カテゴリ:邦画・旧作( 52 )

日本の夜と霧

●「日本の夜と霧」
1960 日本 松竹 107分
監督:大島渚、製作:池田富雄、脚本:大島渚、石堂淑朗、撮影:川又昴
出演:桑野みゆき、津川雅彦、小山明子、渡辺文雄、芥川比呂志ほか。

最近、こんなにイデオロギー臭い映画を観たことがなかった。あまりにも
直接的な共産党批判や礼賛、「破防法」や「安保体制」を巡る思想の
激突。これじゃ、4日で上映禁止、大島渚が松竹を飛び出すハズだ。

大島は京大で学生運動に深くかかわっていたことがあるので、自らの
総括として書いた、とも云われる。これで芸術祭に参加したんだから
大した度胸だ。

全編に流れる「若者よ~、体を鍛えておけぇ~」というコミンテルンの歌
ですか?
大学の寮に生活する学生運動家たち。それぞれのスタンスの思想を
抱えながら、体制に批判的である。その温度差がさまざまな軋轢を産む。
まず渡辺と桑野の結婚式のシーンからスタート。それが、思想をぶつけ
あい、イデオロギーで相手を罵倒する修羅場と化していく。
そんな中で、樺美智子死亡事件が起きる。そして、寮に警察のスパイと
いう男が忍び込み、捕らえられる。
口先ばかりでアジる男、カラ元気なだけの男、日和見の男、穏健派、
武闘派さまざま入り乱れて、ある意味青春が描かれていく。
「破防法が制定されてしまうと、また戦前に戻るような気がするのだが」と
のセリフは、破防法を別な言葉に入れ替えると今でも十分通用する。

津川や渡辺、小山らの俳優以外の学生役が、カミカミだったりするのだが
それが、変にリアリティをかもしだしていている。大島の狙いなんだろう。
それと昭和35年の時代の雰囲気を判っていないと、今の若い人には
理解が難しかろう。昔の大学生って、こんな感じでもあったのだよなあ。
それにしても、珍作ではある。川又昴の長回しの映像が独特の味付け
になっている。
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by jazzyoba0083 | 2006-08-28 23:13 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

その男、凶暴につき

●「その男、凶暴につき」
1989 日本 松竹 103分
監督:北野武、監修:黒井和男、製作:奥山和由、脚本:野沢尚
出演:ビートたけし、白竜、川上麻衣子、佐野史郎、芦川誠ほか。

いまや、伝説になってしまった感のある北野武監督第1回作品。
北野監督の今日まで続く、虚無の暴力の原点。
初め、深作欣二監督がメガフォンを取る予定だったが、都合で
折り合いがつかず、たけしが監督をすることになったのだが、
野沢台本に注文つけまくり、製作の奥山和由とも意見の対立が
あったとか。奥山はこの直後に撮る「RANPO」でも、黛りんたろう
作品を自ら監督をして作り変えてしまったりしている。

東京のある警察署の刑事、吾妻は、トラブルの多い問題児。
そんな彼が、新人の菊池刑事と共に、麻薬組織に迫る。
吾妻の妹は少し精神がおかしいのだが、組織のチンピラたちが
彼女を誘拐しクスリを打ち輪姦していしまったことから
吾妻の暴力性が加速される。
見所は吾妻の対極に位置づけらる白竜が演ずる清弘という
ヤクザ。こいつも狂気を含んだ男で、たけしの狂気と対峙する。

映画全体としては、荒っぽいつくりで、スプラッタか、と思うほど
血が飛び、暴力が荒れ狂う。
どこか、この暴力を見ながらカタルシスを感じているのは人間は
深いところで、暴力性をこらえにこらえて生きているのだな、と
共感を覚えるからか。たけしの作品は「血と骨」以外に観ていないが、
多分、どの映画も、暴力描写から伝わるものは同じじゃないか、と
感じる。完成度は、随分あがっているけど。
最後に、白竜に撃たれまくっても倒れないたけし。日本映画だなあ。
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by jazzyoba0083 | 2006-08-05 01:20 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)