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●「張り込みプラス Another Stakeout」
1993 アメリカ Touchstone Pictures.108min.
監督:ジョン・バダム
出演:リチャード・ドレイファス、エミリオ・エステヴェス、ロージー・オドネル、デニス・ファリーナ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

前作から6年経過し、ドレイファスとエステヴェスコンビの続編が作られた。シアトル市警のデコボコ
コンビの活躍、前回を踏襲しつつ、お笑いの要素を濃くまとめた。結果、映画を見ながら笑うシーンは
確かに増えたけれど、反面、刑事モノとしての面白さが減ったように思う。前作はバディムービーの傑作と
してファンに語り継がれているが、続編はそうはいかなかった。ま、要は好みだろうけど、個人的には
本作も嫌いじゃない。一つ惜しいのは、allcinemaの評にもある通り、話がとっちらかって、締りが
弱くなってしまったことだ。特に、今回の監視対象になり証人をかくまうオハラ夫妻の役どころが結構
いい加減に終わってしまったこと、ドジな女性検事補がドジになりきれていない(これ、描き方難しいん
だけど)部分。

前作を観た人は、クリスの妻マリアの出自など、また冒頭の魚市場での追跡劇で、頭から魚をかぶる所などは
ニヤリとする所であろう。一番の刮目しどころが冒頭の証人を保護する爆破シーン。そして爆笑のシーンが、
夕食に招待されたオハラ夫妻が、デザートのアイスクリームを帰りたい一心で早食いし、頭痛になってしまう
所であった。
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<ストーリー:結末まで触れています>
シアトル市警の名物刑事コンビ、クリス(リチャード・ドレイファス)とビル(エミリオ・エステヴェス)は、
組織犯罪の重要な目撃証人ルー・デラーノ(キャシー・モリアーティ)探索の応援を命じられた。ルーは、
シンジケートの放った殺し屋トニー(ミゲル・フェラー)に命を狙われていた。

ルーは、シアトル沖のリゾート地、ベインブリッジ島在住のオハラ夫妻(デニス・ファリーナとマーシャ・
ストラスマン)とだけ連絡を取っているという。張り込み捜査には、判事の高級別荘が使われることになった。
女性検事補のギャレット(ロージー・オドネル)も加わり、クリスとビルが実の父子、再婚して5年目の後妻が
ギャレットという設定で、ギャレットの愛犬アーチーも含めた3人と1匹の〈家族〉は、島の別荘へ向かった。

彼らはさっそくオハラ夫妻に接触。盗聴器の必要に迫られた3人は夫妻を夕食に招いたすきに、ビルが侵入して
仕掛けようと試みる。だがビルは、侵入した直後、隠れていたルーの一撃を受けて昏倒。そうとも知らず、
ギャレットとクリスは夫妻を引き留めようとして必死になる。遂に夫妻は帰ってしまうが、2人はルーと
縛られたビルの姿を見て驚く。ルーはビルを組織の殺し屋と勘違いして、彼を車のトランクに入れて舟着き場へ
向かう。残された2人は追跡し、車ごと沈められようとしていたビルを救出する。

一方、検察内部の内通者からの伝達で、ルーの所在を確認した殺し屋トニーは、オハラ家へ向かう。
彼を目撃したクリスとビルは後を追うが、警官に誤解され足止めされる。その間にトニーはオハラ邸に侵入し
人質をとるが、アーチがとびかかったすきに射殺された。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=18552#1こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-11-16 23:00 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

張り込み Stakeout

●「張り込み Stakeout」
1987 アメリカ Touchstone Pictures.117min.
監督:ジョン・バダム
出演:リチャード・ドレイファス、エミリオ・エステヴェス、マデリーン・ストー、エイダン・クィン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

所謂「バディムービー」は何を以って嚆矢とするのか、色々と調べてみたのだが、どうやら
1982年製作、ウォーター・ヒル監督作品「48時間」が、その後、刑事二人組の活躍を描いた作品の
今のスタイルを作ったとする声が高い。エディ・マーフィーはこの後「ビバリーヒルズ・コップ」と
いう出世作に出演することになり、また「リーサル・ウェポン」などの人気バディシリーズも生まれ
ハリウッドの一つのジャンルとなっていったようだ。異論もあろう。昔をたどればテレビ映画に
「スタスキー&ハッチ」という傑作もあった。

そういう「バディムービー」の傑作は?と問われると大体、ジョン・バダムの本作が入ってくる。
アメリカの批評サイトの評価も高い。allcinemaでも傑作と評する向きが多いのだが、私はそれまで
かなあ、と感じた。面白くなくはないのだけれど。時代も古いのでいささかクラッシックな笑いとか
ストーリーであることは割り引くとしても、刑事モノとしてのスリリングなところがやや薄いと思う。
カーチェイスなど盛り上げるところもあるし、数々の名作に関わってきた撮影監督ジョン・シールの
味わいのあるアングルなどもいいのだけれど。まあ、個人の好みに帰結してしまうのだが。

リチャード・ドレイファスとエミリオ・エステヴェス(マーティン・シーンの息子だけあって良く
似ているし、当たり前だけど弟のチャーリー・シーンにもそっくり)のコンビ、これはなかなか
良かったけど、ややもすると双方がボケになってしまう感じもする。
マドンナ的存在のマデリーン・ストー、今でも十分美しいがこの映画では若々しさが、一層美しい。
この後、続々と作られていく派手な作りのバディムービーに隠れてしまいがちだが、このジャンルの
中では落ち着いた面白さの作品ということが出来るだろう。
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<ストーリー:結末まで触れています>
アメリカ西海岸の最北端に位置する港町のシアトル。刑事のクリス(リチャード・ドレイファス)と
その相棒のビル(エミリオ・エステヴェス)は、魚加工工場で大立回りをしたわりにまんまと
犯人に逃げられてしまうというドジなコンビ。この2人がFBIを通じて特命を任じられる。

警察官を殺して服役中だった凶悪犯スティック(アイダン・クイン)が脱獄したので、その恋人
マリア(マデリーン・ストウ)の家を24時間態勢で「ステイクアウト(張り込み)しろ!」と
いうもの。仲の悪い刑事コンビとの昼夜交替制で、彼らは夜間の張り込み。マリアの家の向かいの
オンボロ屋敷の2階に、望遠カメラや高性能マイクやビデオなどの“ハイテク盗聴メカ”を備えつけて
ウォッチングの開始。

はじめは、何も起こらないことにうんざりしていたクリスだが、彼女が若くて美人だと判ると
「まんざらでもない仕事だ」と言って、ビルと望遠鏡の奪い合いをする始末。ある日、電話の
盗聴をするために電話屋に扮して彼女の家を訪れたクリスは、実際に彼女を目にして、その
魅力にまいってしまう。彼女の方も彼に好意を持ち、スーパーの買い物で再会した彼らは
恋に落ちてしまう。彼女の家に一泊しての“朝帰り”に犯人と間違えられたりと、刑事と犯人の
恋人との“あぶない恋”。そんな折、一時は警察との銃撃戦で死んだと思われていたスティックが
戻って来た。クリスとマリアは人質として捕われてしまい、スティックはカナダへの高飛びを
図る。しかし、ビルの助けもあって何とか無事に事を終えるのだった。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=18551こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-11-12 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期 Bridget Jones's Baby」
2016 イギリス・フランス・アメリカ Miramax,Studio Canal,Universai Pictures,Working Title Films.123min.
監督:シャロン・マグガイア  原作:ヘレン・フィールディング
出演:レニー・ゼルウィガー、コリン・ファース、パトリック・デンプシー、エマ・トンプソン、ジェマ・ジョーンズ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:ネタばれしています>

人気だったラブコメの第三弾。第一作が2001年、二作目が2004年だから、随分と時間が経った。
本作の中に過去の映像が出てくるのだが、レニーもコリンも流石に若い。だがコリンなんかは逆に
貫禄が出て、「いい男」になっている。レニーは、顔をいじくりすぎて顔面崩壊か、なんてゴシップ誌に
書かれていたので、心配したが、普通に年を取った感じでホッとした。今や顔面崩壊はメグ・ライアンとか。
一作が100分にも満たないコンパクトなラブコメで、これが良く出来ていて(本作でレニーはオスカー
ノミニーに)面白かったのだが、本作は二時間超え。ちょっとしんどいかな、と思ってみたのだが、これが
なかなか面白く、ラブコメの王道的ストーリであるが、ラストのカタルシスも含め、楽しい2時間だった。
ただ、やっぱりちょっと長いかな。rottentomato での支持は77%である。

1,2作では幼馴染のコリン・ファースと、会社でのプレイボーイ、ヒュー・グラントとの恋の鞘当てで
あったが、今回ヒューは写真出演のみ(爆)。なぜなら、旅行リポーターであった彼の乗った航空機が
事故を起こし、葬儀にレニーが出席しているからだ。で、今回コリンとレニーを争うのはアメリカ人
IT実業家という設定のパトリック・デンプシーだ。
二作目で、弁護士マーク・ダシー(コリン)と落ち着くのか、と思われたのだが、実はブリジットは
まだ独身。御年43歳になっていた。テレビリポーターから今や、局の看板ニュース番組の敏腕プロデューサーと
キャリアを重ね、責任も重くなっていた。相変わらず、ダラシなくてドジな毎日ではある。
そんなブリジッドが友人と出かけたキャンプ会場で、間違えて入ったテントで、会場で知り合った
アメリカ人IT実業家ジャック(パトリック)と出会い、一夜を共にする。

一方、親戚の洗礼式で再び幼馴染の弁護士マークと出会う。その時は女性と一緒だったが、
マークが彼女とは離婚協議中だ、との説明があった。彼はどうしてもブリジットの事が忘れられないのだった。
そして彼とも一夜を共に。 

当然の帰結?としてブリジッドは妊娠してしまう。さて父親はどっちだ?

本作ではブリジットの親友との間も含めた私生活、村会議員に立候補中の母親との顛末(父親とも)、
テレビ局プロデューサーとしてのドタバタ、そして弁護士マークとのストーリー、更にアメリカ人ジャック
との関係、産婦人科医との関係というシークエンスが大きな物語へと紡がれていく構造となっている。
シモネタも含め、結構笑えるし(王道のギャグだけど面白い)、愛すべき我らがブリジットはあくまでもドジで
あるし、マークは優しく、ジャックは紳士である。両親や友人は理解があるし、そうした温かい空気の中でドジで
間抜けなブリジットが愛おしく感じる出来となっている。そのあたり、レニー、コリン、パトリック、そして
今回は共同脚本も手がけた産婦人科医役エマ・トンプソン、母親役のジェマ・ジョーンズという
演技の達者な役者の活躍が大きいと感じた。結構典型的な収まり方をするドラマだが、役者たちが光る映画だ。
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さて、エンディング、(ネタバレになります)誕生から1年後、マークとの結婚式場でベビーを抱いているのが
ジャック、その背後から新郎マークが登場というシーン。生まれた赤ちゃんとのDNA検査などがありどちらの
ベビーかはもう分かっているのだが、医師が何かを告げるようなシーンは出てこなかった。
絵づらから見れば、ベビーはマークとの子供、ということが出来るだろうが、いや、赤ちゃんはジャックの
子供で、結婚はマークとしたが、マークは子供を自分の子として育てることは作中に伏線があるし、ジャックが
マークの子供でも支えるとかいうシーンもあるので、結局どちらの子供かは観ている人に委ねられていると
いうことが出来るのではないだろうか。
そして、飛行機事故にあって遺体がまだ見つかっていなかったダニエル(ヒュー・グラント)が生存していた、
という新聞が映される。まだ続編があるのか。波乱の予感を残して映画は終わるのだった。

そしておそらくこの映画を観る多くの方が感じるだろうが、使われる音楽がいい。70年80年台のヒットポップスが
多用されていて登場人物の時代背景とマッチしていて、同じ年齢層の皆さんの琴線に触れることだろう。

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=357055こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-11-03 12:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ヴェルサイユの宮廷庭師 A Little Chaos」
2014 イギリス BBC Films,Lionsgate and more.114min.
監督・(共同)脚本:アラン・リックマン
出演:ケイト・ウィンスレット、マティアス・スーナールツ、アラン・リックマン、スタンリートゥッチ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

今年(2016年)1月、他界したアラン・リックマンが生涯に監督した2作品のうちの最新作にして監督遺作。
彼はもともと舞台の人で、後、映画に出始めた。一作目「ダイハード」(1988)で、ラスト近くに目を
剥いてビルから落下するテロリストの役が印象深い。私は観ないのだが、「ハリーポッター」シリーズでの
スネイプ先生が記憶に残る人も多かろう。

そのリックマンが監督し、共同台本を手がけ、ヴェルサイユ宮殿を作らせた太陽王ルイ14世も演じている。
出来の良し悪しよりも、フランスを舞台にした映画が全編英語で作られている時点で、個人的にはもうダメ。
名優ケイト・ウィンスレットの演技をもってしても補えない根本的な問題である。
私は、例えばヒトラーや第二次世界大戦の欧州戦線を描くものでは、フランス人はフランス語、ドイツ人は
ドイツ語、イタリア人はイタリア語を喋って欲しいし、太平洋戦争を描いたら日本軍は英語ではいけないと
思っている。

そんな不自然な感覚に苛まれつつ、鑑賞した本作、広大な土地に建てられた豪奢な作りと広大な庭園を持つ
ヴェルサイユ宮殿。ルイ14世から信頼も厚い実在の造園家ル・ノートルと、彼が実際に作り上げた
「ロカイユの木立」という、ヴェルサイユの中でも異質な空間である舞踏場の建設に絡み、女流造園家と
いうフィクションを挟んで作り上げたオリジナルストーリーであり、その物語自体の出来は良い。
ただ、「ロカイユの木立」を作り上げるという工程と、ル・ノートル(スーナールツ)と平民の未亡人
造園家マダム・ド・バラ(ウィンスレット)の恋愛模様が、どっち付かずになってしまい、いきなり舞踏場が
完成してしまう時間の飛ばし方に違和感を覚えた。

アラン・リックマン演じるルイ14世、わがままで高慢ちきな嫌な王様という印象を勝手に持っていたが、
実に人間らしく描かれていて、また、当時の宮廷の退廃的な雰囲気もそこそこいい感じだった。
中世ヨーロッパの映画って、衣装とか建物とか馬車とかお金がかかるだろうに、リックマンはこの物語が
気に入ったのだろう。ケイト・ウィンスレットはどこかイギリスの匂いがしてしまう。いい演技だけど。
当時、平民の女性が宮廷の仕事をいわばオーディションで募るというようなことがあったのだろうか?

ヴェルサイユ宮殿の中でも、いわば前衛的な、当時重んじられた調和や秩序というものに逆らった
ような「ロカイユの木立」。これが出来たのは一人の女性庭師の存在と、天才造園家ル・ノートルとの
出会いがあり、その間に恋愛模様があったら更に面白いという着想は良いと思うので、言語の問題が
ほんとにもったいない。
映画の中で完成する「ロカイユの木立」は、本物とそっくりでよく出来ている。当時の男性貴族たちが
濃い色(黒とかこげ茶)のパーマを当てたようなロングヘヤーのカツラを付け、化粧をしている姿を
改めて見ると、変な時代だったんだなあ、と感じる。まあチョンマゲ結っている日本も外国人が見れば
とんでもない姿だったんだろうけど。フランスには数度行っているが、ヴェルサイユは未踏なので、
次回訪れる機会があれば、是非「ロカイユの木立」を訪れたいものだ。
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<ストーリー>
英国の名優アラン・リックマンが97年の「ウィンター・ゲスト」に続いて2度目の監督を務めた歴史
ロマンス。世界でもっとも有名な庭園の誕生に秘められた名もなき女庭師の愛と勇気の物語を描く。
主演はケイト・ウィンスレット、共演にマティアス・スーナールツ、アラン・リックマン、スタンリー・
トゥッチ。

 1682年、フランスの田園地方。一人で生きる女性サビーヌ・ド・バラは、造園家という職業に誇りを
持ち、日々庭造りに精を出していた。そんな彼女のもとに一通の書状が届く。それは、ヴェルサイユに
王宮を移す時の国王ルイ14世が、最高の庭園を造るべく、民間の造園家にも広く参加を募るという
知らせだった。

さっそく、庭園建設の責任者ル・ノートルの面接へと向かうサビーヌ。女性であることで同業者からは
蔑まれ、肝心の面接でもル・ノートルと意見が対立してしまう。落選を覚悟したサビーヌだったが、
調和の中にわずかな無秩序を取り込む彼女のユニークな感性がル・ノートルの興味を惹き、晴れて
“舞踏の間”の建設を任されることに。やがて限られた時間と予算の中で、いくつもの困難に直面する
サビーヌとル・ノートルだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353306こちらまで。








by jazzyoba0083 | 2016-10-24 10:25 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「パパが遺した物語 Fathers and Daughters」
2015 アメリカ Andrea Leone Films and more.116min.
監督:ガブリエル・ムッチーノ
出演:ラッセル・クロウ、アマンダ・サイフリッド、カイリー・ロジャース、アーロン・ポール、ブルース・グリーンウッド他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

主人公のケイティ(愛称・ポテトチップ)を演じたアマンダは、これまでセイフライドと表記して来たが、
アメリカでの発音に近いサイフリッドに本作から変更することにする。ギレンホールといい、人の名前は難しい。

さて、本作。ラッセル・クロウの父と、幼いころのケイティを演じたカイリー・ロジャースの二人の演技が
良く、また計算されたフレーミング、ステディカムとクレーンを効果的に使ったカメラワークの美しさに惹かれて
観てはいたが、ストーリーはエンディングに向けて少々強引過ぎ、邦題にあるような「パパが遺した」愛娘を
書いた物語がどんな内容なのかを明かさないまま終わるという難点がある。さらに云えば、育った環境から
行きずりの男を漁るという「病気」なのに、ラストでケイティの元を離れていった男性と再びくっつく設定が
安易だな、とも感じた。

全体としては幼いころのケイティの物語と、成長してからのケイティの物語、2つの時制が行ったり来たり
しながら構成される。父ジェイク(ラッセル)は著名な小説家で、ケイティが幼い頃、妻(ダイアン)と
クルマの中でジェイクの浮気問題で喧嘩中、ジェイクのよそ見で事故を起こし、妻は死亡、自身も大怪我を
負った。後遺症に悩むジェイクは周りのアドバイスも有り、ケイティを妻の妹夫妻に預け、精神病院で7ヶ月の
リハビリをして出て来る。しかし後遺症は全治していなかったのだった。
退院してケイティを引き取りに行くと、妹夫妻はケイティを養子に欲しいと言い出す。

25年が経過して、ケイティは心理学を学んだ大学を卒業し、ケースワーカーとして働いていた。そこで
知り合った黒人の少女に自分の幼い頃の姿を重ね、少女の心を開かせる努力をする。
一方で自分の心に開いた穴(つまりは幼いころに母を失い、数年で父をも事故で失ったことから来る
精神的不安定)を埋めるため行きずりの男と寝ることを重ねていたのだった。

妻を失って自分も大怪我をしてからのジェイクは一度小説を批評家にこてんこてんにされるが、次作では
自分の娘ケイティを主人公にした「Fathers and Daughters」を3週間で書き上げた。小説は大ヒットと
なるが、本人はバスルームで発作に襲われて転倒し、頭をスチーム暖房機に打ち付けて死んでしまった。
彼が遺した本は死後ピュリッツアー賞も獲得したのだった。

成長したケイティと出会う小説家志望の男性キャメロンとのこと、妹夫婦に養子によこさないということ
で裁判を起こされて、金策に悩むジェイク、ケイティとケースワーカーとして対峙する黒人少女などの話題が挿入される。

一つ一つのエピソードはどこかで観たことがあるような既視感があるものの、一定の手堅さで纏められ
て来たが、ラストで「ええ?こう纏めちゃうわけ?」という仕立てになっていてイージーさが感じられ
個人的には残念であった。
アマンダはもともと目が大きい人なのでもう少しふっくらしたほうが美しい。本作では心に闇を持った
女性を痩せた体で演じていたのはフィットしていたとは思ったけど。
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<ストーリー>

父親と息子の絆を描いた『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノ監督が、ニューヨークを舞台に、
小説家の父親と幼い娘の愛を描くヒューマンドラマ。今は亡き父親の愛を知り、人を愛する事ができなかった
トラウマを克服していく少女のその後の姿をアマンダ・サイフリッドが、その父親をラッセル・クロウが演じる。

小説家のジェイク(ラッセル・クロウ)は交通事故を起こし妻を失い、自身もまた入院することになり、
7歳の娘ケイティ(カイリー・ロジャーズ)と離れ離れに。ジェイクが退院できたのは、7ヶ月後のことだった。
ジェイクはこれからはずっと一緒にいるとケイティに約束する。それから25年が経ち、成長したケイティ
(アマンダ・サイフリッド)は大学院で心理学を専攻していた。トラウマから人を愛することができずにいたが、
娘とのことを綴った父の遺作を愛読する作家志望のキャメロン(アーロン・ポール)と出会ったことから、
ケイティは過去と向き合おうとする。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353514こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-10-19 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「『僕の戦争』を探して Living is Easy with Eyes Closed」
2013 スペイン Fernando Trueba Producciones Cimematograficas and more.109min.
監督・脚本:ダビ・トルエバ
出演:ハビエル・カマラ、ナタリア・デ・モリーナ、フランセク・コロメール、ラモン・フォンセレ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

本作のベースになっているジョン・レノン主演で1966年に製作された「僕の戦争」は、日本では
劇場未公開で、私も未見である。
この映画、本国ではゴヤ賞6部門を獲得し、この年のアカデミー賞外国語映画賞部門のスペイン代表映画でも
あったのだ。この手の映画が放映されるからWOWOWはありがたい。

本作は、スペインに実在した、ビートルズの歌の歌詞を使って英語の授業をする教師が、ジョンが
映画の撮影のためスペインを訪れているというニュースを聞き、当時レコードに歌詞カードが付いて
いなかったため、歌詞がはっきりわからないという点を尋ねたいということも含め、敬愛するジョンに
ひと目会いたいと、出かけていく。その道中で家出した少年フアンホ、なさぬ子を身ごもり人生に行き
詰ったベレンを拾い、旅をする中でそれぞれの人生を見つめ再発見するお話だ。
 英語タイトルはビートルズファンなら一発でお分かりだと思うが、名曲「ストロベリーフィールズ
フォーエバー」の歌詞の一部で、その意味は多分に本作の内容に対し寓意的でもある。

本作はストーリーの展開が激しいものではないが、登場する人々が織りなす物語は、優しく、温かく
胸に響く。背景となっている時代、スペインはフランコ圧政下にあったのだが、その閉塞感も含め
上手いこと人間ドラマが繰り広げられている。

冒頭、教室では「Help!」の歌詞を使って英語の授業が進められている。教師アントニオは歌詞の意味を
生徒に尋ねるが、まだ幼い子供らは含蓄など分からない。そんなアントニオ、ある日ジョンが新しい
映画の撮影でスペインに来ていると聞き込む。授業に使っている歌詞は自分がラジオで聞いたものを
聞き起こしていて、中には単語がわからない所もある。この際、あこがれのジョンに会い、そこの所も
解決したいと、決心。単身(独身だが)クルマでロケ地を目指したのだ。
その後登場人物が揃うまで、弱い立場の人間がビンタを食らうシーンがいくつか出てくるのだが、
時代の雰囲気の暗喩っぽかった。
 道中、長くなった髪を切る切らないで父親と揉めて家出してきたフアンホ少年と、ガソリンスタンドで
人生に突き当たり悄然としてたベレンを拾い、道中は続いた。

やがてロケ地探しのベースとなる食堂に行き着く。そこの主人カタラン、身障者の息子ブルーノとの
物語を加え、美女ベレンとアントニオ、ベレンとフアンホの恋模様も・・・。ジョンに会う、というよりも
フアンホ少年、ベレンと、カタランらの人生の一部が描かれていく過程こそこの映画の良さがある。
もちろん、最終的にはロケ地におもむき、ジョンとの面会が叶えられ、ジョンから学校へ行くよという
約束を貰い、更には「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」が吹き込まれたテープを貰うという
100点満点の結果を得たわけだ。

しかしながら、最後にカタランの食堂でウェイターのバイトをしていたフアンホをいじめたやつの
トマト畑に行って、クルマでグジャグジャにしてしまうアントニオの姿もまた、ジョンとの出会いと
いうだけではないこの映画の趣旨を暗喩的に示している。フアンホがいじめられた後に駆けつけた
アントニオの「心以外で痛いところはあるか?」と尋ねるのだが、そのセリフに彼の優しさが現れて
いるな、と感じた。

本作が持つ温かさは、脚本によるところが大きいのは勿論だが、教師アントニオを演じたハビエル・カマラの
存在も大きい。ハゲで腹回りには贅肉ついた風采が上がらない中年の、しかも独身の教師が、対峙する
フアンホ少年、ベレン、カタランらとのかかわり合いの中で上手く彼らの人生を引き出している役を
好演していた。

ラストに字幕で、ビートルズのアルバムにはジョンがスペインに行った後は歌詞カードが付くようになった、と
説明される。なるほどねえ、と思ったのだった。これがきっかけであったかどうかは不明であるが。
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<ストーリー>
ジョン・レノンを愛する英語教師が、憧れのレノンに会うためにたどる旅を描いたハートウォーミングな
ロードムービー。本国スペインでは、第28回ゴヤ賞で作品賞や監督賞ほか主要6部門を受賞。

1966年、ジョン・レノンが映画「ジョン・レノンの僕の戦争」の撮影ためスペインを訪れてると知った
英語教師のアントニオ。普段の授業でもビートルズの歌詞を使って英語を教えるなど、ビートルズファンの
アントニオは、憧れのレノンに会おうと撮影地まで車を走らせる。
道中、何かから逃げている様子の若い女性ヘレンと家出少年のファンホと出会い、3人の不思議な旅が続く。
2014年・第11回ラテンビート映画祭で上映された(映画祭時は英題「Living Is Easy with Eyes Closed」で上映)。
(映画.com)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354232こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-10-03 22:55 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「パーフェクト・ゲッタウェイ A Perfect Getaway」
2009 アメリカ Rogue and more.97min.
監督・脚本:ディヴィッド・トゥーヒー
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ティモシー・オリファント、キーリー・サンチェズ、クリス・ヘムズワース他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

家のBlu-rayレコーダーにキーワード録画として「ハワイ」を入れてあるので、解説やタイトルに「ハワイ」が  
付くと自動的に予約される。WOWOWでは「ミッドウエィ」とか「50回目のファーストキス」とかが良く
録れるのだが、本作もそれで録画されていた。まあ、観るか、というノリで観てみたわけだ。

この手のサスペンスの常道として、一番それらしくない人が犯人であり、それらしい人が犯人ではない、という
ものがあるが、この映画もズバリはまっている。舞台となるハワイ・カウアイ島の自然は美しいが、全体の
出来としては、うーむ、という感じだ。見終わって、こころよく騙されたなあ、と思えず、あれ?あれ?
それでいいのか??と感じてしまったのだ。ツッコミどころもたくさんあるのだが、まあそれはいいとしても、
犯人カップルの、というか真犯人そのものが、単なるサイコキラー(っぽく描かれているのではあるが)なのか、
何かそこに至った背景があるのか、よく分からなかった。新婚さんを狙って殺害し、指輪とか現金とかを奪うと
いう悪党なのだが。

冒頭の結婚式の民生用ビデオカメラで撮った動画と、おそらく殺した夫婦からかっぱらったこのカメラで撮影
している現在の映像が巧み?に編集されていて、ミスリードされるのだ。ここでからくりを見破ったらエラい!
というかこの映画の楽しみがほぼ終わってしまうのだが。ミラのカップル、結論から言えば、冒頭のシーンあたりで
映画の中で接する人の前以外でも新婚さんの演技をしている(しかも、ミラは相手の男性を心から愛していない)の
だが、そこまでやる必要を感じないのだが。そのあたり不可思議な構成も見られるのだが・・・。
ミラ・ジョヴォビッチ、善人と悪党の顔つきががらりと変わるのが凄いな。悪役やらせるとほんとに迫力ある人だ。
あ、結末言っちゃってますが・・・。(^_^;)

3組のカップルの中で最初に警察のヘリで連れて行かれる組の男性がその後「マイティー・ソー」でブレイクする
クリス・ヘムズワースである。あまり長くない映画なので、しばし美しい光景の中でのサスペンスを肩の力を抜いて
楽しむにはいいかもしれない。それなりに楽しめます。あまり深く追求するとアラが見えちゃうかも・・。
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<ストーリー>
透き通った青い海と、眩しいほどの緑に包まれたジャングルで世界中の人々から愛される地上の楽園ハワイ。
数多くの新婚旅行カップルが訪れる場所であり、クリフ(スティーヴ・ザーン)とシドニー(ミラ・
ジョヴォヴィッチ)もその中の1組だった。

カウアイ島のガイドから聞いて、2日間以上かけて歩かないと到達できない、ハワイで最も美しいといわれる
ビーチを目指してトレッキングを開始する。新しい人生の門出を祝う旅の途中、ニック(ティモシー・オリファント)
とジーナ(キエレ・サンチェス)、ケイル(クリス・ヘムズワース)とクレオ(マーリー・シェルトン)という2組の
カップルと知り合いになり、協力しながら目的地を目指す。
だが、同じようにビーチを目指す別のグループと出会ったところで、彼らの前に暗雲が立ち込める。オアフ島で
新婚カップルが殺され、現場から逃走した犯人がこのカウアイ島に潜んでいるという話を聞いたのだ。引き返すべきか
迷う6人だったが、やがて、犯人が1組のカップルであるというニュースが流れてくる。その途端、一行の間に
流れ始める不穏な空気。

市街地から遠く離れて救助さえ及ばない場所。お互いが誰を信用したらいいのかわからない疑心暗鬼に陥った挙句、
生き残りを賭けた壮絶な戦いが始まってしまう。一瞬にして地獄へと化す楽園。その先に待つ衝撃の結末とは……?
(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=335357#1こちらまで。



by jazzyoba0083 | 2016-10-02 22:55 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

ハンター The Hunter

●「ハンター The Hunter」
1980 アメリカ Raster Pictures.Dist.,Paramount Pictures.98min.
監督:バズ・キューリック  脚本:ピーター・ハイアムズ他 音楽:ミシェル・ルグラン
出演:スティーヴ・マックイーン、イーライ・ウォラック、ベン・ジョンソン、キャスリン・ハロルド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

久々のマックィーン作品は遺作であった。しかし、クールな彼のイメージとは違う、しまりのない
活劇になってしまい、残念だ。リーバイスにMA-1という衣装は彼らしいクールさを演出しては
いたけど、それが作品に反映されていなかった。所謂バウンティハンター(賞金稼ぎ)のお話なのだが、
捕まえてくるそれぞれのお話が尻切れトンボでイライラする。筋が通ったのは冒頭捕まえた黒人の
アンちゃんが電化製品修理と称して家にいつくくらいか、あとはトウモロコシ畑でのチェイス
(この俯瞰の映像は面白かった)で捕まえた二人組はオープンカーが傾きつつ警察署に入る、という
お笑いになったし、シカゴの有名な駐車ビルでの追跡でも川に落下したクルマのドライバーのその後は
釈然としないし、作品の中では最高に良かった走る列車の屋上でのファイトも、結果は電車を降りてからの
顛末になっちゃうし、どうも締めが甘くてまとまりに欠けた。学校の先生である主人公の妻を誘拐した
男の最期、ガス爆発は良かったのだが、妻を付け狙うまでになった犯人の背景があいまい。
 多くの方が感じるだろうが、運転がド下手なマックィーンが運動神経抜群という整合性が取れない。

お笑いのテイストを加味した刑事モノ、というとビバリーヒルズ・コップや、ダイハードシリーズが
その後作られていくわけだが、アメリカ人独特の、シビアなシーンにあっても欠かせないユーモア、と
いう演出は、そもそもマックィーンには無かったキャラなので、いきなり振られても、痛々しさが
残ってしまうというものだ。名作「ブリット」だってヒューモアの感覚はあったのだが、クールな
中に思わず片頬があがってしまう、というような抑えめなものだったが、本作では正面から笑いを取りに
来ているのが、ちょっとな、という感じだ。無頼だけど腕のいい賞金稼ぎが乗るクルマが古いオープンと
いうもの類型的だなあ。カッコイイけど。また巨匠ミシェル・ルグランのオーケストラの旋律が、
大時代的で本編にフィットしていた、とは言い切れないのだ。
というわけで、マックィーンの遺作にはなってしまったが、残念な一本であった。
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<ストーリー:結末まで触れています>
時代は現代。ラルフ・ソーソン(スティーヴ・マックィーン)は、賞金稼ぎだ。通称パパと呼ばれる彼は、
今、南西部の地方都市で、逃亡者卜ミー・プライス(レヴァー・バートン)を追っている。
警察の手におえないプライスのような犯罪者をも、彼は独力で捕えるのだ。ブライスをロス警察に引き渡す前に、
彼は、別件のおたずね者も捕えようとしていた。パパは地元の保安官ジョン(ベン・ジョンソン)に協力を求めるが、
悪い事にジョンはそのおたずね者の伯父に当り、逆にパパは45口径のコルトで脅され街を出て行くように
言い渡される。
しかし、執念に燃えるパパは、結局独力でこのおたずね者を捕え、1度に2人もロス警察に引き渡した。

パパには、8年前から同棲しているドティー(キャスリン・ハロルド)という恋人がいる。学校の教師を勤める
彼女は、目下妊娠中で、当然産むつもりでいたが、パパは職業柄、自分が親になる自信がなかった。
翌日、例の2人を捕えた件の賞金の支払いを受けとりに、保釈金保証人のリッチー(イーライ・ウォラック)を
訪ねたパパは、計算高いリッチーに、難題をたたきつけられる。その結果、金を受け取る前にもう一仕事する
はめになったパパの元にロッコという男から電話が入った。刑期を終え出所した彼は、かつて自分を捕えた
パパに、復讐するというのだ。その夜から、パパは追われる身になった。約束の仕事を終えてロスの家に戻った
翌日、ドティーが荷物をまとめて家を出て行った。子供の誕生を喜ばないような男とは暮らせないというのだ。
彼は引きとめなかった。

シカゴでの大仕事を終えた彼は、その夜自宅が荒らされているのに驚く。ロッコの仕業だ。何とロッコは
ドティーを誘拐し、学校にたてこもったのである。必死の思いでロッコを倒すと、パパは陣痛のはじまった
ドティーを車に乗せ病院へと向かうのだった。彼の頭の中には、愛するドティーと生まれてくる子供のこと
しかなかった。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv7205/こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-10-01 22:55 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

ハドソン川の奇跡 Sully

●「ハドソン川の奇跡 Sully」
2016 アメリカ Warner Bros.Village Roadshow Pictures,Malpaso Pictures and more.96min.
監督・(共同)製作:クリント・イーストウッド 原作:チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー
出演:トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー、アンナ・ガン、オータム・サリー他

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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
クリント・イーストウッドに外れなしは今回も。ストーリーはベタだけど、感動の一遍にに仕上げて
しまうイーストウッドの力量は今更ながら、素晴らしい。前作に続いて実話物で、このところこの手の
作品が続いている。やはり事実の持つ重みと感動は、作り物には代えがたいと考えたのだろうか。
フィクションにはフィクションの面白さがあるのではあるけれど、事実の持つ感動性は、一定の下駄を
履けるので有利ではある。本作を単なる(イーストウッド作品なので単なる、という風に考える人は
少なかろうが)航空パニックものと思っていたらとんでもないことなので、ぜひご覧いただきたい感動の
一遍である。1時間半少々に収めたのもネタがべたなのでいいんじゃないだろうか。エンディングに向けて
グイグイと引っ張っていく。また映像というか、視点がいい。アップとロングをリズミカルに組み合わせる
こと、また視点を高く置いて、ベタなネタに緊張感とともに心地の良さを提供している。たとえば機内の
映像、また主人公が戦闘機のパイロット時代だった時の映像など。ズームイン、ドリーイン、トラックイン
などの、たゆたう画面もいい感じだ。またエアバスはもちろんだが、主人公の人生の中に登場してくる
航空機がCGを含め、実写を含め、とても出来がいい。(ハドソン川の着水シーンはもう少し頑張って
欲しかったが)よく知られた事故を事実を丁寧に積み上げて映像も工夫しながら、緊張感を保ちつつ
描いていイーストウッド節には括目する。機長の人間としての勇気、苦悩をトム・ハンクスが熱演
している。

2009年1月のこのハドソン川への奇跡の不時着水は、当時大きく報道されたので私の記憶にも残るが、
このような話があったとはこの映画で知った。もし、全容を知らないのならば、ぜひ知らないままご覧に
なったほうがいい。連邦航空局の諮問の結果が分かっているのとそうでないのでは感動が違うから。

本作の主人公サリーを演じるトム・ハンクス以外はあまり目立ってはいけないのであるから、地味目の
キャティングを行い、トムと物語が浮かび上がるように工夫されていると思う。また乗客の人間模様も
最低限にとどめ、それを逆に感動の素材としている。映画では機械(コンピュータ)とタイミングなどの
人間性(ヒューマンファクター)の比較であり、その中で42年間のパイロットとしての「感」や「決断の
タイミング」などのファクターの存在が、155名の乗員乗客の命を救った男の人生を通して浮き彫りにされる。
また、ハドソン川で多数運行されていたフェリーやNYPD航空隊の存在など、全力で救助に当たった人間性をも
浮かび上がらせる。これは「人間性」の勝利である、と。アメリカ的浪花節ではあるけど、観終えて素直な
感動が残るのだ。蛇足だが、エンディングロールで出てくる本物の乗客のうち何人かは映画本編にも本人が
出ているみたいだ。

事故後、クルーが投宿したホテルの女性マネージャーが、サリーに飛びついてハグしてしまうところ、
ラストシーン、公聴会で一言求められた副操縦士(エッカート)が「次は7月にしたいね」と軽口をたたき、
会場を爆笑に巻き込むところ、まさに「人間性」の提示である。前作「アメリカンスナイパー」ではやり場の
ないやるせなさの内に物語を終えたイーストウッド監督、今回は正統派の全きカタルシスの中でエンディングを
迎えることにさせた。監督の中でも本作がカタルシスになったに違いない。

★半分はイーストウッド監督に敬意を表しての加点としても、全体的に非常に出来のいい作品だと思う。
これは今年度のオスカー作品賞のノミニーは確実であろう。(受賞するかどうかは別ではあるが)
年を取って涙もろくなっている私だが、またまたイーストウッド監督にはやられた。エンディングあたりでは
ほほを流れる涙を禁じえなかったのである。
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<ストーリー>
2009年にニューヨークで旅客機がハドソン川に不時着し、世界中で大きなニュースとなった奇跡の
生還劇に秘められた知られざる実話を、「ミリオンダラー・ベイビー」「アメリカン・スナイパー」の
巨匠クリント・イーストウッド監督がトム・ハンクスを主演に迎えて映画化した感動ドラマ。
離陸直後に両翼のエンジンが止まってしまう非常事態の中、サリー機長が瞬時の冷静な判断と卓越した
操縦テクニックで、乗客乗員155人全員の命を救うまでの緊迫の一部始終と、その後の“英雄”サリーを
待ち受けた過酷な試練の行方を描く。共演はアーロン・エッカート、ローラ・リニー。

 2009年1月15日。乗員乗客155人を乗せた旅客機が、ニューヨークのラガーディア空港を離陸した
直後に鳥が原因のエンジン故障に見舞われ、全エンジンの機能を失ってしまう。機体が急速に高度を
下げる中、管制塔からは近くの空港に着陸するよう指示を受けるが、空港までもたないと判断した
チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー機長は、ハドソン川への不時着を決断する。そしてみごと機体を
水面に着水させ、全員の命を守ることに成功する。

この偉業は“ハドソン川の奇跡”と讃えられ、サリーは英雄として人々に迎えられた。ところがその後、
サリーの決断は本当に正しかったのか、その判断に疑義が生じ、英雄から一転、事故調査委員会の
厳しい追及に晒されるサリーだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=356041こちらまで。



by jazzyoba0083 | 2016-09-24 18:20 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ホテル・ニューハンプシャー The Hotel New Hampshire」
1984 アメリカ Woodfall Film Productions and more.Dist.,Orion Pictures.104min.
監督・脚本:トニー・リチャードソン 原作:ジョン・アーヴィング
出演:ジョディ・フォスター、ロブ・ロウ、ポール・マクレーン、ボー・ブリッジス、ナターシャ・キンスキー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

「ガープの世界」で知られるアメリカの現代作家ジョン・アーヴィングの原作に依る。
独特の世界観を持つアーヴィングの、アメリカ現代文学の金字塔とまで云われる原作に対し、
映画の方は同じ著者の「ガープ~」に比べると、今ひとつ評判にならなかったのは、作家の
持つニュアンスが映像では上手く言い切れなかったということか。

 突拍子もないアーヴィングの世界に恐れをなして、原作も未読であるが、社会的にも
マイナーな(少数派)存在である人々が繰り広げる不思議な世界観には、やはりついて
行くのは難しかった。途中で挫折しかけたが、それでも最後まで見切れたのは、登場する
人物たちのキャラクター付けと事件のありようが面白かったから、ということになろうか。
 
 アメリカの映画批評サイト、RottenTomatos でも、評論家の評価は高いものの、
一般のひとのそれはあまり高くない。前知識なしで見た人の戸惑いを示しているのでは
ないだろうか。Amazonに掲載されている書評によれば、原作本は極めて高い評価を
受けている。ということは映像化に際し、やはりどこか原作の持つニュアンスを表現し切れて
いなかったということなんだろうと推察できる。原作のダイジェストを読むと、本映画は
原作をかなり忠実にトレースしている。だが、具体的な映像として全体を見ると、それぞれの
キャラクターが明確になり過ぎで、メタファー(隠喩や暗喩)の固まりのようなアーヴィングの
世界をむしろあからさまに表現しすぎた(結果として表現してしまった)ことに難点の
一つがあるか、とも思うのだ。

 アメリカ現代作家がその著作を通して表現しようと試みたことが本作からどう見えるのかは
映画は良く語っていると思う。すなわちアメリカという社会の、マイナーな人たちに対する過酷な
面。それでも生きていかなくてはならない彼らの人生の苦悩、夢を見続けることに必要なエネルギーの
あまりの大きさ、本作に出てくる一家の面々は、ユーモアを持ちつつ苦闘はするのだが、
所詮「人生はお伽話」「それでも人生は続く」のである。
 繰り返すが、それらがジョディー・フォスターの、ロブ・ロウの、ナターシャ・キンスキーなどの
俳優のキャラクターと重なる時、ニュアンスとしてまた別のものが発生しているような気がする。

 それぞれの家族に起きる「突拍子もない」不幸な事件とそれぞれの対応は、現代アメリカが抱える
社会的な問題のメタファーであり、その嵐に対し、何回も建て替えられるホテルは一家の「防空壕」的な
役割をなすのである。母が死に、父も失明、子供たちも自殺し、事故死し、ユーモアがある割には
決して平穏ではない。家族の構成員たちと彼らに起きる事件事故は、アメリカ社会を捉える時に
必要な方程式である。愛犬ソロー(Sorrow=悲しみ)の死さえも。「悲しみの死(!)」
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<ストーリー:物語の全部が記載されています>
第2次大戦前夜の1939年。ハーバード大学入学をめざすウィン・ベリー(ボー・ブリッジス)は、
メイン州アーバスノットのホテルでアルバイト中に、同郷のメアリー(リサ・べインズ)と出会い恋に
おちた。そこはユダヤ人フロイト(ウォーレス・ショーン)と熊の曲芸を売りものにしているホテルだった。

ウィンは、いつしか熊のいるホテルを経営したいと思うようになっていた。メアリーと結婚したウィンは
5人の子供の父親になった。ウィンは、祖父アイオワ・ボプ(ウィルフォード・ブリムリー)がフットボールの
コーチをしている高校で教師をしていたが、家族全員がいっしょにいられることを理由にいよいよホテル経営に
のり出した。
メアリーの母校である女学校を買いとって改築されたホテルは、「ホテル・ニューハンプシャー」と名付けられる。
子供たちは、このホテルで成長していく。同性愛者の長男フランク(ボール・マクレーン)、美しくてしっかり
者の長女フラニー(ジョディ・フォスター)、姉を熱愛する次男のジョン(ロブ・ロウ)、成長のとまった
文学少女の次女リリー(ジェニー・ダンダス)、そして耳の不自由な三男エッグ(セス・グリーン)。

ハロウィンの夜、フラニーは、彼女に好意を寄せていたフットボール部のダブ(マシュー・モディーン)と
その仲間にレイプされる。こうした様々な出来事や青春の悩みに戸惑いながらも、月日は流れていった。

はじめは順調だったホテル経営も祖父の急死の頃から傾き始めた。そんなある日、消息の絶えていたフロイトから、
熊のいるホテルを手に入れたので、ウィーンに来て経営を手伝って欲しいと連絡が入る。こうして一家は
オーストリアに渡ることになった。しかし、メアリーとエッグが途中飛行機事故に遭い死んでしまう。
ウィーンは予想に反してすさんでいた。フロイトはナチの為に盲目になっており、熊のぬいぐるみを着た
内向的な娘スージー(ナスターシャ・キンスキー)は心に深い傷を持っていた。

なじみのない土地でホテルのたて直しに心血を注ぐ一家。だが、第2の「ホテル・ニューハンプシャー」も
軌道にのった頃、ホテルをアジトとしていたエルンスト(マシュー・モディン2役)を中心とするテロリスト
たちが、一家を巻き込んだオペラ座爆破を企んでいた。一家は、すんでのところで事件を未然に防ぐが、
フロイトは命を落とし、ウィンも視力を失った。オペラ座を救った一家として、また同時に、リリーが書いた
一家の物語『大きくなりたくて』がベスト・セラーになったため、一躍有名となった一家はスージーを連れて
アメリカに戻った。

全てが順調に運び、豊かな生活を送る中、フラニーとジョンは、遂に姉弟の一線を超える。しかし、2作目の
小説が成功しなかったリリーは、“大きくなれなくてごめんなさい”という言葉を残してホテルの窓から飛び
降り自殺をしてしまう。多くの愛する者たちを失ったベリー一家は、遂に思い出の地アーバスノットにたどり
着いた。ウィンが抱き続けてきた夢が、ようやく実現したのだ。
フラニーは、一家を何かと助けてくれていた黒人のジョーンズと結婚し、姉への想いをふっきったジョンは、
新たにスージーと愛を育む。彼の愛に支えられ、スージーはようやくぬいぐるみを脱ぎ捨てた。彼らの新しい
人生が新たな「ホテル・ニューハンプシャー」で始まろうとしていた。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=21586#1こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-09-12 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)