「ザ・バンク 堕ちた巨像  The International」
2009 アメリカ・イギリス・ドイツ Columbia Pictures 117min.
監督:トム・ティクヴァ
出演:クライヴ・オーウェン、ナオミ・ワッツ、アーミン・ミューラー=スタールほか。
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<感想>
面白かった!楽しめた!久しぶりに2時間近く眠気ももようさず、ハラハラドキドキで
スリルとなぞ解きを堪能しました。ストーリーとしてはちょいとややこしいところが
あるのですが、銀行を描いたものとしては、割と判り易かった方かな。
原題のThe Internationalのほうがニュアンスは出てますね。クライヴ・オーウェン、
熱演です。ナオミ・ワッツもいい感じ。そして元東ドイツ秘密警察大佐で、銀行の
裏の仕事担当の重役を演じているアーミン・ミューラー・スタールが良かったです。
空撮をはじめとする俯瞰や煽りが効果的で、撮影や編集も上手いなあと感じた。
 
要するに国際紛争当事国に武器を斡旋することで、紛争国を借金漬けにし、そこに
付け込んで金を貸し、当事国を支配する巨大銀行の野望と挫折を描くものだ。

冒頭のベルリン駅頭でオーウェン演じるインターポールのサリンジャー捜査官の同僚が
ゲロを吐きながら歩道で急死するところ、道の向こうにいて賭けつけようとするサリンジャー
がクルマのミラーに跳ね飛ばされるところ、導入からもうドキドキ。
こういう銀行、実際にありそうだ。ラスト、この銀行のボスが「俺を殺しても組織は続くぞ」
と言うところにぞっとする。
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<ストーリー>
A国にミサイルを売り、今度は誘導装置を斡旋しようとするIBBCという巨大銀行。
誘導装置はイタリアのカルビーニ社。社長は次期首相候補だ。

サリンジャーとNY検事局のエレノア検事(ナオミ)は協力して長いことこの銀行の悪事を
暴こうとしていたが、証言をしようとすると、必ず証人は殺される。しかし二人は次第に
核心に迫っていく。
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カルビーニ社長は、自分の会社の誘導装置が売れることはいいのだが、IBBCのやり方を
面白く思っていなかった。すると銀行は、暗殺者を使って、演説中の社長を暗殺、
組み易しと踏んだ息子たちと交渉する方法を選んだ。サリンジャーとエレノアは暗殺者が
残した足跡から、犯人は義足であることを突き止め、義足ならば空港の金属探知機に
かかると見てビデオカメラの映像を調べそこからNYの整形外科を割り出す。

そこの患者から一人の怪しい男が浮かび、捜査していると目の前をそいつが通り過ぎる。
慌てて追う、サリンジャーと2人のNYPDの刑事。

実はこの暗殺者は、すでに足がついたと思った銀行側から消される運命だったのだ。
元大佐に呼び出されグッゲンハイム美術館で落ちあい、いつものように暗殺指令を
受ける。それはサリンジャーを消す、という指令であった。

サリンジャーたちは暗殺者に気付かれ、その場で逮捕しようとするが、暗殺者を消そうと
美術館に来ていた大量の暗殺部隊の銃撃を浴びることになる。ここの銃撃戦は見応え
あった。グッゲンハイム美術館、セットだったのだろうか。機銃で穴だらけだけど。

大銃撃戦の中で、皮肉にも自分を狙った暗殺者と一緒に暗殺部隊と戦う羽目になったが、
暗殺者は銃弾に倒れ、死んでしまう。しかし、仲間の刑事の一人が元大佐を捕えていた。
大佐は、自分のしたこと告白したが、IBBCの犯罪は法の範疇では誰も告発できない、
という。政府も関わっている部分があるから、というのだ。サリンジャーは
エレノアに手を引け、といい、自分ひとりでIBBCと対決する決心をする。元大佐は
これに協力することに。

カルビーニ社の息子と契約しようとやってきたIBBCの顧問弁護士らは、サリンジャーが
息子にオヤジを暗殺したのはIBBCだ、と告げられたため、息子らに雇われた暗殺者に
追い返された上、弁護士は殺される。

ばれたか、と感じた銀行は、誘導装置の購入先をカルビーニ社のライバル社に話を
持ち込む。銀行の売り先はシリア・イラン。ライバル社はイスラエルに装置を売っていた。
ライバル社が売ったミサイルを無力化してしまう装置を今度は敵対する国に売ることに
ライバル社が納得するか。銀行は、ライバル社の社長を呼び出し、直接説得する。
元大佐はその時、銀行のボスの襟に盗聴マイクを仕掛け、サリンジャーに録音させようと
するが、地下に入ってしまい、証拠の会話を録音出来なかった。

行き詰まったサリンジャーは、銀行のボスを殺すことにし、イスタンブールの家の屋根の上
まで追い詰める。ボスに銃を向けると「俺を殺しても組織は続くぞ」と言われ、言い返せ
ないサリンジャー。その時、銃声が響き、ボスは倒れる。ボスを殺したのはカルビーニ社
に雇われた暗殺者であった。

その後、IBBCはボスの息のかかった男が頭取となり、悪行は続き、金を儲けていた。
しかし、その後国連が紛争国に不正融資をする銀行を調べ始めた。調査の指揮を執るのは
エレノアであった・・・・。

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by jazzyoba0083 | 2010-07-31 23:10 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「幻影師アイゼンハイム The Illusionist」
2006 アメリカ・チェコ Bull's Eye Entertainment、Bob Yari Productions、109min.
監督:ニール・バーガー 原作:スティーヴン・ミルハウザー「幻影師アイゼンハイム」
出演:エドワード・ノートン、ポール・ジアマッティ、ジェシカ・ビールほか
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<感想>
ラストのジアマッティン演じる警部の「すっかり騙されてしまったぜ」というニタリ顔が
全てを物語っている。イリュージョンを映画でやるわけだから何だって出来ちゃうから
主人公アイゼンハイムが劇場で見せる、どうやってるんだろう、というイリュージョンに
悩む必要はない。本題の方は、イリュージョンではなく、公爵令嬢とアイゼンハイムが
共謀して皇太子を騙すテクニックのアナログな手法の「あっといわせる」ところにある。
ラストに一気に明かされるその秘密は、映画ならではのカタルシスで、見ている人は
きっと警部と一緒にニヤリとするだろう。それらの物語を短すぎず長すぎない時間に
収めたのは監督の手腕。お見事と言っておこう。もう一人の主役、警部役のポール・
ジアマッティは、納得の演技。アイゼンハイムのエドワード・ノートンも好演である。
観終わって清々しい映画。好きな一作である。

<ストーリー>
「ピュリッツァー賞受賞作家スティーヴン・ミルハウザーの同名短編小説を「レッド・
ドラゴン」「25時」のエドワード・ノートン主演で映画化した幻想ミステリー・ロマンス。

19世紀末のウィーンを舞台に、身分の差ゆえに一度は諦めた初恋の女性を巡って、一人の
天才幻影師が自らの奇術を駆使して時の皇太子に果敢に立ち向かう姿を、妖しくも格調高く
描き出す。共演はポール・ジアマッティ、ルーファス・シーウェル、ジェシカ・ビール。
監督はこれが長編2作目の新鋭ニール・バーガー。
 
19世紀末、ハプスブルグ帝国終末期のウィーン。イリュージョンが見せ物として隆盛を
誇る中、天才と評され絶大な人気を集める幻影師、アイゼンハイム。ある日、評判を
聞きつけた皇太子レオポルドが観覧に訪れる。ショーの途中、皇太子が同伴していた
婚約者を舞台に招いたアイゼンハイムは、彼女が幼なじみのソフィと気づき動揺する。
かつて2人は互いに愛し合いながらも、階級の壁の前に引き離されてしまったのだった。
そんなアイゼンハイムは王宮に招かれた際、皇太子の前で挑発的な態度に出る。これに
逆上した皇太子は、自らに仕える警部ウールにアイゼンハイムの追い落としを命じるの
だったが…。」(allcinema)

要は、宮廷の家具職人の息子と、公爵令嬢は幼なじみで、好き合っていたのだが、身分が
違うが故に引き裂かれ、大人になるまで別の人生を生きてきたのだった。
令嬢ソフィーは、政略結婚のために、好きでも無い皇太子と婚約することになるのだが、
あるひ幻影師となったアイゼンハイムと再会を果たす。
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今の立場から逃げ出したいソフィを救い、二人で暮らすために、公爵付き医師の手助けを
借りて、二人は一計を案じるのだ。
ソフィがアイゼンハイムと浮気していることに激怒した皇太子はソフィを刺殺した、という
筋書きを書き、ソフィは殺され、川で死体となって発見された。。皇太子を犯人は出来ない
ため代わりの犯人がでっちあげられたが、世間は皇太子を怪しいと睨む。
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アイゼンハイムをつぶせ、と命じられた警部は、一旦は世の中を騒がした詐欺罪でアイゼン
ハイムを逮捕するが、群衆の抗議に会い釈放する。劇場もつぶされたが、彼は自分で劇場を
再開させ、死んだ人の魂を呼び出すという幻術を披露した。

警部は、ソフィが殺されたと思われる皇太子の城の馬屋で、皇太子の剣に付いていた宝石を
発見、皇太子を追いこむ。(本当は皇太子はソフィを殺していないのだが)自分がソフィを
殺したと思いこんだ皇太子は自ら銃で頭を打ち抜いて自殺する。

実はソフィは皇太子に薬を盛って泥酔させて、気を失わせ、剣を奪って、馬屋に皇太子の
剣に血を付けて剣についていた宝石を当たりに振りまき、刀傷はたぶんアイゼンハイムに
付けてもらい、ある種の薬で失神して川に浮かぶ。これをエイゼンハイムが発見して、
公爵家付きの医師の手助けで、気つけ薬で行き帰らせ、田舎に逃がしていたのだった。
そして皆の前から自らの幻術で姿を消したアイゼンハイムは、皇太子自殺のあとソフィーの
暮らす田舎にむかったのだった。

アイゼンハイムの姿を街で見かけて追いかけた警部だったが、列車にのりこんだ彼を
逃してしまう。しかし、警部には、アイゼンハイムとソフィが仕掛けた罠の謎が
解けたのだった。エイゼンハイムが好きだった警部は、彼らの仕掛けに思わず笑みを
浮かべたのだった。
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by jazzyoba0083 | 2010-07-31 18:33 | 洋画=あ行 | Comments(0)

60歳のラブレター

●「60歳のラブレター」
2009 日本・松竹・「60歳のラブレター」製作パートナーズ、129分
監督:深川栄洋 
出演:中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵、星野真里他
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<感想とストーリー>
実際に募集されている企画を元に、3組の夫婦の愛情の確認作業を、それぞれ微妙な
接点を持たせつつ描いていく。逆玉で専務まで上り詰めたが、60歳を機に会社を辞め
愛人が経営している会社に共同経営者として再就職した橘孝平(中村)と、お嬢様
育ちで、会社の為に結婚させられたような、ちひろ(原田)夫婦。家庭を顧みず
仕事ばっかりだが、愛人もしっかり作ってしまう家庭を顧みない猛烈夫と主婦しか
知らず旦那に唯々諾々と従ってきた妻。臨月の娘の旦那を、孝平は認めない。
二人は定年を機に離婚を決意する。
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孝平夫婦が良く行く魚屋の正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸)は、口けんかが絶えない
が、それはそれで仲がよい。正彦に糖尿が見つかり、二人は毎夜ジョギングを欠かさない。
正彦は学生時代バンドをやっていて、光江は追っかけだったが、家業を継ぐということで
魚屋に。正彦はジョギングの最中、楽器屋のショーケースの中の27万のマーチンが
欲しくてたまらない。そうこうしているうちに、光江が脳腫瘍であることが判明、大手術を
受ける。
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もう一組は、5年前に妻を無くし、腸内細菌の研究に没頭していたものの、アメリカの
他の学者に先を越され、今は落ちぶれた勤務医、静夫(井上)。彼には高校受験を
控えてた多感な娘がいる。彼は、翻訳家麗子(戸田)の医学監修をアルバイトとして
引き受けていたが、次第に麗子に惹かれていく。
しかし、再婚は否定しない娘も、タバコは吸うわ、料理は出来ない、自堕落な麗子を
父の再婚相手とは認めないのだ。
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孝平は自ら否定した若い社員のプロジェクトが通ってしまったことから、もう身を引く
こととした。ある日新婚旅行にいった松山から、1枚の写真を持って、若者が
訪ねてくる。二人は新婚旅行の時に写真を撮り、そこの主人の趣向で、60歳に
なったときの相手に手紙を書き、それをそのときが来たら配達する、という写真館の
主人に頼まれた孫だった。孝平は書かなかったが、ちひろは書いていて、それを
持ってきたのだ。それを読んで、ちひろともう一度やり直そうとする孝平。
そのころのちひろは、掃除のアルバイトに入っていた翻訳家麗子の勧めもあり、
パーティーに行ったりしてこれまでとは全く違う生活をエンジョイしていた。
そして流行作家からデートに誘われたり、北海道旅行に誘われたりしていた。

結局3組の夫婦は、それぞれの荒波を乗り越えて再び愛情を確認しあうのだ。
医師静夫は、娘が書いた英語の手紙を読むと、それは麗子に対するプロポーズ
になっていて、二人の行方が暗示される。

手術した光江。彼女は夫にだまってへそくりでマーチンを買っておいて、
押入れの戸を直してて置いて、といわれた正彦がギターを発見するように仕掛けて
置いた。それを見つけ、ベッドサイドで想い出の「ミッシェル」を明け方まで
歌う正彦。目覚る光江・・・。

作家に北海道旅行に誘われてやってきたラベンダー畑で、画家を志望していた
孝平はラベンダーの絵を書いた布を掲げてちひろを待っていた。
孝平の真心を理解したちひろは、孝平の元に駆け寄り・・・。

それぞれのハッピーエンドなのだが、最後の孝平とちひろのくだりの終わりかた
がクサくて、がっかりだったな。「ミッシェル」の歌で終わらせる、ということは
できなかったのかな。あと二組は割といい感じで終われたのに。
作品全体は長い割に凡庸。同世代だから見られた、という点に尽きる。
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by jazzyoba0083 | 2010-07-31 18:30 | 邦画・新作 | Comments(0)

●「路上のソリスト The Soloist」
2009 アメリカ DeamWorks SKG, Universal Pictures,117min.
監督:ジョー・ライト 
出演:ジェイミー・フォックス、ロバート・ダウニー・Jr、キャサリン・キーナン他
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<感想>
上手い役者を3人揃えて、事実に基づいて作った映画なので、安心して観て
いられる。LAタイムズのコラムニストが偶然路上で見つけた天才バイオリニスト
との心の触れ合いを描くのだが、統合失調症である天才は、なかなか扱いが
難しい。コラムニスト・スティーブは、何とか彼の天才を世に知らしめたいと
有名なチェリストに紹介したり、コンサートに連れて行ったり、またライブを
開催しようとしたりするが、自由に生きる天才ナサニエルには伝わらない。
もちろん、スティーブに感謝し、彼を神と思っているナサニエルではあるが、
過去のトラウマも含め、スティーブの思い描くようにはならない。
結局、人の心の中には入っていけないし、出来たとしても強制してはいけないし、
そこから生まれたものは、尊くない、ということを、スティーブは身を以って
知ることになるのだ。新聞記者は今でも世の中を動かす力を持っているのだが
LAタイムズも身売りされ、大手マスコミ資本がオーナーとなり効率論や
株価の動きだけで新聞を見ようとする勢力の渦に巻き込まれていった側面も
描かれている。これは先日観た「消されたヘッドライン」と同じだ。

ジェイミー・フォックスの、統合失調になった天才チェリスト・バイオリニスト、
ナサニエルの演技は、見ているほうが引きずられるほど本人になりきって
いた。同じ職場の記者である妻とも別れて、生きる方向を失っていたが故に、
スティーブの行動はさらに過激になったのであろう。
ロバート・ダウニー・jrもキャサリン・キーナンも安定していたが、二人の
背景がもう少し描かれているといいかな、と感じた。全体に面白い
映画だが、いい映画か、といわれると、いささかの引っかかりは残る。
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<ストーリー>
「LAタイムズの記者スティーヴ・ロペスが、偶然出会ったホームレスの天才
音楽家ナサニエル・エアーズとの交流を現在進行形で綴り全米で話題となった
連載コラムを映画化した感動ドラマ。当初はナサニエルの数奇な人生を記事に
するだけのつもりだったロペス記者が、次第にナサニエルと友情を築き、
ジャーナリストのモラルとの葛藤を抱えながらも、彼の人生に自ら深く関わって
いくさまを、2人の心の軌跡を軸に、社会的問題にも触れつつ美しい音楽と
ともに描き出す。主演は「Ray/レイ」のジェイミー・フォックスと「アイアンマン」
のロバート・ダウニー・Jr。監督は「プライドと偏見」「つぐない」のジョー・ライト。
 
 人生に行き詰まっていたLAタイムズのコラムニスト、スティーヴ・ロペス。
ある日彼は、2弦しかないバイオリンで美しい音色を奏でるホームレスの男と
出会う。ナサニエル・エアーズと名乗るその男が名門ジュリアード音楽院に
通っていたと知り、俄然興味を抱く。久々に記者魂に火のついたロペスは、
ナサニエルの人生の謎を追って取材を開始し、少しずつ彼の生い立ちを
紐解いていく。路上の天才音楽家ナサニエルを紹介した彼のコラムは
大きな反響を呼び、連載を続けることにしたロペスはさらなる取材を重ねる
中で、次第にナサニエルをなんとかして救いたいと願うようになるのだが…。」
(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2010-07-26 23:10 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

●「アザー・マン-もう1人の男- The Other Man」
2008 アメリカ・イギリス Gotham Productions,Rainmark Films,88min.
監督:リチャード・エアー 原作:ベルンハルト・シュリンク「逃げていく愛」
出演:リーアム・ニーソン、アントニオ・バンデラス、ローラ・リニー、ロモーラ・ガライ
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<感想とストーリー>
掌編だが、なかなか面白く見た。日本劇場未公開。出演者も豪華だ。ただ、
途中でネタバレするのだが、なんだ、そういうことかと肩透かし感はある。
リーアム・ニーソンやローラ・リニーの演技は落ち着いていて安心できるし
なんといっても、アントニオ・バンデラスのうそつき男が哀愁を帯びていて
良かった。

会社のエグゼクティブとして働くピーター(ニーソン)には靴のデザイナーと
して売れているリサ(リニ-)という妻とすでに彼氏のいる娘がいる。
ある日、リサは仕事でミラノに行くといって、そのまま帰らなくなる。
「あなた、他の女を抱きたい、と思ったことある?」という謎の言葉を
残して。
(これでいったん観客はだまされるのだが)
残された妻のPCを見ていると「LOVE」と題されたファイルに知らない男と
写っている写真があり、中にはベッドで裸で写っているものもあった。
そしてメールも。妻の浮気に頭に血が上りピーターは会社の仕事もそっち
のけで、人物の特定に血道をあげる。会社のSEに頼んでログから人物を
割り出すという不法行為すれすれのことをやって、人物を特定した。

妻の残していった赤いハイヒールに入っていた「コモ湖」というメモも気に
なっていた。ピーターはその男の住むミラノに飛ぶ。彼は三つ揃いを着て
毎朝チェスバーにやってきた。取り立てて仕事をしえいる様には見えない。
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ピーターは身分を隠してその男レイフ(バンデラス)とチェスをするように
なる。レイフは、ピーターに、自分には愛した女がいる。靴のデザイナー
でね、しばらく会ってないんだ、などと自分がいかに彼女を愛しているか
を語ったのだった。会社を休んで愛人探しをする父に娘も心配して
ミラノに来るが、ピーターは言うことを聞かない。
やがて、ピーターは、レイフが、マンションの管理人で、ほら吹きである
ことを突き止める。金持ちでもなんでもなかったのだ。
ピーターと話すときは階上の金持ちの家を黙って使っていた。

そこでピーターは、レイフをコモ湖畔のレストランにリサを語って呼び出した。
レイフは当然喜びいさんで駆けつけるが、レストランにいたのはピーター
だけ。ピーターはそこで真実を告げるのだった。

リサは自分の妻であること。彼女は数週間前にガンで死んでいることを。
愕然とするレイフ。自分はしがないマンションの管理人で、ほら吹きでと
告白、しかしリサへの愛は本物だったとも。

事件を知った当初、殺してやるといきまいていたピーターも、リサという
素晴らしい女性を愛した同士として、不思議な感情が芽生えるのだった。
そして友達を招いて開いたリサを偲ぶ会にレイフを呼び、彼もその場で
彼女への最大の賛辞を語ったのだった。

リサはレイフが貧乏なマンションの管理人とは知らず、素敵なスペイン人の
お金持ちで、心底愛してくれるアザー・マンとして死んでいったのだろう。
一方のレイフはお金はなかったけど、一生懸命工夫してリサを喜ばせて
いた。本当の旦那のピーターはどうだったのか?
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レイフにリサは告白している。私には夫がいるの、愛しているわとも。
それでもレイフの愛は止まらなかったのだ。リサは二人を愛してしまった、
ということだ。
最初にも書いたが、当初は妻の失踪事件のように始まるので、途中から
実は物語が始まったときから妻は死んでいて、映像に出てくるリサは
過去の姿、ピーターの頭の中の映像だったわけだ。その辺が上手いと
感じるか、あざといと感じるかで、この映画の評価が別れそうだ。
映画の詳細はこちらまで
by jazzyoba0083 | 2010-07-26 22:55 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「遠すぎた橋 A Bridge Too Far」
1977 イギリス・フランス Joseph E. Levine Productions 175min.
監督:リチャード・アッテンボロー
出演:ダーク・ボガード、ショーン・コネリー、マイケル・ケイン、ジーン・ハックマン
   エリオット・グールド、アンソニー・ホプキンス、ジェームズ・カーン
   ライアン・オニール、ロバート・レッドフォード、マクシミリアン・シェル他
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<感想>
この時期になるとWOWOWは戦争ものをよく放送する。これもその一環。一度観たことが
あるような気もしたが、3時間の長い映画を観賞。
これだけの俳優を集めて一大作戦を描く、というスタイルはもう出来ないだろうし、やらない
だろう。戦争アクションとしても良くできているが、第二次世界大戦の欧州戦線での
連合軍の失敗を描いた作品として、これまでの「史上最大の作戦」などの連合軍は欧州開放の
英雄という部分を敢えて切って捨てて、こういう犠牲もあっての戦争だったことをこの時期に
示した功績は大きいと思う。アッテンボローの面目躍如である。

連合軍がノルマンディー上陸作戦から欧州各地を開放して行く過程で、オランダに進出
しようとして、ドイツ軍の撤退の速度に追いつけず、補給線が伸びきってしまい、
苦戦することになるのだが、これを挽回しようとしたノルマンディーよりも動員兵士が
多い「マーケット・ガーデン作戦」が立案された。

これは3万余の落下傘部隊をオランダに降下させ、主な河にかかる橋を抑えて、ドイツ軍より
早くオランダに到達し、開放しようというものだ。
これが「現地にいるのはナチ青年隊と老人だけ」という間違った上層部の情報で、多くの
連合軍兵士がいたずらに命を落とすことになる。
これに関わる将軍は兵士たちが、綺羅星の如くのキャスティング。これを見るだけでも価値が
ありそうだ。
結局、ナチのSS機甲師団の存在などを知らなかった連合軍の敗北で終わるのだが、
当時、欧州戦線で仲が悪かったパットン将軍とモントゴメリー将軍の、モントゴメリーの作戦で
あったこの作戦について、モントゴメリーは失敗を認めようとしなかった。

無謀な司令官がいると兵士は苦労するという古今東西の常識を描いている。
CGなどまだまだだった時代に、これだけの物量で戦闘シーンを再現したのは見応えがある。
殺戮シーンも、けっこうリアルに再現していて、これまでの戦争アクションとは一線を
画しているのが判る。
この映画を見ると、男の子はきっと「マーケット・ガーデン作戦」の戦史をきちんと読みたく
なるだろう。
詳細はこちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2010-07-22 23:50 | 洋画=た行 | Comments(2)

●「レールズ&タイズ Rails & Ties」
2007 アメリカ Malpaso Productions,101min.(日本劇場未公開)
監督:アリソン・イーストウッド
出演:ケヴィン・ベーコン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、マイルズ・ヘイザーほか。
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<感想>
クリント・イーストウッドの愛娘の初監督作品。父親譲りの心温まる作品ではあるが、
なんとも底が浅い。お涙頂戴、と言われても仕方のない作品だ。脚本が悪いのだろう。
これは如何に父親が偉大であてっても、たとえ単館上映でも客の入りは悪かったであろう。
未公開もムべなるかなである。ただ少年の演技がくさかったけど、上手でした。

<ストーリー>
「妻の病に目を背け現実逃避していた鉄道技師が、不慮の事故で出会った少年と家族の
ような交流を重ねることで次第に絆が芽生え再生していく姿を描いたヒューマン・ドラマ。
クリント・イーストウッドの娘である女優アリソン・イーストウッドが、ケヴィン・
ベーコンを主演に迎えた初監督作品。

 鉄道技師のトム(ケヴィン)は、妻のミーガンが末期の乳ガンに冒されている事実に
正面から向き合おうとせず、仕事に没頭することで気を紛らわせていた。そんなある日、
トムの運転する列車が前方線路上に停車していた1台の車を轢いてしまう。
その車には一組の母子が乗っていたが、息子は激突寸前に脱出し、母親は轢死。原因は
母親による無理心中だった。そして息子の少年ディヴィは里親へ出されることに。

だがやがて、トムのもとにディヴィが訪ねてくる。図らずも加害者となったトムと、
彼を憎みながら本当の家族を探し求めるディヴィ。そこで、子宝に恵まれなかった
ミーガンの希望によりディヴィを迎え入れるのだった。徐々にディヴィと打ち解け合い、
夫婦仲も取り戻していくトム。しかし、そんな中、ミーガンの死期は刻一刻と迫っていた…。」
(allcinema)

自分の運転する特急でクルマと激突。回避行動を取らなかったのではないか、とする
審問会が開かれるのだが、トムはそれまで謹慎の身分。そこに抗議に来たデイヴィ。
彼は里親の元を逃げ出して来たのだった。窮鳥が懐に飛び込んできた状態のトム夫妻。
妻のミーガンは実の息子のように接し、ディヴィも荒れた家庭に育った割にはいい子で、
素直に家族に溶け込んでいく。被害者の息子を加害者ともいえる家族がかくまうのは
法律違反だ。家庭児童局の捜査も調査官の理解もありかわすことが出来た。

家庭を顧みなかったトムもミーガンの最期をディヴィと一緒に過ごそうと決意し、
ディヴィも最初は、母親を殺した男と決めつけていたが、やがてお互いに鉄道好き同志で
心が通い始め、やがてディヴィはトムを許すことになる。トムの審問会はトムの正当性が
認められ彼は無罪になりまた運転士として勤めることができるようになった。

しかし、ミーガンの死期は確実に近づき、やがて二人の見守る中ミーガンは他界する。
彼女の最後の願いであった、ディヴィの養育権を獲得するために二人は家庭児童局に
出頭し、手続きをする覚悟を決めたのであった。

アリソンはストーリーを組み立てる力はあると思うので、何本か作って鍛えていけば
いい監督になる可能性はあると思う。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-07-21 22:56 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

●「歌え!ロレッタ 愛のために Coal Miner's Daughter」
1980 アメリカ Universal Pictures 125min.
監督:マイケル・アプテッド 原案:ロレッタ・リン
出演:シシー・スペイセク、トミー・リー・ジョーンズ、ビヴァリー・ダンジェロ、レヴォン・ヘルム他
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<1980年度アカデミー賞主演女優賞受賞作品>


<感想>
面白い映画だった。事実は小説より奇なり、とはこういうことをいうんだろうな。
まあ多分に脚色はされているだろうが、全編飽きずに見せてもらいました。
NHK-BSは時々こういう映画をさりげなく放映するから油断ならない。
アメリカでカントリーのファーストレディと言われた名歌手ロレッタ・リンの半生を
綴った伝記もので、全米をツアーバスで巡りながら、家庭生活や厳しい歌手生活との
葛藤を描いていくのは、これまでも色々あった。ここではやはりオスカーを獲った
シシ-・スペイセクの演技に尽きるだろう。若き日のトミー・リー・ジョーンズもいい。
シシ-は歌が上手いのだなあ。カントリーソングをもう少し聞いてみたくなった。
現代は「炭鉱夫の娘」なのだが、何故こんなタイトルか、というのがエンディング
近くで判る。これは彼女が、あまりにハードなドサ回りでダウンし、復帰してきたとき
故郷のケンタッキーの町や自分の暮らしを自伝的に歌った歌のタイトルだったのだ。
まあ、邦題は、こうでも付けなくちゃ仕方無かったのだろうね。原題のママじゃ、客は
入らないだろうね。
カントリーソングは、日本人が想像するよりもずっと国民から愛されていて、人気も
高く、映画にも出てくるが専門のラジオ局もたくさんある。
私の専門外であるカントリーにこんなストーリーを持った大歌手がいる、とは新鮮な
驚きだった。日本でいえば演歌の女王の生い立ち、くらいのことかなあ。

<ストーリー>
ケンタッキー州の炭鉱の町。ここに暮らすロレッタ(シシー)は炭鉱夫の父とたくさんの
兄弟の中で育ち、13歳になった。貧しい暮らしであった。その街にドゥーリットル(トミー)
という軍隊帰りの男がジープに乗ってやってきた。彼は一目でロレッタが気に入り
まだ少女の彼女を半ば奪うように自分の嫁にしてしまうのだった。当然両親は
反対したが・・・。彼女はベッドのことも料理もできないただの少女だったがドゥーと
ケンカを繰り返しながらもなんとか主婦らしさを身に付け、そして子供もたくさん出来た。
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カントリーソングが好きだったロレッタの才能に目をつけたドゥーは、彼女を町の酒場で
歌わせたり、レコード会社におしかけて自主制作したレコードを全米のカントリーチャート
のDJに送りつけたりして、売り出しに乗り出した。彼女は作曲の才能もあり、自分で
作って売り込んだ曲が、チャートの14位まで上昇してきた。

そこで二人は子供を預けてラジオ局に直接プロモートに行くことを繰り返し、ラジオで
曲がたくさん流れるように努力した。そしてカントリーの殿堂、ナッシュビルで開催される
オーディション、Grand Ole Opry に連続出場を果たした。さらに当時彼女の
憧れでもあったカントリーの女王、パッツィ・クラインと行動をともにすることになった。
そのことがさらに彼女の人気を呼んだ。
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そのころロレッタはまた妊娠。もういやだ、という彼女を優しくなだめてくれて、
おめでたいことよ、ナッシュビル一番の誕生祝をしましょう、といっていたパッツィだったが
あっけなく飛行機事故で帰らぬ人となってしまった。

ロレッタは、パッツィの分まで歌う、と決めたごとく多くのツアーをこなし、レコードは
次々と売れ、大きな屋敷も手に入れた。しかし、あまりにも多忙な日々に持病の頭痛は
クスリを飲んでも治らなくなり、夫婦の溝も深くなりドゥーと言い争うことも多くなった。
そしてある日の公演で、彼女は歌えなくなり、ステージからドゥーに抱きかかえられて
退場することに。

自宅に戻ってゆっくりしたロレッタは再びステージに立つことが出来た。復帰一作目は
「炭鉱夫の娘」という曲。自分を飾らず偽らずに作った歌だった。

ロレッタ・リンは今でも活躍しているカントリーの大御所。決して美人とはいえないシシー
演じるリンが、少女から女性へと、主婦から大歌手への変貌を上手く演じていた。
炭鉱の町で育った貧しい少女が不思議な結婚を機にカントリーの大歌手へと上りつめる
サクセスストーリー。苦もあれば、最後はハッピーエンドで、見ていて、ストレスの無い
映画だなあと思った。ある種典型的なサクセスストーリーではあるが。
始めのところあたり、ちょっとたるい感じもするが、あとは実話に引きずられてグイグイと
見てしまう。そして見終わった頃にはカントリーソングが少しこの映画を見る前より
好きになっていることでしょう。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-07-20 23:10 | 洋画=あ行 | Comments(0)

重力ピエロ

●「重力ピエロ」
2009 日本 アスミック・エース、「重力ピエロ」製作委員会、119分。
監督:森 淳一 企画・脚本:相沢友子  原作:伊坂幸太郎
出演:加瀬亮 岡田将正 小日向文世 吉高由里子 渡部篤郎 鈴木京香ほか
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<感想>
このところドップリ浸かっている伊坂幸太郎の映像作品を初めて観た。あのどこか
村上春樹にもにた世界をどう映像化するのだろう、と興味津々で見始めた。
原作は、とても面白く読んだ。特に弟の春のキャラクターが際立っていたのだが、
この映画では岡田将生が、実によく頑張っていたし、監督は原作の雰囲気を壊さず
表現できていたと思う。

「2階から春が降ってきた」という台詞で始まるのは原作も映画も同じ。映画は原作を
ほぼ忠実に再現している。ある意味つかみ所の無いような浮揚感のある伊坂ワールドを
この森淳一という監督はよく表出していたと思う。兄の泉水を演じた加瀬亮も上手かった。

二人の父親(春の生物学的父親は違うが)である小日向文世もいいんだが、私としては
もう少し、あごがこけた鋭角的な父親像が読後、頭にあったのでいさかかいい人過ぎた
感があったが、原作を知らない人は、別にどうでもいいことだろう。

これも原作に忠実に仙台ロケを敢行し、カメラも編集もいい出来だと感じた。
相対的に原作を面白く読んだものとしても満足の行く出来で、原作を知らない人にも
楽しめたのではないか。ただ、本のもつ微妙なニュアンスはやはり映像化できないし
逆に原作にない魅力を映画は獲得していたことも確か。キャスティングは全体に良。

<ストーリー>
仙台に住む市役所職員、奥野正志(小日向)は、雪の中でスタックしたモデルの梨江子
(鈴木)を助けようとして同じく危うく遭難、という目に会う。そんな奥野のクルマで
流れていたのがローランド・カークという盲目のジャズ・マルチリードプレイヤー。
(これは本編とはあまり関係ない)。
梨江子は、押しかけるように奥野の女房になり、長男泉水が生まれる。しかし、泉水が
小さい頃、買い物帰りを狙われた梨江子は、押し入ってきた高校生に強姦される。
その結果生まれたのが次男の春だ。性格は違うが両親の分け隔てのない愛情を
受けて仲良く育ってきた兄弟だが、町の人たちは、春が襲われた結果できたこどもである
ことを知っていた。強姦魔はその後逮捕されるのだが、梨江子は交通事故で死亡する。
本当に自己だったのかどうかは不明だ。

そして、仙台の街に放火が相次ぐようになる。それと同時に放火現場の近くに必ず
スプレーで書かれたグラフィティアートがあった。それぞれに英語の単語が
係れていて「GOD」「CAN」「TALK」「ANTS」「GO TO」「AMERICA」など一見
意味がないような単語だった。
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大学院で遺伝学を研究している泉水は、これらの単語の頭の文字が人間のDNAの
組み合わせを示していることを突き止め、その近くにある建物の名前とも一致すると
気が付いた。

春は、何とか犯人を捕まえるといって張り込みをしたりするが、やがて父がガンを
煩うことになる。ある日、かつての強姦魔が出所して仙台市内で風俗店を営業して
いることを泉水が突き止め、彼はその男の周辺を探る。そして行きつけのバーで
吸殻を拾い、春のベッドにあった頭髪とを研究室のDNA分析器にかけてみるの
だった。結果は想像どおり99,7%のマッチング。
また、かつて春のストーカーをしていた夏子さん(吉高)も、全身整形をして春や
泉水の前に現れ、泉水に放火しているのは春さんだ、と話す。
愕然とする泉水だが、春の部屋のガンジーのポスターをはがすと、その下からは
かつて強姦があった場所と、放火があった場所を示すピンが押されていた。

実は春は、彼の父親である強姦魔である男の所在を突き止めていて、放火が掲載
された新聞を切り抜いては男に送りつけていたのだ。
そして二人は、かつて親子4人で住んでいた家で対決することになる。春は家に
油を撒いて火をつけて男を逃がさないようにし、「おれはお前の父親だぞ!」と
叫ぶ男にバットを振るった。駆けつけた泉水が着いたときはあとの祭りだった。

二人は家に戻ったが、父親から、詰問はされるが、そのままとなった。
泉水が春に言った「あの事件のことはお前以上に考えてきたヤツはいない。その
お前がしたことに検事や裁判官にあれこれ言われる必要はない」という台詞が
印象深い。やがて父はガンで他界。兄弟二人は父親が趣味としていた蜂蜜作りを
してみるのだった・・・。

伊坂の作品は、どこか毒があり、また浮世離れしているところがある。そういう
ニュアンスを判らずに見ると、うっちゃられ感のある映画かもしれない。
意味を求めようとすると、カタルシスを感じづらい映画かもしれない。でも総体的に
よく出来た映画だ、と思った。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-07-19 23:20 | 邦画・新作 | Comments(0)

●「ライジング・サン Rising Sun」
1993 アメリカ 20th Century Fox Film,128min.
監督:フィリップ・カウフマン 原作:マイケル・クライトン 
脚本:カウフマン&クライトン
出演:ショーン・コネリー、ウェズリー・スナイプス、ハーヴェイ・カイテルほか。
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<感想>
バブルがまさにはじけようとしていた頃まだ、「Japan as No.1」と日本が世界の脅威と
思われていた、日本にとっては夢のような時期に作られた「ジャパン・バッシング」映画。
今観ると隔世の感がある。今の中国のように思われていたわけだ。
ほんの17年前の映画なのに、描かれている日本は典型的な日本と日本人。ジュラシック・
パークのマイケル・クライトンの原作だから、もう少しましか、と思ったけれど、全然ダメ
だったなあ。映画の中に出てくる日本人も殆どが中国系と思しき人々で日本語がへたくそ。
悪意を以て描いたとしたら、日本人は怒って良い。
コールガール殺人事件を中心としたストーリーも平凡で、特に観るべきところはなく、
ひたすら日本の得体のしれない気味悪さを強調しようとしているようだ。それにしては
無駄に時間が長い。ショーン・コネリーの背景も、ウェズリー・スナイプスの背景も深掘り
出来ておらず、全体に深みに欠ける作品で、品もない。当時日本人が観たら多分眉をひそめ、
今観ると、笑っちゃいますねえ。

<ストーリー>
「日本の大企業ナカモトがロサンゼルスの一角に建てた超高層ビルの落成パーティが
開かれた夜、ビル内でコールガールのシェリル(タチアナ・パティッツ)の変死体が発見された。
女は性交中に首を絞められていた。
外国人がらみの事件を担当する市警渉外係のウェッブ・スミス警部補(ウェズリー・
スナイプス)は、ジョン・コナー警部(ショーン・コネリー)と共同で捜査を開始した。

コナーは日本人の習慣に沿った捜査法を進めるが日本人をよく思わないグラハム刑事
(ハーヴェイ・カイテル)は批判的だった。ナカモトでは最近、日本から出向いた重役の
ヨシダ(マコ)、ロス支社のエリート・イシハラ(スタン・エギ)、ネゴシエイター(交渉人)の
リッチモンド(ケヴィン・アンダーソン)らがマイクロコン社の買収を進めていたが、
アメリカの軍事技術開発にも関わっている同社だけに米議会が認めず、難航していた。

 やがてビルの監視カメラが殺害現場の模様を録画した光学ディスクが証拠品として手に入る。
画面にはナカモトのライバルの系列会社の御曹司、エディ・カサムラ(ケイリー・ヒロユキ・
タガワ)がはっきりと映っていた。事件の背後には、激しい企業戦争の影がうかがえた。
ウェッブはエディの逮捕に向かうが、逃走中にエディの車は大破し車内から焼死体が発見される。
落胆するエディを誘い、コナーはUCLAのサンダース教授の元へ向かう。教授と日米ハーフの
大学院生ジュンコ(ティア・カレル)が分析した結果、ディスクのビデオ映像は、何者かが
ハイテクを使って巧妙に改変したものだと判明。さらにその場に、謎の第三の人物がいた
ことがわかる。

やがて死んだはずのエディがウェッブとコナーに接近してきた。焼死体はナカモトの社員
タナカだった。ライバル系列同士が派遣した二つのヤクザ集団が銃撃戦を始め、エディは
殺される。彼に友情に近い感情を覚えていたコナーとウェッブは怒り、ナカモトの会議の
場に現れて重役たちが見守る中、エディより渡されたオリジナルのディスクを再生する。
買収を有利に進めようとしたイシハラはモートン上院議員(レイ・ワイズ)に女を提供し、
議員は性交中に女の喉を絞めて気絶させた。彼が去った後で実際に女を殺したのは第三の男だ。
その後でイシハラがディスクに処理を施し、ライバル系列のエディの仕業のように見せかけた
のだ。真相が明らかになった時、その場からリッチモンドが逃走した。コナーとウェッブが
追うが、エディの仲間たちの手により殺されてしまう。だが果たして本当にリッチモンドは
真犯人だったのか。事件の真相は闇に消えた。」(goo映画)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-07-17 23:20 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)