11:14~惨劇の11時14分~

●「11:14 ~惨劇の11時14分~」
2003 アメリカ・カナダ MDP Worldwide,86min. 日本劇場未公開
監督・脚本:グレッグ・マルクス
出演:ヒラリー・スワンク、パトリック・スウェイジ、レイチェル・リー・クック、バーバラ・ハーシー他
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まあ、この手の映画は日本ではビデオスルーになってしまうのは仕方がないと思うものの
なかなか面白いストーリーで、しっかり観てしまいましたよ。1時間30分弱というのも適当。
それ以上長くなると、判りづらく粗が見えてくるでしょう。

夜中の11時14分に起きる事故。そこに至るまでの数人のストーリーが、全てリンクしながら
描かれていく。オープニングタイトルもなかなか洒落ている。出てくる人物がすべて少々
痛い人々であるのが深刻でなくていいのかもしれない。

ある日の夜11時14分に、酒を飲みながらクルマを運転し、ケイタイで電話しているジャック、
電話を終えると、歩道橋から人が降って来てフロントグラスに直撃!
すっかり何かをはねてしまったと舞い上がってしまったジャックだが、鹿が出没する地帯だったので、恐る恐る外に出てみると、倒れていたのは鹿ではなく人間だった。

全てはここからスタート。通りがかりの奥さんに声を掛けられ、私署長の友達だから警察に
電話してあげる、というがジャックは自分でかけたからいい、と断わる。
しかし奥さんは勝手に警察に電話。パトカーが来る間、ジャックは死体をシーツにくるんで
トランクに隠す。(このあたりの対応が見ていて間抜けで苛立たしいが)駆けつけたパトーカー
の警官に、まんまとばれてしまい逮捕。パトカーの後部座席に座らされそうになったが
すでにそこには二人が手錠に繋がれていた。ジャックはお尻のポケットにいれてあった
小さなはさみでビニル製のヒモ手錠を切り、逃亡。

逃げた先には先ほどの奥さんの家があり、ダンナがいない、とわめいている。娘が交通事故に
あったというのだ。そんなときにダンナがいない、あなたさっきの人ね、探して頂戴と
声を掛けるが、「まさかあなたが跳ねたのが・・・ウチの娘を!」と詰め寄る。
ジャックは「え?娘??」。彼が跳ねたのは男だった。(顔は酷く潰れていたが)

その時追いかけてきた警官が銃を突きつけるが、またジャックは逃げる・・・。

一方、家のワゴンを借り出して、街を徘徊しているワル3人組。窓からションベンをしたり、
行き交う車に何かをぶつけたり、していた。突然飛び出してきた女を跳ねてしまう。
女のところに走りよってきたオトコが、逃げるワゴンに銃を2発浴びせる・・・・

結局、ジャックの事件を警察に連絡した奥さんの子どもがシェリーという少女で、彼女が
3人組のワゴンに跳ねられたわけだ。オヤジはシェリーがアーロンという男と出ていった
ことから、後をつけると墓石で顔が潰れたアーロンの遺体があった。娘が殺したと動転した
オヤジ(スウェイジ)は、彼を自分のクルマにつんで、陸橋に運びそこから道に落としたのだ。
それがジャックのクルマにあたったのだった。

シェリーはダフィというボーイフレンドがいながら、アーロンとも付き合っていて、ダフィに
妊娠したから堕胎する金を500ドル都合してくれ、と迫る。困ったダフィは勤める雑貨屋の
女店員バジー(スワンク)に、強盗を装って店の売り上げ1200ドルを奪い、山分けしようと
誘う。妹が難病のバジーはいったんは断わるが、合意する。しかしオーナーにばれると
首になるので、自分を撃て、という。
そんな話をしているときに、シェリーが店にやってきた。シェリーはダフィーに金の用意は
出来たか、と聞きに来たふりをして、ダフィーのポケットからクルマのカギを奪い、クルマの
中にあったボーリングのボールを奪って、アーロンが死んでいる墓場へいったのだった。

なぜならば、アーロンが誘いに来て、出て行ったシェリーは、墓場の中でセックスの最中
アーロンの頭上のマリア像の頭が落ちてきて死んだのだった。慌てたシェリーは
ダフィーのクルマから盗んだボーリングのボールで何をしようとしたのか。

途中でシェリーのクルマはエンスト、そこにダフィーがやってきて、声を掛ける。
ダフィーは先ほど雑貨店でバジーを撃って、金を奪い逃げてきたところだった。しかし、
店から離れていく、シェリーはダフィーがバジーを本当に撃ったと勘違いして、警察に連絡
してしまう。
声を掛けられたシェリーは、道を渡ってダフィーの方に向かうところでケイタイに気を奪われ
走ってきたワゴンに跳ねられたいうわけだ。

雑貨店に急行したパトカーの警官は、まず腕に怪我をしているバジーを救助、病院に向かう
途中で、シェリーの事故に遭遇、そこにいた男が、通報があった強盗にそっくりなので、
銃をもっていた(逃げたワゴンを銃撃したのはダフィー)ダフィーを逮捕、バジーに彼が強盗
か、と聞く前に、自分も共犯だとバジーは告白する。二人をパトカーの後ろに乗せたところで
無線からクルマが鹿に跳ねられたから現場に行け、と言われる。「今か?」と聞くと
「署長の友達らしいから」と。そしてパトカーは二人を乗せて、ジャックが、実はアーロンを
跳ねた現場に到着した、というわけだ。

さらに、シェリーが跳ねられる直前にケイタイをかけていたのはなんとジャックだったのだ。
冒頭、何かが降って来て事故に会う前に電話していた相手とはシェリーだったのだ。

という風に、誰もがつながりをもってリンクしていくダイナミックな展開は、お見事だった。
一昨年だったか、アカデミー作品賞を獲った「クラッシュ」という映画を思い出した。
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by jazzyoba0083 | 2008-04-29 22:20 | 洋画=あ行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「フィッシャー・キング The Fisher King」
1991 アメリカ Tristar Pictures,137min.
監督:テリー・ギリアム 脚本:リチャード・ラグラヴェーネーズ
出演:ロビン・ウィリアムズ、ジェフ・ブリッジス、マーセデス・ルール、アマンダ・プラマー他
<1991年度アカデミー助演女優賞、ゴールデングローブ 男優、助演女優賞、
                            ヴェネチア映画祭銀獅子賞など受賞作>

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"I like New York in June,how about you? I Like Gershwin tune, how
about you? " レイ・クーパーとジョージ・フェントンの作品を、ハリー・ニルソンが歌っている
エンディングソングが、またいい。この歌、映画のキーになっている。小洒落た大人の
NYの雰囲気にピッタリだ。(もともとは、1941の「Babes on Broadway」でジュディ・
ガーランドが歌い、オスカー候補になった名曲。ジャズに数々の名演あり。なおこの年の
オスカー歌曲賞は“ホワイトクリスマス”)ニューヨークを舞台にしたお気に入りの映画が、
また一つ増えた。いやあ~!いい映画でした。
久しぶりに登場人物に感情移入できた映画だった。音楽も良かったし。やはり脚本がしっかり
しているのだな。お話しが、ファンタジー入っているけどしっかり大人の恋物語になっている。

WOWOWでの鑑賞だったのだが、最初、釣りのチャンピオンかなんかの映画だと思っていたので、HDDの中で長らく眠っていた。もっと早く観ればよかったよ。

監督はモンティ・パイソンシリーズのテリー・ギリアム、ロビン・ウィリアムズは説明の必要が
ない、ジェフ・ブリッジスは私としては「ドア・イン・ザ・フロア」以来のお目見え。
アカデミーを獲ったマーセデス・ルールは存在は知っていたもののしっかり観たのは
初めてかな。ロビンの恋人役のアマンダ・プラマートこの4人の配役は絶妙だった。

NYのラジオDJ、ジャック・ルーカスはリスナーとの危ない会話で人気を博していた。ある夜の
番組で、ヤッピーなんてこの世から絶滅すべきだ、と言ったことから、真に受けたちょいと
おかしいヤツが、ヤッピーが集るバーにショットガンを持って乱入し、7人を射殺するという
事件を起こしてしまった。
この事件で社会からも指弾され、責任も感じたジャックは引きこもりになり、足にブロックを
結びつけてハドソン川に身を投げようとした。

そこにチンピラが現れ絡まれそうになったとき、中世の騎士よろしく現れて、ジャックを救った
のがペリーと名乗るホームレスだった。彼は、聖杯を探す役目を持って任じていたが
どう見てもちょっとイカレていた。ペリーはジャックに聖杯を奪う役目をいいつける。聖杯は
今やNYのさる金持ちの元にあるのでそれを盗むのだと。
イカレたホームレスと思っていたが、ペリーの正体は、大学教授で、あの7人射殺事件の
被害者の中に彼の妻がいたのだった。この事件で彼は精神的におかしくなってしまったのだ。
彼は、時々炎を吐きながら追ってくる赤い馬と騎士が見えてしまい、それから逃げることに
必死なときがあった。赤い馬こそ、彼のトラウマそのものだった。

そのことを知ったジャックは、彼を何とかしたいと思うが、金を渡せば他人にやっちゃうし、
目が離せなくなってしまう。やがて彼が出版社に勤めるリンダ・シンクレアという女性が
好きであることつきとめ、この二人をくっつける作戦にでる。

ジャックには、ビデオ店のオーナーのアン(マーセデス)という彼女がいて、落ち込んだ彼を
励まし、食事をつくりと世話をし、ジャックはアンの家を自分の家としていたのだったが、
彼女と協力してペリーとリンダをデートさせる作戦をたてた。

ジャックはリンダの勤め先を突き止め、ビデオの無料パスが当選した、というメッセージを
電話で伝える、そして是非店に来いと。しかし疑ったリンダは電話を切ってしまう。
そこでさらにオカマを会社に派遣し、当選の歌をプレゼントして、店にさそうのだった。

さすがにこれでリンダは店にやってきた。ペリーを店員に仕立てて、リンダに接客させるが
上手く行かない。しかし食事をする約束を取り付けた。
このリンダという女性も、ドジで間抜けで、友達も少ない変な女の子なのだ。
デートの日、ジャックはペリーに自分の服をホッチキスで寸を縮めて着せて、髪も洗い
さっぱりさせた。一方、リンダは、店に来た時にアンのネイルアートが気に入り、アンに
やってもらうことに。その晩、中華料理店でダブルデートが決行されたのだ。
ドジなリンダとそれをカバーしようとして自分もドジってみせるペリー。あきれるやら爆笑する
やらのジャックとアン。
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食事も終わって、リンダを送っていくが、リンダは「これから家に行ってコーヒー飲んで、
泊まって行って、それでおしまいでしょ。始めから判っているのよ」と嘆く。ペリーは
「君のアパートには泊まらないよ。またあって欲しい。愛しているから。キスが出来たら
最高さ」と真心を吐露する。家に入っていったリンダを見送って一人になったペリーに
またあの赤い馬が襲ってきた。NYの街を必死に逃げるペリー。不思議な光景に振り返る
人々。追い詰められたペリーはハドソン川の川岸まで逃げてくるが、そこにこの前、ジャックを
襲って、逆にペリーにボコボコニされたチンピラがいて、ペリーは彼らに刺され、ボコボコに
されてしまう。

一方、アンは、ジャックがペリーに恩返しをしたい、といっていたことが成就したし、彼の
本格的なラジオ復帰も決まったので、いよいよ二人の生活を築けると思っていたら、意外や
彼から出たのは、「一人になりたい」。今まで落ち込んだ彼を支え、励まし、協力してきたのに
どういう仕打ち、と悲嘆に暮れ、ジャックを責めるが・・・。そこにペリーが刺されたという電話。
急いで病院に駆けつける二人だったが、ベッドの上にいるペリーは植物状態。医師も、いつ
治るか判らないという。役所に任せなさいと。

やがてジャックはまた人気DJになり、リッチになっていくが、ペリーは回復しない。ベッド
サイドで自分を責めるジャックだったが、彼との約束、聖杯を獲ってくるから目を覚ましてくれ
と。これは自分のためじゃなく君のためだと。そして、お金持ちの家に忍び込み、聖杯と
思われる(実は古いトロフィー)ものを手に、ベッドサイドに戻りペリーの手に「聖杯」を
握らせる。そしてうたた寝をしていると、ペリーの手が動き、目があき、彼の意識が回復した
のだった。リンダも、彼の世話をいていたのだが、ある朝来て見れば、患者を集めて
合唱をしている(この歌が彼がいつも口ずさむ「How about you」)のだった。奇跡的に
回復したペリーの姿に涙が溢れるリンダだった。

ペリーが回復したこと、リンダと結ばれたことを見て、自分は今まで何をやってきたのだろうか
と我に返ったジャックは、もう一度アンの元に行き、今度はしっかり「愛してる」と告げたの
だった・・・・。ティム・バートン+ウディ・アレン、マイナスαな感じかな。
ペリーの負ったトラウマは幻想となって襲うが、その赤い馬のシーンや、セントラル駅の
客がいきなり踊り出したり、オカマの奇妙な歌といい、まともじゃない部分も多いが、しかし、
演者の巧みさとストーリーの面白さに、引き込まれていった。ペリーとリンダのデートでは
二人を応援している自分がいて、リンダを送って一人いなったペリーにトラウマが襲うシーン
では、そうだ彼は奥さんを銃撃事件で失っていたのだ、と我に帰ったり。映画の中にしっかり
入っていた。長いのでちょっと短くしたらもっとテンポがでたかも。
ラストがイラストになって花火が上がるが、ここは賛否あるかもね。一昔のハリウッド映画の
ようなエンディングテーマのオーケストレーションもいい。

「フィッシャー・キング」とは、ペリーがジャックに聞かせるお話し。以下のように・・・。

 王は王子の頃
 肝試しのため森で一夜を過ごした
 眠っていると
 精霊が夢枕に立ち
 神の慈悲の象徴である聖杯が炎の中から現れた
 そして声が・・・
 "人の傷を癒す聖杯をお前に託す"
 だが王子が抱いていたのは権力と栄光の夢
 その一瞬少年でなく
 神に近い不死身の人間になったような気がして
 炎の中に手を伸ばすと聖杯はかき消えて
 手にひどい火傷を負った
 成長するにつれ
 傷は悪化して
 自分はなぜ生きるのか
 人も自分も信じられず
 愛し愛されることもなかった
 苦しみに絶望し
 死の床に

 ある日、気のいいうつけ者が城に迷い込み
 相手が王とは知らず
 苦しんでいる男に声をかけた
 "一体どうなさった"
 王は答えた
 "水をくれ。のどが焼けるようだ"
 男はそばにあった杯に水を満たし、差し出した
 水を口にすると王は痛みが和らぐのを感じた
 見るとそれは長年探し求めていた聖杯だった
 王は男に尋ねた
 "誰も探せなかった物をなぜお前が?"
 男は答えた
 "おれはただ、あんたに水を・・・"
 いい話だろ?

How About You? (Ralph Freed/ Burton Lane)

I like New York in June, how about you?
I like a Gershwin tune, how about you?
I love a fireside when a storm is due.
I like potato chips, moonlight motor trips, how about you?

I'm mad about good books, can't get my fill
And James Durante's looks give me a thrill
Holding hands in the movie show, when all the lights are low
May not be new, but I like it, how about you?


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by jazzyoba0083 | 2008-04-28 23:15 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「大いなる陰謀 Lions for lambs」
2007 アメリカ 20th Century Fox,MGM Pictures,94min.
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズ、マイケル・ペーニャ他
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泥沼のアフガン戦争、9・11などを巡る反戦映画。主なシークエンスは3つ。クルーズ演ずる
上院議員アーヴィングとメリル演ずるテレビ局記者ジャニーンが対峙する上院議員室。
カリフォルニア某大学の政治学教授マレー(レッドフォード)と学生トッド(ガーフィールド)が
対峙する教授室。そしてアフガンの戦場。
この3つの設定が、同じベクトルを描いて収斂していくようすを94分の大会話劇に仕立てた。
英語の弱い人は字幕を追うのに相当苦労する。(私とて)

泥沼化したイラクから国民の目をアフガンに向け、小手先の作戦で状況の転換を目論む
野心家の共和党上院議員アーヴィングは、自らの発案でアフガンでの新しい作戦に乗り出す。
そこで、テレビ局の老獪な女性記者ジャニーンを部屋に呼び、恩を売っておいて1時間もの
時間を割いて滔々と自論を展開する。
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イラク開戦のとき、良く考えもせず政府の片棒を担いでしまった責任を重く感じている彼女は
アーヴィングの説明にどうも違和感を覚える。そして、テレビ局の報道編集長に、独自ネタ
を仕入れはしたが、テレビには使えない、と語る。

その作戦の中に、アーネストとアリアンという志願兵がいた。彼らはマレー教授の教え子で
優秀ではあったが、教授の引き止めるのも聞かず、陸軍に入隊しアフガンに着任、
アーヴィングの作戦に投じられたのだった。
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作戦の最中、ヘリから落ちたアーネストを助けるため、みずからヘリを飛び降りたアリアン。
結局二人とも重傷を負い、周囲をタリバン勢力に囲まれることになった。
司令部は、二人の救出を目指すが、タッチの差で二人はゲリラの銃の餌食となった。
彼らの死に何の意味を見出せというのか。

マレー教授は、トッドという学生を呼び出す。彼は優秀なのに最近は講義に出てこない。
理由を聞くと、友愛会会長として、またガールフレンドと遊ぶのに忙しくて・・といい訳を
いう。教授は、教え子の中から将来性のある学生に目をつけて育てるのを歓びとしていたが
トッドの先輩であるアーネストとアリアンという優秀な学生が軍に行くのを止めることが
出来なかったことを悔いていた。またベトナム戦争の時にも、同じことをしてきた。
その悔悟の念からトッドに対し、これから卒業まで自分の授業に出なくてもいい、オール
Bをやる、ただアーネストとトッドの研究の後を継げ、と申し出る。それが出来なければ
自分の授業に全て出席し、宿題も全部仕上げないと、Cになる、と。
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教授から人生の転機を言い渡されたトッドは友愛会の部屋でテレビを観ていると臨時
ニュースが流れた。そこにはアーヴィングが新しい作戦をアフガンで始めたこと、その
アフガンで戦死者が出ていること、が報じられた。トッドの中で何かが弾けた・・・・。

ラストは、トッドの魂が抜かれたような(本当は注入されたのだが)顔で終わるののだが
あれッっていう感じ。会話劇なので92分くらいが限度だろうな。それ以上は苦痛だ。
シーンも数少ないし。

テーマの主な部分はアフガンでありイラクであるが、通底するものは、アメリカと戦争、
戦争の思惑、犠牲になる兵隊の理不尽さ、である。近年のキューバ、ベトナム、湾岸
アフガン、イラクと、政治が戦争を操り、結果戦争が政治を操ってしまうアメリカという国の
恐ろしさや愚かさを、上院議員、ジャーナリスト、、大学教授、その教え子の兵隊と
現役の学生を描くことによって浮き出して見せた。
日本人には説教臭い映画かもしれないが、共和党政権の現在、あからさまに現政府を
批判する映画が作れてしまうアメリカという国もある、という事実も抑えておかなければ
なるまい。

3人の主役の中で、私はメリル・ストリープが一番良かったと思った。枯れたレッドフォード
油ギッシュなトムも悪くは無かったが。それと教授と対峙したトッドを演じたガーフィールドは
何か違和感を感じたな。もう少し賢そうな方が良かったんじゃないかな。チンピラ度が
高かったような・・。ガーフィールドファンの皆さんゴメンナサイね。
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by jazzyoba0083 | 2008-04-27 12:00 | 洋画=あ行 | Trackback(7) | Comments(1)

●「ドレスデン~運命の日~ Dresden」
2006 ドイツ アルバトロス・フィルム 150分
監督:ローランド・ズゾ・リヒター 脚本:シュテファン・コルディッツ
出演:フェリシタス・ヴォール、ジョン・ライト、ベンヤミン・サドラー、ハイナー・ラウターバッハ他
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これがテレビ映画として作られた、とWOWOWで解説していたが、そうであれば、頭が
下がる。無防備都市宣言をしていたドイツの東部都市、ドレスデンを1945年2月14,15日
にかけてイギリス軍と米軍による大空襲で焼いた、業火の模様は、リアリティを持って凄い
勢いで迫ってくる。役者たちも、本物の火を使った火災旋風のシーンに必死の演技だった
そうだ。

ドレスデン爆撃は歴史に残る惨事であったが、こんなことがあったことをはじめて知った。
『テレベ河畔のフィレンツェ』と称される美しい古都が、悲惨な運命に晒されたとは。
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1900年ごろの美しいドレスデン。手前の橋が映画のラストを飾る

これを見ると、ナチスドイツも愚かだけど、こんな都市をの800機以上の爆撃機と約4000t
もの榴弾と焼夷弾で粉々にし4万人の非戦闘員を殺したイギリス軍もイギリス軍だ。
(映画の中でもそんなセリフが出てくるが。また東京空襲にも同じ理屈を見出すことが出来る)

『第二次大戦末期の1945年1月。美しい文化都市ドレスデンにも戦火の脅威が迫っていた。
父が営む病院で看護婦として働くアンナは、次から次へと運ばれてくる患者の対応に追われ
ながらも、恋人の外科部長アレクサンダーを献身的に支えていた。そんなある日、アンナは
病院内に身を隠していた兵士ロバートと出会う。
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負傷している彼を脱走兵と勘違いしたアンナは、彼を匿いつつ傷の手当てをする。やがて
ロバートが憎むべきイギリス兵だと気づいたアンナだったが、思いがけず彼に心惹かれて
しまうのだった。』(allcinema)

病院内に身を隠していたロバートは、撃墜されたイギリス空軍の機長。助かった仲間は
村人に殺された。彼のみ逃げて、病院に潜り込んだのだ。
戦争はキライ、ナチもイギリスもキライというリベラルなアンナは、ドイツの脱走兵だと
勘違いして助けるが、やがてイギリス人だと判る。しかし、婚約が近かったアレグザンダー
と今ひとつしっくり来ていないアンナは、病室でカラダの関係を結んでしまう。

アンナの父で病院長のカールは、ナチの地区責任者副官と手を結び、病院の麻酔薬を
ナチに横流しし金を稼ぎ、スイスのバーゼルに将来の自分の病院を建てる計画を立てて
いた。

アンナとアレグザンダーの婚約式に、ドイツ兵に変装して会場にやってきたロバートは
アンナを拉致し、加えて、自分が隠れている時に見つけた麻酔薬の隠し場所からモルヒネを
持ってきて、不正を知っているぞ、と父を脅した。
家のペントハウスに隠れていた二人は、父と婚約者に捕らえられ、アンナはバーゼルに
無理やり行かされることになり、ロバートは縛られて放置されナチが来るのを待つ身と
なった。
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そこに大爆撃が始まった。バーゼルに行く列車も動かず、降り注ぐ爆弾に晒される
一行。一方ロバートは自分で縄を解き、脱走に成功、街に行くと、アンナたちと出会う。
父は、不正を詫びつつ爆死。アンナとアレグザンダーそれにロバートの3人は、呉越同舟と
ばかりに一緒に逃げる。駆け込んだ防空壕も酸素不足になり、脱出した3人は、地下道に
入る。しかし、落盤にあい、アンナとロバートは離れ離れになるが、アンナは手で瓦礫を
掻きだし再び一緒に。しかしアレグザンダーとは散り散りになってしまう。
空襲はさらに苛烈になり、街は炎に包まれ、全滅してしまう。

夜が明けて、外に出てみたアンナとロバートが見たものは、完全に崩れ去ったドレスデンの
街並みであった。行方が判らなかったアレグザンダーとも再び合流することが出来た。
呆然と街を歩く3人だった。街の象徴であった、聖母教会はかろうじてその形を保っていた。
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時は移り現代。ロバートはその後イギリスに戻り(な~んだ)パイロットとして生活していたが
北海への飛行の時、行方不明になった、と字幕で説明される。そして画面は実写フィルムに
変り、聖母教会の再建完成ミサの場面に。聖母教会は激しい空襲を生き延びたものの
1500度以上の高熱に晒されたため、ほどなく瓦解。
2005年に、元の姿に復元再建された。そのシーンに現れるアンナ。実写フィルムで
挨拶する市長さんが戦争の愚かしさを訴える。
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爆撃の高熱により瓦解した、再建前の聖母教会

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2005年に、空襲の瓦礫も使って再建された聖母教会

重いテーマだったが戦争と恋物語を同時進行させ、150分厭きさせない。アンナをなにかと
助ける看護婦は、夫がユダヤ人なのだが、空襲の直前、収容所行きの指令がくる。
そんなサイドストーリーも効果的に使われている。しかし、話がやや平板な感じがする。
それとラストのアンナとロバートの恋の行方があっけなかったな。
アンナに子どもが出来たっていってたけど、病院での一夜で出来た子か?アンナは
アレグザンダーと一緒にはならなかったのか?
基本線はラブストーリーで、戦争の悲劇というのはラストの実写フィルムに全部背負わせた
感じがないではないな。
それにしても、こんな惨劇がドイツであったとは歴史好きとしては勉強不足。連合軍はこの
爆撃の後もさらに爆撃を続けたのだという。

『ともあれ英米軍によるドイツへの無差別爆撃で305,000人から600,000人が死亡して
いるが、これら空襲が本当に終戦を早めたかどうかについては論争の多い疑問点となっ
ている。
では、なぜ戦略的価値のない都市がこのような激しい空襲に見舞われたのか。
ある仮説として「ポーランド方面からドイツ国内に侵攻するソ連軍に、米英の軍事力を見せ
つけるため」というものがある。一種の軍事的アピールの一環として、ドレスデンを目標した
というものだ。それに対する明確な答えは存在しない。ただ、多くの人命が意味も無く失わ
れたという事は事実である。』とウィキペディアには記されている。
この映画の情報は

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by jazzyoba0083 | 2008-04-24 23:45 | 洋画=た行 | Trackback(7) | Comments(2)

●「ファイナル・カット The Final Cut」
2004 カナダ・ドイツ, Lions Gate Entertainment,94min.
監督・脚本:オマー・ナイーム
出演:ロビン・ウィリアムズ、ミラ・ソルビノ、ジム・カヴィーゼル、ミミ・カジク他
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『人々が“ゾーイ”と呼ばれるマイクロ・チップを脳に移植し、全人生の記憶をそこに記録して
いる社会。死後、ゾーイ・チップは編集者によって再構成され、追悼上映用の美しい記憶を
留めた映像として甦る。
ある日、一流のゾーイ・チップ編集者、アラン・ハックマン(ロビン)のもとに、ゾーイ・チップを
扱う大企業アイテック社の弁護士チャールス・バニスターの未亡人から編集の依頼が舞い
込む。ところがそのチップには、アランの心に深い傷となって残っている幼い頃の記憶に関
わる驚くべき映像が映っていた。』(allcinema)

近未来。ロビン・ウィリアム扮するアランは、人々の脳に埋め込まれたゾーイと呼ばれる
有機インプラントを死後再生編集し、追悼会に上映する編集マンだ。
人の一生には忘れたいこと、人には見せられないことがたくさんあるので、それらはカットし
美しい一生に仕立てる仕事だ。(別の言葉でいえば人生の“偽造”だな)

ある日、ゾーイチップの総本山であるアイティック社の顧問弁護士バニスターが亡くなり、
その映像の編集を奥さんから依頼される。チップは会社の手にあるという。
バニスターのチップを手に入れるため、友人の手引きで保管庫に忍び込んだアランだったが、
バニスターのチップは手に入れたが、同じファイルに自分のチップもあり愕然とする。
自分にチップは埋め込まれていないと信じていたし、チップがある人間は編集者になれない
規則だったからだ。

自分の編集室に戻り、まずバニスターのチップを再生する。
彼のチップに映っていたのは、幼児虐待だったり、会社の秘密だったりしたのだが、その中に
アランの子供の頃のトラウマとなっていた事故で亡くなったはずの男が成長して映っていた。
バニスターの家に行き、娘に問うと、学校の先生だよ、という。

自分にチップがあることを潔しとしないアランは、チップを無力化するタトゥーを入れる。

自分のせいで事故死させてしまっていた男は生きていて、頭から流れたと思い込んでいた
液体は血液ではなくペンキだったのだ。トラウマから開放されたアランだったが、今度は
ゾーイの存在に反対する勢力に、バニスターのチップをよこすように言われ、命さえ
危なくなってくる。

一方、知り合った女性イザベル(ミラ)を編集室に案内し、彼女のチップを再生してみると、
元彼との思い出が映っていて、これを編集しようとすると、私の思い出に手を出さないで、と
イザベルに激怒され、そばにあった拳銃で編集機を撃たれてしまう。このことでバニスターの
チップも焼けてしまった。

バニスターのチップを追いかける勢力に最後には撃たれて死んでしまうのだった。
追いかけていた仲間の一人は編集をやめていたが、アランのチップを編集し、意思を無駄に
しないと(何の意思が良く判らなかったが)誓うのであった。

へえ~ってな感じの映画で感動もしなければ、白けもしなかったが、実はアランにもチップが
埋め込まれていたって、50年も前からこのシステムが稼動していたってことかな。
ロビン・ウィリアムズって、「トイズ」とか「ジュマンジ」とか「ナイト・ミュージアム」とか、摩訶
不思議な感覚の映画に良く出ますよね。
「誘惑のアフロディーテ」でアカデミー助演女優賞を獲った頃は、綺麗な女優さんだなあ、
と思ったけど、子の映画ではそうでもないし、オーラも感じなかったな。
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by jazzyoba0083 | 2008-04-23 22:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「恋するレシピ~理想のオトコの作り方~ Failure to Launch」
2006 アメリカ Paramount Pictures,97min.日本未公開
監督:トム・デイ
出演:マシュー・マコノヒー、サラ・ジェシカ・パーカー、ズーイ・デシャネル、キャシー・ベイツ他
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「全米大ヒット」って書いてあるけど、日本では未公開。物語としては決して面白くないわけ
じゃないけど、キャスティングが地味だったかな。
いかにもアメリカらしい、ライトなラブ・コメディ。こういうのキライじゃないです。な~んも考えず
に楽しんでみることができるから。という訳で、この映画も気楽に楽しませていただきました。

日本じゃ想像もつかない、「親離れしない独身男を巣立たせる女」という商売する女性を
サラ・ジェシカ・パーカーが演じる。この手の顔は好き嫌いが分かれるタイプでしょうね。
私はどちらかというと、ごめんなさいタイプで、むしろ、ズーイの方が気になりましたね、
あるいは、ラスト近くにマシューの友達の恋人になるレストランのウエイターの女の子とか。
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Zooey Deschanel as "Kit"

ヨットのセールスマン、トリップは、仲のいい友達エースとデモと遊び暮す気楽な独身。
適当に女の子と遊んで週末に両親と一緒にすむ家に女の子を連れ込み、ワザと両親に
出くわせて分かれるというパターンで楽しんでいた。
しかし、両親(ダッド=テリー・ブラッドショウ、マミー=キャシー・ベイツ)は、いい加減に
トリップに家から出て独立して欲しいと願っていた。そこで二人は友人の息子で成功した
という「巣立たせ屋」のポーラと契約、トリップと恋人になって独立を促がすことになった。

そうとは知らず、トリップはポーラに恋してしまう。やがて、トリップがいつも遊んでいる
黒人の男の子は、6年前にトリップが婚約した女性の連れ子で、その女性が亡くなってしまい
以来、男の子の遊び相手になっていたのだった。そんな真実を知って悩むポーラ。

ある日、友人のデモが、騙されているトリップを観ていられなくなり、ついにポーラは金で
独立を促がす役を請け負った女だとばらしてしまう。
トリップは、自分で料理を作りディナーにポーラと両親を招き、彼らに深く感謝するとともに、
ポーラと結婚して、同居する!とワザと嫌がらせをする。
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そして「出て行くともさ」と捨て台詞を残して家を出て行く。ポーラも深く傷ついて、田舎の
実家に引っ込む覚悟を決める。

恋する二人なのに、意地を張ってジャべりもしないので、両親や友人たちが一計を案じた。
それはポーラのルームメイトで、トリップの友人エースの恋人になるキット(ズーイ)が
田舎に帰るポーラを空港に送っていくといって途中でエースの家により、そこでポーラを
家に監禁する。家のクローゼットには、友人によって縛られて口にテープを張られた
トリップがいた。
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二人は少しずつ離し始める。そしてお互い謝りあい、愛を確認することが
できたのだ。その様子は、コンピュータプログラマーであるエースの家の17台のリモコン
カメラでみんなが陣取るレストランにwebで実況中継され、友人たちも二人のハッピー
エンドに拍手を送るのだった。
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ようやく二人の生活を取り戻したパパとママがレイ・チャールズの「Hit the road jack」を
歌い、それがエンディングソングに切り替わっていくところがまたスマートだ。

本線はマコノヒーとSJパーカーの恋物語だが、友人エースとキットの恋もなかなか味わいが
ある。またマコノヒーのパパとママの愛のありかたもまた考えさせる。
トリップがリスやイルカやトカゲにかまれるのだが、友人らは「おまえが自然に反している
から反撃に会うんだ」なんてことをいう。それでラストにポーラと結ばれたトリップが
ヨットに乗っているときポーラのセール操作ミスで、セールがトリップにあたり彼が海に転落、
しかし、その時現れたイルカは、彼に優しく話しかけるのだった。
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原題は「打ち上げ失敗」とか「発射失敗」とかの意味で、ポーラの商売失敗を表す。
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by jazzyoba0083 | 2008-04-22 22:15 | 洋画=か行 | Trackback(2) | Comments(1)

帝銀事件 死刑囚

●「帝銀事件~死刑囚」
1964 日本 日活 116分 モノクロ
監督・脚本:熊井啓
出演:信欣三、内藤武敏、井上昭文、高野由美、笹森礼子、鈴木瑞穂、山本陽子他
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昨年(2007 5月)に亡くなって一年が経つ、社会派監督熊井啓が脚本も手がけた
日本の重厚な社会派映画。傑作か、といわれれば「う~む」といわざるを得ないが。
この「帝銀事件」はドキュメント好きな私としては非常に興味のあるテーマで、松本
清張の小説も読んだし、この映画もたぶん二度目だとおもう。

戦後の混乱期には、進駐軍が絡んだと思われる怪事件が相次ぐ。「三鷹事件」「下山
事件」「三河島事件」そして「日航機木星号三原山墜落事件」などなど。そのあたりは
清張の「日本の黒い霧」シリーズに詳しい。

この「帝銀事件」も陸軍731部隊の存在と米軍との取引のなかで、平沢が犯人にでっち
挙げられた、という説は根強い。映画は実写フィルムも混ぜながら、当時の映画の定番で
あったナレーション付きで進んでいく。

『昭和二十三年一月二十六日の午後三時すぎ、豊島区の帝国銀行椎名町支店に、
中肉中背の中年の男が訪れた。男は東京都衛生課、厚生省医学博士の名刺を出し、
赤痢の予防薬と称して、進駐軍の命により予防薬を行員、家族十六名に飲ませた。

ピペットで白濁の液を茶碗に分ける手つきは、職業的な鮮かさであった。が、数分後、
その液を飲んだ行員は、苦悶の絶叫とともに、血を吐いて倒れていった。犯人は、現金、
証券十八万円を奪って逃走した。
警察、新聞、国民の眼は一斉に活動を始めた。昭和新報の敏腕記者、大野木、笠原、
武井らも動き始めた。被害者のうち十二名が死亡していた。毒物の捜査班は、
犯人の使った青酸性化合物が、終戦直前、七三一部隊で極秘裡につくられた毒物と
知った。
武井は七三一の生き残り将校佐伯に会い、毒物について、追求したが、佐伯は語ろうと
しなかった。

デスクの大野木は、その直前GHQのバートン主席から、七三一部隊を追求するのを
やめるよう注文された。一方国木田警部補ら名刺捜査班は、名刺の所有者である、
モンタージュ写真に似た画家平沢貞通を逮捕した。事件直後、かなりな金を預金して
いるのだ。首実検の結果、大半は彼を否定し犯人と言いきる者は一人もいなかった。
国木田と森田検事は、筆跡鑑定の結果クロをもって、執拗に食いさがった。九月、
平沢はついに真犯人であることを自供した。しかし、彼はすぐそれをひるがえした。
強圧的な肉体的、精神的尋問に耐えられず自白したというのだ。
しかし、東京地方裁は、死刑を宣告し、東京高裁も死刑を確定した。だが、刑の執行は、
いまだに行われない。彼は、仙台宮城刑務所に移送されているのだが……。娘の
俊子は、国籍を捨てアメリカに渡っていった。そして、それからみつけられた数々の事実は、
平沢のシロを証明するものばかりなのだが……。 』(C)キネマ旬報

この中で新聞記者(武藤武敏)が、最高裁で死刑判決が出たあとにしみじみ言うセリフ
「俺たちの報道が、国民に間違った印象を与えてしまったとしたら・・・」
これは、まさに現在の「光市母子殺人事件」の裁判に代表されるような、メディアによる
スクラムを指弾されているといえるのだ。

旧刑訴法の自白主義、戦後の混乱、新聞などが現場を土足で荒らしてしまったりする
メディアの未熟、これらが、平沢という獄死の人を生んでしまったのだ。

ただ、映画は、最後、仙台刑務所にいる平沢のアップで終わるのだが、映画としての
結末としては弱い気がする。
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by jazzyoba0083 | 2008-04-21 22:55 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(2)

●「ホット・スポット The Hot Spot」
1990 Orion Pictuers,Warner Bros.,130min.
監督:デニス・ホッパー 原作:チャールズ・ウィリアムズ
出演:ドン・ジョンソン、ヴァージニア・マドセン、ジェニファー・コネリー他
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デニス・ホッパーといえば、私としては「イージー・ライダー」に('69)尽きるわけですが、
そんなホッパーが監督だけをした唯一の作品。
原作の雰囲気をそのまま脚本にしてしまったため(C・ウィリアムズが脚本も担当)、
ルーズな映画になってしまった。デニスの出したかった、南部のけだるいブルースの
ような男女の人間模様は、後半1時間だけでOK。1時間40分くらいにまとめると
しまった映画になったんじゃないかと感じた。
特に、ストーリーが動き出す、銀行強盗のシーンから前は、バッサバッサと切れると思う。

主役のハリーを演じるドン・ジョンソンはテレビ・シリーズ「マイアミ・バイス」で有名になった
テレビ畑の俳優さんなので、映画でみるのは初めてだった。
ヴァージニア・マドセンは、最近油が乗った女優さんで、アルトマンの「今宵フィッツジェラルド
劇場で」でもいい感じだった。最近の代表作はアカデミーにノミネートされた「サイドウエイ」。

ジェニファー・コネリーは、この映画の時は20歳。イェール大学出身の才媛だが、この
映画でもそうだが、フルヌードをいとわぬ過激な役柄も多い。'01「ビューティフル・マインド」
で、アカデミー助演女優賞を獲得、最近もコンスタントに作品をこなしている。
今年38歳、こちらも油が乗った女優さんだ。ちなみに彼女、ショーン・コネリーの娘では
ありませんよ。

テキサスのある街に流れ着いた、ハリー。中古車屋でセールスの職を得る。そこの社長の
奥さんが若くて色っぽくピンクのキャデラックに乗っているような派手な女(マドセン)。
そのドリーは、色仕掛けで若いハリーを誘う。ハリーも、いい気なもんで、いただいてしまう。
一方で、中古車屋で働いている若い娘グロリア(ジェニファー)にも、ハリーはちょっかいを
だし、愛し合うようになる。こうなると、社長の奥さんがうっとうしい。

ある日銀行へ行くと、はす向かいのビルの火災で銀行に1人しかいない状況にハリーは
出くわす。そこでハリーは銀行員を縛り金を奪う。そして埋めて隠しておくのだった。

一方、グロリアは、サットンという男から、かつて姉のようにしたっていた女性と裸で
池で泳いでいるところを写真に撮られ、それを母にばらすといって、1年に渡って会社の
金を持ってくるように脅していた。これをしったハリーは、サットンの家に行き、ボコボコに
するのだった。

ハリーは、銀行強盗の疑いが持たれるが、社長夫人がアリバイを主張し、助かる。
サットンは、誰か聞いたのか、ハリーが強盗であることを知り、それをネタに今度はハリーを
強請りにでた。こんどこそ、とサットンの家に行き、ついには自殺に見せかけて、
サットンを射殺してしまう。サットンの家に盗んだ金を掘り出して置いてきた。警察は
これでサットンが強盗であったとして一件落着としたのだった。しかもハリーには懸賞金
2万5000ドルが出るという。この金で、カリブにグロリアと行こうとするのだが、
社長夫人ドリーは、社長が心臓が弱いことをいいことに、ベッドの中で自分がハリーと
浮気していることをばらしたりして興奮させ、発作を起こさせ、殺してしまう。

ハリーとグロリアがカリブに行こうとすると夫人から社長が亡くなったとの電話が入る。
ハリーは同僚に会社を継がせグロリアとともに生きようと決める。しかしグロリアが
夫人のところに行ってこれまで会社の金に手をつけたことを正直に言うという。ハリーも
付き合うが、もう会社の金に手をつけたことは言わなくてもいい、と説得しるのだった。

しかし、夫人は夫の残したという偽の手紙をハリーに見せる。そこには、ハリーは強盗、
サットンは殺された、グロリアは横領犯と書いてあった。
そして、夫人がハリーが、グロリアが横領していることはハリーが教えてくれた、と話す。
ハリーに絶望するグロリア。ハリーはとっさに夫人の首を絞めて殺そうとするが、止める。
もう夫人の網にかかって、もがこうにもどうしようもないところまで来ていたのだ。
どうせ流れ者、長いものには巻かれろ?夫人とハリーはくっついてどこかに去っていった
のだった。

社長夫人が一枚上手だったということだったわけね。時に凶暴になるハリーの人物設定や
ハリーがサットンの家に2度目に行ったときベッドにいた女の履いていたサンダル。
ハリーが池に投げ込んで捨てるのだが、このサンダルを後にグロリアが履いていた。
これはどういう意味か?ハリーはサットンところにいた女をグロリアと思って失意のうちに
サンダルを捨てたのか?しかし、次にあってみると、捨てたはずのサンダルを彼女が履いて
いるから、あのときの女がグロリアではなかったと理解したのか、それにしては最後に
グロリアと分かれるときがあっさりしすぎている。
という風に話しに荒っぽいところは多々あるが、まあ、そこそこ観てしまいましたね。
ドン・ジョンソンという人、若き日のケヴィン・コスナーに似ていると思うのですが・・・。
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by jazzyoba0083 | 2008-04-19 23:04 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「幸せのちから The Pursuit of Happyness」
2006 アメリカ Columbia Pictures,Escape Artists,117min.
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ウィル・スミス、J.C.S.スミス、タンディ・ニュートン、ブライアン・ホウ他
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ウィル・スミスが実の息子と親子の間柄の映画を撮ったとして知られた映画。
息子のクリストファーは、映画でもクリストファーという名前で出てくるが、やはり
実の親子だけあって、二人の演技はしっくりいっている。
タイトルのHappynessはワザと間違えている。理由は映画を観ると判るしかけ。

主人公クリス・ガードナー(ウィル)は、実在の人物で、映画は実話に基づく。
映画に固さ、というものがあるとすれば、この映画は全編柔らかい。優しい音楽が終始
流れているのは「ニューシネマ・パラダイス」のようだ。
通の間では評判が芳しくないが私は、面白く見ました。しかし、ホームレスにまで身を
落としたクリスを演じているウィルは、この映画1本で数十億を手にし、映画の中では横目で
羨ましく眺める豪邸に、実は住んでいるんだなあ、と考えちゃって、そんなイメージが
映画鑑賞の邪魔をしましたが・・・。
それと、サクセスストーリーなのにサクセス部分が描かれていないから不満だ、という声も
多いが、私も、ラストで豪邸に住んで、フェラーリに乗ったクリスが出てくるのか、と
思ったけど、サンフランシスコの坂道に笑い声とともに消えていく親子の会話で終わって
正解だったと思う。なぜなら、成功した姿を見せてしまっては、貧乏を歯を食いしばって
生きてきた親子の「心温まる」ストーリーが台無しになってしまうからだ。リアリティを
示せばいいというものではない。

骨密度を計測する1台200ドルの機械を貯金をはたいて買取り、それを売ることで
成功を夢見たクリス・ガードナーと妻、それに息子。舞台はサン・フランシスコである。
しかし、機械は折からの不況で売れず、アパートの家賃は溜まり放題、妻はホテルの
パントリーで16時間勤務。息子クリストファーを託児所に預け、測定器を1日中売り歩く
父。幸せは訪れない。
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クリスは思う。ジェファーソンは何故、幸せを追求する、と言ったのか。幸せは持ち得るもの
ではないのか、と。
しかし事態はどんどん悪化する。家賃滞納でアパートをおん出される、奥さんは出て行って
しまう。
ある日、ビジネス街を歩いているとみんな幸せそうな顔をしている。あやかりたいなと
思うクリス。そこに真っ赤なフェラーリのオープンカーが止まった。クリスはその男に成功の
秘訣を聞く。株だよ、とその男はいう。
一念発起したクリスは、有名な証券会社のセールス研修生として無給で勤めることになる。
20人のなかから採用されるのは1人だけ。
クリスは、会社から渡される顧客電話帳から、いろんな人に電話を掛けまくり金融商品を
売ろうと努力する。しかし、皆より早く帰って息子を託児所に迎えに行ったり、ついには
モーテルさえ追い出され、教会の慈善宿泊所に泊まる為、毎日夕方5時までに並ばなければ
ならなかったり。ハンディは大きかったが、息子と一緒にいることの愛情に支えられ、
勉強を重ね、ついに会社の採用試験をパスし、社員として迎えられることになった。

採用を告げられるときに偉い人から「今日はいいシャツを着てるね」「ええ、今日は研修最後
の日ですから」「明日もいいシャツを着てくるんだね。君の初日だからね。歓迎するよ、
クリス」 このあたりの会話でクリスの目には涙が溢れてくる。ぐっと来るシーンだ。

クリスはその足で託児所に行き、息子を抱きしめる。彼の愛の力があったからこそ自分は
頑張れたんだ、と息子に感謝をいいたかったのだ。
クリスは8年間、この会社に勤めたあと自らの投資会社を設立し、今も成功を続けていると
いう。めでたしめでたし。

心温まる映画だった。夢を諦めない不屈の努力も必要だが、ルービックキューブを解いて
ビックリさせた証券会社の人事担当重役トゥイッスル氏との出会いとか、アメフトの
ボックス席に招待してくれた顧客とか、の出会いというラッキーも無ければ、幸せは
ついてこなかっただろう。世の中には努力していても報われない人はたくさんいるわけで。
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by jazzyoba0083 | 2008-04-16 22:35 | 洋画=さ行 | Trackback(5) | Comments(0)

「華麗なる恋の舞台で Being Julia」
2004 アメリカ Serendipity Point Films,104min.
監督:イシュトヴァン・サボー 原作:サマセット・モーム「劇場」
出演:アネット・ベニング、ジェレミー・アイアンズ、マイケル・ガンボン、ブスース・グリーンウッド
<2004年度ゴールデングローブ 女優賞受賞作品、アカデミー賞主演女優賞候補>
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時々書くことだが、こうした佳作に会えることが、映画観の醍醐味でもある。まったく観る気も
なく、WOWOWの月刊誌にもノーマークだったが、奥さんが見て、面白いよ、と薦めて
くれて、観たら、なんと!超面白い。といか、アネット・ベニングのお芝居にノックダウンだ。
原作が原作だけに、ストーリーは磐石なのだが、さすがにゴールデングローブを獲り、
アカデミーでも候補になるだけの、眼をいささかもスクリーンから放させないアネットの演技。
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女優がテーマなのだが、アネットの女優魂にも重なって見えてしまう。

『1938年、ロンドン。ジュリア・ランバート(アネット)は女優として演劇界の頂点に立ち、
興行主兼舞台監督の夫マイケル(ジェレミー)との結婚生活も順調で満ち足りた日々を
送っていた。
しかし、変化のない生活に不満を感じずにはいられなかった。ちょうどそんな時、親子ほども
年の離れたアメリカ人青年トム(ショーン・エヴァンス)がジュリアの前に現れる。
彼女の熱烈なファンだというトムと瞬く間に恋に落ちるジュリア。
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求めていた刺激を得て喜びに浸る彼女だったが、ほどなくトムは若い女優エイヴィス
(ルースー・バンチ)に心移りしてしまう。しかも、あろうことか、トムはジュリアにエイヴィスを
今度の新作で使ってほしいと願い出るのだった…。』(by allcinema)

ベッドの中で、トムからエイヴィスを、次の劇のオーディションにいれて欲しい、と頼まれる。
何かしらを感じるジュリア。トムに激しい嫉妬を感じるジュリアだが、エイヴィスの才能を認め、夫にも私の後を継ぐ人材よ、とかいって薦める。何かたくらみがあるのだ。実はエイヴィスは
夫のマイケルとも通じていたのだ。

新しい劇の練習が始まった。オーデションを通ったエイヴィスは、準主役の抜擢。練習では
ジュリアはエイヴィスが目立ったほうがいい、といって自分の立ち位置を変え、衣装を地味に
し、新人を心から売り出そうとしているかのようだった。

そして初日を迎えた。舞台に現れたジュリアは派手な衣装を着けて、セリフはアドリブ
ばかり。エイヴィスを笑いものにし、自分は喝采を浴びるように仕立てていった。
夫も劇作者も、始めはなんと言うことをしてくれるのか!と激怒していたが、観客には
バカ受け!
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まんまとしてやったりのジュリア。劇中のセリフで自分の浮気がばれたことを知った夫は
妻のアドリブを激賞する。
「リアリティは舞台にこそある」と「戦争と舞台はなんでもあり」と教えた亡くなった恩師が
狂言回しのように現れ、ジュリアを鼓舞する。また、付き人のエヴィー(ジュリエット・
スティーヴンソン)が、映画の中で一番の、ジュリアを知っている人物として訳知りに
振る舞い、にやりとさせて好い。

原題どおり「ジュリアであること」のため、根っからの女優根性を披露するジュリア。
快哉を叫びたいほど見事な女優っぷりである。トムとの恋も、恋敵で新人女優を潰すのも
「女優」なのだ。息子がいう「かあさんのセリフは、いつもどこかで聞いた事がるんだよ」と。
そんな息子も、新しい芝居での母の見事な演技に、客席からスタンディングオベーションを
送るのだった。「女優」の嫌なことろ、素敵なところを全て演じきったアネットに拍手だ!
邦題で、安い映画では?と思っている方、判り易い佳作を是非お勧めしたいですね。
この映画の詳しい情報は

こちら
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by jazzyoba0083 | 2008-04-15 22:35 | 洋画=か行 | Trackback(1) | Comments(0)