カテゴリ:邦画・新作( 81 )

永遠の0

●「永遠の0」
2013 日本 東宝,Amuse,ROBOT、制作委員会  144分
監督・脚本:山崎貴
出演:岡田准一、三浦春馬、井上真央、吹石一恵、夏八木勲、橋爪功、平幹二朗、濱田岳、風吹ジュン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
原作をとても面白く読んだので、山崎貴はどう物語を折りたたむのだろうか、と興味があり
一方で、原作の良さをどう出すのだろうか、という怖さもあった。
しかし、144分を長く感じさせず、「ALWAYS三丁目の夕日」以来のVFXを担当している「白組」の
素晴らしい画像が相まって、質の高い邦画が出来上がった。

年末の公開からずっとナンバーワンヒットとなっていて、私は時間の長さに恐れをなして
今日まで未見であった。3連休最終日、シネコンの大きな小屋は世代を超えて混んでいた。

あちらこちらですすり泣く音が聞こえたが、その涙、その感動が、願わくば「戦争の不条理」
「旧日本軍の馬鹿さ加減」の理解に結びついて欲しいと祈らずにはいられなかった。
特に若人たちに。夏八木勲、渾身の遺作となった。非常に重要な役をいい味と存在感を
出していた。

結局山崎監督は、所詮詳細に説明しても難しい戦局についてのインタビュー内容を端折り、
原作よりもエンディング部分を長くすることによって、人間ドラマとしての厚みを獲得させたと
いうことだ。 それにより、いささかのお涙頂戴になったうらみがなしとはしない。
原作にはない、松乃と清子に会いに行くシーンも全く不自然になっておらず、むしろ逆に
松乃の「あの人は約束を守った」というセリフに感動的に結びついている。
また原作では姉と婚約寸前である編集者の間の「特攻は自爆テロ」論争をカットし
三浦春馬の同級生たちとの飲み会でのやりとりに集約している。
ミステリー的要素ももった原作の味わいもきちんとトレース出来ている。

基本、人間愛を描いたわけだが、「戦争の不条理」を是非に感じ取っても貰いたいのだ。

当時の映像を一切排したのも潔かった。すべてVFXと実物そっくりに作り上げた21型
ゼロ戦の生み出す画像は、ハリウッドに対抗できる質を獲得していた。

キャストはもう岡田准一、かっこ良すぎ!いい俳優だなあ。ラスト近く三浦春馬の頭上を
飛び去る幻の姿はカッコ良すぎだろう!! 三浦春馬がちょいと味が薄かったかなあ。
橋爪功、夏八木勲、田中泯、山本學、平幹二朗らの演じた元軍人たちはいずれも圧倒的。
特に橋爪と夏八木、田中が素晴らしいと感じた。 井上真央は可もなく不可もなし。まあまあ。

まだ原作を読んでいない人は、映画を見てから原作を読んだほうがいいかもしれない。
原作は、南方での作戦の詳細が語られるので特に女性や若い人はわかりづらいかもしれない。
作者、百田は、ゼロ戦バンザイ!と単純に言いたかったわけではないと思う。それはゼロ戦の
人命無視の設計、南方でのむちゃくちゃな作戦、(作者はこれがゼロ戦が優秀だから故に
出来てしまった悲劇と言いたげでもあるが)、そして狂気の特攻。映画でも「あんなもの作戦では
ない」等と言わせている。 宮部少尉が愛する人がいるから絶対に死なないんだ、といいつつ
特攻を志願し、死んでいった謎は結局原作でも明らかではないのだが、体制派作家とも
目される原作者の本作は、私には「反戦小説」と映り、映画も「戦争はダメだよ」と語っていると
受け止めたのだった。

しかし、映像の持つ力は強い。私も何度かうるうる来てしまった。原作ではそんなことなかった
のに。
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放送作家として活躍する一方、小説でもヒットを連発する百田尚樹のデビュー作にして
一大ベストセラーとなった同名小説を「ALWAYS 三丁目の夕日」の山崎貴監督が
映画化した戦争ドラマ。現代の青年が、零戦パイロットだった祖父の戦死の謎を
調べようとかつての戦友のもとを訪ね歩く中で、戦争の不条理と向き合っていく姿を描く。
出演は零戦パイロットの青年・宮部久蔵に岡田准一、その妻・松乃に井上真央、そして
2人の孫で調査を進める青年・佐伯健太郎に三浦春馬。
 
司法試験に落ちて進路に迷う青年、佐伯健太郎。ある日、今の祖父とは血のつながりが
なく、血縁上の祖父が別にいることを知る。その実の祖父の名は、宮部久蔵。
太平洋戦争で零戦パイロットとして戦い、終戦直前に特攻出撃により戦死していた。
そこで宮部について調べ始めてみると、かつての戦友はみな口を揃えて宮部を臆病者と
非難した。天才的な操縦技術を持ちながら、生きて還ることに執着した腰抜けだと
言うのだった。にもかかわらず、なぜ宮部は特攻に志願したのか。
やがて、ついに宮部の最期を知る人物に辿り着く健太郎だが…。」(allcinema)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-01-13 17:35 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

かぞくのくに

●「かぞくのくに」
2011 日本 スターサンズ 100分
監督・脚本:ヤン・ヨンヒ
出演:安藤サクラ、井浦新、ヤン・イクチョン、京野ことみ、大森立嗣、村上淳、宮崎美子他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
公開年度のキネ旬邦画ベスト1、毎日映画コンクール、ブルーリボンなど賞を総なめに
した作品。過去に2本のドキュメンタリーを撮った監督が、ドキュメンタリーでは撮りきれない
世界をフィクションで表現したかったに違いない。それが良く分かったし、崔洋一監督や
李鳳宇がプロデュースする井筒和幸作品のような在日を描く作品とは感じがまた違う、
ほんとにドキュメンタリーを見ているんじゃないかと思われる出来上がりとなっている。

奥田英二の娘、安藤サクラの出世作ともなった作品であるが、確かに彼女の演技、
存在感は新人レベルではないものを醸し出していた。美人でないのがいいし、この
映画のだれもがそうだが、演技臭さが感じられないのもいい。

一番心に残ったのは、オッパの監視役の男に妹が「あんたの国なんか大嫌いだ」と
迫るシーンで、その男いわく「オッパもあの国で生きていくんだ。私も死ぬまであの
国で生きていくんだ」。 嫌でもなんでも、あの国で諦めて生きていくしか方法のない
人たちの諦観、絶望感のようなものがハッと感じられた。

在日朝鮮人一家の周辺に起きた諸問題が一気に噴き出たような作品だが、描く
ところは淡々と、しかし力強い。ラスト、タクシーに乗って去っていく兄の腕を離さない
妹。兄は何を思ってその腕を振り切ったのだろうか。父の弟は生きてさえいれば
なんとかなる、と声をかけたが、オッパは「もう死んだものと思ってくれ」とどこかで
思っていたに違いない。お土産に買ったサッカーボールが高価なものでないのが
また泣かせる・・・。
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<ストーリー>
「『ディア・ピョンヤン』のヤン・ヨンヒ監督が自身の体験を基に描く、初のフィクション作
となるヒューマンドラマ。
病気の治療のために25年ぶりに日本に帰ってきた兄と、妹や家族、そして昔の仲間
たちとの再会を通し、それぞれの思想や価値観の違いなどが描かれる。
ARATAから本名に改名した井浦新が複雑な境遇に苦悩する兄役を好演する。

1970年代に帰国事業により北朝鮮へと渡った兄。日本との国交が樹立されていない
ため、ずっと別れ別れになっていた兄。そんな兄・ソンホ(井浦新)が病気治療のために、
監視役(ヤン・イクチュン)を同行させての3ヶ月間だけの日本帰国が許された。

25年ぶりに帰ってきた兄と生まれたときから自由に育ったリエ(安藤サクラ)、兄を送った
両親との家族だんらんは、微妙な空気に包まれていた。兄のかつての級友たちは、
奇跡的な再会を喜んでいた。その一方、検査結果はあまり芳しいものではなく、医者から
3ヶ月という限られた期間では責任を持って治療することはできないと告げられる。
なんとか手立てはないかと奔走するリエたち。そんな中、本国から兄に、明日帰還するよう
電話がかかってくる……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-11-25 23:20 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「それでもボクはやってない」
2007 日本 フジテレビ・東宝 143分
監督・脚本:周防正行
出演:加瀬亮、役所広司、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ、田中哲司、光石研、尾美としのり
    大森南朋、小日向文世、高橋長英ほか。
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
どこかでハッピーエンドを期待した人も多いと思うが、タイトル通りの結末になるのが
この映画の魅力ではある。日本の検事警察機構、裁判法曹界の暗部を痴漢事件という
些細な風に見える事件を通してその不条理とともに描く。とにかく脚本が良く調べて
良く書かれている。本が面白いと、映画が面白い(もちろん監督も配役も大切では
あるが)という見本のような映画だ。鑑賞者は、映画に中に入り、いらいらし怒り、期待し
裏切られ、驚き、同情する。

主役の加瀬亮が、そこいらにいるチャランポランなフリーター(だけど、自分はやってないと
曲げない勇気は持っている。虚仮の一念ともいうが・・・)を好演。
面会に来た母親に対し「自分の息子を信じないでどうするよ」という彼に対し「お前だから
信じられんのじゃないか」と思わず本音を吐いてしま母親のセリフに、そもそもこの物語の
仕掛けられた危うさがある。

出鱈目な警察、うかつな当番弁護士、出世しか見えてない無罪を出したくない裁判官、
起訴したからには有罪にしないと済まないメンツまみれの検察と、よく取材された構成で
まるでドキュメンタリーでも見ているような感じのリアリティで進んでいく。
また演者たちのセリフも、ナチュラルに振られているので、余計にリアリティを含む。

裁判を通して明らかにされる冤罪の仕組み、最後の判決文に散りばめられた裁判官の
独善的判断。被告の青年が心で言う。真実は1つ。「あなたは今間違いを犯しましたよ」。
唯一のカタルシスであったが、それさえ形骸化された有罪判決に中に消えてい行く。
たとえ「控訴します」と言われてもだ。

周防組としては役所のポジションはあそこしかなかったのだろうな。小日向は良かった。
田中哲司も良かった。ただ、山本耕史と瀬戸朝香(相変わらず舌の回りがおかしい)は
微妙だった。
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<ストーリー>
「「シコふんじゃった。」「Shall we ダンス?」の周防正行監督が、
ある“痴漢冤罪事件”を報じる記事に関心を持ち取材を進める過程で、現在の
刑事裁判のあり方そのものに疑問を抱き、その問題点に真正面から向き合った
異色の社会派ドラマ。ある青年が身に覚えのない痴漢容疑で逮捕され、
その後1年にわたる裁判を経験する姿を通して、刑事裁判の実情を克明に描き
出していく。凶悪犯罪が連日のように報じられ社会不安が高まる中で、刑事手続き
における“推定無罪”の原則が揺らぎ始めている現代社会に一石を投じる力作。」
(allcinema)

「就職活動中の金子徹平(加瀬亮)は、会社面接に向かう満員電車で痴漢に間違えら
れて、現行犯逮捕されてしまった。徹平は警察署での取調べで容疑を否認し無実を
主張するが、担当刑事に自白を迫られ、結局拘留されてしまうことになる。

さらに検察庁での担当副検事の取調べでも無実は認められず、ついに起訴されて
しまった。徹平の弁護に当たるのはベテラン弁護士・荒川(役所広司)と、新米弁護士・
須藤(瀬戸朝香)だ。徹平の母・豊子(もたいまさこ)や友人・達雄(山本耕史)たちも
徹平の無罪を信じて動き始めた。

やはり痴漢冤罪事件の経験者で今でも自分の無罪を訴え続けている佐田(光石研)も
協力を惜しまないと言う。一同はまず事件当時、徹平のことを「犯人ではない」と駅員に
証言した女性を探そうとするが、見つからなかった。

そんな中、ついに徹平の裁判が始まる。幸運なことにこの裁判は、公平な判決を下す
ことで有名な裁判長が担当することになった。そして荒川たちの追及によって明らかに
されていく警察の杜撰な捜査内容。一見状況は徹平側に有利に進んでいるように見えた。
しかし、途中で裁判長が交代することになり、俄かに雲行きは怪しくなっていく。

何といっても刑事事件で起訴された場合、裁判での有罪率は99.9%と言われているのだ。
そんな時、事件の目撃者の女性が見つかり、裁判で証言をすることになった。
さらに弁護側は、実際の現場状況を再現したビデオを作って提出するなど、徹平の無実を
勝ち取るためにあらゆる努力を尽くしたのだった。
しかし、判決結果は有罪。落胆する徹平たち。しかし、判決を聞きながら徹平は、
裁判所がとりあえずの判決を下す場所でしかないことを悟る。
そして、自分は絶対に無実だという真実を、これからも主張していくしかないという決意を
抱くのだった。弁護側は判決を不服として控訴した。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2013-09-03 23:58 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

小川の辺 

●「小川の辺」
2011 日本 東映作品 104分
監督:篠原哲雄  原作:藤沢周平「小川の辺」
出演:東山紀之、菊地凜子、勝地涼、片岡愛之助、尾野真千子、松原智恵子、藤竜也、笹野高史ほか

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
藤沢周平の一連の海坂藩もの。山田洋次作品とまでは言わないが、割とよく出来ていた
と思う。藤沢=海坂藩もののお約束である、田園の美しい光景、カット割り、アングルなども
上手かったと思う。が、しかし、藤沢仇討作品はもうたくさん見てきたので、その割には
あっさりだったなと。まあ原作があるので仕方がないといえばそればまでだが、
上意討ちからエンディングに至るまでも、あれあれ、まあ良かったじゃないの、てな塩梅で
淡々と進んでしまう。ちなみに本作には東北弁は一切出てこない。

嫁いだ妹の旦那、やったことは悪いことではなく、やり方がまずかっただけで上意討ち
となり、討ち手として選ばれたのが妹の兄。 武士というものはそういうものかも知れ
ないけれど、討つ方も討たれる方も、もう少し悶々としてもいいのに、と感じた。

キャスティング、東山紀之は歳を重ねていい感じ。どなたかも書いていたが、菊地凜子は
武士の妻として今一つフィットしていなかったような感じだ。
片岡愛之助、討たれる役だが、実は正義の人で、やり方が悪かった。そのあたり表情の
演技が良かった。

音楽が富田勲風で、逆に耳に付いた。悪いメロディーではないんだけどね。

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<ストーリー>
「海坂藩士、戌井朔之助(東山紀之)は直心流の使い手としての腕を買われて、
家老の助川権之丞(笹野高史)から、ある藩命を受ける。それは、親友である
佐久間森衛(片岡愛之助)を討つことだった。
藩主への上書によって藩の農政を痛烈に批判した佐久間は、謹慎処分を受けた後、
妻の田鶴(菊地凛子)を連れて脱藩していたのだ。

朔之助が受けた藩命は、佐久間に対する裁きだった。民を想って正論を訴えた友を
斬らねばならないのか……。朔之助の心は揺れる。しかも佐久間の妻、田鶴は
朔之助の妹。幼い頃から負けん気が強く、自身も直心流の使い手である田鶴は、
武士の妻として手向かってくるに違いなかった。

戌井家の家長である朔之助に対し、妹を斬ってでも主命に従えと諭す父の
忠左衛門(藤竜也)と、涙を流す母の以瀬(松原千恵子)。妻の幾久(尾野真千子)は
朔之助の身を案じながらも、気丈に振る舞う。

翌朝、朔之助は幼い頃から兄弟のように育ち、田鶴への想いを秘めた奉公人、
新蔵(勝地涼)とともに江戸へ向けて旅立つ。やがて見つけた佐久間の隠れ家は、
兄妹と新蔵が幼い頃に遊んだような下総の小川の辺にあった。
遂に向き合う朔之助と佐久間。幼い頃より築き上げてきた絆が、
無情にも引き裂かれようとするとき、彼らが選んだ道とは……。」(Movie Walker)

武士とは不条理なものよのう。

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by jazzyoba0083 | 2013-07-29 22:50 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

風立ちぬ

●「風立ちぬ」」
2013 東宝 スタジオジブリ作品 126分
監督・原案・脚本:宮崎駿  音楽:久石譲 主題歌:荒井由実「ひこうき雲」
声の出演:庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、スティーブン・アルパート、風間杜夫
       竹下景子、志田未来、國村隼、大竹しのぶ、野村萬斎。
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
事前に断っておきますが、私はスタジオジブリの作品のフリークではないです。
嫌いではないのですが、しっかりみたのは「となりのトトロ」と「千と千尋の神隠し」位かな。

個人的浅い感覚から言うと、お化けが出たり、白が空を飛んだり、ホウキにのった少女が
いたり、異形の人物が出てくる、など独特のジブリワールドがあるんだろう、ケレンで見せる
アニメエンターテインメントの世界があるのだろう。オリジナルに満ちて、そして見た人に
そこはかとなく愛とか勇気とかを訴えている、そんな感じをもっていました。
そうした点からすればこれまでジブリが作ったことのないリアルな純愛物語でしょう。

映画において、見方が間違うということはありえないわけで、見た人れぞれが個人で
心に感じたものを受け取れば良いわけです。そうした視点からいえば、本作
「風立ちぬ」は圧倒的な「純愛」の映画だと言い切りましょう。堀辰雄の「風立ちぬ」は
参考程度で、これに零戦を設計した堀越二郎の飛行機に憧れ熱中する青春を織り込む。

ストーリー自体は難しいこともなく、時として眠くなるようなテンポ。ただ、声を担当した
庵野秀明がとてもよいのだが、淡々と飛行機に打ち込み、であった少女と恋をし、
でも飛行機にも恋をし、二つの愛を得た青年の中から少女との愛だけが大空に消え
てしまい、飛行機は零戦として大空に羽ばたいたのだ。なんか零戦の飛翔が、結核で
早世してしまった、最愛の少女が心に描いていた堀越との夢と一緒に飛んでいるような
気がした。きっと彼女は堀越と一緒に仕事をして、飛行機を完成させたと喜んでいる
ことだろう。

あまりに直球の純愛に、自然と涙が出てきた。清々しい涙だったと思う。
日曜のシネコンの一番大きな小屋はほぼ満員。ラストで目頭をハンカチで押さえる女性が
多く見られました。「あなたは生きて・・」という菜穂子の言葉に胸熱くならない人はいない
だろう。

宮崎駿は、ポニョの次になにを思ってこの「風立ちぬ」を作ったのだろうか。
今、私たちに必要なのは、打算にかかわらない純粋な愛だ、といいたかったのだろうか。
いや、毎作、宮崎駿はそう言っているのだけれど、これだけストレートに描いたことが
なかっただけのことかもしれない。凄い映画だ、とは思わないけど、心の深いところを
ジーンと暖かくしてくれる佳作ではある。私は大好きな映画になりそうです。
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<ストーリー>
「宮崎駿監督が「崖の上のポニョ」(2008)以来5年ぶりに手がけた長編作。ゼロ戦
設計者として知られる堀越二郎と、同時代に生きた文学者・堀辰雄の人生をモデルに
生み出された主人公の青年技師・二郎が、関東大震災や経済不況に見舞われ、
やがて戦争へと突入していく1920年代という時代にいかに生きたか、その半生を描く。

幼い頃から空にあこがれを抱いて育った学生・堀越二郎は、震災の混乱の中で、少女・
菜穂子と運命な出会いを果たす。やがて飛行機設計技師として就職し、その才能を
買われた二郎は、同期の本庄らとともに技術視察でドイツや西洋諸国をまわり、見聞を
広めていく。そしてある夏、二郎は避暑休暇で訪れた山のホテルで菜穂子と再会。
やがて2人は結婚する。菜穂子は病弱で療養所暮らしも長引くが、二郎は愛する人の
存在に支えられ、新たな飛行機作りに没頭していく。
宮崎監督が模型雑誌「月刊モデルグラフィックス」で連載していた漫画が原作。
「新世紀エヴァンゲリオン」の監督として知られる庵野秀明が主人公・二郎の声優を
務めた。松任谷由美が「魔女の宅急便」以来24年ぶりにジブリ作品に主題歌を提供。」
(映画.com)

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by jazzyoba0083 | 2013-07-27 12:20 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

桐島、部活やめるってよ

●「桐島、部活やめるってよ」
2012 日本 ショウゲート、日テレ 103分
監督:吉田大八
出演:神木隆之介、橋本愛、大後寿々花、東出昌大、清水くるみ、山本美月、松岡茉優ほか
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
日本に帰る飛行機の中で「Argo」に続いて観たiTunesでiPadにダウンロードした作品。
昨年「何者」で直木賞を受賞した若手作家朝井リョウのデビュー作の映画化で日本
アカデミー賞監督、作品など5部門を受賞、面白いという評判を受けて、機内で肩の
凝らない作品を、としてチョイスした。

評価が分かれる作りであろうが、個人的にはまあ面白く観られた。ほぼ全編高校での
高校生らの生活が描かれる。非常に自然体を強調したセリフ回しが特徴で、ドキュメン
タリー風な見方も出来る。カッコよくてバレー部のリベロで活躍する桐島君は登場しない。
彼が部活を辞めるという噂が出て、実際彼がしばらく登校しないという状況の中
ある意味予定調和で進んできた高校生たちの世界にさざ波が立つ、というものだ。

こういう高校生、いるよなあ、と思わせるリアリティが面白いし、同じ時間軸の中で
様々な高校生のパーソナリティを見せていく手法もまた興味深かった。
原作を未読なので作品が何を言いたいのかが分からないけど、青春の素晴らしさ、を
真正面から描いたのではなく、斜めから見たためその雰囲気に嵌らないと良さが見えて
こないかもしれない。ラストシーンがこれでいいのか?と思えるか思えないか。
私は思えなかった口。ただ、高校生らの生き生きとした生活というものを堪能する、という
点では誠に面白くよく出来た映画だ、と思う。
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<ストーリー>
人気作家・朝井リョウのデビュー作にして第22回小説すばる新人賞受賞のベストセラー
連作短編集を、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「パーマネント野ばら」の
吉田大八監督で映画化した青春群像ドラマ。
バレー部のエース桐島が突然退部したというニュースに騒然となるとある高校を舞台に、
生徒たちの間に動揺が拡がる中で次第に浮き彫りになっていく学園内の複雑な
人間関係を、“不在の桐島”に振り回される人物それぞれの視点から重層的に
描き出していく。
主演は「遠くの空に消えた」「劇場版 SPEC~天~」の神木隆之介、共演に「告白」の
橋本愛と「女の子ものがたり」の大後寿々花。
 
 金曜日の放課後。バレー部ではキャプテンを務め、成績も優秀な学園の“スター”
桐島が、突然退部したらしいとの噂が校内を駆け巡る。学内ヒエラルキーの頂点に
君臨する桐島を巡って、バレー部の部員はもちろん、同じように“上”に属する生徒たち―
―いつもバスケをしながら親友である桐島の帰りを待つ菊池宏樹たち帰宅部の
イケメン・グループ、桐島の恋人で校内一の美人・梨沙率いる美女グループ―
―にも動揺が拡がる。
さらにその影響は、菊池への秘めたる想いに苦しむ吹奏楽部の沢島亜矢や、
コンクールのための作品製作に奮闘する映画部の前田涼也ら、桐島とは無縁だった
“下”の生徒たちにも及んでいくのだが…。(allcinema)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-04-27 12:30 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

フィッシュストーリー

●「フィッシュストーリー」
2009 日本 ショウゲート、スモーク、ダブ、Amuse Entertainment.112分
監督:中村義洋
出演:伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、濱田岳、大森南朋、森山未來、石丸健二郎他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
★は6,5。新潮社の文庫本紹介にも「伊坂流ほら話」と記されているとおり、「ほら話」=
「フィッシュストーリー」である。なので、その手の内容が好きでなかったり、伊坂的
世界観を理解できなかったりする人が見る作品ではない。私は伊坂作品が大好きなので
映画も観るが(映画館には行かないけど)、彼の空気感を映像化するのは大変だと
思う。『アヒルと鴨のコインロッカー』で伊坂に気に入られその後、何作か彼の作品を
手掛けることになるのだ。これはその2作目。出来としては前作の方が好きだ。

作品のテイストが違うので、「彗星が地球にぶつかる5時間前」「決死の宇宙飛行士部隊
が、彗星の破壊に、向う」などという、ぶっ飛んだ設定での映像化は難しかったと思う。
伊坂的世界観の匂いはかなりガンバって良く出せていたんではないか。
今回WOWOWでの放送を見たのだが、そこでの濱田との対談で、中村は「オムニバスと
して鑑賞してもらえば良い」と言っていた。が、それでは済まないのがこの映画である。

伊坂+中村監督+斉藤和義+大森南朋、濱田岳といういつもの座組みに今回は正義の
味方として森山未來、地球を救う数学者に多部未華子を配した。
1976年から、いくつかの時代のエピソードを繋げながら、結局は、一見関係なさそうな
人間関係が、ラストに向かって全て繋がってくるのが痛快である。

彗星激突まであと5時間となったある街のレコード店。パンクバンド「逆鱗」の
「フィッシュストーリー」という曲が流れる。そこに現れる謎の男。

伊藤淳史率いるパンクバンド、伊藤が大森南朋からもらった「フィッシュストーリー」
という本の巻頭に「僕の孤独が魚だったら、巨大さと獰猛さに鯨でさえ逃げ出す」
という文章が物語の1つのコア、その曲の無音部分の由来、パシリとしていいように
使われる濱田青年の恋、シージャックに出くわすフェリーの女子高生と正義の味方、
そしてバンドのメンバーやレコード会社ディレクターのあれこれが一つのお話に
収斂されていく。

原作をほとんど忘れていたので、映画はそれなりに楽しめた。ばかばかしいけど別に
難しくもないので、見た人は楽しめばいいし、ラストはハッピーエンディングだし。

空の燃える?彗星がチャチだったのは残念。もう少し何とかならなかったか。
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<プロダクションノート&ストーリー>
『アヒルと鴨のコインロッカー』に続き、伊坂幸太郎の原作を中村義洋が監督した
ユーモラスでそう快な人間ドラマ。1970年代に活動した売れないパンクバンドの
一曲を中心に、とりどりの登場人物が交錯しやがて地球の滅亡をも救う、時空を
超えた奇想天外なストーリー。
伊藤淳史、高良健吾、渋川清彦の実力派若手俳優に、ロックバンド・Drive Farの
大川内利充が加わり、バンドメンバーを熱演。ロックシンガーの斉藤和義が担当した
音楽にも注目だ。
<シネマトゥデイ>

1975年、鳴かず飛ばずのパンクバンド“逆鱗”のメンバー4人(伊藤敦史、高良健吾、
渋川清彦、大川内利充)は、解散前最後のレコーディングに挑んでいた。
そしてときは超え、地球の滅亡まで数時間に迫った2012年、営業を続ける一軒の
レコード店から“逆鱗”のあの一曲、「FISH STORY」が流れ始め……。
<シネマトゥデイ>

「中古レコード店が登場する2012年のオープニングから「世界の終わり」とか
「彗星の衝突まであと5時間」とか、これはSFか!?と思うような言葉が飛びかう。
それは1982年の気の弱い大学生の自分探し、99年の世界の終わりの予言、
さらに75年に解散したバンド〈逆鱗〉の話になり、09年のシージャックへと展開して
いく。5つの時代のエピソードが交錯し時系列が自由に飛ぶので、着地点が
なかなか見えてこないのがおもしろい。

作品タイトルで〈ホラ話〉と手の内を見せてはいても、伊坂幸太郎原作だから
普通で終わるはずもないのだ。  時代をつなくキーワードは、〈逆鱗〉が最後に
レコーデイングした「FISH STORY」だ。この曲の無音部分をめぐっていろいろな
解釈や想像があり、他の時代のキャラクターが耳にする。〈逆鱗〉は「この時代で
届かなかった想いが、時空をこえてつながっていく」と演奏し、それが作品の
テーマになっている。ジクソーパズルのように最後の最後に各エピソードがピタッと
はまると、その腑に落ちかたが爽快で「見てよかった」と思う。
監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」で伊坂に絶賛された中村義洋。
彼が手がけた「ジェネラル・ルージュの凱旋」がメジャー仕様の娯楽作だとすると、
これはインディペンデント仕様の映画と音楽フリークのための快作になっている。」
(おかむら良)(映画.com)

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by jazzyoba0083 | 2013-03-24 23:00 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

ポテチ

●「ポテチ」
2012 日本 ショウゲート 製作委員会(河北新報、東日本放送他)、スモーク+ダブ。68分
監督:中村義洋    原作:伊坂幸太郎
出演:濱田岳、木村文乃、中村大樹、中村茉優、桜金造、大森南朋、石田えり、中村義洋ほか。
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
これまでも伊坂作品を作ってきた中村義洋。伊坂=中村=斉藤和義=濱田岳・
大森南朋という流れが出来てきた感じ。中村監督は、独特の雰囲気を持つ伊坂
ワールドの雰囲気を割と壊さず映画化出来る人だ、と思っている。伊坂氏の
書籍は大体読んでいるので、それは
これまでの映画を見てきてもそう思うのだ。ただ、やっぱりどこか違和感は付き
まとうけど。この後見た「フィッシュ・ストーリー」なんかは別作品と見たほうが
いいかもしれない。テイストは出ていた、と思うけど。

さて、本作は68分という掌編である。中村監督が東日本大大震災の後、被災地に
エールを送る意味も含めての製作となった。スマートな泥棒と、プロ野球選手の
赤ちゃん取り違え事件の話。
なんといってもデビュー間もない木村文乃が良かった。存在感があるなあと。
下手にテレビドラマなんかに出て消耗してもらいたくない女優さんだ。
運命の交錯という伊坂ワールド得意の世界の雰囲気は良かったと思うけど、
映画としての出来はどうか、といわれると、う~ん、となってしまうなあ。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「『アヒルと鴨のコインロッカー』『ゴールデンスランバー』など、仙台を舞台とした
作品を世に送り出してきた原作:伊坂幸太郎&監督:中村義洋のコンビで贈る本作は、
中短編集「フィッシュストーリー」に収められた同名作を映画化した68分の中編だ。
震災後すぐに企画が動き出し、仙台でオールロケが敢行された。
プロ野球のスター選手と、彼に特別な思いを寄せる平凡な青年─実は同じ年、同じ日に
生まれた二人の奇妙な繋がり、彼らを取り巻く人たちの強い絆が、独特の語り口で
綴られていく。伊坂&中村作品の常連、“いい人”を演じさせたら一級品の濱田岳が
本作でも主人公の心優しい青年を演じ、魅力を振りまいている。

今村(濱田岳)と若葉(木村文乃)の出会いはビルの屋上だった。そのきっかけと
なったのは、一本の電話。2人が出会う少し前、ビルの屋上から飛び降り自殺をしようと
していた若葉は、死ぬ前に恋人に電話をかけた。ところが、留守電に吹き込まれた
メッセージを聞いていたのは、彼女の恋人の家に空き巣に入っていた今村とそのボス。

“これから死ぬ”という彼女を放っておくことができず、今村は“キリンに乗っていくから!”と、
わけのわからない言葉を発して、若葉のいるビルへ向かったのだ。これによって自殺を
思い止まった彼女は、今村と同棲を始める。

ある日、今村の空き巣の仕事を見てみたいと同行する若葉。忍び込んだマンションの
一室は、プロ野球選手の尾崎の部屋だったが、今村は野球漫画を読んだり、ソファで
くつろいだり、何かを盗む様子は全くない。若葉が金目のものを見つけて帰ろうと促して
もなかなか動かない。と、そこへ電話のベルが鳴り、家主の尾崎に助けを求める
メッセージが。若葉と出会ったときと似ている、と今回も放っておけなくなった今村は、
メッセージを残した女の元へ向かう。

尾崎の代理で助けに向かった今村と若葉だったが、そこには思わぬ出来事が待っていた
……。意外な事実を知って腹を立てた今村と若葉は、帰り道にポテトチップスを買い、
車の中で食べる。その時の若葉の“コンソメ食べたい気分だったけど、塩味もいいもん
だね。間違ってもらって、かえって良かったかも”という何気ない言葉に、泣きじゃくる今村。

なぜ、彼は泣いたのか?そもそも、なぜ、今村は尾崎に執着するのか?すべての理由は
26年前、2人の赤ん坊が生まれたあの日に遡り……。若葉は、今村が憧れる兄貴分の
黒澤(大森南朋)からある事実を聞かされる。 」(goo映画)

尾崎宅に電話をかけてきた女は美人局であり、背後にいた若い男をボコボコニする。
さらに仙醍キングスの監督を脅し、尾崎を代打に送り込ませる。みんなで応援するなか
驚きの代打尾崎は、起死回生のホームランをかっ飛ばすのだった。

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by jazzyoba0083 | 2013-03-19 22:30 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」
2011 日本 松竹 製作委員会(テレ東系) 123分
監督:蔵方政俊
出演:三浦友和、余貴美子、小池栄子、中尾明慶、吉行和子、塚本高史、岩松了、西村雅彦他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
頑張れ!日本映画! 前作がとても良かったな、という記憶があるので、本作は
残念だった。鉄道は背景であり、主役ではない。定年間近の運転士と、自分の
人生を見つけたいと願う妻の話である。美しい富山の風景だけが記憶に残った。
個人的にはシンパシーを感じるシーンもあったのだが、物語が総じて薄っぺらだ。
その割には上映時間が長すぎ。電車運転のシーンはどうやって撮ったのかなとは
思ったけれど。

三浦友和、肩に力が入り過ぎだ。長編初監督の演技指導やいかばかりだったか。

「定年」「末期がん」「赤ちゃん誕生」「事件」という想定も今さらなんだかなあだし、
一度離婚した夫婦、また後でくっつくんだろうなあ、とは想像がついてしまう。
仁科亜希子の登場は何だったのだろうか?

このシリーズ、地方の鉄道をネタに続くのだろか。ならばもう少し脚本を何とかしないと
ただの観光映画(あるいは地元振興)になっちゃうよ。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「ローカル私鉄を舞台にした人生模様を描く“レイルウェイズ”シリーズ第2弾。
舞台を富山県に移し(今回取り上げられたのは富山地方鉄道)、定年退職間近の
運転士とその妻の“第2の人生”への分岐点を、同僚や部下など周りの人々の人生を
交差させながら描く感動作だ。
そばにいるのが当たり前すぎて、本当の気持ちを言葉に出来ない夫婦を三浦友和と
余貴美子が好演。シリーズ前作のチーフ助監督を務めた蔵方政俊が本作で監督
デビューを飾り、人生の過渡期で自分を見つめなおす夫婦をめぐる人間模様を、
細やかに描き出した。雄大な立山連峰を望みながら、緑豊かな田園風景が展開する
富山地方鉄道の沿線風景もまた見どころのひとつだ。


滝島徹(三浦友和)は鉄道運転士として仕事一筋の日々を過ごし、59歳になった。
55歳になった妻・佐和子(余貴美子)は、専業主婦として徹を支えてきた。
徹が1か月後に定年退職を控え、夫婦で第2の人生をスタートさせようとしていた
ある日、佐和子が結婚するときに辞めた看護師の仕事を再開すると宣言する。
しかし徹は佐和子の申し出を理解せず、2人は口論となる。思わず家を飛び出した
佐和子と徹の溝は深まる一方で、ついに佐和子は離婚届を徹に手渡す。

これからの人生は妻のためにと思っていた徹に対し、自分の人生を生きたいと
願った佐和子。佐和子には、徹の知らないある理由があった。そばにいるのが
当たり前すぎて、本当の気持ちを言葉にできない2人に、ひとり娘とその夫、
徹の同僚や部下、佐和子が担当する患者一家の人生が交錯していく。
こうして徹と佐和子は、思ってもみなかった第2の人生の出発点にたどりつく。 」
(goo映画)

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by jazzyoba0083 | 2013-02-07 23:20 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

一枚のハガキ

●「一枚のハガキ」
2011 日本 近代映画協会 114分
監督・原作・脚本:新藤兼人
出演:大竹しのぶ、豊川悦司、六平直政、大杉漣、柄本明、倍賞美津子、津川雅彦、川上麻衣子他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
新藤監督の作品は初めて観た。100歳でこの筆力と演出、たいしたエネルギーだと思うし
反戦に対する桁違いの思いも凄い、としか言えない。激賞する評価もおそらく「100歳の
新藤監督の作品だから」ということでのことではないかと推察する。
この年のキネ旬邦画ベスト1を獲得したが、個人的には映画としての完成度はどうかなあ、
というのが偽らざる感想だ。 気骨の監督からのラストメッセージ、という価値は認めるが。

悲喜劇、なのだろうか、どうも肩に力が入る。大竹しのぶの演技は高く評価しているのだ
けれど、本作におけるエキセントリックなお芝居は引いてしまう。意図的かもしれないが
本作の演出は概して、お芝居チックであり大仰である。弟と結婚するにはちょっと年を
食いすぎている大竹のセックスシーンも引きまくり。もう少し若い人をキャスティング出来
なかっただろうか。ところどころの大竹は痛々しくさえある。性の衝動に突き動かされる
年代の女性なら若くていい女優さんはいただろうに。(新藤映画に出てくれる若い女優は
いないか・・・)
深刻ぶらず、時にクスッと笑ってしまうような描き方の中に相対的に悲しみを浮かび上が
らせようという監督の狙いなのだろうけど。ラストの麦畑も広すぎないか?

印象的だったのは、戦争で生き残るのが「運」ということ。これが一枚のハガキに託され
映画に一本筋を通している。これには考えさせられた。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「日本最高齢(99歳)の巨匠・新藤兼人監督自ら、「映画人生最後の作品にする」と
宣言した本作。太平洋戦争末期に徴集された100人の兵士のうち、94人が戦死し
6人だけが生きて帰った。その生死を分けたのは、上官が彼らの赴任先を決める
ために引いた“くじ”だった―という、新藤監督自身の実体験を基に作られた。

人の運命がくじによって決まり、兵士の死は働き手を失った家族のその後の人生を
も破滅に向かわせる。そんな戦争の愚かさと不条理を、時に厳しく、時にユーモアを
交えながら描く。新藤監督が自身を投影させた主人公役の豊川悦司と、愛する人を
次々に亡くし、戦争への憎しみを生きる力にする女性を演じた大竹しのぶの好演に
も注目。


戦争末期に召集された100人の中年兵は、上官がくじを引いて決めた戦地にそれぞれ
赴任することになっていた。クジ引きが行われた夜、松山啓太(豊川悦司)は仲間の
兵士、森川定造(六平直政)から妻・友子(大竹しのぶ)より送られてきたという一枚の
ハガキを手渡される。

「今日はお祭りですが あなたがいらっしゃらないので 何の風情もありません。友子」

検閲が厳しくハガキの返事が出せない定造は、フィリピンへの赴任が決まり、生きて
帰って来られないことを覚悟し、宝塚へ赴任する啓太に、もし生き残ったらハガキを
持って定造の家を訪ね、そのハガキを読んだことを伝えてくれと依頼する。

戦争が終わり100人いた兵士のうち6人が生き残った。その中の一人、啓太が故郷に
帰ると、待っている者は誰もおらず、家の中は空っぽだった。啓太が戦死したという噂が
流れ、恋人同士になってしまった妻と啓太の父親は、啓太が生きて帰ってくるとわかり
二人で出奔したのだった。
生きる気力を失い、毎日を無為に過していた啓太はある日、荷物の中に定造から託された
ハガキを見つける。一方、夫を亡くした友子は悲しみに浸る間もなく、舅姑から自分たちは
年老いて働けないのでこのまま一緒に暮らしてほしいと頼まれる。
その上、村の習わしで長男が死んだら次男が後継ぎとなることが決められており、
友子には次男の三平(大地泰仁)と結婚をしてほしいという。
他に身寄りのない友子は、愛する夫との幸せな人生を奪った戦争を恨みながらも、
定造の家族と生きていくことを承諾する。ささやかな儀式で夫婦となった友子と三平だった
が、しばらくすると三平も戦争に招集され戦死。その後、舅と姑が立て続けに死に、
ひとり残された友子は定造の家族が唯一残した古い家屋と共に朽ち果てようとしていた。

そんなある日、ハガキを持った啓太が訪ねてくる。クジ運だけで自分が生き残ったことに
罪悪感を感じる啓太と、家族も、女としての幸せな人生も、何もかも失ってしまった友子。
戦争に翻弄されたすべてを奪われた二人が選んだ再生への道とは……。 」(goo映画)

村に「くじ運」で残った大杉漣は、大竹が好きで、妾になるように迫るが、(いいやつなんだ
けど)現れた豊川にボコボコにされる。豊川は船を売って得た20万円を持っていた。
それを使ってブラジルに行こうとしていたのだ。豊川は大竹に「くじで生き残った」詫び料と
して10万を渡そうとするが。「金の問題ではない」と突き返される。大竹は自分も
ブラジルに連れて行ってくれと懇願する。旅立つ日、遺骨も入っていない骨箱を燃やそうと
して家に延焼し、住んでいた家を全焼してしまう。
ブラジル行をあきらめた豊川は大竹に結婚を申し込み、ここに麦を植えて暮らそう、と
言うのだった。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2012-12-19 23:15 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(1)