カテゴリ:洋画=ま行( 143 )

●「マイ・ベスト・フレンド Miss You Already」
2015 アメリカ S Films (production),New Sparta Films (presents) 116min.
監督:キャサリーン・ハードウィック
出演:トニ・コレット、ドリュー・バリモア、ドミニク・クーパー、パディ・コンシダイン、ジャクリーン・ビセット他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
難病モノは基本、苦手。しかし、ハリウッドが作るものはどこかに必ず救いがあるので佳作、と踏めば
観ることは多いのだが、本作もまさにそんな感じの一作。女流脚本家と女流監督による女性の友情の話。
全体の構成としては「よくある話」の類なのだが、しっかり見切ってしまった。

まず評価したいのが、編集。(★0.5は編集に謹呈)非常にリズムが良くテンポもいい。幼いころに知り
合ったミリー(コレット)とジェス(バリモア)。今に至るまではかなり急速に話を進め、ミリーが病を得て、
それが好転しないと分かるころからだんだんと時間の流し方がゆっくりになる。もちろん演出の妙味もある
わけだが、気持ちいい編集だなあ、と感じた。

結局、男の私には完全には理解出来ない「母性」の問題。幼いころからの大親友ミリーとジェス、片や
ろくでもない(と思われた)ロック野郎とできちゃった結婚。しかしこの旦那が音響屋を始め、大当たり。
子ども二人にも恵まれ、幸せな暮らしを送っている。
片やジェス。石油採掘エンジニアの旦那とボートハウスに住み、仲はいいのだが子どもが出来ない。
そこに、ミリーが乳がんに罹るという事態が発生する。化学療法が効いて一時は希望も沸いたが、
脳に転移が見つかり、余命宣告。
一方、ジェスは試験管ベイビーに挑戦し、ついに妊娠に成功する。

この対比が作品の後半のベースに流れている。わがままになるミリーに振り回され、辟易とするジェスが
一旦ミリーと距離を置くこともあったが、はやり二人は心の友である。ミリーに病気が見つかってからの
寄り添い方、わがままに付き合う様子、そして最期を看取るまで、二人は親友であり続けた。

日本流に作るとどっぷりと暗くなるような物語であるのだが、この作品は死を前向きに捕らえ、明るい。
それは結構あからさまなセックス談義や、病気なのに冗談を飛ばし合う欧米人のメンタリティを表現すること
で演出されていく。ミリーとジェスの明るさに救われる。果たして自分だったら、と誰もが思うだろう。

二人の幼い子供を残して逝かなければならないミリー。一方、新しい生命が誕生するジェス。女性としての
夢や幸せのありかを巡り、二人の心は「母性」を持った人間としてお互いを受け入れお互いに幸せのありかを
見つけていく。ホスピスに入ったミリーに添い寝していて朝、目覚めるとミリーは天国に旅立っていた。
一瞬悲しそうな表情のジェス、その後に微かに微笑みが浮かぶ。その微笑みこそ、この映画のテーマなの
だろう。
ミリーは最期に、夫に再婚を約束して逝ったのだそうだ。相手をジェスにしたかったけど、それは無理。
ラスト、一歳くらいになった自分の子どもを抱えたジェスがミリーの家で二人の子どもに朝ごはんを用意
しながら、頑張っている。ジェスの目には二人の子どもの姿にミリーの姿が重なっているに違いない。
何十年になるのか、長い長い友情の積み重ねの姿がそこにあった。

病気になるトニ・コレットはもともとふくよかな体型ではないが、臨終の時はかなり体重を落としての
演技ではなかったかな。ミリーのお母さんとして女優をしているミランダが、所々でアクセントになり
映画がダレるのを留める役どころの一つとなっているのだが、演じるのがジャクリーン・ビセット。
お年を召しても美しい。男が見てもいい映画だが、女性が観るとまた視点が変わってくるのだろう。
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<ストーリー>
幼なじみのジェス(ドリュー・バリモア)とミリー(トニ・コレット)は、ファーストキスから初体験まで
何でも話し合い、互いのすべてを知る親友同士だった。この友情は永遠に続くと思っていたが、ミリーが
乳ガンに罹っていることがわかり、時同じくして不妊治療を続けてきたジェスの妊娠が判明。
ジェスは誰よりもミリーと新たな命を授かった喜びを分かち合いたくても、彼女の病状を考えると伝えるに
伝えられない。相手を思いやるがために言えない言葉が増えていってしまう。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:71% Audience Score:68%>





by jazzyoba0083 | 2017-11-27 22:50 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「マイルス・アヘッド Miles Ahead」
2015 アメリカ Sony Pictures Classics and more. 100min.
監督・(共同)原案・製作・脚本:ドン・チードル
出演:ドン・チードル、ユアン・マクレガー、エマヤツィ・コーリナルディ、レイキース・リー・スタンフィールド他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ジャズファンとしては、観てみたいな、と思いつつも映画館まで足を運ぶまでの映画かなあ、WOWOWを
待ってもいいかなあ、と思っていたら1年が経ち、WOWOWで放映してくれた。
ジャズの世界に燦然と輝く伝説のビッグスターの、フィクションを含めた自伝的作品。内容よりもドン・チードルが
マイルスによく似せている(トランペットの吹き方や指使いも)方に目が行ってしまった。そこはよく出来て
いた。ジャズやマイルスに興味のない人は観ても一般的な感動があるわけではないので、特に日本では一般受けは
しないだろう。

ビバップ、クール、モード、ジャズ・ファンクと常にジャズの世界をリードしてきたマイルズが、1980年代初頭に
5年間活動を停止していた時のお話だ。気分屋で、怒りっぽく、何を考えているかよく分からない変人としても
知られる(特に晩年は)マイルズが、次へのステップを踏み出そうともがく姿、というより、フランシス(名盤
「いつかお王子様が」のLPジャケットを飾る黒人女性)との別れやドラッグや酒で、破滅的な生活を送って
いる様を描く。自分がスターになり始め、フランシスと知り合うころと、荒んだ生活の現在をカットバックしな
がら物語が綴られる。カメラワークや編集などに工夫が見られるが、全体の物語としては、弱い。何に焦点が
当たっているのかよく分からない。フランシスの喪失なのか、新しい音楽への模索なのか。

雑誌「ローリングストーン」の記者役のユアン・マクレガーが狂言回し的な役どころ。ただ、100分では
マイルスってそういう人だったのだ・・・というところまでは行かない。個人的には名盤だと思っている
「クールの誕生」(一般的にも歴史的名盤として通用している)を、マイルスは駄作、と言っている点。
それよりも「スケッチ・オブ・スペイン」のほうが気に入っている、という点、「俺の音楽をジャズと
呼ぶな。ソーシャルミュージックと呼べ」と言っている点が新しかった。

マイルズは祖父は地主で父は歯科医、母は音楽家、という恵まれた環境に育ち、チャーリー・パーカーや
ディジー・ガレスピーらバップムーブメントの巨人たちとの交流にも恵まれた。そのあたり精神的に
打たれ弱いところがあったのではないか。自らの殻に閉じこもり、わがままを押し通す。妻フランシスが
怒って離れていくのも分かるというものだ。そうした彼の心には「寂しさ」が渦巻いていたのだろうけど、
それを他人にぶつけたり、ドラッグや酒に解決を求めたのでは、早死はするというものだ。

私にとってはマイルス・デイヴィスという男を再認識する点では面白い映画であったと思うけど、同じ
ジャズ映画の「ラウンド・ミッドナイト」のような一般的感動は獲得できなかった。ただしドン・チードルの
トランペットの当て振り(本物の音源を使っていたようだ)はお見事。
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<ストーリー>
ジャズ界を牽引してきた天才トランぺッター、マイルス・デイヴィス(ドン・チードル)は、1970年代後半に
入ると活動を休止。慢性の腰痛を抱え、ドラッグや鎮痛剤の使用から一人自宅で荒れた生活を送る彼のもとに、
音楽レポーターのデイヴ・ブレイデン(ユアン・マクレガー)が押しかけてくる。
二人は、盗まれたマイルスの新曲入りテープを取り戻すことに。脳裏にミューズであった元妻フランシス・
テイラー(エマヤツィ・コーリナルディ)との結婚生活の思い出が蘇り、気まぐれな性質に拍車をかける
マイルス。死を考えるほど苦悩し絶望する彼だったが、やがて音楽に救いを見出していく。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:74% Audience Score:57%>




by jazzyoba0083 | 2017-11-24 22:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「マイティー・ソー バトルロイヤル Mighty Thor:Ragnarok」
2017 アメリカ Marvel Entertainment,Marvel Films,Walt Disney Pictures. 131min.
監督:タイカ・ワイティティ
出演:クリス・ヘムズワース、トム・ヒドルストン、ケイト・ブランシェット、イドリス・エルバ、
   ベネディクト・カンバーバッチ、浅野忠信、マーク・ラファロ、アンソニー・ホプキンス他
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<感想:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
アメリカ本国での評価がやたらめたらに高いので、どんなものか、と3D(吹き替え)を観に出かけた。
ファンは多いと見えて結構な入り。私もソーは一作目から観ているが、そんなに入れ込んで観ている
わけでもないし、とりあえずMARVELが好きなのでチェックするという感覚で。最近はMARVELも
DCも単独だけでは中々売れないので、チームを組んでの興行となっている。あれ、日本の戦隊モノの
パクリらしい。間もなくDCの方も上映される。まあ、観に行くけど。

さて、本作は、ソーの姉さんにして死神のヘラ(ブランシェット)の物語にして、チーム・アベンジャーズならぬ
リベンジャーズwwの結成で、互いに気にくわないところはあるけどここはアスガルドを守るべく小異を捨て
大同につくという。まあみんな神様だからその気になれば強い強い。死の女神だってひとたまりもない。

殆どが格闘シーン。VFXばりばりで、俳優さんはさぞやグリーンバックで味気ない演技をしたんだろう
なあ、とちょいとばかり可哀想になってしまったよ。画像は綺麗だったけどね。
それと本作の特徴の一つとして、多くの方が指摘しているように「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
系統のお笑いを加味した点。冒頭のソーのシーンから始まり、ほぼ5分に一回はお笑いネタが入って来る感じ。
個人的には、片頬が上がる位のユーモアはいいけど、ここまでお笑いになるのは如何なものか、と感じた次第。
ハルク(バナー)とソーの会話なんて漫才だもの。戦隊モノもこういうテイストを提示していかないと飽きられる
かも、という製作者側の恐怖はあるだろう。新しい方向性を示した、というには「ガーディアンズ」が先行して
いるものなあ。「お笑い宇宙モノ」。

かつての敵は今日の友ってなもので、ソー、ロキ、ハルク、ヴァルキリー、ヘイムダルがチームを組んで
ヘラに立ち向かう。まあ活劇もここまで派手になれば、むしろ清々しいかもしれないし、恩讐?を乗り越えた
チームの勝利にカタルシスは感じることが出来るので、「スクリーン映え」する作品とも言えるかもしれない。
多くの方が、「ソーシリーズの中で一番おもしかった」というのも頷ける。が、これが次の「アヴェンジャーズ・
インフィニティウォー」(来年4月公開予定)に繋がる重要な結節点なのだが、次作は一体どうなって
しまうのか? ドクター・ストレンジも出てきた日にはアヴェンジャーズ、何がなんだか分からなくなるような
予感がする。どう整理してくれるのだろうか。どんな物語となるのだろうか、そこはそれで楽しみではあるけど。
アヴェンジャーズもAチーム、Bチームとかに分けないと、こんがらがっちゃうなあ。とことんMARVEL好き
な人は全然OKなんだろうか?

本作、ソーの映画だけど、これだけヒーローが集まり、美味しいケイト・ブランシェットが出てくるので
ソーの存在が随分影が薄くなっちゃっている。次作は大丈夫かいささか心配にもなる。

邦題は客寄せ的にはいいだろうけど、確かにバトルロイヤルの要素は有るけど、俗っぽいタイトルになって
しまった感が否めない。現代のラグナロク=(北欧神話でいう)世界の終わり。映画の内容そのものなんだけど。
あ、浅野忠信さんあっけなく殺されちゃうし、ドクター・ストレンジどこに出てた?って感じ。
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<ストーリー>
アベンジャーズの一員で神の国アスガルドの王子であるソーの活躍を描く人気シリーズの第3弾。
アスガルド崩壊を目論む“死の女神”ヘラの野望を打ち砕くため、ソーがアベンジャーズで共に戦うハルクらと
最強チームを結成し、立ち向かう。弟のロキに加え、勇猛な女戦士ヴァルキリーなど魅力的な新キャラクターが
多数登場する。

アベンジャーズの一員として、地球を守るために戦ってきたソー(クリス・ヘムズワース)の前に、邪悪な敵・
ヘラ(ケイト・ブランシェット)が突如現れる。ヘラは、アベンジャーズのメンバーですら持ち上げることの
できないソーの最強の武器ムジョルニアをいとも簡単に破壊し、圧倒的なパワーでソーを宇宙の果てに
弾き飛ばしてしまう。
遠く離れた星で囚われの身となったソー。ここを脱出するには、この星で絶対王者として君臨するチャンピオンと
の1対1の命がけのバトルに勝たなければならない。
だが、ソーの前にチャンピオンとして現れたのは、かつて共に闘った仲間のハルクだった。果たして、史上最強の
敵からソーはこの世界を守ることができるのか……。(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:90%>



by jazzyoba0083 | 2017-11-05 13:40 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「女神の見えざる手 Miss Sloane」
2016 アメリカ Transfilm,Archery Pictures and more.132min.
監督:ジョン・マッデン  脚本:ジョナサン・ペレラ
出演:ジェシカ・チャスティン、マーク・ストロング、ググ・ンバータ=ロー、
   アリソン・ピル、サム・ウォーターストン、ジョン・リスゴー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
132分、字幕を追っかけるのに疲れ、画面を満足に楽しめなかったなあ。★は8.5。
凄い映画だ。迫力あるし、とにかくジェシカ・チャスティンの徹底した
ビッチぶり(全部が悪いとはいわない)が強烈だ。セリフが多いし、日本人には
馴染みのないロビイストという職種なので、テクニカルな言葉がたくさん出てきて
彼らが取る戦術の彼方に何があるのか、よくわからないまま映画は進んでいった。
スピード感たっぷり。ちょっとでも下を向いてセリフを読まなないと先が分からなく
なるほどだ。もう、全てがジェシカ・チャスティンの映画&これが1作目の脚本となるジョナサン・
ペレラに脱帽だ。ジェシカはこの役、ハマっていたなあ。

キャストもスタッフもアメリカといえども表面にあまり詳細が出てこないロビイストという職業に
ついて、たくさん勉強したという。
ロビイストとは、議会で法律を通すために多数派工作をする「業者」のことで
今回は分かりやすい「銃規制」について規制法を通す側と、全米ライフル協会から
巨額の献金をもらっている規制反対派の対立の中で、規制派を増やし規制法を
議会で通そうと活動する「私立」の面々の活躍だ・・

・・活躍なのだが、まあ、ジェシカ演じるスローン女史のやり方と言ったら、手段を
選ばず、裏切りや欺き、嘘は当たり前、誰が味方か、誰が敵なのかさえ判然とせず
身内にスパイがいるのではないか、という疑心暗鬼さえ生まれてくる。
素晴らしく頭が切れ、非情に徹し、ロビー活動とは自ら信じる正義を国のために
通す、なんてことはさらさら考えていなくて、すべてが「ゲーム」それも「勝つ
快感」を味わうための「権謀術数に満ちたスリリングなゲーム」なのだ。

ミス・スローンというロビイストの存在について、極端すぎる描写もあるのだろう
けど、決して彼女に思い入れは出来ないが、凄まじい一貫性に、不覚ながら引きずり
込まれる。向精神薬を飲みセックスさえビジネスで、何が面白いんだろうと思うけ
ど、まるで命のやりとりをする戦場にいる緊張感が彼女にとってのエクスタシーなん
だろうな。「怜悧な知的ゲームを楽しんでいる」という。絶えず前の壁の厚い方、高い方を
求める、それが困難なほど、彼女の脳は活性化し快感を覚える。まあ、病気ですなww

ラストには衝撃のシーンが2つ用意されているのだが、それらこそ、ミス・スローンの
「生き方」そのもの、「精神構造」そのものなのだろう。カタルシス、というには
「清々しさが残らない」それである。リモコンのゴキブリは是非CIAに教えてあげて欲しいww。

とにかく登場人物も多いし、ストーリーも簡単ではないし、難しいセリフ(字幕)は多いし
一回で理解しきれる人は幸いなり。ちゃんと隅々まで理解しようとすればもう一回観る
必要があるだろう。
よく出来た映画なんだけどオスカーにはどの部門にも引っかかってない。監督は「恋に落ちた
シェイクスピア」「コレリ大尉のマンドリン」「マリーゴールドホテルで会いましょう」など
人間ドラマを描かせたら一流のジョン・マッデンなのに。ミス・スローンがあまりも非情な
ビッチだったからアカデミー会員から、呆れられたのかもしれない。

しかし、映画としての「絶対的面白さ」は大いにあるスリラーエンタテインメントだ。
ジェシカ・チャスティンの「強烈なビッチさ」を楽しもう!理屈もへったくれもあったもんじゃない。
そういう爽快さはある。
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<ストーリー>
ジェシカ・チャステインが政府を影で動かす戦略のプロであるロビイストを演じ、第74回ゴールデン・
グローブ賞で主演女優賞候補になったサスペンス。
全米500万人の銃愛好家や莫大な財力をもつ敵陣営に果敢に戦いを挑む、女性ロビイストの奮闘を描く。監督は『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン。

政府を裏で動かす戦略のプロ“ロビイスト”。その天才的な戦略でロビー活動を仕掛けるエリザベス・
スローン(ジェシカ・チャステイン)は、真っ赤なルージュで一流ブランドとハイヒールに身を包み、
大手ロビー会社で花形ロビイストとして辣腕をふるう日々。

そんなある日、彼女は銃の所持を支持する仕事を断り、銃規制派の小さな会社に移籍する。
全米500万人もの銃愛好家、そして莫大な財力を誇る敵陣営に立ち向かうロビイストたち。大胆な
アイデアと決断力で、難しいと思われた仕事に勝利の兆しが見えてきた矢先、エリザベス・スローンの
赤裸々なプライベートが露呈され、さらに予想外の事件が事態を悪化させていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:75% Audience Score:69% >





by jazzyoba0083 | 2017-10-25 17:25 | 洋画=ま行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ミス・シェパードをお手本に A Lady in the Van」
2015 イギリス BBC Films,TriStar Productions. 104min.
監督・(共同)製作:ニコラス・ハイトナー
出演:マギー・スミス、アレックス・ジェニング、ジム・ブロードベント
   フランシス・デ・ラ・トゥーア、ロジャー・アラム他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
冒頭に「ほとんど事実に基づく」と記される通り、劇作家アラン・ベネットが
体験した、不思議な(自分で不思議にしちゃっている部分もあるのだけれど)
老婦人との交流を描く。

ロンドンの近郊カムデンタウン(最近ではアート系のマーケットが立つ所と
して知られるが)に暮らす劇作家アランの家に何と15年間もバンの中で暮らした
ミス・シェパードという年のころなら80歳は超えているだろうか、この
老女と街の人々、そしてアランとの不思議な交流が、独特のタッチと目線で
描かれる。

味のある映画だと思った。冒頭にセピア色の画面の中でショパンのピアノ協奏曲
第一番を弾く若い女性がタイトルバック風に映され、ラストのエンドロールでも
また繰り返されるが、これがミス・シェパードの「生きたかったこと」「人生の
コアとして置きたかったこと」なんだろうなあ、としみじみしてしまった。

それにしてもロンドンのカムデンタウンという場所は文化人が多く住むリベラルな
エリアだとはいえ、自分の家の前にホームレスみたいな人がバンを停めて暮らしても
少し迷惑な顔はするが、凄く寛容なんだなあ。駐禁でもないらしく、警察を呼ぶ人
などはいない。現在のロンドンに対するアイロニーか。

冒頭のシーンでミス・シェパードはどうやら人をはねて警官に追われているらしい
シーンから始まる。この秘密はエンディングまで明かされないのだが、観ている方は
一体彼女に身に何が置きたのだろう、とハラハラしながら観続けることになる。

ミス・シェパードは風呂にも入らないからクサいし、トイレもバンの中で、時々は
み出た汚物がアランの庭やゴミ箱にナマのまま放置されていたりと、ゴミ屋敷状態。
アランは痴呆が始まった自分の母を施設に入れ、シェパードさんのバンを庭に
引き込み文句をいいながら面倒を見ている。この事はアランに自責の念を起こして
いる。
近隣の人も決して暖かい目で見ているわけではないのだが、決して「排除」
しようとはしない。時々若者がいたずらに来る程度だ。
それにしてもいかに独身(どうやら同性に恋人がいる風)とはいえ、ボロボロの
バンを自分の玄関先の庭に15年間も置いてあげるというアランの気持ちはどうだ。
私などには到底理解出来ない。幾ら自分の作劇のヒントとなるとは言え、だ。

シェパードさんはちょっと心をやられた時期があり、完全にまともとは言い難いし、
神を偏愛し、他人に迷惑を掛ける時がある。そんな彼女が周囲から決定的に疎まれ
なかったのは、彼女の気位の高さ、どことなくユーモラスで気品すら感じさせる
立ち姿ゆえではなかったか。

戦時中は救急車の運転手、そしてピアニストを目指しパリで勉強するも、暮らして
いた修道院で楽器演奏を禁じられ、自分のやりたいことを封じられたことから
心を病んでしまい、精神病院にもはいっていた。ピアノの腕前は相当なもので
ロンドンフィルとコンチェルトを共演したほどだった。それが宗教のために諦め
ざるをえなくなったのだ。
だがシェパードさんは神をうらむどころか、全て自分の行動は神の御告のまま、
という日々なのだ。故に周囲との摩擦も起すと言う・・・。これって穿ち過ぎかも
しれないが、神の道に殉じてピアノを諦めたあてつけのようにも感じたのだが。

社会福祉士が来て施設にやっとのことでデイサービスに連れ出し風呂に入れ、服も
着替えた次の日、シェパードさんはバンの中でピアノコンチェルトを弾く夢をみ
つつ天国に旅立った。
告別式の日にアランは元警察官という男からシェパードさんがバンを運転中に
バイクの男を撥ね、救護もせずに逃げてしまった逃亡犯であることを知らされる。
この事故は彼女が悪いのではなく、バイクの男の前方不注視が原因(とはいえ
ドライバーの罪がゼロにはならないが)だったのだ。

劇作家のアランは思う。幸せの尺度は分からないけど、自分よりは遥かに「人生を
生き抜いた」彼女。まさに「人に歴史あり」だ。長年のバン生活にひとことも
不満を言わなかった彼女、人生のハイライトであったピアニストとしての短い
時期をヨスガに自分の生きたいように生きた彼女。アランは彼女の半生を「バンの
中のレディ」という本に纏めたのだった。

ミス・シェパードには弟夫婦もいる。(名前がボナパルト・フェアチャイルドと
いうのが笑わせる)。実は大金持ちの娘なのか、と一瞬思ってしまった。
シェパードさんは彼らの世話にもならない。いわば天涯孤独の身(結婚もしてい
ない)。精神的にいささかオカシイところもあるのだが、他の人が考える幸せの
物差しは関係ないのだ。そしてアランほかの周りの人もそういう彼女を認めて
いるのが凄い。
ロンドンの郊外であった本当の話。人間がかかえる幸せの物差しに、何かを突き
つけているのではないか、またそういう人に(別に気が狂ってなくてもだ)
いらんおせっかいは要らないという周囲の人の、距離を置いた愛情。観終えて
味があるなあと感じたのはそのあたりなのだろう。難点は少し汚すぎた。
ほんとうの話だろうけど。

主役のマギー・スミスは1978「カリフォルニア・スィート」でオスカーの助演
女優賞を獲得してる芸歴の長い女優さん。80歳を超えて、ますます元気だ。
彼女の演技の味わいと現実のシェパードさんが歩いてきた波乱万丈の人生が良く
マッチしていた。語り部たるアレックス・ジェニング(イギリスのテレビ畑で
活躍が長い)も二つの心を合成二役で演じて映画の持つ感性にフィットしていた。
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<ストーリー>
イギリスの劇作家アラン・ベネットの回想録を映画化。ベネットの家の敷地に
車を停めて生活する風変わりなミス・シェパードとの、長きにわたる奇妙な共同
生活と友情を綴る。
舞台でミス・シェパードを演じ続けたアカデミー賞女優マギー・スミスが本作でも
主演。監督は「英国万歳!」でもベネットと組んだ、舞台演出家としての顔も
持つニコラス・ハイトナー。ベネットには、「クィーン」などに出演し舞台を
中心に活躍するアレックス・ジェニングスが扮する。
ベネットとミス・シェパードが実際に暮らしていたロンドン北部の町カムデンの
グロスター・クレセント通りで撮影された。

ロンドン北部の町カムデンに引っ越してきた劇作家ベネット(アレックス・
ジェニングス)は、通りに停められたおんぼろの黄色い車の中でミス・シェパード
という女性(マギー・スミス)が生活していることを知る。

彼女はここで気ままに暮らしており、近所の住人たちから食事を差し入れて
もらってもお礼を言うどころか悪態をついてばかり。
ある日、ミス・シェパードは路上駐車を咎められ、見かねたベネットはしばらくの
間自宅の敷地に車を置くことを提案する。
ベネットは一時的なつもりであったが、ミス・シェパードはそれから敷地に
居座り続け、エキセントリックな彼女との共同生活は15年になった。

彼女の突飛な行動に悩まされつつも、フランス語が堪能で音楽にも精通している
など思いがけない側面を持つ彼女に作家としても惹かれ、二人の間にいつしか
不思議な友情が芽生えていった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:64%>





by jazzyoba0083 | 2017-10-23 23:25 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「ミモザの島に消えた母 Boomerang」
2015 フランス Des Films du Kiosque.101min.
監督・脚本:フランソワ・ファブラ
出演:ロラン・ラフィット、メラニー・ロラン、オドレイ・ダナ、ウラディミール・ヨルダノフ、ビュル・オジェ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
★は6.5。パリの南西、ナントの西、大西洋に面したノワールムティエ島が本作の舞台であり、
この島には満潮になると消えてしまう県道(パッサージュ・ドゥ・ゴア=D948)が通っている、
というのが話の大きなポイントとなっている。 立派な橋もあるのだけど。
(Googleのストリートビューで観ることができます)

30年間家族の間では、語ってはいけないような雰囲気であった母の溺死。母を取り巻くそれぞれの
肉親たち(使用人もだけど)は、それぞれの立場で過去の「口にしてはいけない秘密」の重圧に
耐えて生きてきた。その臨界点が来てしまった模様を描く。

母の死について詳しいことを語らない父や祖母たち。離婚したばかりの長男アントワンと長女
アガットは、母の死について調べ始める。鍵を握るのが祖母であるらしい、ということと
決定的になるのは、妹アガットが、幼いころ、家で他の女の人と抱き合ってキスをしている
母の記憶が蘇ったことだった。

<以下決定的ネタバレです>
母はパリの絵画教室に通っていたのだが、そこの先生ジーンに見初められ、関係を迫られる。
当初は拒否をしていた母であったが、自分の家まで押しかけられて、そもそもその気があったのだろう、
ズブズブの関係になっていく。そして、子供を連れて、夫らを捨てる覚悟を決めたのだが、
それが義母にバレ、強制的に別れの手紙を書かされる。それをパリのジーンのところにもって
生かされたのが使用人の女性だったのだ。事情を知ってしまった使用人にも当然義母は口止めする。
祖母は自分の長男の嫁がレズビアンだった、なんて外聞が悪くてたまらなかったのだ。

しかし、母は、別れの手紙がすでにジーンの手元に渡ってしまったらしいことを知り、満潮になる
にもかかわらず、クルマでパリに向かったのだった。しかし、渡りきることは出来ず溺死。
ジーンは別れの手紙を受取り、傷心の中で30年間生きてきたのだった。
ちょっと迂回すればちゃんとした橋もあるのに、一刻もはやくパリに着きたい一心の母は、危険な
道を選んだのだろう。半分自殺みたいなものだったのだろうなあ。

アントワンが家族を前にしていい加減に秘密を話せ、と暴れるのがクリスマスの日。母とジーンの
写真を皆にプレゼントするという嫌味な作戦だった。これには妹も何を考えているの!と兄に
詰め寄るが。しかし、使用人夫妻からももうこれ以上秘密を抱えて生きていけないと、当日の
真実が語られる。しばらくすると祖母が心不全を起こし死亡。埋葬の場でも今度は父を責める。
事の真相を知ったアガットも、「よくも母を殺した女を祖母と呼ばせていたわね!」と父を
責める。ようやく父の口から当時の話が語られる・・。

母の溺死の遠因を作ったのが同性愛だった、というのがフランス映画っぽい。それまでは
もっと緊張して観ていたのだが、動機でちょっとたたらを踏んでしまった。それと長男
アントワン、40歳になるまで、母の死の悩みを抱えるなよなあ、って。建設会社も首に
なっちゃって、冒頭の交通事故での入院先で知り合った検死官?と恋仲になるのはいいの
だけど。自らの結婚生活が破綻するような悩みならもっと早くに何とかすべきだったのでは?

全体として、まずまず観られるサスペンス映画&主人公らの再生の話にはなっていたけど、
だいたいいくら絵画教室の先生に惹かれたからといって、その愛情の純粋さは理解すると
しても、母のその後の行動が無謀すぎないか?義母が怒るのも理解できるというものだ(したことは
やばいけど)。アントワンの長女16歳くらいかな、も、同性愛の気配だ。因果はめぐる、ということか。
ということで、何かすっきりしない鑑賞後の印象となってしまった。舞台の設定が面白いだけに、
もったいなかったかなあ。
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<ストーリー>
『サラの鍵』のタチアナ・ド・ロネのベストセラー小説を映画化したヒューマンドラマ。冬に咲く小さな花
から通称“ミモザの島”と呼ばれる島を舞台に、母親の死の真相を探る男が知る、衝撃の事実が描かれる。
主人公のアントワンを『アンタッチャブルズ』のローラン・ラフィットが演じ、メラニー・ロランらフランスの
実力派が脇を固める。

西フランスの大西洋に浮かぶノワールムティエ島は、冬に咲くミモザの花から『ミモザの島』と呼ばれている。
30年前、この島の海である若い女性が謎の死を遂げた。その女性の息子であるアントワンは、40歳になって
もなお喪失感を抱き続けていた。母の死の真相を追い始めるが、父と祖母は口を閉ざしてしまう。
家族が何か隠していると察したアントワンは、恋人のアンジェルや妹アガッタの協力を得て、ミモザの島に
向かった。そこで彼は、母の別の顔や衝撃の事実を次々に知っていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:---- Audience Score:60% >





by jazzyoba0083 | 2017-09-10 23:20 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「めぐりあう時間たち The Hours」
2002 アメリカ Milamax Films,Paramount Pictures,115min.
監督:スティーヴン・ダルドリー  原作:マイケル・カニンガム
出演:メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、ニコール・キッドマン、エド・ハリス他
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     <2002年度アカデミー主演女優賞(キッドマン)他 受賞多数作品>
 
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

本作は2008年に一度観ている。その時の感想http://jazzyoba.exblog.jp/8591718/ を
ご参照ください。その時期はまだ評価、というものをしていなかったので、今回の
再見を終わり、★8とさせて頂きました。

いま自分の9年前の感想を読むと、なかなかちゃんと観ているな、と我ながら
ほくそ笑んでしまいました。 時代と設定を変えて、ヴァージニア・ウルフの
書いた「ダロウェイ夫人」を巡る3人の女性の生き方を、シーン転換も実に
上手く構成し、見せていく。1800年代のイギリス、1950年代のLA、そして
現代のNY。時制の行き来などあり、また結構「メタファーのかたまり」みたいな
映画なので、難しいとは思いますが、多くの方は、ラスト近くで、ジュリアン・
ムーアがメリル・ストリープを尋ねてくるところで、1つカタルシスがあるでしょう。

初見のときも書きましたが「不安」の映画。自分の信じる拠り所を求めて苦悩し、
精神にいささかの異常をきたしてしまう。女であることの鬱々さに、観終わって
暗くなってしまう人もいるでしょう。暗く明るくない映画ですが、訴えてくるものは
多いと思いました。

ヴァージニア・ウルフの生活は原作通りかなり現実に忠実に構成されていて、
抑鬱気味の生活の中で、自分がいなければ夫が幸せになれると、ポケットに
石を入れて川に入水自殺したのも本当のこと。読まれる手紙もほぼリアルです。

「自分の存在と何か」という、「実存主義的な」問いかけをしてくる作品だ。
しかし、映画を観ている人は必ずしもそれに答える必要はない。ドラマだから。
自分なりに何かが得られればいいし、つまらん映画だ、と思う人もいるだろう。

原作があるとはいえ、よく構成され、よく演技され、画作りも工夫された
一級の映画であることは確かでしょう。
映画の詳細については、所見のリンク先にも書いてありますが、再掲しておきます。

<ストーリー>
1923年、ロンドン郊外のリッチモンド。作家のヴァージニア・ウルフ(ニコール・
キッドマン)は、病気療養のために夫レナード(スティーヴン・ディレイン)と
この町に住み、『ダロウェイ夫人』を執筆していた。そんな彼女のもとに、
姉のヴァネッサ(ミランダ・リチャードソン)たちがロンドンから訪ねてくる。

お茶のパーティーが終わり、姉たちが帰ったあと、ヴァージニアは突然駅へと急ぎ、
追ってきたレナードにすべての苦悩を爆発させる。その悲痛な叫びにより、
レナードは彼女と共にロンドンへ戻ることを決意するのだった。

1951年、ロサンジェルス。主婦ローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)は妊娠中。
夫のダン(ジョン・C・ライリー)は優しかったが、ローラは彼が望む理想の妻で
いることに疲れていた。今日はダンの誕生日。夜のパーティーを準備中、
親友キティ(トニ・コレット)がやってきて、腫瘍のため入院すると彼女に
泣きながら告げる。
やがてローラは、息子のリッチー(ジャック・ロヴェロ)を隣人に預け、大量の
薬瓶を持って一人ホテルへと向かう。その部屋で彼女は『ダロウェイ夫人』を
開きながら、膨れた腹をさするのだった。

2001年、ニューヨーク。編集者のクラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリープ)は、
エイズに冒された友人の作家リチャード(エド・ハリス)の受賞パーティーの
準備をしていた。彼女は昔、リチャードが自分につけたニックネームミセス・
ダロウェイにとりつかれ、感情を抑えながら彼の世話を続けてきた。しかし
リチャードは、苦しみのあまり飛び降り自殺。パーティーは中止になったが、
そこにリチャードの母親であり、家族を失ってしまったローラが訪ねてくるのだった。

<IMBD=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometers:81% Audience Score:84% >



by jazzyoba0083 | 2017-07-20 23:35 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「持たざるものが全てを奪う/Hacker」
2016 アメリカ Skylight Picture Works and more.107min.
監督:アカン・サテイェフ
出演:カラン・マッコーリフ、ロレイン・ニコルソン、ダニエル・エリック・ゴールド他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>

幼い頃からコンピューターが友だち、みたいな男の子が、成長するに及び
母親のクビを切った銀行への復讐心からハッカーになっていく、というのが
主軸ではあるが、途中、サイという仲間が加わり、更にキーラという謎の
女性も加わる。三人で偽のクレジットカードを作っては高価な貴金属や時計を
買い、売りさばいてはカネを作っていた。そのあたりの発端まではテンポも
良かったのだが、後はなんか目的もなくカード詐欺みたいなことを繰り返して
いるだけでだらけた。

最後にネタバラシがあるのだが、全てそれが先にありきで遡って伏線を埋めながら
ストーリーを作っていったような雰囲気があり、さっぱりスッキリしない映画だった。

レストランなどでレジを扱う人間を巻き込んでカード情報を仕入れるとかいうのは
「ちょっと、怖いんじゃないの?」などと思ってしまったが、後はキーラの
正体を引っ張りすぎた感じだ。そしてネタバラシをドドドとやってしまうので、
「なるほど、そういうことか!」というカタルシスを感じるところまでもいって
いない。幼いころカナダに移住してきたがオヤジが分不相応な家を買ってしまった
ので、暮らしが貧しくなり、母は銀行へと勤めに行くことになる。しかし、ならば
家を売れよな、と思っちゃうし、幼い頃から結構いいPCをあてがってもらって
いたりで、あれ?貧乏なんじゃないの?と突っ込んでしまった。

母親をクビにしようとした銀行がゼッド率いる「ダークウェブ」潰しのために
キーラを使って主人公アレックスを引っ張り出し、という筋立てはいささか
強引じゃないかな。事実に基づくとあるけど、ならがもう少しいい映画にして
欲しかったなあ。もったいない。
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<ストーリー>
移民の貧しい青年アレックスの一家は、父が定職を得られず、母が運良く見つけた
銀行の仕事でかろうじて支えられていた。だが、そんな母がリストラに遭い、
アレックスは大学進学のために蓄えていた資金も失ってしまう。
社会への恨みを募らせるアレックスは、ネットのブラックマーケットサイト
“ダークウェブ”を主催する謎のカリスマ“ゼッド”に心酔し、彼の歓心を得ようと
仲間たちと危険なビジネスにのめり込んでいく。
(WOWOW)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes:Tomatometer:0% Audience Score:45%>




by jazzyoba0083 | 2017-06-29 23:15 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

メッセージ Arrival

●「メッセージ Arrival」
2016 アメリカ Paramount Pictures,21 Laps Entertainment.116min.
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 原作:テッド・チャン「あなたの人生の物語」
出演:エイミー・アダムズ、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

「未知との遭遇」「コンタクト」など、意思を表示しない宇宙からの生命体と地球人との
やりとりを描いた映画はこれまでも何本か作られてきている。本作も、突然地球の12箇所に
現れ、空中に浮かぶ繭型の飛翔体と、そこから出てきた7本足のタコの大きなやつみたいな
異星人たちとの「コミュニケートの苦闘」を描くと当時に、彼ら異星人が持っている(操る?)
時制の不思議を、宇宙モノでは極めて地味に、哲学的、内省的に、形而上的ともいえる描き方で
綴っていく。
本作で多く使われ、しかも重要な表現となる「フラッシュバック(フォワード)」、しっかり
観ていないと時制が混乱するかもしれない。 私はラストでなんとなく腑に落ちた程度で
しっかり理解出来たか、というと「すっきりと判った」レベルではなく後から考えればそういう
ことなのだろうなあ、という状況であった。

冒頭にルイーズと娘、その娘が病を得て、やがて死別というシーンが示され、娘との
交流からインスパイアされ(霊的に導かれたようにも見える)異星人たちとの会話を
成立させていく。彼らとの接触から時制を解き放された主人公ルイーズは、共同研究者で
あるイアンとの未来を獲得していくのだった(んで良いんだっけ?)。
ルイーズの娘の名前はHannah。どちらから読んでもハンナだ。これは、映画全体の
メタファーとして認識してよいのではないだろうか。はずれのないヴィルヌーブ監督、
自作の「ブレードランナー2049」に期待が膨らむ。

異星人たちは攻撃をしてくるわけではなく、墨絵みたいな黒い煙で大気中に文字を書く。
この解読に呼ばれたのは、国際的言語学者のルイーズ(エイミー)だった。彼女は最愛の
娘を白血病のような病で失っていて、そのダメージを引きずっていたのだった。
相棒を組むのは物理学者のイアン(ジェレミー)。二人を中心とし、軍により結成された
異星人の言語解析チームは、「何のために地球に来たのか」と問うために、まったくゼロの
状態から、解析を始める。まるで言葉を覚えたての赤子に言葉を教えるように、また古代
文字を解析するように。

彼らの使う文字は「象形」「表意」「表音」ではなく、「表義」文字という種類らしい。
「未知との遭遇」のような音で表すのもまた面白いが、原題の私達の文字という概念では
推し量れない模様のようなものを、ルイーズとイアンは(相手が悪なのかどうなのかも
分からない中)果敢に解読に挑む。

意思が通じえない同志が、苦労して意思を通わせることが出来る状況は、穿ちすぎかも
しれないが、現在の地球人同士にも通じる重いテーゼではないか。「言語こそ武器」と
本作の異星人たちは教えているのだ。果たして、地球人はこのことを上手く使えて
いるのだろうか。
時間切れで、宇宙船への攻撃が始まる直前、異星人たちは地球を救いに来た、3000年後に
自分たちが助けてもらう状況が来るから、ということが分かり、(つまり意志の疎通が
出来た、ということ)一旦異星人たちは地球を離れていく。
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<ストーリー>
言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)は湖畔の家に独りで住み、
今はいない娘ハンナとの何気ない日常を時おり思い出す。ある日、地球各地に大きな
宇宙船のような物体が出現する。
ルイーズは、宇宙船から発せられる音や波動から彼らの言語を解明し、何らかの手段で
こちらのメッセージを彼らに伝えるよう、国家から協力を要請される。
タッフのなかには、物理学の見地から取り組むよう招集されたイアン(ジェレミー・
レナー)もいた。

ウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)に急かされながら、スタッフは少しずつ
相手との距離を縮めていく。ルイーズは忙しくなるほど、ハンナの思い出が色濃く蘇る。
しびれを切らした中国は核攻撃をしようとしていた。ルイーズは自分を指して「人類」と
いうところからコミュニケートの端緒を掴む。

彼らにはタコの足に似たものがあったため、彼らをヘプタポッドと呼ぶようにした。
彼らはその先端から図形を吐き出す。刻々と変化する図形の規則性を見出すと、それらを
コンピュータに打ち込んで会話ができるようになる。ルイーズとイアンはそれらの2体を
アボットとコステロと名付ける。
政府や軍はヘプタポッドが地球を攻めようとしているのではと相変わらず疑っていたが、
そんなとき、ヘプタポッドの時間の概念は自分たちと大きく違っていることに気付く。
彼らはアインシュタインの相対性理論の進化形の如く、驚くべき真実をルイーズたちに
伝える。それは、3000年後の地球も現在と同じ座標軸にあるというものだった。

ルイーズは彼らの言語を研究し理解するにつれ、自分の人生における経年も今までの
時間軸の概念を超越したものになることを知る。ルイーズは彼らからの影響に混乱するが、
過去が未来にやってくることが分かっても、愛することをやめないと確信する。
ついに最終決断を下した中国の行動を止めるため、ルイーズはイアンを使って思い切った
賭けに出る。彼女の行動は、地球を、そして彼女自身を救うことができるのか?
(Movie Walker)

<IMDb=★8.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: 93%  Audience Score:82%>




by jazzyoba0083 | 2017-06-10 18:00 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「マンチェスター・バイ・ザ・シー Manchester by the Sea」
2016 アメリカ Amazon Studios 137min.
監督・脚本:ケネス・ロナーガン
出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジス他
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            <2016年度アカデミー賞脚本賞・主演男優賞受賞作品>
<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
タイトルのマンチェスター・バイ・ザ・シーというのはアメリカ・マサチューセッツ州に実際に
ある街の名前で、ボストンの北に位置し、人口5000人程度の小さい港町である。
この小さな港町を舞台にした、主人公リー・チャンドラー(ケイシー)とその周辺の人々の
ドラマである。大向うを唸らせるような事件が起こるのでもなし、殺人があるわけでもない。
小さな街のどうってことない一人の男の人生の一コマを切り出してドラマとしている。

なぜこの作品がオスカーの脚本賞を獲ったか、考えてみるとわかるのだが、全く何気ない
いわゆる「everyday people」に起きる小さな(個人にとっては大きな)出来事を体験しつつ
どう人生を送ったか、言い方は悪いかもしれないが、そこらにある「何の変哲もない」、ある
人生をドラマツルギーにまで高めた構成力、作劇力が評価されたのであろう。

ドラマツルギーと言えば、シェイクスピアの「お気に召すまま」に以下の台詞がある。

『全世界は劇場だ。すべての男女は演技者である。人々は出番と退場のときを持っている』

本作でも、リーという男の人生の一コマも切り出しで、観客に人生の有りようとは、こんな
ものもありますが、あなたはどう考えますか?と問うているように感じたのだった。

この作品でオスカーを獲ったケイシー、これまでも割りと覇気のないヘタレな役を演じる
ことが多かったと思うのだが、ここでも、精力に満ちた男ではない。善人なのだが、周りの
人に振り回され、自分というものを確立し得ない。しかし、そこにはかつて自分の過失から
起こした火事で二人の娘を死なせてしまったという大きなトラウマというかグリーフが
大きく影を落としていたのだった。そこへ持ってきての兄の急死。でもこの男、不思議と
悩みを柳に風とばかりに右から左へと受け流していく。強い意志をもっているわけはない
のだが。急死した兄の子高校生のパトリックの後見人をしぶしぶ引き受け、自分の人生を
なんとかしなくてはならないのに、いつも周囲のことに振り回されるというか、気遣って
しまう。(しかし最後まで見れば、彼なりに必死に考えていたことが理解できる)

こうした作品中のリーに対し、観客は知らず知らずに同化していくように思う。ああすれば
いいのに、こうすればいいのに、と思うだろう。これすなわち、主人公の人生を追体験して
いることにほかならない。そして、リーに対し、応援しているのではないか。私はそうだった。
二人の娘の死、兄の急逝、そしてその息子の後見人の役割と、その中で、なんとか自分の
暮らしを立て直さなくてはならないリーに対し、私たちは静かに応援をしたくなるのだ。
最後に、兄の息子に対し、自分なりに決断したこれからのことを説明するリーは、これまでの
リーとは違うな、と思わせたとき、私達はそこにカタルシスを感じることができるのであろう。

どこにでもいる人々のどこにでもある出来事が、観客を巻き込みつつどういう顛末になるかという
物語に仕立てた、そのドラマツルギーの見事さに尽きる。そしてケイシーの目線の動きを始めとした、
内面をしっかりと演技したその演技力を堪能するに尽きる。もちろん、イングランド地方の風景の
美しさ、切り取られる画の構成、音楽の選曲、登場人物たちのキャラクター設定など、
トータルでよくできた映画といえる。そこらにある話をここまでの映画に高める力、ケネス・
ローガン監督、次作が楽しみである。
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<ストーリー>
アメリカ・ボストン郊外でアパートの便利屋として働くリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)。
ある日、一本の電話で、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーにいる兄のジョー(カイル・
チャンドラー)が倒れたことを知る。リーは車を飛ばして病院に到着するが、ジョーは1時間前に息を
引き取っていた。冷たくなった兄の遺体を抱き締めお別れをしたリーは、医師や友人ジョージと共に
今後の相談をする。ジョーの16歳の息子で、リーの甥にあたるパトリック(ルーカス・ヘッジズ)にも
父親の死を知らせるため、ホッケーの練習をしている彼を迎えに行く。見知った街並みを横目に車を
走らせながら、リーの脳裏に仲間や家族と笑い合って過ごした日々や、美しい思い出の数々が浮かび
上がる。
リーは兄の遺言を聞くため、パトリックを連れて弁護士の元を訪れる。ジョーがパトリックの後見人に
リーを指名していたことを知ったリーは絶句する。弁護士は遺言の内容をリーが知らなかったことに
驚きつつ、この町に移り住んでほしいと告げる。弁護士の言葉でこの町で過ごした記憶が鮮明によみがえり、
リーは過去の悲劇と向き合わなくてはならなくなる。なぜリーはこの町を出ていったのか? なぜ誰にも
心を開かずに孤独に生きるのか? リーはこの町で、パトリックと共に新たな一歩を踏み出すことができ
るのだろうか?(Movie Walker)

<IMDb=★7.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:96% Audience Score:78%>






by jazzyoba0083 | 2017-06-10 15:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)