●「わが恋は終わりぬ・Song wihtout end」
1960 アメリカ コロムビア映画 150分 
監督:チャールズ・ヴィダー、ジョージ・キューカー
出演:ダーク・ボガード、キャプシーヌほか。

1960年度アカデミー賞ミュージカル映画音楽賞、ゴールデン・グローブ
作品賞(ミュージカル)受賞作品

ハンガリーの天才・鬼才ピアニストにして作曲家、フランツ・リストの半生を
ダーク・ボガード(「ベニスに死す」など」)が熱く演じる150分。
監督のヴィダーが途中で亡くなったため、急遽キューカー(「魅惑の巴里」
「スタア誕生」など)メガホンをとり、完成させたもの。

リストは1811年にハンガリーで生まれ、75歳まで生きた。
この時代には映画にも出てくるが、ショパン、ワグナー、パガニーニなどが
活躍している。
宮廷をパトロンとして、芸術活動をしていた頃だ。
22歳の時、ベルリオーズの紹介で、パリで、6歳年上のマリー・ダグー
伯爵夫人と出会い、恋に落ち、駆け落ち同然で同棲を始めるが、パリに
居られなくなり、イタリアのメディチ家の庇護の下、コモ湖湖畔で
隠遁生活を余儀なくされる。ダグー夫人との間には、のちにワグナー夫人と
なる次女を含め3人の子が出来た。
その後、再び演奏活動を始めるが、36歳の時、ロシアのキエフで
カロリーネ・ヴィットゲンシュタイン侯爵夫人と運命的な出会いをする。
このカロリーネ(キャプシーヌ)との恋の物語がこの映画の中心をなす。
彼女は、夫と上手く行っておらず、ピアノの天才にして恋多きリストを
真剣に愛するようになり、離婚をバチカンのローマ法皇庁まで出向いて
認めさせようとする。リストもダグー夫人と子供たちを捨て、カロリーネ
と共に生きようと、神に誓うのだが、一度でた離婚の許可が取り消される
におよび、彼女もリストも、この恋は成就できないと悟り、二人とも
修道院に入ってしまう。「あなたはわたしのものでは無いわ。神のもの
なのよ」とカロリーネは嘆くのでした。

60年代初頭の伝記映画らしい創りだと思いますが、キューカーらしさ、
というのはどのあたりで出ていたのか、不肖、私には良く判りません。
ただ、ダーク・ボガードの色男ぶりと、狂気をはらんだリストは、楽しく
観させて貰いました。それと、キャプシーヌはいいです。
知っている曲がたくさん出てくるのも楽しいですし、ショパンやワグナー
との接点が「へえ、なるほどねえ」という形で描かれていて、これまた
楽しい。現代の映画とはだいぶ赴きが違いますが、リストファン、
クラッシック音楽ファンには、楽しい映画だと思います。それと
本当は弾いてないダーク・ボガードのピアノの手さばきも、よく練習した
なあ、と感心しました。
リストに興味を持たれたかたは

こちら
を参考になさるといいでしょう。
また、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-31 23:13 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

「恋愛小説家・AS GOOD AS IT TAKES」
1997 アメリカ コロムビア・トライスター映画 138分 
監督・製作:ジェームズ・L・ブルックス
出演:ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント、グレッグ・キニアほか。

1997年度アカデミー賞主演男優、主演女優賞、
ゴールデン・グローブ 作品、男優、女優賞(コメディ/ミュージカル部門)
放送映画批評家協会賞主演男優賞 受賞作

この名作を今まで観ていなかったことを反省しています。まず、この
映画を悪く言う人は無いですね。よく出来た大人のストーリー、
そして、アカデミーを両方獲ったニコルソンとハントの演技。アップを
効果的に使ったカメラワークと編集、みんな良く出来た映画です。
この年は「タイタニック」が9部門をかっさらっていったわけですが、
主演の2部門は、この映画が獲らせなかったことになるんです。
ま、デカプリオとニコルソン、ウィンスレットとハントでは、演技の出来が
違うと思うでしょう、素人でも。でも、やはり脚本が優れていたからこそ
の演技だったのでしょう。
それと、映画会社が付けた邦題タイトルのダサさも、皆さん指摘されて
いるところですね。いい原題があるのに。

道についている筋や部屋のタイル模様などが跨げなかったり、
レストランに自前の使い捨てナイフ&フォークを持っていく、脅迫
神経症の偏屈恋愛小説家、メルビンは、毎日通うマンハッタンの
カフェレストランのウエイター、キャロルが実は大好き。
キャロルはバツイチで、喘息の息子と母親を抱えて必死で働き
華やかなことなどない日々を送っていた。
メルビンのマンションの部屋の前の部屋には、ゲイの絵描き(グレッグ
キニア)が住んでいて、ニコルソンの偏屈さと、ゲイの素直さが対比されて
描かれていきます。ゲイの飼っている子犬が重要なポジションを演じて
居ます。上手いワンちゃんだわ。
キャロルが好きなメルビンだが、どうしても偏屈が先立って、好きだと
素直に言えない。キャロルもメルビンを良く思っているのに、素直に
告白しない彼にイライラ。何回自分の心を打ち明けようとするメルビン
だが、そのたびに彼女を傷つけてしまう。
画面に向かって「ほら、早く、アイラブユーって言うんだよ!」と声が出て
しまいそうになります。メルビンの、勇気の無さに見ているほうも
イライラしてきます。
ある日、ゲイの絵描きが破産し、絶縁状態の両親の住むボルチモアまで、
金を借りに行かなければならなくなるのですが、絵描きがメルビンに
一緒に行ってくれ、と頼み、メルビンはキャロルを誘うのですが・・・
このあたりから物語が動き始めます。

ラストは、とても大人で素敵です。あんなに勇気がなかったメルビンにも
やっと時期が来て・・・。観ている方も、カタルシスを感じ、暖かい気分に
なるのです。

この映画は、もうニコルソンとハントの芝居を観ていればいいでしょう。
ごくごく自然に、こうも自然に演技が出来るかと思うほど、日常的な
非日常を演じきります。舞台のお芝居を観ているようです。
主題歌の「Look at the sunny side of the life」が、映画の言わんと
するところを表しているようです。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-30 22:59 | 洋画=ら~わ行 | Trackback(2) | Comments(1)

許されざる者・Unforgiven

●「許されざる者・unforgiven」
1992 アメリカ ワーナーブラザーズ映画 131分
監督・製作・主演:クリント・イーストウッド 音楽:レニー・ニーハウス
出演:クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン
リチャード・ハリスほか。

1992年度アカデミー賞作品・監督・助演男優(ハックマン)・編集賞
全米批評家協会賞作品・助演男優、脚本賞
NY批評家協会賞助演男優賞、
LA批評家協会賞作品、男優、助演男優、監督、脚本賞、
ゴールデン・グローブ助演男優、監督賞、
英国アカデミー賞助演男優、
2004年アメリカ国立フィルム登録簿新規登録作品

これまで、イーストウッドの西部劇だから、ってんで、これだけ賞をとって
いる作品ではあったが、観ていなかった。NHK-BSのアカデミー作品
シリーズでやってくれたので、ちょうど、「ミリオン・ダラー・ベイビー」や
「ミスティック・リバー」などで、独特の世界にちょいと惹かれていたので
鑑賞に及びました。

無冠のイーストウッドが始めてオスカーを手にした記念すべき作品。
西部劇で作品賞をとったのは、ものすごく久しぶりだったとか。
この作品、ミスティック、ミリオンと3つ観ると、イーストウッドの原風景は
マカロニウエスタンにあるのかなあ、って感じもしてきます。
ミスティックやミリオンと同じで、何を感じて良いのか、放って置かれた
感覚です。

かつての極悪人マニーも、かたぎに戻って12年。恋女房に死なれて
からは2人の子供と豚を飼ったり百姓をしたりしてつましく暮し、
女も酒もやらない毎日を送っていた。
そこに若いガンマンが現れ、2人のカウボーイに1000ドルの懸賞金を
一緒に稼がないか、と誘う。貧乏暮らしに疲れていたマニーは、
幼い子供を残し、途中で、かつての仲間ネッド(フリーマン)を誘って
町に出かける。
賞金というのは、娼婦の顔にナイフでキズをつけたカウボーイに娼婦
たちが自分たちの金を持ち合って、懸けたものだった。

一方町では、暴力保安官ビル(ハックマン)が、よそ者をいたぶっては
権力を見せ付けていた。
カウボーイの居場所を見つけたマニー一行は、一人殺すことに成功、
二人目を追って飯場に忍び寄ったが・・・

町では、途中で賞金稼ぎにやる気を無くしたネッドが、家に帰る途中で
保安官助手に捕まり、ビルに半ばリンチを受けて、仲間の名前を
吐いてしまうが、あまりにリンチがきつ過ぎて、ネッドは死んでしまう。
その死体は町の娼館の入り口にさらしものになっていた。

このことを懸賞金を届けにきた一人の娼婦から聞いたマニーは、俄然
激怒。ビルらを皆殺しにでかけます。

前半善人だったマニーが、ネッドが殺され曝されていることを知ると
人が全く変わってしまう。最初に懸賞金稼ぎを誘ったガンマンも
実は人を殺したことがなかった若造だったし、ネッドももう人を殺す
ことは心底いやだった。マニーも「人を殺すのはキツいぜ」と言っていた
はずなのに、最期は情けもへったくれも無い、ただただ非情の殺し屋と
化してしまう。
12年間、かたぎではあったが、マニーは生来の人殺しだったということか。
娼婦の顔を切り刻んだカウボーイ、それに懸賞金をかけた娼婦たち、
暴力保安官、懸賞金ほしさに殺し屋になった若造ガンマン、そして
ネッド、マニー、みんな「許されざる者」だ。
因果応報世の習い、汝殺す無かれ、諸行無常の鐘の声、南無妙法蓮華経。
ある種のエンタテインメントとしては確かに超一級品ではあるのですが、
アカデミー協会や全米の批評家の皆さんは、この映画のどのあたりがどう
良かったのでしょうか。アメリカ人好みの虚無性なのでしょうか。判らんなあ。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-22 23:37 | 洋画=や行 | Trackback(4) | Comments(0)

●「スーパーサイズ・ミー・Super size me」
2004 アメリカ クロックワークス=ファントム・フィルム
監督・製作・脚本・出演:モーガン・スパーロック

2004年度アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞にノミネートされた、歴とした
ドキュメンタリー映画。マイケル・ムーアの「ボーリング・フォー・コロンバイン」と
何かと比較されちゃうんだろうけど。取り上げる角度がまるで違う。

アメリカに行ったことのある人なら必ず経験する、巨大なハンバーガーや山の
ような付けあわせポテトや野菜。あのデカイ体を動かすには、やはり
これくらい食べなくちゃなあ、と思ったり、これだから日本は戦争に負ける
はずだわ、と思ったり。
バターと砂糖と油とミルクで固まった食事。

アメリカでかつて、「自分が太ったのはマクドナルドのせいだ」と裁判を
起こした人がいる。
食べるお前が悪いんだろう、と日本人はすぐ考えるけど、この映画を観ると、
そうとばかりは言ってられなくなる。
モーガン・スパーロックという若い男が「じゃ、30日間、スーパーサイズの
マックだけ食べ続けたら、どういうことになるか」を身を以って実験した。
その30日間のドキュメントだ。
馬鹿げたことを、と思うなかれ。この実験の背後には、ファストフード
全盛のアメリカの、食品業界と政治、教育界、メディアなどが結びついて、
いかに、アメリカ人の食生活を破壊しているかが、わかってくる仕組みに
なっている。
途中で何回もドクターストップがかかるのだが、モーガンはついに30日間
マックのみでの暮らしを貫徹する。結果体重は30キロ太り、血液は
どろどろになり、肝臓は炎症を起こした。
1年以上掛けて元にもどしたのではあるが・・・。
この間、彼は20回近くマックにインタビューを申し込むが、断わられ続ける。
が、特にマックを攻めているわけでは、とりたててない。
マックに代表される、プアなアメリカ人の食生活に警鐘を鳴らしているのだ。

面白かったのは、マックを食べ続けると、砂糖や炭水化物の影響で、
ある種の中毒になる、ということ。食べずにいられなくなるという訳だ。
また、学校給食に平然と出されるスナック菓子やチョコレートバー!
信じられない!
ある学者は言う「タバコの害は声高にいわれるのに、ファストフードの
過食による害には
誰も何もいわないのは何故だ?同じか、それ以上に危険なのに。」 
なるほど!

マック、ウエンディズ、キングバーガー、KFC、ピザハット、日本人も、
気をつけないと中毒になりますよ!
賢いアメリカ人が日本食を好むのが判る気がします。オバカだけど、
気になる映画です。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-22 21:03 | 洋画=さ行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「きっと忘れない・Wiht Honors」
1994 アメリカ ワーナーブラザーズ映画 101分
監督:アレック・ケシシアン 出演:ジョー・ペシ、ブレンダン・フレイザー
モイラ・ケリー、パトリック・デンプシーほか。主題歌:マドンナ


映画っぽい映画、という表現が適切かどうか判りませんが、私には
そう感じました。大学に住み着くルンペンと4人の学生の心温まる
物語に友情と人生を考えざるを得ない心境になります

ハーバード大学の4年生、モンティやコートニーたちは、卒業を
控え卒論の制作に忙しい。季節は冬。パソコンのハードディスクの
クラッシュで、それまで書き上げた卒論の一部を急ぎ大学でコピーを
しなくてはならなくなったモンティは、雪の中をコートニーと大学へ
出かけますが、つまづいて、卒論の入った封筒を、地下のボイラー室に
落としてしまいます。
警備員をだまくらかして、地下室に入ってみると、なんとそこに、
サイモン(ペシ)というルンペンが住み着いていた。そして、
モンティの卒論を人質に、宿と食事を要求、要求が1つ叶えられる
ごとに1枚づづ返してやる、と契約を結ぶハメになってしまいます。

モンティはサイモンを一軒家をシェアしている3人の友達もところへ
連れて行きますが、住まわせることは出来ず、外のポンコツの
ワゴン車の中で暮させることにします。
初めは単なる、意地悪なルンペンと思っていたサイモンですが、実は
ハーバード大の教授の言い負かすだけの頭脳をもっている、
賢い男。故あって、浪々の身となったのでした。

モンティは、船乗りとして世界を巡っていたのですが、20年前に
ある造船所で働いた時、アスベストを吸い込んで、肺は末期的な
症状になっていて、余命幾ばくもない身だったのです。

モンティたちとサイモンの奇妙な共同生活が始まりますが、
まだまだヒヨコで、頭でっかちのハーバード大の学生たちは
サイモンから、貴重な人生訓を学んでいくのです。

サイモンも自分の最期が近いことを知っていて、「死亡広告」を
事前に考えたりしていたのですが、最期の願いだ、といって
あることをモンティに頼むのです。

ラストは涙なしでは観られません。
サイモンは悲惨な人生しか歩けなかったけど、4人に大学生に
その心はきっちり受け継がれたのでした。

そう突拍子もない映画ではなく、大作でもないのですが、心に
沁みる良い映画だと思います。良心派の作品といったところ。
主題歌を歌っているのが、マドンナで、「I'll remember」は
全米1位に輝きました。

現代は「誇りと共に」という映画の中身を実に表していますが、
邦題は、マドンナの主題歌から取ったのではないででょうか。
この邦題を腐す人も見えるようですが、もっとビックリする
邦題もありますから、まあ良いタイトルじゃないですか?
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-21 23:04 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

コラテラル・COLLATERAL

●「コラテラル・COLLATERAL」
2004 アメリカ パラマウント/ドリームワークス作品 120分
監督・製作:マイケル・マン、出演:トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、
ジェイダ・ピンケット=スミス、マーク・ラファロ、ピーター・バーグほか。

ブラピと組んで「アビエイター」を製作したドリームワークスのマイケル・マンが
トム・クルーズを初の本格的悪役に仕立てた、サスペンス映画。
「Ray」でアカデミー賞主演男優賞に輝いた、ジェイミー・フォックスが
共演していて、ここでも良い味だしてます。まず、オープニングから
トムの登場まで、つかみのテンポが実に小気味いい。AORな味わいも
いい!(「タクシードライバー」ほどジャジーじゃないけど。)

話は現代。ロスのタクシー運転手マックスは、いつの日にかラスベガスで
リムジン会社を経営することを夢見て、「今の俺は仮の姿だ」と自分を
納得させて暮す毎日。
ある日、女性検事を乗せた直後に乗せたのが、殺し屋ヴィンセント(トム)。
彼は、麻薬取引の裁判で、不利な証言をしてしまうだろう、5人を麻薬ボス
から殺してくるように、データのみを渡されて、マックスのタクシーに乗って、
データの順番に銃殺して回る役目を引き受けていた。
巻き添え(コラテラル)になった、マックス。ヴィンセントに対し、「どういう環境で
育つとお前みたいな人間ができるのだ?」「お前には人間の本質の何かが
欠けている」と、ぼやいてみますが、そんなセリフにヴィンセントは馬耳東風。
マックスのクルマで次々と殺しを重ねて回ります。
しかし、最期の相手が、最初に乗せた女性検事だと知ったマックスは・・・。

殺し屋ヴィンセント(という名前が本名かどうかも判らない)は最期まで、
何物かわからないまま。無個性にして匿名のターミネーターばりの
殺人者にしてはトムは顔が優しすぎるけど、表情を殺してよく演技していた
と思います。しかし、美味しいところはみんなマックス(ジェレミー)に持って
いかれてますね。

ジェレミーはこの映画で、タクシー運転手を12年やってきて、小さな夢を持ち、
病気の母親がいて、そんな市民に襲い掛かった、突然のコラテラル&
不条理を、よく演じきっていたと思います。この作品でトムはラジー賞を
獲ったんじゃなかったんでしたっけ?

映画の中で、一箇所だけ、トムがジェレミーを助けるところがあるんですが、
そこに、非情の殺し屋なんだけど、ちらっと人間的なところが出ていて、
極悪の殺し屋には違いないのですが、鉄面皮で終わらせていない、
トムの内面をちらりと覗かせていて、観ている人に、何かを考えさせます。

5番目の殺しに向かう途中の車中の会話。含蓄があります。
殺し屋「”いつか夢がかなう”と?」
  「ある夜 目を覚まして気づく。 夢はかなうことなく、自分が老いたことを」
  「お前は本気でやろうとしてない」
  「記憶のかなたに夢を押しやり昼間からボーッとテレビを見続ける」
運ちゃん「俺に説教するな」

このあたりのセリフ、ぐだぐだ生きている人にはズッキリでしょうね!

途中、クラブの群集の中での撃ちあいで、ドンパチやっているのにダンスが
続いているとか、タクシーの運ちゃんが、後半いきなり、スーパーマンに
なっちゃうとか、突っ込みどころもあるのですが、ま、「娯楽作品」と
割り切って楽しめば、良い映画ではあると思います。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-21 19:22 | 洋画=か行 | Trackback(1) | Comments(2)

Ray・レイ

●「Ray・レイ」
2004年 アメリカ ユニバーサル映画 152分
監督:テイラー・ハックフォード、音楽:レイ・チャールズ
出演:ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン、クリフトン・パウエルほか。

2004年度アカデミー賞主演男優賞、音響賞、ゴールデングローブ男優賞
英国アカデミー賞主演男優賞、全米批評家協会賞主演男優賞
映画放送批評家協会主演男優賞、サウンドトラック賞。受賞作品

「人に歴史あり」+「That's Entertainment」=「Ray」って感じです。
アメリカが産んだ不世出のR&B歌手、レイ・チャールズの波乱に満ちた
それこそドラマチックな生涯を、彼の音楽たっぷり聞かせながら綴る。

フロリダの小作農の男二人兄弟の長男として生まれたレイ。
幼い頃、自分の不注意で弟を事故死させてしまい生涯のトラウマと
なります。彼の人生を苦しめるキーポイントとして映画の中にしょっちゅう
出てきます。
そんな彼も7歳の時病気で視力を失い、盲学校を経て、17歳でシアトルに
出て、場末のクラブでピアノを弾き始めます。彼のピアノは、幼いころ
近所に住んでいたストライドピアノのおじいさんに教えて貰い、生来の
耳の良さで独学で会得したもの。
しかし、場末のクラブではレイの報酬は悪女マネージャーにピンハネされ、
激怒したレイは、このクラブを止めてしまいます。
そして、この時期に二つの大きな出会いをします。一人は生涯の伴侶となる
デラ・ビーとの出会いであり、もう一つは、彼のの才能を開花させることに
なるアトランティックレコードのプロデューサーとの出会いでした。
しかし、ツアーが始まると彼は仲間からヘロインを買ってしまうのです。
さらにツアーのバックコーラスの女に手を出して、子供まで作ってしまう。

しかし、ただのジャンキーでスケベな歌手、と見るのは簡単ですが、
闇に生きているレイとしては、ヘロインに逃げたくもなり、また誰か女が
いつもそばに居ないと、自分が保てないのだろうな、と感じました。
幼い頃母親が「お前は盲目だけどバカじゃなんだから」「盲目であることで
哀れみを引くんじゃない。そんなことをしなくてもお前はひとかどの
人物になれるから」と励ますところが、泣かせます。

映画としては、アメリカ的自伝映画の域はでていないと思いますが、娯楽作と
しては超一級品。2時間半以上の時間が長く感じなかったです。
それにしてもジェイミーのレイ(特に晩年)の激似ぶりがみものです。名演も。
また、「What'd you say」「Unchained my heart」などなどの名曲の
誕生の背景が良く判って楽しい。必ず女かトラブルがあるのですね、彼の
名曲誕生の背景には。

それと、クインシー・ジョーンズが親友だったり、ロスに行ったときクラブで
馬鹿っ早いピアノを弾いていたのが巨匠アート・テイタムだったり、ジャズ
ファンなら思わずにやりとしてしまう場面もたっぷり。
とにかく、レイの名曲を堪能するだけでも見る価値があります。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-18 23:54 | 洋画=ら~わ行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ミリオンダラーベイビー・Million Dallor Baby」
2005年 アメリカ ワーナー映画 123分
監督、製作、音楽、主演:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマンほか。
2005年度アカデミー賞作品、監督、主演女優、助演男優賞受賞作品


昨年、アカデミーを賑わした作品をWOWOWで鑑賞しました。
皆さんの評価は真っ二つのようですね。私も見終わってしばらくは
「うーむ」と唸ってしまいました。
映画に何を求めるかは、人それぞれ。単に娯楽を、人生の教訓を、感動の
涙を。最近のイーストウッドの作品は「ミスティックリバー」の時もそうでしたが
観た人に、感じ方をまかせるようになっていませんか?あえて重いテーマで。

主演の3人の演技は、これはもう超一流で、文句のつけようがないのですが、
私は、映画の後半にあるいはエンディングにもう少し光明があって欲しかった
です。

ロサンゼルスの下町にあるボクシングジムに、31歳の女性がボクシングを
教えてくれ、と訪れます。経営者で、応急処置師のフランキーは、
「俺は女は見ない主義だ」といって断わりますが、彼女は半年の月謝を前
払いし、熱心に練習します。ジムを手伝う親友の元ボクサー、スクラップの
助言もあり、ついにフランキーは彼女マギーのトレーナーになることを
引き受けます。それからは彼女の努力と才能もあって、連戦連勝。
渡英してチャンピオンと戦い勝ちを収める快進撃。そしてついに、ラスベガスで
タイトル戦の挑戦者の資格を得ます。相手は平気で汚い反則をする
”青い熊”。試合はマギー有利で進みますが、”青い熊”が放った反則パンチで
転倒し、コーナーのスツールにクビを打ちつけ、首から下が完全麻痺という
事態になってしまいます。(このあたりから映画がどっぷり暗くなります)
短くも栄光の一瞬を経験したマギーは人工呼吸器を外してくれとフランキーに
頼みますが、彼にできるわけもなく・・・。
フランキーが教会を訪ね、牧師に「彼女を生かすことは殺すことだ」とうめく
ように絞り出す言葉が辛いです。

そして親友スクラップはこういいます。
「人は毎日死ぬ。床掃除や皿洗いをしてね。そして人生を悔いながら
最期を迎えるんだ。マギーに悔いはない。彼女が最期に思うことは
”いい人生だった”と。」

栄光の瞬間を体験したボクサーがクビから下が完全麻痺の状態で生き
ている、といえるのか。私たちに尊厳死とは、生きるとは、と問うているよう
です。
昨日観た「ソフィーの選択」のほうがまだカタルシスがあったと思います。
私としては、マギーのラストに救いが欲しかったのですが、甘いですか?

尚、この映画の詳しい情報は
こちらまで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-16 00:28 | 洋画=ま行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ソフィーの選択・Sophie's Choice」
1982 アメリカ ユニバーサル映画 151分
監督:製作:脚本:アラン・J・パクラ
出演:メリル・ストリープ、ケヴィン・クライン、ピーター・マクニコルほか。

1982年度アカデミー賞主演女優賞、全米批評家協会賞主演女優賞
NY批評家協会賞女優賞、LA批評家協会賞、ゴールデングローブ賞
女優賞

タイトルから推察して、観ず嫌いだった映画を、奥さんの薦めで鑑賞しました。
想像していたものとは全然違って、重く、考えさせられる映画でした。
観終ったあともしばらく、パクラの言わんとするところを考えていました。
1947年。ニューヨークのブルックリンに小説家になる夢を抱いて
南部から出てきた青年、スティンゴは、下宿先で、不思議な生活をする
ソフィーとネイサンという恋人たちと出会います。
生化学者として薬品会社に勤めつつ、ナチの犯罪を追いかけているという
ユダヤ人、ネイサン。彼の行動はある種、狂気を帯びています。
ソフィーはポーランド系で、アウシュビッツで父親と夫と二人の子供を
「抹殺」されていて、生きる気力をなくしていたところにネイサンが現れ、
二人は、不思議な形態ではあるが、「愛のある」共同生活をしていた。
スティンゴは、そんな彼らと大親友になっていく。そしてソフィーから
彼女の収容所でのおぞましい過去を聞かされていく。そこでナチから
迫られた、「選択」とは。父親に隠された秘密とは。
エンディングでソフィーが取った「選択」とは。ネイサンに隠された秘密とは。
それぞれの「秘密」に対してソフィーが選んできた選択が示され、観ている
人々は、あまりの理不尽さに、怒りを覚えるでしょう。
ネイサンの兄から、じつはネイサンが生科学者であることや、研究所に
勤めていることはみんな嘘で、かれは狂人なのだ、と知らされ、ある日、
さすがに身の危険を感じたスティンゴは、愛するようになっていたソフィーを
連れて南部の田舎に戻る(逃げる)決意を固め、列車にのるのですが・・。

この映画のカタルシスはどこに求めればいいのか。エンディングか?
なぜ、ソフィーはエンディングのような選択をしたのか。
私は収容所で、2人の子供のうち1人は助けてやる、さもなければ二人
ともガス室行きだ、といわれ、思わず娘を差し出してしまう、ソフィー。
そのときに彼女の人生は終わっていた、と思えるのです。
彼女の幸せはエンディングのような結末にしかなかったのでしょう。
ホロコーストに弄ばれたソフィーの選択。彼女がホントに選択できたのは
エンディングの結果でしか無かったのでしょう。深く考えてしまいました。

メリル・ストリープの演技は、この難しい性格、時代背景を受けて、
自然に演じきっていて見事。さすが、オスカーの主演女優賞を獲得
しただけのことはあります。彼女の演技だけで、十分見る価値ありです。

スティンゴ(ピーター・マクニコル)の独白で映画は進行していくのですが、
彼が観客の目線で、私たちの苦悩を追体験させていく手法です。この
ソフィーとネイサンから1歩はなれたところで、彼を狂言回しに使ったのが
主役二人を際立たせる役目を果たしていて見事なパクラ演出でした。
カメラワーク、カット割りも美しい。

尚、この映画の詳細な情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-14 23:50 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

僕はラジオ・RADIO

●「僕はラジオ・RADIO」
2003 アメリカ コロムビア/ソニーピクチャーズ 109分 
監督:マイク・トーリン
出演:キューバ・グッディング・Jr、エド・ハリス、アルフレ・ウッダードほか。


「ボルチモアの光」と同じく、実話に基づいたヒューマン・ドキュメンタリー。
1976年、サウスカロライナ州アンダーソンのハナ高校のアメフト部は
コーチ・ジョーンズ(エド)の指導の下、シーズン勝利に向けて、猛特訓に
明け暮れていた。
そんな高校のフェンスの向こうに、いつもショッピングカートを押して
ラジオを聴きながら、練習を見ている、知恵遅れの黒人少年がいた。
ろくに口も利かない彼だが、ジョーンズコーチにグラウンドに入れてもらい
フットボールの手伝いをはじめる。練習のじゃまだ、という一部父兄や
理事会の声をよそに、ラジオ(いつもラジオを手にしているからコーチに
そうあだ名を付けられ、自分も自分のことをラジオといっている)は
学校の人気者になっていきます。
健常者の中にハンディを持ったしかも貧しい黒人を入れ、世話をしていく
ことは生半可なことでは出来ません。しかし、コーチは、何か聖職者の
ように(ま、先生だから当たり前か)彼の面倒を見続け、フットボールの
練習や試合に連れて行き、下働きの仕事をさせます。
コーチ・ジョーンズとラジオの信頼、友情、周囲の温かい理解。
心温まる一遍です。学校で生徒さんと先生両方に観ていただきたい
教育映画ともなっています。最後に、今も元気な本人が登場します。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-03-12 19:28 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)