カテゴリ:洋画=ら~わ行( 182 )

●「リチャードの秘密 What Richard Did」
2012 アイルランド Element Pictures.88min.
監督:レニー・アブラハムソン
出演:ジャック・レイナー、ローシン・マーフィ、サム・キーリー、ロレイン・ピルキントン、ラース・ミケルセン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
日本劇場未公開。WOWOWの「ジャパン・プレミア」にて鑑賞。90分弱だから良かったのだが、
それ以上長いと息が詰まりそうなくらい重い映画。この監督、2015には「ルーム」という映画を作り
見事オスカー作品賞ノミニーとなっている。その映画も見たが、どこか息が詰まりそうな雰囲気は通底
している感じもする。

18歳の高校生ラグビーチームの仲間たち。その取り巻きの女の子。主人公はリチャード。監督の娘ララと
いい仲だ。前半40分は、淡々と高校生たちやリチャードの家庭生活が描かれていく。ちょっと長すぎな
恨みも残る。後半物語が動き出すベースとなるリチャードが事件の結果失うものの大きさを示すとしても、だ。
一人っ子で、スポーツも勉強も出来る、親としては自慢の息子だ。仲間からの信頼も厚い。金持ちのボンだが
それをことさら鼻にかけるでもなく、普通にいる男子高校生。(老けて見えるけどね)

そのリチャードがあるパーティーで喧嘩となり、みんなでボコるんだけど、どうやらリチャードが最後に
頭を蹴ったのが致命傷となり、友人は死んでしまう。ここからが、映画の真骨頂だ。
自分自身と家庭や名誉など失うものの大きさに怯え、みなで口裏を合わせようとする。ガールフレンドも
リチャードを庇って嘘をついてくれた。父親にも打ち明けるが、彼からは有効なアドバイスはなかった。

亡くなった友人の葬儀の日、その母は、喧嘩の場にいたたくさんの友人のうち、ほんの数人しか証言して
くれない、みんなあの場所にいたのでしょ!どうして?と涙ながらに訴える。それを聞いてリチャードは
堪らない気持ちになる。そして、ガールフレンドに「自首するよ」と宣言する。それがいいと思うよ、と。
出所したらスペインだかパリだかに移り住もう、と話し合う。まあまあ、リチャードも良心の呵責には
耐えかねたのか、なかなか勇気があるじゃないか、と、それで映画は終わるのか、と思った。

しかし、本作はラスト2分にあるわけだ。リチャードが学校で授業を受けているシーン。警察には行かな
かったのだ・・・・。

このラストを、どう見るかだろう。誰の心にも住むリチャード。果たして、敢然と自首出来るだろうか。
しかし、どこかの瞬間で嘘がほころびることはあるだろうし、一生、自分は殺人者としての罪を背負って
生きていかなくてなならない。毎日だ。自分だったら、どうするだろうか、と問題を投げかけ映画は終わる。
Rotten Tomatoesの評価が示すように、玄人筋ウケが良く、一般客のウケは今ひとつ、という評価も良く
分かる。
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<ストーリー>
大学進学が近い18歳の少年リチャードは、同じ学校のラグビー部でチームメイトだった友人たちと楽しく
夏休みを過ごす。やがてリチャードは同い年の少女ララと出会って意気投合し、彼女と恋に落ちる。ある晩、
近所の家のパーティーでリチャードはささいなきっかけからララの元恋人コナーとけんかになり、
リチャードは倒れたコナーを放置して帰宅する。
翌日、コナーが遺体となって見つかったためリチャードは強くショックを受ける。
(WOWOW)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:61%>


この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=359514こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-04-03 22:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「64ーロクヨンー」
2016 日本 東宝 「ロクヨン製作委員会(TBS系)」前編:121分 後編:119分
監督・(共同)脚本:瀬々敬久  原作:横山秀夫『64(ロクヨン)』
出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、三浦友和、永瀬正敏、吉岡秀隆、夏川結衣、窪田正孝、瑛太、滝藤賢一、
仲村トオル、奥田瑛二、坂口健太郎、小澤征悦、筒井康隆、鶴田真由、赤井英和、烏丸せつこ、芳根京子、他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

今年発表された第40回日本アカデミー賞の作品賞は、最優秀を獲った「シン・ゴジラ」ほか、秀作が並び
本作にとっていささか不幸だった。そのくらい力のある映画だった。ピエール瀧を主人公に据えたNHKテレビの
ドラマに触発され、原作も読了、ある意味既視感のある映画では有ったが、そんなことを差し引いても魅力ある
作品に仕上がった。テレビも原作に忠実だったが、映画は前後編に分けて長くした分、更に原作の良さに肉薄
した。原作に忠実なのが映画として良いわけでは必ずしも無いのだが、本作は、原作の良い点を映画作品として
極めて上手く抽出し得ている。秀作といえるだろう。

ただ、惜しむらくは、同期にして今は人事部にいる仲村トオルとの関係がもう少し描けると個人的には嬉しかった
かな。原作には既にOBとなった刑事のところにいく箇所があったんじゃなかったか?そこはカットされていたか。

たった7日間しかなかった昭和64年にD県で発生した幼児誘拐殺人事件。時効まであと1年という舞台。
多層的な物語が、実に巧妙にラストに向けて修練していく。1つ1つのプロットが全て何か他のプロットに
繋がっていて、前後編ともずっと緊張の糸は途切れない。テレビや原作を読んでいてストーリーは分かっている
はずなのだが、演技陣のちからの入った芝居にぐいぐいと引き込まれていく。

主人公三上夫婦には疾走している娘がいる。三上が異動してきた広報室では記者クラブとのトラブルがある、
そして、ロクヨンの裏に隠された「幸田メモ」とそれに関わった若い吏員の悲劇と、県警の隠蔽体質、
さらに言えば、警察と言えども特にキャリアは地方警察など腰掛け程度にしか考えず、何事もなく1~2年を
やり過ごせればいいという事なけれ主義、ロクヨンの被害者の父の執念と怨念、それらがないまぜになりつつ
14年目にしてロクヨンは解決の方向に向かっていく。県警の偉い人は決して解決などして欲しくなく、
時効になってしまったほうがいいと思っているに違いないのだ。

ラスト、三上、被害者父の雨宮、真犯人の目崎、誘拐事件のとき犯人の電話録音を失敗した日吉と幸田の二人、
それぞれが、あの昭和64年に閉じ込められた人生から解き放たれたありさまが迫力を持って迫り、この
物語の本質がここにあったのだ、ということがよく理解できる終わり方となっている。
また三上の主戦場たる県警広報室の様子も、よく取材されていて、実際を知っている身としてもよく描けて
いると思った。これでもか、と出て来るオールスターについては、これでダメなら日本映画はダメしょう。
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<ストーリー>
人気作家・横山秀夫の傑作ミステリー巨編を佐藤浩市をはじめとする実力派キャストの豪華共演で映画化した
ミステリー・ドラマ。本作は前後編2部作の前編。時効まで1年と迫る未解決の少女誘拐殺人事件、
通称“ロクヨン”を抱えるとある県警を舞台に、ロクヨンを模した新たな誘拐事件の発生で混乱が広がる中、
刑事部から警務部の広報に異動になったばかりのベテラン警察官が、記者クラブとの軋轢や警察組織内部に
渦巻くいくつもの対立構造に振り回され、四面楚歌となりながらも、広報官としてギリギリのマスコミ対応に
奔走していくさまをスリリングに描き出す。
監督は「ヘヴンズ ストーリー」「ストレイヤーズ・クロニクル」の瀬々敬久。

 わずか7日間でその幕を閉じた昭和64年。その間に管内で発生した少女誘拐殺人事件。いまも未解決の
その事件を県警内部では“ロクヨン”と呼んでいた。刑事部で長く活躍しロクヨンの捜査にも関わったベテラン
刑事の三上義信。私生活では高校生の娘が家出失踪中という大きな問題に直面していた彼だったが、この春から
警務部の広報室に異動となり、戸惑いつつも広報室の改革に意欲を見せていた。

折しも県警ではロクヨンの時効まで1年と迫る中、警察庁長官の視察が計画される。そこで、長官と被害者の父親・
雨宮芳男との面会を調整するよう命じられた三上だったが、なかなか雨宮の了承を得られず困惑する。
そんな中、ある交通事故での匿名発表が記者クラブの猛烈な反発を招き、長官の視察が実現できるかも不透明な
状況に陥ってしまう。自らもなかなか捜査情報を得られず、県警と記者クラブの板挟みで窮地立たされた上、
刑事部と警務部、あるいは本庁と県警それぞれの思惑が複雑に絡み合った対立の渦にも巻き込まれていく三上は、
それでも懸命に事態の収拾に奔走するのだったが…。(allcinema 前編)

 平成14年12月。時効まであと1年と迫った“ロクヨン”の捜査員激励と被害者家族・雨宮の慰問を目的とした
警察庁長官の視察が翌日に迫る中、管内で新たな誘拐事件が発生する。しかも犯人は“ロクヨン”と同じように
身代金2000万円をスーツケースに入れ、父親が一人で運転する車で運ぶよう要求する。
事件の性質上、広報室の三上は記者クラブと報道協定を結ぶ必要に迫られるが、肝心の捜査情報はほとんど提供されず、
記者たちは一斉に反発、各社が独自に動き出しかねない危険な状況に。
そんな中、一向に情報が出てこないことに自らも業を煮やした三上は、ロクヨン捜査にも関わった刑事部時代の上司・
松岡が指揮を執る捜査車両に単身乗り込んでいくのだったが…。(allcinema 後編)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354941#1こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-04-02 23:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「ロック・ザ・カスバ Rock the Kasbah」
2015 アメリカ Covert Media,Dune Films,QED International.106min.
監督:バリー・レビンソン
出演:ビル・マーレイ、ケイト・ハドソン、ゾーイ・デシャネル、ブルース・ウィリス、リーム・リューバー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

冒頭中東っぽい女性が洞窟でカラーテレビの画面を見つめている。テレビではアラビア語で歌番組が
放送されている。娘の目つきは憧れで一杯・・・。一方、カリフォルニアのどこか。モーテル?の
小さな部屋でデブッチョの女性の上手くない歌を聴いているビル・マーレイ。どう見たって聴いたって、
ダメでしょ、というこの女性を褒めちぎってマネジメントを契約し、1000ドルほどを預かる、という
尾羽打ち枯らしたマネージャーが詐欺をやらかすという所。セリフもどことなくロックぽく、オフビート感
漂う雰囲気。

「レインマン」でオスカー監督賞を獲得したレビンソン監督がビル・マーレイ他のビッグネームを演出する、と
いうので観てみたが、なんとも勿体無いなあと感じた。どなたもお感じになると思うのだけれど、
発想はいい。(宗教的な部分でデリケートかつ難しい処理を要求されるところもあろうが)。だが、
女性を独特の宗教観でしか観られないイスラム原理主義者との対峙の中で、エンディングに向けての
物語の展開が、「あれ?こういう風に終わっちゃうわけ」、「もっと深い映画になるか、と思ったのに」
という風になっちゃう。ま、事実をベースにしているのだそうだが、そこは脚色はあっても良かったの
ではないか。(前述のように宗教に横たわる微妙な事柄が影響しているのか)
シュールなブラックユーモアも笑うに笑えない感じだ。ブルース・ウィリスのポジションも中途半端で
勿体無い。

所属する最後の歌手ロニー(デシャネル)を連れてアフガニスタンの米軍慰問に来たリッチー(マーレイ)。
ドサ回りの多いリッチーが娘に今度はカスバ、とか言うが、幼い娘に「カスバは北アフリカ」とかダメ
出しされている・・・。
異文化の地の不穏な雰囲気の中に登場する案内役のバーンズ二等兵もどこかピントがずれている。
慰問のショー直前に、ロニーに逃げられ、リッチーはパスポートも現金も持ち逃げされる。この解決に
現地で知り合った悪党2人に誘われて、パシュトゥーン族にニセの弾薬を届ける役を引き受ける。
道中、車列が地雷を踏んでクルマが吹っ飛んだり、しかし族長に歓迎され、夕食には現地の楽器を使って
「Smoke on the water」なんか歌っちゃったり。(これがなかなか渋い)
で、宴も終わって外に出るとどこからともなく歌声が。探して歩くと洞窟で若い娘が歌っていた。
娘はリッチーに見つかると逃げていくが、後にはカブールで人気のオーディション番組「アフガン・スター」の
雑誌が。リッチーは、彼女をテレビに出して優勝させることが自分の天命と悟り、彼女と契約し、
テレビに出そうとするが、イスラム教では女性が歌うこと踊ることなど論外。この番組でも女性が出たことは
なかったのだ。娘を口説き、テレビの司会者やスタッフを口説いて、なんとかテレビ出演にこぎつけたが、
案の定、世間は「恥知らずな娘だ」と非難轟々。視聴者からの電話で決勝進出者を決定する方式では
難しそうな雰囲気。歌は素晴らしかったけど。しかしリッチーは、大衆は支持しているはずと、宣伝カーを
走らす、空からビラを撒くなどして、PRにこれ努めた結果、娘は決勝に進出、バックコーラスもつけたりと
リッチーのプロデュースでキャット・スティーヴンスの「Peace Train」を熱唱したのだった。
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すごく端折ってストーリーをご紹介したが、この本筋に、カブールの娼婦ケイト・ハドソンとの、傭兵なのか
用心棒なのか、のブルース・ウィリスとの、戒律を破ろうとする娘と父親との、通訳を務めることになる
タクシー運転手との(個人的にはこの運転手、結構大事な役どころで気に入った)カラミで映画に厚みが
つく体裁となっている。

ビル・マーレイはさすがに監督が気に入っての出演だけあり、お見事。ロックな感じは出ていた。
特に、ラスト近くで麻薬を売りさばいてカネにしようという現地の一味に肩を撃たれるのだが、倒れた際に
見せる笑顔が多くを物語っていて良かった。
ケイト・ハドソンも、マーレイと交わす会話がなかなか含蓄深く面白かった。(脚本がいいのだろう)
一方、深みに欠けてしまったのは、一方の主役であるパシュトゥーン族の娘が、戒律を破って英語の歌を
テレビで歌う、という事態をどう理解し、自分で結論付けたのだろう、とその辺りの描写が不足だった点。
それとブルース・ウィリスの役どころも大事なところだと思うのだけれど、中途半端だった。あと15分でも
長くしても、それらにエピソードを加えてもらえればすごくいい映画になったのじゃないかなあ。
作品全体で見ても、セリフの中に結構気の利いたもの、含蓄深いものなどあって面白いのに。
娘が決勝で歌うキャット・スティーヴンスは、事実に即したんであろうか。選曲について聞いてみたかった。

タイトルのRock the Kasbah(Casbah)はイギリスのバンドThe Clashの1982年の歌がそもそもだけど、
時代が下ってホメイニ時代の窮屈なイランの自由を求める人々の背景にあったとも言われている。
最初に書いたように、カスバが本作に出てくるわけではなく、象徴的なタイトルとなっていると思われ。
私の時代のカスバといえば「ここは地の果てアルジェリア・・・」(カスバの女)だけど(爆)。
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<ストーリー>
かつては栄光を手にしながら、今ではすっかり落ちぶれてしまった音楽芸能マネージャーのリッチー
(ビル・マーレイ)。未だ一攫千金を夢見る彼は、嫌がる所属歌手のロニー(ゾーイ・デシャネル)を
無理やり引き連れてアメリカ軍の慰問コンサートに参加することに。辿り着いたのは、アフガニスタンの
首都カブール。未だ紛争の絶えない危険地帯にも関わらず、高額のギャラに釣られてリッチーのテンションは
上がりっぱなし。しかしふと目を離した隙にロニーが彼の荷物を持って行方をくらましてしまう。

コンサー トはキャンセル、金もパスポートもなく途方に暮れるリッチーは、仕方なく現地で知り合った
胡散臭い武器商人の仕事を手伝うハメに。幾多の死線をくぐり抜けてきた最強の用心棒ボンベイ(ブルース・
ウィリス)とともに、危険な砂漠の真ん中にある集落に武器を届けることになったリッチーは、そこで美しい
歌声をもつ少女に出会う。歌手を夢見る彼女に類まれな才能を感じたリッチーは、少女を現地で話題の
オーディション番組「アフガ ン・スター」に出演させることを思いつく。
しかし厳格なイスラム教の戒律を重んじる人々からすれば、女が人前で歌をうたうなど万死にも値する行為。
リッチーは自らの栄光 のため、そして少女の夢のため、命の危険を感じながらも彼女のデビューに向けて
奔走し始めるのだが…。(Filmark)

<IMDb=★5.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:9% Audience Score:28%>

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=356870こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2017-03-06 22:50 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「ラ・ラ・ランド La La Land」
2016 アメリカ Black Label Media,Gilbert Films,Summint Entertainmet,and more.128min.
監督・脚本:デイミアン・チャゼル 撮影:リサヌ・サンドグレン 音楽(作曲):ジャスティン・ハーウィッツ
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デヴィッド、J・K・シモンズ他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想・結末まで触れています>
私が一番好きな音楽「ジャズ」。大好きな映画のジャンルの一つ、「ミュージカル」。これが
一体となり、大きな衝撃を受け二度観た傑作「セッション」のチャゼルが監督、加えて主役が
お気にいりの二人という事もあり、うわさが聞こえて来たころから封切を待ちわびていた。
そういう作品は最近珍しい。日本時間の明日午前に発表されるオスカーの多くの部門にノミネート
されていて、結果が分かるまでになんとか観ておきたいと、日曜のシネコンに奥様と出かけた。

ここに描かれているのは、オーソックスな夢の実現に向かう若い二人の話。「セッション」が息詰まる
物語であったのに比べ本作はシンプルな「夢」がメインテーマとなる。ストーリーとしては、驚くことは
ないのだが、ともかく芸事を舞台とした、ありがちな話をどう「ドキドキを踏まえ」「夢」の世界に
仕上げるか、がチャゼルの力量の見せ所になっていた。

この映画、いいところがたくさんあるのだが、
観ている人が絶えず高揚できるということがひとつあるだろう。冒頭の高速道路のダンスシーンでまず心を
きゅっとつかまれる。そこで主人公の出会いが設定される。その後折にふれて繰り広げられる歌とダンスの
シーンでは、ウキウキ感が加速されるのだ。

「夢とは簡単に実現できない」というテーマは今までそれこそ腐るほど映画にされてきたが、
本作では徹底して主人公二人にまつわる「夢を追う話」しか描かれない。例えばそれぞれに恋敵が出てきて、
話題がそっちにもとっちらかる、などは無く、そのあたりの端折り方、焦点の絞り方が上手い。
さらに、端折り方といえば、ラストシークエンスの「5年後」の話。この間の事情は気持ちいいほど一切
触れられない。だが、二人の5年後の姿や暮らしを観れば理解できる仕組みになっている。

そこで登場する「セブズ」という名前のジャズクラブ。その名前はセバスチャンとミアが一緒に考えたものだ。
そのクラブにすでに著名な女優となっていたミアが夫と訪れる。ミアは5年前、オーディションに合格しパリで
仕事をするため渡欧、セバスチャンはLAに残り、自分のクラブを持つ夢を追い求めていたのだ。
クラブは大繁盛していた。セバスチャンも自分の夢も実現したのだ。

ステージにいたセバスチャンは彼女に気づき、2人が一緒にいた頃の歌をピアノで弾く。すると画面には、
セバスチャンとミアが出会ってから今に至るまで、全て2人の間の出来事が上手く行ったら、という過去の
様々なエピソードの光景が繰り広げられる。しかし、現実は・・・。この部分のストーリーの持って行き方、
まとめかたも上手いなあ、と感じた。2人で育んだ夢、しかし愛し合いながら別の場所で夢を追うことになる。
夢は実現したけど、2人は結ばれず、別の道を歩き始めた。ビターな結末が、ありがちなストーリーを締めて
いる。

主役を張れるようになったミアの存在を、セバスチャンが5年間知らなかったはずはない。5年後ミアには
2歳くらいの女の子がいるのだが、3年前に結婚したとなると、パリに行ってから2年後に結婚した
ことになる。連絡は取り合っていただろうが、何が2人にあったのか、セバスチャンはミアが滞在する
とされた7ヶ月間パリに行ってないのだろうか、ミアは7ヶ月でLAに帰らなかったのだろうか、などなどは
まったく説明されない。 ラストシーンでの笑顔は、愛しているけど、別の道を歩きましょう、という
ことなんだろう。決して「見果てぬ夢を追っていたわけではない」と。
全体に脚本の出来がいいと感じた。物語はありふれたものだが、それを歌と音楽と色でアクセントを付ける。
こうして観客のテンションは落ちること無く終幕までキープされるのだ。
 
個人的には一番大きないい点であったのが、「映像が歌っている」「踊っている」という点だ。
思わず撮影監督を確認したくらい(「バード」とか「ゼログラビティ」のあの人かと思ったらさにあらず
でした。)それにしても(当然監督の演出も大きいのだが)アップから中ロングの絵の中でフレームに
出入りする人物を中心にした手持ちカメラ(だけではないけど)のカットの長短と、動き。心のウキウキが
カメラの動きで倍加するのだ。
特に歌のシーンでは観ていてウキウキしてしまった。吹き替えなしで臨んだというゴズリングのジャズ
ピアノも、演技のためとはいえ、よくあれだけ弾けるようになったものだ、ピアノの先生である奥様と
びっくりいていた。

さらに歌がいい。曲が全部いい。中にはワム!のありもの(演奏されるものだが)もあるが、
オリジナル曲が皆美しいし、耳について覚えやすい。ゴズリングもエマも上手い。サントラが出たら買うぞ! 
流れるジャズの選曲センスもいい。それに過去のミュージカルに対すリスペクトとオマージュが楽しい!
「雨に唄えば」「バンドワゴン」「パリのアメリカ人」「ウェストサイド物語」などなど。
そして結構キーになるLAの名所、グリフィス天文台に至る場面で流れる昔の映画はジェームズ・ディーンの
「理由なき反抗」ではなかったかな。私も行ったことあるので思い入れをもってみることが出来た。
加えて色彩のバランスというか、ワンカットずつに計算された色彩が美しいし、ビビッドである。

バレーパーキングで、セブがミアの車はなに?と尋ねるシーン、係のキーボックスに並んでいたのは
全部プリウスだったという落ちは日本人受けする!ww

いやあ、近年ない、スカッとしたそして心温まり、自分の趣味性が満喫できた作品に出合えた!

以上の良い点を、オスカーにはめれば,作品、監督、撮影、脚本、主演女優、主演男優(ここは?)
作曲、歌曲、衣装、編集だどが、間違いなく多くの部門で選ばれるだろう。
明日の午前中にはわかちゃっているよね。それにしても、「映画のエンタティンメント、ここにあり」と
いう作品だ。
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<IMDb=★8.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:9.3% Audience Score:84%>

<ストーリー>
「セッション」のデイミアン・チャゼル監督がライアン・ゴズリングとエマ・ストーンを主演に
迎えて贈る本格ミュージカル・ラブストーリー。大きな夢を抱いてLAへとやって来た男女の
出会いと甘く切ない恋の行方を、カラフルかつマジカルなミュージカル・シーンと、夢と現実の
狭間で苦闘する主人公2人の葛藤のドラマを織り交ぜほろ苦くもロマンティックに綴る。

 夢を追う人々が集う街、ロサンゼルス。女優志望のミアは映画スタジオのカフェで働きながら、
いくつものオーディションを受ける日々。なかなか役がもらえず意気消沈する彼女は、場末のバーから
流れてくるピアノの音色に心惹かれる。弾いていたのは、以前フリーウェイで最悪な出会いをした
相手セブだった。彼も自分の店を持って思う存分ジャズを演奏したいという夢を持ちながらも、
厳しい現実に打ちのめされていた。そんな2人はいつしか恋に落ち、互いに励まし合いながらそれぞれの
夢に向かって奮闘していくのだったが…。(allcinema)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358727#1こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2017-02-26 12:25 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「ローグ・ワン/スター・ウォーズ ストーリー Rogue One」(IMAX 3D 字幕版)
2016 アメリカ Lucasfilm,Walt DisneyStudios Motion Pictures and more.
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、マッツ・ミケルセン、ドニー・イェン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:結末まで触れていますからご注意>

絶賛の嵐も飛び交う本作に、あえて棹ささせて頂きます。★は7.5。「スター・ウォーズシリーズ」に
こういう点を付けるとは思わなかった。期待値が大きすぎたのだろうか。
個人的に乗れなかった点
・キャラクターが多すぎで、とっちらかった。多い割にはジンのポジションが不明確。
 そのほかの座頭市や弁慶みたいなキャラも桃太郎かよ!って感じで、「個性的」な
 部分は買うにしても、なんでくっついてきたの?という・・・。突き抜けた魅力に欠ける。
・主だった配役がほとんど初登場なので、説明を要する、というのは分かるにしても、単発的な
 (ローグ・ワン全滅なんで一話完結なんでしょう)ものとしては冗漫で成功しているとは言い難い。
 故に、前半が重くて説明的で、眠くなる。
・結局脚本が弱いんだろうなあ。最後の戦闘シーンやジンらがデータを盗み出すところでも、
 突っ込みたくなる所あり。後半のキモである発電スイッチがあんなところにぽっこりあるかなあ。
・フェリシティ・ジョーンズを含め本作の出演者全員が印象が薄く記憶に残らない。
 後半ちょっと出てくるダースベイダーにみんな持って行かれている。

シリーズ4のすぐ手前の話、いわば3.5的なストーリーで「完成間近の帝国軍デススターの設計図を
反乱同盟のスパイが盗んだ」というのが4のお話の始まりだから、そのスパイの話なのよね、とは皆さん
見る前からもう分かっているわけで、そうなると冒頭のジンと父親の関係を紹介したら、極端な話、宇宙での
戦闘が始まる後半まで飛んじゃってもいいわけだ。でも仲間(ローグ・ワン)がついてきましたよ、という下りを
説明したんだが、エピソード的に弱いから印象に残らないんだな。
誰がどこそこ星にいてどうのこうの、と同じような画面と説明の繰り返しで・・。
それはカタルシスたる後半への我慢のしどころ、と前半を捉えなくては、とする意見があるとすれば
それは違うなあ。この手の映画を見る人に我慢を強いてはいけない。

それでも後半、「お、これは4の戦闘シーンじゃんか!」というあたりから俄然面白くなるし、当時より
CGのレベルは比べるべくもなく上がっていて更に3D、IMAXだから迫力は満点だ。スター・デストロイヤー&
タイファイターとスターファイターとの戦い。反乱軍戦闘機の隊長たち、そしてデススターの司令官、
これってそっくりさん?てな感じ。そして真打ちダースベイダーの登場と。本作で唯一ライトセイバーが
登場するシーンだ。さらに4へと続く決定的なレイア姫の登場。(これは昔の映像をCG加工したんだろうなあ)
でもラストシーンは絶対的アンハッピーエンドなので、これは「スター・ウォーズ的」な終わり方ではないん
じゃないか、ルーカスはこういうのを納得しているのか?と思ってしまった。ディズニーの商業主義に
振り回され始めたのか?なんでも次作の「レジェンドシリーズ」は「ハン・ソロ物語」という噂だ。
ちゃんと、カッコイイ胸ときめく宇宙活劇にして貰いたいものだ。IMDbもrottentomatosも得点高すぎだと
思う。
4を見て復習し、眠い前半を必死にこらえて字幕をしっかり読み、そして爆発する後半戦を楽しむ、という
事が出来るなら、悪い映画ではない。特に3DCGの出来は興奮する(IMAX で見るべし)。
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<ストーリー>
映画史に燦然と輝く金字塔シリーズ「スター・ウォーズ」のアナザー・ストーリーを描く新プロジェクトの
記念すべき第1弾となるSFアドベンチャー大作。
「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」でレイア姫がR2-D2に託した“デス・スター”の設計図は
いかにして反乱軍の手に渡ったのか、というこれまで語られることのなかった物語を、一匹狼のヒロイン、
ジン・アーソをはじめとする新たなキャラクターたちの活躍を通して描き出す。
主演は「博士と彼女のセオリー」のフェリシティ・ジョーンズ、共演にディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、
ドニー・イェンほか。監督は「モンスターズ/地球外生命体」「GODZILLA ゴジラ」のギャレス・エドワーズ。

 ダース・ベイダー擁する帝国軍の究極兵器“デス・スター”がついに完成しようとしていた。その圧倒的な
破壊力の前に、銀河全体が恐怖に支配されようとしていた。有名な科学者ゲイレン・アーソを父に持ちながらも、
家族と離れ離れとなり、たった一人で生き抜いてきたタフな女アウトロー、ジン・アーソ。
ある日、彼女は反乱軍の将校キャシアン・アンドーから、父ゲイレンがデス・スターの設計に関わっていた
可能性があると知らされる。そこで真相を突き止めるべく、ならず者ばかりで構成された反乱軍の極秘チーム
“ローグ・ワン”の一員となり、デス・スターの設計図を盗み出すという過酷なミッションに身を投じていく
ジンだったが…。(allcimena)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=356251#1こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-12-18 12:25 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「リチャード・ギア/人生の特効薬 The Benefactor」
2015 アメリカ Celerity Pictures,TideRock Media and more.93min.
監督・脚本:アンドリュー・レンツィ
出演:リチャード・ギア、ダコタ・ファニング、テオ・ジェームズ、シェリル・ハインズ、ディラン・ベイカー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>

日本劇場未公開作品。(だろうねえ)WOWOWの「ジャパン・プレミア」で放映したものを鑑賞。
まあ、こういう男がいてもいいけど、映画にするまでのことか、って事ですよ。せっかくのキャスティングが
勿体無い。交通事故の不意打ち、というのは最近良くみるパターンだけど、確かにびっくりはするけど、
あざとい手法だと思う。出だしはまずまず。お、これは結構いい映画か?と思ったのも束の間、次第に
グダグダとなり、タダのわがまま金持ちオヤジの話になってしまった。事故から5年後、高級ホテルの一室で
執事を従えた暮らしであるものの、髭も髪も伸び放題で、モルヒネ中毒の自堕落生活。この間病院の経営は
大丈夫だったのか?ダコタの登場で一気にハイテンションになるあたりから怪しい映画となる。
ラストのヒゲを綺麗に剃るカットがエンドロールに重なるのだが、何かのメタファーにしたい(まあ、
この男の再生の象徴だろう)のだろうが、初老オヤジの髭剃りを延々見せられる方もたまらない。

要するに、こども病院を設立したいと熱意を持った男(医師ではない)が、親友夫婦と協力し、建設の
めどがたった所で、クルマの座席で自分がフザケたばかりに、交通事故に会い、親友夫婦を殺してしまった
のだが(もともと金持ちだったのか、病院が成功して金持ちになったのかは明かされないが、事故から
5年の暮らしっぷりが半端ない金持ちなので、もともと資産家だったんだろうな)、事故の後遺症に
なやまされつつ、モルヒネ依存症になり、その治療を嫌がって、当時も大好きだった親友の娘とその夫を
溺愛し、罪滅ぼしのつもりだろうが、迷惑を掛けまくり、自滅の一歩手前で、娘の赤ちゃんの誕生で
再生を果たす、というもの。

偏愛する親友の娘と、その夫で医師である青年を自分の経営する病院に雇入れ、なおかつ独断で法人の取締役に
してしまい、親友夫婦が住んでいた家を買い戻すわ、彼らが今住んでいる家のローンは返済しちゃうわで、
金持ちパワー全開。わがままやり放題で、次第に嫌なオヤジと化す。
モルヒネが欲しいばかりに自分の指を切って、病院に運び込まれ、モルヒネを要求するなんて、ありえんな。
どうせ医者に行くなら担当医に行けば済むことなのに、分からんやつだ。
親友夫婦の面影を、その娘夫婦に追い求めたのだが、ラストまでその傾向は治らない。迷惑なやつやん!
娘夫婦が不憫でならない。その赤ちゃんも偏愛されるんだろうなあ。原題はズバリ「恩人」。
ダコタ・ファニング、妊婦さんの役をやるようになったんだなあ、と感慨深い人も多かろう。ただ、私には
どうしても安達祐実が重なるんだなあ。
劇場未公開でDVDスルーな訳だけど、よほどのリチャード・ギアファンは別として、どうしても見なくちゃ
ならない映画では無いなあ。
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<ストーリー>
フィラデルフィア。ある病院を経営する大富豪フラニーは5年前、親友夫妻と交通事故に遭って以来、
ひそかにモルヒネに依存するようになっていた。そんなフラニーだが、夫妻の娘オリビアが結婚して
妊娠していると知り、その夫である医師ルークを自分の病院で雇うことに。
フラニーはオリビアのためにと一軒家を彼女とルークにプレゼントするが、フラニーがモルヒネに
依存していると知ったルークはフラニーを責めるようになり……。 (WOWOW)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=358621こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-11-24 22:40 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「Re:LIFE~リライフ~ The Rewrite」
2015 アメリカ Castle Rock Entertainment,Rensnick Interactive Development.107min.
監督・脚本:マーク・ローレンス
出演:ヒュー・グラント、マリッサ・トメイ、ベラ・ヒースコート、J・K・シモンズ、クリス・エリオット他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

ヒュー・グラントとの作品が多いマーク・ローレンスが脚本を書いて監督も努めた。ラブコメ系のローレンス
監督の諸作品、大傑作というものは無いが、「トゥー・ウィークス・ノーティス」「ラブソングができるまで」
など割りと好きで観ている。ヒュー・グラントは、がっちり頼りになる男、ではなくどことなく頼りなく
でもハンサムで女性にはモテる、という役どころにはピッタリ。そういうキャラクターのイメージが付き
過ぎてしまっているのが気の毒だが、この際、そっち方面で極めて欲しいところだ。
メリル・ストリープと組んだ「マダム・フローレンス!夢見るふたり」の公開が間近。本作はオスカーに
ノミネートされるのでは?と評判の高い作品で楽しみである。

そんなヒューが今回組んだのは、マリサ・トメイ。コメディからシリアスものまで守備範囲は広く、
演技が確かなので、キャスティング側からは魅力的は女優さんなんであろう。本作ではヒューが
教師をすることになる大学に、年齢を重ねてから入学しシナリオの勉強をしている、大きな娘2人を
持つシングルマザーという役どころを魅力的にしっかりと演じ、彼女の存在がこの映画の芯を強くして
いると感じた。

軽いタッチの物語を、ラストのカタルシスまで上手くまとめてあり、うなるような出来ではないが、
観終わって心地よい作品に出来上がった。
またハリウッドでかつてはアカデミー脚本賞も獲った作家、と言う事で映画の事がたくさん出てくるので
映画好きとしては、一翻上がる。リアルな俳優の名前も出てくるし、ヒューが書こうとしている
賞を獲った作品の続編の妄想主人公はマット・デイモンである。ww
特に気にったのが大学での上司にあたる学科長のJ・k・シモンズの家にヒューが訪ねた時、一家では
映画を観ていたのだが、玄関先に出てきたシモンズが、続きは観たくないので、家族に
「後でスジだけ教えてくれ」ということころ。観ていた映画が「食べて、祈って、恋をして」という
2010年のジュリア・ロバーツ主演の作品で、私もこのブログに書いたけど、しょうもない観光映画で
シモンズが辟易するのがよ~く分かったからだ。映画のつくりてとしては「後からスジだけ教えて」と
いわれるのは最大の屈辱であろう。このあたりは、脚本も多くモノする監督ならではの味付けである。

本作の最大の魅力は、自信喪失の脚本家が、自分の教え子にインスパイアされ、人生を見つめ直す、と
いう、原題そのものの「リライト」(書き直し)のストーリーである。(邦題はなんで、分かりづらい
リライフなんて単語を持ってきたのだろう?)生徒の一人がマリサ・トメイであるわけだが。
本作の構造は、ハリウッド脚本家としての側面、大学教師として色仕掛けの女学生や仲間の教師を
含む先生としての側面(教師として目覚めていく過程も含め)、そして生徒の一人マリサ・トメイとの
愛情物語的側面と、更に18歳の長男の父親としての側面も加えて大きくは4つのプロットから成る。

ヒューの教える公立大学があるニューヨーク州ビンガムトンは、田舎だ、年中雨だ、とかいわれるが
映像に出てくる町は美しく魅力的。大学の講義などのシーンでいつも窓の外は雨、というのはニヤリと
する。町の名物として紹介されるハンバーガショップ、一度行ってみたくなった。
(※マーク・ローレンス監督はこの学校の出身。正確にはニューヨーク州立大学ビンガムトン校という
らしい。テレビ映画「トワイライト・ゾーン」の製作者・脚本家ロッド・サーリングも、この学校の
出身で、彼が舞台にした全米一古いといわれる回転木馬も本作に登場する。)
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<ストーリー>
脚本家のキース・マイケルズ(ヒュー・グラント)はアカデミー賞を獲得し栄光を掴むが、その後ヒット作を
生み出せないまま15年もの月日が経ってしまう。妻に逃げられ一人息子に会えず、ついには電気を
止められてしまい、キースはやむなくエージェントに紹介されたニューヨーク北部の田舎町ビンガムトンに
ある大学のシナリオコースで教鞭を振るうことにする。

ビンガムトンではまだ過去の栄光が通用し、調子に乗った彼は酔っぱらってウェルドン教授(アリソン・
ジャネイ)に暴言を吐いたり、受講者にカレン(ベラ・ヒースコート)ら好みのタイプの学生たちを
選んだりと好き勝手をして学科長のラーナー(J・K・シモンズ)に何度もたしなめられる始末。
しかしシングルマザーのホリー(マリサ・トメイ)をはじめ生徒たちは真摯に授業に臨んでおり、
彼女らの映画への情熱に触れたキースの中で何かが少しずつ変わり始める……。
(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353722こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-11-21 23:10 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

リオの男 L'homme de Rio

●「リオの男 L'homme de Rio」
1964 フランス・イタリア Dear Film Produzion and more. 113min.
監督・(共同)脚本:フィリップ・ド・ブロカ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、フランソワーズ・ドルレアック、ジャン・セルヴェ、アドルフォ・チェリ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>

東京五輪が開催された1964年の作品。マンガ「ゴリラ」「ルパン三世」や映画「インディ・ジョーンズ」
シリーズなど、その後のコミカルテイストの諸作品に大きな影響を与えたといわれる。
古い映画ではあるが、ベルモンドのキャラクターが生きた佳作である。パリからリオ・デジャネイロに飛び、
空に、陸に、海にと、テンポの良い追跡劇が繰り広げられる。スタントを排したというアクションや
人を喰ったようなコミカルなシーンも、荒唐無稽な映画の代表選手のようであり、心地よい。
アクションシーンで泥だらけになったその直後に、新しめの同じ衣装で登場するなど、大らかな作りの
時代の映画でもあった。一体同じ服を何着用意したのだろうか。
VFXを使わないほとんどロケの構成だが、今見ると逆に新鮮で手作り感満載で、主人公は死なない、
と分かっていてもハラハラするところがいい感じだ。

婚約者のフランソワーズ・ドルレアックは、カトリーヌ・ドヌーヴのお姉さんで、この映画の3年後、
25歳の若さで交通事故で亡くなっている。「ロシュフォールの恋人たち」では姉妹共演を果たした。
美しい人だったのに残念なことだった。
ツッコミどころ満載の映画であるが、リアリティを追求した映画ではなく、あり得ないだろう、と
いうところを主人公が果たして行くというところを肩の力を抜いて楽しむタイプの作品。
まさか、50年後にここで五輪が開催されるとは誰も思っていなかった、開発前の美しいリオと
首都機能を移転した人工都市、ブラジリアの人工的な美しさも味わい深い。

本作に続く「カトマンズの男」など、荒唐無稽感が加速しているという続編も機会があれば見てみたい。
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<ストーリー:結末まで触れています>
航空兵アドリアン(ジャン・ポール・ベルモンド)は八日間の休暇に胸をふくらませてパリへやってきた。
パリには、フィアンセのアニェス(F・ドルレアック)が待っているのだ。そのころパリでは博物館の
守衛が殺され、アマゾンの小像が盗みだされていた。調査が開始され、考古学者カタラン教授
(ジャン・セルヴェ)が呼びだされた。教授の話によると、この小像は、三年前教授とビレルモザ氏、
およびブラジルのディ・カストロ氏の三人が奥地探検を行ない発見したもので、三人は三個の小像を
それぞれ一個ずつ保管し、カタラン教授は自分の像を博物館に寄付したのだった。

またビレルモザ氏は探検後死に、現地リオのある場所に像の一つをかくしていた。この事件を知った
ビレルモザ氏の娘アニェスは、さっそく現場にかけつけた。アニェスは小像の秘密を知っていたのだ。
しかし、そんなときカタラン教授が、何者かに連れ去られ、さらにアニェスまでが誘拐されてしまった。
ちょうど、そこにきあわせたアドリアンは、連れ去られるアニェスの姿を見つけ、必死に後を追った。

アニェスを連れた男は飛行機でリオに飛んだ。アドリアンも、とっさの機転で、飛行機に乗りこみ、
そのまま後を追った。リオに着いたアドリアンは、土地の少年の助けを得て、アニェスをとりもどした。
小像のありかを知るアニェスの手引でアドリアンは小像をみつけだした。が、それもつかの間、
例の男たちが現れ小像を奪われた。
残る一つは、カストロ氏が持っているのだ。アニェスとアドリアンはブラジリアに向った。そして途中、
二人は“敵”にかこまれたカタラン教授をみつけ、救出に成功した。しかしこのカタラン教授こそが、
この事件の主謀者だったのだ。カタランは二人のすきをみて、カストロを殺害し、小像を奪い、さらに
アニェスをもさらって逃走した。目的地に着いたカタランは、財宝の所在を知ると夢中で発掘した。
追ってきたアドリアンは、そのすきにアニェスを助けだした。その時、森林をゆさぶる大爆発が起った。
カタランは財宝とともに生埋めになり、アドリアンはアニェスと共に森林を脱出した。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv13315/こちらまで。


by jazzyoba0083 | 2016-11-20 23:10 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男 Altman」
2014 アメリカ Sphinix Production.95min.
監督・製作:ロン・マン
出演:ロバート・アルトマン、ポール・トーマス・アンダーソン、ジェームズ・カーン、デヴィッド・キャラダイン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

愛する巨匠、ロバート・アルトマンの生涯を綴ったドキュメンタリー映画である。彼の映画の多くを観てきて
その生涯のアウトラインは大体分かっているつもりだったが、未知の事柄も多く、面白かった。
映画の出来としては、極めてオーソドックスな手法であり、当時の映像をよく集めてあり、関係者の
インタビューのラインナップも良く並べてあったので、標準以上の仕上がり、といえるだろう。

「アルトマンとは?」という質問に、彼に関係のあるハリウッドスターや監督らが、一つのフレーズで
返し、その理由を短く述べる、という手法が時代の流れに沿って並べられていく。彼の出世作となった
「M★A★S★H」のドナルド・サザーランド、エリオット・グールド、「今宵フィツジェラルド劇場で」の
メリル・ストリープ、「ザ・プレイヤー」のブルース・ウィリスらが登場する。アルトマンの後半の
作品でキーマンとなるティム・ロビンスはアーカイブのみの出演で、インタビューには出てこない。

ハリウッドでは相当の変わり者であったことは本作でも触れられるが、実はシャイで愛妻家、家族思いで
あった。ハリウッドの求めるものと、自分が表現したいもののズレで悩んだり、実際クビになったり、
パリに移ったり、オフブロードウエイで演出したりという激動の生涯であった。
老齢になってから心臓移植を受け、オスカーの特別賞を受賞し、この世という舞台から退場したのだった。
アルトマン愛好家の多くがそうであるように、私も「M★A★S★H」と「ザ・プレイヤー」、「ショート・
カッツ」が強く印象に残っていて、大好きな作品である。これらには彼らしい皮肉が詰まっている。
繰り返し見ることになるであろう。

本作では演出家として手がけた「コンバット」などのテレビドラマの諸作が丁寧に集められていて、
また失敗作と云われる日本未公開作品も短く紹介されているほか、ホームビデオも多く扱われていて
多角的にアルトマンという人の人格が表現されている。もちろん本人のインタビューフッテージも
たっぷりとある。アルトマンという映像表現家の、大体ハズレのない生涯が上手く纏めてあるので
ファンならば観てみるといいだろう。
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<ストーリー>

「M★A★S★H マッシュ」、「ナッシュビル」など、数々の名作を世に送り出したアメリカ・
インディペンデント映画の父、ロバート・アルトマン監督の実像に迫るドキュメンタリー。
ポール・トーマス・アンダーソンやジュリアン・ムーアを始めとした関係者の証言に、貴重なアーカイブ
映像を交えて、その素顔が明かされてゆく。

映画監督、革新者、ストーリーテラー、異端者、家庭人、放浪者、ギャンブラー、怒れる男、アーティスト。
映画監督であると同時に様々な顔を持つロバート・アルトマン。大成功も大失敗も経験し、敵も味方も
数多く作りながら、決して権力に迎合することなく豪快に映画を生み出していった。
その結果、カンヌ、ベルリン、ヴェネチア、世界三大映画祭の全てにおいて最高賞を、アカデミー賞では
名誉賞を受賞。
いかにして彼は、“ハリウッドで最も嫌われ、そして愛された男”になったのか。彼の精神に触れたとき、
私たちはその存在の偉大さに心を打たれ、彼を魅了し続けた“映画”という存在そのものの大きさに気付かされる。

ジュリアン・ムーアやブルース・ウィリス、アルトマンを師と仰ぐポール・トーマス・アンダーソン監督、
アルトマン組のエリオット・グールド、サリー・ケラーマン、ライル・ラヴェット、リリー・トムリン、
『ポパイ』の主役を務めた人気俳優、そして、妻のキャサリン・アルトマンと子どもたち。彼に縁のある
俳優や監督、家族がアルトマンについて証言。ロケハンや製作現場などの貴重なメイキングシーン、自宅や
旅先で撮影したホームムービーなど、今まで目にすることのなかったお宝映像をふんだんに盛り込み、
初期の産業映画やテレビドラマ、未公開作品を含むフッテージやインタビューなどのアーカイブ映像と共に、
映画に捧げた彼の人生が紐解かれてゆく。(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://movie.walkerplus.com/mv58518/こちらまで。

by jazzyoba0083 | 2016-10-21 22:30 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「わたしに会うまでの1600キロ Wild」
2014 アメリカ Fox Searchlight Pictures,Pacific Standard.115min.
監督:ジャン=マルク・ヴァレ 原作:シェリル・ストレイド『わたしに会うまでの1600キロ』
出演:リース・ウィザースプーン、ローラ・ダーン、トーマス・サドスキー、ミキール・ハートマン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>

この年のオスカー主演女優賞と助演女優賞のノミニーになった本作は、やはりリースとローラの
演技にこそ見どころがある、(アメリカ大陸の雄大なる自然は、主人公の心を癒やす大きな
力となることはTテーマの一つであることは勿論なのだが)といえるだろう。
パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)というアメリカ西部の南北を貫くハイクロードの存在は
本作で知り、ネットで調べてみると、踏破するのは大変難しいものと分かる。始点から終点まで完全に
歩くと4000キロを超える。主人公はそのうちの半分弱の1000マイル(1600キロ)のそれでも厳しい
道のりを「悲しみの荒野で道に迷った主人公が暗い森から抜け出す」という趣旨で歩き切り、自分を
再発見する、という極めて分かりやすい映画である。
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このテーマに対し、主人公とその母を演じたリースとローラの二人の女優の演技と、カットバックを
多用した構成で見せる。ただただ歩くだけなので単調になりがちではあるが、暑熱のメキシコ国境から
雪深いシエラネバダを超え、オレゴン州ポートランドまでの風景と、人々との触れ合い、過酷な自然と
対峙する、また水や食料がなくなるなどのハプニングへの対応など「歩く」という単調さを克服した
作品に仕上がっている。後述するが当然二人の女優の存在が大きいのだ。

実際にPCTを歩ききった女性、シェリル・ストレイドの自伝的な著作が原作である。
粗暴な父(夫)を持った母と娘。夫と別れやっと自分の時間が取れるようになった母は娘と同じ
大学に通い、自分の人生を謳歌しようとしていた。娘は結婚していたのだが、母が難病で余命1年と
言われたのにもかかわらず、何の準備もできないまま1ヶ月あまりで他界してしまう。まだ
40代半ばでの早逝であった。母とともに歩んできた娘にとっては、最近自由を謳歌し始めた母は
ウザくもある反面、自分の全てでもあった。
この大きな喪失感に娘は打ちのめされて、復帰することが出来ずコカインや手当たりしだいの男
漁りに走り、夫とも別れてしまう。さすがにこれではダメになると思った娘は何の訓練もないのに
PCT1000マイルを歩く決心をする。

1000マイルと一口に言っても、東京から下関を経由して鹿児島くらいまであるく勘定。しかも
その道は舗装されていないどころか、ロッククライミングのような岩山あり、川を渡る、雪の中を
歩く、暑い、寒い、と大変なことなのだ。重い荷物を背負い、スタート地点から歩き始めたが
初日から後悔してしまう・・・。準備と知識不足から、食料や水がなくなったり、ガラガラヘビが
いたり、靴が合わなくて爪が剥がれてしまったり、男に襲われそうになったりしながら、3ヶ月の
余かかって男でも難しいとされる1000マイルのトレイルを女性ひとりで遂に踏破したのだった。
道中、母や父、自分が荒れていた頃を思い出し、人生を見つめなおし、この旅が終わったら自分は
どこで何を始めるのか、人生をどう生きるか、を発見するのだった。

ドラッグあり過剰なセックスあり、そして過酷なハイキングを達成する女性を文字通り体当たりで
演ずるリース・ウィザースプーンが良かった上に、母親を演じたローラ・ダーンの存在感が大きかった。
母の存在、母の死を乗り越えて、自分の人生を獲得するという母娘の葛藤を二人は上手く演じ、
また監督の演出も光る。本作を観る多くの人は、歩く主人公に多少の差はあれ自分を重ねて観るの
ではないだろうか。そうして主人公の行動を追体験し、彼女が歩いた果てに見つける自分の人生に
共感を覚えるのではないだろうか。本作ではそういう趣旨はよく出ていると思う。
歩く過程で起きる事件のリズムがやや平板になってしまったウラミはあるが、彼女がいかに無謀な旅に
出たか、というものを間接的に表現する手法など映像表現としても優れていて、総じて出来の良い映画だった。
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<ストーリー>

何のトレーニングもせずに、3か月をかけて1600キロもの自然歩道踏破に挑んだ女性シェリル・
ストレイドの自伝を、リース・ウィザースプーン主演で映画化した人間ドラマ。
極寒の雪山や酷暑の砂漠が待つ厳しい道のりを、必死に乗り越えようとするヒロインの姿が胸を打つ。
監督を務めたのは、『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ。

シェリル(リース・ウィザースプーン)は、スタートしてすぐに“バカなことをした”と後悔していた。
今日から1人で、砂漠と山道が続く1600キロの“パシフィック・クレスト・トレイル”を歩くのだが、
詰め込み過ぎた巨大なバックパックにふらつき、テントを張るのに何度も失敗。その上、コンロの
燃料を間違えたせいで、冷たい粥しか食べられない。
この旅を思い立った時、彼女は最低な日々を送っていた。どんなに辛い境遇でも、いつも人生を
楽しんでいた母(ローラ・ダーン)の死に耐えられず、優しい夫を裏切っては薬と男に溺れる毎日。
遂に結婚生活も破綻した。このままでは残りの人生も台無しだ。母が誇りに思ってくれた自分を取り
戻すために、一から出直すと決めたのだ。
だが、この道は人生よりも厳しかった。極寒の雪山や酷暑の砂漠に行く手を阻まれ、食べ物も底を
尽くなど、命の危険にさらされながら、自分と向き合うシェリル。果たして彼女が、1600キロの
道のりを越えて目にしたものとは……?(Movie Walker)

この映画の詳細はhttp://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=350921#1こちらまで。



by jazzyoba0083 | 2016-09-06 23:15 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)