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首都消失 

●「首都消失」
1987 日本 東宝 関西テレビ・徳間書店他製作 120分
監督・脚本:舛田利雄 原作:小松左京 音楽:モーリス・ジャール
出演:渡瀬恒彦、名取裕子、山下真司、大滝秀治、石野陽子、竜雷太
    ぼんちおさむ、丹波哲郎、財津一郎、夏八木勲、岸部一徳ほか。

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1987年の日本SF大賞を獲得した小松左京のパニック小説を映画化。
自衛隊や海上保安庁などが全面協力している。
20年前なのにもっと古い感じがする。このころはすでに、「E・T」や「スター・
ウォーズ」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などの特撮ものは、
スピルバーグや、ルーカス、ゼメキスなどによる高度なハリウッド作品が私たちの
目に触れており、それからすると、いかにも「痛い」特撮だ。
一時代前の「ウルトラマン」か、と思わせる東宝特撮。「残念」。金もかかって
ないのだろうなあ。
それからすると、「日本沈没」の特撮は、素晴らしいものがあるだろう。
取ってつけたようなモーリス・ジャールの音楽が、頭にこびりついて離れない。

桝田監督は、鈴木清順や蔵原惟繕、大島渚らのヌーベルバーグ派の対岸にいて
ごく日本的な(歌謡曲的な)日活を代表する監督として、脚本も書く才人として
大活躍の人であり、晩年は石原プロと組んで映画やテレビ映画などを
たくさん撮った。マッチの「ハイティーン・ブギ」なんかも撮っていた。
であって、この87年頃は事実上終わっていた人なんだな。なんでもっと若い
監督を使わなかったのだろうか。
あまり悪口を書くと80歳でご健在なので、このくらいにするが・・・。

首都圏を高さ2km、半径50kmの、謎の雲が覆い尽くした。通信は途絶し、
首都機能はマヒ。大阪で知事会議が開催され、この会議を国権の最高機関と
する計画が進む。国際的には国連の信託統治に移行というアイデアも
だされていた。
航空機は、突っ込むと爆発した。中で何が起きているのか?

これを解き明かそうとするのが、電機メーカーの技術開発部長朝倉(渡瀬)だった。
彼の家族も雲の中だ。
朝倉は、筑波にある研究機関の所長大田原(大滝)と協力、部下の岸部一徳
などの努力もあり、雲の実態を調査、なんとかこれに穴を開ける手段を開発
する。
一方、大阪テレビ局のディレクター、田宮(山下)とレポーターのまり子(名取)も
雲の取材に突撃する。とりあえず、静岡まで行き、スルガテレビの中継車を借り、
自衛隊の後ろにくっついて取材を重ねる。
朝倉の娘、朝倉に思いを寄せる名取と恋人の田宮の関係、などが絡んで、
人間模様も描きいれながら、映画は進んでいく。

とにかく特撮がゴジラレベルなので、見ていられないが、20年前の風俗や
クルマのスタイル、風景などが鑑賞できて、(あるいは石野陽子の若さ)
いい点もないではない。120分というのも無駄に長いなあ。ぼんちおさむの
担いでいるENGカメラが、中継用になったり、録画用になったりするし、
中継車にパラボラがないから衛星中継はしていないのだから、ならば
どこかに中継点を持ってマイクロを飛ばしているのか、というとそうでも
ないし、甘い点もある。関西テレビは監修しなかったのだろうか?製作社なのに。

しかし、邦画の持つ、いい意味での「痛さ」が、心地いいこともある。何故だろう?

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by jazzyoba0083 | 2007-05-02 02:10 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

東京物語

●「東京物語」
1953 日本 松竹映画 136分 昭和28年度芸術祭参加作品
監督・脚本:小津安二郎
出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聰、三宅邦子
    大坂士郎、東野栄治郎、香川京子、中村伸郎、十朱久雄他
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小津の作品は「秋刀魚の味」を何故か2回観ているだけで、他の作品には
触れずに来ていました。このところWOWOWで小津の作品をちょくちょく
放送しているので、鑑賞してみました。ま、映画通の世界には小津を
語らせたらうるさい方々がたくさん見えますので、ただの映画好きの私は
多くは語りませんが、確かに良い映画であったことは確かです。

昭和28年といえば私は1歳。画面に映る、日本家屋や蒸気機関車、
はたきとほうきの掃除、バケツに雑巾、懐かしさもひとしおです。

いきなり尾道の風景の、アオリ、ナメ、黄金率といった小津映像ワールドの
炸裂でスタート。淡々と進む映画ではあるが、「秋刀魚の味」とはテイストが
やや異なり、いわゆる問題作といった風情。戦争が終わって8年たち、
親子の間の愛情や感情のズレといった新しい時代へのきしみを描いて
いる。

笠智衆と東山千栄子の老夫婦は尾道に住んでいる。末っ子の香川京子
以外はみな東京や大阪へ出て、それぞれ自分の暮らしをしていた。
ある日、老夫婦は、東京の子供たちのもとに遊びにいくことにした。
夜行で1日がかりで到着した、長男山村聰の家は開業医、おじいちゃんと
おばあちゃんが来るというので、子供の勉強机は廊下に出されてしまう。
むくれる息子。波乱の予感である。
長女は美容院を経営していて、せっかく両親が上京したというのに十分に
面倒を見れない。どこか邪魔あつかい。そんななか、戦死した3男の未亡人
原節子は、はとバスで東京見物に連れ出したり、自分の部屋に連れてきたり
一生懸命面倒を見ていた。

子供たちはついに両親を熱海に追い出してしまう。しかし、熱海も若者たちで
うるさく、1泊で帰って来てしまう。このとき、母親の体調に異変が起きていた
のだった。
子供たちの様子に気が付いた両親は途中で大坂の次男の所によりながら
帰っていった。しかし、尾道に帰ったとたん、母が倒れ、危篤になってしまう。
電報で連絡を受けた長男長女は喪服持参で駆け付ける。もちろん原節子も。
母はあっけなく他界してしまう。さっそく形見分けのことを言い出す長女に
怒る香川、なだめる原節子。このシーンの原節子のセリフが、この時代の
親子の間の苦しみを代弁しているようだった。
そして、「そうか、ダメだったか。逝ってしもうたか」と飄々としている笠智衆だが、
それゆえに悲哀はじわじわと、こちらの胸に迫る。
孤独になった老人をロングショットで捉えたラストカットは哀愁胸に迫る。
淡々と進むストーリーだが、人間ドラマとして実によく出来た映画だ。和風である
が、これが日本の映画なんだなあ、って優しい気分になる。美しい日本が
そこにある。俳優たちの日本語の美しいこと。名手川又昂が撮影助手をしている
のが時代を感じさせます。
なお、この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2007-03-24 02:10 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

清作の妻

●「清作の妻」
1965 日本・松竹映画 93分
監督:増村保造 製作:永田雅一 脚本:新藤兼人 撮影:秋野友宏
出演:若尾文子、田村高廣、成田三樹夫、紺野ユカ、殿山泰司ほか。

日清戦争と日露戦争の頃。地方の農村で起きた事件を通して、
増村監督は何を言いたかったのだろうか。製作は昭和40年だ。

清作が日清戦争から帰ってきた。彼は模範兵で軍隊から表彰を受ける
ほどのまじめ青年。村が怠惰に流れてると観て、軍隊の給料を
貯金して、釣鐘を作り、毎朝早く、村中に響く音を立てて、住民を起す。
自らも畑にでて、農作に精を出す。

一方、街の旦那の囲われものだった「おかね」は、旦那が風呂場で
頓死してしまったことから、1000円という大金を貰って、母と故郷へ
帰ってきた。周りからは白い目で見られている。

そんなおかねに、まじめは清作は惚れてしまう。もちろん、おかねも。
二人で暮らす生活は続かず、今度は日露戦争が勃発。清作は
召集される。しかし、2年で怪我をして後送となり、家に帰ってくる。
まじめな清作は、傷が治ればまた戦場に行く、と主張、村人は
「こんどこそは戦死して来い」と声を掛ける。
もう、離れたくないおかねは、出発壮行会の席で、五寸釘で清作の両目を
潰してしまう。村人にリンチ同然にされるおかね。警察に突き出された。
最初、兵役逃れの自作自演か、と疑われたが、戦場に行くことは無かった。
おかねの行動に激怒した清作だったが、懲役2年の刑期を終えて出所した
おかねは、清作の元に帰り、一生かけて罪を償いますから、殺そうと
どうしようと、好きにしてくださいと申し出る。
すでに怒りも静まっていた清作は、おかねをそばに置くことにする。

明治時代の閉塞した農村と戦争。いつも衆人環視の中に居る男と女。
戦死してしまうくらいなら、目を潰しても自分のそばに置きたいと思った
おかねの心情は、空恐ろしいくらいの激情だ。明治時代だからこそ、
だろう。安倍定事件を思い出した。
目を潰され全盲になった清作も、結局おかねを許すわけだが、これも
私にしてみれば不可解だ。そんなに安気なものでもあるまいに。
しかし、当時の農村の閉鎖的な封建的な暴力的な環境は良く表現できて
いたのではないか?若尾文子が良かったです。

増村監督という人、こんな映画を撮っていたと思うと、その後、
テレビの世界にも進出、「ザ・ガードマン」や、堀ちえみの「スチュワーデス
物語」の脚本を書いたりしているのですね。振幅の激しい多作な人です。
尚この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2006-09-03 16:21 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

日本の夜と霧

●「日本の夜と霧」
1960 日本 松竹 107分
監督:大島渚、製作:池田富雄、脚本:大島渚、石堂淑朗、撮影:川又昴
出演:桑野みゆき、津川雅彦、小山明子、渡辺文雄、芥川比呂志ほか。

最近、こんなにイデオロギー臭い映画を観たことがなかった。あまりにも
直接的な共産党批判や礼賛、「破防法」や「安保体制」を巡る思想の
激突。これじゃ、4日で上映禁止、大島渚が松竹を飛び出すハズだ。

大島は京大で学生運動に深くかかわっていたことがあるので、自らの
総括として書いた、とも云われる。これで芸術祭に参加したんだから
大した度胸だ。

全編に流れる「若者よ~、体を鍛えておけぇ~」というコミンテルンの歌
ですか?
大学の寮に生活する学生運動家たち。それぞれのスタンスの思想を
抱えながら、体制に批判的である。その温度差がさまざまな軋轢を産む。
まず渡辺と桑野の結婚式のシーンからスタート。それが、思想をぶつけ
あい、イデオロギーで相手を罵倒する修羅場と化していく。
そんな中で、樺美智子死亡事件が起きる。そして、寮に警察のスパイと
いう男が忍び込み、捕らえられる。
口先ばかりでアジる男、カラ元気なだけの男、日和見の男、穏健派、
武闘派さまざま入り乱れて、ある意味青春が描かれていく。
「破防法が制定されてしまうと、また戦前に戻るような気がするのだが」と
のセリフは、破防法を別な言葉に入れ替えると今でも十分通用する。

津川や渡辺、小山らの俳優以外の学生役が、カミカミだったりするのだが
それが、変にリアリティをかもしだしていている。大島の狙いなんだろう。
それと昭和35年の時代の雰囲気を判っていないと、今の若い人には
理解が難しかろう。昔の大学生って、こんな感じでもあったのだよなあ。
それにしても、珍作ではある。川又昴の長回しの映像が独特の味付け
になっている。
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by jazzyoba0083 | 2006-08-28 23:13 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

その男、凶暴につき

●「その男、凶暴につき」
1989 日本 松竹 103分
監督:北野武、監修:黒井和男、製作:奥山和由、脚本:野沢尚
出演:ビートたけし、白竜、川上麻衣子、佐野史郎、芦川誠ほか。

いまや、伝説になってしまった感のある北野武監督第1回作品。
北野監督の今日まで続く、虚無の暴力の原点。
初め、深作欣二監督がメガフォンを取る予定だったが、都合で
折り合いがつかず、たけしが監督をすることになったのだが、
野沢台本に注文つけまくり、製作の奥山和由とも意見の対立が
あったとか。奥山はこの直後に撮る「RANPO」でも、黛りんたろう
作品を自ら監督をして作り変えてしまったりしている。

東京のある警察署の刑事、吾妻は、トラブルの多い問題児。
そんな彼が、新人の菊池刑事と共に、麻薬組織に迫る。
吾妻の妹は少し精神がおかしいのだが、組織のチンピラたちが
彼女を誘拐しクスリを打ち輪姦していしまったことから
吾妻の暴力性が加速される。
見所は吾妻の対極に位置づけらる白竜が演ずる清弘という
ヤクザ。こいつも狂気を含んだ男で、たけしの狂気と対峙する。

映画全体としては、荒っぽいつくりで、スプラッタか、と思うほど
血が飛び、暴力が荒れ狂う。
どこか、この暴力を見ながらカタルシスを感じているのは人間は
深いところで、暴力性をこらえにこらえて生きているのだな、と
共感を覚えるからか。たけしの作品は「血と骨」以外に観ていないが、
多分、どの映画も、暴力描写から伝わるものは同じじゃないか、と
感じる。完成度は、随分あがっているけど。
最後に、白竜に撃たれまくっても倒れないたけし。日本映画だなあ。
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by jazzyoba0083 | 2006-08-05 01:20 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)