テイカーズ Takers

●「テイカーズ Takers」
2010 アメリカ Screen Gems ,Rainforest Films.107min.
監督:ジョン・ラッセンホップ
出演:マット・ディロン、ポール・ウォーカー、イドリス・エルバ、ジェイ・ヘルナンデス、マイケル・イーリー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
スタイリッシュ・クライム・ムービーっていうのかな。確かに作りはおしゃれであり
画面の作り方も、短いカットの積み重ね、また出演者の服やクルマなども確かに
オシャレではあった。映像としてはなかなかの出来だった。
しかし、如何せん、物語が薄っぺらくて残念だった。特にエンディングは、
「ええ??」ってな感じで放り出されてしまう。痛快なストーリーなんだから、痛快に
終わってもらいたかった。トホホ。

観ながら、「悪は栄えず」かな、なんて思ったけど、ラストシーンではそうではない
らしい。人を傷つけず、お金を頂戴する、というおしゃれな泥棒の映画はこれまでも
いろいろあったが、どうも人の描き方も底が浅くて残念だった。シークエンスごとに
いいところもあったのに。特に、後半で刑事に追われて町中をすばしっこく逃げる
シーンなんかはなかなか魅せた。

アメリカではT・Iとクリス・ブラウンが逮捕され公開が延期されたいわくつきの映画で
あるが、本作では地で行ったということか?(爆)
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<ストーリー>
「ゴードン・ジェニングス(イドリス・エルバ)、ジョン・ラーウェイ(ポール・ウォーカー)、
A.J.(ヘイデン・クリステンセン)、アッティカ兄弟のジェイク(マイケル・イーリー)と
ジェス(クリス・ブラウン)のメンバー5人は、銀行強盗で奪った大金で豪勢なライフ
スタイルを享受している。
彼らは詳細なプランを立てて手がかりを残さず、年に一度だけ大仕事をこなしてきた。

最近成功させた犯罪は200万ドルの銀行強盗。犯行後、テレビクルーのヘリコプターを
奪って脱出するという思い切った計画で現場から立ち去った。だがこれはロス警察の
刑事ジャック・ウェルズ(マット・ディロン)の注意をひく。彼は昔ながらの刑事で、結婚も
子供もおよそプライベートライフは総て捨てて仕事にのめりこんでいた。
そして警察署の援助も受けずに、自らの手で次の犯罪が起る前に突き止めようとして
いた。

そんなテイカーズの前にかつての仲間、ゴースト(T.I.)が姿を現す。刑務所から出所
してきたばかりの彼は、今度のヤマがうまくいけばもう全員がスキーマスクをかぶって
強盗をしなくてもいいほどの大金強奪だと提案。それは3000万ドルを積んだ現金
輸送車を襲うという計画だった。
しかし5日以内に現金輸送車がくるので、その機会を逃せば計画は消滅だという。
前の仕事が終わってすぐに次の強盗にとりかかるのはメンバーの厳格な作戦ルールに
反するが、金額の大きさに釣られ、ロスの人通りの多い場所で爆薬を使用して道路に
穴を開け、真っ昼間に強盗をやってのけるという大胆な計画を実行することに。

わずか数日で準備、メンバーは込み入ったプランをスタートさせたが、それが残酷な
ロシアギャンググループとの抗争に巻き込まれることになるとはつゆも知らなかった。
その頃、ジャックは絡み合った証拠の一つ一つを解きほぐし、ついにチームリーダーの
ゴードンにたどりつく。だがテイカーズが計画を実行するまでの時間は刻々と迫っていた」
(goo映画)

結局、ゴーストがロシアマフィアの情報を元にテイカーズと仕事をしてしまったことが
破滅の原因であったわけだけど。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-01-31 22:55 | 洋画=た行 | Comments(0)

用心棒

●「用心棒」
1961 日本 東宝・黒澤プロダクション 110分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎、仲代達也、山田五十鈴、加東大介、司葉子、河津清三郎、志村喬、
    東野英治郎、藤原釜足、沢村いき雄、渡辺篤、藤田進、夏木陽介他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
やはり時代劇の黒澤作品は面白いなあ。ユーモアも盛り込まれ、ストーリー、配役
演出、キャメラ、美術、音楽、エンターテインメントとしての映画のお手本のような
出来だ。どこか、何かが必ず動いている黒澤映画、本作も雨あり、風あり、望遠あり。
そしてシネマスコープのワイド画面をいっぱいに使い、並ぶやくざの対決構図も
迫力ある。またオープンセットの大迫力も、火災や穴の開く大きな酒樽などの
外連味もまた素晴らしい。カメラワークもダイナミックだ。

キャスティングでは、三船はもちろんだが、ニヒルな仲代、やり手のやくざの女房
山田五十鈴の怪演ぶりが素晴らしい。また、ドジなお笑い担当の加東大介、
この人だれ?と思わず乗り出した若き司葉子など、脇を固める黒澤オールスターズの
安定ぶりも、言うことない。相変わらずセリフが聞き取り辛いところはあるが・・。

音楽も、ちょっと大げさかな、とも思えるが、画面に合ったオリジナルはまた「映画
音楽」として素晴らしい。

黒澤自身、ダシール・ハメットの影響を強く受けた、と語っている通り、ハードボイルド
のセンスが光っている。殺陣も、市川昆「木枯らし紋次郎」に影響を与えただろう
様式美から離れた、リアルな斬り合いは、その効果音とともにダイナミックだ。

映画の素晴らしさを語るとき、外せない一作であろう。19本目の黒澤作品鑑賞と
なったが、時代劇では、これが一番かなあ。現代劇では「天国と地獄」か。
何回でも見られるエンターテインメントである。
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ストーリー、こぼれ話などはこちらのWikipediaをご参照ください。
by jazzyoba0083 | 2013-01-29 23:45 | 邦画・旧作 | Comments(0)

メタルヘッド Hesher

●「メタルヘッド Hesher」
2010アメリカ Last Picture Company,CatchPlay,Corner Store Entertainment,106min.
監督:スペンサー・サッサー
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ナタリー・ポートマン、レイン・ウィルソン、デヴィン・ブロシュー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
暴力と汚い言葉が飛び交うし、大麻も出てくるので当然ながらR15+。
しかしながら、面白かったという言葉が適当ではないが、面白かった。
すなわち妙に心に引っ掛かる映画で、引っ張られながらエンディングまで
一気にみた。邦題は微妙だなあ。ジョセフ・ゴードン=レヴィットの作品を立て
続けに3本(「ルーパー」「50/50」と本作)観たが、どれもキャラが違っていて
別人に見える。これからいっぱい出てくる俳優さんだろうな。

原題、ヘッシャーとは、よく分からない頭のねじが4,5本抜けちゃったような青年
の名前なんだが、つまりは、TJ少年、その父親、スーパーのレジ係のネーちゃん
それぞれの心の「怒り」「赦し」のメタファーであることは明確なので、つまり本作は
「寓話」映画ということになろう。
そりゃそうだよね。あんな滅茶苦茶な、しかも体の全面に頭を打ちぬく男、背中に
F○ck youの指が大きく入れ墨されている男なんていませんぜ。しかも日々何して
暮らしを立てているのか描かれないし。

母親を交通事故で亡くし、茫然自失、仕事もしないで引きこもる父、大破した
クルマに異常に執着、いじめっ子と対立するTJ、人生の方向を見失った
スーパーのレジ係の女性。それぞれが対面する様々な事象に対する一義的には
怒りのメタファーとしてヘッシャーは登場する。

ヘッシャーのやることはいつも突然で、暴力的。TJをいじめる子のクルマにガソリン
を掛けて燃やす、レジ係ニコール(ナタリー)の起こした事故の被害者にすごんで
撤退させる、スーパーでは汚い言葉を連発する、空き屋のプールに入り込み
やりたい放題、壊したい放題・・・。次第にTJの暴力志向も激しくなり、ヘッシャーの
クルマの窓に石を投げて割るに
および、ヘッシャーは子供を救うべくその場に来たオヤジも殴り倒してしまう。

TJは、いじめっ子をハサミで脅して聞き出したスクラップ場に忍び込んで
母の愛車を探して死にそうになる。

そんなヘッシャーだが、おばあちゃんには優しかった。だがそのおばあちゃんの
お葬式では、またしても汚い言葉を連発し、挙句の果てにその場でゲロを吐く
始末。だが、ヘッシャーは散歩したいといっていたおばあちゃんに最後の散歩を
させるんだ、といってお棺を外に持ち出す。それに手を添えるTJと父親であった。
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引きこもりの父親も新たに出直す決心をし、ヘッシャーは去っていった。
玄関には母のボルボが赤い鉄の塊になって置かれていた。屋根には
「Hesher was here!!」の大きな文字が・・・。

最初はなんてメチャクチャな野郎か、と思っていたが、だんだんそれが登場人物
たちの心のメタファーなんだ、ということが分かってくる。それが分かると
物語の中の説明が付かないことも、気にならなくなるのだ。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-01-28 23:10 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「シェルブールの雨傘 Les Parapluies de Cherbourg」
1963 フランス Parc Film,Madeleine Films,Beta Film.91min.
監督・脚本:ジャック・ドゥミ  音楽:ミシャル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーブ、ニーノ・カステルヌオーヴォ、マルク・ミシェル、エレン・ファルナー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ミュージカルも好きだし、ジャズプレイヤーとして、また「ロシュフォールの恋人たち」
「華麗なる賭け」を中心とする映画音楽作曲家としてのミシェル・ルグランは大好き
なんだけど、全編歌、というのはどうなのかなあ、と敬遠して今まで来た。

今回WOWOWで放映され観てみた。メインテーマとWatch what happensの2曲に
絡む部分は分かるのだが、そのほかのセリフが全部歌になっているのは、
クラッシックのオペラほどの完成度には至らず、ちょっと個人的には辛かった。
これを作った、という冒険は評価されるべきだろうが。

この映画は、ドゥミの独特の色彩美、浮世離れしたストーリーそれと、若い
カトリーヌ・ドヌーブの筆舌に尽くしがたい美しさを味わうべきものだろう。
ドヌーブは大学生の頃「マノン・レスコー」を見てその美しさに圧倒され、しばらく部屋の
壁にでかいポスターが貼ってあったなあ。

冒頭の雨が降るシェルブールのレンガ舗道、上空から消失点を持って描かれるシーンは
引き込まれた。全員吹き替え(ドヌーブはダニエル・リカーリ)であるが、口がよく合って
いる。

相思相愛だった青年が徴兵で2年間アルジェリアに行くのだが、ちょうどアルジェリアで
テロ事件が起き、この戦争が今のアルジェリアのありようにも通じているのだなと
感慨深かった。
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ストーリーはごく単純で、1957年11月から63年のクリスマスまでの6年間を描く。
シェルブールの街、自動車修理工の青年ギーと傘店を母娘できりもりしている女性
ジュヌビエーブは相思相愛。「ガソリンスタンドを持とう」「こどもは女の子で名前は
フランソワーヌ」などと夢を語り合っていた。
やがてギーは徴兵で2年間の出兵。最初は手紙が来ていたがやがて来なくなって
しまう。戦死したのかもしれない。そこへジュヌビエーブにアプローチをかける
お金持ちのパリの青年。しかし、ジュヌビエーブのおなかには青年の子がいた。

ジュヌビエーブはパリの青年のプロポーズを受けいれて結婚、傘屋も畳んでパリに移った。
ギーはケガをして連絡が取れなかったのだった。足を引きずって故郷にやってきた
ギー。ジュヌビエーブがパリの男と結婚した、と知り、自暴自棄になる。
しかし、そんなギーをずっと見つめていた女性がいた。青年は彼女の愛を受け入れ
結婚、夢を実現してガソリンスタンドの経営者になった。子供にも恵まれた。

そんな冬の雪の日。一台のメルセデスが給油に訪れる。なんと運転席には
ジュヌビエーブの姿が・・・。そして助手席には自分の子である男の子がいた。
名前はフランソワという。いまは結構な暮らしをしているらしい。

お互い幸せな姿を確かめて、ベンツは降りしきる雪の中を去って行ったのだ・・。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-01-24 22:50 | 洋画=さ行 | Comments(0)

●「50/50 フィフティ・フィフティ」
2011 アメリカ Summit Entertainment,Mandate Pictures.100min.
監督:ジョナサン・レヴィン
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン、アナ・ケンドリック、ブライス・ダラス・ハワード他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
個人的に難病モノはあまり好みではないのだが、全体に面白く観た。ただし、
ラストが明るいのはいいのだけれど、単純すぎた感じがした。
主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットが良かった。彼の醸し出す明るく前向きな
キャラクターが救いとなっている。また、彼を担当する新人カウンセラーの
アナ・ケンドリック、いつも冗談ばかり言っているようで実は親友のことを考えて
いるルームメイトのセス・ローゲンも(キャラ設定が陳腐ではあったが)良かった。

自分にとって一番大切な人はだれか、死に至る確率の高い病気を得たときに
その答えが分かるという骨子。家族、親友、患者仲間、そして恋人。どうしても
自分の殻に閉じこもりがちになる主人公に、周囲は暖かくエールを送る。
ギクシャクしていた両親とも、やがて雪解けが訪れ、それこそ自分のことしか
考えてない恋人と分かれ、やがてカウンセラーとの間に恋が芽生える・・・。

美しい恋人だが、整理整頓が苦手だったりして、また彼のことを心から心配して
くれている親友も、デリカシーに欠ける部分もあったり。母親だって。
もちろん潔癖症に近い綺麗好きの主人公自身も、決してパーフェクトな人間なんか
じゃないのだ。主人公は物語が進むにつれて、周りが以下に自分のことを
考えていてくれるのかを理解し、心を開いていくのだ。そのさまが明るく気持ちよく
描かれている。少々達観しすぎな感じはしたが。若い人はもっと感情の起伏が
激しいんじゃないかなあ、なんて思いながら見ていたけれど。

それにしてもアメリカの医者は、あんなにぶっきらぼうにがん宣告をするのかなあ。
ちょっとびっくりした。手術をしたアジア系の女医さんは良かったけど。
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<ストーリー>
「映画はフィクションだが、物語のベースとなっているのは、脚本家のウィル・
レイサーがガンを宣告され、それを克服した実際の体験。レイサーが2年かけて
仕上げた脚本を、かつての仕事仲間たちが製作に回り、映画化したのが本作だ。
“若者の難病モノ”を悲しくも美しく描こうとするありがちな作品とは違い、本作では
ガンを受け止めて生きていく青年の姿を、ユーモアを交えながら描いていく。
どちらかといえば地味な主人公アダムは、小柄(に見える)風貌もあり、日本にも
いそうなタイプで親近感が沸く。アダムを演じるのは、『(500)日のサマー』
『インセプション』『メタルヘッド』などで注目を浴びた、実力派若手俳優ジョセフ・
ゴードン=レヴィット。

 シアトルの公営ラジオ局で働く27歳のアダム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、
絵に描いたような律儀な性格だが、ガールフレンドで画家のレイチェル(ブライス・
ダラス・ハワード)は、アーティストのせいかマイペース。同僚で親友のカイル
(セス・ローゲン)も女好きでお気楽なタイプだ。

ある日、アダムは腰の痛みが治まらないので検査を受けると、「悪性神経鞘腫
 神経線維肉腫」、つまり「ガン」と診断される。酒もタバコもやらないアダムだが、
このガンは5年後の生存率が50%、転移後の生存率は10%という過酷な病気
だった。落ち込んでいてもしかたがないと腹をくくったアダムは、医師の指示に
従って抗ガン剤治療を受け、さらにセラピストのキャサリン(アナ・ケンドリック)の
診察を受けることに。まだ24歳でセラピーの経験が少ない彼女に不安を抱きつつ
アダムは前向きに病気と闘おうとするが、抗ガン剤治療は思った以上に過酷だった。

そんな中、スキンヘッドにしたアダムはアラン(フィリップ・ベイカー・ホール)やミッチと
いう患者仲間に励まされて病を乗り越えていく。一方、カイルはアダムと一緒に行った
本屋で美人店員に声をかけ、まんまとデートの約束をとりつけたところ、そのデート先の
ギャラリーでレイチェルが他の男とキスする現場を目撃してしまう。
これをきっかけにレイチェルは看病疲れを告白、ついにアダムも彼女との別れを決意
する。そんな折、病院にバスで通うアダムをキャサリンが送ってくれ、彼女と話していると
アダムはリラックスしている自分に気づく。
しかし、患者仲間のティムが息を引きとり、さすがにアダムも自分の余命をリアルに
意識し始めた。さらに彼は医師から、抗ガン剤が効いていない現実を知らされる。
大きくなった腫瘍は摘出手術を行わないと、転移の危険があるという。「自分が生きる
確率は50/50(フィフティ・フィフティ)。半分の確率に賭けるのもいいじゃないか」と
決意を固めたアダムは、愛する両親とカイル、そしてキャサリンに見送られ、手術台に
上るのだった……。 」(goo映画)

ネタバレですが、結局難しい手術は成功し、アダムは再び親友をダジャレを飛ばしあう
日々を迎えることができた。そこには寄り添う新しい恋人、キャサリンの姿が・・。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-01-20 23:10 | 洋画=は行 | Comments(0)

赤ひげ

●「赤ひげ」
1965 日本 東宝 185分
監督:黒澤明  原作:山本周五郎「赤ひげ診療譚」
出演:三船敏郎、加山雄三、山崎務、香川京子、団玲子、桑野みゆき、志村喬、二木てるみ
頭師佳孝、土屋嘉男、東野英治郎、笠智衆、田中絹代、根岸明美他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
これまで観た黒澤作品の中で一番長かった。インターミッション付の映画は久し振りだ。
長かったけど面白かった。迫力ありました。配役も綺羅星のごとく。
全体をいくつかのエピソードに分けて、赤ひげ(三船)が率いる小石川養生所の日々を
加山雄三目線で語っていく。
狂女~車大工佐八と女房おなか~蒔絵師六助と娘おくに~女郎屋の下働き、おとよと
4人の女中そして、長次。その間に、六助の臨終に関すること、メタボなお殿様、加山の
身の回りのこと、婚礼などのエピソードが挿入されていく。

各エピソードの中では車大工佐八(山崎務)と女房おなかのくだりと、女郎屋下働き
おとよと幼い長次の一家心中に至るくだりが良かった。役者たちは主役の三船を
筆頭に安定感のある配役ばかりで、安心してみていられた。特にやはり三船は
はまり役ともいうべき演技で、俗っぽさを持ちつつ清濁併せ飲む正義感あふれた
キャラクターを好演、初めて黒澤作品に抜擢された若大将加山雄三も、相変わらずの
滑舌の悪さではあるが、三船に反発しつつ、やがて三船の規格外れの人間性に
触れていくにつれ、医師としての意義に目覚めていく青年の成長を懸命に演じていた。
また、子役二木てるみと頭師佳孝(のちに「どですかでん」)の二人の天才的な演技に
は唸らせられた。

黒澤映画のダイナミズムともいうべき、巨大なオープンセット、カメラアングル
(フレーミング)、ドリーイン・ドリーバック、シルエットの効果的な使い方などなど
映像表現も満喫できる。
それにしても、黒澤作品というのは、画面の何かが常に動いているというイメージ
だなあと思う。人が動くのはもちろんだが、雨、雪、風、ほこり、光という物理的なもの、
カメラがトラックする、ドリーする、ズームする(これはあまりないか)、という風に
常に何かが動いているのだ。典型的なのは走る人や馬を追いかけてパーンする、
というものだろう。

wikipediaによれば本作は『黒澤映画における最後の「白黒映画作品」
「三船出演作品」「泥臭いヒューマニズム作品」』だという。
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この映画のストーリーやエピソードはこちらのwikipediaを参照ください。
by jazzyoba0083 | 2013-01-19 00:35 | 邦画・旧作 | Comments(0)

●「八月の狂詩曲(ラプソディー)」
1991 日本 黒澤プロダクション、フィーチャーフィルムエンタープライズ。(配給:松竹)98分
監督:黒澤明
出演:村瀬幸子、井川比佐志、茅島成美、吉岡秀隆、根岸季衣、リチャード・ギア他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
黒澤信者の方々からは怒られそうだが、個人的にはこれまで観た黒澤作品のなかで
一番納得がいかなかった作品だ。反核反戦はいいのだが、「生きものの記録」の
ようなパワーが感じられない。全体に古臭く、大時代的だ。学校の教育映画のようでも
ある。言いたいことは「家族」なんだそうだが、リチャード・ギアの出現も取ってつけた
感じ。 また、特撮に本田猪四郎を迎えたが、モクモクと湧く灰色の雲は、この時代の
特撮としては稚拙な感じだった。これでよく黒澤が納得したな、と。あれは雲じゃ
なかったのか??
全体として大仰ではあるのだが、村瀬幸子らキャストの演技は確かであった。
ラスト、暴風雨に傘をおちょこにして立ち向かい歩く村瀬の映像は、何かを言い表し
たかったのだろうけど、音楽と合わせて浮いた印象を受けた。
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<ストーリー>
「長崎から少し離れた山村に住む老婆・鉦のもとに一通のエアメールが届いた。
それは鉦の兄であるハワイの大富豪・錫二郎の息子・クラークからで、
不治の病にかかり余命短い錫二郎が、死ぬ前に鉦に会いたいというものだった。

ところが、兄弟が多い鉦には錫二郎という兄の記憶がなく、そんな鉦の気持ちとは
裏腹に、突然現れたアメリカの大金持ちの親せきに興奮した息子の忠雄、娘の
良江はハワイに飛んで行ってしまう。
それによって残された4人の孫・縦男、たみ、みな子、信次郎は夏休みを鉦の家で
過ごすことになった。

孫たちは鉦の家の生活に退屈しながらも、長崎の街にある戦争の傷跡や鉦が
いつも話す昔話を聞いて、原爆で祖父を亡くした鉦の気持ちを次第に理解する
ようになる。そして、鉦がついにハワイに行く気になり、縦男はその旨を手紙に
書いてハワイに送る。
それと入違いに忠雄と良江が帰って来た。手紙のことを知った二人は、その手紙に
原爆のことが書いてあることを知り、急に落胆する。アメリカ人には原爆の話を
してはいけないと言うのだ。
そんな時、突然クラークがハワイからやって来る。縁台で鉦と手を取り合って
対面を喜ぶクラークは「ワタシタチ、オジサンノコトシッテ、ミンナデナキマシタ」と
たどたどしい日本語で語った。
そして長崎で孫たちと楽しい日々を送っていたとき、錫二郎の死を告げる電報が
クラークのもとへ届き、クラークは急いで帰国するのだった。鉦も縁側で
その電報を握りしめていつまでも泣いていた。
そしてこの時から鉦の様子がおかしくなっていく。そして雷雨の夜、突然「ピカが
来た!」と叫びだし、翌朝、豪雨の中で鉦は風に揺られながら駆け出していく。
そして、そんな鉦を忠雄、良江、それと4人の孫たちはこみあげる熱い気持ちの
まま、泣き叫びながら追いかけていくのだった。 」(goo映画)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-01-16 22:50 | 邦画・旧作 | Comments(0)

宇宙人ポール Paul

●「宇宙人ポール Paul」
2010 アメリカ Universal Pictures ,Relativity Media,Working Title Films,Big Talk,104min.
監督:グレッグ・モントーラ 脚本:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト
出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジェイソン・ベイトマン、クリスティン・ウィグ、シガニー・ウィーバー
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
いや、面白かった!「モンティ・パイソン」や「ミスター・ビーン」に代表される
イギリス系の笑いとハリウッド系の笑いが上手く調和しているなと感じた。
スピルバーグ「未知との遭遇」「ET」へのオマージュだが、これだけ笑い飛ばすと
気持ちがいい。
また翻訳が苦労しただろうな、という台詞回し。「アタマいい笑い」だなあ、と。
芸が細かいところまで、ギャグが効いている。「未知との遭遇」で宇宙人を誘う
例の5音階とか。

CGの宇宙人、よく画面がシンクロし、口の動きもピッッタリ。まさに憎めない愛すべき
奴である。
また「エイリアン」へのオマージュであるシガニー・ウィーバーの登場にはニヤリである。
そして、円盤のドアで押しつぶされちゃって死んじゃうのもいい。だいたいこの手の
ハートウォーミング系コメディって、誰も死なない、としたものだけど、本作では
ポールを追いかけるエージェントやボスは次々とダイナミックな死に方をする。勿論
死体は見せないけどね。加えて、ラストで正体を表す、エージェントリーダー、これにも
ニヤリだね。 突然汚い言葉を口にし始める、隻眼のお嬢さんもいい味だねえ。

とにかくこのポールという宇宙人のキャラクターと練れた会話を楽しむべし! 宇宙へ
帰るとき、母船に向かって中々その場を動かない状況に「気まずいよねえ」なんて
言っちゃうの最高だよ!もう一度見るかも!

お勧めです!
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<プロダクションノート&ストーリー>
「『ギャラクシー・クエスト』『ファン・ボーイズ』など、SFコミックや映画のファンを題材に
した作品に、またひとつ傑作が生まれた。SFオタクの主人公2人を演じるサイモン・
ペッグとニック・フロストは、ゾンビ映画のパロディ『ショーン・オブ・ザ・デッド』、アメリカン・
ポリスアクションのパロディ『ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン!-』に主演して
きたコンビ。
今まではアメリカンテイスト全開のジャンル映画の舞台をイギリスに持ち込んでいたが、
本作では主に70~80年代のSF映画のパロディをふんだんに取り入れつつ、アメリカへ
の憧れとイギリス人らしい皮肉を全開。軸となるのはスピルバーグ映画『未知との遭遇』と
『E.T.』へのオマージュ。監督は、本作が初の日本公開となるのグレッグ・モットーラ。

 1947年、アメリカ、ワイオミング州のムーアクロフト。そこで暮らす幼い少女は、ある夜、
怪しい光を放つ飛行物体が愛犬に向かって墜落してくるのを目撃した……。
この不可解な出来事から60年。イギリス人のSF作家クライヴ(ニック・フロスト)とイラスト
レーターのグレアム(サイモン・ペッグ)は、世界中のマニアが集うイベント“コミコン”に
参加した翌日、レンタカーでアメリカ西部のUFOスポット巡りに出発。
その途中、ネバダ州のエリア51付近で1台の暴走車の事故現場に遭遇する。

恐る恐る車内の様子を窺うと、姿を現したのは、“ポール”と名乗る宇宙人(声:セス・
ローゲン)。地球を訪れた60年前、政府の秘密施設に拘束された彼は、解剖されそうに
なったところを逃げ出してきたのだ。故郷に帰るのを手伝ってほしいと頼み込むポール。
宇宙人にもかかわらず、長年の地球暮らしですっかりアメリカナイズされた毒舌と
フランクな性格のポールに驚きつつも、不思議な能力を持ち、人知れず世界中の大衆
文化に影響を与えてきた意外な一面を垣間見たことで、2人は徐々に打ち解けてゆく。

そんな彼らの前に現れたのは、ポールを捕えるために派遣された捜査官ゾイル(ジェイソン・
ベイトマン)。凄腕のゾイルは間もなく、クライヴとグレアムがポールの逃亡を手助けしている
ことを突き止める。
一方、ポール一行はひょんなことから、宿泊先のモーテルで働く敬虔なクリスチャンの
ルース(クリステン・ウィグ)を誘拐する羽目に。しかも、グレアムが彼女といい雰囲気に
なってしまう。ルースの父、モーゼス(ジョン・キャロル・リンチ)は怒り心頭。過激なキリスト教
原理主義者の彼はライフルを手にその後を追う。
ゾイルやモーゼスの激しい追撃を危機一髪のところでかわす4人。次第に固い絆で結ばれて
ゆく一行は、いよいよ目的地に到着。そこには、想像を絶する驚きの光景が広がっていた……。 」
(goo映画)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-01-15 23:10 | 洋画=か行 | Comments(0)

ルーパー Looper

●「ルーパー Looper」
2012 アメリカ Endgame Entertainment 118min.
監督・脚本:ライアン・ジョンソン
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント、ポール・ダノ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
★は6、5に近い7。終盤、家からピックアップトラックで逃げる母子、迫るブルース・
ウィリスという画面を見て、あ、やっぱりこれは「ターミネーター」から着想したに
違いないと確信した。
だって母の名前がサラだし。いい意味で「オマージュ」、悪く言えば「パクリ」。
未来からその未来を変えるべく誰かが送り込まれるという根本構造は「ターミネーター」
と同じ。それが30年後の自分と対面するというふうに置き換えられる。
「ターミネーター」は未来の英雄を殺すべく送り込まれるのだが、本作では、30年後の
自分は「ルーパー」システムを作り上げた悪の帝王を亡きものにすべく、子供を探すのだ。
そっくりではありませんか?
タイムパラドクスの世界では禁忌であったことに敢えて挑戦したことが「意欲的」と
捉えられ、アメリカの評判はいいようだが、そうかなあ。(-。-;
子供が超能力の持ち主、というのもちょっと・・・・。

全体の仕上がりとしては悪くないのだが、やはり2番煎じ感を拭えない。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットほかのキャストは良いよ。話が動き出す前半がたるい。
4箇所くらいまとめて経過を説明する長いセリフのゾーンがあるのだけれど、明らかに
説明の下り、という感じだったな。時間軸が行ったり来たりする割には、ラストに向けて
の展開はタイムパラドクスの割には理解しやすく仕上がっていることは宜しい。

中国人の妻は誰だったのだろうか?今から30年後という微妙に近い未来、服装とか
車とか美術が大変だったろう。空飛ぶバイクほかは今と変わんない車なんで、残念感は
ある。

期待は大きかったのだろう、小屋は小さかったけど、シネコンの朝一の回は、割と
高年齢の人たちを中心に賑わっていた。
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<ストーリー>
「殺すべき標的が30年後の自分というひねりの利いた設定と巧みな脚本が各方面から
絶賛されたSFアクション。主演は「インセプション」「ダークナイト ライジング」の
ジョセフ・ゴードン=レヴィットと「ダイ・ハード」のブルース・ウィリス、共演にエミリー・
ブラント、ジェフ・ダニエルズ。監督は「BRICK ブリック」のライアン・ジョンソン。

 2074年の世界ではタイムマシンが開発されていたが、その使用は法律で固く
禁じられていた。しかし、犯罪組織は違法なタイムマシンを利用し殺人を行っている。
なぜなら、その時代にはすべての人間の体内にマイクロマシンが埋め込まれ、
殺人が事実上不可能になっていたのだ。そのため、彼らはタイムマシンで標的を
30年前に送り、待ち構えている処刑人“ルーパー”に殺害を実行させていた。

2044年、ルーパーとして30年後の未来から送られてくる標的の殺害を請け負っ
ていた男ジョー。ある時、そんなジョーの前に標的として現われたのは、なんと
30年後の自分だった。一瞬の隙が生まれ、未来の自分に逃げられてしまう現代の
ジョー。ルーパーは処刑を失敗すれば、即座に犯罪組織に消されてしまう運命だった。
現代のジョーは、処刑を完遂すべく、すぐさま未来の自分の追跡を開始するのだが…。」
(allcinema)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2013-01-14 12:50 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

わが青春に悔いなし

●「わが青春に悔なし」
1946 日本 東宝 110分
監督:黒澤明
出演:原節子、大河内傳次郎、藤田進、杉村春子、三好栄子、河野秋武、高堂国典、志村喬他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
終戦直後にGHQの存在がある中、作られた、という点を考慮すべきではあるが、
軍の関与から解放され、黒澤本来の反権力思想と、戦後の新しい風が
一体となったドラマとなっている。「女性」という視点、「思想」と「恋愛」と
いう視点、「都会」と「農村」という視点などなど、計算されたプロットが
落とし込まれている。
また走る人をパーンしてそれを連続するカット、(後「七人の侍」などで黒澤が
映画に動きを与える手法として多様。)カットバックでの驚愕表現、効果的な
ズームバックやトラックバック、計算されたフレーミングなど、既に映像
表現家の巨匠としての手法が存分に展開される。
また同フレームで人物を次々とデゾり、顔の変化を出す手法などは
当時としてはユニークではなかったか。

後に所謂黒澤組と呼ばれる配役陣になる前の、大河内傳次郎、原節子、
藤田進らが出演し、三船敏郎以下の布陣を見慣れたものとしては新鮮。
原節子はバタ臭い顔をしているが、艶かしく上目遣いをする演技は
当時の観客を酔わせたことだろう。彼女が農村で鍛えられて、所謂「女権
拡大運動家」として成長するさまは、なかなか良かったが、両家の娘という
「甘さ」がどうも吹っ切れなかった。描き方が短絡過ぎたか。
全編に旧制第三高校逍遥の歌「紅もゆる岡の花 早緑匂ふ岸の色
都の花に嘯けば 月こそかかれ吉田山 緑の夏の芝 ...」が様々なアレンジ
で印象的に使われる。冒頭のシーンは吉田山のハイキングだ。

投獄されるまでの幸枝(原)の行動の煮え切らなさが長かった。
また、八木原の両親。父親(高堂国典)が何も仕事をしないでいて、女ふたりが
やっとの思いで仕上げた田植えを村人に台無しにされるに及び、怒りつつ
田んぼに出てくるというのは、何を言いたかったのかよくわからなかった。
野毛(藤田)と糸川(河野)と幸枝の3様の生き方が、学生時代、戦中、戦後と
変化していく様子を反戦というニュアンスで描いた、と感じた次第。
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この映画のストーリー等の詳細はこちらのWikipediaをご参照ください。
by jazzyoba0083 | 2013-01-12 22:50 | 邦画・旧作 | Comments(0)