ブラインドネス Blindness

●「ブラインドネス Blindness」
2008 日本、ブラジル、カナダ  Focas Futures Miramax,121min.
監督:フェルナンド・メイレレス
出演:ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、アリシー・ブラガ、伊勢谷友介、木村佳乃、ダニー・クロヴァー
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監督が「ナイロビの蜂」のメイレレスで、原作がノーベル賞作家と来て、これかよ!って感じでしたね。
先日観た「ハプニング」とよく似た、煮え切らずさっぱりしない、観終わった後「なんだかなあ」と感じる
タイプの映画だ。必要以上に時間も長い。

目が見えなくなった人たちのエゴを描こうとしたのだろうか、それにしては収容所の場面が冗漫で、
まだ続くのかよ、話を前に進めろよ、と突っ込みを入れながら観ていた。
このタイプの映画の特徴として、出だしは期待感に溢れているんだよなあ。
どこだか判らない都市。クルマを運転していた日本人の男が突然「ホワイトアウト」になってしまう。

この病気?どうやら伝染性のものらしい。彼を助けてクルマを運転して家まで届けてクルマを盗んだ
泥棒、彼が行った眼科医、その眼科に来ていた患者、などなど、次から次へと感染が広まる。
国は事態を重く見て、彼らを隔離、精神病院として使われていた建物を収容所にして患者を
ギュウーギュー詰めにする。さらに不衛生の状態で放置、やがて病棟同志で食料を巡り争いが
起きる。眼科医の妻だけが目が見えた状態で収容所にいた。彼女の機転や導きで、やがて少数の
グループが収容所を脱出、街へ出ると、街中が悲惨な状態になっていた。彼女は自分の家を
目指し、そこにグループを入れ、食糧などを調達してくる。そこでの生活を覚悟したとき、
最初に視覚を失った日本人が視覚を取り戻した。次々と皆が視力を回復することが予感されて
映画は終わる。

突っ込みどころ。全世界がそうなったのか?舞台がアメリカだったとしたら、そこが駄目だとしても世界
から救いの手は?収容所を必要以上に不衛生にしておくわけは?眼科医の妻だけがなぜ目が見えて
いたのか?伏線もないし。結局、視力を失うというのは感染性の伝染病だったのか?一旦罹った病気が
どういうきっかけで直るのか?その要因は?

全体が甘い。ジュリアン・ムーアは好きな女優さんだが、年齢ばかりが目立ち、痛々しかった。
うっちゃられる快感のない、尻切れで後味の良くない映画であった。
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この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-31 23:15 | 洋画=は行 | Trackback(2) | Comments(0)

●「ポール・ニューマンの女房万歳 Rally 'Round the Flag, Boys!」
1958 アメリカ 20th Century Fox Films,107min.<日本劇場未公開>
監督・製作・脚本:レオ・マッケリー
出演:ポール・ニューマン、ジョアン・ウッドワード、ジョーン・コリンズ、ジャック・カーソンほか
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WOWOWのポール・ニューマン没後1周年記念特集で観賞。こういう機会でなければ、まず
観ることは出来ないだろうということで。
デビュー4作目の作品。私が知るニューマンとはまた別の彼が感じられる作品ではあるが、なにせ
感覚がいかにも50年代のコメディらしい仕上がりで、楽しいちゃ楽しいけど、ポール・ニューマンが
この年に再婚したジョアン・ウッドワードとコンビを組んで作ったお気楽コメディと割り切るべし。

監督は、あの「我が道を往く」のレオ・マッケリーだが、彼はコメディも得意で、この作品にもその
感性は活かされている。50年代のアメリカの家庭や夫婦のありようをコメディの中に面白く描き、
当時のアメリカを知るにはいい材料ともいえる。

ニュー・ヨークの北80キロにある住宅地パットナムランディングが舞台。ハリー(ニューマン)とグレース
(ウッドワード)は2人の子供たちと暮らす仲のいい夫婦。とはいえグレースはいつも地域の社会奉仕
活動に忙しく、なかなか夫婦水入らずの時間が持てないのがハリーには不満の種。
そんな彼に対し、こちらは日頃夫に相手にされない近所の人妻アンジェラがモーションをかけてきて
ハリーとグレースの間に亀裂が生じるようになる。その上、彼らの住む地域に米軍のミサイル基地が
建設されるという話が突如持ち上がり…。

いわゆるハッピーエンドのドタバタだし、突っ込みどころは満載なのだが、そういうことろに目くじらを
たてるタイプの映画では無い。素直にバカバカしさを笑えばよろしい。ナンセンスもまた可笑し。
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それよりも、58年のアメリカの中流家庭の素晴らしさにびっくりする。クルマはもちろんだが、大型
冷蔵庫、テレビ、箱入りのティッシュ、冷凍食品、まさしくアメリカの高度成長時代だったんだな。
それとNY郊外から都心に向かう列車の中にバーカー(Bar Car)という車両があり、そこでは
カウンターで一杯やれるんだね。そんな列車があったんだなあ。さらに、これは日本でもそうだったが、
58年当時のサラリーマンて、揃いも揃って中折れ帽を必ずかぶっているんだよね。そういえば
クラーク・ケントもディック・トレイシーもね。いつ頃から、男は帽子をかぶらなくなったんだろうか、
そんなことも思いながら見てました。テクニカラーが非常に美しかった。

ポール・ニューマンの苦笑いを楽しみたい方は必見かも。でも観る手立てがないか。残念。
この映画については、このブログが充実しています。
by jazzyoba0083 | 2009-10-26 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「あなたは私の婿になる The Proposal」
2009 アメリカ Touchston Pictures,Mandeville Films,108min.
監督:アン・フレッチャー
出演:サンドラ・ブロック、ライアン・レイノルズ、マリン・アッカーマン、クレイグ・T・ネルソンほか。
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昨夜観た「ハート・オブ・ウーマン」とどこか感性が近いな、と思って観ていたら、監督が女性だった。
どこか女性目線なんだな。このアン・フレチャーという監督、ダンサー、振付師、女優、監督という
経歴を持つ。自身もこの映画にジルという女性で出演しているが、残念ながらジルがどこで出てきた
どういう人物か記憶にない。

さて本作も、ラブコメの王道を行く、都会のオフィス(ここでは出版社の編集部)を舞台にして、あまり
ありそうでないシチュエーションの中で、予定調和的なラブストーリーが進行していく。

出版社の編集長マーガレット(ブロック)は、有能だが冷たい性格から、部下から「魔女」のあだ名を
頂戴している。朝出社しただけで、みんなのパソコンに「魔女が現れた!」とのメールが飛び交う。
そんな鬼編集長のアシスタントを務めているのが、ずいぶんと年下のアンドリュー(ライアン)だ。
毎朝スタバに寄って、指定のコーヒーを買い、彼女の仕事の下働きのようなことをこなす毎日。
この3年というもの、休みらしい休みを取ったこともない。次の週末に故郷である祖母の90歳の
誕生日会も、仕事で断らざるを得ないことに。

そんな折、社長に呼びだされたマーガレットは、就労ビザが切れて、カナダに強制送還されることに
なりそうだ、と告げられ、ほんのさっき自分の手でクビにしたばかりのボブを編集長にするという。
そんなこと断じてさせられないと、彼女がとっさに取った行動は、自分がアンドリューと婚約した、と
告げたのだ。あっけに取られるアンドリューをしり目に、秘密にしていたが、そういうことなの、と、
言いきるマーガレットだった。マーガレットはカナダ人で、アメリカ人と結婚すれば自動的にアメリカの
国籍を取れる。彼女はそれに気がついたのだ。
自分たちは、この週末に予定されている祖母の誕生パーティーでみんなに報告しようと思っているの、
とマーガレット。唖然とするアンドリュー。社長から彼の実家はどこ?と聞かれ、アンドリューに振ると
「シトカ」。マーガレット=「そう、シトカなの」、社長=「で、どこのシトカ?」、アンドリュー「アラスカです」
マーガレット=「そ、!!!? そうなのアラスカ!!!?・・・・なの」。というわけで二人は週末に
アラスカに行くことに。
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二人は移民局に行き、結婚することを説明する。しかし、係官は、ボブからの垂れこみで、これが偽装
結婚の疑いが濃いとにらみ、二人に周辺や友人たちから二人の関係に不自然がないか徹底的に
調査する、と宣告される。そして次の月曜に面接をするからと。ちゃんと一致しなければ、マーガレットは
国外追放、アンドリューは25万ドルの罰金と5年の懲役だぞ、と脅かされる。
こんなウソ嫌だ、とアンドリューは言い張るが、許さないマーガレット。ならばすぐにアシスタントから
編集者に昇格させろ、とアンドリュー。駄目だわ、というと、アンドリューは、じゃ、さよなら!と脅す。
仕方ないマーガレットは、アンドリューに促されるままに、人ごみで膝をついて、求婚するはめに。
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そして週末。空路でアラスカ州シトカに入った。そこは想像していた以上に田舎であったが、実は
アンドリューの実家は、土地の富豪で、二人を一族郎党が出迎えた。
嘘をつきとおそうとする二人だったが、両親やおばあちゃん、元カノ、同級生らは暖かく迎える。
そして大豪邸で、二人は1つの部屋で過ごすように仕向けられ、プライベートでは一度も二人で何かを
したことのないアンドリューとマーガレットは、ぎくしゃくしながらも婚約披露パーティーをこなす。
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実はアンドリューは跡取り息子であったが、父の家業を継ぐのを嫌い、NYに行ったのだったが、まだ
望みを持つ父は、なんとか実家に戻ってくれるように説得するが、アンドリューは首を縦に振らない。
すると、両親は、明日ここで結婚式を挙げるようにアドバイスする。おばあちゃんも出席できるから
という理由だ。おばあちゃん本人からも切望され、二人の挙式は伝統に則って、実家の納屋で執り
行われることになった。
結婚を控えドレスを作ったり、地元の人々の手荒い歓迎を受けたり、そんなことをしているうちに
マーガレットは、いい人たちを騙している自分がいたたまれず、ボートで逃げだす。
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16歳の時から一人で生活してきたマーガレットには「家族」というものの暖かい存在を知らずに
アラフォーまで自分に厳しく生きてきたのだが、アンドリューの家族と接するうちにそのかけがえのない
存在に気が付き、これ以上彼らに嘘はつけない、と逃げだそうとしたのだ。
しかし、アンドリューに諭されて思いとどまる。そして挙式の日。まさに宣誓をする直前になって、彼女は
参列した家族たちの前で、ついに本当のことを告白する。またまた隣で唖然とするアンドリュー。

彼女は、置手紙をして、姿を消した。どういうこと?とアンドリューに詰め寄る家族だったが、おばあちゃんの
仮病で、マーガレットが飛び立つ空港へと来ることになるのだが、すんでのところでマーガレットは
アラスカまで調査に来ていた移民局の係官に連れられて、NYへ帰って行ったことろだった。

国外追放になることからオフィスを整理していたマーガレット。そこに現れたアンドリュー。家族も
マーガレットがアラスカを去ったのはアンドリューを好きになってしまったからだ、と理解し、彼に
彼女の後を追うように言うのだった。それを受けてマーガレットのもとに現れたアンドリュー。
彼は自分の気持ちを素直にマーガレットに告白。マーガレットがマーガレットもそれを受け入れ、
めでたしめでたし。ラストのエンドロールの横に、移民局でのインタビューが映し出される。どれだけ
お互いがお互いのことを知っているのか。調査は両親や友人たちにも及ぶが、その質問と答えの
けったいなことに笑える。

マーガレットが一人で周囲を振りまわしていることに、アンドリューと家族の存在が気がつかせる。
コメディエンヌとしてのサンドラも、40も半ばに来てふっ切れてきたのか、味わいが出てきた観がある。
ほとんど彼女の独り舞台で、(製作総指揮にも加わっているから、こうしたものを彼女自身も創り
たかったのだろう)サンドラが苦手な人は、ダメな映画だろうが、若さだけでは描ききれない恋愛の
機微のようなものは、ダイアン・レインや歳を重ねてきたメグ・ライアン、サラ・ジェシカ・パーカー、
キャメロン・ディアス、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、レニー・ゼルウィガーなどの年齢になると味わい
が出てくるものだ。日本の女優さんもしかり。「イルマーレ」で見せたサンドラとは全く別のキャラクターの
可能性を示唆していて興味深く観賞した。
トリビアだが、アンドリューの実家として描かれたアラスカだが、撮影にアラスカは全く使われておらず、
撮影はボストンとその西海岸で行われ、雪をかぶった山々はCGだそうだ!ということでシトカという
街はアラスカにはない、ということですな。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-25 14:20 | 洋画=あ行 | Trackback(5) | Comments(0)

●「ハート・オブ・ウーマン What Woman Want」
2000 アメリカ Icon Productions,Paramount Pictutres,127min.
監督:ナンシー・メイヤーズ
出演:メル・ギブソン、ヘレン・ハント、マリサ・トメイ、ローレン・ホリー、ベット・ミドラーほか。
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なかなか楽しめたラブコメディー。こうしたお気楽な映画は、気難しいことを考えなくてすむ
から、ときどき観たくなるもの。本作も、ストーリーは割とありがちではあるけれど、その
ステレオタイプをまた楽しむのもこうしたラブコメの楽しさだったりする。次の日に映画館で
観賞した「あなたは私の婿になる」もそうだが、大都会のキャリアウーマンの生き方を
描くものは、ラブコメの恰好の舞台になるのだ。

本作もシカゴの大手広告代理店を舞台に、男性目線で時代を築いてきたメル・ギブソン
扮するニックがヘッドハントされてやってきたやり手のクリエイティブ・ディレクター、
ダーシーと、女心をキーワードに次第にお互いに認め合い惹かれあっていく様を描く。

自分が昇進するものとボスの部屋に行くと、そこで告げられたのはダーシーを入社させた
という一言。彼女と協力して仕事を獲ってくれ、と。広告の世界では、やり手だが毛嫌い
されていたダーシーが来るということで憂鬱になってしまったニック。最初の会議で、
女性に関わる製品を幾つか渡されてそれらの中から明日の朝まで広告のプラニングを
考えてきて、と宿題を貰う。

家に帰ってきて、マニキュアを塗り、マスカラを付け、パンストをはいて、頭髪を
ふわふわにするムースを付けて女性の気持ちを理解しようとしていたニックは、
ドライヤーを手にしたままバスタブに転落して感電、それ以来、女性の心が読める
ようになってしまった。
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ニックはこれを使って、ダーシーの先回りをして広告のプランをダーシーの心から
盗み取り、ナイキからオーダーがあった女性向けの広告をものにした。
ボスに認められたニック。しかし、心は穏やかではない。ボスは、ニックがいれば
大丈夫と、ダーシーを解雇してしまったのだった。
もともとダーシーのアイデアだったものを心が読めることをいいことに、自分の
アイデアのようにしてプレゼンして勝ち取った仕事、ニックは何とかダーシーに
本当のことを言って許しを乞おうとした。

女性のつぶやきが聞こえる中で、ニックは、書類運びのコピーライターの女性が
自分のことを悲観して自殺でもしかねない独り言を聴いていて、彼女が無断欠勤
をした日、(ダーシーが退社した日)ニックは、彼女の家に急行した。しかし、
土砂降りの街で落雷に会い、あの能力は消えてしまっていた。

書類運びの女性は、無事で、自分のことを気に掛けてくれる人がいたことを喜ぶ。
そして、ニックは、ダーシーが新しく買った家に向かう。そこで彼女は、もうこの家は
売るので最後を惜しんでいたのだった。ニックは、彼女に本当のことを告白し、
復職するように促す。しかしダーシーは自分が戻ると、ボスはニックをクビにする
だろうと考え、躊躇するのだった。
そして最初はキミを陥れようとしていたが、知れば知るほど惹かれていった、とも。
悄然して帰ろうとするニックに、ダーシーは「それだけ?」と声をかける。
解雇宣告になんて負けないで、と。救いを求めに来た人を帰すことは出来ないわと。
そして二人はしっかりと抱き合うのだった・・・・。

ニックとダーシーのメインストーリーに、別れた奥さんとの間に出来た15歳になる
娘がボーイフレンドとの間に起こる出来事、毎朝必ず立ち寄るスターバックスで
ちょっかいをだしていたローリー(トメイ)との関係を織り込み、ラブコメにしては
結構長い時間を飽きさせない。それと全編に流れるジャズボーカル、たとえば
サミー・ディヴィス・Jr、フランク・シナトラ、テンプテーションズ、などのスタンダードの
数々がラブコメの常道といえばそうだが、心地よく使われている。
「恋愛適齢期」「ホリディ」のナンシー・メイヤーズらしく手堅いまとめ方だ。
まさしく女流ならではの「What Woman Want」な訳だ。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-24 22:20 | 洋画=は行 | Trackback(2) | Comments(1)

落下の王国 The Fall

●「落下の王国 The Fall」
2006 インド・イギリス・アメリカ 118min.
監督・製作:ターセム  衣装デザイン:石岡瑛子
出演:リー・ペイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデル、ダニエル・カルタジローン、レオ・ビル他
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CMの世界ではつとに有名なターセム監督が、構想26年、制作4年の年月をかけて作ったファンタジー。
邦題からして、もっと抽象的な映画か、と思っていたら案に反して、しっかりとしたストーリーがあり
それに乗って、素晴らしい映像世界が繰り広げられる、という作品だった。面白かったです。
物語としてはそうびっくりするようなことではないけれど、世界各地の世界遺産の前で、中で繰り広げ
られる計算されつくしたアングル、色彩は、シンメトリーな映像を特徴として極めて様式美的が美しさ
を繰り広げる。スペイン総督に復讐を誓う5人の服装と5色を使った色彩、石岡瑛子の素晴らしい衣装。
まるでハイビジョンのCMを観ているような美しさがある。
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物語は、1915年のハリウッド。失恋と映画撮影中のケガで入院中のロイが、自殺するために、同じ
病院にオレンジの収穫中、脚立から落ちて腕を折り入院中の少女、アレクサンドリアに、冒険のお話を
してあげる、というもの。

物語はロイのオリジナルで、離れ小島に隔離された5人が登場。彼らはそれぞれの恨みにより、その
地方の総督であるスペイン人オウディアスに復讐を誓っている。山賊、爆破王、剣の名手、霊者、奴隷
であり、登場人物は病院関係者であったり、ロイの仕事仲間であったりと、重なっている。
物語は、ロイの心境を写したものであり、総督を演じているのは自分がスタントをしたハリウッドの俳優
だ。ロイの心の移ろいとお話の主人公たちの振る舞いがシンクロして、物語と現実が次第にその距離を
縮めていき、ついにはアレクサンドリア自身も、山賊の娘として登場するようになる。
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そしてロイはラストを悲劇的に終わらせようと、仲間たちを総督の砦に近づくにつれて殺してしまい、
最後に自分自身も、総督の手にかかって殺されようとする。しかしアレクサンドリア=娘の、殺さないで
という願いに、山賊はよみがえり、総督は、自分の剣が体を貫いてしまい、絶命する。
これすなわち、自殺志願のロイがアレクサンドリアの純真な心に助けられて、再生していくサマなのだ。
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現実と物語が、綺麗な映像を得て、綾を織りなしていく。なかなか凝った映画だ。確かに「落下」が
キーワードではあるが、それが全体を覆うテーマであることに気がつくまでには少々時間を要した。
印象深い映画ではあった。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-23 23:55 | 洋画=ら~わ行 | Trackback(2) | Comments(0)

●「ハッカビーズ I Heart Huckabees」
2004 アメリカ Fox Searchlight Pictures,107min.
監督・脚本:デヴィッド・O・ラッセル
出演:ジェイソン・シュワルツマン、ジュード・ロウ、ダスティン・ホフマン、ナオミ・ワッツ、マーク・ウォルバーグ
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いや、この手の哲学的というか形而上的な映画は、初体験だったな。これは言語がちゃんと理解できない
と本当の面白さは判らないかもしれない。奇妙で面白い問えば面白いけど。
特に石油嫌いの消防士トミー(ウォルバーグ)の発する哲学的世界観のオンパレードには字幕について
行くだけでも苦労した。ストーリーは単純だが、そこで繰り広げられる世界が哲学的、実存主義的で
アレルギーのある人にはまるでダメだろうなあ。

詩作を通して環境破壊を告発する環境保護団体の支部長アルバート(シュワルツマン)は、実存的な
悩みが多い。彼の当面の敵は、全国展開するドンキホーテのような「ハッカビーズ」の進出。
悩んだ彼が尋ねたのが「哲学探偵」。リリー・トムソンとダスティン・ホフマンの夫婦がやっているのだが、
自らの内面を哲学的に分析する。(なんのこっちゃかよくわからんが)
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一方、ハッカビーズの広報部長代理ブラッド(ジュード・ロウ)は、支部をのっとろうとアルバートの仲間を
オルグするのだが、その過程で、アルバートと同じ「哲学探偵」に相談してしまう。
自体は益々ややこしくなる。形勢不利とみるや、アルバートは探偵夫婦と対立するフランス人女性思想家
カテリンに乗り換え、対決するのだった。
ホフマン探偵に言わせると、この世界は一枚の白い毛布のように全て繋がっているのだとか。それに対し、
真っ向から反対するのが怪しげなフランスなまりの女学者(ユベール)で、彼女によれば世界はバラバラ
で、だから何をやっても意味がないし、空しいんだそうです。
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そんな理論を武器に物語が進んでいくのだが、結局、自分は何者か?という答えをアルバート、ブラッド
それにトニーらが哲学という思想を借りて探していく、という光景を、面白おかしく描いているのだな、と
思うことにした。なんとなく面白いが、隔靴掻痒の感(個人的に)があるのがもどかしい。
それにしてもこの配役は、豪華で、つぼを得ていていいなあ、と思った次第。

エンドロールの最後に出てくる "How am I not myself" <私が私以外の何者だというのか?>
ということばに尽きます。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-22 23:10 | 洋画=は行 | Trackback(2) | Comments(0)

●「月蒼くして The Moon Is Blue」
1953 アメリカ Otto Preminger Films,United Artists,95min.
監督:オットー・プレミンジャー
出演:ウィリアム・ホールデン、マギー・マクナマラ、ドーン・アダムス、デヴィッド・ニヴンほか
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ジャズっぽいタイトルと監督の名前につられてNHK-BSで鑑賞。私が生まれた頃の映画なので、
背景の社会などは理解してみないと面白さも半減するだろう。
もともとが舞台の戯曲として書かれているので、部屋の中の会話が中心となって話が進んでいく。
ちょっとした偶然が生んだ男女の恋愛を当時の恋愛観を織り交ぜつつ描く。

エンパイアステートビルの屋上でたまたま出会った新進建築家のドン(ホールデン)と、パティ(マギー)。
パティに一目ぼれのドンは、あの手この手で彼女を食事にさそったり、自分の部屋に連れてこようと
したりする。彼は少し前にシンシアという女性と別れたばかり。
食事に出ることに同意したものの、急な雨で料理自慢のパティがドンの部屋で料理を作ることに。
そこに現れたのが上の階に住むシンシアの親父さんディヴィッド(ニヴン)。彼もパティを見るや一目
ぼれ。ディヴィッドは女優のタマゴであるパティに、いきなり求婚する。お金に困っていたパティは
成り行きからディヴィッドに600ドルをもらう。お礼にパティは濃厚なキスのお礼を。
そこにドンが来て、パティという女はなんという女性だ、と彼女をなじる。そのときある男が部屋に入って
来て、ドンを一発殴って帰る。彼こそパティの父親(警官)であったのだ。

パティはドンに誤解を解いてもらい、ディヴィッドにも600ドルを返す。翌日、失意の内に再び展望台に
やってきたパティ。同じ思いでやってきたドン。二人はお互いの心を理解しあい、ドンはパティに
求婚するのであった。

この映画で魅力的なのは、すれっからしなのか純情なのかわからない女性、パティを演じたマギー・
マクナマラだろう。そんなに美人とは思えない面相がまた、いい感じを出している。50年台の初めの
映画でセックスのことを結構あけすけに話題にするが、これが当時、物議をかもしたそうでです。
今から考えると想像もつかないけれど。彼女は本作でオスカーの主演女優賞にノミネートされたが
結局受賞したのは「ローマの休日」のオードリー・ヘプバーンだったわけです。丁度、女性が変わり
つつある時代だったのでしょうね。
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それとドンの元カノのオヤジを演じたデヴィッド・ニヴン。スケベっぽいガウンが似合うオヤジを好演し
ほとんどホールデンを食っていた感じ。日本では小津安二郎が「東京物語」を作ったころ、海の向こうの
ハリウッドではこんな小洒落た映画を作っていたのですね。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-19 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

ブロウ Blow

●「ブロウ Blow」
2001 アメリカ New Line Cinema,Apostle,Avery Pix,Spanky Pictures,124min.
監督:テッド・デミ   原作:ブルース・ポーター
出演:ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ジョルディ・モリャ、フランカ・ポテンテ、レイ・リオッタ他
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タイトルの「Blow」とは、コカインの俗称であり、本作は、アメリカのドラッグ社会をマリファナから
コカインに変えた大物密売人ジョージ・ユングの実話をもとに作られた、犯罪者の映画である。
犯罪者の実録モノというのは、ラストの悲劇性故に映画になりえるものだと思うのだが、この映画も
その例にもれず、一度手に染めた密売からとうとう足を抜けずに一生を棒に振った男が描かれる。

ボストン・キングと呼ばれたジョージ・ユングは、暖房設備の小さい会社を営んでいた父と口うるさい
母の間で育てられ、長ずるに及び、幼いころからの親友だったトゥナと西海岸に暮らしの本拠を移し
当時ロサンゼルスのマリファナ密売のボスであったデレックに接触、マリファナ密売のルートを
築いた。そして二人はビーチを中心に売りまくり、一躍“顔”になっていった。
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彼らは東部へと進出し、ブツの運び屋を恋人のスチュワーデス、バーバラが担当した。大量のハッパ
が面白いほど売れていき、彼らの資金は潤沢になる。そうなると、二人はマリファナを栽培している
メキシコの農家と直接取引に乗り出す。小売では金は儲からない、と悟り、製造直販を目論んだ
のだった。

しかし、ジョージは、取引目的の麻薬負傷所持で、逮捕される。2年の刑を喰らうが、その間に最愛の
ガールフレンド、バーバラはガンで若くして亡くなってしまった。
ジョージは獄中でエスコバルという裏社会のボスと知り合い、これからはコカインの時代だ、と仲間に
誘われる。出獄後、コカインの密売に乗り出したジョージは、仮釈放の身のうえを無視してコロンビアに
飛び、コカの葉の栽培から精製までの過程を握り、これをセスナで密輸するという手法で、大量の
コカインを売りさばき、巨万の富を手にする。この金をノリエガ政権下の銀行にロンダリング目的で入金
する。6000万ドルになっていた。
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一方、コロンビアでマーサ(ペネロペ)と出会い恋に落ちて、結婚する。そして娘が産まれた。これを
きっかけに足を洗おうと決意するが、仲間の裏切りに会い、また逮捕される。保釈されたジョージは
コロンビアの銀行に預けてあった金を引き出しに行くが、政権が代わり銀行が国有化され、財産は
没収となってしまっていた。無一文になってしまった。それまでが派手な生活をしていた妻は貧乏生活に
なじまずまるで子供のころの自分の家庭を観るがごとくの荒れた生活に転落していったのだった。
両親の元を訪ねると、仮釈放の身で逃亡している息子を、母は警察に知らせ、また刑務所に逆もどり
したのだ。この間、彼はひたすら娘のことだけを思い、刑務所暮らしを耐え、やっと仮出獄したあと
別居状態の中で、学校の送り迎えのみ、娘と接触できるのだった。しかし、それだけでも彼は娘の顔を
観れることを喜んでいた。最終的にはまた娘と暮らしたいと切望していたのだ。

しかし、娘のことを思うと、今の暮らしを何とかしなくてはと悩み、はまともな職業に就く方法を知らない
ジョージはやはりコカインの取引きに、これが最後と手をつけるのだった。そして、かつての仲間であった
ロスのデレックに電話し、最後の最後と決めて、コカインの密輸に手を出すのだった。しかし、彼らは
FBIとDEAとぐるであり、ジョージは、またまた逮捕されてしまう。今度こそは懲役60年を喰らったのだ。
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そして刑務所。大きく成長した娘の姿が・・・。しかしそれは幻だったのだ…。自ら招いた不幸とはいえ、
自分は派手な時もあったが、こんな人生になってしまった・・と独白するのだった。

一人の犯罪者の半生を、テンポよく描き飽きることはない。ぺネロぺも汚れ役に挑戦、ジョージの転落
人生の中での重要なポジションを好演していたのではないか?ラジー賞候補になっちゃったけど。
冒頭のシーンとラストシーンを同じ時間軸で描き、その間の出来事を振り返る手法は、最近よく観る
ケース。判りやすいと言えば判りやすい手法だ。ジョニデは、まあまあかな。ファンには老け役はどう
写ったのだろうか。何があっても息子を受け入れるジョージの父の存在が、本人の生きる道への鏡
のような役割を果たしていて考えさせられた。ラストにジョージ・ユングの本物がワンカットだけ静止画で
出てくるが、不要だったと私は思う。必要ならネットでいくらでも本人は検索できるわけだから。

この作品を監督したテッド・デミは、2002年、37歳で亡くなってしまう。友人とバスケットボールをして
いて心臓まひになってしまったという。太りすぎだったんじゃないか?惜しい人物だった。
この作品の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-17 22:55 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)

ジュノ JUNO

●「ジュノ JUNO」
2007 アメリカ Mandate Pictures,Mr.Mudd,Fox Searchlight Pictures,96min.
監督:ジェイソン・ライトマン  脚本:ディアブロ・コディ
出演:エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェニファー・ガーナー、ジェイソン・ベイトマンほか

<2007年度アカデミー賞脚本賞受賞作品>

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16歳の女子高生の妊娠騒動を描いた映画、ということで何となく敬遠していたが、このたびやっと
観賞。で、面白かったよ。やはり本が良くできているということもさることながら、主人公のジュノを
演じたエレン・ペイジが抜群に良かった。彼女の口から発せられるセリフがまた少女っぽかったり
実に大人な見方であったり、非常に感心させられた。加えて、脇を固めた、同級生のリア、母親の
ブレン、父親のマック、それに父親にして同級生のポーリーと、あまり聞いたことのない俳優さん
たちだが、キャラクタライズが見事で、短い映画ではあるが、これでぐんと厚みが加わっている。

16歳のパンクロック好きの高校生ジュノは、お気に入りの男の子と成り行きで1回セックスをして妊娠。
(慌てず受け入れる父と継母が凄いな)。ジュノは堕胎を覚悟するが、病院まで行って考えを翻し
養子に出すことに。新聞の養子求む、という広告を観て、自分が納得できる理想的なカップルを
見つけた。彼らは5年間子供を臨んだが、出来ず養子を求めたのだ。
旦那は作曲家、というセレブだ。彼らに父と会いに行き、この二人なら大丈夫と、体を大事に出産に
備えるのだった。
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しかし、養父となるはずの作曲家マークがまだ少年のような心で父親になる覚悟が出来ていない上、
妻ヴァネッサとの愛情も消えていた。
そんな自分の心をジュノに打ち明けるマークに、動揺を隠せないジュノだった。こんなことで自分の
赤ちゃんはちゃんと育ててもらえるのだろうか?
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一方で、一時の気の迷いからのセックス、と思っていたポーリーに、ジュノはしっかいりとした愛情を
感じるようになっていく。
このあたりで、やはり子供は自分で育てる、というのかと思ったら、さに有らずで、ジュノはヴァネッサに
「あなたに覚悟があるのなら、私もまだその気よ」と書置きを残して行った。
そして出産。元気な男の子が産まれた。病院に馳せ参じて、いたわるポーリー。二人は自分らの子供
を敢えて見ずに、ヴァネッサに引きとってもらったのだった。

もともと賢いジュノは、妊娠して堕胎や養子縁組などを通して自分を見つめなおし、ポーリーとの愛情
を確信して行く様子が、実に生き生きと描かれる。ジュノをはじめとしてどの配役のセリフも非常に
計算されていて面白く、味わいがある。長くは無い映画だが、観終わった後の充実感はこのところ観た
映画の中でも屈指のものだ。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-17 17:35 | 洋画=さ行 | Trackback(2) | Comments(0)

ハプニング The Happening

●「ハプニング The Happening」
2008 アメリカ Blinding Edge Pictures,Spyglass Entertainment,20th Century Fox 91min.
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
出演:マーク・ウォールバーグ、ゾーイ・デシャネル、ジョン・レグイザモ、アシュリン・サンチェスほか。
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なんだか得体の知れない映画を観ちゃったなあ、というのが本音。身の回りで次々と人々が自殺して
いく。ちょいとエグイけど、オープニング当たりは、なかなか期待感がある。だが、話が進むにつれて、
ある家族が、人が多いところに犠牲が多いと感じとり、田舎へと逃げるのだが、人々を怪死させてるもの
がなんなのか、政府も良く解らない。主人公は「風」が犯人だと推測、風に当たらないように逃げるのだ
が、結局、判然としないまま映画は終わってしまう。
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助けを求めに寄った家から銃撃に会い、一緒に行動していた少年二人も死んでしまうし、更に立ち寄った
家の老婆も何か意味不明に不気味で、挙句の果てには、謎の風にやられ、窓ガラスに頭を突っ込んで
死んでしまう。
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そして、風が止んだ時、事態は収まったのだった。しかしテレビでは科学者が警告している。これで
事件は終わったわけではないと。するとパリでは、同様の光景が・・・。

結局シャマランは脚本まで書いて、本作で何を言いたかったのかよく解らない。「地球温暖化」に対する
警告か?それにしては背景も含めて書き込み不足は否めない。ただの怪奇映画ならばオチがないし。
ただの気味悪い映画で終わっちゃっている感じだね。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2009-10-14 22:40 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)