●「L.A. ギャング ストーリー Gangster Squad」
2013 アメリカ Warner Bors.Pictures.Village Roadshow. 113min.
監督:ルーベン・フライシャー 原作:ポール・リバーマン「L・A ギャング ストーリー」
出演:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴスリング、ショーン・ペン、ニック・ノルティ、エマ・ストーン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
程度のいいB級映画、という感じか。面白かったけど。なんかどこか薄い感じが
付きまとう。<アメリカンな=薄いという意味>「アンタッチャブル」「LAコンフィデンシャル」
「ブラック・ダリア」というような感じで。ドキドキハラハラもあるのだが、どうも予定調和の
世界での展開で、もうひと捻り、とか「そこをもう少し深く」とかの手合いが感じられない
わけだ。 まあ、実話がベースなので脚色不足ということか。ショーン・ペンを始めとして
役者は揃っているのに、勿体なさが残った。主役のジョシュ・ブローリンは地味だけど
いい味であった。ゴスリングのチャライけど、義理深い青年、ギャングのボス、ショーン・ペン、
そして時代(第二次大戦後まもなく)の雰囲気があったペンの愛人エマ・ストーンと、
どれもキャスティングとしてはいいと思う。

結局脚本が弱いのと、演出の力不足というところで今一つの映画になってしまったのだ。
ただ、何度も言うけど、観終わって不快だとか、面白くねえ・・・とは思わない出来にはなって
いると感じた。
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冒頭、シカゴのチンピラを惨殺するところから始まるところは、ありがちなスタートであるが
掴みはOKでしょう。その後、LAを牛耳るユダヤ系ギャングのボス、ミッキー・コーエン(ペン)
を組織ごと滅亡させるため本部長から極秘の部隊を作るように命じられるオマラ巡査部長
(ブローリン)。
お腹に赤ちゃんがいるオマラの奥さんのアイデアで、不良ばかりの警官が集められる。
(「七人の侍」を想起されたかたも多いだろう) 拳銃の名手、盗聴の名人、など大戦直後の
雰囲気が漂うグループだ。 その中でも一匹狼のジェリーは、ボスの愛人と恋に落ちてしまう、
というおまけがつく。しかし、この愛人グレイス(エマ・ストーン)が最後はボスにとどめを刺す
ことになるのだが。

出動するときは警官バッヂを外してマシンガンをぶっ放し、ギャングの賭場やらキャバレーやら
競馬の胴元などを次々と破壊してまわる。最初の内、シカゴの逆襲か?と思っていたボス
だが、身内に裏切り者(グレイスの事)がいること、盗聴されていることに気が付き反転に
出る。警察が絡んでいることがバレて、オマラの家も銃撃にあったりするようになる。

やがてギャング側の勝利か、と思われたが、オマラの部隊は仲間を一人殺されたこともあり
ボスと対決を決心。彼らが泊まっているホテルにマシンガンで武装して乗り込むのだった。

一方、裏切りがばれて命を狙われたグレイスは、ボスの車の運転手でジェリーとも仲の良い
男に匿って貰うが、そこもばれてボスたちが乗り込んでくる。運転手はボスに殺されて
しまうのだが、一部始終を目撃してた。

ホテルでの攻防戦は一進一退だったが、遂にオマラはコーエンを捉まえ殴り合いとなる。
(コーエンは元プロボクサーだった)しかし、オマラにぶちのめされ、運転手殺し容疑で
逮捕されてしまった。その証言にたったのがグレイスだったのだ。
判事はコーエンに買収されていたが、盗聴から判事がコーエンらから女をあてがわれるなど
べったりだったことが判明し、それを録音したテープをネタにオマラから脅され逮捕状を
出したのだった。

そしてコーエン対LAPDの対決は終わった。その功績のあったオマラらの名前は決して表に
出てくることは無かった。オマラは家族を思い、警察を辞めた。ジェリーはグレイスと一緒に
なったが、警官を辞めることはなかったという。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-30 23:20 | 洋画=あ行 | Comments(0)

マーニー Marnie

●「マーニー Marnie」
1964 アメリカ Universal Pictures.129min.
監督・製作:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ショーン・コネリー、ティッピー・ヘドレン、マーティン・ガベル、ダイアン・ベイカー、ブルース・ダーン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
久し振りのヒッチコック作品。ショーン・コネリーは本作製作と同じ年にボンドシリーズ
第三作「ゴールドフィンガー」に登場、片や、ヒッチコックに見いだされたカトリーヌ・
ドヌーブ似(個人の意見)の美人、ティッピー・ヘドレンは前年に名作「鳥」でデビューした
ばかりの新人。ちなみに、ティッピーの娘がメラニー・グリフィス(今の旦那はアントニオ・
バンデラス)であったりする。お母さんの面影あるなあ。

閑話休題。本作の怖さはヒッチコックお得意のサイコスリラーであり、幼いころのトラウマ
から男性を愛せなくなり、盗癖がついてしまった悲劇の女性と、彼女を暖かく見守る
男を描いている。カメラワークなどいささかの古臭さはある一方で俯瞰を使った構成などは
上手い処理だなあとも思ったり。 ショーン・コネリーはどうもボンドにイメージが強くて。
逆にティッピーは美人なんだが、まだ2作目の映画で危なっかしさがまた映画の主人公の
危なさと重なって良かったと思う。なぜマーニーは赤に反応してしまうのだろうか、とか
盗癖はどう解決されていくのか、補償弁償は?警察送り?などなど最後はどうなるのだろう、
と気をもませつつ引っ張るのはヒッチコックの上手いところ。ただ、ショーン・コネリーが簡単に
マニーに恋に落ち過ぎかなあ、(まあ一目惚れなんだろうけど)という気がした。ただ彼の
作品中のマーニーに対する献身振りは良かったんじゃないかな。それとふてぶてしさとか
弱さを同時に演じなくてはならなかったティッピーだが、よく応えていた。ラストあたりの少女期
への退行現象などは観ていてちょっと痛々しかったけどね。最初ヒッチコックはマーニーの役を
グレイス・ケリーに頼んだのだそうだが断られたとか・・。
それとちょっと時間が長かった。風景といいイギリスの匂いがする映画でしたね。

本業の仕事をほとんどせずマーニーとの間に結構なお金(盗んだ金の弁償も含め)を使った
ショーン・コネリー、よほど会社経営にゆとりがあるのだろなあ。何を作っているのか分からな
かったけれど。
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<ストーリー>
R社にマーニー(ティッピー・ヘドレン)と名のる女が求職に応募した。面接したマーク
(ショーン・コネリー)は彼女が金庫泥棒であることを見破っていたが、彼女にひかれる
まま、雇うことにした。
やがて機会が訪れると、彼女は金庫から紙幣を盗み出し、いつものように遠い田舎の
農場に逃げた。だが、事情を見抜いていたマークが駆けつけていた。彼は彼女の盗癖を
彼女も意識しない隠れた原因だと考えていた。
彼は衝動的に彼女と結婚しようと決意した。2人は新婚旅行に出かけたが、彼が花嫁を
抱擁しようとすると、異常なおびえをみせて彼を避け、彼のどのような愛情の表現に対し
ても、身体を縮めてしりごみした。

旅行から帰った2人は外見上は夫婦らしく暮らしたが、実際は別々の寝室で過ごしていた。
そのうち、マーニーは彼女の過去のことを少しずつ喋りはじめた。過去5回ほど金庫破りを
していて、5万ドルを盗んでいた。その後も色々いやな事が起こり、彼女はマークと別れ
ようと決心した。彼女は先ず彼の事務所へ行った。金庫を開けたとき、彼がそばに来ていた。

いよいよ、彼女は彼を母親のバーニス(ルイス・レタム)に会わせねばならないことを悟った。
バーニスとの会見で、マーニーの常軌を逸した行動の謎が解けてきた。バーニスは昔娼婦だった。
マーニーが5歳の時、母親にいたずらした水夫を夢中で殺してしまった。以後、母親はその件を
秘密にし、マーニーには男を遠ざけて育てた。
マーニーは母親に対して何事かわけのわからない特別の恩を感じていたらしく、そのために
盗みを働き、母親に貢いでいたというわけだった。マーニーは初めて自分の行動を支配して
いた無意識の動機をさとり、自己破壊の精神衝撃から解放され、マークとの再出発の自信を
とり戻した。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-26 23:25 | 洋画=ま行 | Comments(0)

●「ダラス・バイヤーズ・クラブ Dallas Buyers Club」
2013 アメリカ Voltage Pictures,Truth Entertainment (II).117min.
監督:ジャン・マルク=ヴァレ
出演:マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レトー、ジェニファー・ガーナー、デニス・オヘヤ、スティーヴ・ザーン他
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<2013年度アカデミー賞主演男優賞、助演男優賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
オスカーを獲ったマコノヒー、20キロ以上の減量で別人のようだった。そのくぼんだ眼窩や
頬から発せられる生へのオーラは、やはり見ごたえ十分だ。事前知識なしで観たのだが
これはホントにあった話じゃないか、と途中で思えてきたのだが、ラストに主人公らのその後が
紹介され、実話に基づいた映画であることが分かった次第。したがってタイトルも、ちゃらけた
組織かな、と思っていたのだが、なんのなんの非常にシリアスな重い映画であったのだった。

オスカーで監督賞を獲った「それでも夜は明ける」もそうだけど、アメリカという多民族国家は
いい面ももちろんあるだろうが、偏見や差別を生みやすい土壌を持っているのだな、ということ
を改めて思い知らされる。またこれもアメリカ映画の主要なテーマである国家・組織対個人という
大きな戦いを勇気を持って取り組む人たち(偏見や差別もそうだけど)がいるんだな、という
ことも改めて思い知らされたのだ。

本作の主人公ロン・ウッドルーフはテキサスに実在した人物で、HIVに冒されながらも、理不尽な
政策を取る行政や巨大製薬会社に一人で立ち向かっていく。史実に埋もれたこういう人物を
掘り起こした本作の映画としての意義も大きいが、映画に命を吹き込んで主演と助演でオスカーを
獲った二人の俳優の存在があればこそ、その訴えるところの力強さも増したと感じるのだ。
HPを観れば脚本家のボーテンは1992年にロンに会っていて、映画化の話が出ているのだそうだ。

ただの不良のギャンブラーだったロンがHIVになったことで「生きる」ことに「生きる目的」を
見出す。その後の執念は物凄いエネルギーだ。やはり「生きる」ということは物凄いことなんだ
と子どもみたいなことだけど感じざるを得ないのだ。

演技だけでなく、脚本と監督のストーリーテリングや画作り(編集)、独特のカラーリング(色彩)と
総合芸術としての映画としてもいい仕上がりだと思う。これももう一度観てみたい作品だ。
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<プロダクションノート&ストーリー>
1985年、アメリカで最も保守的とされるテキサス州で、HIV陽性により余命30日と宣告された
男がいた。男の名前はロン・ウッドルーフ。同性愛者でもないのになぜ!?と怒りを周囲に
ぶつけるロン。『ジャイアンツ』『武器よさらば』などで知られる俳優ロック・ハドソンが実はゲイで
あり、エイズに冒されたという当時の報道は、驚きと共に、ゲイ=エイズという盲目的な偏見に
拍車をかけた。自ら宣告を受けたロンの反応も同じだった。
そこから、政府や製薬会社を相手取り、生きるためのロンの闘いが始まる。
主人公ロンに扮したのは、21キロ減量し難役に挑んだ人気俳優マシュー・マコノヒー。
ロンをサポートするトランスジェンダーのレイヨンには、監督やミュージシャンとしても活躍し、
俳優業から足を洗うと一時宣言していたジャレッド・レト。医師として、体制と個人倫理に
挟まれるイブを演じるジェニファー・ガーナーは、彼らの現実と我々の現実の橋渡しに欠かせ
ない“共感”を体現している。

男の名前はロン。ロデオと酒と女の日々をおくり、ある日ロデオで賭けをするが、負けると
金を払わず逃げ、その日暮らしのトレーラーハウスに戻った瞬間に、膝から崩れ落ちる。
病院のベッドで目覚めると、医師が彼に告げた。HIVの陽性反応が出て、余命30日である
ことを。
有名俳優のロック・ハドソンがエイズであることが公表され、同性愛者しかかからない病気、
そんな根拠のない噂が蔓延していた時代。同性愛者でもないのになぜ!?と納得できない
ロンは、図書館で新聞記事を閲覧し、情報を漁る。
そして自分はエイズであるという真実がつきつけられる。生きたい欲求にかられた彼は、
自分を診察した女性医師イブを訪ね、AZTという未承認の薬を処方してくれるように頼むが
、断られる。そこで彼はメキシコへ渡り、毒性の強いAZTではなく、アメリカでは未承認だが
効果がみこめる薬を国内に持ち込み、患者たちにさばき始める。
彼に慈善の心などなかった。素行が悪く、ゲイ・コミュニティーに嫌悪感を持つロンが、
販売ルートを広げるのは難しい。そこで彼は、美しいトランスジェンダーのレイヨンを仲間に
引き入れる。
日本をはじめ、世界中から仕入れた薬をさばくために考え出したシステムが
「ダラス・バイヤーズクラブ」だった。会費を募り、必要な薬を無料で配る。名目的に薬の
売買はない。その彼らの前に立ちはだかったのが、AZTを推奨し始めた医師たちと製薬会社に
政府。ロンは、弁護士を使い、 “個人の健康のために薬を飲む権利を侵害する”国の動きに
対して徹底抗戦の構えをとる。彼を見殺しにしようとする世界に対する戦い。
一人の男が、生きる権利のための戦いに挑んでいく。」(本作のHPより)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-25 14:45 | 洋画=た行 | Comments(0)

●「Life! The Secret Life of Walter Mitty」
2013 アメリカ 20th Century Fox,Samuel Goldwyn Films,Red Hour Films.114min.
監督・製作:ベン・スティラー
出演:ベン・スティラー、クリスティン・ウィグ、アダム・スコット、キャスリン・ハーン、シャーリー・マクレーン
    ショーン・ペン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
オスカーを賑わしたような超話題作ではないが、見終わって心地の良い佳作だ。
ラストをお話すると一番いいところがネタバレになるのでいいません。

ベン・スティラーが監督もプロデュースも務めているところを見るとこういう映画を創り
たかったのだろう。なかなか手堅く纏まっていた。いわば人生の応援歌みたいな
作品。そして、「人は誰もが誰かに影響を与えて生きている」ということを確認し
冴えない地味な人生、一人ぼっちの人生だと考えている人たちにエールを送る。
地味だってしっかり生きてきた人を神は、天は、周囲の人は、決して裏切らないんだよ!と
背中を押してくれるんだ。

妄想癖のある主人公の妄想がVFXで再現される迫力がなかなかいい感じだった。
また人生の応援歌である共に、謎解きドラマであり、冒険ドラマでありほのかな恋愛も
あったり。結構欲張っいる感じだが、散漫な感じはない。

「Life」という実際にあった写真雑誌がベースであるので、リアリティも感じられ、物語に
厚みを与えている。ショーン・ペン、シャーリー・マクレーンらの芸達者にも助けられて
クオリティの高い映画になったが、星が9つにならなかったのはどこかに薄っぺらさ
を感じてしまったから。何でだろう。面白い映画であるし、鑑賞後はいいし、ラストシーン
では不覚にもウルウル来てしまったのにだ。主人公を始めとする人物の掘り下げが
今ひとつだったからなような気がする。厳しい見方かもしれない。逆に言えばそれだけ
出来のいい映画だったということだと理解して欲しい。 
でも、しかし、ユーモアもたっぷりで、全体としては完成度の高いまとまりのいい心温まる
楽しい映画としてごらんになってみるといいでしょう。損はしませんよ。
ベン・スティラー、なかなかやりますね。 もう一度観たい映画です。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「『ナイト ミュージアム』シリーズなどで知られるベン・スティラーが監督・主演を務めた
人間ドラマ。出版社に勤め、平凡な毎日を送っていた男が、廃刊の決まった雑誌の表紙を
飾る写真を撮影した、世界を放浪するカメラマンを探すため、壮大な冒険に出る姿を描く。
現実と空想世界の境目がなくなったような不思議な映像にも注目だ。

ウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は、毎日、ニューヨーク郊外から地下鉄に乗って雑誌
「LIFE」のオフィスへ通勤、そこで地味な写真整理の仕事をしながら、何ひとつ変わりばえの
ない日々を繰り返している。
不器用な性格ゆえに人付き合いが下手で、密かに熱烈な想いを寄せている経理部の同僚
シェリル・メルホフ(クリスティン・ウィグ)に話しかけることもままならない。そんな彼の唯一の
趣味は、虚しい現実から逃避して突飛な空想に浸ることだった。

空想の世界では、勇ましいヒーローに変身して大活躍、また世界中のありとあらゆる場所で
胸躍るアドベンチャーを繰り広げることもできる。それがウォルターにとって退屈な日常を
やり過ごすための唯一の手段であった。
だが彼がふと我に返ると、厳しい現実が待ち受けていた。時代が要請するデジタル化の
波に抗えず「LIFE」は経営が悪化、新たなボスはリストラの対象としてウォルターに目を
つけていたのだ。

そんな中、ウォルターは「LIFE」最終号の表紙を飾る大切な写真のネガがないことに気付く。
クビを恐れた彼は、冒険家でもある著名カメラマン、ショーン・オコンネル(ショーン・ペン)を
捜し出し、直接ネガのありかを聞こうと決意。
こうしてウォルターははるばる北極圏のグリーンランドにやってくるが、あと一歩のところで
ショーンに追いつけず、波乱に満ちた旅の継続を余儀なくされてしまう。
空想の中で最愛のシェリルの助けを借り、ありったけの勇気を奮い起こしてアイスランドの
火山地帯を訪れるウォルター。しかし、突飛な空想をもはるかに超越したこの壮大なる現実の
旅は、彼の人生を一変させていくのだった……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-23 11:45 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

●「ファーザーズ・トラップ 禁断の家族 Veljekset」
2011 フィンランド Marianna Films.90min.
監督・脚本・製作:ミカ・カリウスマキ
出演: カリ・ヘイスカネン、ペルッティ・スヴェホルム、 ティモ・トリッカ、 エスコ・サルミネン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
曲者、カリウスマキ兄弟の兄の方の作品。彼の作品をちゃんと見たのは初めてかも。
日本未公開の作品を取り上げるWOWOWの「ジャパンプレミア」で鑑賞。
北欧の映画は何本か観ているが、なんか雰囲気が似ている。家庭の不和、人生模様を
暗く描くという感じだ。一応ジャンルは「コメディ」となっているが、笑えなかった。
だが、何というのだろうか、不思議と最後まで観ちゃうんだよなあ。それがカリウスマキの
また北欧映画のマジックなのだろう。 90分だし。

話は割と単純で、かなりの歳になった異母兄弟がオヤジの70歳の誕生日に久し振りに
集まるのだが、このオヤジが嫌な奴で、3兄弟ともそれぞれ別の理由で死んでほしいと
願っている。オヤジは三男の愛人を取り合う始末。おどろおどろしい家族関係の中で
遂に皆の念願かなってオヤジは死んじゃうのだが・・・。
「カラマーゾフの兄弟」をベースに作られたそうなんだけど、観終えて残るものの少ない
作品と感じてしまった。こういう家族もあるのだな、というくらい。

この作品に関してはwikipediaが詳しいので内容をコピーしておきます。
下記には映画の始めから終わりまでが書かれていますのでご注意ください。

<ストーリー>
「資産家のパーヴォには母親の異なる3人の息子がいる。堅物の次男トルスティは
召使いのようにこき使われてパーヴォの身の回りの世話をさせられている。家を出ていた
道楽者の三男ミティヤは映画の仕事の失敗で実家に戻って来ている。
そんなミティヤはカティヤという婚約者がいながら、レストランで働くロシア人女性ライサに
夢中で、そのライサを好色なパーヴォと取り合っているというありさまである。

パーヴォの70歳の誕生日に、長男イヴァルが25年ぶりに帰って来る。イヴァルをはじめ、
息子たち3人は自分の母親に対するパーヴォの酷い仕打ちからパーヴォを憎んでいるが、
パーヴォは無邪気にイヴァルとの再会を喜ぶ。
イヴァルはトルスティとミティヤからそれぞれ現在の状況を聞き、2人がどちらもパーヴォの
遺産を狙っていることを知る。3兄弟それぞれが複雑な想いを抱く中、パーヴォの誕生日を
祝う席がもうけられ、家族同然の友人である牧師のヴァルデマルをはじめ、ライサや
カティヤもやって来る。祝いの席でパーヴォがライサと再婚すると宣言すると、ミティヤは
激しく怒り出す。しばらくして、ようやくその場が落ち着いて来たところで、今度はイヴァルが
母親たちに対する仕打ちについてパーヴォを厳しく責め立てる。
するとパーヴォは心臓発作を起こす。トルスティは自分とパーヴォだけを残して他の者を
外に出すと、パーヴォの耳元で「そのまま死ね」とささやくが、実はパーヴォは心臓発作を
起こしたふりをしていただけだった。パーヴォに嘲笑されたトルスティはてんかんの発作を
起こしてしまう。

一方、イヴァルはカティヤからミティヤとのこれまでの経緯を聞かされる。
25年前、イヴァルは愛するカティヤがミティヤを選んだことで故郷を後にしていたのだが、
実は見ず知らずの男にレイプされて妊娠したカティヤを救うためにミティヤが全てを知った
上で自分の子だとしていたのだ。
イヴァルはミティヤに対するわだかまりを解く。そして、ミティヤがパーヴォの財産を目当てに
していると嘆くイヴァルに、カティヤは銀行の支店長をしている父親から聞いた話として、
パーヴォが実質的に破産状態にあると告げる。これで気が楽になったと言うイヴァルは
ミティヤにその事実を教える。すると、ミティヤは怒り出し、銃を持ってパーヴォのもとに
向かうが、目の前にいたヴァルデマルを殴り倒すと、正気を取り戻してライサと逃げ出す。

そこにトルスティが現れ、パーヴォを殺してしまう。家の中からうめき声がするのを聞いた
イヴァルが家に入ると、そこにはパーヴォの死体が横たわっていた。ミティヤの犯行と
思ったイヴァルがミティヤに問い質すと、ミティヤは脅しただけと言う。父親が死んだことを
知り、慌てて父親のもとに向かうミティヤの姿に、イヴァルは殺したのがトルスティだと気付く。

イヴァルがトルスティの部屋にやって来ると、落ち着いた様子のトルスティは父親を殺して
晴れやかな気持ちになっているとしながらも、ミティヤが疑われるはずで自分は発作のせいで
ずっと部屋で横になっていたと証言すると言う。また、イヴァルの「人間の命には虫ほどの
価値もない」との言葉が犯行の後押しになったと言う。その姿にイヴァルは何も言えない。

イヴァルが家の外に出ると、カティヤが小鳥の死体を見つけていた。イヴァルはカティヤと
2人で庭に小鳥の死体を埋葬する。そこにミティヤとライサが現れる。そこではじめて
イヴァルは「警察を呼ばなくては」と言う。」
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by jazzyoba0083 | 2014-03-20 23:10 | 洋画=は行 | Comments(0)

●「シュガーマン 奇跡に愛された男 Searching for Sugerman」
2012 スウェーデン/イギリス Red Box Films,Passion Pictures.90min.
監督・製作・撮影・編集:マリク・ベンジェルール
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<2012年度アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
昨年のオスカー、長編ドキュメンタリー賞を獲得し注目された作品。WOWOWのオスカー
週間に放映され録画していたものを鑑賞。短編映画なんかもそうだけど、この手の作品を
いながらにして見られるというのはありがたい。

アメリカではまったくの無名だったロドリゲスというミュージシャンの歌う曲は何故かアパルトヘイトが
吹き荒れる南アフリカに渡り、放送禁止歌になったりしたが大ヒットを連発することになり
伝説のスーパースターになった。しかし、その後舞台上で短銃自殺した、という噂を最後に
忽然と消えてしまった。その謎を本作のすべてを担当したマリク・ベンジェルールが丹念に
明かしていく。 

ネタバレになりますので、ここからは了解してお読みください。
結局、人間ドキュメンタリーでありながら、優れた謎解き作品であり、なおかつ、遂に居場所を
突き止めたロドリゲスという人物のキャラクターが素晴らしく、観ている人に「人生」を
感じさせるのだ。 アメリカでは全くの無名(私も当然知らなかった)の歌手が、何が縁なのか
南アフリカで反アパルトヘイトを象徴する歌・歌手として絶賛されていた・・(コンサートなどは
開かれておらず、単にレコードだけでのこと)。
マンデラの登場後、アパルトヘイトを辞めた南アフリカに、ロドリゲスは渡り、コンサートを
何本か開くのだが、すべてソールドアウト。戸惑い気味に歌う彼に聴衆は大熱狂するのだ。

彼の歌は確かに歌詞がユニークで独特。メロディーラインもいいものもあるが、びっくりする
ような名曲があるとは思えないが、その歌われた精神が当時の南アフリカではピッタリだった
のだろう。50万枚から100万枚は売れたであろうといわれる彼の2枚のLPだが、印税は
入ってない。

マリクは、ロドリゲスのアメリカのファンとともに、彼のその後を追う。なかなか難しかったが
歌詞の中に出てくるデトロイト郊外の街にヒントを得て、さらに探すと、ロドリゲスは今も
元気に生きていた。彼はお金や物に執着が無く、今でも家の解体や修理に仕事を得て
喰っているのだった。結婚して家族もある。40年間、デトロイト郊外から動いてないよ、
というのだった。彼から聞く話では、当時のレコードプロデューサーなどのファンから居場所を
突き止められ、その後南アでコンサートを開くのだが、その売り上げも家族や仲間に
分けてしまっていたのだ。

85分の作品は彼の音楽と、関係者のインタビューを中心に構成されるが、白眉は家族がビデオを
回した南アでのコンサートの模様の映像だ。

ある国では全くのそこいら辺のおじさんが、南アでは何万人ものホールを満員札止めにする
スーパースター。その落差。彼なりに一生懸命生きてきた人生が、別の人々に大きな影響を
与える。人生、捨てたものではない、どこで何があるか分からないのだ。そんなことを考え
されられた。しかもロドリゲス自体は昔となんらぶれていない。そこもこの映画の質を高めて
いると感じた。かっこいい男とはロドリゲスのような男のことなんだろう。久し振りに質の高い
ドキュメンタリーを観た。
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<プロダクションノート&ストーリー>
アメリカでは成功を収められなかったものの、南アフリカでは数々の著名ミュージシャンと
肩を並べる歌手シクスト・ロドリゲスに迫るドキュメンタリー。
彼の楽曲が世代を超えて支持される理由、また、自殺したとの都市伝説が残る彼の消息に
迫る。サンダンス映画祭ほか世界中の映画祭で上映されるや、話題を呼んだ一作だ。

1968年、ミシガン州デトロイトの場末のバーで、ロドリゲスという男が歌っていた。その姿が
大物プロデューサーの目にとまり、満を持してデビューアルバム『Cold Fact』をリリースする。
しかし将来を渇望されるも、2枚目のアルバムも含めて商業的には大失敗に終わる。

多くのミュージシャン同様、ロドリゲスも誰の記憶にも残らず、跡形もなく消え去った。
しかし運命に導かれるように海を越えた音源は、反アパルトヘイトへの機運が盛り上がる
南アフリカの地へ渡る。ロドリゲスの音楽は体制を変えようとする若者たちの胸に突き刺さり、
革命のシンボルとなった。
その後、南アフリカでは、20年に渡って幅広い世代に支持され続け、ローリング・ストーンズや
ボブ・ディランより有名なアルバムとなる。しかし、ロドリゲスがその後どうなったのかを、誰も
知らなかった。残されたのは、失意のうちにステージで自殺したという都市伝説だけ。
アメリカで無視されたロドリゲスの音楽は、なぜ同時代の南アフリカで熱狂的に受け入れられた
のか? ロドリゲスはどこへ行ってしまったのか? 南アフリカの熱狂的ファンがロドリゲスの
運命を探る調査を始めると、そこには驚くべき真実があった……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-19 23:10 | 洋画=さ行 | Comments(3)

●「最高の人生の選び方 The Open Road」
2009 アメリカ OddLot Entertainment,and others.90min.
監督・脚本:マイケル・メレディス
出演:ジャスティン・ティンバーレイク、ジェフ・ブリッジス、ケイト・マーラ、メアリー・スティーンバージェン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
この手の邦題が目につくなあ。区別が付かなくなっちゃうよ。原題とはおよそかけ離れた
タイトルだし。全体に嫌な映画ではないし、ハッピーエンドだし、いいんだけど、なんか
薄っぺらいんだな。親子再生を主軸にしたロードムービーなんだけど、みんな収まる
ところに納まってしまう結末と言い、ひっかかりが少ないのだ。
故に?日本未公開でWOWOWにて鑑賞。

オスカー俳優ジェフ・ブリッジス、奥方を演じるのも「メルビンとハワード」(’80 日本未公開)で
助演女優賞に輝いたメアリー・スティーンバージェン、ジャスティンの恋人に、個人的にな
好みの女優ケイト・マーラと、役者は揃っているのだが、脚本が弱いのだ。ジャスティンも
いくらマイナーとはいえMLBの選手にしては線が細い感じ。
心臓の手術を受けると言って、別れている旦那(ジェフ)を呼び出す奥方の関係、
父親と息子という一番肝になる軸の薄味加減、などなど登場人物の相関関係がどうも
あっさりしていて充足感に欠ける仕上がりとなってしまった。父親は結構物わかりが良かったり
でね・・・。
ただ、嫌な気分になる映画ではないし、基本、人間のいい面、暖かさを描いているので
のほほんと見るにはいいかもしれないです。ハイ。
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<ストーリー>
「マイナーリーグの現役選手カールトン・ギャレット(ジャスティン・ティバーレイク)は、往年の
名選手カイル・ギャレット(ジェフ・ブリッジス)の息子として注目され、それなりの成績を上げた
こともあったが、今期は絶不調のスランプ中である。野球選手としての岐路に立つ彼に祖父
アモンから母キャサリン(メアリー・スティーンバージェン)が心臓を患って入院したとの連絡が
来る。病院にかけつけたカールトンにキャサリンは、手術の前に遠く離れて暮らす元夫カイルに
会いたいので連れて来て欲しいと頼む。
自分と母親を捨てたカイルに複雑な想いを抱いているカールトンは抵抗感を覚えるものの、
母の頼みを聞くことにする。不安を感じる彼は元恋人で今は親友となっているルーシー(ケイト・マーラ)
に同行を頼む。

カールトンの予想に反し、思いの外あっさりと頼みを聞き入れたカイルだったが、身分証の入った
財布をなくした(実際には鞄に入っていたのだが、それを言い出せなくなっていた)ために、
飛行機に乗れなくなってしまう。仕方なく3人は車を使うことにする。
しかし、行く先々で自由奔放なカイルに振り回され続けたカールトンは、ルーシーとの仲も
ぎくしゃくしてしまう。

激しくぶつかり合いながらも、カールトンは何とかカイルを病院に連れて行くが、キャサリンは既に
手術に入っていた。家族らが見守る中、手術は成功する。キャサリンとカイルは久しぶりの再会を
喜び合う。カールトンは野球を辞め、かねてから希望していた作家に転身することを決め、
ルーシーとよりを戻す。そして晴れやかな気持ちで空港までカイルを見送ると、球場のロッカーに
ある私物をまとめて、ルーシーとともに球場を後にする。」(wikipedia)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-18 22:40 | 洋画=さ行 | Comments(0)

リッチーとの一日 Curfew

●「リッチーとの一日 Curfew」
2012 アメリカ Fuzzy Logic Pictures.20min.
監督・脚本・主演:ショーン・クリステンセン
他の出演:ファティマ・プタセック、キム・アレン
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<2012年度アカデミー賞短編実写賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
この手の映画をWOWOWは放映してくれるから助かる。おそらくは自分から
映画館には(上映していても)行かないだろうから。20分に満たない短編だが
非常に中身が濃い出来上がりとなっている。

文学にしろ、映画にしろ、「起承転結」「序破急」「めりはり」というのは大事なわけだが、
この映画にはそうした作法を踏まえた上で、人間の「喜怒哀楽」まで埋め込んで見せた。

トップカットはバスタブでカミソリを使って手首を切り、今しも自殺を図りつつある若い
男リッチー。バスタブのそばの電話が鳴る。しばらく無視するが、出る。(ということは
こいつ、あまり死ぬ気は無かったのかも)電話の相手は姉で、久々の電話だ。
どうしても娘を預かってもらわないとならない用事が出来た、普段ならあんたなんかには
頼まないのだが、今はあんたしかいないの、なんとかして、お願い、と懇願され、
自殺は中止。

血を洗い落として傷に包帯を巻き、姉の家に行き、ソフィアという5歳くらいの女の子を
一晩あずかることになった。この女の子がまた大人びていて、いい感じ。俳優としても
上手く、彼女の存在がこの映画の最大のポイントとなっている。
必要なお金を貰い、娘を連れて行っていいところだけを書いたメモを渡される。
そしてまずリッチーが向かったのがボーリング場。そこで女の子は音楽に合わせて踊り
出したりしてご機嫌だ。リッチーも何だか心がウキウキしてくる。次に自分の描いた
パラパラ漫画を見せる。素直に喜ぶソフィア。そして、店のトイレに入ったソフィアを
外で待っていると女が二人でかい声でおしゃべり。怒ったリッチーは、「子供が入って
いるんだから黙れ!」と一喝。そんなリッチーになついていくソフィアであった。

ケガをしているリッチーに「たばこは健康に良くないからやめろ」とか「彼女を作って
健康を管理してもらえ」とか母親のようなことをいう。リッチーも素直で屈託のない
ソフィアと接しているうちに、自分の中の何かが変わっていくことを感じていたのでは
ないか。

時間が来て、家に帰った二人。リッチーにサヨナラのハグをするソフィアにびっくりする母親。
帰ってきた母の顔にはアザがあった。どうやらDVに晒されているらしい。
そんな妹に対し、リッチーは、さっき自殺をしようとしていた人間とは思えない感動的な
言葉を掛けてあげたのだ。(兄妹が疎遠だったのはかつて預かったソフィアをリッチーが
落としてしまったことから)

そして家に帰って、バスタブにつかるリッチーは、また自殺を企てようとする。(おいおい!)
そこに電話。一度はケーブルを引き抜くが思い直して接続し受話器を取ると、妹の声で
「これからもときどきソフィアの面倒を見てくれない?」と。

「わかった」とリッチー。

もう彼が自殺を企てることは無いだろう。そしてドラッグからも手を引くだろう・・・。

そんな物語が20分で綴られる。短編故の深い思い入れが出来る作品だ。これを長編に
しようという計画があるという。止めといたほうがいいんじゃないか?これは短編だから
生きている話だと思うよ。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-16 22:00 | 洋画=ら~わ行 | Comments(0)

●「あなたを抱きしめる日まで Philomena」
2013 フランス・イギリス Weinstein Company,Yucaipa Films,Pathé,BBC Films,BFI.98min.
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ジュディ・デンチ、スティーヴ・クーガン、ソフィ・ケネディ・クラーク、アンナ・M・マーティン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
50年前に無理やり引き裂かれた我が子を探す老母、という単純なストーリーなのだが
そこに宗教特にカソリックの原理主義的な教義だけではない裏に隠された通俗的な理由に
よる親子の間の破壊という残酷性が浮かび上がる。
だが、硬い作品ではなく、オスカーノミニーにも輝いたジュディ・デンチの演技と相俟って
むしろ心暖かい気分で見終えることが出来た。短い映画だが、脚本が上手く、2時間程度の
映画の充実感を味わえた。邦題から推測できるようなお涙頂戴ではない。

以下、ネタバレなので、これから見られる方はお気をつけ下さい。

14歳の時に行きずりの恋で身ごもったフィロミナは、カソリックの附属病院で祝福されない
出産をするが、快楽のための性行為をした戒律を責められ(実はそれだけではないのだが)
赤ちゃんは3歳になると無理やりアメリカに養子に出されてしまう。
それから50年。ひとときとして我が息子を忘れたことのないフィロミナは、息子の50回めの
誕生日の日に一枚だけ残された古い写真を見つめていた。

彼女はその後結婚し娘もいたのだが、その娘が、写真を見つめる母を見て、「それは誰?」と
問うのだ。そして顛末を聞いた娘は自分の兄を探そうと、ある縁で知り合った
ジャーナリスト、マーティンと、息子の消息を探し出す旅に出る。マーティンのネットでの
検索の結果、息子アンソニーは、ホワイトハウスの法律顧問にまで出世していたことが
分かった。しかし、彼は数年前にAIDSで命を落としていたのだった。彼はゲイであったのだ。

息子の死、ゲイであったこと、母は淡々と受け入れ、ゲイの相手にも会いに行く。そして彼の
口から意外なことを聞く。アンソニーも実は母を探しにアイルランドに行っていたのだ。
だが、尋ねた修道院で、アンソニーは、シスターらから実母はあなたを捨てたのだ、と聞かされ
ていたのだった。愕然とするフィノミナ。一緒に聞いていたマーティンは激怒し、一緒に
イギリスに戻り、教会を訪ねる。そしてマーティンは当時のシスター・ヒルデガードを詰問する。
「純血を守ることで神に近づく。快楽のための性は悪である」という教義をがんとして曲げない
シスター。嫌悪するマーティン。しかし、その時フィノミナはいうのだ。「私は赦します」と。
なんと心の広い人であることか。マーティンは「私は赦しませんからね」というがそっちのほうが
普通だろう。しかも修道院は、養子縁組でお金を稼いでいたのだった。

ラスト近くの彼女の言う「赦す」という言葉がこの映画のすべてを表していると言えよう。

映画のタイトルに母の名前フィノミナが付いているとこからしても、彼女の持つ大きな心、
息子がゲイでAIDSで死んでも、修道院がカネ目当てでアンソニーをアメリカに売ったことも
カソリックさえ超えた大きな心ですべてを赦したのだ。彼女の心こそ、神のものであったのだ。
敬虔なカソリック信者ではあったが、母の心こそ、神の御心「あなたは既に赦されている」という
大義に叶うものだったのだ。

ラストに実在のフィノミナやマーティンの今が説明されるように、この話は実話が基になっている。
カソリックの嫌らしさがモロに出ているものの、それを上回るフィノミナの母性が感動として
上回っているのがこの映画のカタルシス。

脚本が素晴らしい。そして出演陣も渋いけどいい。やはりジュディ・デンチの険しい顔が実に
柔和になるところなどは白眉である。サスペンス、謎解きの要素も含んだ本作は、脚本のうまさと
ジュディの演技を堪能すべきであろう。
いい映画です。
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<ストーリー>
「イギリス。善良で信仰心が篤い田舎の主婦フィロミナ(ジュディ・デンチ)は、娘のジェーン
(アンナ・マックスウェル・マーティン)とともに穏やかな生活を送っていたが、ある日、50年間
隠し続けてきた秘密をジェーンに打ち明ける……。

1952年、アイルランド。10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは家を追い出され、強制的に
修道院に入れられる。そこでは同じ境遇の少女たちが、奉公人のように働かされていた。
フィロミナは男の子を出産、アンソニーと名付けるが、面会は1日1時間しか許されず、やがて
修道院は、3歳になったアンソニーを金銭と引き換えにアメリカに養子に出し、フィロミナは
「息子の行方を捜さない。誰にも息子のことを話さない」という誓約書に署名させられた……。

それから50年。フィロミナは、アンソニーのことをいつも気がかりに思い、密かに彼の行方を
捜していた。そしてアンソニーの50歳の誕生日に、初めてジェーンに父親違いの兄の存在を
明かしたのだった。事実を知ったジェーンは、母のために、あるパーティで知り合ったなんとも
頼りなさそうな元ジャーナリストのマーティン(スティーヴ・クーガン)に話を持ちかける。

愛する息子にひと目会いたいと願うフィロミナと、ジャーナリストとしての再起をかけたマーティンは、
アンソニーがいるアメリカへと向かった。一歩一歩、少しずつではあるがアンソニーに近づいていく
二人。だがそこで二人は思いもよらぬ事実を知ることになる……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-16 13:20 | 洋画=あ行 | Comments(0)

●「マリー・もうひとつの人生 La vie d'une autre」
2012 フランス・ルクセンブルグ・ベルギー Dialogues Films,and others.98min.
監督:シルヴィー・テステュー
出演:ジュリエット・ビノシュ、マチュー・カソヴィッツ、オーレ・アッティカ、フランソワ・ベルレアン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
日本未公開。WOWOWの「ジャパンプレミア」で鑑賞。よくあるタイムスリップものだが、
脚本がなかなかうまく出来ていて面白く観た。オチをどうつけるつもりだろう、夢オチだったら
許せない、などと経過を見守っていたが、最後はまあ夢でもいいか、と思わせるような
いかにもフレンチっぽいホンワカした余韻を多いに残した終わり方だった。

一目ぼれした青年の一夜を共にし、目覚めてみたら15年もの未来で目が覚めたマリー。
その記憶のない期間自分がどうなってきたのか全く分からない中を手探りで失われた
15年を探り出す。
投資会社の女帝と呼ばれ成功者となっているらしいが、どうやら嫌な女になっているらしい。
あれだけ愛し合って結婚したのだろう、漫画家ポールとは自分から離婚を言い出している
らしい。会社の役員に自分の愛人がいるらしい、ポールにも出版社の愛人がいるらしい、
15年前に介護状態になった父はすでに亡くなり今や別の男と暮らしている母と裁判沙汰に
なっているらしい、5歳のこまっしゃくれた男の子がいて、家のことは家政婦と、シッターに
任せっぱなしにしているらしい。親友の結婚式をすっぽかし以来絶交状態になっている
らしい・・・。etc。

仕事に目覚め、その世界で名を挙げ、功をなし、大金も得ていたが、どうやら自分は幸せとは
言いにくい状態であることが分かってくる。本来の自分はこんなんじゃなかったはずだ。
いましも別れてしまいそうな、最愛のポールに今の自分は本当の自分じゃない、昔の
自分を愛して欲しい、と必死で訴えるのだが、最初「変になったんじゃないか」と思っていた
ポールも次第にマリーの心の変化を感じるようになる。

15年前にはユーロもなく、クルマはリモコンでドアが開かず、携帯も無く、オバマって
誰?という状態。しかしマリーは結構強い心でタイムスリップした世界に挑んでいく。
そのあたりに多少の無理を感じるが、ある種のファンタジーなので苦にならず却って
微笑ましく映る。15年後の今を必死になって生きようとするビノシュの演技が大いにそれを
助けているといえる。
ただ、41歳になったビノシュが自分の姿を鏡でみて愕然とするのはいいのだが、その前の
15年前26歳の彼女の姿は、ちょいと無理があるなあ。。。

遂にポールはマリーが出会ったころの純真な女性に戻ったことを確信し、二人はまた
元の愛情に包まれるのだった。ベッドの中のシーンで終わっていくのだが、まあ、これで
目が覚めたら15年前に戻っていて、今のは全部夢だった、と言われてもそれはそれで
観る人に任せればいい、と感じた。私は戻らずにポールの愛情を勝ち得て、女帝のまま
やりきるんじゃないか、と見ましたが・・・。
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この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-03-15 22:50 | 洋画=ま行 | Comments(0)