●「パーフェクト・ワールド a prefect world」
1993 アメリカ ワーナーブラザーズ配給 マルパソプロダクション138分
監督:クリント・イーストウッド 脚本:ジョン・リー・ハンコック
音楽:レニー・ニーハウス
出演:ケヴィン・コスナー、クリント・イーストウッド、T・J・ローサー
    ローラ・ダーンほか。
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2006年最後の映画は、やはりイーストウッドでした。
いや~、泣かされましたな。しっかりと。イーストウッドの映画らしく
長い上映時間でしたが、脚本がしっかりしているお陰でしょう、
飽きることなく観させていただきました。忍び寄るように或いは
寄り添うように流れていく音楽は盟友レニー・ニーハウス。
いつものjazzyなテイストではなく、舞台となったテキサスの風を
感じさせるもの。「南部のワルツ」。

ある時点から結末はなんとなく予想できてしまうのですが、フィリップが
ブッチを撃ったのは衝撃でした。観客はあの暴力農夫をそこまで攻め
なくてもいいんじゃないの?と思いつつ、ブッチの育ってきた子どもの
頃の環境に思いを馳せるわけですね。

それと少年フィリップの家庭が「エホバの証人」であることも、ストーリー
に綾をなしていくわけで、このあたりのケレンは日本では無理ですね。

脱走犯ブッチは、ニューオリンズのラテンクオーター(ハリケーン・カトリーナ
でメチャクチャになってしまった街角ですな)で娼婦を母として産まれ
8歳で、母親に乱暴しようとした犯罪者を、娼館のダンスホールに
落ちていた銃で撃って殺してしまう。裁判所は少年に4年の少年刑務所
入りの判決を下す。

その時テキサスの警察で少年の裁判にかかわっていた警官こそ、
脱走犯ブッチを追う事になる署長レッド(イーストウッド)その人だったのだ。
彼は、少年ブッチの家庭環境を考え、判事をT-ボーンステーキで
買収し、あえて刑務所に送り込んだのだ。更正を期待して。

しかしその後犯罪を重ねたブッチはまた刑務所暮らしとなったが、
穴を掘って脱走。逃亡の途中で寄った家で一緒に逃げた男がトラブルを
起こし、その家の少年フィリップを連れて逃げることになってしまった。

やる事なすことが危険な、その一緒に逃げた男を途中で射殺してしまう。
フィリップは父親がすでに死亡していた。そしてブッチはフィリップに
自分の少年時代を重ねる。
ブッチは自分を「俺はいい人じゃない。極悪人でもない。ちょっと変って
いるだけだ」と分析してみせる。そう、ブッチは本当は愛情に飢えている
少し乱暴な男であり、お互いに父への、そして親への愛情に飢えている
二人は、必然のように惹かれあうのだった。
フィリップはブッチに次第に心を許すが、どこかで線を引いているな、
と思わせるのが、ブッチに対する返事が「Yes,sir」「No,sir」と敬語に
なっているところだ。これは字幕では判りづらいな。

クルマを乗り換え(盗み)ていく二人が、途中、親切から一晩世話になった
黒人農夫の家で、農夫が6歳の子どもに対し暴力的であることに異常に
イラつくブッチ。農夫を縛り、拳銃を突きつける。そんなブッチに裏切られた
思いのフィリップは、隙をみて銃を取り上げ、ブッチを撃つ。そして銃を
井戸に捨てクルマのキーを草むらに捨て逃げ出した。

ブッチはフィリップの後を追うのだが、キズはわき腹を貫通していて出血が
ひどい。逃げていたフィリップは、しかしブッチが気になり、一緒に投降
しようとする。追い詰めた警官隊の中から署長レッドは、丸腰になり
二人に近づき説得しようとする。FBIの狙撃手が、ブッチを射程に捕らえて
いた。レッドはFBIに狙撃は待て、と指示をしてあったのだが、レッドが
フィリップを受け取ろうとした時、ブッチが自分の父親が
アラスカから届けてくれた絵葉書を渡そうと尻のポケットに手を回した時
その動きを銃を取り出そうとしたと思ったFBIは・・・。
フィリップが駆けつけていた母親の手から離れブッチに抱きつく。涙が
溢れていた。「ブッチは悪い人じゃない・・・」

犯罪分析官(当時はプロファイラーという言葉はまだなかったのかな)の
サリーの描き方や警察側の描き方が足りない、とか、逆に脱走犯と
少年の話にまとめてしまったほうが良かった、などの批評もあるが、
イーストウッドのいいたいことは極めてよく判るし、ロードムービーとしても
良くできていると思った。最後の愁嘆場でも
ブッチが「参ったな、一日に二度も撃たれちまったよ」と洒落てみせる
雰囲気が、悲惨に流れる一歩手前で踏みとどまったし、サリーが
狙撃したFBIの股間に蹴りを入れるところでは、観客は快哉を叫ぶだろう。

実はレッドとブッチは本当の親子ではないのか?という疑惑があります。
確かに、サリーとレッドのキャンピングカー内での会話で、
「この事件をしくじれば知事は票を失うだろう。俺は・・・・」と言いよどむ
ところ、
キャンピングカーにあった知事用のTボーンステーキを食べちゃった後の
夜にサリーとの会話「記録は全然違う」「彼をもし少年刑務所に送らな
ければ、俺は・・・」と目を泳がせる場面は、確かに怪しい。
しかし、ブッチは父親がアラスカから送ってきた絵葉書を後生大事に
もっていた。アラスカからの手紙をだれかに頼んで出させることくらいは
簡単なことだが・・・。本当の所はどうなんだろうか?判りません。

この一年、イーストウッドの映画をWOWOWとNHKさんのお陰で
実にたくさんみることができたわけだが、食わず嫌いでごめんなさい、
って感じです。年明けに「硫黄島からの手紙」を観にいく予定なので
ますます楽しみになった。今年では今回の映画が一番心に沁みたかな。
「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」も良かったけど、今回は
時代設定(60年代半ば)も良かったと思う。
マカロニウエスタンの売れない役者、ダーティー・ハリーのイメージが
強かったイーストウッドだが、今年、その考えを見事に塗り替えて
くれました。いま、アメリカで最も輝いている監督の一人であろう。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-31 22:15 | 洋画=は行 | Trackback(3) | Comments(0)

未知への飛行 Fale-Safe

●「未知への飛行 Fale-Safe」
1964 アメリカ・コロムビア映画 101分
監督:シドニー・ルメット
出演:ヘンリー・フォンダ、ウォルター・マッソー、ダン・オハーリヒー他
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作られた時代、1964年という年をまず考えなくてはなるまい。
前々年62年の10月に世界を核戦争の恐怖の瀬戸際に追い込んだ
キューバ危機があり、ケネディとフルシチョフの戦争回避に向けた
必死の攻防という事実があった。

この映画は、その事件が無くては出来なかっただろう。
ストーリーはアメリカの3箇所で3人の登場人物の同じ時間の早朝から
始まる。テンポ良くシーンを展開し、ぐいぐいと観ているものを引き込む。
あえてモノクロの映画とし、陰影を巧みに使い、恐怖を加速させる。
映画のほとんどは、フォンダ演じる合衆国大統領とソ連共産党議長との
会話を中心にした密室会話劇。戦闘指令室や攻撃機の機内が
写るだけで、映像の広がりは無いが、そんなことは微塵も感じない。

物語は単純で、アメリカの支援爆撃機が誤った情報でソ連に報復の
攻撃に出撃してしまう。
大統領はホットラインでソ連の議長と「こちらの誤りだ。当方の攻撃機は
撃墜してくれ。さもないと、モスクワは水爆で壊滅する。こちらの情報は
あらゆる手段でそちらに提供する。」と伝える。
ソ連の議長もアメリカのミスを認めたものの、編隊の1機が、モスクワ
上空に進入、狂信的な機長は司令部や彼の妻の説得も振り切り、
核弾頭の付いたミサイルのボタンを押す。

大統領は、もしモスクワが壊滅したときは、アメリカの誠意を見せるため
ニューヨークにも自ら核弾頭を落とし、全面的な核戦争にによる人類への
大打撃を防ぐとソ連に悲壮な約束していた。
そして、モスクワが水爆で灰燼に帰したと判ると、NYに核弾頭を落とす
命令を自軍に下すのだった・・・。

エレクトロニクスの世界で1歩間違うと、人間がコントロールできない
戦争が始まってしまう恐怖を描いていて、ひしひしと人間の愚かさが
伝わってくる。ルメットの手法にやられた。
それとフォンダの演技。会話だけだけど、モノクロフィルムの中での
圧倒的な存在感は、アメリカを代表する男優だと思い知らされる。
ラストの映像表現は、今だと陳腐かもしれないが、当時は素晴らしく
新鮮だったのだろう。いや、今でも少しも古びていない。

ウオルター・マッソー、ダン・オハーリヒイー、ラリー・ハグマン、
エド・ビンズなど、脇を固める助演陣も素晴らしい。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-30 01:15 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

宇宙戦争  War Of The World

●「宇宙戦争  War Of The World」
2005 アメリカ パラマウント+ドリームワークス、アムビリン 114分
監督:スティーヴン・スピルバーグ 撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ ナレーション:モーガン・フリーマン
出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ティム・ロビンス、ミランダ・オットー他
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去年映画館で観たのだが、WOWOWで放送していたのでもう一度観て
みた。映画館では、大分寝ていたな。同時期に観た「スターウォーズ・シス
の復讐」の方が良かった記憶があるが、再度観て、その感は同じだが、
当時より自分内の評価は少し上がった感じだった。

H・Gウェルズの有名な小説を再映画化。であるからして内容は荒唐無稽に
ならざるを得ない部分がある。100万年以前に地球にマシンを埋めておいて
21世紀のある日突然稲妻の中に宇宙人が入り込みカプセルで空から地中の
マシンに入り、地上へと出てくる。
そして、地上の人類の殲滅に乗り出すのだった。特撮はそれはもうもの凄い。
「スターウォーズ」では舞台設定が遠い未来だが、この「宇宙戦争」は現代
なので、リアリティを感じる。ただ、宇宙人の姿はあまり感心しなかったが。

あの「E・T」を創ったスピルバーグが、宇宙人を地球を乗っ取る冷酷無比な
存在として描いたことも話題になった。
ダコタ・ファニングの演技は「マミー!」「ダディ!」と「キャー」としかセリフが
ないが、やっぱ自然な演技で映画の中に入りきってしまう演技力は素晴らしい。
トムは、ファイター型の父親で、分かれた妻との間にお兄ちゃんと妹がいる。
面会の日、子供二人が自宅に来た日から悪夢が始まったのだ。
この映画のひとつのテーマである「親子愛」が横軸に描かれる。
そして、エイリアンたちを滅ぼすのは、結局彼らが体内に取り込んでしまった
地球上の微生物だった。
人類は地球の王者として君臨し、尊大な存在になりすぎていることへの警鐘も
提示されている。

エイリアンの殺人光線がトムだけには当たらないとか、エイリアンの姿が
人間の域を脱していないなどの難点、はあるし、最後が微生物かよ!という
あっけなさもあるが(これは原作がそうだからしょうがない)
映画館で観たときは「なんか、内容のない映画だなあ」と感じがしたが、
今回観て、もう少しましな映画だったな、と見直しました。
ただ、ストーリーはもう少し工夫できたのではないかなあ。トムの人物設定
といい。エンタテインメント映画としては一級だとは思いますが。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-29 23:30 | 洋画=あ行 | Trackback(5) | Comments(0)

●「オールアバウトマイマザー TODO SOBRE MI MADRE」
スペイン 101分
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデス、ペネロペ・クルス他。
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アカデミー賞外国映画賞を始め、いろんな映画賞を獲得した、
巨匠ペドロ・アルモドバルの感動ドラマ・・・とう触れ込みに惹かれて観た。
いかにもヨーロッパ、しかもスペインの作品らいしい生死感溢れた
観念的な映画だと感じた。

私はこの手の映画はあまり得意じゃないんだよな。好きな人はもの凄く
たまらない映画だんだろうな。
17年前の夫の秘密を息子に伝える覚悟をしたとたん、その息子が
交通事故で目の前で亡くなる。作家志望だった息子の思いを胸に
故郷のバルセロナに旅立つ。母マヌエラ。

オカマや同性愛、それに母性など変則的な愛情が絡み、一種独特な
異様な雰囲気を醸しだしている。男は形格好は女になれても
母性を獲得することは出来ないし、父性はまた変えられることなく
天賦の本能として授けられている。そのあたりの相克を感動的に
描いてはいるのだが、ちょいと非日常すぎて、私にはどうもなあ、って
感じでした。ラストあたりの雰囲気は悪くないのですけどね。
尚、この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-22 10:43 | 洋画=あ行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「ランド・オブ・プレンティ Land Of Plenty」
2004 アメリカ・ドイツ 124分
監督・原案・脚本・ヴィム・ベンダース
出演:ミシェル・ウィリアムズ、ジョン・ディール、ウェンデル・ピアース他
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最近、WOWOWの映画で外れ(個人の趣味的に)が多いので、視聴は厳選
しうようと覚悟を決めました。で、ヴィム・ヴェンダース。
9・11以降のアメリカの姿を映画のテーマとしては初めて取り上げたんじゃ
ないかな。

かといって、「WTC」とかの事件そのもののドキュメンタリー風ではなく、
あの事件がアメリカという国に落とした影を、アイロニカルに静かに描くもの。

ポールは、ロサンゼルスで、個人的にテロを警戒するパトロールを実施して
いる。ベトナムでのトラウマが、あの事件で呼び覚まされてしまったのだ。
大型バンに天井から突き出るテレビカメラを備え、ヘッドセットでいつも街の
様子を記録している。ドンキホーテのような、滑稽さえ漂う。しかし、本人は
テロリストから母国をまもろうと真剣。真剣だけに滑稽だし、また考えさせられる。

一方、アメリカ生まれでアフリカで育ったラナが、テルアビブから10年ぶりに
祖国に帰ってきた。母から預かった伯父(ポール)への手紙を渡すためだ。
彼女は身寄りがないので、修道所の経営するホームレス支援施設に入り
伯父を探す。

その伯父は、町の中で大きな洗剤を抱えてターバンを巻いた男を発見、
テロリストかも知れない、と追跡する。一旦は見失うが、その男がある日、
ハマーに乗った男に射殺される。背後にはCIAがいるかも、と疑うポール。
その射殺された男が運び込まれたのがラナが滞在する伝道所。そこで二人は
対面を果たす。
射殺事件の背後には何かある、と見えない影を追い続けるポール。

ラナとポールは、殺された男をニューヨークの兄の元に届けるため、
大陸横断の旅にでる。そしてグランドゼロを見るのだった。
結局、殺された男は単に、イカれた若者に射殺されただけで、背後関係
なんてないし、洗剤もポールの思い過ごしにすぎなかったのだ。

どなたか書いてありましたが、ポールは現代アメリカのメタファー、であり
ラナは新時代を生きようとするアメリカ。
ヴェンダースは、アメリカを糾弾するのではなく、静かに希望を託す描き
かたをしたのだろう。

傑作だったのは、ポールの「監視車」の屋根には常に星条旗。携帯の
呼び出し音はアメリカ国家。ちょいと病んでいるかも、と思わせます。
尚この映画の詳しい

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-12 23:50 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「ゲット・ア・チャンス Where the money is」
2000 アメリカ インターメディア・パシフィカフィルムズ 88分
監督:マレク・カエニフスカ 製作:トニー&リドリー・スコット他
出演:ポール・ニューマン、リンダ・フィオレンティーノ、ダーモット・マルロー他
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渋いポール・ニューマンと、映画の中に出てくる66年?式のマスタングが
印象的な掌編。
短めの映画だけど、良く出来ていると感じた。ストーリーが良いのだね。

ウェインとキャロルは、高校のプロムのキングとクイーンという夫婦。
でも、今は二人して老人の介護施設で働いている。仲はいいのだが、
毎日があまりにも平凡。
そんな施設に、一人の老人が送り込まれてくる。脳卒中だという。
なんでも銀行強盗をしながら、30年間逃げ回ったが、最近入った銀行が
停電で金庫がしまり、御用となったとか。そして刑務所で脳卒中を
起こして施設に運ばれてきたのだ。

キャロルが担当になったのだが、この老人、どうも仮病を使っているらしい。
ついに、キャロルは、ヘンリーというこの老人が、刑務所から抜け出るために
2年半かけて脳卒中を装って、刑務所の外に出ることに成功したことを
突き止める。

平凡な毎日に飽きていたキャロルは、ヘンリーの銀行強盗に興味を覚える。
そして、なんと夫のウェインを巻き込んで、現金輸送車を襲う計画を立てる。
十分下見をし、現金輸送車を襲い、警備員2人を縛り、制服を奪い、
ヘンリーとウェインが警備員になりすまして、ガソリンスタンドやコンサート
会場、遊園地などを廻り、次々と現金を回収していく。
キャロルは輸送会社の女性係員になりすまして、お得意の会社に電話し、
いつもの警備員がトラブルで行けなくなったので新人を回します、と
ウソの電話を掛けまくっていたのだ。

そして、ちょっとしたピンチも上手く切り抜けて200万ドルを手にした3人。
夜明けまでに、施設に戻り何事もなかったかのように振舞った。
しかし、ウェインが警備員を縛った時カッターを近くに落としてきてしまい、
警備員が予定より早く逃げてしまったミスを犯した。
安心したキャロルだったが、ヘンリーが刑務所に戻されてしまった。
どうしようもないだろう、というウェインだったが、キャロルは護送車を
追いかけ、彼を救いだす。そしてウェインの元に戻ったのだが、
ウェインはヘンリーを警察に売って、自分たちだけ助かろうとした。
家の周りは既にパトカーに囲まれてしまった。
自首して出るウェインだったが、ヘンリーとキャロルはクルマで脱出。
ヘンリーのクルマは川に飛び込んだのだが・・・

ラストシーン。宝石店に現れたキャロル。左手の薬指の指輪が抜けない
から抜いてくれと店主に頼む。後ろには車椅子に座って痴呆を装う
ヘンリーの姿があった。彼の目は宝石ケースに向けられていた。

単純痛快な映画だった。本当に銀行強盗をやるとはちょいと想像できないが、
これが映画の世界なのだな。ポール・ニューマンは、物凄くふけた老人も
演じ、しゃっきりした男も演じている。見事だ。リンダ・フィオレンティーノの
ぶっ飛んだ女ぶりもいいネ。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-11 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

武士の一分

●「武士の一分」
2006 日本 松竹 武士の一分製作委員会 121分
監督:山田洋次 原作:藤沢周平 撮影:長沼六男 音楽:富田勲
出演:木村拓哉、壇れい、笹野高史、小林念侍、緒形拳、桃井かおり
    坂東三津五郎、大地康雄他
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山田監督による、藤沢作品三部作の最終作品だとか。私は「たそがれ
清兵衛」を、大感激をもって観ていて、「隠し剣・鬼の爪」は未見です。
当代一の色男、木村拓哉主演ということもあって、前評判は上々。
いつものシネコンも、年配の夫婦を中心にまあ良く入ってましたね。

で、作品ですが。う~む。私は「たそがれ~」の方が遥かに好きですね。
この映画は木村拓哉の映画だ。確かに木村君は演技は上手い。あれだけ
自然に振舞える人は、今の映画界にもそうはいない。それは認める。
だけど、作品としてのストーリー性が、なんかイマイチなんだなあ。
それと、小林信彦も言っていたけど、これまでは、大自然や四季が
織り込まれて、映像とのシナジーも優秀だったが、今回は下級武士の
家が殆どで、しかも盲人の話、閉塞感がつきまとう。
それだけ、ストーリーが凝縮していた、といえばそうかも知れないし、
家の内外が中心といえども、アングルや照明、カメラワークなど、文句の
つけられない素晴らしさがある。「蝉しぐれ」とはやはり一線を画すな、と
観ていて判る。それはそれでいいんだけどなあ。

山田~藤沢作品にある、「ぐぐっと胸に来る」ところが無かったようだ。
確かに、最期に妻が帰って来ての夕食のシーンは、涙がでたが、
それだけだね。それも、単純明快な夫婦愛だ。明快すぎるので陰が無い。

殿様のお毒見役の下級武士(木村)が、ある日貝の毒で視力を失う。
彼の上司の口利きで三十石の禄は保証される、と聞かされる。
しかし、実は彼の上司は木村の妻が好きで、木村が失明したのを
いいことに、彼女をモノにしようと、禄の保証を家老に進言する、と
いって、その見返りに体を求める。木村のことを思う妻は、涙を飲んで、
要求を聞く。そのことを知った木村は妻と離縁する。

しかし、実際は、お殿様自らが、彼の悲劇を聞き、禄を保証し、一生養生
せよ、と決めたのだった。そのことを仲間からしらされた木村は、上司に
対し復讐を誓う。盲目の身で、剣術の腕を磨き、上司に果し合いを挑む。
上司は江戸の剣術同上の免許皆伝。果たして、「武士の一分」は
守られたのか?

素直な感想として、ある日突然目が見えなくなったのに木村の冷静さには
同意できないなあ。それと、盲目の身で、あんなに早く目開きのような
剣術が使えるようになるのかなあ?

「しみじみ」「ほのぼの」いやなことが残らない映画で、いい映画であることは
確か。でも「たそがえ~」は越えられなかった、と私は思いますが・・・・。

この映画の詳しい情報は

こちら
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by jazzyoba0083 | 2006-12-10 12:10 | 邦画・新作 | Trackback(17) | Comments(2)

アルフィー Alfie

●「アルフィー Alfie」
2004 アメリカ パラマウント映画 107分
監督:チャールズ・シャイア
出演:ジュード・ロウ、マリサ・トメイ、オマー・エップス、ニア・ロング
    ジェーン・クラコウスキー、スーザン・サランドン他
主題歌:ミック・ジャガー、デイヴ・スチュアート「Old habits Die hard」
<2004年度ゴールデン・グローブ、放送映画評価家協会賞 歌曲賞受賞>
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下の「息子と恋人」の後で観たので、いいたい事が重なっていたようだ。
マイケル・ケインでヒットした同名の映画を舞台も現代に写し、ジュード・ロウ
の主演でリメイク。舞台もロンドンからニューヨークへ。
私としてはバート・バカラック&ハル・デヴィッドのあの名曲「what's is all
about? Alfie・・・」という歌が心に沁みている。

ロンドンからNYへやってきたスケコマシ、アルフィー。リムジンの運転手を
しながら、次から次へと女を変え、アバンチュールを楽しんでいる。
常にアルフィーのカメラ目線の知ったような説明で映画は進行していく。

ちょっとしたきっかけで女を捨てていくアルフィー。あるクリスマスの夜に
出合ったニッキーと幸せなひと時を過ごすのだが、乾杯したグラスが割れた、
このことで急に愛情が冷え、ニッキーとの心のすれ違いが生じる。
荒れるニッキーだったが、やがて新しく出直す決心をしてアルフィーを待つが、
そんなニッキーもアルフィーは捨ててしまう。
リムジンに乗ったセレブな女リズ。彼女とも上手くやれて行きそうだったが、
選びに選んだ花束をもって彼女のマンションに行くと、男がいた。
「彼にあって俺に無いものってなんだ!」と叫ぶアルフィーに、リズは
「あなたより若いの」といったものだ。

打ちひしがれて、過去の女のところによりを戻そうと次々と訪れるが、
誰もすでに彼を相手にしない。
そしてやっと、アルフィーは悟るのだった。捨ててきた女は、みんな
アルフィーに全てを与えてきた。俺は何を与えただろう。なにもだ。
人生ってなんだろう・・・・アルフィーはそう考えるのだった。

終始カメラ目線で、観客に対して、自分の女に対する手練手管を、これ
見よがしに説明していくアルフィーをジュード・ロウがピッタリのはまり役で
演じている。

軽いタッチの映画だが、言っていることは重い。「息子と恋人」と通底する
思想を見る思いだったのだが・・・。

ところで、66年のマイケル・ケイン版の音楽は、ソニー・ロリンズが手がけた
ことで知られていますね。
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しかし、このハル・デヴィッドの歌詞、いい歌詞ですね。バカラックが自作の
曲の中で一番好き、と言っているのも頷けます。


   “生きるってどういうこと?アルフィー
    今が良ければ それでいいの?
    
    生きるってどういうこと?アルフィー
    色々な事を秤にかけたとき、大事なのは自分の幸せ?
    それとも他人(ひと)の幸せ?
    親切な人は損をする、というのなら
    容赦なく生きるのが 賢いのかも知れない
    強いものだけが生き残れるというけれど
    きみはこの黄金のルールをどう思う?
    
    僕は天国は確かにあると信じているけど、
    もっと大事なものがあるってことも信じている
    神を信じない人でも 信じられるものがあるってことをね
    
    愛を信じるかい?アルフィー
    本当の愛が無くても生きてはいける
    でもね、アルフィー
    今まで知らずに来た愛を見つけなければ意味がないんだよ
    これからは心に従って生きていくといい
    そうすれば、いつかきっと愛は見つかるさ、アルフィー”
    (意訳 by jazzyoba)

  

この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-09 22:30 | 洋画=あ行 | Trackback(5) | Comments(1)

息子と恋人 Sons And Lovers

●「息子と恋人 Sons And Lovers」
1960 アメリカ 20世紀フォックス 105分
監督:ジャック・カーディフ 原作:D・H ロレンス 助監督:ピーター・イェーツ
出演:トレヴァー・ハワード、ディーン・ストックウェル、ウェンディ・ヒラー他
<1960年度アカデミー賞撮影賞(モノクロ)、NY批評家協会賞・作品賞
                  ゴールデン・グローブ賞 監督賞 受賞作品>
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イギリスの炭鉱町で繰り広げられる、親子、恋人の愛憎を描いた
D・H ロレンスの著名なドラマ「息子たちと恋人」の映画化。
あえてモノクロで撮影、余計な情報をカットして、ストーリーに入りこめる。
それも炭鉱町であるから余計に。

ウォルター・モレルは学は無くて、妻にいつも辛く当たっている炭鉱夫。
3人の息子がいるが、長兄はロンドンへ。次兄は父と同じ炭鉱夫。
そして末息子のポールは絵描きになりたい、と願っている。
そして幼馴染のミリアムという恋人がいる。時代は1900年代の
初め頃である。
ポールの母、ガートルードは、ミリアムはポールをだまそうとしていると
信じて疑わず、交際を認めていない。息子を取られるという嫉妬に過ぎない。
ミリアムの母も頑固な純潔主義者でポールとの間を許さない。
ポールは若さゆえ、ミリアムの全てが欲しいのだが、ミリアムはどうしても
長年の純潔教育が身に染み付いていて、体を許すことができない。

あるひ、炭鉱で落盤があり、次兄のアーサーが死んでしまう。
そして、ウイリアムは、町の展覧会に自分の作品を出品、それは
石炭のすすにまみれた父の顔を写実的に描いたものだった。
この絵に感動した金持ちのハドロック氏がポールの家を訪れ、ロンドンに
来て絵の勉強をしなさいと薦める。もちろんお金は出すという。
しかし、ポールはミリアムや母のそばを離れることが出来ずチャンスを
捨ててしまう。
そして、町の小さな繊維関係の会社に就職する。そこで、ポールは
クララという人妻に出会い、その妖艶な姿に一目惚れしてしまう。
クララには夫がいて、別居中なのだ。
密かなデートを繰り返す二人だが、クララは夫を忘れることができず、
やがて二人は別れる。
ポールはミリアムの元に戻るのだが、ポールは一番愛しているのは母親だ、
と言って、ポールは最愛の人、結婚するしかない、と説得するが、ポールは
ミリアムの元を去る。
そんな中、母親のガートルードは心臓発作を起こし、帰らぬ人となる。
あんなにケンカして中が悪かった夫だが、悲嘆にくれる。
ポールはロンドンに出る覚悟を決め、ミリアムもロンドンで教師になる勉強を
することになる・・・。

さまざまな愛の形が提示される。いつもケンカばかりしていて、時に暴力さえ
振るうポールの父と母。彼らは実は底で深い愛情で結ばれていた。
しかし、最愛のポールをミリアムに取られたくない、と嫉妬する「女」でもあった。
ポールと一時愛人関係になるクララも、出来の悪い夫の元に帰っていくこと
になるのだが、彼らも抜き差しならぬ愛情で結ばれているのだ。
そしてポールとミリアム。あんなに愛し合っていて、初めのうちは体を
許さなかったミリアムだが、次第にポールの考えに沿うようになる。しかし、
どこかお互いに相容れない部分を感じている。これが母と父の愛情と実に
対照的だ。

このほかにも長兄とワリと軽い女の愛情なども描かれていて、「愛」とは?
ということを様々な側面がから考えさせられる。
原作がしっかりしているから、暗い映画だったが、大変興味深く観ることが
できた。1960年の製作ということを考えると、当時のアメリカの愛情観の
迷いみたいなものを感じ取ることができるのでは?
殆ど知らない俳優さんばっかりだったのが、変な感情移入が無く観れたのも
良かったかな。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-09 16:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)