カテゴリ:邦画・旧作( 55 )

椿三十郎

●「椿三十郎」
1962 日本 東宝映画 98分 
監督:黒澤明  原作:山本周五郎『日々平安
出演:三船敏郎、仲代達矢、小林桂樹、加山雄三、団令子、志村喬、藤原鎌足、入江たか子
清水将夫、伊藤雄之助、土屋嘉男、田中邦衛、江原達怡、平田昭彦、小川虎之助ほか。
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
WOWOWで放送中の黒澤明シリーズ。この巨匠を食わず嫌いだった私は
先日、名作の誉れ高い「七人の侍」を鑑賞し、目からウロコであった。
そこで、今回は、本作をチョイス。上映時間としては、随分短かったので気楽に
楽しむことが出来た。
黒澤監督作品=芸術性の高い作品=近寄り難い、という自分なり固定イメージを
作ってしまっていたので、本作は、全然違うじゃないか、と理解した次第。
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「七人の侍」の中でも菊千代(三船)のキャラクターとしてコメディチックな
演出もあったのだが、本作は、時代もくだったこともあろう、小林桂樹の
「捕虜になってしまった押入れ侍」の、あたかも植木等の「およびでない?」の
ギャグも斯くやとばかりのところ、それに菊千代のキャラが思い浮かべられる
椿三十郎(三船)のキャラクターも、ユーモラスな部分も良い味付けである。
更に、城代家老の奥方(入江たか子)と娘(団令子)のボケ振りもなかなか。
更にさらに、ラストあたりの伊藤雄之助の、タヌキおやじなんだけど、実は
慧眼の持ち主である城代家老が、「乗った人より馬は丸顔」などという味わいは
素晴らしかった。
100分に満たない作品にして、無駄ということが全く感じられないテンポの良さ
であった。
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加山雄三は、三船に比べるとまだまだセリフも下手だし、演技も比べるべくもない。
冒頭の田中邦衛、江原達怡、らの前で演説することろはまるで城南大学の田沼雄一君
だったな。加山は若大将シリーズが始まったばかりの頃だ。団令子も若大将ファミリー
ではある。
それに引き替え、仲代達矢の目の演技、敵側の志村喬、藤原釜足らの目のクマが
自分達がやばくなるに従い濃くなっていく様は、良かった。志村の目の演技も
良かったなあ。
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先に『用心棒』を観れば良かったなと感じた。三船敏郎の魅力満載の一篇であるが、
一人で十人以上を切りまくるシーンは、これは刃こぼれや血あぶらで、そんなには
斬れないだろうと感じた。ラストの仲代との決着、黒澤映画てこういう風だったかな
というくらいびっくりした。組織になじまない男『抜身のギラギラした刀』の
痛快な剣劇であった。ストーリーは非常に単純。

ただ、「七人の侍」のところでも書いたが、音が聞き取りづらい。早口なんだな。
三船、仲代、伊藤雄之助くらいのスピードでしゃべってくれるといいのだが。
息せき切ってしゃべる時は滑舌を徹底的に注意しなくては・・・。
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<ストーリー>
「ある城下町の夜、薄暗い社殿で九人の若侍が密議をこらしていた。城代家老睦田に、
次席家老黒藤と国許用人竹林の汚職粛清の意見書をさし出して入れられず、
大目付菊井に諭されてこの社殿に集っていたのだ。

その真中へよれよれの紋付袴の浪人者が現れて、九人をびっくりさせた。
その上、その浪人者は、城代家老が本物で、大目付の菊井が黒幕だといって皆を
仰天させた。その言葉の通り、社殿は大目付輩下の手の者によって取りまかれていた。
あおくなった一同を制してその浪人者は、九人を床下へかくし一人でこの急場を救った。

その時、敵方の用心棒室戸半兵衛はその浪人者の腕に舌をまいた。かしこまる若待を
みた浪人者は、急に可哀そうになり力をかすことにした。
城代家老は屋敷からはすでにどこかへ連れていかれた後であり、夫人と娘の千鳥が
監禁されていた。浪人者はこの二人を救い出し、若侍の一人寺田の家にかくまった、
寺田の家は黒幕の一人黒藤の隣だ。黒藤の屋敷は別名を椿屋敷と言われるくらい、
椿の花が咲いていた。夫人の言葉にその浪人者は名を椿三十郎と名乗った。

皆は、城代家老の居場所を探すに躍起だ。黒藤か菊井か竹林の家のどこかに監禁されて
いるはずだ。三十郎は敵状を探るため、室戸を訪ねていった。室戸は三十郎の腕を
買っているので、即座に味方につけようと、菊井、黒藤の汚職のことを話し、
自分の相棒になれとすすめた。三十郎を信用しない保川、河原は、三十郎に
裏切られたら大変だと、三十郎の動向をうかがうことになった。

三十郎を支持する井坂、河原も、あの二人には任せておけないと三十郎の後をつけた。
しかし室戸と三十郎に見つけられた四人は当身をくって捕えられた。
三十郎は室戸の隙をみて、番人を斬り倒し、自分をしばらせて四人を逃がした。
三十郎はこれで室戸から用心棒稼業を馘になってしまった。

寺田の家に帰って来た三十郎は若侍をどなりつけた。その時、夫人が椿屋敷から
流れてくる川の中から意見書の紙片を拾って来た。この川は寺田の庭の隅を通って
いるのだ。家老は黒藤の家に監禁されていると決った。
三十郎は、黒藤の警固を解かせるため、むほん人の一味が光明寺に集っていると
知らせに行くことになった。その留守になった合図に椿の花を川に流すというのだ。
計略は図に当った。警固の一隊は光明寺に向った。だが、光明寺の門の上に寝ていた
という三十郎の言葉に嘘がばれてしまった。光明寺には門がないのである。
三十郎は捕えられた。しかし、臆病な竹林は三十郎の罠にかかって、川に椿の花を
流した。若待必死の斬込みで城代家老は救われた。三十郎と半兵衛の一騎打は--。
三十郎は若侍九人の見送りをうけて静かに去っていった。」(goo映画)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2012-08-29 23:10 | 邦画・旧作 | Trackback(1) | Comments(0)

紅の翼

●「紅の翼」
1958 日本 日活 93分
監督:中平康  企画:水の江滝子
出演:石原裕次郎、芦川いづみ、中原早苗、滝沢修、西村晃、阿部徹、芦田伸介、小沢昭一、大坂志郎他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
WOWOWでやっていた石原裕次郎特集。興味があったわけではないのだけど、この作品は
小学校の時に見ていたのではないかな、とおぼろげの記憶があり、観てみた。
結果、自分が幼い頃見たものかどうかは分からなかったが、なかなか、これはこれで面白く
見てしまった。もちろん、突っ込みながら見るのですけと・・・(^O^)

昭和33年の東京が登場する。何もない昭和の中頃の東京の風俗を楽しむのもいい。
当時、まだ空撮など珍し時代に、そらからの光景というのも観客を惹きつけるのに十分だったと
感じた。

羽田をベースにして近距離を飛ぶ航空会社のパイロット石田(石原裕次郎)、彼が逃亡する
殺し屋と八丈島で緊急に必要になった破傷風の血清を乗せて、飛び立つが、途中でトラブルに
見舞われ、苦心惨憺の末、無事に八丈に結成を届ける様子を活劇で描くもの。

クリスマスシーズンが背景になっていて、当時の銀座の風景や、周りに何もない羽田空港の
様子が見られる。裕次郎だけではなく、このあたりの邦画の特徴である、わざとらしい演技も
今となっては楽しく見られる。
裕ちゃんはそれなりに、二谷英明はカッコ良いし、芦川いづみは凛として可愛い!
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<ストーリー>
「石田康二(裕次郎)は遊覧飛行機ダブの副操縦士なのだ。スチュワデスの敬子が恋人だ。

--岩見産業の岩見社長が射殺され、犯人は逃走したというニュースを、康二は飛行場の
事務所で聞いた。敬子(峯品子)は日東タイムスの記者、長沼弓江に(中原早苗位)
インタービューされていた。
そのとき、八丈島の飛行場事務所から島の子供が破傷風にかかり至急血清を送れという
報せが来た。弓江は血清の手配を手廻しよくすませた。

ダブ機の故障で、島まで三百キロの海上飛行はセスナ機によるほかない。
誰も尻ごみするのを、康二が買って出た。乗客はダブをチャーターした大橋(二谷英明)
というもの柔らかな若紳士と、特ダネだからと社に頼みこみ特派された弓江の二人だけである。

初めて飛行機に乗った弓江ははしゃいでいた。大橋は八丈島生れで、母の墓参に帰るのだ
という。彼は左手の小指がなく、また胸ポケットからピストルがのぞけたのを弓江は見た。
大島上空で、ラジオのニュースを聞いた弓江の頬がこわばった。「岩見殺しの犯人は左手の
小指のない板垣一郎という殺し屋だ」と放送されたのだ。

見破られたと知った紳士大橋は一ぺんにべらんめえ口調の殺し屋に変った。
「八丈へは降りさせねえぜ」コルトを康二の脇腹にあてた。八丈の西の小島に着陸させ、
待っている仲間の船で香港へ脱出しようというわけだ。康二は機を急上昇右旋回させ、
板垣の腕をかかえこみ、遭難信号を発しようとした。
そのとき、板垣の手がマイクコードをひき抜き機外へ放った。
--セスナの機体震動が急にひどくなり、新島へ危険な不時着をした。機体点検のスキに
康二は板垣に躍りかかり、ピストルを奪うが、敵はもう一つ持っていた。

康二は無理をしなかった。夜が来た。板垣も離陸を夜明けまであきらめたようすだ。
とんだクリスマス・イヴだ。このままでいけば、板垣のピストルのエサになるだけだ。
それに子供の命は?康二は離陸の直前、プロペラの前に板垣を立たせ、操縦席の弓江に
サインを送った。いきなりプロペラは回転され、板垣の体を地面に叩きつけた。離陸する機へ、
血だらけの板垣が撃った。康二の右腕が射抜かれ、ガソリンタンクに当った。
--ガソリンを使い切ったセスナ機が失速状態におちいりながらも八丈島に着陸した。
飛行場の小屋に突っこみ翼をへし折った。「血清を子供に早く……」康二は血みどろの腕の
まま気絶した。--翌日、羽田から敬子たちが乗ったダブが迎えに来た。
明るい顔の康二と弓江を乗せて離陸した機を、島の子たちが手を振りながら追った。 」
(goo映画)



この映画の詳細は
こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2012-08-25 00:30 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

七人の侍

●「七人の侍」
1954 日本 東宝 207分
監督:黒澤 明
出演:三船敏郎、志村喬、津島恵子、藤原釜足、加東大介、木村功、千秋実、宮口精二、小杉義夫、
左卜全、稲葉義男、土屋嘉男、高堂国典、東野英治郎、上田吉二郎、多々良純、堺左千夫、山形勲他。
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<評価:対象外>
<感想>
映画好きなれど、恥ずかしながら、邦画は若大将シリーズ他、多少しか見ておらず、なかでも
黒澤明の作品も見たことが無かった。今月、WOWOWで黒澤明特集が組まれ、何本か名作が
放映されたのを機会に、数本を録画、鑑賞に及んだ。
日本映画には珍しい「インターミッション」がある長編。申し訳ないけど、2日に分けて見させて
いただいた。

本作は、今更私などが評価するなどおこがましい作品で、古典的名作として名声高い日本を代表する
作品である。黒澤教の信者も多かろうし、今更うかつなことも言えないだろう。(小津教もまた・・)
しかし、けだし、名作である。第一に全く古さを感じない。個人的には晩年の「乱」あたりで
のぞき見えた、様式美に偏った(あくまで個人的にのぞき見た程度だが)作りではなく、
構図や役者の動きなど、計算されつくしたものは感じるが、それが全面に出てくることはない。
ところどころにハッと気がつかされるシーンが数々ある。が、それが主役にはならない。

第二に、役者がいい、というか黒澤監督の役者の使い方が上手い、というべきだろうし、三船が
演じた菊千代のキャラクターは、当時としては出色であり、脚本の勝利だと感じた。
宮口精二のキャラクターもまた大変魅力的であった。もちろん志村喬も。
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撮影時間が長きに及び、雨の中の戦闘シーンは冬になり、吐く息が白いのが痛々しい。
冬のシーンではないのに。田植え前なので、4月ごろなか。

私が2歳、奥さんが生まれた年の作品であるゆえ、今年の津島恵子を最後にスクリーンの
主たるキャストは鬼籍に入ったことになる。当然な時間の流れとは言え、今更、時代を
感じる。

1つ残念だったのは、セリフが聞きづらかったこと。当時の録音技術もあるのだろうけど、
田舎言葉、古い言葉を早口でしゃべるので聞き取れない。海外で評価が高いのは字幕が
フォローしているから、というのもあるだろう。特に、冒頭、野武士が村を下見に来るシーンの
野武士の会話、まったく聞き取れなかった。次第に苦にならなくなった。映像が持つ強みが
優ったのだろう。
こののち、日活の石原裕次郎作品(1958年製作)でも、早口だった。滑舌もいいとは言えない。

ストーリーやこぼれ話などはウェブサイトに無数にアップされている。

参考にWikipediaのリンクを貼っておきます。
by jazzyoba0083 | 2012-08-23 22:50 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

●「水のないプール A Pool without Water」
1982 日本 東映セントラルフィルム 103分
監督:若松孝二
出演:内田裕也、MIE、中村れい子、藤田弓子、沙貴めぐみ、浅岡朱美、殿岡泰司
   安岡力也、常田富士男、赤塚不二夫、黒田征太郎、沢田研二、タモリ、原田芳雄
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
「キャタピラー」に次いで連続の若松孝二監督作品。今から30年も前の作品。
物故者もたくさんでている。豪華キャスティングは内田裕也つながりか。
基本は内田、MIE、中村なんだけど。まだまだ若い若松監督の荒削りのパワーは
感じる。内田の狂気もいい。しかし、作品全体が何を言わんとしているのかが
判らない。下手をするとエロ映画になっちゃう。「人の狂気」を表現しているか?
どうということない映画だけど、何故か頭の中に残る不思議さを感じる。
ピンクレディーからまだ数年しか経ってないはずのMIEがこういう映画に出てたんだな。
脇が素人なんで、台詞回しが学芸会のようだ。そうそう、大学の映研が創ったような
感じだ。アングルの取りかたなんかは「キャタピラー」にも同じようなカットが
あることから、若松監督の癖というか好みなんだろう。

<ストーリー>
「クロロホルムを部屋にまき散らし、意識を失った若い娘を犯す男がいた。
現実に起って世間を騒がせた性犯罪にヒントを得て製作された。
脚本は「魔性の夏 四谷怪談より」の内田栄一、監督は「餌食」の若松孝二、
撮影は袴一喜がそれぞれ担当。

主人公の男(内田)は地下鉄の駅員。家に帰れば口やかましい女房(藤田)、
仕事は毎日喧噪の中で無気力になっていて何かを変えようとしながらうまく行かない。
勤め帰りに酒場に立ち寄り、酔っ払いとやくざ(安岡・沢田)の小ぜりあいにまき
込まれて右手を怪我し、駅前の噴水で血を流っているとき不思議な少女みくが
近寄って来た。みくは男を水のないプールへ連れて来て裸になる。
そのみくを置きざりにして、男はその足で数日前に暴漢から助けたじゅん(MIE)の
部屋へ忍び込もうとするが気付かれ、戸締りをするように注意して出てゆく。

夏休みのある日、男は息子の昆虫採集で使う注射器を見ていて、女を昆虫のように
薬で眠らせることを思いつく。男はわざわざ遠くの薬局から大量のクロロホルムを
手に入れ、侵入に必要な道具を買い揃えた。
男はまず、じゅんのアパートで実験してみる。窓の隙間から注射器でクロロホルムを
注入し、じゅんを眠らせた。この成功に味をしめて、かねてから目をつけていた
フルーツパーラの店員ねりか(中村)の部屋へ自分は昏倒しないように防塵マスクで
身を堅めてねりかを犯す。犯した後で男は朝食の用意や洗濯までしてねりかの部屋を出た。
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男はポラロイドカメラを買い、犯した女を撮っていた。その写真を同僚に見られ、
それをきっかけにして地下鉄をやめた。狂気のおもむくままに侵入と暴行をくり返し、
男は生き生きとしていた。ねりかはうす気味悪い思いをしていたが男を待つようになる。

ふと不安になり友だちに一緒に泊ってほしいと誘う。三人が寝ているねりかの部屋へ
男はやはりクロロホルムを注入して侵入して来たが、そこにあったシャボン玉を吹こうと
マスクをはずし、クロロホルムを吸って昏倒してしまう。
目覚めた一人が男に気付いて警察へとどける。男の夢は終わったかに見えた。
しかしねりかは告訴を取り下げ、男は再び水のないプールに立った。みくの吹く
シャボン玉はふわふわと上っていった。」(goo映画)

かようにシュールな作風だし、素人芸の集大成な感じだが、不思議なパワーを感じる作品。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2011-11-01 22:50 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

壬生義士伝

●「壬生義士伝」
2002 日本 松竹 137分
監督:滝田洋二郎  原作:浅田次郎  脚本:中島丈博
出演:中井貴一、佐藤浩市、村田雄浩、三宅祐司、夏川結衣、中谷美紀、塩見三省、堺雅人他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
一口で言って長過ぎ。実は4月の頭はLAに出張していて、本作はJALの機内で観賞した。
綺麗とも言えない小さな画面で見たので、割り引いてあげないと可哀そうな部分もあるが、
飛行機の中でもこの時間は必要以上に長く、特に皆さん指摘のように中盤から後半に掛けて
だれる。浅田次郎の「シエラザード」を読んだ時ももう少しタイトにしたほうがいいのに、と思った
ことがあるが、これも映像としてそうなってしまった。
脚本はボタバラなどのどろどろ昼ドラ王、中島丈博。持って行き方はいいのだが、やはり
繰り返すがだれる。それと、これは原作のことなのでしょうがないが、南部藩の食い扶持稼ぎ
脱藩浪人(中井)が、故郷の嫁や子どもらにお金を支送るために新撰組に身を投じ、
金の亡者と言われながらも、命を大切に、いつかは南部に戻ることを信じて生きていた。
彼は周囲にもいつも生きろ、命を大切にしろ、と、無駄に命を掛けることを諫めていたが、
結局、彼自身鳥羽伏見の戦いで、「武士の義」に殉じてしまう。このあたり、すっきりしなかった。

なんであれだけ家族を大切にしそのために脱藩までし、命の大切さを信条にしていた男が、
武士の忠節や義に殉じようとするのか、そのあたりの心情が理解しきれなかった。
そして、優秀な長男は、父親の血をもろに受け継いで、まだ少年だというのに、家族と判れ
榎本武明の「五稜郭」の戦いに参戦し、帰らぬ身となる。

冒頭、老人となったかつての人斬り斉藤一(佐藤浩市)が、熱をだしたマゴを背負い訪れた
医院で、大野という医師の机の上に、かつて彼が新撰組に居た時に「一番憎んだ男」と
して見ていた「吉村貫一郎」という男の写真が飾ってあるのを見つける・・・・
映画のスタートとしては如何にも「伝奇」作品らしくて面白い。以降、斉藤(佐藤)の語りで
話は進むのだ。中井と佐藤の演技は、誠に宜しい。脇を固める村田、夏川、中谷、堺、塩見ら
も実在の人物にも似ていて宜しい。ただ三宅祐司は、このポジションかなあ、という疑問が
残った。

本作はこの年の日本アカデミー賞作品、主演男優(中井)、助演男優(佐藤)を獲得しているが、
作品賞かなあ、という疑問が残った。2時間くらいに仕上げていたらもっともっと面白い映画に
なったろうにな。きょうびの日本映画は、無駄に長いのが多く、辟易する。

<ストーリー>
「人気作家浅田次郎の同名ベストセラー小説を、「秘密」「陰陽師 ~おんみょうじ~」の
滝田洋二郎監督が映画化した感動の時代劇。
混迷する幕末を舞台に、無名の新撰組隊士吉村貫一郎を主人公に、“守銭奴”とさげすまれても、
愚直なまでに愛する者のために生き抜いた一人の男の波瀾の運命を描く。
主演は中井貴一。共演に佐藤浩市。
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 幕末の京都・壬生。尊皇攘夷の名の下にこの地で結成された新撰組は、表向きこそ勢いを見せるが、
力を増す倒幕勢力の前に浮き足立ち士気は低下の一方だった。そんなある日、一人の剣士が
入隊してきた。盛岡の南部藩出身のその男、吉村貫一郎はみすぼらしい身なりに似合わず、
これまでに何人もの人を斬り捨ててきた猛者だった。
しかし、大儀のためには己の命をも顧みない隊士たちの中にあって、恥ずかしげもなく命に固執し、
さらには何かにつけてお金に執着する貫一郎の姿は異彩を放っていた。そんな貫一郎に、近藤勇も
一目置く斎藤一は嫌悪を感じるのだったが…。」(allcinema)
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この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2011-04-05 12:00 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

ラヂオの時間 

●「ラヂオの時間」
1997 日本 フジテレビ・東宝 103分
監督・脚本:三谷幸喜
出演:唐沢寿明、鈴木京香、西村雅彦、戸田恵子、井上順、細川俊之、奥貫薫、梶原善、モロ師岡
    布施明、近藤芳正、並木史朗、田口浩正、藤村俊二、渡辺謙、小野武彦、市川染五郎ほか。
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三谷作品は最初が「THE 有頂天ホテル」で、次が「ザ・マジックアワー」で、今回が初監督作品という
ことになる。いつもの三谷組の出演者たちと、軽妙な脚本、関東喜劇の王道ともいうべき笑い。
ラジオのスタジオで繰り広げられる三谷お得意のシチュエーションコメディだ。最初チョロチョロ中パッパ
てな感じで、しり上がりに好調になっていく。

ちょいとこうした業界に身を置くものとして、「いるんだよなあ、こういう人」という面と「全然ありえないよな」
と判ってしまう面が半ばしたが、後半のいよいよ生放送が始まってからの時間は、クレイジー・キャッツも
かくや、というドタバタ系のお笑い。そしてディテールに拘る三谷流のこだわりが笑いを誘い始める。
最初から笑いっぱなし、って人がいるけど、そこまでは・・・。確かに面白い映画ではあったが、
2作、3作と作り続けることで、完成度は上がっていくような気がします。

懸賞ラジオドラマ小説で優勝し、生ドラマ化されることになった主婦、鈴木みやこ(鈴木京香)。スタジオ
ではリハーサルが行われていた。しかし、主役の千本のっこ(戸田恵子)が、役名を嫌って駄々を
こねたことから、すべてのトラブルが始まる。
優柔不断なプロデューサー牛嶋(西村)は、律子、という名前をメリー・ジェーンにしてしまう。そうすると
舞台は日本ではなく、NYに。職業もパチンコ屋に勤める主婦、でなく、女弁護士に。自分の台本が
どんどん変えられてしまうけど、素人だから文句は言えない。書き直しもスムーズでないので、牛嶋は
深夜放送に来ていた構成作家のバッキーさん(モロ師岡)に、書き直しを頼む。そうすると、台本は
ギャングものになり、ミキサー(田口)のこだわりから舞台がシカゴに変更、相手の男を演じる浜村(細川)
も、自分も英語の名前に、しかも、漁船の船員ではなくパイロットがいい、と言い出す。
そうなるともう主婦の書いた台本はどこへやら。矛盾につじつまを合わせるために、物語はどんどんと
変な方向に進んでいくのだった・・・。
そして本番の生放送の時間、午前0時がやってきた。ところが効果音CDのレコード室が誰かが鍵を
持って帰ってしまい開かないため、ディレクターの工藤(唐沢)らは、昔、音効マンをしていた守衛(藤村)
をスタジオに連れてきて、その場で音を作っていくという始末。
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スタジオでは、メリー・ジェーンと自動車販売員で夫のハインリッヒ(井上)夫婦が危機を迎えていたところ
からスタート。しかし、役者たちのわがままで、話は途中で止まり、また話が変わり、と危機の連発。
大波の海辺で出会うメリー・ジェーンとドナルド・マクドナルドのはずが、シカゴに海がないことが判り、
急遽山の中でダムの決壊に会うことになったが、パイロットが山にいるか?という矛盾が発生。
メリー・ジェーンがダムの決壊にあうころ、ドナルド・マクドナルドはハワイ上空で消息を絶つことに。

しかし、編成の堀ノ内(布施)が、スポンサーから文句が入った、まずいよお牛嶋ちゃん、と迫ると
こんどは、ドナルド・マクドナルドはパイロットはパイロットでもNASAのロケットのパイロットで、宇宙の
かなたへ消えていく、という結末にしよう、と牛嶋。これにはさすがに主婦作家のみやこも怒り、主人公の
二人は再開してハッピーエンドでなければいやだ、といいスタジオに立てこもってしまう。

それまで、牛嶋のいいなりの仕事をしてきた工藤だったが、頭に来て席を立つ。しかし、エンディングを
何とかみやこの台本通りにやってあげたい、それは彼女のためではなく、自分の仕事のためであった。
そして、帰ってしまうところのドナルド役の浜村を玄関先で捕まえてスタジオに連れ戻し、何とか
ラストだけはみやこの台本どおりに終えたのだった。
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このドラマを聴いているトラックの運転手役の渡辺謙がラストでおいしいところを持っていく。可笑しかった
のは、細川をむりやりスタジオに連れ戻し、ハッピーエンドのセリフを無理やり言わせようとするところ、
藤村俊二の効果マンがラストに打ち上がる花火を体を使って音をだすところ、ハインリッヒ役の井上順が
台本を変更している間の場つなきで、その夜の巨人戦の成績を、役のまましゃべり間を持たせるところ、
廊下で打ち合わせをしているのにお掃除のおばさん(宮本信子)が大きい音を出してじゃまするところ
などかな。まだ初々しいADの奥貫薫が可愛い。ナレーター役の保坂卓を演じた並樹史郎、役者の中の
ムードメーカー、ハインリッヒ役広瀬を演じた井上順が良かった。もちろん、プロデューサーの西村雅彦
は、風見鶏で人の顔色を見ながら世の中を渡っていく人種を、好演。(なぜかプロデューサーって
ブレザー姿なんだよね。ディレクターの唐沢の恰好はディレクターという人種をおちょくっているのか、と
思わせる服装。そして編成マンの布施明のワイシャツとネクタイの色。細かいところに拘ってます)

もともと東京サンシャインボーイズの舞台劇だったもので、基本はスタジオサブ。そして出演者の濃い
個性。これらが三谷脚本と演出で、喜劇として完成度の高いものに仕上がっていた。
「あるある」と思わせるところと、「ありえねえ」と思わせるバカバカしさの手際良い融合は三谷脚本の
真骨頂だろう。それにしても、中断があんなに長いドラマや途中で延々とテーマが流れたりニュースが
入ったりするドラマも普通はありません。スタジオの時計を観ているとどうやら2時間のドラマだったらしい
けど、そんなに長いラジオドラマもありません。それにしても笑った。
この映画の情報はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-06-23 23:10 | 邦画・旧作 | Trackback(1) | Comments(0)

帝銀事件 死刑囚

●「帝銀事件~死刑囚」
1964 日本 日活 116分 モノクロ
監督・脚本:熊井啓
出演:信欣三、内藤武敏、井上昭文、高野由美、笹森礼子、鈴木瑞穂、山本陽子他
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昨年(2007 5月)に亡くなって一年が経つ、社会派監督熊井啓が脚本も手がけた
日本の重厚な社会派映画。傑作か、といわれれば「う~む」といわざるを得ないが。
この「帝銀事件」はドキュメント好きな私としては非常に興味のあるテーマで、松本
清張の小説も読んだし、この映画もたぶん二度目だとおもう。

戦後の混乱期には、進駐軍が絡んだと思われる怪事件が相次ぐ。「三鷹事件」「下山
事件」「三河島事件」そして「日航機木星号三原山墜落事件」などなど。そのあたりは
清張の「日本の黒い霧」シリーズに詳しい。

この「帝銀事件」も陸軍731部隊の存在と米軍との取引のなかで、平沢が犯人にでっち
挙げられた、という説は根強い。映画は実写フィルムも混ぜながら、当時の映画の定番で
あったナレーション付きで進んでいく。

『昭和二十三年一月二十六日の午後三時すぎ、豊島区の帝国銀行椎名町支店に、
中肉中背の中年の男が訪れた。男は東京都衛生課、厚生省医学博士の名刺を出し、
赤痢の予防薬と称して、進駐軍の命により予防薬を行員、家族十六名に飲ませた。

ピペットで白濁の液を茶碗に分ける手つきは、職業的な鮮かさであった。が、数分後、
その液を飲んだ行員は、苦悶の絶叫とともに、血を吐いて倒れていった。犯人は、現金、
証券十八万円を奪って逃走した。
警察、新聞、国民の眼は一斉に活動を始めた。昭和新報の敏腕記者、大野木、笠原、
武井らも動き始めた。被害者のうち十二名が死亡していた。毒物の捜査班は、
犯人の使った青酸性化合物が、終戦直前、七三一部隊で極秘裡につくられた毒物と
知った。
武井は七三一の生き残り将校佐伯に会い、毒物について、追求したが、佐伯は語ろうと
しなかった。

デスクの大野木は、その直前GHQのバートン主席から、七三一部隊を追求するのを
やめるよう注文された。一方国木田警部補ら名刺捜査班は、名刺の所有者である、
モンタージュ写真に似た画家平沢貞通を逮捕した。事件直後、かなりな金を預金して
いるのだ。首実検の結果、大半は彼を否定し犯人と言いきる者は一人もいなかった。
国木田と森田検事は、筆跡鑑定の結果クロをもって、執拗に食いさがった。九月、
平沢はついに真犯人であることを自供した。しかし、彼はすぐそれをひるがえした。
強圧的な肉体的、精神的尋問に耐えられず自白したというのだ。
しかし、東京地方裁は、死刑を宣告し、東京高裁も死刑を確定した。だが、刑の執行は、
いまだに行われない。彼は、仙台宮城刑務所に移送されているのだが……。娘の
俊子は、国籍を捨てアメリカに渡っていった。そして、それからみつけられた数々の事実は、
平沢のシロを証明するものばかりなのだが……。 』(C)キネマ旬報

この中で新聞記者(武藤武敏)が、最高裁で死刑判決が出たあとにしみじみ言うセリフ
「俺たちの報道が、国民に間違った印象を与えてしまったとしたら・・・」
これは、まさに現在の「光市母子殺人事件」の裁判に代表されるような、メディアによる
スクラムを指弾されているといえるのだ。

旧刑訴法の自白主義、戦後の混乱、新聞などが現場を土足で荒らしてしまったりする
メディアの未熟、これらが、平沢という獄死の人を生んでしまったのだ。

ただ、映画は、最後、仙台刑務所にいる平沢のアップで終わるのだが、映画としての
結末としては弱い気がする。
この映画の詳しい情報は

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まで。
by jazzyoba0083 | 2008-04-21 22:55 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(2)

大空に乾杯

●「大空に乾杯」
1966 日本 松竹映画 97分
監督:斎藤武市  脚本:白坂依志夫、中野顕彰
出演:吉永小百合、浜田光夫、十朱幸代、川地民夫、広瀬みさ、葉山良二、和泉雅子他
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ハードな内容の洋画を観ていると、こういう古い邦画が、時にとても新鮮で懐かしい。
昭和41年の作品だから、私は中学2年生。ビートルズ来日の年でもありました。世の中
オリンピック不況の真っ只中。映画がそろそろ娯楽の王者の地位をテレビに譲り始めた
頃でしょう。ま、こういう映画を今みる意味といったら当時の風俗を楽しむ、に尽きるでしょう。
次に若い日の女優さんたちの姿。ストーリーはこの当時ではゴールデンコンビだった
吉永と浜田の青春ラブストーリー。大したことはありません。

まず、昭和41年の東京。もう当然首都高は走っているのですが、何処となくのんびり。
園芸大学生の浜田の乗るマツダのオート三輪。吉永の先輩、十朱の所有する赤のダイハツ
コンパーノ・ベルリーナ、若い人たちの乗るトヨタS800、ホンダS600。
浜田は詰襟だ。スチュワーデス(と当時は呼んでいた)の吉永らの搭乗するボーイング727。
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デザインは2世代前だ。機内は全席喫煙OKだ。羽田や伊丹には、YS11がたくさん駐機して
いる。そうそう、吉永のお金持ちの方の彼氏候補は縦目のベンツを手袋をして運転しているの
だが、飲酒運転OK!(法律では当然禁止されていたのだが、映画の中でその状況を許して
しまう緩さ)

ミニスカートにゴーゴーダンス(モンキーダンス)、円筒ボディの電気掃除機。
デートに遅刻してきた浜田のいい訳が「来る電車来る電車満員で30分も待っちゃったよ」と
いうセリフ。そう、当時新宿などの国鉄駅には押し屋という人たちがいましたねえ。

吉永小百合が若い!可愛い!(当然だね)、和泉雅子が高校生を演じている!
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                               吉永小百合21歳!!
スチュワーデスの新人、吉永と教官格の広瀬、自由な生き方が好きな十朱、
広瀬の高校生の妹に和泉。広瀬の許婚で整備士の彼氏に葉山。吉永の家の庭の手入れに
来る園芸大学生(当然苦学生)に浜田。日本では咲いたことの無い新種のベゴニアを何とか
咲かそうと努力する一途な浜田に惚れる吉永。和泉は、姉の許婚の独身寮にあがりこんで
葉山にちょっかいを出したりしていたが、自分の誕生日に、姉の乗る機に病人が出て、
遅くなり、これに不貞腐れた和泉は町に繰り出す。ゴーゴー喫茶で知り合った園芸大学生
に連れて行かれた大学の温室で、浜田と出会い、惚れてしまう。恋敵になる吉永と和泉。
一方、機内の病人(子供)を的確な手際で病院に送り込んだ吉永ら3人は、その子の
祖父からお礼の食事に誘われる。そこには祖父の次男が控えていた。実はお礼と称した
吉永と次男の見合いの席だったのだ。

貧しいけど将来は大きな花畑を経営したいという夢を熱く語る浜田にも惹かれ、毛並みも人柄
もよい次男にも惹かれる吉永。そんなある日、台風がベゴニアを栽培中の大学の温室も
直撃した。徹夜で花を守る浜田、吉永、和泉、十朱。
そして、台風一過、あのベゴニアに遂に花が咲いたのだった。
吉永が選んだ人は・・・。
ラスト、和泉が新人スチュワーデスとなって登場してくる。
何も考えず、ふわふわと観るのにはいい気分の映画。ニュープリントだから色もいいしね。
尚この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2008-01-18 23:55 | 邦画・旧作 | Trackback(1) | Comments(1)

八月の濡れた砂

●「八月の濡れた砂」
1971 日本 日活映画 91分
監督:藤田敏八(脚本にも参加) 
出演:広瀬昌助、村野武範、藤田みどり、テレサ野田、隅田和世、渡辺文雄他
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テレサ野田、いたなあ、大阪の「イレブンPM」でカバーガールをやっていたっけ。
週刊プレイボーイのグラビアで見たなあ。今何をしているだろうか。
主役の広瀬昌助も今どこに。藤田みどりは岡田真澄の奥さんになったなあ。
藤田敏八、暴力的な映像で日活を荒し、テレビでは「颱風とざくろ」では、石坂浩二
松原智恵子、緒方拳らを使ってこれまた暴力的な青春を描いていた。

71年はまさに私が大学に入った年。まだ全学連の嵐は収まらず、政治的な
雰囲気が横溢し、若者たちはやり場のない怒りのに悶えていたのだ。
そんな雰囲気が、この映画にはある。ストーリーは、大学生のある年の夏の
青春の一こまを、湘南という舞台を使って暴力的に描くという別にどうということはない
もの。そこにあるものは、行き場を失った青春の困惑であり、爆発であり、失笑であり、
廉恥であり、懊悩であり、暴力であり、バカバカしさであり、エネルギーであり、
爽やかさであるのだ。
これらはどれも、歳を重ねた中年には失われたもので、彼らの姿はひたすら眩しく、
懐かしく、恥ずかしく、羨ましい。

手持ちキャメラの長回し。「青春」というものの持つ、眩しさと下らなさが、この映画には
実に溢れている。映画としての完成度、というよりもある時代の青春の群像を活写した
傑作といえるのではないか。
なおこの映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2007-11-05 22:30 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

復活の日 VIRUS

●「復活の日 VIRUS」
1980 日本 東宝、角川春樹事務所+東京放送 156分
監督:深作欣二 撮影:木村大作 音楽:テオ・マセロ 主題歌:ジャニス・イアン
出演:草刈正雄、多岐川裕美、ジョージ・ケネディ、オリビア・ハッセー
    チャック・コナーズ、ボー・スベンソン、ロバート・ボーン、グレン・フォード
    千葉真一、緒形拳、森田健作、渡瀬恒彦、永島敏行ほか。
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今から27年前。私もまだ20歳代だったころ、名前は聞いていたけど観て
いなかった超大作。改めて観て、出演者の豪華さなどに驚いた。
先日、この作品から7年後の「首都消失」を観たけれど、全然比べ物に
ならない。金の掛けかたが全然違うから仕方のないことかもしれないが。
小松左京のこのSFは映画化は無理、と言われていたのだが、当時日の出の
勢いだった角川春樹と、今より全然勢いがあったTBSが組んだ、コラボの走り
だったと記憶している。

構想5年、製作3年、制作費25億円、カナダ、チリ海軍全面協力、ハリウッド
の大スターが綺羅星の如く居並ぶ。鬼才深作欣二に名匠木村大作のカメラ。
もうこんな贅沢な映画、日本では創れないだろうなあ。もう30年近く前に
良くぞ創った、という感じ。突っ込みどころもないではないが、156分という
長丁場を見せきる力をもった映画ではある。

音楽も、ジャズの名プロデューサー、テオ・マセロに羽田健太郎をあわせ、
主題歌をジャニス・イアンに歌わせる。しかもミュージシャンに、チック・コリア
スティーブ・ガッド、ロン・カーター、デイヴッド・サンボーン、デイヴ・バレンティン
らが集められたというから驚くじゃあありませんか!

チリ海軍から借りたであろう本物の潜水艦が出てきて、艦長がチャック・コナーズ
というファーストシーンで、重厚さがただよう。

製作時点での近未来1983年に映画はスタート。そのときに人類は南極に残った
各国の観測隊員800人あまりを残して全滅していた。
その理由を描くために2年前に戻る。東ドイツで、禁止されていた細菌兵器
MM-88が開発された。元はといえばアメリカが開発したものだったが、
東独で強力なものとなった。これが盗まれて賊の乗った軽飛行機がアルプスの
山に激突して、細菌の入ったカプセルが破損、春になってイタリアから、兆候が
出始めた。この細菌は暖かい環境で爆発的な増殖をするのだった。

「イタリア風邪」と名づけられた奇病は、ワクチンが精製できず、地球上の脊椎
動物は、次々と滅んでいく。そして、ホワイトハウスがアメリカの極秘作戦だった
ことからこの細菌が寒さに弱いことが判ったときには、世界には南極に残った
800人あまりの観測隊員だけであった。

しかも、アメリカ、ソ連ともに自動報復装置を完成していて、これが、アメリカ
東部を襲うであろう地震により、発動してしまうかもしれないのだ。

南極観測隊員の吉住(草刈)は、南極からイギリスの潜水艦に乗って、
アメリカ軍の諜報部員カーター(ボー・スヴェンソン)と共に、ワシントンを
目指した。その頃にはフランス隊の科学者ラトゥール博士の手により、
MM-88のワクチンが開発されていた。彼らは、上陸直前にワクチンを接種し、
司令部に乗り込んだが、ここで地震が発生、カーターは、崩れてきた建物の
下敷きになり死亡。吉住は一人、なんとかしようとするが、ミサイルのスイッチは
入ってしまい、核ミサイルはソ連の各都市をめざし発射された。そしてソ連側も
自動的に核ミサイルが報復的に世界のアメリカ施設を襲った。
南極のアメリカ基地も狙われたのだった。こうして人類は2度滅んだのだった。

南極には、各国隊から代表が出て、臨時政府が作られていて、人類の復活に
向けて行動を起こさなければならないと頑張っていた。議長がジョージ・ケネディ。
女性が8人しかおらず、人類の種の保存のために、ということで1人の女性は
複数の男を相手にしなければならなくなった。なんか女性蔑視でこのあたりは
いやだったなあ。ノルウェイ隊の一人にオリビア・ハッセーがいるわけだが。
彼女は救助にきた吉住とお互いに思いあうことになる。

たった一人残された吉住は、歩いてアメリカ大陸を縦断。核ミサイルが南極にも
飛来することが予想されたため、女子供だけは貨物船で南米に非難していた。
吉住は、彼らと合流することを心に誓っていたのだ。
数年かかって、南米の南極近くまで到達。(途中でマチュピチュに行ったり、
海辺の砂浜でデカイ魚を素手でとったりと不思議が点もあったが)
生き残りたち(オリビアとその子たちもいた)と、合流を果たしたのだった。
(凄い偶然)
一番引いたのが、東京も全滅という時に、吉住の婚約者で看護婦の浅見が
友達の子どもを連れて、アパートから出たと思ったら、お父さんのところに
行くのよ、とか言って、いきなりモーターボートに乗っているところ。
ええっ!ってな感じだったな。飛びすぎだろう、とう感じ。

それ以外は、時代の古さを感じさせない。日本のこういう映画としては歴史に
残せる映画ではないでしょうか。
緒形拳などの日本側の出演者がもったいない使われ方をしていたな。
なおこの映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2007-05-12 23:40 | 邦画・旧作 | Trackback(2) | Comments(0)