の腰が引ける中、買い付けたKino Filmに感謝
しなくてはならない。史実であるし、映画の最後には本人だけではなく
戦闘に参加した米兵の証言も付くので、さらに日本側での検証も行われるから
デタラメも描けない。メル・ギブソンとしてはそのあたりは悩んだのではないか。

しかし、本作の主題は、沖縄戦の戦闘が残虐だったとか、そうでなかったとか
言う問題でなく、あくまでも一人の「勇気ある武器を持たない兵士」の話なのだ。
確かに私達日本人側から見れば、圧倒的不利な火力の状態の中で、サブマシンガンで
なぎ倒される突撃日本兵を見ているのは愉快ではない。が、現実はそれに近いもの
であったのだろう。ギブソンは、敵兵たる日本兵のしゃべりを入れていない。
私が聞き取れたのはひとこと「天皇陛下」という単語のみ。日の丸も出てこない。
バンザイも聞こえない。ジャップという単語は米兵の間では交わされるが、ことさら
日本軍を卑しめるようなセリフはない。戦闘はむしろ、ギリギリの人間同士の
殺し合いを描いていて、そこに理性も正義もない状況が描かれていた。それは
ギブソン監督が主題をそらさないように仕組んだことだろうし、日本軍憎し、の
映画ではないからそうすることが必要だったのだろう。

さて、前置きが長くなったが、本作、ラストシーンあたりでは、主人公のあまりの
純粋な博愛精神に涙が出てきた。ここまでする人間がいるのか、と。

ただし、よく考えてみると、アメリカという国は「良心的兵役拒否」が法的に
守られていて、「選抜徴兵制」という日本とは異なった兵役制度が敷かれ、
さらに国の基本としてキリスト教という強いバックボーンがあったことを理解
しておく必要があると思う。1945年(終戦の年)に「志願する」ということが
日本人として不思議に感じるだろう。

もし、本作の主人公のような人物が日本にいた場合、同じように立ち回れるのか
といえば、絶対にありえない。まず特高に捕まり拷問の上、投獄されるのが関の山。
たとえ軍隊に入ったとしても、「銃をもちません」なんてことを言おうものなら
「なにい!きさまあ!軍隊をなめとるのかああ!」とボコボコにされるのは必定。

衛生兵として「救うこと」が僕の戦争、という理屈が認められるのはアメリカだから。
それを割り引いても、志願入隊し、信念を曲げず、ついにはハクソーリッジの闘いで
1日に敵味方合わせて75人ものけが人を救いだす、ということを成し遂げた彼の
強さには参った。ああいう人物がいた、ということを知っただけでも観た甲斐が
あった。主人公が仲間に受け入れられていく過程は、ちょっと周りがいい人たちに
描かれ過ぎ(恋人のドロシーを含め)のウラミはあるが、当時のリアルな仲間たちも、
彼ほどの勇気は持てないと彼を受け入れたからにすぎない。主人公も「ボクは守る。
君らは殺せ」との立場で決して、仲間たちが敵兵を殺すことを邪魔しようとは思わ
ない。その立ち位置が受け入れやすかったという面もあろう。

一部では「やりすぎ」の声もある戦闘シーン。だが、目をそむけたくなるほどの
状況が戦争の本質ということを思うと、主人公のやり遂げた行動を一層際立たせる
ためにも、リアルであって良かったと思う。戦場とは、隣に「死」が常にいると
いうことをこれでもか、という具合に見せる。

主人公デズモンド・ドスを演じたアンドリュー・ガーフィールドは、「沈黙-
サイレンス-」に次ぐキリスト教的立場の役柄だったが、オスカー主演男優賞に
ノミネートされたように、主題を良く表現出来た演技であった。その他は
ことさらメジャー級の配役をせず、物語を浮き上がらせることが出来ていたので
はないか。
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<ストーリー>

衛生兵として一晩で75名の日米の負傷兵を救い、武器を持たない兵士として
アメリカ史上初の名誉勲章を受けたデズモンド・ドス。アンドリュー・
ガーフィールドがドスを演じ、メル・ギブソンがその半生を映画化した人間
ドラマ。沖縄の激戦地“ハクソー・リッジ”でドスが取った勇気ある行動が
臨場感あふれる戦闘シーンとともに描かれる。

ヴァージニア州の田舎町で育ったデズモンド・ドス(アンドリュー・
ガーフィールド)の父トム(ヒューゴ・ウィーヴィング)は第1次世界大戦
出征時に心に傷を負い、酒におぼれて母バーサ(レイチェル・グリフィス)
との喧嘩が絶えなかった。
そんな両親を見て育ち「汝、殺すことなかれ」との教えを大切にしてきた
デズモンドは、第2次大戦が激化する中、衛生兵であれば自分も国に尽くせると、
父の反対や恋人ドロシー(テリーサ・パーマー)の涙を押し切り陸軍に志願
する。

グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)の部隊に配属され、上官のハウエル
軍曹(ヴィンス・ヴォーン)から厳しい訓練を受けるデズモンド。生涯武器には
触らないと固く心に誓っている彼は、上官や仲間の兵士たちから責められても
頑なに銃をとらなかった。
ついに命令拒否として軍法会議にかけられても貫き通した彼の主張は、思わぬ
助け舟により認められる。1945年5月、グローヴァー大尉に率いられ、
第77師団のデズモンドとスミティ(ルーク・ブレイシー)ら兵士たちは沖縄の
ハクソー・リッジに到着。そこは150mの断崖がそびえ立つ激戦地だった。
倒れていく兵士たちに応急処置を施し、肩に担いで降り注ぐ銃弾の中をひるむ
ことなく走り抜けるデズモンドの姿に、感嘆の目が向けられるように。
しかし丸腰の彼に、さらなる過酷な戦いが待ち受けていた。(Movie Walker)

<IMDB=★8.2>
<Rottten Tomatoes=Tomatometer:87% Audience Score:92% >


by jazzyoba0083 | 2017-06-25 12:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「フェイク・ライフ ー顔のない男ー Un illustre iconnue」
2014 フランス・ベルギー  Capter 2,Pathe and more 118min
監督・(共同)脚本:マチュー・デラポルト
出演:マチュー・カソヴィッツ、マリ=ジョゼ・クローズ、エリック・カラヴァカ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
特殊メイクを使って他になりかわってしまうことを、趣味以上の性癖に
してしまっている男の話。冒頭の爆発シーンからリバースする画面を見ると
この話一つ、というカンジがするのだが、大団円はさにあらず。

他人と入れ替わる、という映画はこれまでもいろいろとあったのだが、
本作は、主人公の背景を説明せず、性癖のみに特化して展開させ、最終場面で
彼が手に入れたものを提示して終わるのだが、それが彼の心の動きを
単純化して示していて分かりやすく面白かった。特殊メイクのプロだからと
言って、子どもの認知を迫る女性や、子どもからはバレないものだろうか?
もともと似ている顔立ちを選ぶといっても。

不動産屋の従業員セバスチャン・ニコラは、部屋を探しに来た男になりすまして
みる。彼の部屋に行ってあたかも彼のように過ごしてい見る。(おかしいやつ
なんだよね)断酒会のカードを見つけると、彼になるりすまして参加し、
作った身の上を語ったりしていている。バレることを考えないのだろうか。
案の定、そこで「お前は誰だ?」と指摘され、逃げ出し、後を追いかけられると
いう危険にも会うわけなんだけど。

そのセバスチャン、次回に狙いを付けたのは、高名なピアニストなのだが事故で
指を二本失いった男。世をはかなんで隠遁しているような男モンタルトに目を
付ける。二本の指が無いのなら、と自分の指も包丁で落としてしまう。(痛い!)
さっそく完璧な変装。喋り方までしっかりと研究する。さらに彼を自分の家に連れ
込み、自分に仕立て上げて、「この電話を聞く頃自分はいません」と留守番電話に残し、
ガス爆発で家ごと吹き飛ばしてしまう。これが冒頭のシーンだ。
しかし、モンタルトの元に愛人クレマンスが登場、自分の子ヴァンサンを認知しろと
迫る。このヴァンサン少年、凄腕のバイオリニストなのだ。
クレマンスとヴァンサンに愛されているという感情が芽生え、「他の誰でもない」
「自分という存在を消して生きる」という人生を楽しんでいたセバスチャンの
生き方に変化が生まれる。それはモンタルトとして生きることで、ヴァンサンの
成長を見つめ続ける幸せ、ということだ。

だが、ガス爆発を調べていた警察は、ついにモンタルトがセバスチャンであり
殺人犯であるということを突き止め、セバスチャンは逮捕され、刑務所に送られる
ことになる。が、彼はこれまでの性癖を脱し、ついに自分を見出したのだ。

「何者でもない自分」「他人の人生でしか楽しめない自分」でも、自分とは誰か、
とわかった時はすでに遅かったのかもしれないが、刑務所から出てきた時の
セバスチャンはきっと、人を愛せる「自分がある」人間になっているのだろう。
高邁で哲学的なテーマではあるが、描写が俗っぽいので、そのあたりで魅せる映画だ。
ヨーロッパの映画だなあ、と感じさせる一編だ。
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<ストーリー>
42歳の独身男性セバスチャンは表向き、不動産会社で働く真面目な人物。だが、
自分が出会った男性に特殊メイクを使ってなりすますことで、自身が孤独である
ことをごまかしながら生きるという、異常な一面があった。そんなセバスチャンは、
著名だが気難しいバイオリニスト、アンリに家を探す仕事を担当し、本人に悟られ
ないようアンリになりすまし始めるが、アンリが自分の息子の父親であると主張
する女性クレマンスと出会い……。
(wowow)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audiece Score:62%>







by jazzyoba0083 | 2017-05-31 23:20 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)