<   2015年 03月 ( 21 )   > この月の画像一覧

ラブレース Lovelace

●「ラブレース Lovelace」
2013 アメリカ Millennium Films.93min.
監督: ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
出演:アマンダ・セイフライド、ピーター・サースガード、ハンク・アザリア、ジェームズ・フランコ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
R18+という指定が付いているので、ポルノの色が濃いのか、と思って見始めたが、
これが何と、リンダ・ラブレースというポルノ女優の壮絶な人生のドキュメント風映画だった
ので、アマンダが引き受けたのも頷けた。途中で止めようかと思ったけど、結末が
どうなるのかという興味で最後まで観た。

リンダ・ラブレースという女優さんを知らなくても「ディープ・スロート」というポルノ映画の
名前を聞いた方は多いだろう。本作は、そのリンダの栄光と、屈辱の半生記である。
悪い男に引っかかるのが悪い、というのは簡単だが、夢見る少女に地獄の思いをさせた
チャック・トレーナーという男はクズ中のクズだな。本来素直なリンダは、夫に従え、カソリック
では離婚は許されない、という母の言いつけを守ったが故に、瀕死のDVに苦しむ結果と
なるのだ。良かれと思った母の教育が皮肉な面に出てしまう。最後に和解はするのだが
ポルノ女優を娘に持った両親とその教育の結末が悲しい。

DVを描くなら題材はいくらでもあるじゃないか、と思うのだが、やはりリンダの生きた事実を
知ると、こういう人生もあったのだ、という思いは去来する。
まあ、ポルノに出るということが既に尋常ではないのではあるけどね。「人に歴史あり」という
側面で楽しめる映画ではあった。アマンダは裸を惜しまない体当たりの演技。
リンダは、夫のDVに苦しみ、一本だけ撮影した「ディープ・スロート」で有名になり、LAの
マリブに住み、ロースズロイスに乗る身分となるが、金の管理は全て夫であるチャック。
彼女は以降、映画には出ることはなく(と公式には言われるが獣姦などの作品には出されて
いたらしい)、夫と別れて別の男性と結婚し、子供ももうけ、それなりに幸せな生活を送り、
一方で自分のようなDVに苦しむ女性をこれ以上作りたくないと自叙伝を出版する。
彼女が撮影現場にいたのは17日間しかでなく、受け取ったギャラは1250ドルのみ。
しかし、一作のヒットで人生に烙印を押されてしまったのだ。リンダは頼まれれば
いろんなことで反ポルノ映画、反DVの講演をしていたそうだが、2002年、交通事故で
死亡した。54歳。

クソ夫のチャックはリンダと別れた後、これも有名なポルノ女優マリリン・チェンバースと再婚
するものの、リンダの死亡の3ヶ月後、心臓発作でこれまた死亡する。天網恢恢、である。
まあ、コカインを常習したりしていたから、遅かれ早かれだったのだろうけど。

本作は、リンダ・ラブレースという女性の壮絶な反省を目の当たりにし、こういう人生も
あったのだな、と思えばいいと思う。個人的には70年代ファッションと挿入される当時の
ヒットポップスが懐かしかった。ちなみに私は「ディープ・スロート」という映画を観たことが
ありません。
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<ストーリー>
「72年に全米で公開され、社会現象になるなど、史上最もヒットしたと言われるポルノ映画
『ディープ・スロート』。その主演女優であるリンダ・ラヴレースの数奇な半生を描く人間ドラマ。
『レ・ミゼラブル』のアマンダ・サイフリッドが“伝説のポルノ女優”を熱演するほか、ピーター・
サースガード、シャロン・ストーンらが脇を固める。

フロリダの小さな町に暮らすリンダ・ボアマン(アマンダ・セイフライド)は、敬虔なカトリック
教徒の両親のもと厳しく育てられた。そんな生活にうんざりしていたリンダは、ある日、
女友達と遊んだ帰りに地元でバーを営むチャック・トレイナー(ピーター・サースガード)と
出会う。チャックが寄せる甘い言葉に酔いしれた彼女は、すぐに彼と結婚。うぶなリンダに
チャックは一つずつセックスの手ほどきをしていった。
当初甘い面を見せていたチャックだが、次第に汚い部分を見せ始める。バーでの売春容疑で
逮捕され保釈金や多方面への借金を抱え金に困ったチャックは、リンダをポルノ映画に
出演させようとする。

こうして彼女はリンダ・ラヴレースという芸名でポルノ映画「ディープ・スロート」に主演。
作品は1972年に全米公開され、成人映画用の劇場だけでなく一般の映画館でも上映、
有名人やセレブ、女性たちもこぞって観に行き、一大センセーションを巻き起こす。
『プレイボーイ』編集長のヒュー・ヘフナー(ジェームズ・フランコ)やサミー・デイヴィス・Jr.からの
賞賛を受け、リンダは性革命のシンボルとして一躍スターとなる。

それから6年後、チャックと別れたリンダは自伝を出すために出版社を訪れる。メディアによって
作り上げられたリンダ・ラヴレースの虚像の裏で、チャックから日常的に暴力を振るわれても
逃げ出すに逃げ出せず虐げられていた日々があった。辛い過去と決別するために、そして
同じように苦しい思いをしている女性たちのために、リンダは当時のことを包み隠さず
正直に語る……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-03-30 23:10 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「博士と彼女のセオリー The Theory of Everything」
2014 イギリス Working Title Films.124min.
監督:ジェームズ・マーシュ  原作:ジェーン‥ホーキング
出演:エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、チャーリー‥コックス、エミリー‥ワトソン他
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<2014年度アカデミー賞主演男優賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<<感想>
本年のオスカーを賑わした作品鑑賞シリーズ、第3弾。シネコンは春休みのお子様たちで
大賑わい。本作は、中高年の男でそこそこに埋まった小さい小屋で。

本作に描かれているホーキング博士は世界的に有名な宇宙物理学者で、ALSを病んでも
なお、学究の情熱を失わない学者としては知っていたが、その背後にこうした感動の物語が
あったとは、元妻ジェーンが原作を書くまで知られていなかったのだろう。
映画にならないとしてもお話は感動的な実話であるので、本当は★9個献呈したいところ
だが、割り引いて8とした。原作に基づくとはいえ、感動的な出来のいい映画ではあった。個人的に
予想したとおり、ラスト辺りではウルウル来てしまった。

ホーキング博士の研究テーマである宇宙の始まりや時間の始まりなどの理論はさっぱり
判らないが、この映画は物理の映画ではなく、しっかり人間とその愛情を描いた作品であり、
ホーキング博士と妻ジェーンの人生と伴侶に対するスタンスが、並ではないので感動する
のであろう。
背景は宇宙物理学ではあるが、映画から伝わってくるのは、人間の強さ弱さ、友情や愛情の
強さであることを理解することは容易だ。特に大学時代に知り合い、ALSという難病を抱えた
夫を支えるジェーン、そのジェーンを信頼しつつも、自分の側から離してあげて、他の生活を
させようとするホーキング博士の人間性。支える友人、家族、子どもたち。その心のありようや
交流に胸が熱くなるのだ。

感動はラストシークエンスに怒涛の様にやって来た。アメリカ講演にさそわれたホーキングが
さりげなくジェーンに別れを切り出す、それに応じつつ決して彼への愛を棄てないジェーンの
姿。アメリカでの講演で「生きていればきっと何か希望がある」というホーキングの言葉、さらに
宇宙の出来事より素晴らしいとホーキングがジェーンに示す3人の子どもたち。「僕達が
生み出した素晴らしいもの」というセリフ。ここらあたりのたたみかけでもう涙腺が徹底的に
緩みます。宇宙の成り立ちを研究しているけど、心の底は実に人間らしく、神を信じないと
いうホーキングが、自らの子供を宇宙の創世よりも素晴らしいと語る姿に胸熱くならない
人間がいるだろうか。

繰り返すが、原作があるとはいえ、映画としての出来も極めて高いことは言うまでもなく、
エディ・レッドメイン(ホーキングに似ていたから選ばれたんじゃないか、と思える節もあるが)
を始めとするキャスト陣たちの抑制の効いた演技は、感動を倍加する。
ジェーンと、教会の聖歌隊指導者で、ホーキング一家を支え、やがてジェーンと想いを通わせる
ジョナサンとの関係や、ホーキング博士と介護士エレノアとの淡い恋心のような交流など
決して下品にならず、むしろ偉大な愛情物語に仕上がっているのは、素晴らしいと感じた。
「生を諦めず、愛情を信じるホーキング博士だから宇宙のことに想いを致せるのかも」とすら
思えてくるのだった。

蛇足だが、レッドメイン、オスカーを獲るいい演技だったのは間違いないけど、個人的には
「エニグマ」のベネディクト・カンバーバッチに軍配を挙げたいのだった。面白いことに、
2004年に、テレビ映画で、そのカンバーバッチがホーキング博士を演じているんだね。

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<ストーリー>
「理論物理学者として宇宙の起源の解明に挑むなど、数々の研究で現代宇宙論に多大な
影響を与えたスティーヴン・ホーキング博士。難病ALSと闘いながら、研究に打ち込む彼を
献身的な愛で支え続けた元妻ジェーンの手記を映画化したヒューマン・ラブストーリー。
『レ・ミゼラブル』のエディ・レッドメインが若き日のホーキング博士を演じる。

天才物理学者として将来を嘱望されていたスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)が
ケンブリッジ大学の大学院に在籍中、詩を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、
二人は恋に落ちる。
だが直後にスティーヴンは難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症、余命2年の宣告を受ける。
そんな彼と共に生きると覚悟を決めたジェーンは、一緒に病気と闘う道を選択し、やがて
二人は結婚、そして出産……。
自分たちに与えられた時間がどれほど貴重なものかを知る二人は、歳月を重ねるごとに増す
試練に強固な愛の力で立ち向かっていくが、時には壁に突き当たり、限界を感じ、自身の
無力さに打ちひしがれるのだった。しかし、刻々と悪化するALSとの闘病生活の中、
ホーキング博士は持ち前のユーモアで乗り越え、“車椅子の科学者”として最先端の研究を
精力的に行い、講演活動や執筆活動へ意欲的に取り組んでいく……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2015-03-29 15:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「リーガル・マインド~裏切りの法廷~ The Trials of Cate MacCall」
2013 アメリカSunrise Films (II),Pitbull Pictures,Sierra / Affinity.97min.
監督・脚本:カレン・モンクリーフ
出演:ケイト・ベッキンセイル、ジェームズ・クロムウェル、アナ・アニシモーア、ニック・ノルティ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
短い法廷映画で、それなりに楽しめたが、詰めが甘いというか、ダメダメ弁護士なのに
有能だと自他共認めている状況やら、最初に出てくる無実の黒人青年に関するエピソードの
中途半端加減やら、自分の子供の親権の問題やら、ちょっと詰め込みすぎで、ドンデン返しが
結構面白いのだけど、いい加減な法曹界メンバーが多すぎで、ホンマかいな、と思って
しまった。ほんとにアメリカの法曹界がこんなだったら戦慄だけど、悪い点を寄せ集めて
悪いことの集大成というような映画になってしまった。

主演、ケイト・ベッキンセイルもいいお歳になってきて、それなりに頑張っているが、設定が
アルコール依存症で、法廷に遅れてきて、保護観察処分の身、さらに子供の親権をめぐり
夫とモメている。更に、過去に有罪にした黒人青年が最新のDNA検査で無罪となるなど、
ダメ弁護士。でも周囲はキミは優秀な弁護士だ、っていっているんだよねえ。

そのダメ弁護士ケイトが、社会貢献プログラムで、指定された弁護。殺人で無期刑を
言い渡された女性が、自分は無実と言っているという。ケイトはノリ気がしなかったが、
更生の一環として引き受けることにする。そして、彼女に事情を聴くと、ろくな捜査も
せず、裁判では証言をでっち上げ、証拠を隠す、という検察と警察のお粗末な姿勢が
あきらかになっていった。裁判長もこれには激怒し、検察側を激しく叱責し、彼女を
釈放する。しか~し、なのである。無実を勝ち取った女性が、とんでもない食わせ物で、
(バカじゃ出来ないよなあ)、裁判で上手いこと嘘をついて、無罪を引き出したのであり、
はやり真犯人だったのだ。冤罪はむしろ警察や検察に行ってしまった。
さらに復帰した法律事務所では、ワシントンでの裁判で嘘に塗り固められた裁判で
勝利すれば共同経営者にする、という誘いを受ける。

これに反省したケイトは裁判長に相談しようとするが、この裁判長が食わせ物で、
ホテルの部屋を取ってケイトを食事に誘うという始末。
良心の呵責に耐えかねたケイトは、警察の名誉の回復をすべく、新しい裁判を立ち上げ
彼女を逮捕し、例の裁判長が自ら公判を回避するように仕向けた上で、再び有罪へと
持ち込む。共同経営者という誘いを蹴って、弁護士事務所を辞める。
しかし、娘の親権を争う裁判では、負けてしまい、娘は父親とシアトルに引越て
しまう・・自暴自棄になる寸前で、相棒の弁護士でお父さんのようなブリッジス(ニック・ノルティ)
のアドバイスで、再び自分を取り戻す努力を重ねるのだった。

展開はテンポよく、カタルシスもあるのだが、ちょっとストーリーに都合が良すぎる傾向があり
シンパシーを感じづらい。
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<ストーリー>
「弁護士のケイト・マッコール(ケイト・ベッキンセイル)は日々のストレスからアルコール
依存症に陥り、弁護士としてのキャリアと娘の養育権を失ってしまう。悲嘆に暮れる
ケイトだったが、彼女の良き理解者ブリッジズ(ニック・ノルティ)の支えで、更生の道を
歩み始めるのだった。
そんなある日、ケイトは殺人事件で有罪判決を受けた女性の弁護を依頼される。
だがその被告人レイシー(アナ・アニシモーワ)が犯人だという証言は揃っており、ケイトも
弁護士として勝訴する可能性はわずかだと感じていた。ところがレイシーは、自分は無罪だと
涙ながらに訴え続けていた……。

娘との関係を再び築こうと努力するケイトだったが、溝は深まるばかり。母として苦悩する
日々を過ごす中、弁護士としてのケイトも今回の事件に深く関与すれば、また同じ過ちを
起こすのではないかと逡巡する。かつてケイトは、ある事件で弁護を担当した被告人を
冤罪被害者として刑務所に入れてしまった過去を背負っていたのだ。
しかしケイトは過去の自分を払拭するため、また弁護士としてのキャリアと娘を取り戻すため、
事件の真相を追うことを決意する。調査を進めていくにつれ警察による証拠の偽装や、
供述の食い違いが明らかになり、ケイトの恩師であるサンプター裁判長(ジェームズ・
クロムウェル)も繰り返される証拠の隠蔽、偽証に憤りを感じていた。ケイトやレイシーに
とって状況が好転していく中、ついに最終弁論の日を迎える。だが勝利を掴むと思われた
ケイトだったが、1つの疑惑が浮かび上がり、さらに思わぬ展開が待ち受けていた……。」
(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-03-28 22:45 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「レイルウェイ 運命の旅路 The Railway Man」
2013 イギリス・オーストラリア Archer Street Productions,Latitude Media,Lionsgate.116min.
監督:ジョナサン・テプリツキー  原作:エリック・ローマクス『泰緬鉄道 癒される時を求めて』(角川書店刊)
出演:コリン・ファース、ニコール・キッドマン、ジェレミー・アーヴァイン、ステラン・スカルスガルド、真田広之
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
事実に基づいた話で、「戦場に架ける橋」のアナザーバージョンと言った風情。今の時代
だからこそ、見る価値がある作品だと思った。重いテーマであるが、当事者の一方は
日本人であるので、内容をしっかり受け止める覚悟と必要があるだろう。

クアイ川マーチでも有名な泰麺鉄道とその工事に当たらされた連合軍側捕虜の苛烈な扱いに
ついてはこれまでもいろいろな形で語られてきた。本作もその一環であるが、大きなテーマと
してあるのは、実話として存在した、イギリス兵と日本人憲兵の赦しの物語であることだ。

現在日本は、隣国と先の大戦についてまだゴタゴタしているのだが、許す側の寛容さ、
その寛容さを引き出す、加害側の心からの反省と詫びがなければ「赦し」は成立はしない、
ということが本作を見ているとよく分かる。特にラスト、真田広之が出てくる当りからその
テイストが色濃くにじみ出てくる。実際にあったこととはいえ、エリック・ローマクス中尉と、
憲兵永瀬のやがては友情に変わる「赦し」は、ありえないほどの苦痛を伴いつつも、深い心を
持った二人だから出来たのであろう。特に、苛烈な拷問を受けたエリックが、最後には永瀬を
見て許す下りはにわかには信じられない行動と思えるかもしれない。時が薬になっているのか、
またどんな時もエリックを支えてきた妻の存在が大きいのか。
これが国を代表する政治家同士となると話しはまた別のことにはなるのであろうが、通底する
心の持ちよう、つまり加害者と被害者のスタンスは同じだと思うのだ。
それが受け取れただけでも本作を観た価値がある。できれば日本人の多くに観て欲しい作品
だと感じた。

日本軍敗戦とともに逆に捕虜となった永瀬は、イギリス軍の質問に対し、自分は単なる
通訳であった、と嘘を言って、戦犯指名を逃れるわけだが、確かに厳しい言葉を投げかけては
いたが、上官の下にいて、指示に通訳しつつ見ていただけで、直接暴力を振るったわけでは
ない。その辺りに永瀬の人間性が垣間見ることができたような気がした。

もちろん日本軍によるイギリス兵の拷問シーンなどはあるが全体として抑制が効いた作風で
コリン・ファース、ニコール・キッドマン、真田広之など抑えつつも内心には様々な思いが去来
する人物を好演していた。映像の美しさも救いになっていたと感じたのだ。
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<ストーリー>
「英国人将校の壮絶な戦争体験や妻の献身的な愛をつづり、「エスクァイア」誌ノンフィクション
大賞に輝いたエリック・ローマクスの自叙伝をコリン・ファース主演で映画化したヒューマンドラマ。
第2次世界大戦時に日本軍がタイからビルマへの物資輸送のために計画し、多くの死者を
出した泰緬鉄道建設にまつわる悲劇がつづられる。

献身的な妻パトリシア(ニコール・キッドマン)と平穏な日々を過ごしているかのように見える
エリック・ローマクス(コリン・ファース)だが、胸のうちでは第二次世界大戦中に日本軍捕虜と
なったときの苦しみを引きずっていた。
彼は捕虜としてタイとビルマを結ぶ泰緬鉄道の建設に従事し、非道な扱いを受けていた。
その現場で通訳をしていた日本人・永瀬(真田広之)がまだ生きていると知ったとき、エリックは
激しく動揺する。永瀬はタイで戦争体験を伝える活動をしていた。決して癒えることのない辛い
思いが呼び起こされ苦しむエリックは、永瀬と直接向き合うために一人タイへと向かう……。」
(Movie Walker)


上記は概略であるので仕方がないが、映画では、エリックがなぜ戦時中のことを妻に語らない
のか、時々悪夢に苛まれるのか、戦友たちとの友情、そしてエリックと永瀬を合わせたい、
復讐をさせたい親友が、自らの命を断ってエリックに覚悟を促すなど、内容は結構苛烈である。
ラストシーンで当時の本人たちと、晩年、泰緬鉄道の鉄橋の上で撮影した二人のショットが
映しだされる。

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by jazzyoba0083 | 2015-03-26 23:15 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「グランドピアノ 狙わた黒鍵 Grand Piano」
2013 スペイン・アメリカ Nostromo Pictures.91min.
監督:エウヘニオ・ミラ
出演:イライジャ・ウッド、ジョン・キューザック、ケリー・ビシェ他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
いやはや、大変な映画だった。ピアノは好きな楽器だし、それに纏わるミステリー、
ということで観てみたのだが、まあ、荒唐無稽な展開に、思わず笑ってしまう。
もう、突っ込みどころ満載どころの騒ぎじゃなくて、突っ込みどころしか無い作品と
言える。漫画みたいなものなので、それ狙いで観ると結構楽しめる人も居るかも
しれない。

短い映画なのだが、背景がよく分からない。演奏不可能と言われたピアノ曲の
演奏に失敗し、5年間のブランクを経たピアニスト、トム・セルズニック(イライジャ)は
新進女優のエマと結婚することにより(どうして出会ったのかわからないが)、舞台
復帰を果たすことになった。演奏する楽器は、曰く付きのベーゼンドルファー。

不安を胸に満員の会場で演奏に臨むトムであったが、その譜面には、完璧に
演奏しないと、客席のエマを殺すどころか、お前の眉間に銃を打ち込むぞ、という
脅迫の文章が書き込まれていた。

結局、脅していたの犯人が錠前師のジョン・キューザックであり、彼は、ベーゼン
ドルファーに隠されていて、超難曲「ラ・シンケッテ」を引くことにより、中に隠された
鍵が出てくるという仕組みになっていて、トムに弾かせることにより、キーを手に入れ
スイス銀行にある大金をせしめようとした。(ピアノとガギとスイス銀行の関係は
見落としたか、分からなかった)故に犯人はトムに完全な演奏を求めて脅迫してきた
わけだ。ちなみにこの難曲を引けるのは二人であり、そのうち一人のトムの恩師で
「ラ・シンケッテ」の作曲者であるパトリックは前の年に亡くなっていた。さて、犯人の
目論見は果たせるのか!

そういう流れで映画は演奏シーンを中心に描かれるのだが、楽章の間に楽屋に
帰っちゃったり、耳に差し込んだ送受話器で犯人と話しながら完璧な演奏を
続けるとか、譜面の後ろに携帯を入れて、ピアノを弾きながらメールを打つ(!)とか、
アンコールの後に、妻に歌を歌わせるとか、話を転がすためだけに登場し、舞台の
トムから電話を受ける友人と女友達(二人共殺される)とか、難曲の譜面を捨てて
しまったので、ネットで演奏を聞いて、パンフレットに写譜して演奏するとか、
メチャクチャになったピアノを演奏したら、鍵が落ちてきた、とか、まあ、ありえないことの
オンパレードで大体、ベーゼンドルファーと鍵とスイス銀行の大金と難曲と犯人の関係がよく
分からなかった。

まあ、このところ味わったことのない、「びっくりする」映画だった!
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<ストーリー>
「若き天才ピアニスト、トム・セルズニック(イライジャ・ウッド)は、極度のステージ恐怖症に
陥っていた。音楽界の奇才と呼ばれたパトリック・ゴーダルーが作った演奏不可能の曲
「ラ・シンケッテ」は、世界中で彼自身とトム以外は弾けない難曲といわれたが、5年前、
トムはその演奏に失敗してしまったのだ。
世界的な人気女優である妻エマ(ケリー・ビシェ)に背中を押され、今は亡き恩師パトリックの
追悼コンサートで復帰することを決めたものの、すっかり自信を喪失したトムの頭の中は
ネガティブになっていた。大勢のファンが詰めかけたホールは4000人の観客で埋め尽くされ、
その中にはセルズニック夫妻の友人のカップル、アシュリー(タムシン・エガートン)と
ウェイン(アレン・リーチ)の姿もあった。

楽屋で恐怖にも似たプレッシャーと孤独を噛み締めたトムは、意を決して指揮者ノーマン
(ドン・マクマナス)とオーケストラが待つステージへ。用意されていたグランドピアノは、
恩師が遺した世界最高級ブランド、ベーゼンドルファーの“インペリアル”。演奏の滑り出しは
順調だったが、奇妙な矢印が描かれた楽譜をめくると「一音でも間違えたらお前を殺す」
「助けを呼んだら眉間を撃ち抜く」という赤い文字を発見。ライフルの照準器から発せられる
赤いレーザー光線を目の当たりにしたトムは、激しく動揺しながらも演奏を続けるのだった。

脅迫文の指示に従い、ピアノパートのブレイク中に楽屋へと駆け込んだトムは、カバンの
中に隠されていた無線受信機を耳に装着、すると正体不明のスナイパー(ジョン・キューザック)の
不気味な声が聞こえてきた。客席の最上部のどこかに身を潜めているスナイパーは、
もしもトムがおかしな行動を取れば、2階のVIP席に座っているエマを射殺すると警告する。
だがトムは第2楽章の演奏中、スナイパーの目を盗んでスマートフォンを操作、客席の
ウェインに助けを求める。
ところが、スナイパーの手下(アレックス・ウィンター)に妨害され、一縷の希望は打ち砕かれて
しまう。スナイパーの次なる要求はプログラムを変更し、あの因縁の曲「ラ・シンケッテ」を
演奏しろというものだった。スナイパーと手下の会話を無線で傍受したトムは、彼らの犯行
目的が「ラ・シンケッテ」の最後の4小節と、恩師の遺品であるグランドピアノの黒鍵に関係して
いることを知るが……。」(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-03-25 22:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「デッド・マン・ダウン Dead Man Down」
2013 アメリカ FilmDistrict,IM Global,WWE Studios.118min.
監督:ニールス・オルデン・オプレヴ
出演:コリン・ファース、ノオミ・ラパス、ドミニク・クーパー、テレンス・ハワード、イザベル・ユペール他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
妻子を殺された男の復讐譚とは映画の1つのジャンルになるくらい沢山の作品があるが、
これもそうしたもののひとつ。所謂B級だと思うのだが、そこそこは楽しめた。

絶望し復讐に生きがいを見出そうとする男と、絶望し、未来が開けない女の出会い。
それがお互いに共振しあって、一つの仕事にのめりこんでいくという単純なストーリー。
見どころは最後の銃撃戦か。 「困り顔」のコリン・ファース、「ミレニアム・ドラゴン・タトゥーの
女」のノオミ・ラパス。両者とも極めつけの美男美女じゃないところがリアリティ。
復讐相手となるテレンス・ハワードは、ボスキャラとしては「悪さ」が足らない感じだ。

プロットにはいささか強引さを感じるところもあるけど、このところヘビーかつ重量級の
作品鑑賞が続いていたので、時に息抜きにこういう作品も悪くない。

主人公ヴィクターはハンガリー人で、兵役の後、家族でNYに出てきたが、求めたアパートが地上げに
合い、追い出しを迫るギャングたち(アルバニア人が使われた)に銃撃を受け、妻子を殺された。
その時一味は家族全員を殺したと思っていたのだが、実は旦那は生きていて、彼らの
組織に入り、復讐のチャンスを狙っていた。

地上げ屋で殺し屋の一味、アルフォンス(テレンス・ハワード)と襲撃実行犯のアルバニア人の
元にはジグゾーパズルのような写真と、ターゲットとなっていることを示す写真が送られて
来ていた。(もちろん、ヴィクターの仕業)一方、マンションの別棟の同じ位のフロアに住んでいる
ベアトリス(ノオミ・ラパス)は飲酒運転のクルマに追突され、顔に大怪我を負い、引きこもりの
生活。そんななかで、向いのヴィクターが部屋の中で殺しをするところを目撃、携帯の動画で
録画してあった。

ベアトリスは、ヴィクターに接近し、秘密を明かし、自分の顔をこんなにした男を殺してくれ、
と依頼する。そうでなければ殺しをしたことを警察に言うぞと。そのころのベアトリスは
ヴィクターの秘密をしらない。やがて、心に闇を持ったもの同士が惹かれ合うのであるが、
ヴィクターは、一味を本部の倉庫に誘い出し、建物全体に仕掛けた爆弾を爆発させ、
自らも犠牲にして復讐を遂げるつもりであったので、ベアトリスに冷たく接した。

ヴィクターの殺された妻の叔父がなぜか知らないけど、武器の調達や裏世界の情報に
長けていて、ヴィクターの復讐に手を貸していた。

やがて、ヴィクターの正体が実はハンガリー人で、アルフォンスらが殺したと思っていた男で
あることを、ヴィクターと共に動いていた気のいい男に知られることになる。
ヴィクターはアルバニア人ボスの弟を拉致し、アルフォンスに捉えられたというビデオを
取り、それを宅急便でアルバニア人のもとに送り、仲違いを演出したかった。しかし、
ベアトリスは、その中身を入れ替えて、送ったのだ。彼女はヴィクターに死んでほしくなかった
のだ。そのヴィクターは彼女の依頼を実行したのだが、交通事故を起こした男を半殺しには
したが、殺しはしなかった。彼女が後悔するだろうと踏んだからだ。

やがて、アルフォンスにアルバニア人グループ加えたグループとヴィクターの最後の戦いが
始まる。たまたまヴィクターの家を訪ねたベアトリスはアフフォンス一味の捕らえられた。
そこに急行するヴィクター。ピックアップトラックごと、一味の本部である倉庫に突っ込み、
銃撃戦が始まる。重装備をしたヴィクターは次々を一味をやっつけていく。
捕らえられていたベアトリスは隙をついて逃げ出し、密かに持っていた、アルバニア人弟の
「アルフォンスの倉庫に捕らえられている」というビデオをPCで再生した。それを見た
アルバニア人兄は、アルフォンスに騙された、と思い込み、お互いを撃ち合い、相討ちとなる。

最後に残った一味の中の相棒に対峙したヴィクターは、彼に幼子がいることを知っていて
「お前が居なくなったら家族が悲しむ」と銃を向けることはせず、その場を去っていった。
地下鉄の中で固く抱き合うヴィクターとベアトリスであった。

叔父さんは強力な武器をどうやって手に入れたんだろう。殺したと思っていた男が
一味に潜入していたことは名前はもちろん変えてあったが、アルバニア人らには
ばれなかったのか。ベアトリスの加害者はその後どうなったのか。ベアトリスに預けた
SDカード入りの封筒を彼女は開けて、うさぎの尻尾のお守りに入れ替えてアルバニア人に
送ったのだが、封筒を破って別のものに入れ替えたのかな。などなど、いろんな細かい点の
不思議さはあるが、スピード感も手伝って、まあまあ楽しむことが出来た。
ノオミ・ラパスという女優さんは不思議な味わいを持った人だ。
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by jazzyoba0083 | 2015-03-24 23:15 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「それでも夜は明ける 12 Years a Slave」
2013アメリカ Regency Enterprises,River Road Entertainment,PlanB, New Regency.134min.
監督:スティーヴ・マックイーン
出演:キゥエテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ポール・ダノ
    ポール・ジアマッティ、ルピタ・ニョンゴ、サラ・ポールソン、ブラッド・ピット、ロブ・スタインバーグ他
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<2013アカデミー賞作品賞、脚色賞、助演女優賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
昨年のオスカーを賑わせた作品。いわばその年のナンバー・ワン映画と認められた作品だ。
あいにく劇場で見る機会を失ってしまい、アカデミー賞シーズンになるとWOWOWで放映される
受賞作品として鑑賞できた。

これまでにも黒人奴隷をテーマにした映画は沢山あったし、秀作もあった。それと本作の
違いは何なんだろうと想いながら観ていた。思うに、本作が事実に基づいて制作されたもので、
しかも、私も知らなかったが、「自由黒人」という存在と、誘拐してまで南部に売り飛ばす一味が
いたということ、それと苛烈を極める奴隷の扱い、それらが上手いこと融合したということなのだ
ろうと得心した。アメリカという国は、これまでの戦争や、奴隷制度などの自らの負の部分を
映画や文学にして世に問うことが当たり前であり、そうした自浄作用が、彼の国をして強くして
来たと感じるのだ。時代は下るが今年のオスカーにもノミネートされていた「セルマ」にしても
根深く残る人種差別を取り上げたものだ。

リンカーンにより「奴隷解放令」が出るまでまだ20年ほど掛かる時代であった頃、NY州
サラトガでバイオリン演奏者として活躍していた「自由黒人」のソロモン・ノーサップ氏が
奴隷売買商人に騙されて、南部に売り飛ばされ、以来、12年間もの長い間、奴隷としての
辛苦を舐めた経緯を記した自伝を元にしている。その頃のアメリカにおける奴隷のポジション、
黒人が黒人をどう見ていたのかなどが、ドキュメンタリーのように語られ、その重厚さは
流石だと思っった。
しかしながら、他の方のブログなどに書かれている「絶賛」とは、個人的にはやや距離を
置きたい気分だった。ブラピの突然の登場など不自然過ぎるマイナス面は置いておくにしても
何かもう少し心にズシンと来るものを期待していたのだが、ちょっと違う感じだった。

拉致されたソロモン氏の、なんとか生きたい、家族と会いたいという強い気持ち、学があるが
故に厚遇もされ、逆にいびられもする、時には主人に命じられ、仲間の黒人を鞭打つという状況は
私達には想像も出来ない。また黒人奴隷といっても一律ではなく、それぞれの事情を抱えている
という当たり前のことの提示、当然奴隷を買う方の白人とて、その事情や人間性は一律ではなく、
ややもすると、奴隷=悲劇、白人=悪という単純なステロタイプに収斂しがちなところ、本作では
黒人と白人の当時におけるさまざまな側面を描いてみせていて、その点には非常に感心させ
られた。
そのリアリティが素晴らしい一方、そのあたりも含め、既視感もあり、私の心のなかでは「流れて」
しまった部分もあったのだろう。

おそらくこれを製作しようとしたプロデューサーたちには、問題提起、というよりも、事実の
再認識と、事実が小説より奇である面白さを訴えたかったのではないか。

俳優陣は豪華である。主人公イジョフォーもいいし、オスカーの助演女優賞を獲得した
ルピタ・ニョンゴのそれこそ体当たりの演技も素晴らしいものであった。
印象的なシーンが一つ心に残ったのだが、終盤にある主人公の1分以上もあろうかという
ワンショットの動かない長回し。このスペースで観客は主人公の心の動きの来し方行末に
思いを馳せることが出来るのであろう。一見意味の無さそうなこの長いワンシーン、観た方は
どう捉えられただろうか。

冒頭のシーンの続きは映画開始から1時間15分位たったところに繋がる、という風に時制を
上手く使い分けたといえる一方、紛らわしさも感じたのも事実だった。
去年のオスカー、監督賞は「ゼロ・グラビティ」に行ったわけだが、個人的には作品賞も
同作品に上げたいと思ったのだった。
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<ストーリー>
南北戦争前の19世紀前半に実在した黒人男性ソロモン・ノーサップの自伝を映画化した
衝撃の伝記ドラマ。ニューヨークで普通の市民として自由な生活を送っていた主人公が、
ある日突然何者かに誘拐され、南部の農園に売り飛ばされた末に体験する想像を絶する
奴隷生活の行方を描く。
主演は「キンキーブーツ」「ソルト」のキウェテル・イジョフォー、共演にマイケル・ファスベンダー、
ベネディクト・カンバーバッチ、ポール・ダノ、ブラッド・ピット。
監督は「SHAME -シェイム-」のスティーヴ・マックィーン。

 ニューヨークに暮らす音楽家のソロモン・ノーサップは生まれながらの自由黒人。
妻子とともに、白人を含む多くの友人に囲まれ、幸せな日々を送っていた。だがある日、
2週間の興行に参加した彼は、興行主に騙され拉致された末、奴隷市場に送られてしまう。
自分は自由黒人だとどれだけ必死に訴えようが、無駄な抵抗だと悟るのに時間はいらなかった。
そして名前も人間としての尊厳も奪われ、奴隷として大農園主フォードに買われていく。
それでも農場では、その有能さを認められ、温厚なフォードに気に入られるソロモンだったが…。」
(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2015-03-23 23:20 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「グランド・ブダペスト・ホテル The Grand Budapest Hotel」
2014 アメリカ・イギリス・ドイツ Fox Searchlight Pictures,Indian Paintbrush.100min.
監督・(共同)製作・脚本・(共同)原案:ウェス・アンダーソン
出演:レイフ・ファインズ、F・マーレイ・エイブラハム、エドワード・ノートン、マチュー・アルマリック
    シアーシャ・ローナン、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドプラム
    ジュード・ロウ、ティルダ・スウィントン、ハーヴェイ・カイテル、ビル・マーレイ、トニーレ・ヴォロリ他
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<2014年度アカデミー賞作曲・美術・衣装デザイン・メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
「ライフ・アクアティック」などの独特のファンタジーと画作り、演出で知られるウェス・アンダーソン
監督の最新作で、今年のオスカーを大いに賑わした作品。オスカーが決まることはもう上映が
済んでしまっていて、見逃していた所、早々にWOWOWが放映してくれた。これは嬉しかった。

個人的感想としては、ほぼ「完璧」な作品。本年の上位を争うこと間違いのない作品だった。
この手のファンジーはティム・バートンも好きなのだが、特徴の分かりやすい画作り、演出、
美術は、現代の映画界にあって唯一無二のものと思う。
いわゆる「作り物」としての「映画」としての完成度が非常に高いのだ。特徴が全面に出るので
好まない人にはダメかもしれない。そういう手の作品だ。「ライフ・アクアティック」はダメだったけど
本作は、本当にいい。

架空のホテルが舞台ではあるが、所謂「グランド・ホテル」ものではなく、「昔々ある所に、著名な
ホテルがありました。そこには名物のコンシェルジュと彼に使えるロビーボーイがいました」という
回顧譚の中に、殺人事件やら、それにともなう遺産相続のゴタゴタがエピソードとして折り込まれ
スピード感もあり、ラストに向かっての謎解きの面白さも加わり、充実した出来となった。
ただ、詰め込みすぎ、という見方をする人もいるだろう。100分でこれだけ押しこむのだし、
セリフも多いので、字幕を追うのに苦労するかもしれない。

ストーリーの奇抜性、キャラクターの明確さ、ファンタジー性、時代風刺、でもわかり易さ、
画作りも水平移動のトラック、直角パーン、フレームインフレームアウト、ズーミングなど、
非常に計算されている上、プロダクションデザインがさすがにオスカーを獲るだけあり、とっても
素敵だ。
ホテル内部の文字の配置やレタリングなど細かい所にまで拘りが観られ、舞台と衣装の色彩の
計算などが極めて高度に計算され尽くされてあり、独特の台詞回し、編集のリズムなど、先にも
書いたが、「映画制作の参考書」のような感すらある。ただし、これも「クドい」「やり過ぎ」と感じる
人もいるだろう。でも、それを100分でとどめた感性も秀逸だったと思う。伏線の埋め込みとその
回収にもニヤリとさせられる。エンディングロールのコサックダンスのアニメまで含めて楽しむべき
であろう。

それにくわえて綺羅星の如く次々と出てくる名優たちの存在感。しばし「映画の中に遊ぶ」と
いう「一級のアドヴェンチャー作品」としての側面も大きい「エンターテインメント」として、
是非お勧めしたい映画である。
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<ストーリー>
「ヨーロッパ大陸の東端、旧ズブロフカ共和国の国民的大作家(トム・ウィルキンソン)が
語り始めたのは、ゴージャスでミステリアスな物語だった……。
1968年、若き日の作家(ジュード・ロウ)は、休暇でグランド・ブダペスト・ホテルを訪れる。

かつての栄華を失い、すっかり寂れたこのホテルのオーナー、ゼロ・ムスタファ
(F・マーレイ・エイブラハム)には、いくつもの謎があった。どうやって貧しい移民の身から
大富豪にまで登り詰めたのか?何のためにこのホテルを買ったのか?なぜ一番狭い
使用人部屋に泊まるのか?好奇心に駆られた作家に対して、ゼロはその人生をありの
まま語り始める。

遡ること1932年、ゼロ(トニー・レヴォロリ)がグランド・ブダペスト・ホテルのベルボーイと
して働き始めた頃。ホテルはエレガントな宿泊客で溢れ、伝説のコンシェルジュ
、ムッシュ・グスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、ゼロの師であり父親代わりだった。
究極のおもてなしを信条とする彼は、マダムたちの夜のお相手も完璧にこなし、多くの客が
彼を目当てにホテルを訪れていた。

しかし、彼の人生は一夜にして変わってしまう。長年、懇意にしていたマダムD(ティルダ・
スウィントン)が殺され、その遺言により貴重な絵画『少年と林檎』を受け取ったグスタヴが
容疑者にされてしまったのだ。ホテルの威信を守るため、謎解きに挑むグスタヴとゼロ。
コンシェルジュの秘密結社クロスト・キーズ協会(=鍵の秘密結社)や、ゼロの婚約者
アガサ(シアーシャ・ローナン)の力を借りて、大戦前夜のヨーロッパ大陸を飛び回る。
2人に迫る警察と真犯人の魔の手、そして開戦、果たして事件の真相は……?」
(Movie Walker)

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by jazzyoba0083 | 2015-03-19 22:20 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「チョコレート Monster's Ball」
2001 アメリカ Lee Daniels Entertainment,Lions Gate Films.113min.
監督:マーク・フォスター
出演:ビリー・ボブ・ソーントン、ハリー・ベリー、ピーター・ボイル、ヒース・レジャー、ショーン・コムズ他
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<2001年度アカデミー賞主演女優賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
このところ、見応えのある作品に出会えて、楽しい一方、色々と考えることが多く、
正直、疲れる。本作は今から14年前の作品になるのだが、ハリー・ベリーが何かで
オスカーを獲ったとは知っていたが、本作が該当作品であった。WOWOWでの鑑賞で
あったが、本来もっと過激なセックスシーンがあったと思え、それを「映倫再審査合格版」と
して放送されたもの。故に、当該シーンはイメージカットが多用され普通に見るような
ベッドシーンとなっていた。だが、本作の性格を考えると、主人公二人の激しい性交渉は
それなりに意味があるわけで、再編集してしまったことで、監督が訴えたかったことが
多少変形した恨みはあることは、鑑賞後に理解できる。(オリジナルを観ると4分位カット
されているようだ)

全般に暗い映画である。鬱屈された登場人物たちのカタルシスがあったのかなかったのか
ラストでもよく分からない部分もある。でも、人は誰かに大事にされたいと願い、それに
応える大事にしたい、という気持ちの交流から、愛情に溢れた幸せな生活が獲得できるのだ、
ということを貧富の差を超えて、訴える力を持つ作品ではある。
ラストで、ハリー・ベリーは、自分を大事にしてくれる男が、夫の死刑執行に立ち会った刑務官
であった(彼の息子も)ことを知り、涙を流すが、その涙は何だったろうか、刑死した夫は画が得意で
ハンクとソニーの似顔絵も描いていて、それをハンクの家で発見するのだが、夫とハンクらの
心の交流を知り、安心して涙したのだろうか。私は一瞬、夫を殺して私を囲い者にした、と、復讐に
出るのではないか、とハラハラした。ハンクと外の階段で並んでアイスクリームを食べ、少し笑顔に
なるのだが、その笑顔は心からの笑顔では無いように感じたのだが、どうだろう。彼女なりの
折り合いを付けた感じがしたのだが。

親子3代で刑務所の看守をしてきた男たち、主人公ハンク(ソーントン)と息子ソニー(ヒース・
レジャー)、それと病気がちで酸素ボンベが手放せない老父バック。同じ職業に着いてきて
それなりに誇りを抱いてきたのだが、お互いを尊敬し、愛しているか、というと、南部男の習性
なのか、お互いに屈託を持ち暮らしている。3代の親子関係に愛情とか親密さは感じられない
寂しい状況になっていた。

そんな折に、ハンクとソニーが勤める刑務所で、ローレンス・マスグローブという男の私刑
執行が行われた。母親に似て、繊細で心優しい息子ソニーは、電気椅子に連行する際に
吐いてしまう。死刑囚の最後を汚した、と父親は激怒、所内で暴力を振るい、止めに入った
黒人看守を差別する汚い言葉を吐いた。これは老父譲りの南部男気質なのだろう。

ソニーは家に帰ってからも父や老父から責められ、ついに切れてしまい、父を殴り銃で
脅し、「オヤジはボクを嫌いだろう」と聞く。ハンクは「嫌いだ。ずっと嫌いだった」と言うと、
ソニーは、「ボクはオヤジを愛していたよ」と言うと持っていた銃で胸を撃ち抜いて自殺して
しまう。

この事件はハンクに衝撃を与えた。ソニーに言われたことで、自分が父として人として間違って
いたと気が付き、刑務所を辞める。老父には「愚かな判断だ」と文句を付けられる。

一方死刑囚の妻、レティシアは10歳くらいの男の子と、厳しい生活にさらされていた。
アパートは30日以内に出て行けと言われているし、勤めていたダイナーもクビになり、
ようやく新しいレストランでウエイトレスとして働き始めた。そこにいつも来ていたのが
ハンクであり、いつもチョコレートアイスクリームとコーヒーを注文していく。

ある雨の夜、レストランに来ていた息子と歩いて帰ろうとしたレティシア。息子がクルマに
ひき逃げされてしまう。そこにたまたま帰り道だったハンクがクルマで通りかかる。
必死に助けを求めるレティシアであったが、黒人らしいこともあり一瞬通り過ぎるが
やがて、バックして二人を救助し、病院に搬送する。レティシアの息子は傷が酷く、
病院で死亡してしまう。 彼女がよく行くレストランのウエイトレスとも気がつかない
ハンクだが、自分も息子を失った直後でもあり、警察の依頼もあり、彼女を家まで
送って行くことになる。

その後、ハンクとレティシアは急速にその中を深め、体を求め合う間になっていく。
ハンクは刑務所を止め、ガソリンスタンドを購入し、自営をすることにした。
その間、レティシアのクルマが壊れたことから、ハンクは息子ソニーの乗っていたトラックを
彼女に与える。最初は警戒していたレティシアだが、ハンクの真面目な接し方に
心を開いて行くのだった。お互いに心に空いた穴を埋める必要があったのだ。

ある日、レティシアがハンクにお礼をしたくて、上等なテンガロンハットを買い、それを
持って自宅に行ったが、たまたま用事で不在で、老父が対応した。老父はレティシアに
向かって、「ハンクのガールフレンドか。黒人の女とヤってこそ男だ」と口走った。
これを聞いたレティシアは、ハンクもそういう気持ちだったのか、と誤解し、直後に
やってきたハンクを無視し、帰ってしまう。しばらくレティシアはハンクを寄せ付けない
態度であった。しかし、レティシアがついにアパートを追い出され、荷物を前に家の前で
途方にくれているところをハンクが通りすがり、家に案内する。

そのころ、オヤジがレティシアを怒らせたことが原因となり、ハンクは老父を老人ホームに
預けることにした。ホームの担当が「お父様を愛していらっしゃるのね」と声を掛けると、
「愛してなんかいません」ときっぱりと言い切るのだった。彼は彼なりに父親の抑圧に
苦しめられて来たのだ。それを息子ソニーの自殺でしみじみと理解することになったわけだ。

ハンクは家中の壁を塗り替えて、レティシアを迎え入れ、「大事にするよ」とささやくのだった。
お互いに大事にしたい、大事にされたい、と思う同士だったのだ。それに至るまでは大きな
犠牲を払ってきたのだ。ベッドを共にした後で、ハンクはアイスクリームを食べたい気分だ、と
クルマで買いに出かける。その間に、息子ソニーの部屋に入り、刑死した夫が描いた二人の
似顔絵を見つける、という前に書いた所に戻るのだ。アイスクリームを買って帰ったハンクと
レティシアは外の階段で並んで食べ始めた。欠けてしまった人生の一部を二人で埋め合う
作業を始めようとするかのように。彼が購入したガソリンスタンドは「レティシアの店」と
名付けられていた。

刑務官一家の3人の親子、そしてレティシアと交通事故死する息子のそれぞれの親子関係と
その喪失。そして再生。そのあたりが重い空気感の中に、じわじわと伝わる作品であった。
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by jazzyoba0083 | 2015-03-17 23:15 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 Nebraska」
2013 アメリカ Paramount Vantage.115min.
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ、ジューン・スキップ、ステイシー・キーチ、ボブ・オデンカーク他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<評価>
昨年のオスカーに6部門でノミネートされ評判になった映画。あえてモノクロ作品とし、
どこかオフビート感覚も漂う独特の味わいを持った作品だ。私は好きですね。
頑固親父と真面目息子のロードムービーで、ストーリー的に驚くことはなにもないのだけれど、
登場人物たちの「人間味」が実に面白いし、見る人は、登場人物たちにさまざまな形で
おのれや、だれそれを投影し、映画に入り込むことが出来るであろう。

いい男、いい女は全く出てこず、ほとんどが老人たち。しかし、彼らの持つ人間味の興味深いこと
といったら。 あえてモノクロにし、老醜を薄め、色の持つ意味合いを消したことで、彼らの
人間味が、更に際立つ効果を生んでいる。

主演のアル中にしてボケが始まっている老人、ブルース・ダーンは、もう演技しているとは
思えないほどの入りこみ様だ。彼に増して傑作だったのが、彼の口うるさく下品な妻を
演じたジューン・スキップの傑作ぶりも楽しい。下品と言っても老人なので嫌らしさは漂わず
滑稽で哀愁を感じる。加えて、天然記念物ものの次男坊デイビッドの存在。彼がいなければ
老人たちの人間味が際立たない。かくして、何とも不思議というか滋味深い映画が出来上がった。

日本でも最近でこそ見なくなったが、突然自宅に送られてくる高額賞金が当選しました、という
手紙。モンタナ州に住むウディ・グラント老人にも、そんな手紙が舞い込んだ。これを彼は
信じて疑わないのだ。家族がいくら言っても、100万ドルを取りに行く、という。
オーディオ店の店長をしている次男デイビッド(ウィル・フォーテ)も、最初のうちは、絶対に
詐欺だから行っても無駄だ、と聞かない。ついにデイビッドは、「ならば一緒にネブラスカまで
行って、実際に外れていることを分からせてやろう」と旅に出ることにしたのだ。

途中で、老父の生まれ故郷で親友や親戚達に会うのだが、彼が100万ドルを当てたと聞くと、
途端に「過去に金を都合つけていたから返してくれないかな」などと、いやらしい面をもろ出しに
してくる。これに対して真っ向からタンカを切るのが、口汚い老母のケイトだった。このあたりは
面白かったなあ。「あんたらからしてもらった以上を返しているよ、ちゃんとメモしてあるんだ、
あんたらなんか、おっちんじまえ!」と親戚縁者に言い募るのだからね。

レストランに入った時のオーダーの仕方とか、細かい所に人間性が出るように塩梅されていて
観ていて微笑ましいというか、なるほどねえ、と思ってしまう。

こうしてすったもんだとありながらも結局は手紙を出した元に行くのだが、当然「ハズレですね」と
言われ、記念に「プライズウィナー」と書かれたキャップを貰って帰ることに。老父もその辺りは
粛々としたがうのだ。

で、次男がなんでそんなに大金が欲しいのだ、と聞くと、トラックとコンプレッサーが欲しいという。
免許もないじゃないか、と聞くと、「お前らに何かを残してやりたいのだよ」とつぶやく。父として
ずっとアルコールに溺れてろくなこともしてやれなかったと彼自身自分に心残りがあり、それが
当選金で、二人の息子に何か残せるものを・・・と考えていたのだ。この辺りはジーンと来る所。

おやじの考えがわかった次男は、帰り道、中古車センターに寄って、乗ってきた自分のスバルを
売り、5年落ちのまだ新しそうなピックアップトラックを買い、更にホームセンターに行ってコンプ
レッサーも購入、それでモンタナまで帰ってきた。オヤジに運転させ、仲間たちに注目を浴びる
ような道を走って・・・・。

何とも回りくどいのだが、父と息子の心が通った瞬間を目撃し、いい気分になれた。
映画のタグライン「回り道がもたらした人生最高の当たりクジ」は、いいえて妙だ。
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<ストーリー>
「サイドウェイ」「ファミリー・ツリー」のアレクサンダー・ペイン監督が、怪しげな当選賞金を
受け取るべくネブラスカへと向かう年老いたガンコ親父と、その旅に付き合うハメになった
息子が繰り広げる珍道中の行方を心温まるタッチで描いた全編モノクロによるハートフル・
ロード・ムービー。主演は本作の演技でカンヌ映画祭最優秀男優賞に輝いたブルース・ダーン、
共演にウィル・フォーテ、ジューン・スキッブ、ステイシー・キーチ。

 アメリカ北西部のモンタナ州に暮らす老人ウディ・グラント。ある日、100万ドルの賞金が
当たったという、どう考えてもインチキな手紙を受け取る。ところがウディはそれを信じ込み、
はるか遠くのネブラスカまで歩いて賞金を受け取りに行こうとする始末。息子のデイビッドは、
周囲が何を言ってもまるで耳を貸さない父に根負けし、無駄骨承知で彼を車でネブラスカ
まで連れて行くことに。そしてその道中で、ウディの生まれ故郷に立ち寄る父子だったが…。」
(allcinema)

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by jazzyoba0083 | 2015-03-16 23:20 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)