<   2010年 03月 ( 20 )   > この月の画像一覧

●「ダイヤモンド・イン・パラダイス After the Sunset」
2004 アメリカ New Line Cinema,98min.
監督:ブレット・ラトナー
出演:ピアース・ブロスナン、サルマ・ハエック、ウディ・ハレルソン、ドン・チードル、
ナオミ・ハリス他
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<感想とストーリー>
これは、出来のましなB級映画、だな。突込みどころ満載だし、ブロスナンとハエックの恋愛
事情もイージーな展開だ。最後のどんでん返し2発がなければ、トホホ映画になっていた。
今から6年前のブロスナンは渋さタップリ。貫地谷しほりと仲間幸恵を足して3で割って
グラマーにしたようなサルマ・ハエックも主役級の配役としてはパンチに欠ける。
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天才宝石泥棒のマックス(ブロスナン)と恋人のローラ(ハエック)は、最後の仕事として
FBIが厳重な警戒をして運搬したダイヤをまんまと強奪。二人は引退しバハマの島で
優雅に暮らしていた。
まず冒頭のFBIの車をケイタイ電話もどきのリモコンで自由に操作するのだが、そんな装置を
いつの間に仕掛けたの???
で、この護送作戦に失敗し休職になってしまったスタン捜査官も、二人が暮らす島にやって
くる。この島にナポレオンの第3のダイヤを展示した豪華クルーザーが来ることから、スタンは
マックスは絶対にダイヤを奪うと読んだのだ。
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一方、島の権力者ムーア(ドン・チードル)は、マックスを利用してダイヤを強奪しよう
とした。ローラは、絶対に泥棒から足を洗い、夕日を眺めて暮らすマックスとの結婚生活を
決めていて、そのダイヤを積んだ豪華クルーザーの来港のニュースをスタンがもたらしても、
絶対に辞めてよ、と言う。マックスはどうしてもダイヤ泥棒の血が騒いでしまい、ムーアたちを
出しにして、クルーザーに忍び込む作戦を立てた。彼は、ダイヤ泥棒をやるのではないか、と
疑うローラを安心させるために、客船が出港してしまうまで、海に潜って沈船を探検しよう、
というアイデアを出し、すっかり仲良しになってしまたスタン捜査官と島の刑事でスタンと
いい仲になったソフィーの4人でスキューバで潜りに出かけた。

しかし、マックスは、ホテルのバーテンを買収し、潜っている間の身代わりをしてもらい、
自分は客船に潜り込み、厳重な警戒の裏をかいてまんまとダイヤを奪ったのだった。
すぐに海中で再び入れ替わり、浜辺に帰ってきたときに刑事のソフィーのケイタイにダイヤが
盗まれたとの一報が飛び込んだ。ローラは、これはマックスの仕業に違いない、と激怒し、
島から去ろうとする。

ダイヤと引き換えに大事な人を失いかけたマックスは飛行場に駆けつけ、ローラを説き伏せて
留める事に成功する。しかし、肝心のダイヤはスタン捜査官が最初からマックスにダイヤを
乗せた船がやってくることを知らせたところからわなにかけてダイヤを盗ませ、そのダイヤを
頂こうという作戦であったのだ。スタンはダイヤを持って島を出ようとするが、マックスは
そうはさせじと、彼の乗ったリムジンをまたリモコン操作で・・・・
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映画のキーマンはスタン捜査官(ウディ・ハレルソン)で、彼が狂言回しとなり、島の女刑事
とのからみ、ダイヤをマックスに盗ませるウソの数々。エピソードも100分未満の映画としては
まずまず上手く配置してあった。しかし、ドン・チードルの死にかたとか、ちょっと詰めが
甘いにも程があるなあ。ちょっぴりユーモアを交える様は007ぽい。
by jazzyoba0083 | 2010-03-31 22:30 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「私がクマにキレた理由(わけ) The Nanny Daiares」
2007 The Weinstein Company,FilmColony,106min.
監督:シャリ・スプリンガー・バーマン 原作:エマ・マクローリン『ティファニーで子育てを』
出演:スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、アリシア・キーズ、ポール・ジアマッティ他
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<感想>
スカーレット・ヨハンソンのぶーたれ顔が良かった。全体の構成はベストセラー小説がベースに
なっているので、面白く見せていた。ヨハンソン演じる女子大を卒業したばっかりの女の子が
大学院に再入学するための提出論文の形態を取って、自らがナレーションをしながら「人類学」
という側面から説明しようとするのだが、実はコメディチックなドラマに仕立ててある。

原題の「子守の日記」とある通り、ヨハンソンがアッパー・イースト・サイドと呼ばれる
セレブ階級の家にナニー(子守)として住み込み、そこの家族、母親、親友とドタバタしていく
ウチに本当に自分のしたいことを見つけていく、というお話。
ヨハンソンも良かったのだが、ローラ・リニーとジアマッティという夫婦が映画に濃度を与えて
いたと思う。ローラ・リニーという女優さん、今回はセレブな世間知らずの奥様(最後は
ヨハンソンによって反省していくのだが)を演じ、ちょっと損な役回りだったが、よく見ると
綺麗な人だ。アメリカの女優さん、て感じがする。
ただ、ローラとジアマッティの夫婦の背景や、ヨハンソンの母親やボーイフレンドの背景を
もう少し深く描いてくれると、いっそう味わいのある映画になったのではないかな。

<ストーリー>
アニー(ヨハンソン)は、大学で人類学を学び卒業、母親は看護師をしながら女手一つで
アニーに金融界で活躍してもらい、自分のような人生を歩ませないために苦労してきたので、
アニーに大きな期待を寄せていた。大手証券会社の面接を受けるが、面接官に「アニーという
人物について語って」と言われ、何も言えず、今さらながら自分が何者で何がしたいのか
判らないことに愕然とした。おりしもセントラルパークでで事故にあいそうになった少年を
助けたことからセレブの奥様にナニー(子守)として働いてくれないか、と誘われる。
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自分磨きに忙しい奥様は、息子のことを顧みず、父親(ジアマッティ)も会社が忙しい上に
秘書との浮気も忙しくて家庭を顧みない。24時間、息子のグレイザーの面倒を見ることに
なった。グレイザーがまた言うことを聞かない。親友で医師を目指して大学院に進んだ親友
リネット(アリシア)にも色々と相談に乗ってもらい、また住み込みの一家の上に住んでいる
ハーバード大のディーンから好意を寄せられるのだが、恋愛はご法度なので、思うようになら
ない。ナニーをしていることは母親には内緒だったが、ある日グレイザーが熱を出し、スパに
入ってしまった奥様に連絡が取れず、医者のタマゴである親友に来てくれるように頼むと
それは私の専門外だ、あなたのお母様が適任よ、と言われ看護師の母に来てもらった。
そこで結局ウソがばれ、しかも奥様と母親が図らずも対面してしまうということになる。
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それでもグレイザーは次第にアニーになつき、心を通わせられるようになった。しかし両親は
ケンカばかりで何かと金で解決しようとする。さすがにアニーももう限度に達したが、
グレイザーと別れることを思うとなかなか踏み切れない。そんな折、一家がナンタケットへ
遊びに行くのに付いて行ったが、そこで奥様や旦那に散々なことを言われ、ついにナニーを
辞めることにし、ナンタケット島を後にした。別荘を離れるときに後を追いかけるグレイザー
に後ろ髪を引かれるアニーであったが、もう後ろを振り返ることは無かった。
さらに帰りのフェリーで開けてみたお手当の少なさにさらに激怒したアニーは、夫妻の
マンションへ行き、自分と一緒に放り出された子犬に部屋でおしっこをさせたり、ナニーを
監視するカメラを設置した、と小耳にはさんだのでそのカメラを探し出し(これが大きなクマの
ぬいぐるみの目だったのだ)そのカメラに向かって、「あんたらいい加減にしなさいよ!・・・
」と自分がグレイザーの子守をしながら見てきたセレブの暮らしぶりのダメな点をバシバシと
指摘する。それが、上手なナニーの選び方というセレブの奥様たちの集まりで上映されてしまい
奥様は、これをきっかけに反省することに。
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ナニーを辞めたアニーは、自分の子守日記を論文にして人類学の大学院に進むレポートにして
ボーイフレンドの応援も得て、再出発することにしたのだった。そして夫人からは手紙が。
夫人はあれから離婚して、グレイザーと幸せにしている、あなたから言われたことが身に沁みた
と書いてあった。愛情はお金では買えないということだ。

庶民の娘が上流階級の生活を子守という立場で見つめ、セレブ達の滑稽さを描き、最初は異様に
セレブを警戒してビビっていた娘が、自分の視点を獲得していく様子を、面白い角度で描いた
作品で、私は面白く見せてもらった。
この作品の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-03-30 22:40 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

●「シャーロク・ホームズ Sharlock Holmes
2009 アメリカ Warner Bros.Pictures,Village Roadshow Pictures,129min.
監督:ガイ・リッチー
出演:ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ、レイチェル・マッカダムズ、マーク・ストロング
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<感想>
先週観に行った会社の後輩から「期待したほどじゃないですよ。今一つって感じでした。
来年WOWOWで放送されてから観てもいいじゃないですか」と言われていたものの、
今日は、シネコンが入っているショッピングタウンに用事があったので、まあ、他に観るものも
無いし、観てみるか、と奥さんと観賞。やっぱり後輩の言っていたことは当たっていた。
「今ひとつ」だった。
ストーリーを進行するのにセリフで持っていこうとするので字幕を追うのが大変。ロンドンが
舞台なので、太陽が出てこないのはしょうが無いとして、それにしても暗い。旧来のホームズ
ものを脱却した手法は判るのだが、それにしても予告編じゃないんだから、カットをあんなに
短くしなくても。観づらいったらありゃしない。テンポがいい、というのとはちょっと違うん
じゃないかな。
これまでのホームズものとは違う面で、ハードなカンフー風アクションやドッカン、ボッカンは
新鮮な感じだが、「ダヴィンチ・コード」とダブるような教会を巻き込んだストーリーは
単純、既視感ありありで、あまり楽しめなかったなあ。先が先が読めちゃうんだもの。高評価
する人も多いので、人それぞれの感じ方はあるので、それはそれでいいのですが、全然外れか、
と言われればそうでもないが、期待が大きかった分、コケてしまったというわけ。

ダウニー・Jr.とジュード・ロウは良かったけどね。ラストにモリアーティ教授の登場があり、
続編を予告して終わる。ま、続編はWOWOWにて観賞しましょうぞ。
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<ストーリー>
 「19世紀末のロンドン。若い女性が次々と不気味な儀式を思わせる手口で殺される連続殺人
事件が発生。ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)も捜査に手こずる中、名探偵
シャーロック・ホームズがこの難事件解決に立ち上がる。
はたして、持ち前の超人的な観察力や記憶力、推理力でたちまち犯人の居所を突き止めるの
だった。だがその犯人、邪悪な黒魔術を操るブラックウッド卿は、巨大な闇の力とのつながりを
ほのめかし、すぐ復活すると言い残して処刑される。するとやがて、ブラックウッドが本当に
甦ったとの報せが。そしてブラックウッドは、ある秘密組織の頂点に立ち、全世界を支配する
という野望の実現へ暴走し始める。ホームズはその邪悪な陰謀を食い止めるべく、
相棒ジョン・ワトソンとの名コンビぶりを発揮しながら、ブラックウッドを追跡するのだが…。」
(allcinema)
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要するにブラックウッド卿は、死刑になったものの冥界から復活し、自分の敵を脅し、
ついには国会に乗りこんで、議員たちを脅してイギリスを、またアメリカをも征服、やがて
世界を制覇する野望を持っていた。死んだ人が生き返る訳もなく、彼は技術を使ってマジックを
やっているにすぎない。最後にホームズがブラックウッド卿の使ったテクニックを明かして
みせるのだが。
ブラックウッドはホームズとの対決に敗れ、建設途中であったロンドンブリッジの上で
首をくくられる形で絶命したのだった。しかし、彼の野望はモーリアティ教授に引き継がれた
ようだ。
予告編でやっていた「アイアンマンⅡ」の方に興味が湧いた。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-03-28 12:20 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「フライド・グリーン・トマト Fried Green Tomatoes」
1991 アメリカ universal Pictures,Act ⅢCommunications,131min.
監督:ジョン・アヴネット 原作・脚本:ファニー・フラッグ
出演:メアリ・スチュアート・マスターソン、メアリー=ルイーズ・パーカー、
   キャシィ・ベイツ、ジェシカ・タンディ、シシリー・タイソン、スタン・ショウ他
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<感想>
タイトルからの印象として、何かのパロディかと思っていた。ところが、観てビックリ。
とてもハートウォーミングで良くできた映画。脚本も配役も素晴らしい。こういう映画、
好きですね。揚げた青トマトというのはアメリカ南部にある料理だそうですが、決して
美味しい、というものではないみたいです。

キャシー・ベイツ演じる倦怠期の主婦が狂言廻しの役を務め、湿りがちになるストーリーに
奇妙な明るさを加えていきます。絶望を救う役目、とも言えるのだろう。
映画は茶色く錆びた古びたトラックが川から引き上げられるところから始まる。これは何か?

そして1930年代のアメリカ・アラバマ州。男の子まさりのイギーと、お嬢様のようなルース
は仲の良い親友。イギーの兄バディと3人で遊んでいる時、風に飛ばされ線路を転がるルースの
帽子を取りに行くが線路に足を挟んでしまい、折悪しく通りがかった列車に轢かれ亡くなる。
ルースは少女心にもバディと結婚する、と決めいていて、その死に打ちひしがれる。
最愛の兄を亡くしたイギーもまた心を閉じてしまった。しかしイギーとルースは性格は違うけど
お互いを愛し理解できる真の友であった。

その二人が駅前に開いたのが「ホイッスル・ストップ・カフェ」。街の人たちが集まる
人気のカフェになった。そこの名物が「フライド・グリーン・トマト」だったのだ。

翻って1980年代。優しいが会話の少なくなった夫を抱え、チョコバーばかり食べて太って
しまった主婦イブリン(ベイツ)は、親類を見舞いに行った老人施設で、ニニー(タンディ)
という話し好きの老女と出会う。彼女は、イギーとルースの話をイブリンに聴かせるのだった。

イブリンはニニーの話を聞きたくて、お見舞いなぞそっちのけでホームに通った。

ルースはやがてフランクという男と結婚する。後に二人を訪ねたイギーは彼女の顔に暴力の跡を
見取り、ルースの家の召使でいまはカフェを手伝ってくれている黒ビッグ・ジョージとともに
フランクを脅し、ルースを奪い返してくる。

やがてルースは男の子を産み、かつて大好きだったバディという名前をつける。するとフランク
が子供を奪いにルースの留守にやって来て、赤ちゃんを奪おうとする。これを召使の黒人女性
シプシーがフライパンでフランクの頭を殴り、また浮浪者のようなスモーキーという白人も
普段からルースに優しくしてもらっていたので、フランクを止めに入る。
そうしてフランクはその晩から行方不明になってしまった。イギーとルースは疑われるが証拠が
ない。しかし、ある日大雨が降り、洪水が起きて、川底から古いトラックが発見された。
冒頭の川から引き上げられる錆びたトラックはこれだったわけだ。

フランクのトラックだった。イギーが好きだた保安官は彼女らを逃がそうとするが、何もしてい
ないのに逃げることはしない、と逮捕されるほうを選んだ。そして裁判にかけられるが、神父の
粋な証言で、裁判長の「司祭がああいう証言をしているのに裁判を続けるのかね」と検事に
いう。そして「フランクは祭りの夜に酒をのんでトラックを運転し、川に落ちたのだ、裁判は
中止!」と宣言し、二人は晴れて無罪放免となる。

そんな話を聞いているうちにイブリンの生き方が変わってくる。自堕落な生活から自らに厳しく
する生活に転換。チョコも辞め、ダイエットもして。映画でも彼女の表情がどんよりした主婦
から活き活きした輝きを持つ顔に変化していく。そのあたりベイツの演技は素晴らしい。

ルースの息子バディはやんちゃで亡くなったバディのように線路で遊び、片腕を失うという
事故に遭うが、息子もルースも周囲も暖かく生きた。しかし、ルースはガンを患い、バディに
看取られて亡くなっていった。
一人ぼっちになってしまったイギーはその後どうしたのか・・・・。

ニニーがホームを退院すると聴いて、自分の人生を変えてくれたニニーを自分の家に引き取
ろうと決めたイブリン。旦那の反対を押し切り、家を改造した。
そして、ニニーは、ルースの墓に案内、自分がイギーであることを打ち明けたのだった。

ニニーがイギーではないか、とはタンディの凛としたおばあちゃんぶりを見ていると、ネタばれ
だが、そんなことは置いといても、なかなか楽しいストーリーテリングであった。
禁酒法あたりの時代なので、黒人差別、KKKの登場、女性の地位の低さ、など当時のアメリカが
抱えていた社会問題が映画に微妙に影を落とす。それがまた作品に厚みを加える。
主演のふたりが割と地味なので、あまりマスコミに取り上げられることも無い映画で、私も
今回WOWOWでの放映が無かったら知らなかった映画。アンダーレイテッドな作品ではないか?
フランクの行方についてのブラックなオチとかベイツの狂言廻しに違和感を覚える人もいるかも
しれない。しかし、総じて良くできた映画だと思った。多分年末に今年観た作品の良作の中に
入れる映画になることは確か。
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この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-03-25 23:30 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「その土曜日、7時58分 Before the Devil Knows You're Dead」
2007 アメリカ Lincefilms,117min.
監督:シドニー・ルメット
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、
   アルバート・フィニーほか。
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<感想とストーリー>
3連休の最後、午後に時間が空いたので、観てみたが、暗い映画だったなあ。カタルシスを
感じないタイプの映画で、こういうのは苦手ではあるが、作品としては面白かった。
1つの事件を発端とする、ある家族の崩壊の過程を、時制をずらしながらマルチに描く。
息苦しいくらいにやりきれない展開だが、引き込まれていく力強さは感じた。それは
フィリップ・シーモア・ホフマンをはじめとする演者たちの、深い演技が醸し出すものだと
思った。特に父親のアルバート・フィニーの活躍は、ひときわ輝いていたと感じた。
イーサン・ホークのダメ弟も良かったね。終始おどおどしている人生を良く演じていた。

セックスシーンやドラッグシーンなど、こりゃ最大限に規制が働くジャンルだろうが、これは
子どもがみても判らんと思うなあ。これを見て観客は何を感じろ、というのだろうか。その
手のカタルシスを本作は排除した。だから、観た後は、重い気持ちが残ってしまうのだ。
逃亡していったイーサン・ホークの行方は判らずじまいなのだが、これとてカタルシスには
到底ならない。オヤジが息子を殺したこと?これも一層の絶望感を募らせているにすぎない。
コーエン兄弟の映画を見た後の感覚に似ていた。うっちゃられ感、とでもいうのかな。
映画としては面白かったが、もう一度観たいと思うのは数年先になるな、という手のものだった。

結局兄はドラッグの金を欲しくて会社の金に手をつけて、リオに高跳びしようとしていたのか?
弟は典型的なダメ夫で、離婚して養育費にも事欠く。そんな弟に兄が強盗に誘う。
襲うのは何と、彼らの両親が経営している小さい宝石店。兄は年寄りが一人で店番をしている
町の宝石店で、60万ドルほどの宝石を奪い、2割で故買し、利益を折半しようというものだ。
店は保険に入っているから実害はない、けが人も出ないと軽く踏んでいた。

弟は両親の宝石店を襲うと聞いて、それだけはダメだというが結局は兄のいいなりに。兄弟
それぞれ金は欲しかったのだ。実行犯に指名された弟は、自分では出来ないヘタれなので、
職場のワルを誘い込む。

そうして強盗が決行された。ボブと呼ばれる実行犯は、開店間もない宝石店に入り込み、
たまたま普段は店に出ない兄弟の母を脅し、(ボブは彼女が彼らの母とは知らない)袋に
宝石を詰め込むが、ケースのガラスを割るのに気をとられている時に、母は銃を取り出し、
ボブを撃った。ボブが脅しのために持っていた銃を母に発射、気丈な母は、傷を負いながら
逃げようとするボブにもう一発ぶち込んで、気絶した。

外のレンタカーでボブの強盗が済むのをドアを開けて待っていた弟は、数発の銃声の後、
ボブが正面ガラスを破って倒れこんできた状況に、失敗した、と直感し、慌てて逃げる。
途中でレンタカーの指紋をふき取り、変装を戻して、兄に失敗したと電話する。

その時点では自分たちの母親が撃たれたとは知らない。しかし、現場に行った父親から
母が病院に運ばれた、と聞いて駆けつけてみると、なんとボブが撃ったのが自分たちの母親で
あったことに愕然とする。母親は植物状態で、父親と兄弟は数日苦しんだ挙句、生命維持装置を
外すことに。自分たちの仕業で母を殺してしまった兄弟。そして最愛の妻を殺された父は
復讐の鬼と化す。
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実は、ボブを計画に誘う時に彼の家で、ボブの妻に弟は姿を見られていて、その妻の兄という
男から1万ドルで決着をつけてやると脅される。兄は、どうして銃を持った仲間なんて連れて
いったのだ、お前を殺してやりたい、と言うが、現状は打開しなければならない。
兄は嫁(マリサ・トメイ)からも逃げられ、会社からは不正経理がばれて呼び出しを喰らって
いた。実は兄嫁と弟は不倫関係にあったのだ。別れ際、そのことを言い捨てていく妻。
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ドン詰まりを解消するために兄が計画したのは、自分が普段から通っているコカインの売人の
マンション。彼らはこの部屋に押し入り、たまたま居た客を射殺。売人も射殺した。実行は
すべて兄。この時点で兄はもう転落するならとことんやってやる、とやけになっていたふうだ。
弟は、そこまでやらなくても、とヘタれて観ているだけ。売人のところから売上金やコカインを
強奪した二人は、ボブの家に行き、兄に1万ドルを渡す。しかし、兄はこれで終わりにするか、
と訊く。兄は、終わりにするさ、というが、兄は信じられんな、と言って背後から射殺する。
さらに妹にも銃を向けるのだが、弟は、それだけはするな、それなら俺を撃てという。
弟ももはや自暴自棄状態に。兄は嫁が不倫をしていたこともあり、弟に銃を向ける。その時
妹が撃った銃が兄の背を貫いた。弟は金を妹に与え、残りを持って逃げた。
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この二人の行動を父がずっと追跡していた。ダイヤの故買屋が兄の名刺を持っていたのだた。
警察署でパトカーに八つ当たりして激突したとき外れかけた後ろのバンパーが、一家の、
また父の頭のねじが外れた状態を表していたようだ。飛び出してきた弟を呼びとめるのだが、
聞こえていたのかいないのか、弟は走り去った。
父は、救急車に運び込まれる瀕死の兄を茫然と見つめる。そして、病室で兄から真実の告白を
受けた父は、ナースステーションに繋がる心電図の端子を自分の胸に付け、寝ている兄の顔に
枕を押しつけて殺害する。父は母を殺したわが子を許すことは出来なかったのだ。
病室を去っていく父の後ろ姿で映画は終わる。
この映画の詳細はこちら
by jazzyoba0083 | 2010-03-22 15:30 | 洋画=さ行 | Comments(5)

NINE(ナイン)

●「NINE(ナイン)」
2009 アメリカ The Weinstein Company,Relativity Media,118min.
監督:ロブ・マーシャル 脚本:アンソニー・ミンゲラ、マイケル・トルキン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、
   ジュディ・デンチ、ケイト・ハドソン、ニコール・キッドマン、ソフィア・ローレン
   ファギーほか。
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<感想>
ミュージカル映画、と聞けば外せない。というわけで封切り早々のシネコンへ。
見終わっての感想といえば、「期待したほどでは無かったな」ということ。確かに綺羅星の
如くの女優陣には目を奪われるし、歌も踊りも超一流。さすがブロードウェイでヒットした
ミュージカルだけのことはあるな、とは思わせる。
だが、何か足りないものを感じる。なんだろう、と考えてみると、ストーリーが平板なんだ。
「シカゴ」と比べてしまうが、やはりストーリー展開の起伏が「シカゴ」の方がいいと思う。
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スランプに悩んだ映画監督が次作の構想などまるで出来ていないのに会社の都合で記者会見に
引っ張り出され、妻や愛人、母など様々な女たちのなかで苦悶し、ついにスタッフの前で本当の
ことを言って2年間休業する。
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そして衣装スタッフ(ジュディ・デンチ)に「今までは自分のことしか考えてなかった。
これからは他の人のことも考えるように生きるよ」と告白。「今頃気が付いたの?」と
言われてしまう。簡単にいえば、大監督の自分探しを関係する女性の歌声とともに進める、
という手あいのものだ。最後には立ち直って再びメガフォンを持つのだが、そのラストにも
そう感激を感じる訳でもない。
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これは華やかな女優陣のゴージャズな歌と踊りをそれぞれ楽しむ映画だろう。監督の人生
なんてどうでもいい。音楽(曲)はイタリアっぽくて耳に残る佳曲が並ぶ。
ぺネロぺはこれでオスカーの助演女優賞にノミネートされていたが、歌と踊り、という点から
言えば、ケイト・ハドソンのパートが良かったと思う。奥さんは帰りにサウンドトラックを買っ
ていった。これはやはり本物の舞台をブロードウェイで見るべき作品だなと思った。

映画の中でダニエルが乗り回す、サックス(薄いブルー)のアルファ・ロメオ ジュリエッタ
スパイダーが小粋な小道具として、イタリア!という雰囲気を上手く醸し出していた。
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この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-03-21 12:35 | 洋画=な行 | Comments(3)

●「それでも恋するバルセロナ Vicky Cristina Barcelona」
2008 スペイン・アメリカ Mediapro,96min.
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、スカーレット・ヨハンソン、レベッカ・ホール他
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<2008年アカデミー賞助演女優賞(ぺネロぺ)受賞作品>

<感想>
本作のちょっと前に観たウディ・アレンの「メリンダとメリンダ」にちょっとがっかりしていた
ところ、本作を観賞する機会を得た。ご存じ、ぺネロぺがこれでオスカーを獲ったやつです。
今回は面白かった。まず、配役が絶妙。舞台をウディのホームグラウンド、ニューヨークから
バルセロナに移し、音楽もジャズでなくスパニッシュを配し、不思議な恋愛模様を、渇いた
ナレーションを使いながら描く。ストーリーの意外性、バルデムの振りまわしているようで
振りまわされている人生など、それぞれのキャラが良く立っていて、完成度が高い、しかも感情
移入しやすいウディ流のラブストーリー。
「ノーカントリー」でオカッパ頭の奇妙な殺人者を演じていたバルデムだが、ここでは一転
自由な恋愛をエンジョイしているようでいて、元妻との関係を切ることが出来ない、また
才能では彼女を超えられない、ウディの劣等感の化身のような気もする。
ぺネロぺのキレ芸は見ものである。それに対して、不思議な四角関係の中を快感と不安の中で
泳ぐスカーレットとレベッカが浮かび上がらせる。
ウディ独特の恋愛観について行ける人は楽しいだろうな。ぺネロぺが都合が悪くなるとクリス
ティナの前でスペイン語になるのだが、それをファン・カルロスが、「彼女の前では英語で
話せ」と命じるが、激するとスペイン語になる。そのあたりの英語とスペイン語の使い分けにも
ぺネロぺの感情を表現して見せる脚本は良かったな。96分の間に綺麗に物語を収めたのも
いい感じだった。

<ストーリー>
「何を求めているかが判っている」ヴィッキー(レベッカ)はロンドンに婚約者がいる、堅実派。
「何を求めていないか、が判っている」クリスティナ(スカーレット)は、とりあえず突撃
してみるタイプ。親友ではあるが、恋愛に関する価値観はまるで対照的である。
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その二人がNYを離れ、夏休みをバルセロナで過ごすことに。そこでたまたま出会った画家
ファン・アントニオ。クリスティナはたちまち流し眼を送る。ファン・アントニオもこれに
応じて、オビエドという街に自分が操縦する小型機で遊びにいってセックスしよう。とさそう。
興味を持つクリスティナ。私は全然その気はないわ、婚約者がいるのよ、というヴィッキー。

しかし、結局二人ともエドナに行くことに。そこはファン・カルロスの生まれた家に近く、
素敵な観光地もあり、二人はたっぷり遊んで、夜を迎えた。しかし、さそうファン・カルロスに
二人は一応は警戒する。最初は「私は全然タイプじゃないわ」と言っていたヴィッキーだったが
クリスティナが食あたりの腹痛で寝込んでしまい、結局ファン・カルロスとヴィッキーが
休日の一日をオビエドで楽しみ、彼の、婚約者にはない怪しい野性的な?魅力に惹かれてしまった
ヴィッキーは、ファン・カルロスと一夜を共にする。しかし彼女は後悔の念に苛まれる。

ところがファン・カルロスはそんなヴィッキーに、自分が愛しているのはクリスティナであり、
君は婚約者との幸せな結婚をしなくてはいけない。君の幸せは壊せない、と彼女を突き放す。
そうしてファン・カルロスとクリスティナは同棲を始める。
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そんな二人の元に、ファン・カルロスの別れた妻マリア・エレナ(ぺネロぺ)が現れる。
最初はどろどろの三角関係か、と思われたが、マリアは自分は天才であり、彼は私のまねを
しているにすぎないといい、二人と同居して絵を描く。またクリスティナは写真をマリア・
エレナから教わり、腕を上げていく。そうするうちにマリア・エレナとクリスティナの間にも
愛情が芽生え、不思議な3人の同居生活が始まる。ロンドンからヴィッキーの婚約者も
駆けつけて、事態は一段とややこしくなる。
さらに、ヴィッキーたちを泊めてくれている家の叔母さんが、自分が不幸な結婚をしていること
から、ヴィッキーがファン・カルロスに心を惹かれながらも結婚するという事態をなんとか
止めさせたい、とおせっかいを焼きにくる。
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しかし、そんな生活も長く続かず、マリア・エレナは出て行ってしまう。そして睡眠薬自殺を
企てる。ファン・カルロスは、クリスティナを愛していながら、マリア・エレナとの関係を
切ることができず、夜中に病院に駆けつける。
そうこうしているうちに夏休みが終わった。クリスティナは、せいせいとニューヨークに
引き上げることを宣言。クリスティナがいなくなり、微妙な三角関係がくずれたことでマリア・
エレナはまた荒れ始めた。婚約者とバルセロナを去る直前、ファン・カルロスはヴィッキーを
ランチに誘った。食事を終えて、家に入って絵を見ていると、銃を持ったマリア・エレナが
乱入してきて、彼女が放った銃がヴィッキーの手に当たってしまう。婚約者にはスペイン語の
教師が集めていた銃が暴発した、と嘘をいって難を逃れたヴィッキーだった。
こうして二人のバルセロナの夏休みは終わり、彼の地を後にした。
そしてファン・カルロスとマリア・エレナは・・・・
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-03-20 22:55 | 洋画=か行 | Comments(0)

●「ライラにお手あげ The Heartbreak Kid」
2007 アメリカ Dreamworks Pictures,114min. 日本劇場未公開
監督:ピータ・フェレリー
出演:ベン・スティラー、ミシェル・モナハン、マリン・アッカーマン、ジェリー・スティラー
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<感想とストーリー>
ビデオスルーのラブコメディ。WOWOWにて観賞。セックスシーンが過激なのでR-15指定相当。
いわゆるおバカ映画のジャンル。難いこと抜きにして観ましょう。
ベン・スティラーとマリン・アッカーマンのおバカにミシェル・モナハンが加わるという形。
ベンの本当の親父さん、ジェリーが映画の中でもオヤジの役を演じていて、これがまたいいんだな。
この親にしてこの子あり、というのが良く解る。でも演じづらかっただろうね、お互い。

舞台はサンフランシスコ。ゴールデンゲートブリッジの美しい光景から始まる冒頭は、おバカの
印象を受けない。市内中心部でスポーツ用品店を経営するエディ(ベン)は、オヤジから
結婚しろ結婚しろ、と迫られるアラフォーの独身男。5年間付き合った女性の結婚式で独身者と
して通されたのはガキンチョばかりの席。そこでも、お前はゲイだろ、とか言われちゃう。

そんなエディが街を歩いていたところ、コインランドリーから出てきたライラ(マリン)という
女性がひったくりにあったところに遭遇、犯人を追いかけるが取り逃がしてしまう。
ライラはエディに感謝の言葉を残して去っていく。
数日後、ライラがエディの店に現れた。エディも一目ぼれしていたので、彼女から「あなたに
会いに来たの」と言われて有頂天に。こうして二人は相思相愛に。彼女は体の関係は結婚してから
ね、などと堅いこともいう女性に見えた。

こうして二人は結婚したのだが、実はライラはちょっと変わっている女性で、いったん結婚する
と、セックスマシーンのように要求する、結構高飛車にエディに命令する、コカインの使い過ぎ
で、鼻の境目が溶けてしまい、食べたものが鼻から出てくる、コカインを買った借金が2万ドル
以上あると・・・。更には新婚旅行先のメキシコの海岸で、エディが止めろというのに、日焼け
用のオイルを塗って全身やけど状態に
なってしまう。エディは、こんなはずじゃなかったのに、と悩み始めていたそのところに
同じ海岸に遊びに来ていたミランダ(モナハン)と出会い、これまた一目ぼれしてしまう。
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自分は新婚旅行に来ていることを伏せ、付き合っていた。実は5年間付き合った女性の結婚式の
時に座ったテーブルにいた双子の男の子に、自分の妻はアイスピックで殺された、という嘘を
いっていたのだが、その双子が同じ海岸になぜか遊びに来ていて、ミランダたちと仲良しになり
エディの奥さんは殺された、と話してしまったのだ。
ミランダはエディが不幸を隠して付き合っている、と信じていたが、そんなことは長続きする
はずもなく、ミランダはエディが新婚旅行で来ていることを知ってしまう。一方、自分が
いながらミランダと浮気していたことを知ったライラはエディのパスポートを焼いてしまう。

そうこうしているうちにミランダは姿を消す。パスポートのないエディは不法出国を企て、警察
に捕まったりして、ミランダの元に行くのに半年もかかってしまった。その間ミランダは付き
合っていた男と結婚してしまった。
どうしてもミランダが忘れられないエディは、彼女の家に侵入し恋心を打ち明けたりしたのだが、
時すでに遅し。家族にボコボコにやられてしまう。

一人身となったエディは店をたたんで、新婚旅行で行った海岸で店を始める。18カ月後、
ミランダは離婚して、彼の元に。喜んだエディだったが、すでにエディは現地の娘と再婚して
しまっていたのだ!

おバカを一生懸命演じるベンやアッカーマンが面白い。がとても面白い、というほどでもない。
劇場で公開されても日本ではこの配役と中身じゃ、客は入らんだろうなあ。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-03-19 22:30 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

●「グレイ・ガーデンズ 追憶の館 Gray Gardens」
2009 アメリカ テレビ映画 HBO Films,104min.
監督・原案・脚本:マイケル・サシー
出演:ドリュー・バリモア、ジェシカ・ラング、ジーン・トリプルホーンほか
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<感想とストーリー>
2009年のゴールデングローブ テレビ映画部門賞、エミー賞6部門受賞に輝いた
HBO製作によるテレビ映画。しかし、ドリューとジェシカという2大女優を使い、実在した
母娘を描くことにより、スクリーンで観る映画のような厚みのある作品に仕上がっていた。
ジャクリーン・ケネディの父方の叔母にイーディス・ブーヴィエ・ビールという女性がいた。
彼女の娘は同名で、母をビッグ・イーディ、娘はリトル・イーディと呼ばれていた。

時代は大恐慌前からスタート、ビール家は父の家業がまだ隆盛であり、ニューヨーク州ロング
アイランドに2400坪の自分の家を建ててもらい、夜な夜なの社交界で、娘にいい旦那を
探すことに奔走する華やかにして虚飾に満ちた生活を送っていた。娘は、結婚より歌手で
ダンサーになることを夢見ていたが、母は許さず、結局、結婚も出来ず、そのうち大恐慌で
父の事業は傾き、たくさんいた雇い人もクビにせざるをえなくなる。さらに父が亡くなるという
悲劇が重なり、グレイ・ガーデンズと名付けられた邸宅とイーディ母娘の消息も時代の移り
代わりのなかで人々の記憶から消えていった。

そのイーディ母娘が再び注目を浴びたのは、いまでいうゴミ屋敷のように荒れ果てた家から
流れる異臭に風下の人々から苦情が出て、州の保健所が立ち入り検査に入っってからだ。
さらに、彼女らの暮らしを追ったドキュメンタリー「グレイ・ガーデンズ」が公開されたのと、
二人がジャクリーン・オナシスの縁者であることが、一躍ゴシップ世界に火をつけた。

映画は、ドキュメンタリー映画を撮られる二人を、ベースに描きながら、華やかだった時代の
暮らしぶりから、何もできないセレブがゴミ屋敷の住人になるまでを描いて行く。
何と言ってもドリュー・バリモアの老女のスペシャルメイクと、母を演じるジェシカ・ラングの
怪演ぶりが光る。娘を自分のそばに縛り付けてしまった母と、一時は芸能界を目指した娘も
母の虜となり、独身を通してゴミ屋敷の住人になってしまったのは、働くことでお金を儲けた
ことのない女性の皮肉と悲劇であった。ビッグ・イーディには二人の男の子もいて立派に成長
し、いろいろと忠告してくるのだが頑として聞かない。父の信託遺産が底をつく、ということも
さんざん言われていたが、判っていて放置していた。

原題でもイーディ母娘のようなことになる可能性を持った人間はたくさんいるだろう。一時、
破たんしたリーマン・ブラザーズのセレブ妻たちが、自分たちも破産したにもかかわらず、
あぶく銭にまみれた生活が忘れられず、時分からは絶対に働かない、と口にするケースが多かった
とロイターが伝えていたが、まさにそんな感じなんだろう。

時代から置いて行かれた、ということを認識することを拒否する女たち。こういう女性たちも
いた(いる)んだな、ドキュメンタリーの制作者たちの狙いもそういうところにあったのだろう。
この映画の詳細は「海外ドラマNAVI」に詳しいので参照いただきたいが、消去されることも
あるので、キモだけを引用させていただく。ルポはニューヨーク在住のジャーナリストほりうち
あきこ氏であるこちらからどうぞ。
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■イディ母娘の足跡を辿って…イーストハンプトンからマンハッタンまで
<イーストハンプトン>
グレイ・ガーデンズ Grey Gardens
ドラマの主人公であるエディス・ブーヴィエ・ビール母娘が人生の大半を過ごした、ニュー
ヨーク州ロングアイランドのイーストハンプトンにある屋敷。19世紀末に建てられた2エーカー(約2400坪)の邸宅で、ビッグ・イディの夫フィラン・ビールが、1923年に妻のために購入した。当初は、使用人やビッグ・イディの歌のために伴奏者を雇い、セレブの集うパーティ三昧を
していたものの、大恐慌の影響で贅沢な暮らしを維持できなくなる。夫婦は1946年に離婚し、1948年のビッグ・イディの父親の死後、働く術を知らない母娘は20年余りもの間、世間と
隔絶し、限られた遺産での貧困生活を余儀なくされる。

いつしか住み着いたネコやアライグマ(!)にエサを与えても、掃除や家事をしないライフ
スタイルから、屋敷は経年と共に荒れ果て、山積したゴミが近所迷惑になるほどの異臭を放つ。
近所の通報によって1971年に保健所の立ち入り検査が入り、この出来事は母娘がジャクリーン・
ケネディ・オナシスの父方の叔母と従姉妹だったことから、全米が知るニュースとなる。
不祥事を知ったジャクリーンから32,000ドルの寄付を受けて屋敷の掃除や修理を行うことができ、母娘は屋敷の取り壊しと強制退去を免れた。

リトル・イディは母親の死後、1979年に元ワシントンポスト紙の編集者であるベン・
ブラッドリーとジャーナリストの妻サリー・クィンに、屋敷を取り壊さないことを条件に
220,000ドルで売り、夫妻は修復を約束する。修復した屋敷は現在、人に貸しており、
イーストハンプトン歴史協会の主催する見学ツアーやイベントに利用されることもある。
名前の由来は、近くのビーチの砂と海風から発生する霧、ガーデンを囲む塀の色から。

・イーストハンプトン East Hampton
マンハッタンから車で約3時間の、ニューヨーク州のロングアイランドの東端近くにある高級
リゾート地。20世紀初頭から富裕層が豪奢な夏の別荘を建てるようになり、その多くはグレイ・
ガーデンズのような建築様式の屋敷だった。
ジャクリーン・ケネディ・オナシスがこの地で幼少期を過ごしたことは有名。また、画家の
ジャクソン・ポロックも1940~50年代に住んでおり、その時代のことを描いた映画『ポロック
2人だけのアトリエ』(2000年)はイーストハンプトンで撮影された。今なお豪邸の立ち並ぶ、
セレブの夏の避暑地として知られ、不動産価格は非常に高い。

・ジョージカ・ビーチ Georgica Beach
ドラマの中で度々登場するのは、イーストハンプトンの大西洋に面したジョージカ・ビーチ
という設定。グレイ・ガーデンズから1ブロック、徒歩5分のところにあるこのビーチには、
リトル・イディがよく1人で訪れた。現在は、メモリアル・ディ(5月の最終月曜日)から
レイバー・ディ(9月第1月曜日)まで海水浴できる。ビーチ周辺にセレブの別荘も少なくない。

・モスト・ホーリー・トリニティ・カトリック・セメタリー 
Most Holy Trinity Catholic Cemetery
ドキュメンタリー映画『Grey Gardens』が公開された1年後の1977年にビッグ・イディが
死去。イーストハンプトンにあるこの墓地で、父母や兄(ジャクリーン・ケネディ・オナシスの
父)の近くに眠る。2002年にフロリダで亡くなったリトル・イディは、母の隣に埋葬されるよりも、火葬してその灰が海にまかれることを希望。灰の残りは、ニューヨーク州ロングアイランドの
ローカスト・ヴァレー・セメタリーに埋葬されている。

<マンハッタン>
・ピエール・ホテル The Pierre Hotel
リトル・イディが、1936年元旦に華々しく社交界デビューを飾る場所。セントラルパーク
東南の入口の向かいに位置し、世界大恐慌直後の1930年に建設された格式ある5つ星ホテル。
そのラグジュアリーなボールルームは、上流階級の社交界デビュー、ウエディング・パーティなど
のイベントに使われてきた。1959年に上層階部分が居住用アパートとなり、エリザベス・
テーラーもその住人となった。今年の6月には2年に渡る1億ドルかけた改装工事が完成し、
再オープンしたばかり。

バービゾン・ホテル・フォー・ウィメン The Barbizon Hotel for Women
リトル・イディが1947年からグレイ・ガーデンズに“連れ戻される”1952年まで住んでいた
女性専用のホテル。キャリアを求めてニューヨークに出てきた良家の子女が安心して暮らせる
居住地として利用されていた。当時はドレスコードや規則が厳しく、男性は1階ロビーまでしか
入ることはできなかった。2002年に改装されて「メルローズ・ホテル」と改名するも、
2005年にコンドミニアムになり現在に至る。セレブの居住者には、グレース・ケリーやライザ・
ミネリもいた。

■ドキュメンタリー『Grey Gardens』を製作したメイズルス兄弟とは…
オリジナルのドキュメンタリー映画の監督であるデイビッドとアルバート・メイズルス兄弟は、
ビートルズの来米4日間を追った『What’s Happening? The Beatles in the USA』(1964年)
やローリング・ストーンズの伝説のライブを記録した『Gimme Shelter』(1970年)などで
知られるドキュメンタリー作家。アーティストを追った作品が多く、クリスト&ジャン・
クロード(美術作家で作品は「梱包されたポン・ヌフ」など)やホロヴィッツ(20世紀を代表
する天才ピアニスト)、小沢征爾(日本の高名な指揮者)などがその対象となっている。
1973年に撮影を開始した『Grey Gardens』(1976年)では、弟のアルバートが16ミリ
カメラを回し、兄のデイビッドが録音を担当するシネマ・ヴェリテの手法(演出トリックなしで
取材者とその対象の関係をそのまま記録するドキュメンタリー手法、真実映画)で製作。兄弟が
ビールス親子と築いた親密な関係により、2人の素の姿をとらえてその浮世離れした生活と愛憎
入り交じる関係を浮き彫りにした。
アルバートは後に、ビールス母娘のふるまいは自然で、オンカメラとオフカメラ時の差がない
と語り、リトル・イディと手紙での交流は、映画が公開された後もずっと続いたという。
2006年に未公開のシーンを編集した『The Beales of Grey Gardens』を発表し、オリジナルの
ファンを喜ばせた。同作品では、オリジナルには入りきらなかった母娘それぞれの貴重な発言が
見られ、特にリトル・イディの独自の思想とオリジナリティ溢れるファッションがふんだんに
フィーチャーされている。
by jazzyoba0083 | 2010-03-18 22:55 | 洋画=か行 | Comments(0)

カーリー・スー Curly Sue

●「カーリー・スー Curly Sue」
1991 アメリカ Hughes Entertainment、Warner Bros.Pictures,101min.
監督・製作・脚本:ジョン・ヒューズ
出演:ジョージ・ベル-シ、アリサン・ポーター、ケリー・リンチ、ジョン・ゲッツ他
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<感想>
「ホーム・アローン」「フェリスはある朝突然に」などで知られ、去年8月ジョギング中に
心臓麻痺で急逝したジョン・ヒューズ監督。今年のアカデミー賞では彼の作品を、出演した
役者が何人か壇上にあがり、その思い出を語るコーナーが特別にあつらえられていた。
会場には未亡人や子供たちの姿も。

そのジョン・ヒューズが自ら脚本を書き、メガフォンを取った今から20年程前のハート
ウォーミング・コメディ。ちょっと底の浅さが気になり、評価としてはそう高くはない。が、
見ていて不快になる映画でもない。特に子役のアリサン・ポーターが、実に自然に演技が
出来ていて、暖かさが伝わってきた。ストーリーも単純だが、いささか強引な点もある。

突然現れたホームレスの男と女の子を自分の家で生活させちゃう女弁護士、いくら交通事故に
遭わせたから、いってもね。そして、ラストは二人は結ばれることを示唆するのだが、男の
正体はわからず終いで、いいのかよ!と思ってしまう。それと、カーリー・スーは男が酒場で
女から預けられた、といいそれ以来育ててきた、というが実の子ではないのか?そのあたりは
よく判らないまま終わっていく。
「ホーム・アローン」までとはいかないが、結構なドタバタもあり、安心してみていられる作品
ではある。

ベル-シ兄弟の弟ジョン、ケリー・リンチと、最近はあまり見ない地味系な配役で、子役を
演じたアリサンも、この映画の後には他の道を選んだようだ。もったいないと思うが今は何を
しているのだろうか。

<ストーリー>
なぜかホームレスをやっているビル(ベル-シ)と一緒にいる女の子カーリー・スー
(アリサン)が冬のシカゴにやってきた。彼らはちょっとした詐欺や、当たりやなどをやって
食事にありついていた。
ある日、女性弁護士グレイのベンツに狙いを定め、事前にスーに頭を板で思い切り殴らせて
おいて、クルマの後ろに忍び寄り、バックしたところで、転倒してみせる。スーが「パパが
死んじゃった」とウソ泣きをするという仕掛け。
まんまと彼らのわなに引っかかったグレイは恋人のウォーカーとのデートの約束をすっぽかして
二人にお詫びにと食事をご馳走していた。
さらに、自分の家に二人を連れてきて、休ませていた。そこへ彼氏が来て鉢合わせになったり、
何も知らないメイドが入ってきて大騒ぎになったり、のドタバタが続く。グレイは彼らに出て
行け、とはどうしてもいえず、特に利発なカーリー・スーがろくな教育も受けていないことに
胸をいためていた。後見人になりたくても法的な手続きが必要で、そんな中、二人は出て行って
しまう。が、ビルもスーもグレイのことが好きになっていて、もう一度合えるといいね、
と街をうろうろしていると、今度は駐車場から出てきたグレイのベンツにビルがホントに
はねられてしまう。
怪我もなく、大したことはなかったのだが、また二人を自分の家に泊め、世話を焼き始めた
グレイ。恋人のウォーカーも、そんなグレイを何とか奪い返そうと、児童相談所に虐待が行わ
れている、と通報。ビルは逮捕され留置され、スーは児童保護施設に入れられてしまう。
その事実を知ったグレイは、二人をすぐに連れ出し、ウォーカーをなじるのだった。
そしてグレイは法的に後見人になることに成功、しかし、スーは「私にママができると、
ジムはどこかへいってしまう」と泣くのだった。

二人の強い絆に心を打たれたグレイは、ジムとスーと3人で暮らすことを決意。スーを学校
にも行かせ普通な暮らしができるようにした。さらに二人と接することで、これまで攻撃的な
弁護で名を売っていたグレイは、共同経営者としての法律事務所も辞め、3人の生活を大事に
する決心をしたのだった。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-03-17 23:10 | 洋画=か行 | Comments(0)