●「日の名残り The Remains of the Day」
1993 イギリス Columbia Pictures,Merchant Ivory Productions,134min.
監督:ジェームズ・アイヴォリー 原作:カズオ・イシグロ
出演:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、ジェームズ・フォックス、クリストファー・リーヴほか。
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1993年度アカデミー賞に8部門でノミネートされながら、「シンドラーのリスト」や「フィラデルフィア」、
「ジュラシック・パーク」などの強敵の前に無冠に終わったものの、名作であることには間違いない。
沢木耕太郎が「完璧」と絶賛しただけのことはある。起伏の少ない、いかにもイギリスらしい(原作者は
ロンドン在住の日系英国人であるが)重厚さと色彩を持った静かな映画であるが、長い映画の冗漫さを
感じさせず、ぐいぐい引っ張っていく。それは、殆ど全てがアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの
演技の賜物である、と言い切れる。もちろん、J・アイヴォリーの演出は出色である。
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イギリスの執事、という普段我々になじみのない世界で生きる一人の男スティーヴンス(アンソニー)。
仕事にあまりにも忠実であろうとするあまり、人間としての感性を押し殺して厳格な生活している
(と見える)。

そこに自由奔放な女中頭ケントン(エマ)が屋敷にやってくる。感情を自由に現すケントンに対し、
ひたすら仕事という壁の中に入って出てこないスティーヴンス。ケントンは彼に惹かれながらも、
スティーヴンスの余りの壁の厚さに、自分の愛を諦めてしまう。スティーヴンスとて、愛情に興味がない
ではないが、自分を素直に外に出すことが出来なくなっているのか、性格的に逃げているのか、自分に
正直になれないのか、絶対に感情は外にはださない。(カメラワークとホプキンスの作る表情だけで、
彼の心情は台詞なしでも見事に捉えられている)

第一次世界大戦後のドイツをベルサイユ条約でがんじがらめにしてしまったことに対し、ドイツの
再軍備も含め、復興に力を貸すべきだ、と主張する主人のダーリントン卿が、自らの館で開催する
国際会議でも、様々な意見が飛び交う。特にアメリカ代表のルイス上院議員(クリストファー・リーヴ)は
ナチの台頭を恐れ、警戒するように主張するが、フランスやイギリスの同意を得られない状態であった。
そんな世界情勢についても、敢えて耳をふさぐ。執事は主人の仕事に立ち入ってしまってはならない
のだと彼は固く信じている。
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しかし、館にユダヤ系ドイツ人の娘2人がやってきて、いい女中になったのだが、ダーリントン卿は
反ユダヤの立場を守ろうと、この2人の首を切ってしまう。その仕事をウィリアムズに命ずる。彼は
粛々として首を切る。そういう態度にケントンは我慢ができない。彼女らを止めさせるならば私も辞めます
と感情を爆発させる。やがて、卿も反省して、二人を探して戻して欲しいとスティーヴンスに命ずる。
それを聞いたケントンの感激と、何の感情も外に出さないスティーヴンス。

また、重要な国際会議中に死亡してしまう、スティーヴンスの父に対する態度、更に、ケントンはひそかに
ウィリアムズに心を寄せていたのだが、知っていて知らないふりをするスティーヴンスに、ケントンは別の
男との結婚を決める。そのことを涙ながらに彼に言うと「それはおめでとう」とだけ。部屋に入って号泣して
いる彼女のところに来て、何かいうのか、と思ったら、女中の掃除が十分でなく、ホコリが目立つ、
注意するように、という台詞。ケントンはもう二の句が告げないのであった。

心が通じないままケントンは他の男との結婚のため屋敷を去っていく。

そして20年後。実はそこから映画は始まる。1958年のことであった。

全体のストーリーは
こちらのgoo映画
を参照ください。

特に印象的だったのは、スティーヴンスが部屋で何か読んでいるのをケントンが見つけ、何を読んでいた
のか強引に本を奪ってみると、普通の恋愛小説であったのだが、愛する対象の女性が目の前にいるの
にも関わらず、心を開かず、小説に「逃げている」、男としての悲哀を感じるシーン。
また。20年後の館では新しい主人となり、使用人が足りなくなっていたため、ケントンから手紙を
もらっていたこともあり(これが離婚したエマからの愛情の発露であったのだが)、ケントンをもう一度、
館に招こうと、(自分の胸の内のケントンに対する愛情もあっての覚悟の旅行であったはず)主人の
クルマを借りて、ケントンの住む町に出かけた。
途中でクルマが故障して小さなパブにやっかいになるのだが、そこで論争好きな客たちに、先の大戦
のことをいろいろ吹きかけられるが、ここでも自分の感情を押し殺したまま。せめて、チャーチルや
首相とあったことがある、などというのが精一杯。そんなところにもスティーヴンスの心理が上手く出せて
いたと感じた。
そして、せっかく20年ぶりであったケントン(実は離婚していた)が、娘に子供(孫)が産まれるのでこの
街を離れたくない、と館に行くことを断るのだが、バスに乗って別れていくところでケントンが、精一杯、
自分にとってスティーヴンスが必要な人だと訴えていたのにもかかわらず、「もうこれでお会いすることも
ありますまい。お元気で。さようなら」と、言ってしまうところ。
バスに乗って去っていくケントンがいつまでも悲しそうにスティーヴンスを見つめているシーンは、悲哀に
満ちていた。
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イギリス貴族に仕える執事と女中頭。これに第一次世界大戦の後の欧州の復興の仕組みやナチの
台頭なども加え、スティーヴンスという男の、自らの幸福を自らの手で遮断していく悲しさを、アンソニー・
ホプキンスならではの重厚な演技で見せきった。これを受け止めたエマ・トンプソンも実にはまり役
だったといえよう。
この映画の詳細は
こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-30 23:40 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「かけひきは,恋の始まり  Leatherheads」
2008 アメリカ Casey Silver Productions,Somke House,113min.
監督:ジョージ・クルーニー
出演:ジョージ・クルーニー、、レニー・ゼルヴィガー、ジョン・クラシンスキー、ジョナサン・プライスほか。
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邦題につられて、恋愛映画だと思って観ると失敗します。これは原題が示すとおり、革の頭、つまり
アメフトの防護用の革帽子のことで、アメリカのアメフト勃興時のお話を恋愛も絡めて綴った、アメフト
映画であります。(とも言い切れないキレの悪さはあるのですが)。シネコンに行こうかな、と思った作品
だが、行かなくて良かった。(爆)

ジョージ・クルーニーは自分で監督した映画に主演するくらいなので、よほどこの手の映画を作りた
かったのだろう。主軸はアメフトなのだが、それに若きチームメイトの第一次大戦を巡るウソ英雄伝説の
エピソードや、クルーニーと敏腕記者ゼルヴィガ-の恋愛模様も加わり、ユーモアやウィットも適当に配
された、まことに真面目に作られた映画なのだ、が結局何が言いたいのか判らず仕舞い、というそしりは
逃れられない。

一体、日本人に理解できないアメリカの映画題材として、このアメフトとトランプゲーム(ポーカー)が
ありますね。だから、日本人のアメフトを知らない人が見ると興味は半減、恋愛映画だと思った人は
興味は四分の一くらいに減ってしまうかも。

<ストーリー>
『1925年、アメリカ。アメフトのプロチーム“ダルース・ブルドッグス”のキャプテンとして活躍するドッジ。
(クルーニー)しかし、創設間もないアメフトのプロリーグは集客に苦しみ、ドッジのチームも存続の
危機に陥っていた。
そこで、ドッジはチームの窮地を救うため、プロより人気が高いカレッジ・フットボールの花形選手
カーターを勧誘することに。またカーターは、第一次大戦でのヨーロッパ従軍時にたった1人でドイツ軍
小隊を降伏させた、という武勇伝を持っていた。やがて、カーターのいるシカゴに到着したドッジは、
スター選手の密着取材に来たという野心的な敏腕女性記者レクシー(ゼルヴィガー)と出会い、彼女の
魅力に惹かれていく。だが、レクシーには、カーターの武勇伝はウソだとのタレコミをもとにその真相を
スクープする、という本当の目的があったのだった…。』(allcinema)
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構図はこうだ。まだ売れないプロのアメフトチームに、大学の人気者カーターを金で呼ぶ。お陰でチーム
の人気は高まり、強くもなる。しかし、このカーター、いいやつなのだが、第一次世界大戦の英雄だ、
というところに秘密があった。ドイツ軍1小隊を1人で降伏させた、とのことで勲章ももらっているのだが、
実は、たまたま塹壕で寝てしまい、みなの出撃から取り残されていたところ、その塹壕にドイツ軍が侵攻、
目を覚まして驚いたカーターは、ドイツ語で「降伏だ!」と叫んでしまう。その言葉を、米軍に降伏しろ、
という命令と勘違いしたドイツへ兵たちがいっせいに手を上げてしまった・・・という、オバカな話。
しかし、戦地での事情を戦友たちで内緒にしておいたため、カーターは英雄のままで帰国したのだった。
しかし、カーター自身は、胸につかえをもったようにすっきりとしていなかった。

そんな折に、レクシーの新聞社に、当時同じ戦地にいた、という少尉が、「あいつは英雄なんかじゃない」
と暴露の証言を持ってきた。そこで、レクシーは、チームに接近。密着取材と称して、秘密を探るが、
そんなレクシーに、カーターもドッジも惹かれていく。
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ついに、カーターの口から真実を聞き出したレクシーは、それを新聞記事にするが、世論は沸騰、
カーター側は、否定、謝罪を要求、新聞社は譲らない。そんな状況を打開すべく、判事出身の新しい
コミッショナーの裁定となることに。ドッジの作戦もあり、コミッショナーの前で、真実を口にするカーター。
コミッショナーは、英雄は当時たくさんいて自分もその1人であった、という記者会見を開くこと、そして
収入の半分を在郷軍人会に寄付すること、などを約束、陰で糸を引いていた、C・Cというマネージャー
は追放になってしまった。(彼はこれからはベースボールの時代だよ、と言い残してその場を去るが、
エンディングでベイブ・ルースらに囲まれた写真が出てくるところがオチャメである)
ドッジのチームに居られなくなったカーターは、当面の敵であるシカゴのチームに移籍する。そして、
ついに遺恨の試合が開催された。試合は、土壇場でドッジの頭脳プレーで、ブルドッグが辛勝するの
だった。
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カーターはレクシーにそれとなく愛を告白するが、受け入れてもらえそうになく、試合後、真実を告白
する決心をし、レクシーの前から去っていく。そして、ドッジとレクシーの愛は一段と深まり、ラストシーン
ではバイクにまたがりながらのプロポーズ。二人は結婚することになりましたとさ・・・。
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字面からは、映画のそこここに埋め込まれたユーモアや機微を伝えられないが、全体としては、前にも
書いたように、まことに真面目に作られている。クルーニーの性格なんだろう。
難点は、主題が絞りきれていないこと、邦題そのものは、いいネーミングなのだが、名が体を表して
おらず、観る人を惑わすこと、前半が、たるい事などが挙げられる。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-29 22:50 | 洋画=か行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「イースタン・プロミス Eastern Promises」
2007 イギリス・カナダ・アメリカ Focus Features,100min.
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィーゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル、アーミン・ミューラー=スタール他
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短い時間でコンパクトに仕上げられた上等なサスペンス。が、ナイフを使った殺人シーンや
レイプシーンなど、かなりエグイので、万人にお勧めできる映画では無い。

主役のヴィーゴ・モーテンセンはこの演技でオスカー候補になっているとおり、暗く、
得体の知れないロシアマフィアの手下(実は違うのだが)を演じ、不気味であり、何を
考えているか判らない風情がダークにクールである。

映画自体も、暗いクリスマスの雨のロンドンからスタートする。床屋でロシア人がのどを
掻き切られて殺されるシーンからスタート。チェチェン・マフィアとロシアマフィアの
内部抗争を匂わせる。

一方、助産師アンナの勤める病院に出血した妊婦が運び込まれる。14歳だ。女の子が
生まれたが、母親は助からなかった。彼女の持ち物に、1冊の日記があった。
もともとロシア系であるアンナだが、ロシア語は判らないので、ロシア人である
伯父に翻訳してもらおうと、日記を家に持ち帰る。伯父が翻訳を嫌がったので、彼女は
日記の中に挟んであったロシアンレストランにいってみることに。
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そこの主人こそ、ロシアンマフィアのゴッドファーザー、セミオンだった。セミオンは、
アンナに、人の良いレストランの主人を完璧に演じ、その少女のことは知らないが、
翻訳はしてあげよう、と申し出る。
次の日、コピーを持ってレストランに行くと、セミオンはしきりにオリジナルの存在を
気にするようになる。

このレストランに出入りしている運転手ニコライ(カッセル)とボスのアホ長男キリル
(カッセル)。彼らはこのレストランを本拠地としてロンドンで悪事を働くロシアン
マフィアの一族だった。組織の名前を"法の泥棒"という。
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やがて、日記の全貌を読むことになった伯父は、アンナに、この一件には近づいては
いけない、関わってはいけない、と忠告する。
しかし、アンナはニコライという不思議な男とこの事件に関わりを持ち始めてしまって
いたのだ。

<以下、ネタばれです。ご注意を>

実は、ニコライは、長い間この組織の中に潜入しているロンドン警視庁の覆面捜査官だったのだ。
"法の泥棒"の壊滅を狙い、運転手から、ファミリーの一員にしてもらえるまでの信頼を得た。
しかし、セミオンの裏切りにあい、対立するチェチェンマフィアから、仲間を殺された報復と
してキリルをよこせと言われるが、当然わが子可愛いセミオンは、ニコライを騙して、
チェチェンマフィアに殺させようとする。サウナに誘われたニコライ、対立するマフィアは
彼の体に"法の泥棒"のファミリーの印である刺青が胸にあるから、それがキリルだ、と教えて
おいて襲わせたのだ。しかし、裸での格闘で、あちらこちらを切られたニコライだが一命は
取り留め、アンナの病院に運び込まれた。

更に、亡くなった14歳の少女は、レイプされていて、最初にレイプしようとしたキリルが
役立たずだったため、オヤジのセミオンが少女を犯し、妊娠させたのだ。あの女の赤ちゃんの
父親はセミオンということだ。
警察は、セミオンのDNA鑑定をして、まずはレイプでしょっ引くことに。
その背後には、ワインと少女を交換するという人身売買(イースタン・プロミス)をやって
いたのだった。その動きを察した息子のキリルは病院から赤ちゃんを連れ去り殺そうとするが、
アンナとニコライに追われ、かろうじて留まる。アンナはニコライの正体こそ知らないが、
ニコライのどこか優しいところに惹かれた。
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一年過ぎて、女の子はアンナが引きとり、伯父伯母の家で育てていた。そして、ボスの
居なくなったレストランでは、一人椅子に座って瞑想するニコライの姿があった。
"法の泥棒"を乗っ取って、更に捜査を進めようというのだろうか・・・。
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超有名な配役ではないが、ニコライのヴィーゴ・モーテンセン、アンナのナオミ・ワッツ、
キリルのヴァンサン・カッセル(ロシア人には見えないけど)、そしてなにより普通のいい
オジサンのような風貌で実は陰でものすごく悪いことをしているドンを演じた、アーミン・
ミューラー=スタールは、モーテンセンと並んで、光っていた。全体として非常に脇の
締まった映画だ、と感じた。ただ、映画に「意味」を求める人には、いささか、全体に何を
描きたかったか判りづらいかもしれない。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-26 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback(2) | Comments(2)

動く標的  Harper

●「動く標的 Harper」
1966 アメリカ Warner Bros.Pictures,121min.
監督:ジャック・スマイト  原作:ロス・マクドナルド 音楽:ジョニー・マンデル
出演:ポール・ニューマン、ローレン・バコール、ジュリー・ハリス、ジャネット・リー、ロバート・ワグナー
    シェリー・ウィンタース、パメラ・ティフィン、アーサー・ヒルほか。
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タイトルは昔から知っていて、ポール・ニューマンの探偵もの、という理解はあった。このたび、
WOWOWで、「ポールニューマン没後1周年記念特集」で本作を放送していて、観賞した次第。

アメリカでは、私立探偵ものという映画は一つのジャンルが確立するほど、様々な作品が製作されて
いる。代表例が、レイモンド・チャンドラー原作によるフィリップ・マーロウシリーズ。アルトマン監督
エリオット・グールド主演「The Long Goodbye」など、楽しくも興味深い作品だ。マーロウ役は
ロバート・ミッチャムもまた別の趣きがある。それぞれに、固定的な熱狂的なファンを獲得している
シリーズである。

で、本作も、ポール・ニューマンの代表作品に挙げる人もいるほど、熱烈なファンを持つ作品だ。
観賞の感想としては、内容としては取り立ててどう、ということは無いのだが、ポール・ニューマン演じる
探偵ルー・ハーパーは、スタイリッシュでカッコよく、スーツの似合うアメリカのあの時代の探偵の
一つのアイコンとして魅力を放っていると感じた。ストーリーは、不必要に複雑、というかややこしい。
それを、綺羅、星の如くの配役が補っている。

どなたも取り上げる、冒頭のシーン。目覚まし時計よりも早く起きて、コーヒーを入れようとするが、
粉が無い。そこでゴミ箱から昨日の出がらしの粉を、もう一度再利用して飲むが、顔がゆがむほどの
味。お洒落な感じでスタート。また音楽が映像とシンクロしていて、またジャズのメロディーが
探偵ものの雰囲気を盛立てる。
どうして探偵ものってフォービートが似あうんだろう。60年代から70年代の探偵映画って、ほとんど
BGMがミュートトランペットを活かしたメロディーが目立つような感じがする。代表例はマイルス・
デイヴィスの「死刑台のエレベーター」だろう。
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ストーリーは、私立探偵のハーパー(原作ではルー・アーチャー。なんで変えちゃったんだろう)が、
親友の弁護士アルバートの紹介で、富豪のサンプソン夫人(ローレン・バコール)の夫の失踪事件を
追うことになる。そこには、サンプソン氏の愛人で女優のフェイ(シェリー・ウィンターズ)、
サンプソン氏の自家用ヘリコプターお抱え操縦士のアラン(ロバート・ワグナー)と愛人のバー
「ピアノ」の歌手、ベティ(ジュリー・ハリス)、サンプソン氏の娘ミランダ(パメラ・ティフィン)らが複雑に
絡み、事件が進行していく。加えて、ハーパーの離婚問題として妻のスーザン(ジャネット・リー)との
夫婦の愛情事情も縺れ合っていく。
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探偵ものの常道として、怪しそうな人物をたくさん登場させ、それぞれに意味を持たせ、ストーリーを
こんがらがらせているが、結局は、一番身近にいた弁護士のアルバートが仕組んだ犯罪であった
のだが。とにかくストーリーは複雑で、判ったようで良く解らないというのが本音。だけど、映画全体の
持つスタイルが、見せてしまう力を持っている。ハーパーのクルマがポルシェ356スピードスターの
オンボロだったりするのも計算されている。(コロンボのオンボロ車と通底するものがあるが、カッコよさの
追求というと対極にある小道具といえよう)
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映画「いそしぎ」のテーマ「The Shadow of Your Smile」を作曲してオスカーとグラミーを同時に
獲っちゃったジョニー・マンデルの音楽が、時代を感じさせはするが、とてもいい!ジャズファンとしても
味わい十分だ!それと、計算されたアングルがいい。ちょいと目につきすぎるかな、というくらいに
計算された構図が美しい。

これはストーリーを楽しむというより、お洒落な映画ってこんなんよ、という雰囲気を味わう作品といえる
でしょう。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-24 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

ウォンテッド Wanted

●「ウォンテッド Wanted」
2008 アメリカ Universal Pictures,Spyglass Entertainment,110min.
監督:ティムール・ベクマンベトフ
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、テレンス・スタンプ他
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映像は最高!ストーリーはマンガだと割り切ってみるべし。それもそのはず、原作がマーク・ミラー&
J・G・ジョーンズによる人気グラフィック・ノベルっていうから、ま、その程度のもの。
それと、人を殺しすぎですね。作品中の血の飛び散るシーンや訓練と称したナイフの振りまわしは
あまり趣味のいいものとは思えなかった。

最初、モーガン・フリーマンがスター・ウォーズで言うところのヨーダの役周りで、主人公ウェスリーは
ルーク・スカイウォーカーって感じかな、フォース(理力)を使って弾丸を曲げる訓練をするなんてね。
しかし、これがラスト20分くらいで大どんでん返しに会うわけだが、そこは「おっと!!!」と思わせる。

1000年前、世の中の悪を密かに消し去るために紡績工業組合の手で結成された暗殺組織、
フラタニティというものがあったとさ、と説明される。

そして現在、うだつの上がらないヘタレサラリーマンのウェスリーは、デブっちょの女上司にいいように
いびられ、ガールフレンドは親友に自分の部屋でやられ放題。彼はいつも謝ってばかり。
まさに、目標を失ったダメ男の典型だった。
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そんな彼のもとに、フォックス(アンジェリーナ)という謎の女性が現れ、クロスと呼ばれる暗殺者から
君を守る、と称して、スーパーの中で派手な撃ち合いを演じる。

彼女らこそ、現代のフラタニティであり、ボスはスローン(フリーマン)であった。殺人の指示は、紡績
工場を装った組織の基地に、機の折柄(2進法)の暗号で送られてくる。
スローンやフォックスいわく、ウェスリーの父親は昨日、ビルの屋上で、クロスらの手により罠にかかり
殺された、と。ウェスリーは生まれながらに、弾丸を曲げる能力など、フラタニティとしての能力が
備わっている、という。そこで、殺し屋たちからの実にハードな訓練が始まる。
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父親殺しの復讐心に燃えていたウェスリーは、銃撃や拳闘、ナイフの使い方を、身をもって叩き込ま
れる。少々の傷ならば、「治療風呂」と言われるものに入っているとものの数時間で直ってしまう。
(これもコミックちっくだよなあ)
こうして一人前の殺し屋になった(6週間でヘタれがそんな凄腕の暗殺者になるか??)ウェスリーは
自信に満ちてきて、オフィスでは、女上司に悪態をつきたいだけつき、ガールフレンドを寝取っている
親友にパンチを喰らわせてでてきてしまった。こうしてウェスリーの暗殺者人生が始まる。
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ある日、指令に基づいて暗殺に乗り出していると、クロスの姿を見つける。追い詰めて銃を乱射するが
フォックスは姿を消してしまう。逆に、助けに来た仲間を誤って射殺してしまう。
スローンはついにウェスリーにクロスの暗殺の指令が来た、といって彼を殺す指令を出す。
さらにスローンはフォックスにウェスリーの暗殺指令も渡したのだ。なぜに?

クロスを追い詰めた時、彼の放った銃がウェスリーの腕に当たり、銃弾が手に入った。これを作ったの
は、ぺクワースキーという職人でヨーロッパにいた。当地に飛んだウェスリーはかの職人を追い詰める。
クロスの居場所は言えないが、合わせる算段は付けられる、という。
ウェスリーは、列車に乗ろうとしているクロスの姿を見つけ、追いかける。列車は発車し、車内で
客を巻き込んでの撃ち合いとなる。その様子を並走するクルマから見ていたフォックスは、クルマを
列車の胴体に体当たりして突っ込ませ(ありえねええ!!)、ウェスリーを助けようと?する。
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しかし列車は、トンネルに入る時に、フォックスが突っ込ませたクルマがトンネルにぶつかり、鉄橋から
脱線して落ちて行った。かろうじて線路に残った車両に、クロスは残り、落ちそうになるウェスリーの
手を掴み助けようとするが、ウェスリーは父の仇とばかりに、クロスに銃を打ち込む。

中に引き上げられたウェスリーに対し、クロスは、おれこそお前の父親だ、お前は全て騙されている、
スローンこそ黒幕、フラタニティの掟を破り、暗殺者を自分の都合の良いように変えている、と言い残し
絶命した。実の父親を殺してしまったウェスリーは激しく動揺する。フォックスに、本当か?と尋ねると
肯定した。
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気がつくと、サラリーマン時代の自分のアパートの向かいの部屋にいた。そこにはぺクワースキーが
いて、ことの全貌を教えてくれた。スローンの独断専行を止め、組織の掟を守ろうとしたクロスだったが、
スローンは、クロスの息子を組織に入れることにより、彼の手で父親を殺させる計画を立てた。それを
察知した、父クロスは、息子を守るため、フォックスらを近づけないようにしていたのだった。

自分の父親を殺すために鍛えられ、裏切られたウェスリーは激怒し、まず大量のねずみに爆弾を
抱かせて、ゴミ収集車で、組織の建物に突っ込み、あちらこちらで爆発させ、自分も建物に突入し、
銃をぶっ放して、殺しまくり、かつて自分に殺しの技術を教えたやつらとも対決、殺していく。
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そしてついにスローンを追い詰めた、と思ったら実は殺し屋たちに周りを取り囲まれていた。
しかし、ウェスリーは、皆の前でスローンの正体を暴き、自分は騙されて本当の父親をころしてしまった、
と話した。スローンは殺し屋たちに、ウェスリーを殺し、自分の側につくようにいう。一人が同意して
銃をウェスリーに向けようとした瞬間、フォックスが曲撃ちで、銃弾に円を描かせ、殺し屋の頭を
次々と撃ちぬかせた。その弾は、一周してフォックス自身も撃ち抜いたのだった。彼女も、偽りの組織に
いることを、いたことを潔しとしなかったのだろう。(彼女には幼いころ両親を眼の前で殺されるという
トラウマがあった)。しかし、スローンは姿を消してしまっていたのだった。

そして、かつてウェスリーが勤めていたオフィス。背中に忍びよるスローンだったが、実はこれが
おとり。数キロ先から狙える銃を使って、ウェスリーがスローンの頭を、ぺクワースキーの作った特殊
銃弾で撃ち抜いたのだった。その銃弾は、スローンの頭に届くまでに、これまでウェスリーが味わって
来た、苦痛や恥辱をも射抜いていたのだった・・・。

2か所あるカーチェイスはなかなか見ごたえがある。列車ががけ下に転落するところは、あ~あ、罪も
ないひとをたくさん巻き込んじゃって、正義の暗殺団が聞いてあきれるわ、と思ったり。
銃弾が曲がったり、治療風呂の存在などは、マンガ以外の何物でもなかろう。ヘタれからスーパー
暗殺者に変わったマカヴォイ君は、ヘタれぐあいが良かったね。「ラストキング・オブ・スコットランド」
のヘタれさのほうが良かったけど。
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アンジーは、迫力はあったけど、ちょっと肉がそげちゃって、ギスギスしちゃった感じ。トゥームレイダー
のころの肢体が好きだな。といってももうお歳なんだろうけどね。
ありえなさすぎるので、映画の迫力やCGの出来具合からの原点材料となっている。
頭をカラにして肩の力を抜いて、突っ込まないで楽しむタイプの映画でしょうね。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-23 22:35 | 洋画=あ行 | Trackback(3) | Comments(0)

●「イン・トゥ・ザ・ワイルド Into the Wild」
2007 アメリカ Paramount Vantage,River Road Entertainment,148min.
監督・製作・脚本:ショーン・ペン  原作:ジョン・クラカワー「荒野へ」
出演:エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ウィリアム・ハート、ジェナ・マローンほか
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こところ数本、期待にかなわぬ映画をたてつづけに観ていたので、いい映画をみたいなあ・・・、と
思って、シルバーウィークも明日を残すのみとなった夜、チョイスしたのが、ショーン・ペン監督の
本作。長い映画だったが、長さをこんなに感じさせない映画も珍しいな、と思って見入ってしまった。
更に、ラストまで観きったあと、この映画の与える重い命題に、思わずたじろいでしまった。
それほど良くできた映画だと、感心しました。ショーン・ペン恐るべし。

原作のアダプテーションによる脚本で、しかも実際にあった話なので、迫力については多少の下駄を
はいていると見ていいでしょう。それにしても、、圧倒的なアラスカの大自然の中で、たった23歳の
若者が一人で、自分を見つめながら自然と対峙していくさまは、「事実は小説より奇なり」を地で行く
ものだ。 23歳にしては、バロンとかニーチェとか哲学的、形而上的な、説教めいたことをたくさん
いうので、少々鼻白むところもないではないが、それがこの青年の本来の姿だとすれば、真実として
素直に受け入れられる。

長いので物語を全て網羅して書くわけにはいかないが、ジョージア州の大学を優秀な成績で卒業した
クリス・マンカンドレス。彼と妹は、実は母の私生児でったことが20歳すぎて判明し、クリスは非常に
内省的になっていく。人間は何のために生きているのか。それを見つけるために、たった一人で
アラスカ行きを決意、家族はだれにも言わずに、オンボロ車に乗って、カリフォルニアを北に向かう。
出発に際しては、2万6000ドル程の有り金を慈善団体に寄付し、食用の野草を見分ける図鑑を
持ち、最低の暮らしが出来る体制での旅立ちだった。
幼いころから両親のケンカと、それを取り繕うため金とモノで子供の心に蓋をしようとしてきた両親の
態度にも反抗していたのだろうが、クリスは実際、金や物にた頼らない人生を送ってみたかったのだ。
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途中、コロラド川を無許可で下り、警官に追いかけられたり、結局メキシコまで行って、身分証明書も
出発の時に焼いてしまったので、そこでUターンし、貨物列車に飛び乗りまた北を目指す。
途中、サウスダコタでは彼の無鉄砲を諫めてくれる陽気な兄貴分ウェインと親交を深め、そこの農場で
アルバイトをして、アラスカに行くための準備をするいくばくかの金を稼いだ。スラブスではキャンピング
カーで放浪生活をして歩く夫妻に出会い、またヒッピーなどアウトサイダーたちが集うコミューンに身を
寄せ、そこで美しい少女トレイシーと出会う。彼女はクリスに好意を抱き、抱いてほしいとクリスマスの
日にいうが、彼女が16歳であることを知り、「いけないよ」と押しとどめる。その間にも彼は体を鍛え
アラスカに行く準備を整えていた。
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さらに出発直前にロンという老人と出会う。彼は自分が1957年に沖縄に駐留中、本国で妻子が
酔っ払い運転のクルマと激突し死んでしまったという。彼はクリスを実の息子のように接し、出発に
際してもナタや魚のタモ、などを与えた。そして、アラスカから帰ったら養子になってくれないか、と
頼んだのだった。

一方その頃、残された家族。1年たち、1年半たってもクリスからは手紙や電話の1本もない。最初は
警察に捜査願いをだしたりして、怒ったり心配したりしていたが、その遠因を自分たちが作ったことに
思いを致し、次第に、許しの気持ちになり、人が変わったようになっていく。何とか無事でいてほしいと
心底から願うのであった。
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クリスは、アラスカに入り、だれが置いたか、廃バスの中で暮らすことに決めた。「不思議なバスの日々」
と名付けられた日々を、自給自足の中で送り、清明な心を得ていく。、10週間のアラスカ生活を終えて、
街へ戻ろうとする。しかし、大雨で川があふれ、戻るに戻れない。
その時、不幸にも口にした野草が図鑑の見間違いで毒草を食べてしまい、あっという間に体力が無くなっ
ていく。そして、
「幸福が現実になるのは,それを分かち合えるた時だ」、また生涯の伴侶を得ること、という真実を悟った
とき、彼には死を待つしか出来ることが無かった。
ついには廃バスから抜け出る気力体力も、失い、彼は大自然の中で神に召されていく。死期を悟った彼は
こぎれいな服に着替え、古ベッドに身を横たえ、観念して、泰然として死を受け入れたのだった。
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彼の遺体は死後2週間後、ヘラジカ狩猟のハンターにより発見された。

両親を含め、彼の行動に巻き込まれた人たちは、いずれも自らの人生を内省し、クリスから何かしらを
貰っていくことになる。23歳にして、大したものだ。
映画では、ストーリーを同じ私生児であった妹の語りと、クリスが、廃バスの中で綴っていたのであろう、
ウェインあての私信で綴られていく。ラストに本物のクリスが笑顔で廃バスに持たれた映像が出てくるの
だが、だれが撮ったのだろう。それに、あの廃バスはどうやって持ってきたのだろうか?ラスト、毒草を
食べてしまってから、助けを求めに行かなかったのだろうか?

彼が亡くなる直前、家族と再び再会を果たし、皆で抱き合う光景がフラッシュバックされるのだが、結局
家族の愛を欲していたのだな。人は決して一人では生きていけない、ということを彼は2年間の旅と、
10週間のアラスカ生活で悟ったのだ。過酷な自然の中で自分をギリギリまで追い詰めることで、真理を
得たのだ。だが、死んでしまっては何にもならない。彼は自然と対峙し、悟りを得ることと引き換えに
命を失った。最後、苦痛に顔をゆがめて叫ぶ彼は、「こんなことで死んでいくことは理不尽だ!」と
叫んでいるようだった。いや、そうに違いない。結局、彼は自然に負けてしまったということだ。
しかし、クリスは人生の敗者か? 決してそうではないだろう。勝者では決してないが、23年間の人生、
普通の人の70年分くらい圧縮して生きたのではないか?だから最後に悲壮感がないのだ、と私はそう
思った。
実に見ごたえのある映画だった。
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by jazzyoba0083 | 2009-09-22 23:55 | 洋画=あ行 | Trackback(3) | Comments(0)

●「ココ・アヴァン・シャネル Coco avant Chanel」
2009 フランス Haut et Court,Ciné@ ,Warner Bros.,France 2 Cinéma,Canal+ ,105min.
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:オドレイ・トトゥ、ブノワ・ポールヴールド、アレッサンドロ・ニヴォラ、マリー・ジランほか。
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今年は、前半にいい映画が偏っていたような気がする。シルバーウィークなので、映画を一杯見られる
と思っていたら、案に反して、観たい映画が少ない。ハリソン・フォードの新作は単館上映だし。
それでも、1作くらいは観たいな、と思い、奥さんについて本作を観賞に。
シネコンの一番小さい小屋での上映ではあったが、中年夫婦やアラサーやアラフォーの女性で
結構混雑していた。

で、本作。一言でいって期待外れ。凡作。といっても自分から観たいと思って進んで行ったわけではない
のであまりケチはつけられないというものだが。たぶん、観に行ったほとんどの皆さんは、お針子から身を
起こし、生涯独身を通して、一大オートクチュールブランド帝国を築いたシャネルの人生をダイナミックに
描いて見せてくれるのか、と思うでしょう?ところが、だ。これはタイトルを良く見ればなるほど、なのだが、
シャネルになる前のココ、Coco before Chanelなんだな。誤解を恐れずにいうならば、ココの恋愛
物語、という映画に仕上がっている。
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『母親を亡くし、父親に見捨てられたガブリエル・シャネルは、姉と共に田舎の孤児院で少女時代を
過ごす。やがて、仕立屋でお針子仕事をする傍ら、姉と共にキャバレーで歌を歌い、つましく生計を
立てていく。
また、その時の持ち歌から“ココ”の愛称で呼ばれ、本格的に歌手を志すようになるガブリエル。

そんな彼女はある日、エティエンヌという裕福な将校と出会う。愛人関係となった彼の支援で歌手に
なる夢も膨らみ、上流階級の社交界も知るガブリエル。
ところが、歌手の夢は潰え、愛人に留まるだけのエティエンヌとの生活も次第に陰りが見え始める。
しかし、この時ガブリエルには裁縫の独創的で類い希な才能が芽生えていた。そうした中、本当の
彼女を理解するイギリス人の実業家ボーイ・カペルが現われ、相思相愛となるのだが…。』(allcinema)
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こじんまりとした恋愛映画。製作サイドに、ハナからデザイナーとして身を立てていき、パリのオー
トクチュールの世界で揺るぎのない地位を勝ち得たシャネルの立志伝を描くつもりはなかったのだろう。
だからそれを期待して行って、「外れた」といっても、的外れかもしれない。
それにしても、恋愛映画としても凡庸のそしりは逃れられないのではないか?これでは、主人公が
シャネルである必然性が無かったといわれても仕方があるまい。生涯独身を通したシャネルの恋愛観が
見事に描かれているわけでもないし。

オドレィ・トトゥは、勝気な若きシャネルをいい感じで演じていたので、もう少し大河風に仕立てたら面白く
なっていたと思うのだが。(そこがフランス映画のいいところだよ、という声が聞こえてきそう)
実際のシャネルに実によく似ている、というところもミソかも。
大きな山のない平坦なストーリー展開でセリフが多い、いわば「会話劇」。英語なら短いセリフや
単語くらいは理解できるのだが、フランス語は、多いセリフを聴き逃すまいとして字幕ばかり観ていた
ような気がする。で、フランス語は耳に心地いいので、抑揚のない映画では、とたんに子守唄に変化して
いくわけで・・・・。
というわけで、シャネルスーツが出てくるのはラストカットのみ。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-22 12:30 | 洋画=か行 | Trackback(12) | Comments(2)

●「オール・イン/エースの法則  ALL IN」
2007 アメリカ Vallelonga/Quattrochi Productions、100min.<日本未公開>
監督:ニック・ヴェレロンガ
出演:ドミニク・スウェイン、マイケル・マドセン、ルイス・ゴセット・Jr、ジェームズ・ルッソ他
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WOWOWで、ラスベガス&ギャンブル特集を放送していて、なんかの拍子に観てしまった。
見なけりゃよかった。時間の無駄だった。これから観る人もいるかもしれないので、あえて警告。
観なくていいです。私も観はじめて途中でやめられない性格なので、観ましたが、全然ダメ。
ダメなことはたくさんあるのですが、ラス・ヴェガスと学生を描いた近作の映画なら「ハリウッドを
ぶっつぶせ」を観れば十分。

本作は医学生が主人公グループなのだが、アホっぽくてとても伊学生とは思えないキャスティング。
1年生から付属病院で診察をさせる無謀さ。苦学して医学部に入学したのになんの理解もない
バカな母親。病院の教授もアシスタントの女性医師もギャンブル狂い。
死んだと思っていたオヤジは実は生きていて、最後のポーカー世界選手権で、最後の二人となり、
娘が勝つというなんのヒネリもないストーリー。ポーカーが本当に理解できてないと全く分からない
ゲームのシーン。そしてこれもミエミエのラストの父娘の和解。なんでこんな映画が出来ちゃったのか、
と思わずにはいられない。みなさん、ほんと観なくていいですから。(そういわれると観たくなっちゃう
人がいるかもしれませんが、)映画は個人の好みなのでいいですけど、時間の無駄ですよ、ホント!
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-21 22:30 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

目撃者 Eyewitness

●「目撃者 Eyewitness」
1981 アメリカ 20th Century-Fox Films,102min.
監督・製作:ピーター・イェーツ
出演:ウィリアム・ハート、シガニー・ウィーヴァー、スティーヴン・ヒル、クリストファー・プラマー
    ジェームズ・ウッズ、パメラ・リード、モーガン・フリーマンほか。
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ずいぶん昔の映画だし、地上波やWOWOWでも何回か放映されているのでご覧になったかたも
多いはず。監督が「ブリット」「ジョンとメリー」のピータ・イェーツだし、出演者が豪華だから、食指は
動くというものだ。

だが、期待は裏切られた。イェーツの作品群にあっては駄作の類だろう。何より、ストーリーが
非常に判りづらい。ネットでいろいろと筋書きを探してみたが、それでも良く解らない。話を整理する。

主人公ダリル(ハート)とアルド(ウッズ)は、ベトナム帰還兵で、ビルのゴミ清掃係。
このビルにベトナム系の貿易会社「ロン貿易」が入っている。
アルドは、このロン貿易の社長からのクレームで清掃係を首になってしまう。
ベトナムで苦労した俺らが、ゴミ掃除で、立派なオフィスで金もうけしているのがベトナム人かよ!と
不満を持っている。
ある日、ロン貿易の社長が、電話コードを首に巻かれて殺されていた。

一方、ダリルはおタクであり、仕事が終わると家に帰り、録画していたでお気に入りのキャスター、
トニー・ソコロウ(シガニー)の録画を観るのが楽しみだった。そんな生活が3年続いていた。

トニーはロン貿易社長殺しの取材でビルを訪れ、ダリルと出合う。ダリルは、死体は発見したが事件の
目撃などは一切していないのに、まるで知っているようなそぶりをみせて、大好きなトニーの歓心を
引こうとする。
トニーにはイスラエルの外交官(あるいは在イスラエルのアメリカ大使館員)の婚約者ジョセフ
(クリストファー・プラマー)がいた。彼は、ソ連や諸外国からアメリカやイスラエルにユダヤ人を脱出
させる裏工作を担当していた。そこに一枚噛んでいたのがロン貿易だった。
あくどいロン貿易は、手数料を次第に吊りあげて、ジョセフの手に負えないくらいにまで高騰させていた。
ソ連に金を渡さないと大変なことになる、そうした状況で、ジョセフがロン社長を殺したのだった。

アルドには妹リンダがいて、彼はダリルに妹と結婚してほしいと願っていた。しかし、双方ともその気は
なかった。アルドは店をやりたいと、マフィアから大金を借りて、その返済?で彼らから追われていた。
ダリルや刑事たち(モーガン・フリーマンら)は、アルドが怪しいのではないか、と考える。

トニーとダリルは次第に接近し、情報を欲しいトニーは一夜をともにしてしまう。しかし、情報など手に
入るわけはない。トニーの両親は娘がダリルと接近していることを知り、ジョセフとの結婚を急がせる。
トニーもダリルに、婚約者の存在を明かす。

トニーの取材に対し、さもロン社長殺害事件の何かを知っているようなそぶりをしていたダリルを本当に
事件のことをしっていると思ったジョセフは、自分とロン貿易との関係が明らかになるのを恐れ、
ダリルを殺そうと、仲間の女と、ダリルを狙う。

ジョセフは、トニーの父親を装ってダリルを呼び出し、女と共謀して殺そうとする。しかし、厩舎に逃げ
こんだダリルは、馬を上手く使って脱出、ジョセフは駆けつけた警察に降伏するが、何かを胸の
ポケットから取り出そうとして刑事らに射殺されてしまう。トニーの眼の前のことだった。

そしてトニーはダリルの元に歩み、彼を優しく抱きしめるのであった。

感想としては、まず物語が動き始める、ロン貿易社長殺しまで時間がかかりすぎ。テレビのニュース
キャスターのストーカーのような精神状態の男に、いくら芸能担当とはいえニュースキャスターが
心を許すか、という納得の行かなさ。ジョセフのポジションや殺人に至る構図が判りづらい。
全体にテンポが悪い。などなど、あまり緊張感のないストーリーで、これはベトナムヒッキーと
キャスターの恋物語か?と思ってしまうのでした。ベトナム戦争がまだ社会に暗い影響を与えていた
80年初頭ゆえに、その社会性が理解できないと、イマイチ踏み込めないかもしれない。
しかし、キャストが豪華なのでもったいないことをしているなあ、と思った次第。
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<James Woods 2006>

この映画の詳細は
こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-19 22:50 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

「マイケル・コリンズ Michael Collins」
1996 アメリカ Geffen Pictures,Warner Bros.Pictures,133min.
監督・脚本・ニール・ジョーダン
出演:リーアム・ニーソン、エイダン・クイン、アラン・リックマン、ジュリア・ロバーツ、スティーヴン・レイ他
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<1996年度ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、男優賞受賞作品>


現代・近代版「ブレイヴ・ハート」ってところでしょうか。アイルランド独立に生涯を捧げた彼の国の英雄
マイケル・コリンズ(<1890~1922>こういう人がいることをこの映画で知りました)の実話に基づく
映画。
主役のリーアム・ニーソンは「シンドラーのリスト」以来の実在の人物を描いた作品の主演を務めた。
それも相当に重い役だ。しかし、上記の賞を獲得しているように、見事な演技だと思う。

メル・ギブソンが監督して主演もし、オスカーも獲った「ブレイブ・ハート」は、13世紀、まさにアイルランド
とイングランドの長い長い戦いの始めのほうの、これも実在の人物を描いた作品。本作品の主役と
ブレイブ~の主役がダブる。ソフィー・マルソーとジュリア・ロバーツが役周りでダブる。ストーリーも
実話同志とはいえ、裏切りや女性を巡る話など、似ているところが多いのは、事実は小説より奇なり、と
いうことか。

それにしても、私が若いころ、テロといえば、北アイルランド紛争の主役IRAの専売のように聞こえてくる
ことが多かったような記憶がある。その北アイルランド分離の元を作った条約をめぐる原点がマイケル・
コリンズにあったとは驚いた。しかも彼はIRAの情報部長も経験していた。北アイルランドは今でこそ静か
だが、独立をめぐる火種が無くなっているわけではない。
あの狭い島国に、イングランド、スコットランド、ウェールズそしてアイルランドと4つの誇り高い歴史のある
地域・民族が存在しているわけだが、日本は同じ島国としてそんなでなくて本当に良かったと思うし、それ
だけに、この映画の訴えてくる民族紛争の悲劇が重くのしかかってくる。

長い映画だが、脚本もしっかりしていて、カメラワーク、美術、そして演技と演出、みんないい出来で
まとまっていた。なかなか見ごたえのある力作だと思った。リーアム・ニーソン、実際にいた人を演じる
のは本当に大変だろうが、エイダン・クイン、アラン・リックマンらの共演陣を得て、出色の演技を見せる。

民族間の紛争、支配される側とする側の骨肉の憎しみ、しかも何世紀も続いたそれは、日本人の想像を
はるかに超えているもので、本作の中で、マイケル・コリンズらの独立派が英国軍に対して行うテロの
激しさは、並大抵のものではない。マフィアの抗争と殺し殺される、というところだけ抽出すれば、
あまり変わりのない激烈さである。その様子が克明に描かれてもいる。ショッキングである。
マイケル・コリンズという人は、勇気はあるが粗暴な部分もあり、テロの中心人物で、テロリストに政治や
国民のための平和を言う資格があるのか、と思うほどの人物。
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しかし、彼は、英国政府から「殺し屋」と呼ばれるほどの武闘派であったが、いつまでも内戦のままでは
平和は少しも近くに来ない、とアイルランド革命軍を代表しロンドンへ赴き英国政府からの条件を受け入
れる条約を飲む。これが北アイルランド分離を生むことになる。アイルランド共和国の樹立を夢見て、
暫定政府を宣言し代表になっていた戦友のデ・ヴァレラ(リックマン)ら、妥協の産物である条約反対派と
対立、親友で戦友でもあったハリーとも対立していくようになる。

そんなコリンズは、リーダーを降りたいと盛んに口にするようになった。かつての仲間と戦うなんてとても
つらい、しかもハリーと争って手にした恋人キティ(ジュリア・ロバーツ)との結婚も考えていたからだ。
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アイルランド自由国として英国から認められたものの、妥協して底から真の共和国を築く一歩とし、
とにかく戦争を終わらせたいコリンズ一派と、アイルランド共和国の完全独立を譲らないデ・ヴァレラ一派
との対立は激化し、内戦を終わらせたいと思ったコリンズはデ・ヴァレラとコリンズの生まれ故郷で
会うことになったが、狂信的なデ・ヴァレラ派の青年らの待ち伏せに会い、撃たれて絶命してしまう。

平和の達成を観ることもなく、仲間の多くを失い、自らも30数歳で死んでいったマイケル・コリンズ。
彼の葬儀が行われたダブリンには50万のアイルランド人が集まったという。
彼の葬儀の様子は、実写フィルムが残っていて、エンディングはその葬送のシーンが使われている。
花嫁衣装を選んでいるところにコリンズの悲劇が飛び込んでくるが、その時のキティの悲しみたるや。
冒頭とエンディングが繋がっている、という手法は割と多く見られるが、本作でもキティの悲しみを上手く
使ってこの手法を生かしている。デ・ヴァレラを演じたアラン・リックマンは「ダイハードPart1」のワルの
イメージがどうも強くて、いい人には見えないので困る。ジュリアは好演だが、イギリスの女優を使った
方が、(たとえばこの時期に年齢は合わないが、ケイト・ウィンスレットのような女優)感じが出たかもしれ
ないな、などと思いながら観ていた。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-17 23:25 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)