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●「マジカル・ガール Magical Girl」
2014 スペイン Aqui y Alli Films and more. 127min.
監督・脚本:カルロス・ベルムト
出演:バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ、ホセ・サクリスタン、ルシア・ポリャン他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想:観た人でないと理解できない内容かと思いますので、ぜひ鑑賞後にお読みください>
驚いた。面白い。funnyという意味じゃなく、もっと衝撃的な意味で。かつて、コーエン兄弟の
「ノーカントリー」を見た時の衝撃に似ているかもしれない。ストーリーは全然違うのだが、
「理屈がない」という点において、恐怖を覚えるような感覚。「理屈」はあるにはあるのだが、
「容赦のなさ」「有無のない」バイオレンスの、予見できない恐怖、といえるのだろうか。

本作、欧州を中心に多くの賞を獲ったのだが、当時、日本で話題になりましたっけ?日本の
アニメが主題に大きく絡んでいたり、長山洋子の歌が使われていたりで、日本との関係も
大きかったのに。少なくとも私は寡聞にして知らなかった。スペインの映画はWOWOWでも
ないと、なかなか見られないし。(←言い訳ですw)

白血病の娘を持つ、失業中の元教師、精神科医の夫人として精神的に不安定な生活をしている
バルバラという若い女性。そして、かつてバルバラを小学校のときに担任だったことがある
刑務所帰りのこちらも元教師。大きくいうと、その3つのバラバラだった運命がやがて交差し、
予測不能な衝撃のラストを迎える。先を読めそうで読めない面白さ、それが現実となったときの
衝撃、これが本作の面白味だろう。「え??!」と思うエンディング。そこには正義とか理性とかは
存在しない。「どうです?びっくりでしょ?」という監督の声が聞こえてきそうだ。

「びっくり」要素を加味するものとして、物語のコアとなるくらいの大事なプロットを省略し
説明していないので、観ているほうは想像するしかないわけ。で、その想像の世界に恐怖が
潜んでいるという・・・。
説明なし、の一番大きいヤツは、冒頭小学校の教室で出てくる教師ダミアンとバルバラの
その後の関係。途中、脅迫されたバルバラは、ジグソーパズルなどやらかしているダミアンに
金を貸してくれ、と頼むシーンがあるが、成長してからのダミアンとバルバラの間には何か
あったのだろう。それが刑務所に行く結果に繋がっているのかもしれない、という点。
また、バルバラが瀕死の重傷を負う「とかげの部屋」とは何か。中で何が行われていたのか、
これも(まあ、セックスがらみのサドの世界なんだろうけど)説明はない。(というか伏線は
ある)

それにしても、最後の最後、白血病の娘アリシア(ダミアンにちゃんと理解されぬまま殺される
ルイスの一人娘。ルイスは彼女が日本のアニメの大ファンであるんで、高いお金を出して、
アニメのヒロインのドレスを買いたいと思うのだが、その日暮らしのルイスは、金策に尽きて
悪いことを考えたのだ。それがバルバラとの浮気をバラすぞ、と彼女を脅迫し現金をせびるというもの。
なぜルイスがバルバラと知り合い一夜を共にしたかというと、金が欲しいルイスが宝石店の
ショーウィンドウを割ろうと石を構えた時、そこのビルからゲロが落ちてきた、から。なぜ
ゲロが落ちてきたかというと、精神的に病んでいた(これダミアンに関係あるかも)バルバラが
自殺?しようと大量の睡眠薬だか安定剤を飲んだものの、気持ち悪くなり、窓からゲロを
吐いた、から。ゲロをかけてしまったルイスを家に入れ、洗濯し・・・といううちに。
ルイスは携帯で房事を録音していたんだな。ゲスの極み!=長くなりました)、そのアリシアまで
ダミアンは殺しちゃうんだぞ。ルイスを酒場で射殺して、観ていた客と店長も殺したうえでだ。
何がそうまでして、ダミアンをダークサイドに引きずり込んだのか。ダミアンとバルバラとの間に
何があったというのか。バルバラのせいで刑務所にいったのなら、瀕死で自分の家の前で倒れていた
バルバラの心は?そして彼女のために徹底的な復讐を完結したダミアンは、バルバラを過去のこと
から恨みこそすれ、復讐に手を貸すことはないと思うのだが。いや、そこまでバルバラは
ダミアンの心に食い込んでいたのか。ならなぜ最初に金を貸さなかったのか。最後のワンピースで
完成しえなかったダミアンの大きなジグソーパズルは何を語るのか。

一切の不思議と謎を内包したままエンドロールへとなだれ込む。パパが揃えてくれたドレスとバトンを
持ち、帰ってきたパパを驚かそうとしていた不治の病の少女を射殺するなんざ、許しちゃおけないのだが、
なぜか、観ている私は暴力肯定では全くないものの、なぜか、カタルシスさえ覚えてしまったのだった。
不思議な映画だった。
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<ストーリー>
失業中の父親が、病気で余命わずかな娘の望みを叶えてやろうとしたことから、出会うはずの

なかった人々が思わぬ運命に巻き込まれてゆく。ブラックユーモアに包まれた独創的なストーリーを、

アニメや歌謡曲などの日本テイストが彩る。

監督は、人気漫画『ドラゴンボール』を再解釈したコミックを出版するなど、日本のサブカルに

精通したカルロス・ベルムト。初監督となる本作で、サン・セバスチャン国際映画祭グランプリと

監督賞を受賞した。出演は「赤いブーツの女」のホセ・サクリスタン、「私が、生きる肌」の

バルバラ・レニー、「世界で一番醜い女」のルイス・ベルメホ、本作でスクリーンデビューを

飾ったルシア・ポジャン。


 12歳の少女アリシア(ルシア・ポジャン)は、白血病で余命わずか。そんな彼女の願いは、

大好きな日本のアニメ『魔法少女ユキコ』のコスチュームを着て踊ること。文学の教師だった父

ルイス(ルイス・ベルメホ)は失業中にもかかわらず、娘の最後の願いをかなえてやろうと、その

コスチュームを手に入れようとする。

ところが調べてみると、それは7千ユーロもする高額商品だった。金策に奔走したものの、

失業中の身ではいかんともしがたく、やむなく高級宝飾店への強盗を決意。大きな石で店の窓を

叩き割ろうとした、まさにその瞬間。空からおう吐物が肩に降ってきた。

それは、精神科医の夫と暮らしながらも心に闇を抱えた女性バルバラ(バルバラ・レニー)が、

大量の薬を酒で流し込んだ結果、気分が悪くなって窓から吐き出したものだった。逃げようとする

ルイスを呼び止め、自宅に招き入れるバルバラ。汚れた服を洗濯すると、バルバラはルイスに抱いて

くれるよう求め、2人は関係を持つ。


翌日、ルイスはそのことをネタに、7千ユーロを要求してバルバラを脅迫。やむなくバルバラは、

裏の仕事をしているかつての仲間、アダ(エリザベト・ヘラベルト)の元を訪れると、豪邸で暮らす

車椅子の男の暴行に耐え、7千ユーロを手に入れる。

その金を受け取り、アリシアにコスチュームを買ってやるルイス。ところが、魔法のステッキが足り

ないことに気付き、再びバルバラを脅迫。やむなく、豪邸を再訪するバルバラ。心身ともに傷を負った

バルバラは、自分と過去に因縁を持つ刑務所から出たばかりの元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)に

救いを求める。バルバラに会うことを恐れていたダミアンだったが、自分を“守護天使”と呼ぶ彼女の

変わり果てた姿に心を決め、ルイスの尾行を開始。出会うはずのなかったアリシア、ルイス、バルバラ、

ダミアン。やがて彼らの運命が交錯し、予想もしなかった悲劇へ向かってゆく……。


<IMDb=★7.3>

<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score:81%>




by jazzyoba0083 | 2017-05-04 23:10 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「ミッシング・サン Meadowland」
2015 アメリカ Bron Studios,Itaca Films.94min.
監督・撮影:リード・モラーノ
出演:オリヴィア・ワイルド、ルーク・ウィルソン、ジョバンニ・リビシ、エリザベス・モス、タイ・シンプキンス他
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<評価:★★★★☆☆☆☆☆☆☆>
<感想>

IMDbの評価は低かったが、「突然消えた子供に、夫婦は・・」というサマリーに釣られ
観てみた。いや、辛かった。「辛い人生」って意味じゃなく、観ているのがシンドいと
いう意味で。何を言いたいのか分からなかった。子供を失った夫婦の悲しみを表現しようと
しているのか?それだったらもう少し細部にコダワリがほしい所だ。

ドライブの途中で寄ったガソリンスタンドのトイレからこつ然と消えた一人息子ジェシー。
何処へ言ったのか、誰かが誘拐したのか、事故か、事件か。全く手がかりが無いまま、ラスト
では、警察から当時着ていたジェシーの服が証拠として示される。まあ、だれかに拉致され
殺されたんだろうな。ま、そういう平仄を合わせるに際し、ちらりと決定的なものを見せる、と
いう手法も分からない訳ではない。

では、子供を失った教師サラはどうか。精神安定剤を服用しながらも酒を飲む、学校にいるアスペルガー
の子どもアダムにジェシーの面影を重ね、彼の父親と会い、セックスに至る。何、この母の心情。
つまり壊れた、ってこと?まだ証拠のシャツの事を聞く前だよ。壊れたらそれでいいじゃない?
そして、アスペルガーのアダムへの対応の始末は?像の涙で終わりかい!って感じ。あのあたりは
情緒に流され過ぎではないか。警察官のオヤジの立場も今ひとつはっきりしない。
この手の神隠し映画はこれまでもいろいろあったけど、話が抽象?過ぎて分かりづらかった。
Rottentomatoesのtomatometerの100%は、壊れているんじゃないか?
日本劇場未公開作品。
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<ストーリー>
TVドラマ「The O.C.」で注目されたワイルドが、消えた息子を案じるあまり精神を崩壊させて
いく母親役を熱演したサスペンス。共演は「キューティ・ブロンド」シリーズのL・ウィルソン、
「テッド」のG・リビッシ。加えて「ジュラシック・ワールド」の子役T・シンプキンスが孤独な
少年役で印象深い好演を見せた。
サスペンスより、むしろ最愛の息子を突然奪われた両親の苦悩を描く人間ドラマに重点が置かれた
演出が光る。「最高の人生のはじめ方」などの撮影を手掛けたR・モラーノが監督デビューを飾った。
(WOWOW)

<IMDb=★5.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100%  Audience Score:57%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=357398#1こちらまで。



by jazzyoba0083 | 2017-04-07 22:40 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「マネーモンスター Money Monster」
2016 アメリカ TriStar Pictures.(a sony company) 95min.
監督:ジョディ・フォスター
出演:ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ジャック・オコンネル、ドミニク・ウェスト他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

面白かったけど、どうも底の浅さが気になる。いや、そういう映画じゃなく、活劇だから、と
いう向きには、上映時間も短いし、楽しいだろう。が、ウォールストリートのアメリカっぽい
お金のやり取りを描くものとしては、主張が弱いなと感じた。それとジュリア・ロバーツ、
テレビ局のディレクターなのだが、映画全体への取り込み方も含め、使い方が勿体無いと
思った。

現在の株の取引は、大型高速コンピュータを使いアルゴリズムを利用し、1秒以下の
差異で利益を得るという、素人筋ではなかなか対応出来ないシステムになっていることは
有名な話だし、それが暴走すると、企業の成績や地政学を反映せず、本来株式相場が持つ、
資本主義の有意な側面を崩してしまうということも発生し、証券取引等委員会が制限に
乗り出した、というニュースも記憶に新しい。
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そういう背景があり、FNNというテレビ局(おそらくfinancialNewsNetworkかなんかの
頭文字だろう)の株価や為替をネタにした人気バラエティ番組「マネーモンスター」の司会が
リー・ゲイツ(クルーニー)。その番組の辣腕ディレクター、パティにジュリア・ロバーツと
いう配置。
ある日の番組に宅配を装った若い男がスタジオに闖入、生放送中のリーに銃を突きつけ、しかも爆弾
ベストを着せて、デッドマンスイッチという押し続けたスイッチが切れると爆発するというボタンを
手にしている。彼は、この番組で上昇間違いない、銀行より安全有利と言われたアイビス社の株を
母の遺産6万ドル全額をぶち込んだ。これが暴落。アイビス社全体で8億ドルの損失を出しだのだった。
当日はアイビス社の広報責任者ダイアンに、「バグ」だと主張するトラブルの真相を聞き出そうと
中継を結んでいたところだったのだ。

乱入者カイルは、単純に頭に来たんだろうな。富めるものは常に富み、搾取されるのは常に貧乏人だと。
8億ドルを損失者全員に補償しろ、と要求する。生放送中の異常な事件に世間も警察も沸騰。
カイルは生きて出る気はないとは言うのだが。やがて妊娠した恋人も連れてこられて説得に当たる
のだが、恋人はカイルを馬鹿呼ばわりする一方で役に立たない。警察はスタジオ天井に侵入し、
犯人が爆弾のスイッチを入れても爆発しないよう、リーが着せられているベストに付いた受信
装置を狙い撃ちにする計画に出た。当然リーも怪我をする。それでも多くが救われるというわけだ。

そうこうする裏側では、アイビス社のCEOキャンビーの不正が次第にあぶり出されてくる。
アルゴリズムの設計者の言葉では、一社に集中して買うことは機械はしない、とかアルゴリズムは
嘘がつけないなど。「人の指紋があるのさ」。キャンビーの不正が確定的になる。
そこで、リーとアイビス社の広報ダイアンのアイデアで局の近くの連邦会議堂でキャンビーが会見を
開くことになる。その場まで銃と爆弾ベストで移動するリーとカイル。沿道には見物客が多数だ。
やがて、会議堂でキャンビーと相対したリーとカイル、爆弾ベストをリーからキャンビーに着せ替え
させ、キャンビーに真相を迫る。局に刻々と入るキャンビーの不正情報は追いかけてきた中継車の中から
送出されていく。彼の不正映像の数々を背景に、キャンビーを追い詰め、カイルはついにキャンビーの
口から「悪かった」という謝罪の言葉を引き出すことに成功した。しかし、回りはスナイパーだらけ。

実はカイルは全財産を失い頭に来ただけで、爆弾ベストも粘土製であった。途中からキャンビーを
責める役目はリーへと変わっていく。キャンビーが謝罪を口にし、カイルは武器を捨てようとした
瞬間、スナイパーに撃たれ絶命してしまう。恐らくテレビでカイルを応援していた大衆はがっかり
したことだろう。
そして、リーとパティは「次は何をネタにしようか」と語り合っている。
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最期のシーン、テレビ局関係者の軽いノリを表現したものだろうが、カイル射殺のシーンのリーの
心情とは一致しないような違和感を覚えた。ああいう終わり方で良かったのか?と。
スピード感もあり、次にどうなるのか、ハラハラもいい感じなのだが、高速取引を隠れ蓑にした
CEOの詐欺的投資行為に原因を求めた根本とその回りが弱い感じだった。ジュリア・ロバーツの
考え方が伝わってこない、そしてアイビス社広報ダイアンが最初からいい人で登場するのが勿体無い。
映像の構成、流れは良い。
全体としてそこそこ面白い映画ではあります。

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:57% Audience Score:51%>


この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv60044/こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-04-05 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「マン・オン・ワイヤー Man on Wire」
2008 イギリス Discovery Films,BBC Storyville,UK Film Council.95min.
監督:ジェームズ・マーシュ
出演:フィリップ・プティ他
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         <2008年度アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞受賞作品>
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
1974年8月7日朝、一人の男が完成間近の今は無きワールドトレードセンターの2つのビルの間に
渡したロープを渡る光景が見られた。25歳の誕生日を数日後に控えた若きフランス人、フィリップ・プティ
である。この男、45分間に渡りロープ上で踊り、ジャグリングをし、膝をつき、横たわって見せた。

本作はプティの「偉業」を捉えたドキュメンタリーである。このイベントに付いては後年、ロバート・
ゼメキスの手で3D映画化された。WOWOWでは映画化版を放映するに際して、本ドキュメンタリーも
放映しれた。こういうのがWOWOWのいいところだ。これを観ると「ザ・ウォーク」がいかに
事実に忠実に作られていたかを確認出来て、その点でも良かった。一つだけ、再現映像とドキュメント
フィルムの両方の出来が良かったので、再現ドラマなのか記録映像なのか分かり辛かった。

本作に長所は、世紀の大イベントに対し、当事者を含め「共犯者」たちの証言を加え、さらに
再現ドラマも加えるという多角さの演出にあると思う。さらに全部で10人にもなろうという仲間がいなくては
なし得なかった「狂気」の驚くべき裏側がリアルに描かれる点もあろう。
加えて、400メートル上空での命綱なしの綱渡りという、ありえない事態が映画の緊張感を加速させている
という「ゲタ」はあると感じたが。
いずれにせよ、プティという、我々が及びもつかない「特殊能力」を授かった男の、文字通り
「綱渡り」な人生を綴っていく。と言っても、24歳になるまでに彼はパリのノートルダム寺院、
シドニーのハーバーブリッジでも信じられないような綱渡りを決行しているのだった。彼はパリの歯科医の
待合室にあった新聞で、6年後に完成するWTCの存在を知り、もう渡るしかない!と確信する。そこから周到な
準備が始まったのだ。まだ十代であったことを思う時、プティの狂気のモノ凄さが分かるような気がする。
WTCの場面は写真しかないが、ノートルダムや彼の綱渡りの光景はちゃんと動画で残っていて、その
リアリティにも圧倒される。

プティの思い込んだら命がけの行動力は、常人には想像が難しい。ただただ、凄い!と言って見守るのみだ。
何かに憑かれたようにとことん取り組んでみる、そういう事が人生であっただろうか、そんなことに思いを
致してしまう。彼自身「人生は綱渡り(タイトロープ)だ。」と発言しているが、分かるように、このセリフは
ダブルミーニングになっている。

今はもうないWTCへのトラウマが軽くなる2008年頃まで、原作となる本の出版をプティは待っていたので
あろうか。そして逮捕されたプティを待っていた裁判所の粋な対応とビルの大人な対応を思う時、今はもう
コンプライアンスだのガバナンスだのと称してこういう「誰も傷つかない美しい犯罪」に対する懐の深い対応は
望むべくもないのだろうか。
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<ストーリー>
1974年8月7日、24歳のフランス人フィリップ・プティは、ワールド・トレード・センターのツインタワーの
間に張られた地上411mの綱で綱渡りを披露する。6年前、ツインタワー建設計画の雑誌記事を目にした彼は、
1971年6月、ジャン=ルイ・ブロンデューとジャン=フランソワ・ヘッケルに支えられ、パリのノートルダム
大聖堂の2つの尖塔の間の綱渡りを行う。また1973年、オーストラリアの友人マーク・ルイの助けで、シドニーの
ハーバー・ブリッジ北側の鉄塔で、2度目の違法綱渡りを敢行する。

1974年1月、ニューヨークにやってきたフィリップは、ジム・ムーアの協力を得て、何度もツインタワーを訪れる。
ジャン=ルイ、マーク、恋人アニーが彼の仲間だった。計画の日、ワールド・トレード・センターの屋上は工事中
だった。フィリップとジャン=フランソワは南タワーに、ジャン=ルイとアルバートは北タワーに、工事作業員と
ビジネスマンに変装して入る。南タワーの82階にある保険会社で働くバリー・グリーンハウスが装置の運搬を許可し、
さらに、エレベーター作業員のミスで104階まで上がることができた。
フィリップたちは道具を隠し、自分たちも身を潜めた。闇夜の中、作業が始まる。ジャン=ルイはフィリップの
合図で綱をつけた矢を放つ。しかし重い鉄のワイヤーが、固定される前に落ちてしまう。

ジャン=ルイとアルバートは素手でケーブルを引っ張るが、アルバートが途中で諦めて去る。ジャン=ルイの尽力で
何とか綱を固定することはできたが、理想的ではなかった。それでもフィリップは綱の上に足を踏み出す。
そして45分間8往復の綱渡りの後、フィリップは不法侵入と治安紊乱行為の罪で逮捕される。
しかしその後の裁判で、セントラルパークで子供たちにジャグリングを見せるという条件で容疑は撤回される。
港湾管理委員会はフィリップに、永遠に有効と記されたワールド・トレード・センター展望デッキへのVIP
許可証を贈呈する。(Movie Walker)

<IMDB=★7.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score:87%>

この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv38139/こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-03-04 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「真夜中のピアニスト De battre mon coeur s'est arrêté」
2005 フランス Why Not Productions and more.108min.
監督・(共同)脚本:ジャック・オーディアール
出演:ロマン・デュリス、ニエル・アレストリュプ、オーレ・アッティカ、エマニュエル・ドォヴォス、リン・ダン・ファン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

この年の「セザール賞」作品、監督など主要8部門で賞を獲得した作品。主演男優賞は外れてしまい、ロマン君、
せっかくピアノを一生懸命弾いていたのに残念だった。もともとはアメリカ映画でハーヴェイ・カイテル主演の
「マッドフィンガー」をリメイクした形となっている。監督・脚本はフランスでは既に定評のある人のようだが
私は良くは知らない。手持ちの荒々しいカメラと、後半ピアノ演奏会などで使われる脚を使った安定した画が
対象的だ。
個人的に難点だったのは、前半しばらく、主人公が何の商売をしているのか分からなかった点。予備知識無しで
観たので、不動産ブローカーであることが分かったのは30分位経過してからであろうか。それは置くとしても
主人公がピアノを弾き始めてから、ストーリーが動く出す。それまでがもどかしかった。

ピアニストであった今は亡き母親の影響でかつてピアノを弾いていたトム(ロマン)。彼は父の手伝いもあり、
仲間と結構危ない不動産ブローカーをしていた。そんな日々を送る中、荒廃する心を開放しようとしたのだろう、
昔習ったピアノに10年振りで手を付けて見た。
ある日かつての母のコンサートマネージャーからピアノのオーディションを受けることを勧められ、ピアニストを
目指し本格的にピアノを習う決意をする。いくつかの学校に断わられ、友人の紹介で中国人ピアニストの
ミャオリンの個人レッスンを受けることになる。ミャオリンはフランス語を話さない・・・。

片や荒んだ生活が続き、辛い心の逃げ口として、また別の自分になりたいという希望をもち真夜中にピアノに
向かうトム。だが、短気な彼は言葉の分からないミャオリンに当たったり、なかなか上手くならない自分に
自暴自棄になったり。
暴力的な商売とピアノレッスンという非常に対照的な事象を合わせ、主人公トムの揺れる心が手持ちのカメラで
表現されていく。
いよいよオーディションの日がやってきた。しかし当日も仲間から商売に連れて行かれ、心が乱れてしまう。

<ここからネタばれです>

ラストに向かうオーディションから二年後の生活もある意味衝撃的だった。結局ピアニストにはなれなかった
トムはミャオリンのステージマネージャーになっていた。殺された父の復讐を経て、血のついた服でミャオリンの
コンサート会場に座ったトム、演奏を聴いて笑顔になるのだった。結局、トムは別の形で自分を見つけた、という
ことなのだろうか。

ハーヴェイ・カイテルのオリジナルは未見であるが、本作は脚本がとても良かったし、映像が荒々しいトムの心や
商売を活写していた。全体としてみれば異質なフィルム・ノワールではあるが、独特の味わいを持っている。
セザール賞は逃したが、トムを演じたロマン・デュリス、悪くなかったと思う。
ジャック・オーディアールは、本作から10年後の2015年、「ディーパンの闘い」で、カンヌ国際映画祭パルム・
ドールを獲得することになる。
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<ストーリー・結末まで書いてあります>
28歳のトム(ロマン・デュリス)は、友人ファブリス(ジョナサン・ザッカイ)、サミ(ジル・コーエン)と
組んで、不法住民を暴力で追い出し物件を転がす不動産ブローカー。
同業の父ロベール(ニール・アルストラップ)からは再婚する予定の若い恋人クリス(エマニュエル・ドゥヴォス)を
紹介されるが、トムは素直に認められない。

そんなある晩、亡き母のコンサート・マネージャーに再会したトムは、オーディションの機会を与えられ、
ピアニストへの道を薦められる。10年ぶりでピアノに向かったトムは、忘れていた音楽への愛と情熱を再認識した。
そしていくつかの音楽学校を断られたあと、中国人ピアニストのミャオリン(リン・ダン・ファン)の元にレッスンに
通うことになる。

ファブリスからは浮気のアリバイ工作を頼まれ、父からは取り立てを催促され、現実に嫌気が差すトムは、どんどん
ピアノのレッスンにのめり込む。さらにはファブリスの妻(オーレ・アッティカ)と関係を持ってしまうトム。
そして父から金を騙し取ったというロシア人のマフィア、ミンスコフ(アントン・ヤコフレフ)の若い愛人(メラニー・
ロラン)とも関係を持つ。
オーディション当日には物件の裏取引に連れ出され、当日は心が乱れてうまくピアノが弾けない。思わず会場を飛び
出したトムは、無残に頭を撃ち抜かれた父の姿を見つけるのだった。

2年後、ミャオリンのコンサートに付き添うトムの姿。彼は父を殺したミンスコフを発見し、追いかけて暴力を加える
ものの、最後のとどめは刺さなかった。そしてコンサート会場の席に着き、ミャオリンのピアノ演奏を堪能するのだった。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:85% Audience Score:84%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=323086#1こちらまで。



by jazzyoba0083 | 2017-02-18 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

マリアンヌ Allied

●「マリアンヌ Allied」
2016 アメリカ GK Films,Paramount Pictures and more.124min.
監督・(共同)製作:ロバート・ゼメキス
出演:ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール、ジャレッド・ハリス、サイモン・マクバーニー、リジー・キャプラン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

ゼメキスファンとして、正直な感想を言えば、「ゼメキスらしく、もうひとヒネリ、ふたヒネリ欲しかった!」。
大きなスケールの悲恋モノで、結末もハッピーエンドではない。それはいいとしても、筋書きがちょっと
単調で、ラストも想像できてしまう。あの「フォレスト・ガンプ/一期一会」「キャスト・アウェイ」
もっと言えば「バックトゥーザフューチャー」のゼメキスだから、期待も大きかったのだ。良い配役も得て
いるのになあ。特にマリオンの演技は、そりゃあ確かなものだ。ああいうシチュエーションで揺れる感情を
表現するのは難しいと思うのだ。彼女は演技派だなあと確認した。そこは良かった。ブラピは普通だ。

あと良い点を上げると、オスカーの衣装デザイン賞のノミニーにもなっている美術全般の仕上がりの良さ。
衣装・化粧から小道具、ロケーション美術、飛行機などの大道具と関連したCG、どれも一級品で
素晴らしかった。そのあたりはゼメキスの作品はこれまでも抜かりが無かった。結局、脚本が弱いんだろう。
映画は「カサブランカ」編と「ロンドン」編と大きく2つに別れる。激しいドンパチはカサブランカ編のみで
(空襲を除く)あとの銃声は、ラストに悲劇的に響くもののみだ。故にロンドン編は行き詰まる心理劇となる。

上官から「お前の妻はドイツのスパイだ。証拠も有る」と言われちゃ、普通じゃいられません。ダメだと
言われても、いろいろと検証してみたくなる気持ちも分かるというもの。そして、本当の姿を知った時の
夫(ブラピ)の行動も、そういうふうになるわなあ、というもの。そして悲劇のラスト。
日本のドラマや映画もそうだけど、急いで逃げたい時に限り、クルマや飛行機のエンジンはかからないものだ。
 
       <ここから先は結末まで触れていますので、ご注意ください>

ブラピ演じるマックス・バタンはカナダ軍から派遣されたイギリス軍特殊作戦執行部の中佐。(結構エラい)
彼はパラシュートでモロッコに入り、カサブランカで「スズメバチの柄のドレスの女がお前の妻となる」
との指示で、マリオン演じるフランス人レジスタンス、マリアンヌ・ボーセジュールという女性と合流、
夫婦を装い、現地での信頼を獲得したのち、在モロッコドイツ大使と大使館付武官を一気に射殺するという
作戦に臨む。
作戦は成功し、2人は同じミッションを成し遂げたこともあり、急速に接近。ホントに結婚することに
なる。そして内勤となったマックスはロンドンに帰り、穏やかな日々を送ることになる。しかし、
ある日、上官から「お前の妻はドイツのスパイだ。マリアンヌ・ボーセジュールは既に死んでいる。
他人になりすましているのだ。正体が明らかになれば、お前が殺せ」と言われる。
明日、ニセの暗号をお前に電話するから、メモをしておけ、それがドイツに筒抜けになるのか
分かるようになっているから、そうなれば殺せ、お前も一枚噛んでいれば、「大逆罪」で死刑だぞ、と
宣告される。こえー!
その頃、夫妻には空襲下で生まれた女児がいた。

「え、マリアンヌがスパイ!?そんなことはありえない」とバタンは妻の写真を持って、彼女を
知っていると言われる兵士やレジスタンスに会いに出かける。そこで知った事実でバタン本人が
まだ知らなかったのは、マリアンヌが上手くピアノを弾いた、ということだ、しかも「ラ・マルセイエーズ」を。
揺れ動く心を押さえてバタンは彼女をパブに連れていき、ピアノの前に座らせ、「ラ・マルセイエーズ」を
弾いてくれ、と迫るのだった・・・。彼女の口から出た答えは・・・・。

他人の名前とはいえ、ボーセジュールとは。フランス語で書くとBeau ces jours と聞こえる。
(ホントは違う綴だけど)和訳すると、美しいこれらの日々、というほどの意味だが、マリアンヌの
魂の声のように思えた。彼女がロンドンで過ごした夫と娘を愛した日々に偽りは無かった、という
ことだ。(スパイはしちゃったけど)

冒頭でも書いたように、「ケレンの神様」のようなゼメキスにしてみると、非常にストレートな作劇で
いい映画なんだけど、あれえ、という感が無きにしもあらずなのだ。妻の疑惑がもう一段濃く提示される
ようなシークエンスが入らなかっただろうか。ちなみに原作の「Allied」(アライド)は、連合した、
同様の、などの意味をもつ割りと味も素っ気もないもの。

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:61% Audience Score:67%>
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<ストーリー>
「フライト」「ザ・ウォーク」のロバート・ゼメキス監督がブラッド・ピットとマリオン・コティヤールを
主演に迎えて贈る歴史サスペンス・ラブストーリー。
第二次大戦下のカサブランカとロンドンを舞台に、ナチス・ドイツとの戦いで極秘任務を負い偽装夫婦の
相手として出会った一組の男女が、時代に翻弄されながら繰り広げる切なくもミステリアスな愛の行方を
サスペンスフルかつエレガントに綴る。
 
1942年。モロッコのカサブランカに降り立ったカナダの諜報員マックス。イギリスの特殊作戦執行部に
所属する彼は、極秘任務を与えられ、ナイトクラブで偽装妻と落ち合う。彼女はフランス軍の伝説的女性
レジスタンス、マリアンヌ。2人は夫婦を装い、ドイツ大使の暗殺という過酷な任務に挑む。
その中で図らずも互いに心惹かれていくマックスとマリアンヌ。その後2人はロンドンで結婚し、可愛い娘
にも恵まれ、幸せな結婚生活を送るのだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358099#1こちらまで。





by jazzyoba0083 | 2017-02-12 12:25 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章 The Second Best Exotic Marigold Hotel」
2015 イギリス Babieka,Blueprint Pictures.122min.
監督・(共同)製作、原案:ジョン・マッデン
出演:ジュディ・デンチ、マギー・スミス、ビル・ナイ、デヴ・パテル、ペネロープ・ウィルトン、セリア・イムリー
   ロナルド・ピックアップ、ティナ・デサイ、ダイアナ・ハードキャッスル、リチャード・ギア他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
たいそう面白かった作品の続編。いわゆるグランドホテル形式で、インドはジャイプルに開業した
マリーゴールドホテルは、ワケアリの熟年者たちが住んでいるように使っていて、他の部屋の埋まりも
良く繁盛していた。初作は青年の熱意と熟年者の知恵で、古いけどエキゾチックなホテルが開業する
までを描いた。続編冒頭はアメリカはサン・ディエゴ、ホテル業界の大物に、マリーゴールドホテルの
第二号店を出さないか、というオファーを、経営主任たるリュミエル(マギー・スミス)と若きオーナー
ソニー・カプール(デヴ・パテル)が、申し出にやってきたのだ。大物バーレイは、後日調査員を
派遣し、事の次第を判断する、ということになった。

さて、覆面調査員としてホテルにやってくる男は誰か?そんな折に、予約無しでぶらりとホテルに
現れたのは、いかにもの風体のガイ・チェンバース(ギア)という男があらわれた。
ソニーはバーレイが言っていた男(ガイ)の謎掛けで、彼こそ調査員と思い込み、まさにいい部屋に
チェックインしようとしていた女性の部屋を取り上げ、彼を厚遇するのだった。苦々しくそれを
見ていたフロントに勤める彼の婚約者スナイナと、リュミエルであった。

ソニーの母(リレット・デュベイ)と惹かれ合っていくガイは、本当に調査員なのか?そうこうして
いるうちに第二のマリーゴールドホテルとして買収をもくろんでいたホテルを、ソニーが恋敵と勝手に
思い込んでしまったクシャルに先を越されて買われてしまう。結婚式を間近に控えたソニーとスナイナの
間がギクシャクしてくる。さて、こんな状態で二号館をオープンできるのか?というお話を
縦軸に、ご老人5組の愛憎の行方を横軸に、大団円に向けて話が進む。ご老人それぞれのエピソードも
上手いこと纏められ、ソニーの母とガイの恋の行方も気になりつつ、ソニーとスナイナはすった
もんだで、ラスト、結婚式のシーンではインド式の大ダンス大会。そしてそれぞれに落ち着いた
カップルが各々のスクーターにタンデムで乗り・・・・。

イギリス式のウィットに富んだ会話に、ご老人独特の辛辣さが加味され、粋な会話のキャッチボールが
楽しい。それぞれ人生を重ね、豊かな知見に裏付けられた会話は含蓄に富んでいて、メモしたくなる。
「自分を惨めだ、と思う人生こそ残念だ」というのが個人的に気に入った。若い人には辛気臭いドラマ
かもしれないが、その豊かな経験こそ映画を通して味わうとよい。またイギリスの名優たちの演技がお話を
サポートする。前作に続き、人間を描かせたら逸品のジョン・マッデンの演出も冴えている。

本作中ではまさに買収に失敗し、調査員を取り間違え他の客に迷惑をかけ、婚約者とこじれる若き
オーナーのソニーが、若者のコトバは悪いが「浅はかさ」を代表している。しかし、若い人は
若いなりの解決をし、ご老人はご老人なりの解決を図っていく。勢いは当然若い人にあるわけで。
そのあたりの心の揺れ動きをジュディ・デンチ扮するイヴリンが上手いこと演じている。仕事も恋も
遅すぎる、ということはないのだ、ということを。ラストに近く、「Strangers in the Night」に乗せて
円熟の人々が踊るシーンがあるのだが、まさにホテルに来るまでは見知らぬ同士が、心を許し合って
ダンスをする、う~ん、いいシーンだった。

前作に続き、心温まり、愉快痛快な、含蓄に富んだ良作に出来上がった。

<IMDb=★6.6
<Rotten Tomatoes:Tomatometer=63% Audience Score=59%>
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<ストーリー>
インドの自称“高級リゾート・ホテル”で第二の人生を送ろうとイギリスからやって来た高齢者たちが
繰り広げる悲喜こもごもの人生模様を描き世界的にヒットした群像コメディ・ドラマ「マリーゴールド・
ホテルで会いましょう」の続編。
出演はジュディ・デンチ、マギー・スミス、ビル・ナイ、デヴ・パテルら前作からの続投組に加え、
リチャード・ギアが新たに参加。監督は引き続き「恋におちたシェイクスピア」「コレリ大尉の
マンドリン」のジョン・マッデン。

 インドのマリーゴールド・ホテルに長期滞在するイヴリンたちイギリス人の男女5人。最初は
不満タラタラだったが、今ではこのボロホテルに愛着すら感じていた。おかげでマリーゴールド・ホテルは
今や常時満室状態。恋人スナイナとの結婚を控え、すっかり順風満帆の若きオーナー、ソニーは、
さっそく事業の拡大に乗り出す。そして宿泊客から共同マネージャーに転身したミュリエルとともに
渡米し、新館オープンの資金獲得のために投資会社へと乗り込んでいく。

一方滞在客のイヴリンも、現地で始めた仕事が本採用になり充実した日々を送っていた。しかし、互いに
好意を寄せ合っているダグラスとの関係はなかなか進展しないまま。そんな中、ソニーが帰国して間もなく、
予約なしの客が現われる。彼を投資会社が送り込んできた覆面調査員だと睨み、丁重にもてなすソニー
だったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353844#1こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-02-11 23:20 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「マグニフィセント・セブン The Magnificent Seven」
2016 アメリカ MGM,Columbia Pictures.133min.
監督:アントワーン・フークア
出演:デンゼル・ワシントン、クリス・ブラット、イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオ、
   イ・ビョンホン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、マーティン・センスマイヤー、ヘイリー・ベネット
   ピーター・サースガード他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
よく出来た活劇である。黒澤「七人の侍」、これにインスパイアされた「荒野の七人」の
リメイク作品で、アメリカ人(でなくても)が大好きな、勧善懲悪西部劇だ。
ありがちなストーリーでは有るけれど、登場人物それぞれにまつわるエピソードやキャラ付けも
上手く、(下手に作ると黒澤明やジョン・スタージェスに失礼だろう)質の良い西部劇に仕上がった。
エンディングロールの音楽は「お!」と思う仕掛けがある。

現在のトランプ大統領時代に見ると、作品の構図が一段と際立つ。村を守る7人は、黒人、インディアン、
東洋人、アイルランド系、メキシカンなど、アメリカが成立してきた過程の人種の集まりである。
片や、ラスボスは金採掘で悪どく儲け、村の土地を奪おうとする成り上がりの白人資本家。まるで
トランプだ。
見どころはもちろん、7人が村人と組んで、悪人どもと一大決戦をし、死者けが人も多数でるが、最後は
勝利するというところ。7人の内4人も命を落とす結末だ。その悲劇性が物語を一層劇的に仕上げる。
村人組は悪人側のガトリング銃(機関銃)の登場で、被害甚大となるのだが、これの粉砕に臨む
ファラデー(クリス・プラット)の仕掛けに快哉を叫ぶ。もちろん全員が銃の名手なのでガンファイトは
見応え充分だ。なかでもグッドナイト・ロビショー(イーサン・ホーク)はワケアリのスナイパーで
またその活躍も見どころ。彼とコンビを組む謎の東洋人ビリー(イ・ビョンホン)はナイフの名手だ。

悪党らに旦那を殺され、正義と復習のためサム・チザム(デンゼル・ワシントン)に助けを求める女性
エマのヘイリー・ベネットが儚げなのだが芯が強い女性を演じて、一服の清涼剤的存在。
彼女まだ29歳なんだね。もっと大人にみえた。

監督のアントン・フークアとデンゼルは「トレーニング・デイ」「イコライザー」でコンビを組んでいた。
また個人的にはこの監督の「ザ・シューター/極大射程」が大好きだ。全般に活劇の作劇が上手い人。
本作においても伏線の回収も含め手堅く上手く纏めてある。デンゼル・ワシントンの秘密がラストで
明かされるが、まあ、こうだろうなあ、という納得の展開だ。
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<ストーリー>
黒澤明監督による不朽の名作「七人の侍」を西部劇に翻案した「荒野の七人」をデンゼル・ワシントン、
クリス・プラット、イーサン・ホークら豪華キャストでリメイクした西部劇アクション。
監督は「トレーニング デイ」「イコライザー」のアントワーン・フークア。
 
開拓時代の小さな田舎町。そこでは冷酷な悪徳実業家バーソロミュー・ボーグが町の資源を独占しようと
荒くれ者たちを従え、傍若無人の限りを尽くしていた。ある日、ボーグに夫を殺されたエマは、サムと
名乗る賞金稼ぎの銃の腕前を見込んで、町を救ってほしいと住民からかき集めたなけなしの全財産を
差し出し懇願する。最初は興味を示さなかったサムだったが、この依頼を引き受けることにし、
ギャンブラーのジョシュをはじめ腕利きの男たちのリクルートを開始する。こうしてワケありの
アウトロー7人が小さな町を守るために雇われ、やがて彼らはボーグ率いる200人超の悪党軍団に
無謀とも思える戦いを挑んでいくのだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=357279こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-02-05 15:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「マダム・フローレンス!夢見るふたり」
2016 イギリス Qwenty Films,Pathe Pictures,BBC Films.111min.
監督:スティーヴン・ステアーズ
出演:メリル・ストリープ、ヒュー・グラント、サイモン・ヘルバーグ、レベッカ・ファーガソン、ニナ・アリアンダ 他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

実に心温まる映画であった。富豪がカネにモノを言わせての酔狂、と断じるのは容易い。しかし、本作の底流に
流れるのは、お金があるかないか、は別として、「愛情物語」なのである。私も冒頭の付近では、「イタい勘違い
おばさんのコメディ」と思っていたのだが、フローレンス(メリル)と、夫(二番目の)シンクレアの愛の物語、
次第にウルウルとさえ来てしまったのだった。(夫には公認の愛人がいるのだが、梅毒という重い病に侵されている
フローレンスは、知って観ぬふりをしていたのだった。だからといって二人の愛情がウソである、とは思えない)
そして、最初は迷惑顔だった伴奏者コズメ(サイモン・ヘルバーグ)との間にも、信頼と愛情で結ばれるように
なっていくのだ。(このコズメがいい役どころでスパイスとなっている)

実在の迷歌手、フローレンスは、確かにお金にあかせて自分の歌に文句を言わないファンを集めてコンサートを
開いたり、夫は新聞記者を買収して、コンサートに好意的な記事を書かせたりはしていた。
ときは1944年。太平洋戦争も末期のころだ。そうした時代に現れた彼女の存在は、正統派クラッシック歌手の姿が
求められていたのではなく、エンターテナーとしてのそれが時代のニーズにあったような気がする。
フローレンスの純粋な心は、本当に歌うのが好きなんだな、それは上手いとか下手とかを超越しているんだな、と
愛おしくさえなるのだ。当時、カーネギーホールを満員にした(招待された引き上げ軍人が多くいたけど)、観客
たちは、そんな彼女の純粋な姿に、滑稽さを通り越した、一途な純粋な熱意みたいなものを感じたのではないか。
たとえは正しくないかもしれないが、安西水丸や、蛭子能収の絵を見る味わい、というようなところか。
フローレンスの歌は今でもCDで聞くことが出来る。キワモノ、怖いもの見たさ、というのは簡単だろう。
だが、本作を観終えると、そういう簡単な単語で言い切れない、不思議な何かが彼女の歌にはあることが分かる
のだ。実際がどうかは分からないが、映画としての表現は確固として提示されている。

正式なクラッシックの独唱のレッスンをしっかり積んでから、下手を演技した、というメリルは、フローレンスと
いうキャラクターの純粋無垢な所も併せて、実にチャーミングだ。梅毒の治療で頭髪も、眉毛もない風体も含めて。
唯一、メリルの素晴らしい歌唱がフローレンスの夢の中で出て来る。本来歌のうまい人なので、ちゃんと歌うと
素晴らしいものだ。
イギリスのプレイボーイ、ラブコメの帝王も、お顔にシワが増えて、愛する妻を支える心温かい夫を熱演。
ただ、映画は全般に平板となり、起伏が乏しいのが残念だった点だ。
ちなみにIMDbでは7.0、rottentomatosでは87%の評価を受けている。
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<ストーリー>
 “音痴の歌姫”として知られるフローレンス・フォスター・ジェンキンスの驚きと感動の人生をメリル・ストリープ
主演で映画化した音楽伝記ドラマ。筋金入りの音痴でありながら、ヒロインの音楽に対する純粋な気持ちがいつしか
人々の心を捉えていくさまと、そんな彼女の夢のために奔走する夫の深い愛をユーモラスなタッチで綴る。
共演はヒュー・グラント、レベッカ・ファーガソン。監督は「クィーン」「あなたを抱きしめる日まで」の
スティーヴン・フリアーズ。
 1944年、ニューヨーク。社交界の大物マダム・フローレンスは、持病を抱えながらも音楽を愛し、莫大な
遺産を音楽家のために惜しみなく使ってきた。そんな彼女がある時、ソプラノ歌手になるというかつての夢を
再び取り戻し、レッスンを再開することに。ところが彼女は自分では気づいていないが、歌唱力に致命的な
欠陥を抱えていた。それでも愛する妻から夢を奪いたくないと、夫のシンクレアはすぐにレッスンの手配を進める。

しかし伴奏者として雇われたピアニストのコズメは、フローレンスの歌声に呆然としてしまう。シンクレアは
そんな周囲の否定的な反応を懸命に封じ込め、フローレンスが気持ちよく歌える環境を整えるべく奔走する。
おかげでますます自信を深めていくフローレンスだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358011#1こちらまで。



by jazzyoba0083 | 2016-12-04 12:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

マシニスト The Machinisit

●「マシニスト The Machinist」
2004 スペイン・イギリス Filmax Group Castelao Producciones.106min.
監督:ブラッド・アンダーソン
出演:クリスチャン・ベイル、ジェニファー・ジェイソン・リー、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ジャン・シャリアン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
役作りのために30キロの減量をしたクリスチャン・ベイルのお姿で、この映画の半分の良さは
決まってしまったようなものだけど、映画としても、そのベイルの怪演を含め、面白かった。
一年間眠らないと死んじゃうんだけど、映画でも出てくるが、うつらうつらするんだよね。でも
なんかの物音がしたり、読んでいた本を落としてしまったりして、目が覚めちゃう。そのあたりの
細かい演出は良かった。
(ここから決定的にネタバレですが)主人公トレバー(ベイル)は赤いムスタングを運転していて
交差点で男の子をはねてひき逃げしてしまうのだな。この罪の重さに不眠症になり、様々な
恐怖の妄想を見るわけ。で、どこからが妄想なのか、どこからが現実なのかがわかりにくい構造に
なっている。マシニストとは機械工の事。トレバーは旋盤工みたいな仕事をしているのだが、
誤って仲間の腕を切断してしまう事故を起こす。その原因を作ったのはアイバンという男の姿
であった。この男、知り合いのようなのだが、実は幻想なのだ。

それ以降、作品の中に出てくる主人公が毎日行く空港にあるカフェの従業員とその息子。
(ひき逃げしてしまった母と息子)彼らとのデートの幻影。冷蔵庫に貼り付けられる謎なぞの
ような気持ちの悪い絵、自分もあわや機械に巻き込まれそうになる事故、アイバンという男が
乗っているムスタングを調べていたら、それは自分が乗っていて廃車届けを出していたクルマで
あったこと、寂しさを紛らすために通っていた娼婦の部屋にあったアイバンという男の写真(実は
自分の痩せる前の写真)、アイバンの後をつけていくとカフェの女給の息子が一緒に家に入って
いく・・・。見ている人はあたかもトレバーになり、妄想幻想と現実の狭間を彷徨うことになる。
次にどうなるのか、という「悪い予感」がこの映画の魅力だ。

allcimemaの感想を読むと、オチは割りと簡単に分かった、と書いている人が多いが私は
分からなかった、その分映画を楽しむことが出来た。
結局、見ている人がクリスチャン・ベイルになり罪の意識から生まれる幻想妄想をともに恐怖しつつ
共有することにより、この映画の楽しさ面白さが出てくると感じた。だから、先回りしてオチを
探さないほうが楽しめるのではないか、そう感じた。
しかし、クリスチャン・ベイルの肋骨どころか背骨さえ浮き出た痩せ姿、顔のげっそり具合は
それだけでホラーだなあ。
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<ストーリー>
工場で機械工として働くトレヴァー(クリスチャン・ベイル)は、原因不明の極度の不眠症で
すでに365日眠っていない。体も生ける屍のように痩せ細っている彼は、ある日、
アイヴァン(ジョン・シャリアン)という大男と出会う。その日から奇妙な事件が次々と起こり、
工場ではアイヴァンに気を取られたトレヴァーの不注意で、同僚のミラー
(マイケル・アイアンサイド)が片腕を失ってしまう。

そして今度はトレヴァーが作業中に腕を切断しそうになる。しかも同僚たちは誰も
アイヴァンの存在を認識していない。トレヴァーはお気に入りの場所である空港のカフェの
優しいウェイトレス、マリア(アイタナ・サンチェス=ギヨン)と、彼女の息子と共に遊園地に
行くが、そこでも少年が持病の癲癇で倒れる奇妙な事故が起こった。

やがてミラーの事故がきっかけで同僚たちとの折り合いが悪くなっていたトレヴァーは、
工場をクビになる。彼は自分を陥れる陰謀を感じた。そして謎の男アイヴァンを再び見かける。
トレヴァーはアイヴァンの乗っていた赤い車のナンバープレートを突き止めるが、
なんとその車の登録はトレヴァーだった。混乱した彼は親しい娼婦スティーヴィー
(ジェニファー・ジェイソン・リー)の部屋を訪ねるが、ベッドの横に、アイヴァンとミラーが
一緒に写っている写真を発見する。スティーヴィーは、その写真はトレヴァーが置いていった
ものだと言う。衝撃を受けたトレヴァーはついにアイヴァンを捕まえて殺害するが、
アイヴァンの姿は消えない。実はトレヴァーは、マリアの息子をひき逃げして殺害しており、
その罪の意識が不眠症と幻覚を引き起こしていたのだ。そしてトレヴァーは警察に自首
することで、ようやく眠りにつけるのだった。(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2016-06-21 23:40 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)