真実の行方 Primal Fear

●「真実の行方 Primal Fear」
1996 アメリカ Pramount Pictures 131min.
監督:グレゴリー・ホブリット
出演:リチャード・ギア、ローラ・リニー、ジョン・マホーニー、エリザベス・マクドーマンド
    エドワード・ノートン

      <1996年度ゴールデングローブ 助演男優賞受賞作品>
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ちょいとタルい感じもないではないが、全般的に良くできた法廷映画だったと思う。
全体を締めてたのが、数々の賞にノミネートされ受賞したエドワード・ノートンの怪物ぶり。
気味悪いくらいだ。

ヤメ検弁護士のマーティン・ベイル(ギア)は、金のためには何でも引き受けるいやな
弁護士と思われている(が、実はそうではない)。ある日、シカゴの大司教がナイフで
惨殺される、という事件が起き、現場から逃走したアーロン(ノートン)という若い男が
大追跡劇の末、逮捕された。
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話題性から、アーロンの弁護を無償で引き受けたマーティンだが、アーロンは自分は
やっておらず、現場にもう一人別の人間がいた、断じて僕は犯人はない、と主張していた。
担当する検察官は、かつての同僚であり恋人であるジャネット。法廷では、ベイルは
苦戦を強いられていた。
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しかし、やがて大司教と判事ショーネーシーが、町の再開発に絡み、金のやりとりで
汚い動きがあったことやら、アーロンは、大司教に拾われた貧しい青年であったが、大司教の
歪んだ性の餌食になっていたことなどが判って来た。

一方、アーロンの精神鑑定をしていたマーティンの友人で精神科医モーリーから
彼が二重人格であることが告げられた。事実、マーティンも彼から聴取している最中に
ロイという別人格が現れる場面に出くわしていた。
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そこでマーティンは一計を案じ、被告人質問で、ジャネット検事にきつく質問させ、
ロイを出現させようとしたのだ。

そしてマーティンの望みどおり、ジャネットはアーロンを追い詰めるのだった。たじたじになる
アーロンは、やがて変貌し凶暴なロイとなり、ジャネットの首を絞めにかかった。
あわてた廷吏に取り押さえられるアーロン。裁判長は、検事と弁護士に審理の中止を
斡旋する。はっきり二重人格と判明した今、心神喪失は罪を問えないのだ。
二人は裁判の取り止めを決め、陪審員団は解散しアーロンは病院に送られることになった。

裁判所の留置場でマーティンに礼をいうアーロン。しかし、あることをきっかけに
アーロンが隠していた重大な秘密が暴かれるのだった・・・。
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タイトルどおり、真実の行方は、間違ったほうに行ってしまった。マスコミが殺到する正面玄関
を避けて裏口から裁判所を後にしたマーティンの表情は暗かった・・・。
このラストの大どんでん返しが良かったな。まったく想像できない展開ではないのだが、
エドワード・ノートンの憎憎しいニタリとした笑顔が、決まっていて良かった。
ギアは、甘くていやだという人もいるが、今回この映画に関して言えば、はまり役であった
ように感じた。
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この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2007-12-30 22:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

「ナショナル・トレジャー~リンカーン暗殺者の日記」
   National Tresure :The Book of Secret
2007 アメリカ Desney Pictures,Jerry Bruckheimer Films 124min.
監督:ジョン・タートルトーブ 製作:ジェリー・ブラッカイマー、ジョン・タートルトーブ
出演:ニコラス・ケイジ、ジョン・ボイト、ハーヴェイ・カイテル、エド・ハリス、ダイアン・クルーガー
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冒険活劇大好き、である。もちろん「インディ・ジョーンズ」大好きである。このシリーズも
インディに似ているが、歴史の「ホントっぽい」仕掛けがワクワクする。
クライブ・カッスラーのダーク・ピットシリーズも小説では大好きである。
「インディ・ジョーンズ」と比べると、さすがにディズニー製作だけあって、お子様にも安心して
観ていただける体裁になっている。もちろん、人殺しや(リンカーン暗殺は別)血を見ることは
決してない。「パイレーツ・オブ・カリビアン」「アルマゲドン」などを仕掛けたブラッカイマー
ならではのサービス精神一杯の映画である。

前作は、独立宣言書の裏に秘密が隠されている、という設定でお宝が見つかった。
今回は、リンカーンを暗殺した男がつけていた日記から破り獲られて無くなったとされる
一部に、アメリカ大陸にある、といわれる黄金郷の場所がしるされているというのだ。

ジェファーソン要塞沖で発見されたゴールデン・サークル騎士団の遺物を証拠に、リンカーン
暗殺と秘密結社の関りについて自説を発表する考古学者ベン(ケイジ)。
彼の前に暗殺犯ブースの失われた日記の一部を持つ、ウィルキンソンという男が現れ、
そこにはベンの先祖トーマスが暗殺者の共犯者だった事実が記されていると告げる。

ベンは先祖の無実を証明するため、天才ハッカーのライリー、破局寸前の恋人アビゲイルの
助けを借りて博物館に寄贈された問題の日記を入手。そこに隠された暗号を解読した結果、
フランスの高名なフリーメイソン、ラブレーと、彼が関わったパリにある自由の女神に秘密を
解くカギがあると確信して、ライリーとパリに飛ぶ。

女神像のたいまつの炎に書かれていた碑文からベンは英国女王が作った二つの机、
レゾリュート・デスクに次のヒントがあると推測。バッキンガム宮殿に忍び込み、机の中から
古い木片を発見する。すると木片を奪うべく、ウィルキンソンの一味が襲撃。
日記の暗号に気づいたウィルキンソンはそれをベンに解かせるためトーマスを犯人に
仕立てたのだ。
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木片に記された古代アメリカ先住民の文字を解読するためベンは32年前に父と離婚した
言語学教授の母エミリー(ヘレン・ミレン)に協力を仰いだ。
すると木片は最初のアメリカ入植者たちが残した幻の“黄金都市”の地図と判明。だが、
地図は半分しかなく、残りはホワイトハウスの大統領執務室にあるもう一つのレゾリュート・
デスクの中にあることが判った。

首尾よく大統領執務室に侵入したベンは木片が隠されていたスペースは発見するが
すでに木片は無く、そこには合衆国の焼印が、鷲の向きが逆になって押されていた。
歴代大統領と結びつきが強いフリーメイソンの患部で、FBI捜査官セダスキー(カイテル)を
問い詰めたところ、それは最重要の国家機密を記した大統領秘密文書の印と判明。
その内容を知るものは現職大統領しかいないということも。

打つ手が無くなったベンたちは大胆にも大統領誘拐を画策し、ゲイツ家の家宝として伝わる
大統領の秘密の脱出トンネル“マウントバーノン”の地図をエサにパーティー会場から
大統領をおびき出すことに成功した。
大統領の口から秘密情報を聞き出すが、ゲイツはあらゆる国家機関から大統領誘拐の
犯人として緊急指名手配されてしまった。

大統領から国立図書館にある秘密文書をあけるキーナンバーを教えて貰い、図書館に
直行。文書を開くと、木片の片割れの写真が挟まれてあった。ベンは写メールでこれを
父に送り、母に解読するように依頼する。この電話はウィルキンソンにも盗聴される
仕組みになっていて、写真もウィキンソンの手に渡ってしまった。
母の解読の結果、“黄金都市”は、アメリカを代表する4人の大統領を刻んだラシュモア山に
あることが判った。

母を人質にしてラシュモア山に現れたウィルキンソンだが、危害を加えれば、お前も黄金都市
を観ることはなくなる、と父に脅され、彼は従う。こうして全員でラシュモア山付近の
黄金都市への入り口を探すことになるのだった。
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そして、ウィルキンソン家にも代々伝わる言葉もヒントに、一行はついに地下に眠る都市を
見つけたのだ。しかし、そこに、大水が迫ってきた・・・。

バッキンガム宮殿やオーバルルームへの侵入、大統領の拉致、などそんなに簡単に出来ねえ
よ、と突っ込みを入れながらも楽しんじゃえます。
ロンドンの街中で木片を持ったベンと、追うウィルキンソン一味の大カーチェイスが繰り広げ
られるのですが、あれ、ホントにロンドンかいな。あんなに町中をメチャクチャにできないと
思うんだけれどねえ。私が一番面白かったのは、ロンドン市内のカーチェイスと、レゾリュート
デスクのカラクリです。
大統領の秘密文書のことを簡単明かしてしまう大統領とかね。それにしても47ページには
何が書かれていたのでしょうか?子供に戻って活劇を無邪気に楽しむ、という映画ですよ!
なおこの映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2007-12-24 12:45 | 洋画=な行 | Trackback(3) | Comments(0)

カポーティ Capote

●「カポーティ Capopte」
2005 アメリカ United Artists,A-Line Pictures,Sony Pictures Classic 114min.
監督:ベネット・ミラー 原作:ジェラルド・クラーク 脚本:ダン・ファターマン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー、クリフトン・コリンズJr.
クリス・クーパー、ブルース・グリーンウッド他

         <2005年度アカデミー賞主演男優賞受賞作品>
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 先日、「冷血」を観たのは、この映画を観たいための伏線でもあった。トルーマン・カポーティ
(1924~1984)は、ニューオリンズに生まれ、幼い頃から親の愛情に恵まれず、
親戚を転々とさせられ、ほとんど学校にも通わず、読み書きは独学だという。
17歳で雑誌「ニューヨーカー」のスタッフに採用され、19歳のときに同誌に掲載された
「ミリアム」で、オー・ヘンリー賞を受賞した。いわば早熟の天才であったが、独特の口調と
同性愛、低身長で、しかも幼少時代の親の愛を知らないカポーティは、自ら天才と嘯き、
(会話の94%は記憶している、と吹聴する)社交界の中心にいることを好んだ。
(こうした光景は映画の中にも盛んに出てくる)
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裏返せば、孤独であり、愛情に飢えていたともいえるだろう。彼を一躍時代の寵児としたのは
「ティファニーで朝食を」であることは間違いない。これは映画化もされ、そのテーマ音楽の
大ヒットとともに、カポーティーの鼻を高くしたことは確かであろう。彼は更に社交界における
人気者となっていく。
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           マリリン・モンローとトルーマン・カポーティ(本人)
1966年に発表した「冷血」は、ノンフィクションノベルという新しいジャンルの文学の嚆矢と
して注目されたが、この映画にもあるように、実話に基づいたこの小説を6年がかりで
製作する中で、アルコールに依存していた日常もあり、自我が次第に崩壊していく。
映画でもクレジットされているように、「冷血」以降、完成させた小説は無い。
それだけ、この「冷血」の製作は、彼にとって傑作の完成と引き換えに、作家生命も
ほんとの命も失ってしまうことになったのだ。1984年に、アルコール障害に起因すると
思われる心不全で急死している。

映画「カポーティ」は、そんなトルーマンが、アラバマ在住当時の幼馴染、ハーパー・リーの
協力を得て、カンザス州の静かな田舎町で起きた豪農一家4人殺人事件を取材、これを
「冷血」として完成させるまでを描いた。(1959年に起きた事件については下記「冷血」の
内容を参照ください)
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            ハーパー・リー(右)を演じたキャサリン・キーナー
この事件、やがて刑務所にいる仲間からの垂れ込みで比較的早く犯人が逮捕された。
彼らも家庭の愛情を欠いた人物で、ペリー・スミスとディック・ヒコックである。
カポーティーは彼らに接近し、留置場にたびたび通い、インタビューし、小説にしていく。
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しかし、特にペリーと接しているうちに、感情の交流というか、心を取り込まれてしまう。
カポーティーは有能な弁護士をつけてやったりして、彼らの心象を良くし、取材をやりやすい
ように計らう。この計画は奏功し、何回も控訴し、ついに最高裁にまで行く。このことを
ペリーは素直に感謝する。

しかし、カポーティといえば、留置場の中で小ざかしいウソをペリーにつき、何とか
犯行の一部始終を聞き出そうとしていたのだ。小説家を信頼する死刑囚、利用する小説家。
彼が完成させた小説はきっと喝采をもって迎えられるだろうと、カポーティーは計算していた
のに違いない。
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    出版を控えて死刑囚ペリーと写真を撮るカポーティ(なんという俗物!!=映画より)
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何ゆえ、このテーマにカポーティが強く引かれたのか。「一家惨殺」という内容に、家庭の
愛情に劣等感を抱いていた彼が興味を持ったのと、誰からも信頼され愛されていた一家を
殺したのは誰か、という自らに内在するコンプレックスに対する回答を求めたに違いない。
そしてペリーを取材するうちに(3年がかり)、自らが事件の追体験者として取り込まれている
ことに、ペリーが絞首刑になる瞬間まで気がつかない。
死刑が延期されることに、嬉しいと思う半面、いつまでも決着が書けないもどかしさに
気も狂わんばかりとなる。そこに完全に、自我が分裂してしまったカポーティーを見たので
ある。

青空の無い映画。カンザスの秋や冬の寒々しい光景は、カポーティの心象か。そして間の
多い進行。映像は周到に計算されていることが判る。
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死刑執行の待機室にカポーティが入るところから手持ちの揺れるカメラになるのだが、
これも、まさしくカポーティの揺れ動く心象に他ならない。
図らずも死刑執行に立ち会わざるを得なくなる彼が、首にロープが巻かれたペリーの
足元が抜けた瞬間のガターンという音に驚愕し、覚醒するシーンは
彼が、ペリーに対して取ってきた態度がいきなり現実に引き戻された印なのだろう。
天才の悲劇、というのは易しい。が、あるいみカポーティの嫌らしさやスノッブな願望を
描き、砕いたこの映画は、やはり味わい深い。
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                   犯人のペリーとディック(映画より)
この映画でオスカーを獲得したシーモアは、天才と狂気がないまぜになり、名声と真実の
間で崩れていく小説家を演じ見事であったことは確か。

「冷血」の完成を手伝った、ハーパー・リーは後に「アラバマ物語」(原題:モッキンバードを
殺すために)を完成させ、これがグレゴリー・ペック主演で映画化され、ペックはこれで
オスカーを獲得する。そしてハーパー・リーはピュリッツアー賞も獲得する。
「カポーティー」の中で、映画「アラバマ物語」の試写パーティーに参加したカポーティーが
リーがそばから去ったとき、「騒ぐほどの映画じゃないな」と語るシーンがあるのだが、
天才カポーティーと秀才ハーパー・リーの事象の捉え方を示していて大変興味深い。
是非、「アラバマ物語」を映画でも原作でも味わいたくなった。
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    「アラバマ物語」試写会に現れたカポーティ(こういう場が好きだったんだな=映画より)
    このシーンに流されるBGMはジョン・コルトレーンの「Easy To Remember」だったり
    する・・・。
なおこの映画の詳しい情報は

こちら
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by jazzyoba0083 | 2007-12-23 22:50 | 洋画=か行 | Trackback(2) | Comments(0)

●「善き人のためのソナタ Das Leben Der Anderen」
2006 ドイツ 138分
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウィルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲディック、セバスチャン・コッホ他
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「ヨーロッパ映画だなあ」というのが観た直後の感想。重いテーマ、重い映像、重い演技、
重い音楽、重い風景。しかし、それ故、ラストのカタルシスに救われるのだ。
ヴィースラー大尉が、本屋で自分への献辞が入った本を買ったときの誇らしげな表情が
それだ。このシーンを観るために観る映画だと言い切ってもいいかもしれない。
それこそがタイトルを表してしるのではないか。

→旧東ドイツで反体制派への監視を大規模に行っていた秘密警察“シュタージ”。
本作はこのシュタージ側の人間を主人公に、統一後も旧東ドイツ市民の心に深く影を落とす
“監視国家”の実態を明らかにするとともに、芸術家の監視を命じられた主人公が図らずも
監視対象の考え方や生き方に影響を受け、新たな人生に目覚めてしまう姿を静謐なタッチで
リアルに描き出す感動のヒューマン・ドラマ。
主演は自身も監視された過去を持つ東ドイツ出身のウルリッヒ・ミューエ。監督はこれが
長編第1作目となる弱冠33歳の新鋭フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。
 
 1984年、壁崩壊前の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は
国家に忠誠を誓う真面目で優秀な男。ある日彼は、反体制的疑いのある劇作家ドライマンと
その同棲相手の舞台女優クリスタを監視し、反体制の証拠を掴むよう命じられる。
さっそくドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーは徹底した監視を
開始する。
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しかし、音楽や文学を語り合い、深く愛し合う彼らの世界にヴィースラーは知らず知らずの
うちに共鳴していくのだった。そして、ドライマンがピアノで弾いた“善き人のためのソナタ”という曲を耳にした時、ヴィースラーの心は激しく揺さぶられてしまうのだったが…。(←allcinema)

さまざまな優秀な論評が下記リンクから入れるallcinemaの投稿欄にありますので、
そちらを参照されるとよろしいと思いますが、私も、さすがにアカデミー賞外国映画賞を
獲得した映画だと感心しました。
なかでも「涼」さんの

>トラウマからの解放は、その傷を見つめ直すことからしか生まれない。
 それから目をそらしたり自分を騙したりしたら、傷は残ったままだ。

トラウマとは東ドイツの圧政であり、傷とは圧政の結果である。この映画では密告の推奨に
より国民が疑心暗鬼になったこと、芸術家が国家統制の中で1つの価値観に閉じ込められて
いたこと、などであろう。

私がヨーロッパ映画(思索深い)を観ると必ず、「こういう映画はハリウッドでは作らないだろうな」
と思う。作る必要も無いと思いますが(爆)。これが欧州人とアメリカ人の感性の違いだろう
(今更何をいう、でしょうが)
東西に分かれたドイツ、その東ドイツで横行した盗聴行為に携わった軍人が、盗聴した
芸術家の芸術に触れることにより、人間的に覚醒していくストーリー。国家とて人間が芸術を
愛することを無理に止めたり、強制したりすることは出来ないということだ。
そのエネルギーはベルリンの壁を崩すことに集積され行ったのではなかったか。

アンチハリウッドでなくても快哉を叫びたい出来の良い作品である。日本人も自分の
「トラウマ」をこういう形で表現できんものだろうか。「戦国自衛隊」や「亡国のイージス」も
いいけどさ!
尚この映画のすぐれた評論と映画のデータは

こちら
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by jazzyoba0083 | 2007-12-22 22:30 | 洋画=や行 | Trackback(7) | Comments(0)

冷血 In Cold Blood

●「冷血 In Cold Blood」
1967 アメリカ Clombia Pictures,133min.
監督・製作・脚本:リチャード・ブルックス 原作:トルーマン・カポーティ
    撮影:コンラッド・ホール 音楽:クインシー・ジョーンズ
出演:ロバート・ブレイク、スコット・ウィルソン、ジョン・フォーサイス、ポール・スチュワート他
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昨年のアカデミー賞で主演男優賞を獲った「カポーティ」の中に大きくフィーチャーされていた
実話を元にした彼の小説「冷血」を、R・ブルックスが自らプロデュース、脚本も手がけた。

ベースになったカポーティの「冷血」は、1959年11月14日深夜にアメリカ・カンザス州の
田舎町で起きた豪農一家4人惨殺事件(クラッター一家殺人事件)に関わった、二人の
男、ペリー・スミスとリチャード・ヒコックの「冷血」を描いた。カポーティーは、獄中の2人に
3年間にインタビューし、6000枚の資料を作り6年がかりで完成させた。
原作を読んだが、内容は映画では表されていない、KBI(カンザス州捜査局)の苦労・苦悩や、クラッター家がいかに周囲から愛されていて、罪の無い人々であったかの詳細が大幅に
省かれていて、死刑のシーンが逆にクローズアップされている。しかし、ブルックスは2時間
そこそこに上手くまとめ上げむしろ映像を伴っているだけに、犯人の実像への迫り方は、
「百聞は一見に如かず」の感がある。この年のアカデミー賞4部門にノミネートされている。

カポーティーの取材にこたえるかのように、ブルックスはリアリティにとことんこだわっている。
主演の二人は、実際の犯人に実に良く似ている。犯行が行われた農家のロケも実際に
殺人があった場所で行い、裁判の陪審員も当時の人をそのまま使った。絞首刑台も
実際のもので撮影しようとしたが、さすがにこれは断わられている。

カメラと音楽もいい。カメラは「明日に向かって撃て」「アメリカン・ビューティー」「ロード・
トゥ・パーティション」の3本でアカデミー賞撮影賞を獲得している名手だ。(故人)
息子のコンラッド・W・ホールもキャメラマンとなった。
また、クインシー・ジョーンズも言わずと知れたジャズアレンジャー、プロデューサーだ。
あえてモノクロとした画面の光と影を活かした映像、これに絡む音楽、特に、ペリーが
13階段に行く直前に、自分の人生を回顧するシーンで、外の雨が流れる窓がペリーの顔に
写り、あたかもペリーが泣いているように見えるところは圧巻だ。

事件は1959年11月、カンザス州の豪農クラッター家で起きた。有力な手がかりの無い
状態で、この家の夫妻と、息子、娘が、縛り上げられた上、銃で射殺されるという
凶悪事件が起きた。クラッター氏は普段から家に現金を置かず、小切手で済ます主義で
家には45ドルしかなかった。つまり犯人はたった45ドルのために何の罪もない4人を
殺したのだ。異なった足跡が二つあったことから複数犯という見方は出来た。

捜査に投入されたカンザス州捜査局捜査官らは、手がかりの無さに途方に暮れていたが、
ひょんなことから、二人の男が捜査線上に浮かぶ。それは、有力情報には1000ドルの
懸賞金がかけられた事から、刑務所にいるフロイトという二人の仲間からもたらされた。
彼曰く、ペリー・スミスとリチャード・ヒコックに、かつて自分が働いたクラッター家にはいつも
1万ドルの金の入った金庫がある、田舎だから鍵はかけない風習だ、楽勝の仕事だと
吹いたのだ。すると二人は、この話に興味を持ち、仮釈放と同時に実行に移したのだろう、
という。
これで、あっけなく二人の身元が割れる。そして逮捕もあっけなかった。彼らは、奪った
小切手を換金しては逃亡を繰り返していたが、メキシコに行っても夢は叶うべくもなく、
またカンザスに戻ってきたところを小切手詐欺で捕まった。

結局、どちらかというと常識派であり、直前まで犯行は止めようと言っていたペリーが
殺人の実行犯だったのだ。彼を狂気に走らせたのは、幼い頃の父親との不仲のトラウマ
だった。「1人の無力な人間が2人集まると、良い結果を生み出すこともあれば、このような
結末を生むこともある。"相乗効果の犯罪"2人が融合し第三の人格が犯した犯罪」で
あると分析されている。
ペリーが後天的な犯罪者であるとすればリチャードは、先天的な狂人といえる。
2人に共通するのは、どの凶悪事件にもあることだが、崩壊した家庭であり、両親の愛情
不足であり、満足な教育を受けていないということだ。なかんずく、親からの愛情が
欠けると、子供がどうなるか、という怖さを実にストレートに訴えかけてくる。

この映画の詳しい情報は、いつものallcinemaより
こちらの方が詳しいです。
実際のペリーとリチャードが、配役と如何に似ているかが判ります。
by jazzyoba0083 | 2007-12-22 17:45 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

逃亡地帯 The Chase

●「逃亡地帯 The Chase」
1966 アメリカ Clombia Pictures 134min.
監督:アーサー・ペン 製作:サム・スピーゲル 原作:ホートン・フート 音楽:ジョン・バリー
出演:マーロン・ブランド、ロバート・レッドフォード、ジェーン・フォンダ、ジェームズ・フォックス他
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訳知りの映画通に言わせると、この映画は、いわゆるアメリカ・ニューシネマの駄作であり、
同じ監督が作った「明日に向かって撃て」は、傑作、なんだそうである。
確かにこの手の映画は1966年という時代を考えると、世相を写す鏡ではあったし、必然と
して生まれてきたのだろう。ベトナム戦争の泥沼の中で、国内では新旧の価値観が対立、
音楽でも映画でも、これまでに無かったような閉塞した社会を風刺・告発する作品が
一気に増えた。たいがい舞台は旧体制を象徴する南部だ。

この映画も舞台はテキサスの田舎町。街は石油利権を独占しているヴァル・ロジャーズ
一族が牛耳っている。ヴァルに雇われた保安官がカルダー(ブランド)。献身的な妻を
アンジー・ディッキンソン。 ヴァルの息子で街の有力者でもあるジェイソン。

こんな街に、悪事を働き投獄されていたババー(レッドフォード)が脱獄して戻ってきた。
彼は刑務所の仲間と二人で脱走したのだが、相棒が、クルマを奪うときに不必要な
殺人を犯したことから、袂を分かち、一人で故郷に帰ってきたのだ。しかし、警察は
現場に残されたババーの指紋が出ていた。彼は無実の罪をかぶっていたのだ。

ババーは、妻のアンナがいたが、夫が投獄されているうちに、ヴァルの息子、ジェイソンと
いい仲になっていた。しかし、ババーのことを忘れたことはなかった。
カルダー保安官は、ババーが街に戻ってきて、万一住民に捕まるとリンチにされると考え
なんとか彼に自首を勧める手立てを立てた。

ババーは町外れの廃車置場に隠れ、そこの昔なじみに、妻アンナへのメッセージを
託した。街に現れた廃車処理場の男は、カルダー保安官に身柄を拘束され(安全のため)
ババーの居場所を尋ねるが口を割らない。

街のババーに対して恨みを持っている連中は、彼を捉えてリンチにしようと、保安官事務所に
やってきて、カルダーをボコボコにし、勝手に留置場に入り、処理場の男に暴力を振るい
ババーを居場所を聞き出した。

やがて街中のヤカラが、廃車置場にやってきて、廃車に火を放った。妻のアンナと
恋人だったジェイソンも、彼を助けようとやったきて、炎に巻かれる。
ババーは逮捕されたが、ジェイソンは崩れてきた廃車の下敷きになってしまった。

署に連行されてきたババーに、ヤカラの興奮はまだ収まらない。そして飛び出してきた
一人に射殺されてしまう。自らの力の限度を感じたカルダー保安官夫妻は街を出ることにし、
ヴァルの家に挨拶に行くと、出てきたヴァルは、息子のジェイソンが亡くなったと知らせた
のだった。夫婦のクルマが去っていくところで映画は終わる。

主人公は、一見無頼の保安官だが、守るべき正義は守るといういわば、「アメリカの常識」で
あり、酔っ払ってババーに襲い掛かる南部の徒党の衆は、「内在するアメリカの反動」で
あろう。ババーが殺されるシーンはオズワルドがジャック・ルビーに暗殺されるシーンを
思い起こさせる。理不尽なアメリカ、銃という暴力で決着をつけるアメリカ。これは
今でもちっとも変わっていない。アメリカとはそういう国なんだ、ということを嫌というほど
見せつけられる。なんか全編酔っ払ったような雰囲気の映画だし、レッドフォードが
テーマ性から見て浮いてしまっている感じはする。保安官のブランドも、演技者としては
認められるとはいえ、何か不自然さも拭いきれない。
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尚この映画の詳しい情報は

こちら
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by jazzyoba0083 | 2007-12-18 22:30 | 洋画=た行 | Trackback(1) | Comments(0)

ALWAYS 続・三丁目の夕日

●「ALWAYS 続・三丁目の夕日」
2007 日本 東宝、日テレ、続・三丁目の夕日製作委員会 146分
監督:山崎貴、 原作:西岸良平
出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、薬師丸ひろ子、須賀健太、三浦友和、
    もたいまさこ、小日向文世、小清水一揮、上川隆也、手塚理美、渡辺いっけい他
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昭和ブームに乗って大ヒットした作品のパート2。1作目から4ヵ月後の東京が舞台で
基本的には前作の続編というより、後編というべきか。
CGの使い方は1作目より更に高度になっていて、特に高速道路に塞がれる前の日本橋、
羽田から飛び立つDC6、東海道線特急こだま号(東京駅停車中、車内、走る姿、
流れる車窓の風景も)そして、冒頭つかみに使われる、ゴジラのシーン。などなど。
宇宙モノの違って、これでもか感がないので、安心して感心できる。

私は世代的にこの映画で須賀健太君の演じている淳之介とピッタシなので、特に強く
郷愁を感じる。1作目は地上波テレビで観ていたので、今回は映画館でちゃんと観ようと
決心していったのでした。もう小屋が小さくなっていたけど。

2作目の方が泣けました。ストーリーに泣けたのは勿論だけど、戦争の傷跡をまだ引きずって
いた時代(薬師丸母が、戦争のため引き裂かれた昔の恋人=上川隆也と日本橋の橋の
上で出会うところ。数寄屋橋だったら「君の名は」になっちゃいますね)のこと、
狂犬病騒動、路上でバッタものの万年筆を売る堀北の田舎の友達の姿など、観ているだけで
あの時代を思いだし、貧しかったけど、みんなガンバっていたんだよなあ、って思うほどに
涙を禁じえませんでした。
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このぎすぎすした世の中に、「みんな健気に、優しい心を持って生きていたあの頃」を思うと
なぜか涙が出てきてしまう。どうして日本人は、こんなになってしまったのか。
豊かさと引き替えに、便利さと引き換えに、なんという大きなものを失ってきたのかと
考えざるを得ない。暖かかったあの時代、単なるノスタルジーではなく、
なんで日本で今
この映画が出てくるのか、何故昭和がブームになるのか、偶然ではない。必然だ。

今回、鈴木モータースに預けられる親類の女の子が、最初、貧乏暮らしが嫌で、だだを
こねていたのですが、もっていた色鉛筆がチビて種類もそろっいなかったりで、実際の
暮らしのレベルをそれで見せてしまったり、回りの子供たちが、道路を掃除したり、洗濯
をしたりして親のお手伝いをしている姿に自分を反省するとか、良く当時のことをちりばめる
ことが出来ていました。

この映画には、芥川賞は絶対に取れるわけない、と判っていて、大騒ぎする御近所さんたち
の様子など、陳腐な箇所もないではないが、146分という長さを全然感じさせない、強さを
持っていました。シネコンにも私くらいの年齢の人が多かったですね、さすがに。

前作で、黙って姿を消したヒロミ(小雪)は、ベティという名前で踊り子に。共に暮す茶川
(吉岡)と淳之介(須賀)のところに、淳之介の実父(小日向)が現れ、また引き取るという。
茶川は今度は絶対芥川賞を獲るから、そうしたら淳之介と暮すことを認めてくれといい、
認められる。必死に小説を書く茶川。
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一方、鈴木モータースには破産した親戚から女の子がやってきた。一平と暮すことに
なったのだ。六子(堀北)の田舎の男の幼馴染がやってきた。こいつ、料理人を目指して
いたのだが、いまは詐欺師の片棒を担ぐようなヤバイ仕事をやっていた。

ヒロミは大阪に行くことを決意。
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一方、一次審査をパスした茶川の作品は、いよいよ最終
決定を待つばかりとなっていた。みんな鈴木モータースを会場にして、祝賀会を用意して
電話を待つが・・・・。
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ラスト、綺麗な夕日を鈴木家の3人が見つめて「3人で見るから綺麗なんだよ」という
セリフは言わずもがな。

今回も鈴木家の母親を演じる薬師丸ひろ子が一番良かったと感じた。それと映画を
引き締めているのが子役たち。淳之介の須賀と一平の小清水、それに居候となった
女の子。演技が自然で、昭和の雰囲気を壊さない重要な役目を良くこなしたと思う。
特に、淳之介は前髪がバラバラで、顔はいつも煤けている。そんなヤツは当時いっぱい
いたな。
クルマ好きとしては鈴木モータースに修理に持ち込まれるクルマが、ヒルマン・ミンクス
だったり、日野ルノーだったり、ダットサンだったりするのが嬉しい。

みんな、何故この映画を観に来るのか。癒されたいのか、ノスタルジーに浸りたいのか、
優しい気持ちに包まれたいのか、暖かいキモチに成りたいのか。
いずれにせよ、今の世の中のアンチテーゼが、
この映画にはあるのではないか。

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まで。
by jazzyoba0083 | 2007-12-15 12:30 | 邦画・新作 | Trackback(31) | Comments(0)

●「ザ・プレイヤー The Player」
1993 アメリカ Avenue Pictures Production,Guild,Spelling Entertainment
124min.
監督:ロバート・アルトマン 原作・脚本:マイケル・トルキン
出演:ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、フレッド・ウォード、ウーピー・ゴールドバーグ
    ピーター・ギャラガー、ブライオン・ジェームズ、ヴィンセント・ドノフリオ他
カメオ出演:ジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィルス、バート・レイノルズ、ジョエル・グレイ
        アンジェリカ・ヒューストン、ジョン・キューザック、シェール、ジャック・レモン
        ピーター・フォーク、スーザン・サランドン、ミミ・ロジャーズ、ハリー・ベラフォンテ
        ジェームズ・コバーン、スコット・グレン、ロッド・スタイガー、ニック・ノルティ
        パトリック・スゥエイジ他多数。
    <1992年度ゴールデン・グローブ 作品賞、主演男優賞受賞作品>
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WOWOWのアルトマン没後1周年記念特集の1つ。前回観た、「ショート・カッツ」も
アルトマンらしい刺激と風刺に満ちた長編であったが、今回も実にアルトマンの味が出た
秀作。群像劇、とまでは行かないので、「ショート・カッツ」よりストーリーが判り易く、
作品のダイナミックな魅力がダイレクトに伝わってくる。長年ハリウッドで生活してきた
映画人ならではの風刺や皮肉が利いていて、これに殺人事件のミステリーと、ラブストーリー
映画会社の経営内部抗争などが上手く絡み合い、秀作となった。
「ショート・カッツ」とキャスティングが重なっているところが多く、アルトマンファミリー
なのだなあ、と判る。主演のティム・ロビンスは「ショート・カッツ」では、浮気をしている
白バイ警官を演じていた。

また、12人ものオスカー受賞者を始めとしたカメオ出演も豪華で、これだけ見ていても
楽しい。シドニー・ポラックまで出てくるんだから。これだけの数のオスカー俳優が出た映画は
空前絶後だそうな。

ハリウッドの映画会社で、売り込まれた脚本のうちどれを映画化するかの責任者である
グリフィン・ミル(ティム)は、1日に125本の電話を受け、1年に5万本の作品の売り込みを
受ける。その中で映画化できるのは12本。だから、うらみも買うし、敵も作る。
忙しい中にも順風満帆のグリフィンの元に、最近、「お前を殺す。裏切られた作家より」と
いう絵葉書が何枚か送られて来ていた。

過去のスケジュールの中で、約束していて会っていない作家を探し出す。そこにはケイハン
(ドノフリオ)という名前があった。彼の恋人ジューン(スカッキ)から、彼の居所を
パサディナであることを聞き出し、「自転車泥棒」を上映中の映画館で、彼を見つけ出し、
映画終了後、ロビーで声を掛ける。約束を破ったグリフィンを罵るケイハンを、カラオケが
付いている日本料理店で一杯おごりながら、なだめたりすかしたり。
結局和解できず、彼が絵葉書脅迫状の犯人だとの特定も出来ず、ケイハンは去っていく。
自分のローバーに乗ろうとしたところ、ケイハンから声を掛けられ、一度会社に来てくれ、
話は聞く、というがケイハンの怒りは収まらず、言い争いの最中、押されて、グリフィンは
転倒、頭に来たグリフィンはケイハンを水溜りに押し付ける。殺す気は無かったものの、
ケイハンは死んでしまう。

その場を離れ逃げたグリフィンは、普段の生活に戻っていく。会社では、社外から主力
銀行の頭取の息子が送り込まれ、また20世紀フォックスからラリー・レヴィー(ギャラガー)
が移籍してきた。首が危なくなり焦るグリフィン。

一方、殺してしまったケイハンの妻に一目惚れしてしまったグリフィンは、彼女に接近、
ガールフレンドのボニーを裏切りつつあった。
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ケイハンを殺したが、脅迫状は止むことはなかった。人違い殺人を犯してしまったのだ。
パサディナ警察の女刑事スーザン(ウーピー)と相棒は、グリフィンが臭いと、つきまとうが
なかなか尻尾を出さない。

グリフィンへの脅迫はついにクルマの中にガラガラヘビを仕込まれるまでになり、恐怖に
おののいた彼は、殺したケイハンの妻ジューンの元に。ジューンも真実を知らないまま
彼に惹かれていく。そして、グリフィンはガールフレンドにNY出張を譲り、彼女がいない間に
メキシコに行こうとするが、怪しまれているのを知り、行き先をネバダ砂漠あたりの温泉に
切り替える。ついにジューンを落とすことに成功する。

そんなころ、一人の作家が映画化を売り込んできた。グリフィンは陳腐なアイデアを
ワザと買い、これを20世紀フォックスから来たラリーに報告、ラリーが気に入ったところで
手を引き、映画化させておいて失敗させ失脚させようと企んだ。

パサディナで駐車場の前に住んでいるという夫人が殺人を目撃したので、警察まで来い
と呼び出される。顧問弁護士は、刑事事件専門の弁護士を彼につけて、面通しに
臨ませる。目撃者は、なんと刑事を指名、グリフィンは難を逃れた。

1年後、社長は失脚、しかし銀行家の息子は淋病で入院、グリフィンはまんまと社長に
納まったのだ。そしてくだんの映画の試写会。無名な俳優で、しかも悲劇的な結末、
と言って譲らなかった作家の作品は、ジュリア・ロバーツとブルース・ウィリス主演で
ハッピーエンドに仕立てられていた。作品の改変に意義を唱えたかつてのガールフレンド
ボニーは、ラリーからクビを宣告される。社長であるグリフィンに助けを求めるが、
彼は応じない。ロールスロイスのカブリオレを運転して家に帰るグリフィン。クルマの電話に
出た男は新しい作品をってきた作家で「もう絵葉書専門はやめたよ」という。誰だかは判らない。売り込まれた映画のタイトルが「プレイヤー」という。グリフィンの犯罪をそのまま映画化した
もの。家でグリフィンを待っていたのはおなかが大きいジューンだった。まだ真実を知らず
偽りの幸福に浸っている。そしてそこにエンドマーク。

結局、脅迫犯は判らずじまい。この映画のハイライトは、試写会のシーン。陳腐な
エンディングになってしまった映画に喝采する重役連中。そして、実際の映画の
エンディングも、この試写会の映画のエンディングにダブらせる。ハッピーエンドだって?
と言わせるかのように。

映画通の人は、私以上に楽しめるはず。アルトマンという人は、実に独特の世界観を
映像化できる人だったのだなあ。他の作品も観たくなった。
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8分にのぼる冒頭の長まわしは、映画史に残る。「最近の映画は、1カットが短くて」
なんて登場人物に云わせての批判も入れながら。
ケイハンとジューンという恋人同士を演じたドノフリオとスカッキはその後結婚し、離婚する。
これがリアリティ???
この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2007-12-14 23:55 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

ドミノ DOMINO

●「ドミノ DOMINO」
2005 アメリカ/フランス Domino 17521 Inc.,Scott Free Production,127min.
監督:トニー・スコット
出演:キーラ・ナイトレイ、ミッキー・ローク、エドガー・ラミレス、リズワン・アバシ他
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もともと実話モノが好きだし、監督と主演女優の名前にも惹かれて、鑑賞。
トニー・スコットの描き方といえばそれまでだが、ホントにこれ実話かよ、と思いたくなる
残念な出来だった。大銃撃戦とか、ヘリの墜落とか実際には無かったんじゃないか、と
思わせた時点で、もうダメだな。 これはトニーの罪ではないが日本では馴染みのない
「保釈被告人の確保」という賞金稼ぎがよく判らない上に、人物配置もよく判らないから
観終わっても、印象に残らない。
作品全体がヒップホップしているようで、実話の持つ真摯な事実の重さが伝わらない。
最近流行の画面全体がイエローに染まったような画像も、こうなると
鬱陶しいとしか思えない。せっかくナイトレイと、復活著しく、いい枯れ方をしてきた
ミッキー・ローク、いい味出す脇役、クリストファー・ウォーケンの出演が残念だ。
時間も長すぎる。何度止めようと思ったけど、原則一度観始めた映画は、途中で止めない
主義なので、これが苦痛だった。後日観たトニー・スコットの「クリムゾン・タイド」が
娯楽作として楽しめたのに比べ、同じ監督の作品は思えない、落差。
トニーは何をしようとしたのだろうか。誰かも書いていたが、ドミノを「堕天使」として
描こうとしたのか、東洋系のFBIプロファイラーの尋問を受けながら、自分の生涯を
語り始めるドミノ。これをカットバックしながら話は進む。

⇒名優ローレンス・ハーヴェイの娘としてロンドンに生まれ、何不自由ない恵まれた生活を
享受するドミノ。しかし、父はドミノが幼いときに亡くなり、母は再婚相手探しに夢中。
上流階級の生活に、空虚さばかりを感じてしまうドミノだった。
やがて15歳となり美しく成長したドミノはトップ・モデルとして活躍する。しかし彼女の
心が満たされることはなかった。母の都合でハリウッドに引越し、ビバリーヒルズ高校に
通うが、まともに勉強などするはずもない。大学進学後も荒れた生活が続く。
そんなある日、新聞で“バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)募集”の文字を目にした彼女は、
自分が求めていた何かがそこにあると確信するのだった。 ←(by allcinema)
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ボスのエド・モズビー(ミッキー)やチョコ(エドガー)らと組み、危ない仕事をこなしていく。
彼女の精神の一部はもう死んでいるかのような荒廃ぶりだ。
「プライドと偏見」のナイトレイが好きな人は観ないほうがいいかも。

⇒なお、奇しくも本作の完成と相前後して、35歳になるドミノ本人が自宅の浴槽で不慮の死を
遂げるという訃報が伝えられ、関係者や映画ファンを驚かせた。←(by allcinema)
尚この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2007-12-13 22:45 | 洋画=た行 | Trackback(1) | Comments(0)

さらばキューバ Cuba

●「さらばキューバ Cuba」
1979 アメリカ United Artists,Holmby Pictures 117min.
監督:リチャード・レスター
出演:ショーン・コネリー、ブルック・アダムズ、ヘクター・エリゾンド、ジャック・ウェストン他
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ちょっと、なんだかなあ。WOWOWのショーン・コネリー特集だった。キューバ危機が
背景にあるので歴史的にも感心があるので鑑賞したのだが、革命の中のスパイ映画なのか
恋愛映画なのか、どっちつかずで、結局なんだかなあ、で終わっちゃった。

キューバ危機の背景が判ってないと、更に辛い映画になります。せめてバチスタがどういう
人か位は判っていないと・・・。
イギリスの情報機関少佐デープス(コネリー)は、バチスタ率いる政府軍のベイヨ大佐に
テロ活動防止のために呼ばれて着任。副官にラミレス少佐が付く。
この頃のキューバはバチスタ将軍以下、利権にまみれた腐敗した政治が横行していた。
後ろで支えていたのがアメリカ。これにカストロ以下の革命軍が蜂起し、国内は内戦状態
になっていた。ベイヨ大佐も葉巻工場やラム酒工場と深い利権関係にあった。

この葉巻工場の長男坊経営者の奥方が、かつてデープスが北アフリカで深く愛した
アレックス(ブルック・アダムズ)だった。今や名家の奥方に納まっていたが、デープスとの
出会いに恋の炎は再び燃え上がる。勿論デープスも。
やがて国内に革命軍の一斉蜂起が。資産を投げ打って命からがら逃げ出すバチスタ派。

デープスらも危機一髪の中、戦車を奪い、なんとか飛行機に乗り、脱出に成功したのだ。
アレックスに一緒に行こう、と誘うが、涙を目に浮かべて、ここに留まる、というアレックス。
すでにダンナは射殺されているというのに(このときはまだ知らないが)。

恋愛映画・・・なんだろうな。舞台が革命期のキューバで。なんでアレックスは北アフリカ
からキューバにきたのだろうかねえ。なんでデープスと一緒に行かなかったのかねえ。
脚本が良くないのだろう。戦車で戦うシーンなど、どこか薄い感じだ。
ま、よほどのコネリーファンでなければ、観なくていい映画だと思いました。
ブルック・アダムズも黙っていると綺麗なのだが、喋ると頭悪そう(泣)。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
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by jazzyoba0083 | 2007-12-11 23:15 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)