●「サイダー・ハウス・ルール The Cider House Rules」
1999 アメリカ Miramax Films,Film Colony,131min.
監督:ラッセ・ハルストレム 原作・脚色:ジョン・アーヴィング
出演:トビー・マクガイア、シャーリーズ・セロン、マイケル・ケイン、デルロイ・リンドー他

    <1999年度アカデミー賞助演男優(M・ケイン)、脚色賞受賞作品>
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「ガープの世界」などで知られる現代アメリカ作家の巨匠ジョン・アーヴィングの原作を
アーヴィング自ら脚本を書き、ハルストレムがメガフォンを取った、傑作。
アカデミーを獲ったマイケル・ケインの演技が光る。トビー・マクガイアも中々頑張ってる。
孤児院とそこで育った少年~青年が医師や、リンゴ園の娘との恋愛、リンゴ摘みに
毎年やってくる黒人たちとのふれあいで、人生に道を見つけていく「深い」映画。
タイトルは、シャーリーズ・セロンの家がやっているリンゴの絞り汁(サイダー)を作るための
作業員宿舎の規則のことだが、人生の規則、という別の意味合いも含ませている。
マサチューセッツや、メイン、バーモントなど、ニューイングランドの景色が美しく、人の心を
彩る映画に、色彩を添える。

1944年アメリカ・ニューイングランド地方のメイン州。孤児院で育ったホーマーは、ここの
医者であるドクター・ラーチ(A・アーキン)の手伝いをしながら、成長してきた。
ここでは望まれない出産をした子供が収容され、里子を欲しい親たちが、子供を貰いに
来るところであり、一方で、禁止されている堕胎をラーチ医師は行っていた。彼なりの倫理観
に裏打ちされての仕事だった。

ホーマーは、院の子供たちの人気者で、ラーチは、彼を自分の後継者にしたかった。
彼は、心臓が悪く、戦争に行かずにすんでいた。ある日、一人の軍人と美しい女性が
堕胎に訪れた。彼女キャンディ(シャーリズ・セロン)は、山の下にあるリンゴ園とエビ養殖を
経営する裕福な家の娘で、治癒して帰っていったが、夫は、ビルマ戦線に出征していった。

独立したいホーマーは、ラーチ医師らの説得を振り切り、院を離れ、キャンディの家で
リンゴ摘みを手伝うことになった。ここにはシーズンになるとローズ氏をボスとする黒人の
グループが、作業の手伝いに訪れる。宿舎に泊まって、作業を続けるのだ。
ラーチ医師からは、自分が院を追い出されるので、戻ってきて欲しい、との手紙が何回か
来るが、(ドクターバッグさえ送られてくる)、ホーマーはリンゴ園での生活が気に入っていた。
そこには愛するようになったキャンディがいるから、というのも大きな要素だったのだ。
彼らは体を許しあう中となった。

2シーズン目となり、再びやって来たローズ氏とグループ。しかしその中にいたローズ氏の
娘の様子がおかしい。妊娠していたのだ。助けたい、と救いの手を差し伸べるホーマー
だったが、娘はかたくなに断わる。実は、彼女は父親の子供を妊娠していたのだ。
ローズ氏も説得し、自分は医者だ、と宣言し、娘の堕胎手術をする。手術は成功したが、
娘は、どこかへ去っていってしまう。
ローズ氏は、自分のもとを去ろうとする娘に、女一人では何があるかわからないからと
自分のナイフを渡そうとしたのだが、娘は、これを勘違いして、もみ合いになり、ローズ氏の
腹を刺してしまう。
ベッドに血だらけになって横たわるローズ氏は、これは俺が娘に去られて動転し、自殺した
ことにしておくんだぞ、とみなに言って死んでいく。

一方、キャンディの夫がビルマで飛行機が落ち、一命は取り止めたが、蚊に刺されて
B型脳炎に罹り、下半身が不随となり帰国すると伝令が家に来た。
夫が帰ることは嬉しい半面、愛してしまったホーマーと分れるのも辛い。しかしホーマーは
キッパリ、キャンディに、夫を支えてあげて、といい彼女を諦める。

そんな事件の最中、院からラーチ医師がエーテルの吸いすぎで亡くなったとの手紙が
来た。ラーチ医師は、眠れないときに麻酔用のエーテルを吸って寝るクセがあったのだが
ある日、吸いすぎたのか、二度と起きることはなかったのだ。

この知らせを受けたホーマーは、ラーチ医師から贈られたドクターバッグを手に、孤児院に
戻ってきた。大喜びの孤児や看護婦たち。

そこで、ホーマーは一つの大きな秘密を知ることになる。実は、ホーマーの心臓は悪くは
無く、替わりに提出したレントゲンは、ホーマーが院にいるときに気管支炎で亡くなった
ファジーという子のものだったのだ。ラーチは、ホーマーが戦争に行ってしまうことに
耐えられなかったのだ。
そして、院付きの医師となった(免許はラーチ医師が偽造したもの)ホーマーは、孤児たちと
の暮らしを始めるのであった。
「おやすみ、メインのプリンス、ニューイングランドの王子たち」

ホーマーという孤児の成長(とっても2~3年ほどのことだが)を描いたものだが、そこには
ラーチ医師や、孤児、キャンディ、ローズ氏など様々な出会いがあり、それまで海さえ見た
ことの無かったホーマーが、大人になっていく姿を愛を持って活写した。

自分の世界を出て自分を見つけるホーマー。どんな人にもそんな瞬間てあるのではないか。
この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2008-02-27 23:10 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「フォー・ウェディング Four Weddings and a Funeral」
1994 イギリス Channel Four Films,118min.
監督:マイク・ニューウェル  脚本:リチャード・カーチス(アカデミー脚本賞ノミニー)
出演:ヒュー・グラント、アンディ・マクドウェル、クリスティン・スコット・トーマス他
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アメリカでも予想外の大ヒットを記録した、この作品の魅力は、グラントの軽妙な好演に
負うところが大きいが、何より優れているのがR・カーティスによる脚本である。
日記を読み返し、11年の間に65回の結婚式に出席していたことに気づいた彼が、
これまでムダにした土曜日への腹いせに一気に書き上げた脚本に、監督のニューウェルが
べた惚れ。主演にイギリスの色男、ヒュー・グラントを配し、洒落たロマンティックコメディ
に仕上げた。期待しないで観たが、とても面白かった。

4つの結婚式と1つのお葬式を綴ることで、主人公の恋が成就していく様や、さまざまな
愛の形を描いていく。
チャールズ(グラント)は、妹のシャーロットと二人で暮す。毎週土曜日、友達の結婚式に
出席、それもいつも遅刻し、付き添い人なのに指輪を忘れたり、披露宴でも、一言多い
会話で相手を怒らせたり、どうも自分の恋愛は上手くいかない。
ある結婚式で、アメリカ人の女性キャリーと出会う。お互いに惹かれあい、明日キャリーが
アメリカに帰る前夜、ベッドも共にするのだが、キャリーから結婚を前提に付き合うよう
云われて、「そ、それはちょっと」と言ってしまうのが運の尽き。

次の友達の結婚式の時には、歳の離れた富豪の婚約者を伴って来た。愕然とする
チャールズ。彼には、長年彼に思いを寄せているフィオナという女性や、アヒル顔と友人から
バカにされている女性など、女性の存在はいるにはいたが、チャールズはキャリーに
ぞっこん。

3番目の結婚式は、キャリーの結婚式。その披露宴で賑やかにスコットランドダンスを
踊っていたゲイの友達が突然死。その葬式に集った皆の前で、ゲイの親友が
オーデンの詩を捧げるのだが、これが素晴らしい詩。この詩は、この映画から有名になり
ダイアナ妃の葬儀の時にもHeをSheに代えて、朗読されたという。
「世界中にこの嘆きを伝えて。彼は私の全てだった。この愛は永遠だと思っていた。
彼のいない世界など何の意味も無い」という大意だが、「すべての時計を止めよ」で始まる
この詩は、内容も素晴らしいが、言葉の使い方がいい。「葬列の警官は手袋を黒くせよ」
など。

'Stop all the clocks, cut off the telephone. Prevent the dog from barking with a juicy bone.
Silence the pianos and with muffled drum / Bring out
the coffin, let the mourners come?'
Pour away the ocean and sweep up the wood; for nothing now can
ever come to any good.・・・・・

話しを映画に戻すと、4番目の結婚式は、ついに年貢を納めた自分の式。相手はあの
アヒル顔の女性だった。式場に来たキャリーは「もう離婚して一人身なの」とのたもう。
「そんなこと早く言ってよ!」とショックを受けるチャールズだが、式はもう目の前。
耳が不自由な弟に相談するが、いいいいアイデアはない。

そして式がスタート。神父の前で宣誓をするとき、「この結婚に異議のあるものは、今の
うちに申し出よ」というと、弟が、机を叩き、兄に手話で「本当にいいのか?自分の人生だぞ。」
と兄の背中を押す。神父が「あなたはこの女性を愛していないのですか?」と尋ねると
チャールズは「はい」と、ついに口にする。怒った新婦からきついパンチを浴びるが・・・。

そして、ついにチャールズとキャリーは結ばれることになるのだった。エンディングで
チャールズの妹を始め、友達たちが誰と結ばれていったかが、写真で示される。最後に
赤ちゃんづれのチャールズとキャリーの姿が・・・・。しかし、これらの写真の前のラスト
カットが、稲妻だったのは何かの寓意か?
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構えて見る映画ではないが、ホノボノとしていて脚本も良く出来ていて、なかなか楽しく
観ることのできるロマンティックコメディです。この年の英国アカデミー賞作品賞を獲る
(本家のアカデミーは作品賞はノミネート)だけの実力のある映画です。
みなさん大好きな「ノッティングヒルの恋人」のヒュー・グラント、こういう優柔不断な
色男をやらせると好いですね。最盛期のメグ・ライアンと共演させたかったな。
世代が違うからチョイと無理だけど。この映画の詳しい情報は

こちら
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by jazzyoba0083 | 2008-02-27 22:55 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「リトル・ミス・サンシャイン Little Miss Sunshine」
2006 アメリカ Big Beach Films,100min.
監督:ジョナサン・デイトン、バレリー・ファレス 脚本:マイケル・アーント
出演:グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン、ポール・ダノ
    アビゲイル・ブレスリン、他
 <2006年度アカデミー賞<助演男優(A・アーキン)、脚本賞受賞作品>
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アリゾナ州に住むフーヴァー一家は、てんでにトラブルを抱えていて崩壊寸前。
そんな一家が、ぼろぼろのワーゲンワゴンに乗って、末っ子のオリーヴが出場する
「リトル・ミス・サンシャイン」コンテストに向かう途中で、さまざまな出来事と遭遇し
家族を回復していく、というロードムービー。インディーズ作品ながら、アカデミー
作品賞にもノミネートされた傑作。「心温まる」とかいう単純な感想が、上手く当てはまらない
現代批判を辛口に内包しているといえよう。

一家の乗るワゴンは、家族と人生を象徴している。ラスト、押し掛けでしか動かない
ワゴンをみんなで押して、それぞれ飛び乗っていく様は、いかにも家族の再生を象徴して
いる。遡るが、途中でギアが入らなくなる、クラクションが鳴りっぱなしになるこのワゴンは
フーヴァー家そのものなわけでが。

家長のリチャードは、「成功への9つのステップ」という理論を組み立て、これを講演したり
しているが、出版の話を何とか成功させようとあがいている。
ママのシェリル(トニ・コレット)は、孤軍奮闘するが、ある日、「自分はアメリカ一のプルースト
研究家だ」というゲイで、シェリルの兄のフランクが、自殺未遂をして、うつになり、一家に
転がり込んで来た。長男のドウェーンは航空学校に入るまでは誰とも口を利かない、と
筆記で会話をするような引きこもりだ。(彼は後に、色覚異常であることが判り、パイロット
にはなれないことがわかるのだが)、そして末っ子のオリーヴは、素直ないい子だが、
カリフォルニアで開催される可愛い女の子を選定する「リトル・ミス・サンシャイン」大会への
参加資格が、ひょんなことから転がり込む。
そしておじいちゃんはヘロインをやる不良エロ老人だ。(気はいい老人なのだが)

オリーヴの参加する大会が、カリフォルニアであることから、アルバカーキから、西海岸
まで、飛行機でいくような距離を、おんぼろのワーゲンワゴンでみんなで行くことになった。
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途中で、クルマはさらに壊れるわ、ドウェーンが色覚異常であることが判り、彼が自暴自棄
になるわ、などトラブルは続く。
一番のトラブル?は、おじいちゃんがヤクのオーバードーズ?で死んじゃうこと。途中の
病院で検視はしてもらうが、このままだと大会に間に合わない。そこで一家は病院から
おじいちゃんの遺体を持ち出し、ワゴンに積んで、カリフォルニアを目指した。
しかし途中でクラクションが止まらなくなり白バイに止められ、すんでのところで遺体が
ばれそうになったり。

様々なトラブルを乗り越え2日掛かりで会場に到着するも、すでに受付の3時を5分過ぎて
いた。いじわるな主催者のおばさんは「規則は規則」と受け付けてくれないが、横にいた
スタッフの音響係りのオジサンに救われて、参加は出来ることになった。
でも、出場するのはみんなジョンベネ級の可愛い女の子ばかり。田舎娘のオリーヴは
逆に目立ってしまう。
この事態を見た、兄と父は、オリーヴが恥をかいてしまうから出場は止めろ、と母に
迫るが、これまでオリーヴがしてきた努力をここで止めることは出来ないわ、とステージに
上げる。オリーヴの踊りは、おじいちゃんに教えてもらったマドンナのエロっぽい、とても
子供が踊るようなダンスではないような踊り。会場から非難の声があがり、主催者は
司会者に、踊りを止めるように命令するが、家族が全員ステージに上がってオリーヴを
応援し、最後まで踊りきらせる。シーンとする会場。追い出される家族。
もちろん賞など望むべくもなく、一家は、また押し掛けのワゴンに飛び乗り、アルバカーキ
へ戻っていった。しかし、来たときとは全く違った家族になっていた・・・・。

家族は、「家族である」のではなく、「家族になる」ために、それぞれの理解と努力が必要、
なんてことを感じた次第。
おじいちゃんの「ホントの負け犬は、負けることを恐れて何も挑戦しないヤツらだ」という
セリフがカッコいい!
愛に満ちた、ナイスな映画でした。
この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2008-02-26 22:40 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

●「プライベート・ライアン Saving Private Ryan」
1998 アメリカ Paramount Pictures,Dream Works SKG,170min
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス、トム・サイズモア、エドワード・バーンズ、バリー・ペッパー、
    アダム・ゴールドバーグ、ヴィン・ディーゼル、ジェレミー・デイヴィス、マット・デイモン他

<1998年度アカデミー賞 監督、撮影、音響、音響効果編集、編集賞
                      ゴールデングローブ 作品、監督賞 受賞作品>

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3度目の鑑賞となる。いつ観ても凄い映画だ。これ以降よく比較される「父親たちの星条旗」
とは、似て非なるもののようでいて、イーストウッドとスピルバーグが言いたいところは通低
しているような気がした。

この作品は様々な評価に晒されているが、私は戦争と人間を描いた映画としては映画史に
残る作品であると考える。正面切った反戦映画でもない、しかし愛国の匂いはする。
この年のアカデミー賞の作品賞は「恋に落ちたシェークスピア」であり、この作品が作品賞
を獲れなかったのが、ある意味、アカデミー会員たちの気分を、表している気がする。
それとこの年に作品賞にノミネートされていた「ライフ・イズ・ビューティフル」と、これまた
対照的な出来で、この映画は主演男優賞(ロベルト・ベニーニ)を獲得している。これも
アカデミー会員の気分を表しているような気がする。

語り継がれている、オマハビーチの地獄の戦闘シーン。リアリズムに徹した描写、動きまくる
ハンディの映像、映画館では小銃の空気を切る音がサラウンドで飛び交っていた記憶が
ある。思わず頭をすくめたくなるような30分だった。
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ライアン家の4人兄弟のうち3人までもが1週間のうちに戦死するという事態に、陸軍の
マーシャル参謀総長は、末っ子のジェームズ二等兵(マット・デイモン)を戦場から帰国
させる命令を出す。ライアン家が断絶してしまうからだ。

この任務を受けたミラー大尉(トム)以下の8人。ノルマンディーの海岸から、フランスの
国内に、ライアン二等兵の捜索に出かける。ライアンは空挺部隊で、どこに落下したか
全く判らない。途中で出会う仲間たちに聞き取り、死んだ兵士の認識票をチェックしつつ
進む。途中でドイツ軍に出会いながら、何とかかわしながら、ライアン二等兵を
探し当てる。
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しかし、すぐそこにドイツ軍は迫っていて、しかもライアンたちがいた町の橋を落とさなければ
ドイツ軍の戦車が、フランスに入ってきてしまう。爆破もしなければならない。
この町の防衛に当たっていた空挺部隊と協力して、戦車を待ち伏せし、橋を破壊しようと
地雷を埋め、火炎瓶を用意し、教会の鐘楼にスナイパーを配し、靴下にTNT火薬と信管を
入れて、グリスを塗り、戦車に貼り付ける「くっつき爆弾」を手作りし、敵の現れるのを待った。

8人の仲間のうちライアンを見つけ出すまでに2人を失い、自分たちの任務がなんの役に
たつのか、疑問符だらけの兵隊たち。「どこに気の進む任務があるか?」とボソリと
つぶやくミラー大尉の言葉が重い。戦争とはそういうものだ。理不尽の塊なのだ。
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途中の作戦で仲間を殺したドイツ兵。さかんにアメリカにおべんちゃらを使い、国家まで
唄い、ヒットラー殺せ!とかいっていたやつを、ミラー大尉は逃がす。捕虜の処刑は
国際法で禁止されていると主張するアプム伍長。
しかし、彼らがライアンを見つけ守ろうとした町の攻撃に現れたドイツ軍の中に、この男が
いて、そいつの銃が、ミラー大尉を打ち抜く。
一方のアプムは、銃弾を首に巻きつけて、運ばなくてはいけないのに、怖さで足がすくんで
歩けない。

ミラー大尉たちは劣勢に立たされ、銃弾も尽き始めた。そして、橋を爆破するスイッチを
拾おうとしてくだんのドイツ兵に撃たれるミラー。万事休す。倒れたまま、拳銃を虚しく
戦車に向かって発射するミラー。何発目かに戦車が大爆発する。立ち上がった煙の
中から、P-51の編隊が現れたのだ。勝利は獲得した。
しかし、ミラー大尉は帰らぬ人となり、ライアンは故郷に帰っていった。
最後にミラーはライアンに耳うちする。「しっかり生きろ」と。

戦後ライアンは一日としてミラーのこの言葉を忘れずに生きてきた・・・・。

戦車が短銃で爆発、実は戦闘機、なんてアイデアはいかにもスピルバーグ好み。インディ
ジョーンズでやりそうなことだ。
この手の戦争映画は、右から左から御託をたらべ始めるときりが無い。なので、自分が
この映画で何を感じたかを素直に反芻すれば良いのだ。あるいは好きか、嫌いか、でもいい。
私は、ユダヤ人のスピルバーグらしい、内省的に(どこが、と問う人は問えばいい)戦争の
理不尽さ、横暴さ、を静かに(どこが静かかと問う人は問えばいい)訴えた作品だと思う。
尚この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2008-02-25 23:55 | 洋画=は行 | Comments(0)

パッチギ Love&Peace

●「パッチギ Love&Peace」
2007 日本 シネカノン 127min.
監督:井筒和幸
出演:井坂俊哉、中山ゆり、西島秀俊、藤井隆、風間杜夫、手塚理美、ラサール石井他
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前作は京都を舞台に「イムジン河」が流れる恋愛映画、背景に日朝問題が横たわっていた
ように感じた。主演の沢尻エリカもあの頃は良かったね。
で、続編。なんか、政治向きの話が大フィーチャーされて、日本での在日がいかに迫害
されてきたか、そして現在の在日たちがいかに勇気を持って立ち上がっているかという点に
力が入れられているように感じた。相変わらずBGMはイムジン河だが・・・。

1974年、東京。いきなり国士舘大学生と在日たちの電車内でのケンカから始まり、
先の大戦で朝鮮半島から徴兵される直前に仲間と逃亡した父を誇りに思うキョンジャ
(中山)は、焼肉店のバイトをしていたが、有名になりたい、と芸能プロにスカウトされ芸能界
に飛び込む。
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社長(でんでん)は、多分在日だんだろうな、彼女を上手く売り込み、雑誌のグラビア
アイドルまでになる。そして大作映画の主演女優オーディションに出かけるまでになった。
しかし、在日であることがネックで一旦、ダメになるが、彼女はプロデューサー(ラサール)と
寝ることで役を得る。そして芸能界で何くれとなく親切にしてくれていた野村と割りない仲に
なる。が、カラダの関係になり、キョンジャが親や兄弟に会ってくれというととたんに態度を
豹変させ、「日本人とは人間の種類が違うんだよ」とかほざく。失望するキョンジャ。

一方、兄のチャンスは、息子の病気を治すために京都から東京に越してきていた。
息子は筋ジストロフィーと思しき難病に冒されていて、キョンジャの芸能界入りも、甥っ子を
助けるための金を稼ぐ目的もあったのだ。
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そして映画は完成し、舞台挨拶に立ったキョンジャは、自分の父はチェジュドからやってきて
戦争中は逃げていたと語り始め、自分は在日だ、と打ち明ける。
出演した映画が特攻を美化するような映画だったので、「国のために死ぬより、逃げて生きて
帰った父を誇りに思う」と語った。
大騒ぎになる劇場内。再びケンカが始まったのだ。

面白くは観たが、前作との趣の相違にいささか戸惑った。前作とか「チルソクの夏」などは
青春恋愛映画として好きだが、本作は、井筒監督の暴力にも前作ほどの乾いた笑いが無い。
どこか湿っぽいんだな。
チャンスとキョンジャの父親たちの戦争中のシーンがたびたび挿入されるのだが、これが
恋愛映画になりきれず、「反戦」と日本がいかに朝鮮半島に酷いことをしてきたか、という
主張が前に出てしまい、爽やかさがそげてしまったのだろう。惻隠として日朝の悲劇を
感じさせる前作の方が、映画として上等であったと思うのだが・・・。
この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2008-02-23 00:06 | 邦画・新作 | Comments(1)

●「フランス軍中尉の女 The French Lieutenant's Woman」
1981 アメリカ Juniper Films,123min.
監督:カレル・ライス  原作:ジョン・ファウルズ 脚本:ハロルド・ピンター(アカデミーノミニー)
出演:メリル・ストリープ、ジェレミー・アイアンズ、リンジー・バクスター他
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このところ、不思議な感覚の映画を観る機会が続くが、これもそうした類の映画だろう。
「フランス軍中尉の女」とは、劇中で作られる映画のタイトル。この映画の主役がアンナ
(メリル)であり、相手役の古代生物学者がマイク(ジェレミー)。
この劇中映画がハンパでなくしっかり作られているので、いや最初のうちはこちらのほうの
ボリュームが多く、現在の二人のやり取りはカットバックくらいににしか差し挟まれないので
どんな映画が始まったのか、どこまでが芝居で何処までが現実が、判らない時間帯がある。

それが、現実のボリュームが次第に増えてきて、劇中で展開されている不倫関係が、現実
にも起きていることと重なっていく。劇中映画のストーリーはこうだ。
舞台は1800年代半ばのイギリス。考古学者のチャールズは、研究に訪れた地で、一代で
財をなした金持ちの娘メアリーを見初め、結婚を申し込み婚約をする。幸せにつつまれて
いた二人の前に、「悲劇さん」と皆が呼ぶ女(メリル)が現れる。港の突堤の先端で
波にさらわれる危険も厭わず、去っていたフランス軍中尉の帰りを待つサラであった。

危ないから、といって声を掛けたチャールズと二人にあっという間に恋が芽生えた。
チャールズはメアリーに真実を告げ、「紳士」の資格も剥奪され、使用人のサムにも去られ
尾羽打ち枯らしてしまった。サラと一緒になるためだったのに、サラはチャールズの前から
姿を消す。そして3年後。
ついにチャールズはサラを発見する。すでに金持ちの家の家庭教師に納まっていたサラは
フランス軍中尉の帰りなんてウソで当時はあなたを利用しようとしいたと告白、許しを請う。
彼女から自分の居所をチャールズに教えたのだ。そして、二人はボートに乗って未来に
漕ぎ出した。何もないが二人の愛だけはあった。

そして現実は、アンナもサムもお互いに家庭があった。共演中に愛し合うようになった
二人だが、迫るサムに、アンナは自分の生活を守ろうとする。映画のように上手くは
いかなかったのだった。
というメロドラマであります。アカデミー脚本賞にノミネートされるだけのことはあるしっかり
した脚本であることは確か。メリルもアカデミーこそ逃したがゴールデングローブ主演女優賞
は獲得している。「フランス軍中尉の女」という映画をちゃんと観てみたいと思った次第。
因みにこの1981年の主演女優賞は「黄昏」のキャサリーン・ヘプバーン。私にとって
思い出深いのは「アーサー」のテーマソング「ニューヨークシティセレナード」(バカラック
作曲)が、歌曲賞を獲ったことだな。
尚この映画の詳しい情報は

こちらまで。
by jazzyoba0083 | 2008-02-22 23:30 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「今宵、フィッツジェラルド劇場で A Prairie Home Companion」
2006 アメリカ GreenStreet Films,River Road Entertainment,105min.
監督:ロバート・アルトマン 原案・脚本:ギャリソン・キーラー
出演:メリル・ストリープ、リリー・トムソン、ギャリソン・キーラー、ケヴィン・クライン
    リンジー・ローハン、ヴァージニア・マドセン、ジョン・C・ライリー他
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 2006年11月20日、惜しまれつつこの世を去った巨匠ロバート・アルトマン監督の
遺作となったシニカルでハートウォーミグな群像ドラマ。
実在の人気ラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」をモチーフに、番組の
名物司会者ギャリソン・キーラー本人(本人として出演)が手がけた脚本を豪華キャストで
映画化。
長年続いた公開ラジオショウがついに最終回を迎え、様々な思いを胸にステージに立つ
出演者それぞれの悲喜こもごもの人生模様が、哀感とユーモアを織り交ぜつつ、
アルトマン監督ならではの軽妙な語り口で鮮やかに綴られる。(By Allcinema)

この映画の前に観た「アダプテーション」がとても判りづらい映画だったし、アルトマンの
映画は好きだけど、判りやすいか、といえば決してそうではない。群像ドラマを得意とする
アルトマン監督だが、それぞれはわかりやすいストーリーだが、まとまると何を言いたい
のか判らなくなることがある。「ショートカッツ」「ザ・プレイヤー」などだね。それに長いし。
と、思って警戒して見始めたこの映画はWOWOWのメリル・ストリープ特集の一環。

上記の印象がまるで裏切られた、実にいい映画だった。最終回を迎えたラジオ番組に
出演するいくつかのミュージシャンの群像ドラマだが、心温まる、いかにも老境に達した
アルトマンの遺作に相応しい(といったら褒め言葉になるとは限らないが)作品だと感じた。
観ているうちに、胸が熱くなり、泣きそうになった。何故か。人間の暖かさがそこには
描かれていたからだ。それに忘れないうちに書いておくが、冒頭、タイトルから劇場へ変り
そこへズームインし、再びズームアウトする一連の映像は、息を呑むほど「粋」で
カッコイイ。
みんなに自慢したい好きな映画がまた一つ増えた。邦題も上手くつけたと思う。

 ミネソタ州セントポールのフィッツジェラルド劇場。毎週土曜の夜、ここで長年に渡って
公開生中継が行われてきた人気ラジオショウ「プレイリー・ホーム・コンパニオン」。
この日も収録を前に、出演者たちが次々と楽屋入りする。物語のナレーションは探偵だけど
ヒマしていてこの劇場の保安係をしているガイだ。
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下ネタいっぱいのカウボーイシンガー、ダスティ&レフティ、ベテランシンガー、チャック、
カントリー・デュオのジョンソン姉妹。妹ヨランダ(メリル)は娘のローラ(リンジー・ローハン)
も同伴させていた。一方、番組の保安係ガイは、劇場に現れる謎めいた美女(ヴァージニア・
マドセン)の噂を口にする。
そんな中、今宵も司会者ギャリソン・キーラーのいつもと変わらぬ名調子で番組は
スタートした。実は、テキサスの大企業によってラジオ局が買収されてしまい、これが
最後の放送になることが決まっていた。しかし、キーラーはなかなかそのことをリスナーに
切り出せなかった…。(By Allcinema)

謎の女性とは天使であり、この劇場を買収に来た男(トミー・リー・ジョーンズ)をクルマの
事故で死なせたり、善に味方し悪を懲らしめるのだ。
主にカントリー・ウエスタンの歌が多いが、1時間40分、リアルタイムでショーを見物して
いる気分になる。途中でコマーシャルもしっかり入るし。俳優でもない司会者のギャリソン・
キーラーが、歌が上手いし演技も自然でビックリ。司会をしながら歌うんだもん。それに
メリルの歌がこれまた上手いんだな。
公演の最中に老シンガー、チャックが突然死するのだが、天使が「彼は旅立ったのよ。
老人が死ぬのは悲しいことではないのよ・・・」。このセリフがとても印象深い。登場人物は
初老期にかかった人が多く、「死」の臭いもする全編である。歌われる歌もそんなものが
多い。しかし、そこに悲惨なムードはない。未来を向いているような明るささえある。
とてもいとおしい1時間40分だ。アルトマンにしては掌編ではあるが、「スワンソング」に
相応しい作品であるといえよう。それにしてもこの監督がアカデミー賞と無縁であった
(名誉賞のみ)とは不思議な感じだ。
最後にこんな愛らしくも小粋な作品を残してこの世を去っていったアルトマン監督にお礼と
拍手をたくさんさしあげたい、僭越ながら。
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                          ★Many thanks to Robert Altman
この作品の詳細は

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by jazzyoba0083 | 2008-02-16 23:30 | 洋画=か行 | Comments(1)

●「アダプテーション Adaptaion」
2002 アメリカ Beverly Detroit,Cinema Estetico,115min.
監督:スパイク・ジョーンズ、製作総指揮・脚本:チャーリー・カウフマン
出演:ニコラス・ケイジ、メリル・ストリープ、クリス・クーパー、ティルダ・スウィントン他
<2002年度アカデミー賞助演男優賞、2003年ベルリン国際映画祭・銀熊賞
      2002年度ゴールデングローブ助演男優、助演女優賞など多数受賞作品>

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「マルコヴィッチの穴」の監督・脚本コンビが再び放つ奇想天外コメディ。
脚本のチャーリー・カウフマンが蘭コレクターの驚くべき世界を描いたスーザン・オーリアンの
ベストセラー・ノンフィクションの脚色に取り掛かるも全くはかどらずに苦悩する姿を、
虚実入り乱れて描く。
主演のニコラス・ケイジがチャーリー・カウフマンとその双子の弟ドナルドの二役を熱演。
 
 脚本家チャーリー・カウフマンは「マルコヴィッチの穴」の成功で、一躍次回作を期待される
存在となった。そんな彼のもとにある日、仕事の依頼が舞い込んでくる。
それは、作家スーザン・オーリアン(メリル)がフロリダで蘭を不法採集した栽培家
ジョン・ラロシュ(クリス・クーパー)を描いたノンフィクション『蘭に魅せられた男 驚くべき
蘭コレクターの世界』の脚色。
だが、チャーリーはさっそく作業を始めるものの、全然アイデアがまとまらず悶々とした
日々が続く。一方、彼とは対照的に陽気な双子の弟ドナルドも脚本家めざして養成セミナーに通い始め、あっという間に脚本家デビューを果たす…。(By Allcinema)
しかし、スーザンとラロシュは、ミイラ取りがミイラになるように、危ない関係になるのだった。
それは蘭の一種にある麻薬だった・・・。
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う~む!判りづらい映画だったな。現実と虚構が入り乱れて、理解しながら見るのに疲れる。
エンドロールにクレジットされる、ドナルド・カウフマンは実在しない。
「マルコビッチの穴」は観ていないが、多分この手のわかりづらい映画だろうな。
1週間前に観たばっかりなのに既に思い出せない。その程度の映画です、私にとっては、
ですよ。賞をたくさん獲っているところから見ると、ある種類の映画としては、良く出来ている
のでしょうね。苦手な映画でした。タイトルの「アダプテーション」が映画と実在を結ぶ
キーワードである、ことは判りましたが。
この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2008-02-15 22:30 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「あるいは裏切りという名の犬 36 Quai des Orfebres」
2004 フランス 110min.
監督・脚本:オリビエ・マルシャル
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー、アンドレ・デュソリエ他
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原題は、パリ警視庁の所在番地(行ったことある。入ろうとして止められた。当たり前だけど)
だが、それでは何のことだか判らない。そこにこの邦題。これをつけた人は天才だね。
というかフランスのエスプリを判っている人だね。それじゃなければ、「あるいは」とか
「犬」とか付けられないでしょう。タイトルだけでこれだけ盛り上がれる映画も珍しい。

内容だが、パリ警視庁のBRI(探索出動班)所属の正義感あふれるレオ・ヴリンクスと、
この組織とことごとく対立しているBRB(強盗鎮圧班)所属の権力志向の強いドニ・クラン。
この二人の男を、フランスを代表する名優ダニエル・オートゥイユ(ヴリンクス)とジェラール・
ドパルデュー(クラン)が堂々の演技で演じきる。

かつて親友だった2人は、同じ女性カミーユを愛した過去を持ち、彼女がレオと結婚して以来
友情は壊れ、現在では次期長官候補として激しく対立するライバル関係にあった。ある日、
現金輸送車強奪犯のアジトを突き止めた警察はレオの指揮の下、包囲作戦を展開する。
ところが、出世を焦るドニの不用意な行動が原因で作戦は大失敗に帰す。
窮地に陥ったドニは、ある裏情報を基にレオを密告、はめられたレオは刑務所送りになる。
その間、ドニの秘密を握るタレコミ屋シリアンを、レオの妻ともども殺してしまう。
そして、ドニは長官のイスを手に入れたのだった。

服役を終えて、街に出てきたブリンクスは、ドニの長官就任祝賀パーティーに現れ、ドニの
非道を指弾する。そして、ギャングに仲間を殺す情報を流したのはドニだったという情報を
流し、激怒したギャングは、会場から出ていったブリンクスを追って外に出てきたドニを
バイクから通り過ぎざまに射殺して去っていった。
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妻の復讐を終えたブリンクスは、遠くへと去っていったのだ。

フランスのフィムルノアールはこうしたもんだよなあ、といういい感じの映画だ。ストーリーも
判りやすく、落ちもちゃんとしているし。何よりも、主役の鼻がでかい上に二人とも曲がって
いる男たちが、渋くてとってもいい。男のにおいプンプンの映画だな。ハリウッドは作らない
タイプの映画で、欧州映画の傑作として楽しむことができる、と思っていたらハリウッドで
リメイクするんだと。あの味はだれがやっても同じ雰囲気は出せないだろな。
尚この映画の詳しい情報は

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by jazzyoba0083 | 2008-02-12 22:30 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「殺意の香り Still of the night」
1982 アメリカ MGM Pictures,United Artist 91min.
監督・脚本・原案:ロバート・ベントン
出演:メリル・ストリープ、ロイ・シャイダー、ジェシカ・タンディ、ジョセフ・ソマー他
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偶然とはあるもので、ロイ・シャイダーの訃報に接したその夜、観始めた映画にロイが
主演で出ていた。WOWOWのメリル・ストリープ特集の1つが、私にとっては図らずも
ロイの追悼映画の形になってしまった。
私にとってロイといえば、やはり「ジョーズ」の保安官、「ブルーサンダー」「オール・ザット
ジャズ」などが印象深い。ボクシングで鼻をつぶしてしまったあの顔は一度見たら
忘れられない。04年に多発性骨髄症を発症、薬石効なく、帰らぬ人となった。まだ75歳
だった。今の時代そんなに歳でもないのに。残念だ。合掌。

そのロイが51歳のときにメリルと競演した、サスペンス。メガフォンを取ったのは
この3年前「クレイマー・クレイマー」で名を上げたR・ベントン。
作品としては、極めてオーソドックスな正統派なサスペンス。一人の男がクルマの中で
殺されていたところから物語は始まる。精神科医サム・ライス(ロイ)の元にブルックと名乗る
女(メリル)が、現れた。彼女は殺された男と愛人関係にあり、部屋に忘れていった
時計を奥さんに返してほしいと依頼してきた。そこに刑事が。そう、殺された男もサムの
患者だったのだ。サムはブルックを裏口から逃がし、刑事には適当な返事をしておいた。

やがて、サムはブルックが殺された男がオーナーをしていた骨董店に勤めていたことを
つきとめ、彼女に接近、ある日オークションを見学するといって、彼女のオフィスやってきて
彼女が落としたカギを使って彼女の机の中を覗いてみた。そこにはばらばらにされた
新聞の切抜きが。部屋から出ようとしたところを彼女に見つかり、自分の周辺をかぎまわる
サムは、ブルックから「さよなら、ドクター」と別れを告げられる。

彼女の行方が判らなくなったサムはブルックの同僚のゲイルに、彼女の居場所を尋ねる。
すると、ロングアイランドの両親の家ではないか、と教えてくれる。急ぐサム。
やはりブルックは親の家にいた。そこで彼女は自分の身の上を語り始める。ブルックの
父親は、彼女に対し変質的で、あるひ幼い彼女に迫ってきた父からのがれようとして、
父は手すりを破って高いところから落下し、即死してしまった。これが彼女トラウマだったのだ。

そして、以前診察に来たブルックと付き合っていた骨董店主の夢の話から、店主を殺した
のは同僚のゲイルだということに気がついた。ゲイルも店主の愛人で、ブルックが雇われた
ことから、その存在に嫉妬したのだ。そしてそのころ、ゲイルは刃物を手にしてブルックの
家に入り込んでいた。背後から迫ったゲイルに背中を刺されるサム。そして魔の手は
ブルックのところへ。断崖絶壁に建つ家のベランダで包丁をかざすゲイル。しかしそのとき
怪我をおしてきたサムともつれ合い、ゲイルは断崖の下の岩場に転落していった・・・。

始め、メリルが怪しいと思わせておいて、最後はかなり強引な犯人登場と。四半世紀前の
映画とはいえ、まあクラッシックなできだこと。ロイもメリルも肩の力が抜けた演技で
安心感はあるが、逆にサスペンスに必要な緊張感が薄いように感じた。
尚この映画の詳しい情報は

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まで。
by jazzyoba0083 | 2008-02-12 22:30 | 洋画=さ行 | Comments(0)